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JP5577611B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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本発明は、耐ヒールアンドトウ摩耗性に適した空気入りタイヤに関するものである。
トレッド部のショルダー部に、周方向主溝とラグ溝とによりブロックが形成された空気入りタイヤでは、排水性が高いことからWET時でのトラクション性に優れている。その反面、この空気入りタイヤは、ラグ溝を間にしたブロックでヒールアンドトウ摩耗の発生が懸念される。
従来、特許文献1に記載された空気入りタイヤでは、ラグ溝の溝底に、ブロックと離隔した突起部が形成されている。
この特許文献1の空気入りタイヤは、突起部によりブロックの倒れ込みを抑制することで、ヒールアンドトウ摩耗性を抑制しようとしている。
また、特許文献2に記載された空気入りタイヤでは、ブロックの蹴り出し側エッジ部に、ラグ溝に沿ってブロックをブロック本体と蹴り出し側小ブロック部とに分離しつつ底側をブロック本体側となるように傾斜して設けられたサイプが形成されている。
この特許文献2の空気入りタイヤは、サイプを設け、小ブロック部を滑り易くして摩耗エネルギーを集中させ、ブロック本体に伝播波及するのを抑えることで、実際のブロックとして作用するブロック本体のヒールアンドトウ摩耗を抑制しようとしている。しかも、サイプを傾斜させて配置することにより、回転時にブロック本体の蹴り出し側をそれに隣接する横溝側に逃がし易くすることができるため、その蹴り出し側での接地圧を低くし、ブロック本体のヒールアンドトウ摩耗を一層低減しようとしている。
特開平9−24709号公報 特開平11−78429号公報
しかしながら、空気入りタイヤの接地時には、ラグ溝を間にした各ブロックの変形により、ラグ溝のタイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりも大きく開く傾向にある。このため、ブロックの踏面では、タイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりもヒールアンドトウ摩耗が顕著に発生し、段差量が大きくなるおそれがある。上記特許文献1および特許文献2は、ヒールアンドトウ摩耗を抑制できるものの、タイヤ幅方向外側とタイヤ幅方向内側とでの段差量の異なりまでの抑制効果は小さい。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐ヒールアンドトウ摩耗性を向上することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部の踏面に、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本の周方向主溝によりタイヤ周方向に延在するリブが形成されると共に、タイヤ幅方向で隣接する前記周方向主溝を連通する複数のラグ溝により少なくとも1つの前記リブをタイヤ周方向で分割したブロック列が形成される空気入りタイヤにおいて、前記ラグ溝は、連通する前記周方向主溝における溝深さの20[%]以上80[%]以下の溝深さに形成されていると共に、溝幅の最小寸法が5.0[mm]以上に設定されており、前記ブロック列のタイヤ幅方向端で、タイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutとが、Wout/Win≦0.85の範囲に設定され、かつ溝幅Winから溝幅Woutに至り、前記ラグ溝の溝幅が溝幅Woutよりも小さく途中で窄まるように形成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、タイヤの接地時に、ラグ溝を間にしたブロック列の変形により、ラグ溝のタイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりも大きく開く傾向にあっても、タイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutの開き度合いの差を小さく、または同じにできる。この結果、ブロック列の踏面で、タイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりもヒールアンドトウ摩耗が顕著に発生する事態が抑制され、段差量が小さくなる。したがって、耐ヒールアンドトウ摩耗性を向上できる。
また、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ幅方向内側の前記溝幅Winとタイヤ幅方向外側の前記溝幅Woutとが、0.25≦Wout/Win≦0.85の範囲に設定されていることが、耐ヒールアンドトウ摩耗性の向上と、排水性を高次元でバランスさせるうえで好ましい。
また、本発明の空気入りタイヤは、前記ブロック列が形成された前記リブのタイヤ幅方向寸法Sは、タイヤ赤道面に最も近いリブのタイヤ幅方向寸法SSに対し、0.80≦S/SS≦1.20の範囲に設定されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ブロック列のタイヤ幅方向寸法Sを規定したことにより、トラクション性能を維持できる。
