JP5568459B2 - 導電膜およびその製造方法、ならびに導電膜を用いたトランスデューサ、フレキシブル配線板、および電磁波シールド - Google Patents
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Description
本発明の導電膜は、エラストマーと金属ファイバーとを含む。エラストマーは、室温でゴム状弾性を有するものであればよい。例えば、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のエラストマーは、柔軟なため好適である。また、Tgが低くなると、結晶性が低下するため、エラストマーの破断伸びが大きくなる。つまり、より伸長しやすくなる。加えて、エラストマーの粘性が高くなるため、導電膜に粘着性を付与することができる。導電膜が粘着性を有すると、基材との接着性が向上する。例えば、弾性部材の表面に形成された導電膜の接着性が充分でない場合、弾性部材の引張特性が低下するおそれがある。また、歪が繰り返し加わると、導電膜が弾性部材から剥離して、機械的信頼性、電気的信頼性が低下するおそれがある。また、弾性部材と導電膜との間にボイドが入るなどして、絶縁破壊を招くおそれがある。したがって、エラストマーのTgは、−20℃以下、さらには−35℃以下であることが望ましい。本明細書では、ガラス転移温度として、JIS K7121(1987)に準じて測定した中間点ガラス転移温度を採用する。
本発明の導電膜の製造方法は、金属ファイバー合成工程と、金属ファイバー分散液調製工程と、導電膜形成工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
本工程は、金属化合物、および該金属化合物の還元能を有する還元剤を含む溶液中で、長手方向長さが1μm以上、短手方向長さが600nm以下、アスペクト比が10以上の金属ファイバーを合成する。
本工程は、合成された金属ファイバーを、湿潤状態で、エラストマー成分のゴムポリマーを溶解可能な溶剤に分散させて金属ファイバー分散液を調製する工程である。
本工程は、調製された金属ファイバー分散液と、ゴムポリマーを含むゴム組成物と、を混合して導電塗料を調製し、該導電塗料を塗布、乾燥させて導電膜を形成する工程である。
本発明のトランスデューサは、エラストマー製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、複数の該電極と各々接続されている配線と、を備える。誘電膜としては、比誘電率の高いエラストマーを用いることが望ましい。具体的には、常温における比誘電率(100Hz)が2以上、さらには5以上のエラストマーが望ましい。例えば、エステル基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、アミド基、スルホン基、ウレタン基、ニトリル基等の極性官能基を有するエラストマー、あるいは、これらの極性官能基を有する極性低分子量化合物を添加したエラストマーを採用するとよい。好適なエラストマーとしては、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。なお、「エラストマー製」とは、誘電膜のベース材料がエラストマーであることを意味する。よって、エラストマー成分の他に、添加剤等の他の成分を含んでいても構わない。
本発明のトランスデューサの第一例として、アクチュエータの実施形態を説明する。図1に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を各々示す。
本発明のトランスデューサの第二例として、静電容量型センサの実施形態を説明する。まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図2に、静電容量型センサの上面図を示す。図3に、図2のIII−III断面図を示す。図2、図3に示すように、静電容量型センサ2は、誘電膜20と、一対の電極21a、21bと、配線22a、22bと、カバーフィルム23a、23bと、を備えている。
本発明のトランスデューサの第三例として、発電素子の実施形態を説明する。図4に、本実施形態における発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸長時、(b)は収縮時を各々示す。
本発明のトランスデューサの第四例として、スピーカの実施形態を説明する。まず、本実施形態のスピーカの構成について説明する。図5に、本実施形態のスピーカの斜視図を示す。図6に、図5のVI−VI断面図を示す。図5、図6に示すように、スピーカ4は、第一アウタフレーム40aと、第一インナフレーム41aと、第一誘電膜42aと、第一アウタ電極43aと、第一インナ電極44aと、第一振動板45aと、第二アウタフレーム40bと、第二インナフレーム41bと、第二誘電膜42bと、第二アウタ電極43bと、第二インナ電極44bと、第二振動板45bと、八つのボルト460と、八つのナット461と、八つのスペーサ462と、を備えている。
本発明のフレキシブル配線板は、弾性部材と、該弾性部材の表面に配置されている配線と、を備える。弾性部材の材質は、特に限定されない。例えば、伸縮性を有する材料として、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、各種の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
