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JP5576641B2 - 粉末珪酸ソーダ造粒品 - Google Patents
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本発明は、粉末珪酸ソーダ造粒品に関する。
近年、多種多様な用途で用いられている珪酸ソーダ水溶液(水ガラス)に対し、輸送する際に取り扱い易く、安価な費用で運送できるなどの利点を有する粉末珪酸ソーダの使用が増加している。この粉末珪酸ソーダは、水ガラスのように水溶液としての用途にも用いることが出来る。
珪酸ソーダは各種分野で様々な用途に用いられている。古紙・パルプ再生分野においては、古紙やパルプを過酸化水素などで漂白する際の緩衝剤として用いられ、漂白剤の自己分解を抑制し、汚れの分散懸濁を効果的に行うことができる。
洗剤分野においては、金属洗濯槽の表面に珪酸及び金属酸化物よりなる層を形成させ、アルカリによる侵食を防止する腐食防止剤として用いられている。また、石鹸を作る際の添加剤としても使われている。
土木分野においては、珪酸ソーダの硬化性質を利用して、地盤の強化や止水を目的とした土壌改良剤として使われている。また、セメントミルクの硬化促進剤としても使われている。
鋳物分野においては、珪酸ソーダの硬化反応を利用し、鋳物砂の粘結剤として使用されている。珪酸ソーダを鋳物砂に混合し、炭酸ガスによる珪酸ソーダの硬化反応により生成される珪酸ゲルによって鋳物砂同士を強固に結合させ造型させることにより鋳型が得られる。
珪酸ソーダの硬化反応を利用した鋳型作成方法は多数存在し、この方法により作成された鋳型を無機粘結剤自硬性鋳型と呼ぶ。無機粘結剤自硬性鋳型は図1に示すように、計8系統からなり、水ガラス系自硬性鋳型に類別される鋳型には以下の2つが含まれる。
(1)水ガラス系ガス硬化鋳型(CO型)
鋳物砂(珪砂・マグネシア砂・ジルコン砂等)と水ガラスを混合して造型し炭酸ガスを通ガス(通気)して珪酸ゲルを生成し鋳型を硬化させる方法。珪酸ソーダとCOとの反応は次式で表される。
NaO・nSiO・(mn+x)HO+CO=NaCO・xHO+n(SiO・mHO)
鋳型強度は珪酸ゲル量、通ガス時間等に影響される。原理的には珪酸ソーダの量が多いほど珪酸ゲルも多くなり、鋳型強度は増加する。しかし、珪酸ソーダの量が多いと通ガス時間も長くしなければならない。通ガス時間が長いと生成した珪酸ゲルに更にCOが通過するため、多孔質中の結晶水が毛管現象で珪酸ゲルから追い出され、その結果珪酸ゲルが収縮し亀裂が生じて鋳型強度が低下する。また、CO型ガス硬化鋳型に限定されないが、珪酸ソーダの性質は、SiOのNaOに対するモル比に依存する。このモル比が高い珪酸ソーダは硬化速度が速くなり、鋳型の崩壊性も良い。そのため、気温が低い事により反応性(硬化性)が悪い冬季は高モル比の珪酸ソーダを使用する場合が多く、気温が高い事により反応性が良い夏季は低モル比の珪酸ソーダを使用する場合が多い。
(2)水ガラス系無機自硬性鋳型(硫酸バンド法)
砂と珪酸ソーダ、そして珪酸ゲルを生成するための硬化剤として硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を添加して造型する方法。
珪酸ソーダは上記のように様々な分野で取り扱われているが、取り扱うに際して、粉末珪酸ソーダには下記(1)〜(3)等の問題点がある。
(1)粉末珪酸ソーダは粉末であるため、比表面積が大きく保管中に炭酸ガス(CO)による硬化反応が起こりやすい。このため、大気中で保管した場合、粉末珪酸ソーダの硬化反応が経時的に進行してしまい、使用時に良好な反応性を得られないことがある。
(2)硬化反応により保管中に粉末が固結してしまい、使用が困難になる。
(3)粉末であるため、投入や計量時に飛散し、粘膜等へ付着し刺激を与えることがある。
「鋳物便覧 改訂4版」 編者:日本鋳物協会 出版:丸善株式会社
上記問題点に鑑み、本発明は経時保存安定性、ハンドリング性に優れた粉末珪酸ソーダ造粒品を提供することを課題とする。
上記課題は、下記の手段によって達成された。
(1)珪酸ゲルの被膜を有し、粉末珪酸ソーダ造粒品の粒径x(mm)、該粉末珪酸ソーダ造粒品の表面の炭素原子数の割合C(%)が下記式1を満足する粉末珪酸ソーダ造粒品。
