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JP5574362B2 - アルカリ二次電池 - Google Patents
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Description

本発明はニッケル−カドミウム蓄電池などのアルカリ二次電池に係わり、特に、電極基板にカドミウム活物質が塗布された非焼結式カドミウム負極を備えたアルカリ二次電池に関する。
近年、大電流を必要とする電動工具等の駆動用電源として、ニッケル−カドミウム蓄電池に代表されるアルカリ二次電池が広く用いられるようになった。ここで、ニッケル−カドミウム蓄電池においては、水酸化ニッケルを正極活物質とするニッケル正極と、水酸化カドミウムや金属カドミウムを負極活物質とするカドミウム負極と、これらのニッケル正極とカドミウム負極とを隔離するセパレータと、水酸化カリウム水溶液などからなるアルカリ電解液とにより構成されている。
上述したカドミウム負極においては、焼結式カドミウム負極と非焼結式カドミウム負極のどちらか一方が用いられている。ここで、焼結式カドミウム負極は、パンチングメタルからなる金属芯体上にニッケル粉末を主原料とするスラリーを塗布し、不活性雰囲気下で焼結して作製されたニッケル焼結基板に、硝酸カドミウムを含浸して作製されるものである。一方、非焼結式カドミウム負極は、パンチングメタルからなる金属基板上に直接酸化カドミウムと金属カドミウムから成る活物質ぺ−ストを塗布して作製されるものである。
ところで、近年、ニッケル価格の高騰化の影響により、焼結式カドミウム負極のコスト増加が懸念されるようになった。このため、ニッケル使用量を低減化するためにニッケル焼結基板を用いることなく、電動工具の用途にも用いることができかつ焼結式カドミウム負極に比較して低コストで作製することが可能である非焼結式カドミウム負極の開発が急務になった。そこで、非焼結式カドミウム負極の容量密度を高めるために、活物質の充填密度を3.4g/cm3とすることが、例えば、特許文献1(特開2007−273416号公報)にて提案されるようになった。
特開2007−273416号公報
しかしながら、特許文献1にて提案されるように、非焼結式カドミウム負極の容量密度を高めても、焼結式カドミウム負極に比較して、プ口用の電動工具の用途などで求められる高率放電特性に弱く、特に、低温の温度環境下では、この差がより顕著に現れるという問題があった。この場合、低温の温度環境下で高率放電特性が得られるようにするためには、非焼結式カドミウム負極により多くのアルカリ電解液を保持させておく必要がある。ここで、密閉状態(電解液量の制限条件下)では、負極の活物質の充填密度を低くして非焼結式カドミウム負極でのアルカリ電解液の保液量を増加させるようにすれば、低温での放電反応が向上することとなる。
ところが、非焼結式カドミウム負極の活物質の充填密度を低くしても、組み合せるセパレータの保液率が電池の充放電反応中で一定でない場合には、非焼結式カドミウム負極での電解液の保液量が変化(充放電反応を繰り返すに伴って減少する)し、期待するような低温での高率放電特性を得ることができないという問題を生じた。
そこで、本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、適正な活物質の充填密度の非焼結式カドミウム負極と適正な引張強度を有するセパレータを用いるようにして、低温での高率放電特性に優れたアルカリ二次電池を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明のアルカリ二次電池は、電極基板にカドミウム活物質が塗布された非焼結式カドミウム負極と、正極と、これらの非焼結式カドミウム負極と正極とを隔離するセパレータと、アルカリ電解液とを外装缶内に備えるとともに、セパレータは35N/mm2以上の引張強度を有しており、かつ非焼結式カドミウム負極は活物質の充填密度が3.05g/ml以下であることを特徴とする。