また、本発明の空気入りタイヤは、前記ブロック列が複数形成されており、タイヤ幅方向外側に配置された前記ブロック列ほど、Wout/Winの値が小さく設定されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、タイヤの接地時に、タイヤ赤道面よりもタイヤ幅方向外側に配置されたブロック列ほど、ラグ溝のタイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりも大きく開く傾向にあっても、タイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutの開き度合いの差を小さく、または同じにできる効果をより顕著に得られる。
また、本発明の空気入りタイヤは、前記トレッド部のショルダー部が前記ブロック列として形成されており、Wout/Win≦0.75の範囲に設定されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、タイヤの接地時に、タイヤ赤道面よりもタイヤ幅方向外側に配置されたブロック列ほど、ラグ溝のタイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりも大きく開く傾向にあっても、ショルダー部のブロック列を、Wout/Win≦0.75とすることで、ショルダー部のブロック列におけるタイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutの開き度合いの差を小さく、または同じにできる効果をより顕著に得られる。
また、本発明の空気入りタイヤは、全ての前記リブが前記ブロック列として形成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、よりトラクション性能を維持できる。
また、本発明の空気入りタイヤは、重荷重用空気入りタイヤに適用されることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、重荷重用空気入りタイヤは、特に溝深さが深いため、ブロック剛性が低下し易い傾向にある。したがって、重荷重用空気入りタイヤを適用対象とすることにより、ヒールアンドトウ摩耗の改善効果がより顕著に得られる利点がある。
本発明に係る空気入りタイヤは、ブロック列の踏面で、タイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりもヒールアンドトウ摩耗が顕著に発生する事態が抑制され、段差量が小さくなるので耐ヒールアンドトウ摩耗性を向上できる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す展開平面図である。 図2は、図1におけるII−II断面図である。 図3は、図1における円内の拡大図である。 図4は、ラグ溝の変形例を示す平面図である。 図5は、ラグ溝の変形例を示す平面図である。 図6は、ラグ溝の変形例を示す平面図である。 図7は、ラグ溝の変形例を示す平面図である。 図8は、本発明の実施例に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的同一のものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とは、タイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を中心軸とする周方向である。また、タイヤ幅方向とは、回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。また、タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。
本実施の形態の空気入りタイヤ1は、重荷重用空気入りタイヤとして好適である。図1に示すように、タイヤ径方向の最も外側に、弾力性を有するゴム部材からなり空気入りタイヤ1の外郭をなすトレッド部2が形成されている。また、トレッド部2の表面、すなわち空気入りタイヤ1を装着する車両(図示せず)が走行した場合に路面と接触する踏面21には、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本(図1では5本)の周方向主溝3が設けられている。そして、トレッド部2には、この周方向主溝3により、タイヤ周方向に延びる複数(図1では6本)のリブ4が形成されている。さらに、トレッド部2は、タイヤ幅方向で隣接する周方向主溝3を連通する複数のラグ溝5により、少なくとも1つのリブ4がタイヤ周方向で複数のブロック41に分割されたブロック列40が形成されている。
なお、ブロック41を形成するラグ溝5の溝底51には、底上部6が形成されていてもよい。底上部6は、図2に示すように、ラグ溝5の側壁52に連続しつつ溝底51を底上げするようにタイヤ径方向外側に突出して形成されている。この底上部6は、ブロック41の剛性を向上し、ヒールアンドトウ摩耗を抑制すると共に、トラクション性を維持する効果がある。
ラグ溝5は、その溝深さhが、連通する周方向主溝3の溝深さHに対し、0.2≦h/Hの範囲に設定されている。すなわち、ラグ溝5の溝深さhは、周方向主溝3の溝深さHの20[%]以上の範囲に設定されている。また、周方向主溝3の溝深さHは、15[mm]≦H≦26[mm]の範囲に設定されている。なお、ラグ溝5の溝深さhは、周方向主溝3の溝深さH以下であり、0.2≦h/H≦1.0の範囲、すなわち20[%]以上100[%]以下の範囲に設定されていることが好ましい。
