JP5579460B2 - インク組成物及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
また、印字ムラなく、高画質の画像と耐水性が得られるとして、インク組成物に樹脂微粒子とワックス微粒子を含む記録液を用いるインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
更に、インク組成物の分散安定性、インクの拭き取り性、耐擦性が優れるとして、水不溶性樹脂によって被覆されている顔料、樹脂微粒子、固体湿潤剤を含有するインク組成物が開示されている(例えば、特許文献4)。
また、本発明は、得られた画像のプレスブロッキングの発生を抑制しうる画像形成方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明における「メンテナンス」には、インクジェット記録用のインク組成物を吐出するインクジェットヘッド及びその吐出性能を所期の状態もしくはそれに近い状態に保ち、持続すること(保守)に加え、記録用ヘッドを洗浄(クリーニング)して、より良好な状態に整備、維持することが含まれる。メンテナンス液には、インク組成物を洗浄する洗浄液も含まれる。
(式中、R 3 は炭素数10〜60のアルキル基、炭素数10〜60のアルケニル基、炭素数10〜60のアラルキル基または炭素数10〜60のアリール基である。Gは2〜7価の連結基である。Dは(B) n −Eであり、Bは−CH 2 CH 2 O−、−CH 2 CH 2 CH 2 O−、−CH(CH 3 )CH 2 O−、又は、−CH 2 CH(OH)CH 2 O−を表し、nは1〜50の整数である。Eは、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルキルカルボニル基、又は、炭素数1〜8のアリールカルボニル基を表す。a及びdは、それぞれ1〜6の整数である。複数のR 3 、D及びEは同じでも異なっていてもよい。)
<2> 前記水不溶性ポリマー粒子のガラス転移温度が100℃以上200℃以下である<1>に記載のインク組成物。
<3> 前記ワックス粒子が植物由来及び石油由来のワックスから選択される少なくとも1種である<1>又は<2>に記載のインク組成物。
<4> 前記固体湿潤剤が、尿素、尿素の窒素上の水素をアルキル基もしくはアルカノールで置換した化合物、チオ尿素、及びチオ尿素の窒素上の水素をアルキル基もしくはアルカノールで置換した化合物から選択される少なくとも1種である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<6> 前記分散安定化剤の含有量が全質量に対して0.1〜2質量%である<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<7> 記録媒体上に、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインク組成物をシングルパス方式で吐出することにより画像を形成する画像形成工程を含む画像形成方法。
<8> 前記画像形成工程前に、更に、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与工程を含む<7>に記載の画像形成方法。
<9> 前記処理液が、有機酸と水溶性有機溶剤と水とを含む<8>に記載の画像形成方法。
<10> 更に、前記吐出を行うインクジェットヘッドに付着したインクを除去する除去工程を含む<7>〜<9>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
また、本発明によれば、得られた画像のブロッキングの発生を抑制しうる画像形成方法を提供することができる。
本発明のインク組成物は、水不溶性樹脂によって被覆されている顔料、アニオン解離性基含有モノマーに由来する親水性構成単位の少なくとも1種と、環状脂肪族基含有モノマーまたは芳香族基含有モノマーに由来する疎水性構成単位の少なくとも1種とを含み、ガラス転移温度が100℃以上の水不溶性ポリマー粒子、固体湿潤剤、水溶性有機溶剤、融点が40℃以上100℃未満のワックス粒子、分散安定化剤として後述の一般式(1)で表される化合物及び水を、含有して構成され、更に、必要に応じて、その他の成分を添加することができる。
インク組成物は、上記構成とすることにより、インク安定性、メンテナンス性に優れ、かつ、得られた画像のブロッキングの発生を抑制しうるものとなる。
以下、本発明のインク組成物に含まれる各成分について説明する。
本発明のインク組成物は、水不溶性樹脂によって被覆されている顔料を少なくとも1種含有する。このため、本発明のインク組成物は分散安定性に優れる。
本発明における顔料の具体的形態としては、水不溶性樹脂によって顔料の全部又は一部が被覆されている形態である限り特に限定はないが、例えば、下記のカプセル化顔料の形態が好ましい。
カプセル化顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水と水溶性有機溶剤の混合溶媒中で自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常は数平均分子量が1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は、有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量は、この範囲内であると顔料における被覆膜として又はインクとした際の塗膜としての機能を発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で用いられるのが好ましい。
これら樹脂のうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、「アニオン性基含有アクリルモノマー」という。)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。
具体的には、特開平9−151342号及び特開平10−140065号の各公報に記載の転相乳化法と酸析法等が挙げられる。
−転相乳化法−
転相乳化法は、基本的には、自己分散能又は溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。また、この混合溶融物には、上記の硬化剤又は高分子化合物を含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相法」のより具体的な製造方法は、特開平10−140065号に記載の方法が挙げられる。
次に、本発明における顔料及び水不溶性樹脂について説明する。
本発明における顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機顔料、無機顔料が含まれる。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
本発明において、前記顔料を被覆する水不溶性樹脂については特に限定はないが、親水性構造単位(a)と疎水性構造単位(b)とを有する水不溶性樹脂であることが好ましい。