ここで、セパレータでの保液率の維持に関連する物性として、セパレータの引張強度が挙げられる。これは、引張強度が高いセパレータは、充放電時の正極膨化による体積変化の影響を受け難いため、その厚みを維持できるようになるからである。このため、引張強度が高いセパレータは、アルカリ電解液を安定に保持できると考えられる。この場合、引張強度が35N/mm2以上であるセパレータを用いると、低温での高率放電特性を得ることが可能であることが明らかになった。なお、セパレータの引張強度が60N/mm2を越えるように大きくなると、セパレータの厚みが厚くなることによる生産性低下(巻取体の外径寸法の過大に起因する外装缶への挿入不良の発生など)を招くようになるため、その上限値は60N/mm2とするのが望ましい。
一方、アルカリ電解液の注液量を制限して密閉状態としたアルカリ二次電池においては、負極活物質の充填密度を低くすると、非焼結式カドミウム負極でのアルカリ電解液の保液量が増加して低温での放電反応が良好となる。そして、その負極活物質の充填密度を検討した結果、引張強度が35N/mm2以上であるセパレータを用いた場合には、活物質の充填密度が3.05g/ml以下であると、低温での高率放電特性を得ることが可能であることが明らかになった。なお、活物質の充填密度が2.20g/ml未満のように低充填密度になると、活物質の脱落が生じるようになる。このため、その下限値は2.20g/mlとするのが望ましい。
本発明においては、適正な引張強度を有するセパレータと、適正な活物質の充填密度の非焼結式カドミウム負極とを用いるようにしているので、低温での高率放電特性に優れたアルカリ二次電池を提供することが可能となる。
本発明のアルカリ二次電池を模式的に示す断面図である。 負極活物質の充填密度(g/ml)と−10℃での高率放電容量(mAh)との関係を示すグラフである。
ついで、本発明のアルカリ二次電池の一実施の形態を図1、図2に基づいて以下に詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
1.カドミウム負極
カドミウム負極11は、パンチングメタルからなる極板芯体11aの両面に酸化カドミウムを主体とする活物質と導電剤と結着剤とからなる負極活物質ペーストを塗布、乾燥、圧延した後、アルカリ水溶液中に浸漬させ、酸化カドミウムを水酸化カドミウムに反応させる水和処理を行い、更に乾燥、圧延して所定の充填密度になるようにして作製した。ついで、所定の寸法になるように切断することにより作製されている。なお、作製後のカドミウム負極11の下端部には極板芯体11aが露出していて、後に、この露出した極板芯体11aに負極集電体11bが溶接されることとなる。
ここで、負極活物質の充填密度が2.85g/mlになるように塗布・圧延・乾燥されたものを負極x1とした。また、同様に、充填密度が3.05g/mlになるように塗布・圧延・乾燥されたものを負極x2とし、充填密度が3.20g/mlになるように塗布・圧延・乾燥されたものを負極x3とした。なお、本実施例のカドミウム負極では水和処理を行っているが、水和処理を行わないカドミウム負極を用いることもできる。その場合、負極活物質の充填密度は、アルカリ二次電池作製後に充放電を行った後の充填密度のことをいう。
2.ニッケル正極
ニッケル正極12は、極板芯体12aに水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が所定の充填密度になるように塗布され、乾燥後、所定の厚みになるまで圧延された後、所定の寸法になるように切断することにより作製されている。なお、作製後のニッケル正極板12の上端部には極板芯体12aが露出していて、後に、この露出した極板芯体12aに正極集電体12bが溶接されることとなる。
3.セパレータ
ナイロン製不織布を所定の寸法になるように切断してセパレータ13を作製した。この場合、セパレータ13の引張強度が41N/mm2になるように作製されたものをセパレータy1とした。また、同様に、引張強度が35N/mm2になるように作製されたものをセパレータy2とし、引張強度が24N/mm2になるように作製されたものをセパレータy3とした。なお、セパレータ13の引張強度は以下のようにして測定されたものである。即ち、50・200mmの試料片(セパレータ)をつかみ間隔100mm、引張速度300mm/minで試験片が切断したときの引張強度(N/mm2)を測定した。