また、ラグ溝5は、トレッド部2の踏面21にて開口する開口縁53間の寸法である溝幅Wが、5.0[mm]以上に設定されている。すなわち、ラグ溝5は、リブ4をタイヤ周方向でブロック41に分割する溝幅Wの最小寸法が5.0[mm]以上を確保されている。なお、ラグ溝5の溝幅Wは、5.0[mm]≦W≦20[mm]の範囲に設定されていることが好ましい。
さらに、ラグ溝5は、図3に示すように、ブロック列40のタイヤ幅方向端で、タイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutとが、Wout/Win≦0.85の範囲に設定されている。すなわち、ラグ溝5は、タイヤ幅方向に開口する開口端において、タイヤ幅方向内側の溝幅Winよりもタイヤ幅方向外側の溝幅Woutが小さく形成されている。なお、ラグ溝5は、ブロック列40のタイヤ幅方向端での溝幅に関し、タイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutとが、0.25≦Wout/Win≦0.85の範囲に設定されていることが、耐ヒールアンドトウ摩耗性の向上と、排水性を高次元でバランスさせるうえで好ましい。
ここで、ラグ溝5は、タイヤ幅方向内側に開口する溝幅Winの開口端から、タイヤ幅方向外側に開口する溝幅Woutの開口端までの間は、図3に示すように、溝幅Winから溝幅Woutに至り連続して小さくなるように、ラグ溝5の開口縁53が直線状に形成されていることが好ましい。
また、ラグ溝5の変形例として、図4に示すように、タイヤ幅方向内側に開口する溝幅Winの開口端から、タイヤ幅方向外側に開口する溝幅Woutの開口端までの間は、溝幅Winから溝幅Woutに至り連続して小さくなるように、ラグ溝5の開口縁53が曲線状に形成されていてもよい。
また、ラグ溝5の変形例として、図5に示すように、タイヤ幅方向内側に開口する溝幅Winの開口端から、タイヤ幅方向外側に開口する溝幅Woutの開口端までの間は、溝幅Winから溝幅Woutに至り、実線で示すように途中まで、または一点鎖線で示すように途中から連続して小さくなるように、ラグ溝5の開口縁53が屈曲して形成されていてもよい。なお、図には明示しないが、ラグ溝5の変形例として、タイヤ幅方向内側に開口する溝幅Winの開口端から、タイヤ幅方向外側に開口する溝幅Woutの開口端までの間は、溝幅Winから溝幅Woutに至り、途中まで、または途中から連続して小さくなるように、ラグ溝5の開口縁53が湾曲して形成されていてもよい。
また、ラグ溝5の変形例として、図6に示すように、タイヤ幅方向内側に開口する溝幅Winの開口端から、タイヤ幅方向外側に開口する溝幅Woutの開口端までの間は、溝幅Winから溝幅Woutに至り、ラグ溝5の溝幅が途中で窄まるように、ラグ溝5の開口縁53が屈曲(実線で示す)または湾曲(一点鎖線で示す)して形成されていてもよい。なお、この場合、ラグ溝5の溝幅Wの最小寸法は、窄まった位置になり得る。
また、ラグ溝5の変形例として、図7に示すように、タイヤ幅方向内側に開口する溝幅Winの開口端から、タイヤ幅方向外側に開口する溝幅Woutの開口端までの間は、溝幅Winから溝幅Woutに至り、ラグ溝5の溝幅が途中で広がるように、ラグ溝5の開口縁53が屈曲(実線で示す)または湾曲(一点鎖線で示す)して形成されていてもよい。
このように構成された本実施の形態の空気入りタイヤ1では、ラグ溝5が、タイヤ幅方向に開口する開口端において、タイヤ幅方向内側の溝幅Winよりもタイヤ幅方向外側の溝幅Woutが小さく形成されている。
この空気入りタイヤ1によれば、タイヤの接地時に、ラグ溝5を間にした各ブロック41の変形により、ラグ溝5のタイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりも大きく開く傾向にあっても、タイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutの開き度合いの差を小さく、または同じにできる。この結果、ブロック41の踏面21で、タイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりもヒールアンドトウ摩耗が顕著に発生する事態が抑制され、段差量が小さくなる。したがって、耐ヒールアンドトウ摩耗性を向上することが可能になる。
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、図1に示すように、ブロック列40が形成されたリブ4のタイヤ幅方向寸法Sは、タイヤ赤道面CLに最も近いリブ4のタイヤ幅方向寸法SSに対し、0.80≦S/SS≦1.20の範囲に設定されている。なお、リブ4のタイヤ幅方向寸法S,SSとは、リブ4の外形をタイヤ周方向へ投影したタイヤ幅方向での最大寸法とする。
図1では、6本のリブ4の全てがブロック列40として形成されており、タイヤ赤道面CLに最も近いのはタイヤ赤道面CL寄りの2本のリブ4Aとなる。したがって、このリブ4Aのタイヤ幅方向寸法SSに対し、その他のリブ4B,4Cのタイヤ幅方向寸法Sが、0.80≦S/SS≦1.20の範囲に設定される。また、対象となるブロック列40が形成されたリブ4が、タイヤ赤道面CL寄りの2本のリブ4Aの一方である場合、他方のリブ4Aのタイヤ幅方向寸法SSに対し、一方のリブ4Aのタイヤ幅方向寸法Sが、0.80≦S/SS≦1.20の範囲に設定される。また、図には明示しないが、タイヤ赤道面CL上にリブ4が形成されている場合は、このリブ4がタイヤ赤道面CLに最も近いリブ4Aとなる。