本発明の電磁波シールドは、本発明の導電膜からなる。電磁波シールドは、電子機器の内部で発生した電磁波が外部に漏れるのを抑制したり、外部からの電磁波を内部へ侵入させにくくする役割を果たす。例えば、電子機器の筐体の内周面に、電磁波シールドを配置する場合には、本発明の導電膜を形成するための導電塗料を、電子機器の筐体の内周面に塗布し、乾燥させればよい。また、上記トランスデューサの第二実施形態として示した静電容量型センサに、電磁波シールドを配置することもできる。例えば、カバーフィルム23aの上面と、カバーフィルム23bの下面と、を各々覆うように、電磁波シールドを配置すればよい(前出図2、図3参照)。この場合、本発明の導電膜を形成するための導電塗料を、カバーフィルム23aの上面およびカバーフィルム23bの下面に塗布し、乾燥させればよい。さらに、電子機器の隙間にガスケットとして配置する場合には、本発明の導電膜を、所望の形状に成形して用いればよい。
[銀ファイバーA]
まず、エチレングリコール350mlを150℃に加熱し、攪拌下で塩化白金7.5mgを加え、1時間攪拌して第一溶液を調製した。次に、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量24,500)12gと、硝酸銀9gと、をエチレングリコール450mlに溶解して、第二溶液を調製した。続いて、第一溶液を150℃下で攪拌しながら、第一溶液に第二溶液を7.5ml/分の割合で滴下した。滴下終了後、150℃下でさらに2時間攪拌を続けた。それから、溶液をろ過して、合成された銀ファイバーを分離した(得られた銀ファイバーを、銀ファイバーAと称す)。そして、銀ファイバーAを、乾燥させずに湿潤状態でブトキシエチルアセテートに分散し、銀ファイバーA/ブトキシエチルアセテート分散液を調製した。なお、銀ファイバーAを、別途、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、長さは約15μm、太さは約300nmであった。よって、銀ファイバーAのアスペクト比は、50である。
第二溶液を滴下した後の攪拌時間を0.5時間に変更した以外は、上記銀ファイバーAの合成と同様にして、銀ファイバーBを合成し、銀ファイバーB/ブトキシエチルアセテート分散液を調製した。銀ファイバーBを、SEMにより観察したところ、長さは約3μm、太さは約300nmであった。よって、銀ファイバーBのアスペクト比は、10である。
第二溶液中のポリビニルピロリドン(成長調整剤)を、重量平均分子量が10,000のものに変更した以外は、上記銀ファイバーAの合成と同様にして、銀ファイバーCを合成し、銀ファイバーC/ブトキシエチルアセテート分散液を調製した。銀ファイバーCを、SEMにより観察したところ、長さは約15μm、太さは約600nmであった。よって、銀ファイバーCのアスペクト比は、25である。
第二溶液中のポリビニルピロリドン(成長調整剤)を、重量平均分子量が360,000のものに変更した以外は、上記銀ファイバーAの合成と同様にして、銀ファイバーDを合成し、銀ファイバーD/ブトキシエチルアセテート分散液を調製した。銀ファイバーDを、SEMにより観察したところ、長さは約12μm、太さは約40nmであった。よって、銀ファイバーDのアスペクト比は、300である。
第二溶液中のポリビニルピロリドン(成長調整剤)を、重量平均分子量が3,500のものに変更した以外は、上記銀ファイバーAの合成と同様にして、銀ファイバーEを合成し、銀ファイバーE/ブトキシエチルアセテート分散液を調製した。銀ファイバーEを、SEMにより観察したところ、長さは約6μm、太さは約1100nmであった。よって、銀ファイバーEのアスペクト比は、約5.5である。
まず、二種類のモノマーを懸濁重合して、アクリルゴムポリマーを製造した。モノマーとしては、n−ブチルアクリレート(BA)と、アリルグリシジルエーテル(AGE)と、を用いた。モノマーの配合割合は、BAを98質量%、AGEを2質量%とした。得られたアクリルゴムポリマーの重量平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、約90万であった。また、アクリルゴムポリマーのTgは、−46℃であった。
[実施例1〜8、比較例3〜4、6]
まず、アクリルゴム溶液に、上記銀ファイバーA〜E/ブトキシエチルアセテート分散液のいずれかを所定量添加し、三本ロールにて混練りして導電塗料を調製した。次に、導電塗料を、アクリル樹脂製の基材表面にバーコート法により塗布した。その後、塗膜が形成された基材を、約150℃の乾燥炉内に約30分間静置して、塗膜を乾燥させると共に、架橋反応を進行させて、導電膜を得た。得られた導電膜の厚さは、約20μmであった。
まず、熱可塑性ウレタンエラストマーに、上記銀ファイバーD/ブトキシエチルアセテート分散液を所定量添加し、三本ロールにて混練りして導電塗料を調製した。次に、導電塗料を、アクリル樹脂製の基材表面にバーコート法により塗布した。その後、塗膜が形成された基材を、約150℃の乾燥炉内に約30分間静置して、塗膜を乾燥させて、導電膜を得た。得られた導電膜の厚さは、約20μmであった。
市販の銀ペースト(藤倉化成(株)製「ドータイト(登録商標)FA−353N」)から、厚さ約20μmの導電膜を形成した。
市販の銀ペースト(東洋紡績(株)製「DW−250H−5」)から、厚さ約20μmの導電膜を形成した。
上記銀ファイバーAの合成において、ろ過により溶液から分離した銀ファイバーAを、完全に乾燥させた。乾燥後、得られた銀ファイバーA粉末を、アクリルゴム溶液に直接添加して、三本ロールにて混練りして導電塗料を調製した。その後は、実施例1〜8と同様にして、導電膜を製造した。
実施例および比較例の導電膜について、柔軟性および導電性を評価した。以下、各々の評価方法について説明する。
導電膜について、JIS K7127(1999)に準じた引張試験を行った。試験片の形状は、試験片タイプ2とした。得られた応力−伸び曲線から、導電膜の弾性率を算出した。また、導電膜の切断時伸び(Eb)を、JIS K 6251(2004)に準じて測定した。試験片の形状は、ダンベル状5号形とした。