−2.9x+20≧C≧3 ・・・・・式1
(2)前記粒径xが0.5mm〜5mmである(1)記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
(3)層状珪酸塩を含む(1)または(2)に記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
(4)前記層状珪酸塩がベントナイト、クロライト及びゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも一種の層状無機鉱物である(3)に記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
(5)ポリビニルアルコールを含む(1)〜(4)のいずれか1項に記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
(6)前記珪酸ゲルの被膜の膜厚を、粒表面と粒中心の平均の割合Cを有する層から表面までと定義した時、前記粒径x(mm)、前記珪酸ゲルの被膜の膜厚T(mm)が、下記式2を満足する(1)〜(5)のいずれか1項に記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
0.2x≧T ・・・・・式2
本発明の粉末珪酸ソーダ造粒品は、粉末珪酸ソーダを凝集させた粒子からなり、圧縮強度が高く、また、飛散しにくい。また、あらかじめ珪酸ゲルにより表面が被覆されているため、一定期間保管しても造粒物間で固結が生じることを防止することができる。
無機粘結剤自硬性鋳型系統図である。 式1をグラフ化したものである。 本発明の造粒品粒径の例を示したのである。
本発明の粉末珪酸ソーダ造粒品(以下、単に「造粒品」と称することもある。)は、粉末の粉末珪酸ソーダを造粒して得た造粒物の表面を珪酸ゲルの被膜で被覆したものである。「珪酸ゲルの被膜」は性能発揮のために粉末珪酸ソーダ造粒品の粒径x(mm)において、珪酸ソーダ造粒品表面中に存在する炭素原子数の比率を表す割合C(%)(以下、単に「割合C」と称することもある。)が下記式1を満たす範囲であることが好ましい。
−2.9x+20≧C≧3 ・・・・・式1
前記式1のグラフを図2に示す。図2の斜線部分が割合Cが式1を満足する範囲である。
また、「珪酸ゲルの被膜」において、被膜が厚すぎると珪酸ソーダの反応性が損なわれてしまう為、一定の被膜厚にする必要がある。造粒品表面と造粒品中心の平均の割合Cを有する層から表面までを被膜とした時、この珪酸ゲルの被膜の厚さT(mm)は、下記式2を満足することが好ましく、下記式3を満足するのがより好ましい。
0.2x≧T ・・・・・式2
0.1x≧T ・・・・・式3
本発明において、珪酸ソーダは一般にNaO・nSiO・mHOで表される。本明細書では、nSiOのNaOに対する分子量の比をモル比といい、「粉末珪酸ソーダ」とは、モル比が0.5〜4.0の範囲の珪酸ソーダをいう。
本発明の粉末珪酸ソーダ造粒品は、補強剤及び/または造形助剤として性能を損なわない範囲で少なくとも一種の賦形剤を含む事が好ましい。本発明に用いる賦形剤は、珪酸ソーダの特性を妨げないものであれば特に限定されるものではないが、特にベントナイト、クロライト、ゼオライト等層状無機鉱物が好ましい。添加量は、粉末珪酸ソーダ100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、より好ましくは10〜50質量部である。また、前記賦形剤としてポリビニルアルコールを用いることもできる。その添加量は、前記層状無機鉱物と同様である。
本発明の粉末珪酸ソーダ造粒品は、表面が珪酸ゲルで被覆されていることにより、経時保存安定性及びハンドリング性が向上している。珪酸ゲルの被覆量が多いほど造粒品の表面及び全体の強度が増加し、粉立ち(飛散)を抑制し、ハンドリング性が向上する。しかし、被覆量が多すぎると粉末珪酸ソーダの反応性が悪くなるので粉末珪酸ソーダの造粒物の粒径に応じて造粒品表面の珪酸ゲル被覆量を定める必要がある。粒径が大きい粉末珪酸ソーダの造粒物は反応性が悪いため、粒径が小さい造粒物に比べ造粒品表面の珪酸ゲル被覆量を少なくすることが好ましい。