4.渦巻状電極群
これらのカドミウム負極11とニッケル正極12との間に、ナイロン製不織布からなるセパレータ13を介在させて重ね合わせ、渦巻状に巻回することにより渦巻状電極群となされている。この場合、カドミウム負極11の露出した極板芯体11aがセパレータ13の下端部より突出し、ニッケル正極12の露出した極板芯体12aがセパレータ13の上端部より突出するように積層して配置した後、渦巻状に巻回するようになされている。なお、渦巻状電極群の中心部には、巻芯軸が除去されて形成された空間部を備えている。
5.密閉型ニッケル−カドミウム蓄電池
ついで、上述のようにして作製されたカドミウム負極11(x1,x2,x3)およびニッケル正極12と、セパレータ13(y1,y2,y3)とを用いて渦巻状電極群をそれぞれ作製した。この場合、セパレータ13(y1,y2,y3のいずれか)を介してカドミウム負極11(x1,x2,x3のいずれか)とニッケル正極12とが対向するように渦巻状に巻回した。ついで、渦巻状電極群の下部に延出する極板芯体11aに負極集電体11bを抵抗溶接するとともに、渦巻状電極群の上部に延出する極板芯体12aに正極集電体12bを抵抗溶接して渦巻状電極体をそれぞれ作製した。
ついで、鉄にニッケルメッキを施した有底円筒形の金属製外装缶15内に渦巻状電極体を挿入した後、負極集電体11bと金属外装缶15の底部をスポット溶接した。一方、正極キャップ17bと蓋体17aとからなる封口体17を用意し、正極集電体12bに設けられたリード部12cを蓋体底部17cに接触させて、蓋体底部17cとリード部12cとを溶接した。
この後、渦巻状電極体の上端面に防振リング14を挿入し、外装缶15の上部外周面に溝入れ加工を施して、防振リング14の上端部に環状溝部15aを形成した。この後、金属製外装缶15内に電解液(濃度が30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液)を注液し、封口体17を封口ガスケット16を介して外装缶15の環状溝部15aに載置するとともに、外装缶15の先端部を封口体側にカシメて封口して、公称容量が1200mAhのニッケル−カドミウム蓄電池10(A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2,C3)をそれぞれ作製した。
ここで、引張強度が41N/mm2のセパレータ13を用いるとともに、負極x1(活物質充填密度が2.85g/mlのもの)を用いて作製したものを電池A1とし、負極x2(活物質充填密度が3.05g/mlのもの)を用いて作製したものを電池A2とし、負極x3(活物質充填密度が3.20g/mlのもの)を用いて作製したものを電池A3とした。
また、引張強度が35N/mm2のセパレータ13を用いるとともに、負極x1(活物質充填密度が2.85g/mlのもの)を用いて作製したものを電池B1とし、負極x2(活物質充填密度が3.05g/mlのもの)を用いて作製したものを電池B2とし、負極x3(活物質充填密度が3.20g/mlのもの)を用いて作製したものを電池B3とした。
さらに、引張強度が24N/mm2のセパレータ13を用いるとともに、負極x1(活物質充填密度が2.85g/mlのもの)を用いて作製したものを電池C1とし、負極x2(活物質充填密度が3.05g/mlのもの)を用いて作製したものを電池C2とし、負極x3(活物質充填密度が3.20g/mlのもの)を用いて作製したものを電池C3とした。
5.電池特性試験
ついで、以上のようにして作製された各ニッケル−カドミウム蓄電池A1〜A3,B1〜B3,C1〜C3を用いて、これらの各電池を常温(約25℃)下で、1.2Aの充電電流で充電し、ピーク電圧を越えた後に電池電圧が10mV低下した時点で充電を停止(−ΔV方式)した。ついで、−10℃の温度環境下で、3時間休止した後、10Aの放電電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電させて、放電時間から−10℃での10A放電時の放電容量(−10℃での高率放電容量)を求めると、下記の表1に示すような結果が得られた。また、表1の結果に基づいて負極活物質の充填密度(g/ml)を横軸とし、−10℃での高率放電容量(mAh)を縦軸にしてグラフに表すと、図2に示すような結果が得られた。