この空気入りタイヤ1によれば、ブロック列40のタイヤ幅方向寸法Sを規定したことにより、トラクション性能を維持することが可能になる。なお、トラクション性能の面では、図1に示すように全てのリブ4がブロック列40として形成されていることが好ましい。
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、ブロック列40が複数形成されており、タイヤ幅方向外側に配置されたブロック列40ほど、Wout/Winの値が小さく設定されている。
図1では、6本のリブ4の全てがブロック列40として形成されており、タイヤ赤道面CL寄りの2本のブロック列40AのWout/Winの値に対し、そのタイヤ幅方向外側のブロック列40BのWout/Winの値が小さく、かつタイヤ幅方向外側のブロック列40BのWout/Winの値に対し、そのタイヤ幅方向外側のブロック列40CのWout/Winの値が小さい。すなわち、タイヤ赤道面CLよりもタイヤ幅方向外側に配置されたブロック列40ほど、ラグ溝5のタイヤ幅方向外側の溝幅Woutが小さい、またはラグ溝5のタイヤ幅方向内側の溝幅Winが大きい。
この空気入りタイヤ1によれば、タイヤの接地時に、タイヤ赤道面CLよりもタイヤ幅方向外側に配置されたブロック列40ほど、ラグ溝5のタイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりも大きく開く傾向にあっても、タイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutの開き度合いの差を小さく、または同じにできる効果をより顕著に得ることが可能になる。
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側であるショルダー部のリブ4が、ブロック列40(40C)として形成されており、Wout/Win≦0.75の範囲に設定されている。なお、ショルダー部のブロック列40(40C)のラグ溝5は、タイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutとが、0.25≦Wout/Win≦0.75の範囲に設定されていることが、耐ヒールアンドトウ摩耗性の向上と、排水性を高次元でバランスさせるうえで好ましい。
すなわち、ショルダー部のブロック列40(40C)は、Wout/Win≦0.75であり、上記Wout/Win≦0.85の範囲に設定したブロック列40と比較して、ラグ溝5のタイヤ幅方向外側の溝幅Woutとタイヤ幅方向内側の溝幅Winとの差が大きい。
この空気入りタイヤ1によれば、タイヤの接地時には、タイヤ赤道面CLよりもタイヤ幅方向外側に配置されたブロック列40ほど、ラグ溝5のタイヤ幅方向外側がタイヤ幅方向内側よりも大きく開く傾向にある。このため、ショルダー部のブロック列40(40C)を、Wout/Win≦0.75とすることで、ショルダー部のブロック列40(40C)におけるタイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutの開き度合いの差を小さく、または同じにできる効果をより顕著に得ることが可能になる。
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、重荷重用空気入りタイヤを適用対象とすることが好ましい。重荷重用空気入りタイヤは、特に溝深さが深いため、ブロック剛性が低下し易い傾向にある。したがって、重荷重用空気入りタイヤを適用対象とすることにより、ヒールアンドトウ摩耗の改善効果がより顕著に得られる利点がある。
なお、上述した実施の形態では、奇数本(図1では5本)の周方向主溝3により偶数本(図1では6本)のリブ4が形成され、タイヤ赤道面CL寄りに2本のリブ4が配置されたものであるが、この限りではない。図には明示しないが、例えば、偶数本の周方向主溝3により奇数本のリブ4が形成され、タイヤ赤道面CL上に1本のリブ4が配置された空気入りタイヤも本発明に含まれる。ただし、タイヤ赤道面CL上に1本のリブ4をブロック列40として形成した場合は、そのラグ溝のタイヤ幅方向中央であってタイヤ赤道面CL上の溝幅がタイヤ幅方向内側の溝幅Winに相当し、タイヤ幅方向に開口する両開口端での溝幅がタイヤ幅方向外側の溝幅Woutに相当して構成される。
図8は、本発明の実施例にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、トラクション性(WET制動)および耐ヒールアンドトウ摩耗性に関する性能試験が行われた。
この性能試験では、タイヤサイズ275/50R22.5の空気入りタイヤを、正規リムに組み付け、正規内圧を充填し、正規荷重を加え、2−D・4の試験車両の総輪に装着して実施した。ここでいう正規リムとは、JATMAに規定される「標準リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、正規荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。