珪酸ゲルの被膜は、造粒品表面の炭素原子数を定量することで確認する事が出来る。粉末珪酸ソーダには炭素原子はほとんど含まれていないので、炭素原子数が増加するということは珪酸ゲルが生成されていることを表す。炭素原子数の定量は、SEMで測定した画像データをEDXで造粒品に含まれる全ての元素を分析し、原子数の比率を求める。珪酸ソーダ造粒品に炭素原子を有する材を用いた場合は、珪酸ゲル被覆後の割合Cから被覆前の造粒品の割合Cを引いた値を正式な割合Cとする。珪酸ソーダ造粒品本発明の粉末珪酸ソーダ造粒品は、表面の炭素原子数比である前記割合C(%)が前記式1を満たすことが好ましい。この割合Cが前記式1の規定外である粉末珪酸ソーダ造粒品は、造粒品粒径に合った粒表面の珪酸ゲル被膜ではない為、珪酸ソーダの反応性やハンドリング性が悪くなることがある。
珪酸ゲルの被膜の厚さは、前記と同様の割合Cの求め方を用い、造粒品の粒径に沿った断面を中心から表面まで走査分析して割合Cを求め、造粒品表面と造粒品中心の平均の割合Cを有する層から表面までを被膜層とし、厚さを求めることが出来る。被膜の厚さが前記式2の規定外である粉末珪酸ソーダ造粒品は、造粒品粒径にあった被膜ではない為、珪酸ソーダの反応性が悪くなることがある。
前記式中、xは粉末珪酸ソーダ造粒品の粒径(mm)を表すが、本明細書において、「粒径」とは、造粒品の中心を通る最短直径である。図3(a)、(b)に例示するように中心1を通る最短直径2を粒径とする。
造粒品の粒径は、0.5mm未満となると造粒品の飛散性が大きくなることがあり、0.5mm以上が好ましい。また、使用時の反応性を考慮すると粒径は5mm以下が好ましい。
割合Cが前記式1及び式2を満たすように表面を珪酸ゲルで被覆した粒径0.5〜5mmの粉末珪酸ソーダ造粒品は、ハンドリング性に優れ、かつ、珪酸ソーダとしての性能も十分確保されたものとなる。
本発明の粉末珪酸ソーダ造粒品は次のようにして調製できる。
本発明の粉末珪酸ソーダ造粒品は、例えば粉末珪酸ソーダ、または粉末珪酸ソーダと前記賦形剤の少なくとも一種と水を加えてニーダー等の混練機により混練したものを攪拌造粒機や押出し造粒機等の造粒機で造粒後、乾燥させて得た造粒物に炭酸ガスを通ガスすることにより製造できる。この通ガスにより、表面近傍の粉末珪酸ソーダに珪酸ゲルの被膜を形成させる。
本発明の粉末珪酸ソーダ造粒品は、水溶液や粉体に加工することで既存の用途にさらに幅広く用いることが可能である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
粉末珪酸ソーダ(日本化学工業株式会社製、商品名:粉末珪酸ソーダ3号)70質量部、クロライト30質量部に水15質量部を加えてニーダーにより混練し、粒径が0.8mmとなるように縦押し造粒機により造粒後乾燥し、前記式1の割合Cが12.82となるように炭酸ガスを通ガスして造粒品表面を処理し、粒表面を珪酸ゲルの被膜で被覆した造粒品を試料Aとした。割合Cは、SEM(日本電子株式会社製/JSM−6390LA型[測定条件:<加速電圧>15kV <倍率>40〜190倍])で測定した画像データをEDX(日本電子株式会社製/JED−2300型 [測定条件:<スイープ回数>50回 <測定元素>炭素、酸素、水素、鉄、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素])で元素分析し、炭素原子の数の割合Cを求めたところ12.82%であった。また、この試料Aの珪酸ゲルの被膜(被覆層)の厚さは、粒径に沿った断面を中心部から表面にかけて細かく走査分析し、造粒品の表面と中心の割合Cの平均に当たる割合Cを持つ層から表面までを被膜層とした。造粒試料Aの珪酸ゲルの被膜の厚さは0.08mmであった。
(比較例1)
割合Cを17.81、粒径0.8mmとした以外は実施例1と同様にして造粒試料Bを得た。造粒試料Bの珪酸ゲルの被膜の厚さは0.10mmであった。
(実施例2)
割合Cを13.49、粒径1.5mmとした以外は実施例1と同様にして造粒試料Cを得た。造粒試料Cの珪酸ゲルの被膜の厚さは0.10mmであった。
(実施例3)
割合Cを9.49、粒径2.5mmとした以外は実施例1と同様にして造粒試料Dを得た。造粒試料Dの珪酸ゲルの被膜の厚さは0.08mmであった。
(実施例4)
割合Cを5.64、粒径4.8mmとした以外は実施例1と同様にして造粒試料Eを得た。造粒試料Eの珪酸ゲルの被膜の厚さは0.13mmであった。