Figure 0005574362
上記表1および図2の結果から明らかなように、引張強度が24N/mm2のセパレータy3を用いた電池C1,C2,C3においては、負極活物質の充填密度が低下しても−10℃での高率放電容量が増加しない傾向にあることが分かる。これは、24N/mm2と引張強度が弱いセパレータを用いると、充放電時の正極膨化による体積変化の影響を受けて、その厚みを維持できなくなって、アルカリ電解液を安定に保液できなくなったためと考えられる。この結果、負極活物質の充填密度を低下させたにも係わらず、−10℃での高率放電容量が増加しなかったと考えられる。
一方、引張強度が41N/mm2のセパレータy1を用いた電池A1,A2,A3においては、負極活物質の充填密度が低下するに伴って−10℃での高率放電容量が増加する傾向にあることが分かる。また、引張強度が35N/mm2のセパレータy2を用いた電池B1,B2,B3においても、負極活物質の充填密度が低下するに伴って−10℃での高率放電容量が増加する傾向にあることが分かる。これは、引張強度が高いセパレータを用いると、充放電時の正極膨化による体積変化の影響を受け難くなるため、その厚みを維持できるようになり、セパレータがアルカリ電解液を安定に保持できるようになることで、負極活物質の充填密度の低下に伴い、非焼結式カドミウム負極のアルカリ電解液の保液量が増加して低温での放電反応がより良好になるためと考えられる。
この場合、引張強度が35N/mm2以上であるセパレータを用いた場合には、負極活物質の充填密度が3.05g/ml以下であると、低温での高率放電特性を得ることが可能である。なお、セパレータの引張強度が60N/mm2を越えるように大きくなると、セパレータの厚みが厚くなることによる生産性低下(巻取体の外径寸法の過大に起因する外装缶への挿入不良の発生など)を招くようになるため、その上限値は60N/mm2とするのが望ましい。また、活物質の充填密度が2.20g/ml未満のように低充填密度になると、活物質の脱落が生じるようになるので、その下限値は2.20g/mlとするのが望ましい。
以上の結果から、低温での高率放電特性を向上させるためには、引張強度35N/mm2以上のセパレータを用いるとともに、負極活物質の充填密度を3.05g/ml以下にする必要があるということができる。望ましくは、セパレータの引張強度は35N/mm2以上、60N/mm2以下であり、カドミウム負極は活物質の充填密度が2.20g/ml以上、3.05g/ml以下であるのが好ましいということができる。
なお、上述した実施の形態においては、本発明をニッケル−カドミウム蓄電池に適用する例について説明したが、本発明はニッケル−カドミウム蓄電池以外にも、カドミウムを負極活物質とする他のアルカリ蓄電池に適用しても同様の効果が得られることは明らかである。
10・アルカリ二次電池、11・カドミウム負極、11a・極板芯体、11b・負極集電体、12・ニッケル正極、12a・極板芯体、12b・正極集電体、12c・リード部、13・セパレータ、14・防振リング、15・金属製外装缶、15a・環状溝部、16・封口ガスケット、17・封口体、17a・蓋体、17b・正極キャップ、17c・蓋体底部

Claims (1)

  1. 電極基板にカドミウム活物質が塗布されたカドミウム負極と、正極と、これらのカドミウム負極と正極とを隔離するセパレータと、アルカリ電解液とを外装缶内に備えたアルカリ二次電池であって、
    前記セパレータは35N/mm2以上、60N/mm 2 以下の引張強度を有しており、
    前記カドミウム負極は活物質の充填密度が2.20g/ml以上、3.05g/ml以下であることを特徴とするアルカリ二次電池。
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