導電膜の体積抵抗率を、JIS K6271(2008)の平行端子電極法に準じて測定した。体積抵抗率の測定は、導電膜(試験片)を支持する絶縁樹脂製支持具を用いずに、導電膜のみで行った。体積抵抗率の測定は、伸長の有無により二回行った。すなわち、一回は、自然状態(伸長なし)で測定し、もう一回は、伸長率100%で伸長した状態で測定した。ここで、伸長率は、次式(I)により算出した値である。
伸長率(%)=(ΔL0/L0)×100・・・(I)
[L0:試験片の標線間距離、ΔL0:試験片の標線間距離の伸長による増加分]
<評価結果>
実施例および比較例の導電膜の評価結果を、上記表1、表2にまとめて示す。表1に示すように、実施例の導電膜は、いずれも柔軟であり、良好な伸びを示した。特に、熱可塑性ウレタンエラストマーを用いた実施例9の導電膜については、切断時伸びが大きかった。また、実施例の導電膜は、いずれも自然状態において高い導電性を有する。そして、実施例の導電膜を伸長しても、電気抵抗の増加は小さかった。また、伸長率100%で伸長した状態の導電膜の体積抵抗率が、1×10−1Ω・cm以下か否かを基準にして、フレキシブル配線板への適用性を評価した場合、実施例の導電膜は、いずれもフレキシブル配線板に好適であるといえる。
12a、12b:配線 13:電源
2:静電容量型センサ(トランスデューサ) 20:誘電膜 21a、21b:電極
22a、22b:配線 23a、23b:カバーフィルム 24:コネクタ
3:発電素子(トランスデューサ) 30:誘電膜 31a、31b:電極
32a〜32c:配線
4:スピーカ(トランスデューサ)
40a:第一アウタフレーム 40b:第二アウタフレーム
41a:第一インナフレーム 41b:第二インナフレーム
42a:第一誘電膜 42b:第二誘電膜
43a:第一アウタ電極 43b:第二アウタ電極
44a:第一インナ電極 44b:第二インナ電極
45a:第一振動板 45b:第二振動板
430a、430b、440a、440b:端子 460:ボルト 461:ナット
462:スペーサ
6:フレキシブル配線板
60:弾性部材 61:表側配線用コネクタ 62:裏側配線用コネクタ
01X〜16X:表側電極 01Y〜16Y:裏側電極 01x〜16x:表側配線
01y〜16y:裏側配線
Claims (11)
- エラストマーと、金属ファイバーと、を含む導電膜であって、
該金属ファイバーの長手方向長さは1μm以上、短手方向長さは600nm以下、アスペクト比は10以上であり、
該金属ファイバーの含有量は、導電膜の体積を100vol%とした場合の45vol%以下であることを特徴とする導電膜。 - 化学還元法により合成された前記金属ファイバーを、湿潤状態で、前記エラストマー成分のゴムポリマーを溶解可能な溶剤に分散させた金属ファイバー分散液と、該ゴムポリマーを含むゴム組成物と、を混合した導電塗料から形成される請求項1に記載の導電膜。
- 前記金属ファイバーは、銀を含む請求項1または請求項2に記載の導電膜。
- 前記エラストマーは、硫黄、硫黄化合物、および有機過酸化物のいずれも用いずに架橋された架橋ゴム、および熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の導電膜。
- さらに、前記金属ファイバーの腐食を抑制する腐食抑制剤を含む請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導電膜。
- 弾性部材の表面に形成されている請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の導電膜。
- 前記弾性部材は、エラストマー製であり、
該弾性部材の該エラストマーは、硫黄、硫黄化合物、および有機過酸化物のいずれも用いずに架橋された架橋ゴム、および熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上である請求項6に記載の導電膜。 - 請求項1に記載の導電膜の製造方法であって、
金属化合物、および該金属化合物の還元能を有する還元剤を含む溶液中で、長手方向長さが1μm以上、短手方向長さが600nm以下、アスペクト比が10以上の金属ファイバーを合成する金属ファイバー合成工程と、
合成された該金属ファイバーを、湿潤状態で、エラストマー成分のゴムポリマーを溶解可能な溶剤に分散させて金属ファイバー分散液を調製する金属ファイバー分散液調製工程と、
該金属ファイバー分散液と、該ゴムポリマーを含むゴム組成物と、を混合して導電塗料を調製し、該導電塗料を塗布、乾燥させて導電膜を形成する導電膜形成工程と、
を有することを特徴とする導電膜の製造方法。 - エラストマー製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、複数の該電極と各々接続されている配線と、を備え、
該電極および該配線の少なくとも一方は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の導電膜からなることを特徴とするトランスデューサ。 - 弾性部材と、該弾性部材の表面に配置されている配線と、を備え、
該配線の少なくとも一部は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の導電膜からなることを特徴とするフレキシブル配線板。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の導電膜からなることを特徴とする電磁波シールド。
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