(比較例2)
割合Cを7.81、粒径4.8mmとした以外は実施例1と同様にして造粒試料Fを得た。造粒試料Fの珪酸ゲルの被膜の厚さは0.15mmであった。
(比較例3)
割合Cを5.45、粒径5.8mmとした以外は実施例1と同様にして造粒試料Gを得た。造粒試料Gの珪酸ゲルの被膜の厚さは0.12mmであった。
(比較例4)
被膜処理及び造粒していない粉末珪酸ソーダ粉末単体を試料Hとした。
a.鋳物砂圧縮強度試験
(i)試料A
鋳物砂98g(エム・シー砿産株式会社製:商品名フラタリーシリカサンド)、試料Aを21g、硫酸アルミニウム21g(大明化学工業株式会社製、商品名:粉末硫酸アルミニウム)、水21gを混合し、内径5cmの鋳型用の型に詰め、錘5kgのランマで3回付き固めた後、抜型して24時間大気中(室温20℃)に曝露したものの圧縮強度をオートグラフ((株)島津製作所製/AGS−1000A型 [測定条件]<圧縮速度>1mm/min.)で測定した。
(ii)試料B〜G
試料B〜Gについても、試料Aと同様にして鋳物砂圧縮強度を測定した。
b.外観評価試験
前記(i)〜(ii)で作製した24時間放置後の型に亀裂が生じているか目視確認を行った。○:亀裂無し、△:小さな亀裂有り、×:大きな亀裂有りの三段階の判断基準で評価した。
c.経時保存安定性試験
試料B、C、E、F、Hをそれぞれ室温20℃、湿度60%及び90%雰囲気中に11日間保存した時の造粒品の固結状態を複数の粒(又は粉)が1つの塊となっている状態を固結状態とし、目視乃至触感により判断した。
表1に鋳物砂圧縮強度試験結果を示し、表2に経時保存安定性試験結果を示す。
Figure 0005576641
表1より、請求項2に規定の式1を満たした試料A,C,D及びEは全て鋳物砂圧縮強度が一般的に必要とされる3N/cm以上であった。これに対して、請求項2に規定の式1を満たさなかった試料B,F及びGは全て鋳物砂圧縮強度がどれも3N/cm未満であった。このことから、本発明の造粒品は珪酸ソーダの反応性に優れることが分かった。
型の亀裂に関しても、圧縮強度が3N/cm以上の試料は亀裂が無く、3N/cm未満の試料に亀裂が生じていた。
Figure 0005576641
表2より、試料B、C、E及びFは一定期間保存しても固結が観察されなかった。これに対して、粉末珪酸ソーダ粉末単体である試料Hは11日間保存中に固結が観察された。
以上より、本発明の粉末珪酸ソーダ造粒品が、経時安定性に優れ、且つ珪酸ソーダとしての性能にも優れていることが分かる。
1 造粒品の中心
2 造粒品粒径(最短直径)

Claims (6)

  1. 珪酸ゲルの被膜を有し、粉末珪酸ソーダ造粒品の粒径x(mm)、該粉末珪酸ソーダ造粒品の表面の炭素原子数の割合C(%)が下記式1を満足する粉末珪酸ソーダ造粒品。
    −2.9x+20≧C≧3 ・・・・・式1
  2. 前記粒径xが0.5mm〜5mmである請求項1記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
  3. 層状珪酸塩を含む請求項1または2に記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
  4. 前記層状珪酸塩がベントナイト、クロライト及びゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも一種の層状無機鉱物である請求項3に記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
  5. ポリビニルアルコールを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
  6. 前記珪酸ゲルの被膜の膜厚を、粒表面と粒中心の平均の割合Cを有する層から表面までと定義した時、前記粒径x(mm)、前記珪酸ゲルの被膜の膜厚T(mm)が、下記式2を満足する請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末珪酸ソーダ造粒品。
    0.2x≧T ・・・・・式2
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