評価方法は、トラクション性の性能試験では、空気入りタイヤが装着された試験車両でウエットアスファルト路を時速60km/hからの制動距離を3回以上測定し、その平均値を指数化することにより行った。評価結果は、従来例の評価結果を100とする指数で示し、指数が大きいほどトラクション性が優れていることを示している。
また、耐ヒールアンドトウ摩耗性の性能試験では、空気入りタイヤが装着された試験車両で舗装路を30,000[km]走行し、走行後にタイヤ赤道面寄りのブロックの踏面に発生するヒールアンドトウ摩耗([長さ方向]×[深さ方向])を測定することにより行った。評価結果は、従来例の評価結果を100とする指数で示し、指数が大きいほど、耐ヒールアンドトウ摩耗性が優れていることを示している。
図8において、従来例1〜従来例3の空気入りタイヤは、ショルダー部以外、およびショルダー部にブロック列が形成されたもの、すなわち、全てのリブがブロック列として形成されたものであり、周方向主溝の溝深さHに対するラグ溝の溝深さhの比が適正化されている。そして、従来例1および従来例2の空気入りタイヤは、ラグ溝幅最小寸法が適正化されているが、タイヤ幅方向でのラグ溝幅の変化、タイヤ幅方向でのブロック列のWout/Winの変化、およびショルダー部のブロック列でのWout/Winが適正化されていない。従来例3の空気入りタイヤは、タイヤ幅方向でのラグ溝幅の変化、およびその設定範囲が適正化されているが、ラグ溝幅最小寸法、タイヤ幅方向でのブロック列のWout/Winの変化、およびショルダー部のブロック列でのWout/Winが適正化されていない。一方、実施例1〜実施例6の空気入りタイヤは、全てのリブがブロック列として形成されたものであり、周方向主溝の溝深さHに対するラグ溝の溝深さhの比、ラグ溝幅最小寸法、タイヤ幅方向でのラグ溝幅の変化、およびその設定範囲が適正化されている。そして、実施例5の空気入りタイヤは、タイヤ幅方向でのブロック列のWout/Winの変化がさらに適正化されている。実施例6の空気入りタイヤは、タイヤ幅方向でのブロック列のWout/Winの変化、およびショルダー部のブロック列でのWout/Winがさらに適正化されている。
この図8の試験結果に示すように、実施例1〜実施例6の空気入りタイヤでは、それぞれトラクション性および耐ヒールアンドトウ摩耗性が向上していることが分かる。
以上のように、本発明に係る空気入りタイヤは、耐ヒールアンドトウ摩耗性を向上することに適している。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
21 踏面
3 周方向主溝
4(4A,4B,4C) リブ
40(40A,40B,40C) ブロック列
41 ブロック
5 ラグ溝
51 溝底
52 側壁
53 開口縁
6 底上部
CL タイヤ赤道面
S,SS タイヤ幅方向寸法
W(Win,Wout) 溝幅

Claims (7)

  1. トレッド部の踏面に、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本の周方向主溝によりタイヤ周方向に延在するリブが形成されると共に、タイヤ幅方向で隣接する前記周方向主溝を連通する複数のラグ溝により少なくとも1つの前記リブをタイヤ周方向で分割したブロック列が形成される空気入りタイヤにおいて、
    前記ラグ溝は、連通する前記周方向主溝における溝深さの20[%]以上80[%]以下の溝深さに形成されていると共に、溝幅の最小寸法が5.0[mm]以上に設定されており、前記ブロック列のタイヤ幅方向端で、タイヤ幅方向内側の溝幅Winとタイヤ幅方向外側の溝幅Woutとが、Wout/Win≦0.85の範囲に設定され、かつ溝幅Winから溝幅Woutに至り、前記ラグ溝の溝幅が溝幅Woutよりも小さく途中で窄まるように形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ幅方向内側の前記溝幅Winとタイヤ幅方向外側の前記溝幅Woutとが、0.25≦Wout/Win≦0.85の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ブロック列が形成された前記リブのタイヤ幅方向寸法Sは、タイヤ赤道面に最も近いリブのタイヤ幅方向寸法SSに対し、0.80≦S/SS≦1.20の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ブロック列が複数形成されており、タイヤ幅方向外側に配置された前記ブロック列ほど、Wout/Winの値が小さく設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記トレッド部のショルダー部が前記ブロック列として形成されており、Wout/Win≦0.75の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 全ての前記リブが前記ブロック列として形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 重荷重用空気入りタイヤに適用されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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