親水性構造単位(a)は、親水性基含有のモノマーに由来するものであれば、特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものでも、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものでもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であっても、ノニオン性の親水性基であってもよい。
前記不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。前記不飽和スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。前記不飽和リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
即ち、前記親水性構造単位(a)は、(メタ)アクリル酸に由来する構造単位を含むことが好ましい。
ここで、「親水性の官能基」としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基、及び後述のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド、等が挙げられる。
親水性構造単位(a)は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
疎水性構造単位(b)は、主鎖を形成する原子に連結基を介して結合された芳香環を有する構造単位を含むことが好ましい。
このような芳香環を持つ構造単位では、芳香環が、連結基を介して水不溶性樹脂の主鎖をなす原子と結合され、水不溶性樹脂の主鎖をなす原子に直接結合しない構造を有するので、疎水性の芳香環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持されるため、水不溶性樹脂と顔料との間で相互作用が生じやすく、強固に吸着して分散性がさらに向上する。
また、L1は、*−COO−、*−OCO−、*−CONR2−、*−O−、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、L1で表される基中の*印は、主鎖に連結する結合手を表す。フェニレン基が置換されている場合の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等、シアノ基等が挙げられる。
Ar1で表される1価の基を誘導する芳香環としては、特に限定されないが、ベンゼン環、炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は2個以上連結したベンゼン環が挙げられる。炭素数8以上の縮環型芳香環、及び芳香環が縮環したヘテロ環の詳細については既述の通りである。
前記「芳香環が縮環したヘテロ環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。芳香環が縮環したヘテロ環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
また、主鎖を形成する原子に連結基を介して結合された芳香環の割合は、耐擦過性の向上の点で、水不溶性樹脂の全質量に対して15質量%以上27質量%以下が好ましく、15質量%以上25質量%以下がより好ましく、15質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
前記範囲に調整すると、耐擦過性、インク安定性、吐出信頼性が向上する。
前記(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
なお、酸価とは、水不溶性樹脂の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
また、数平均分子量(Mn)では1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、顔料における被覆膜としての機能又はインクの塗膜としての機能を発揮することができる。本発明における水不溶性樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
具体的には、水不溶性樹脂は、モノマー混合物と必要に応じて有機溶媒及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させることにより製造することができる。重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の種々の有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、水との混合溶媒として用いてもよい。重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常は0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は1〜100kg/cm2であり、特に1〜30kg/cm2程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られた樹脂は、再沈殿などの精製を行なってもよい。
本発明において「水不溶性樹脂によって被覆されている顔料」を作製する方法には特に限定はないが、例えば、水不溶性樹脂を分散剤として用い、該分散剤により顔料を分散させて顔料分散物を調製することにより作製できる。
上記のようにすることで顔料粒子を微粒径にして存在させることができ、分散後には高い分散安定性が得られる。この場合、顔料は必ずしも粒子表面の全体が水不溶性樹脂で被覆されている必要はなく、場合により粒子表面の少なくとも一部が水不溶性樹脂で被覆された状態であってもよい。
前記顔料分散物の調製は、例えば、前述のとおり転相乳化法を用いて行うことができる。具体的には、前述の顔料と、分散剤としての前述の水不溶性樹脂と、水と、非水溶性揮発溶剤と、を混合し分散して分散物を得た後、得られた分散物から該非水溶性揮発溶剤を除去することにより行うことができる。このとき、塩基性化合物を添加して水不溶性樹脂のアニオン性基の一部、または全部を中和してもよい。中和条件を調整することで良好な分散性を実現することが可能である。塩基性化合物の例としては水酸化ナトリウム等が挙げられる。
また、このとき、非水溶性揮発溶剤とともに、後述するグリセリンのアルキレンオキシド付加物を添加してもよい。
前記顔料分散物の調製時には、分散剤として前述の水不溶性樹脂を用いることができる。この際、該水不溶性樹脂以外のその他の顔料分散剤を併用してもよい。
前記その他の顔料分散剤としては、顔料を水相中で分散させる機能を持つ化合物の中から適宜選択することができる。顔料分散剤の例としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等が挙げられる。
前記顔料分散物を調製する際には、非水溶性揮発性溶剤の少なくとも一種を用いることができる。非水溶性揮発性溶剤は分散性への影響が少ないので、分散工程では良好な分散性を保ちながら、最終的に非水溶性揮発性溶剤を除去することで、良好な分散状態のまま濃厚化が可能であり、長期での保存安定性に優れた顔料分散物が得られる。また、インク組成物を調製して記録に用いる場合には、吐出安定性に優れ、カールの発生を抑えた画像形成が行なえる。
また、「揮発性」とは、沸点が200℃以下のことを指す。150℃以下がより好ましい。
なお、顔料粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められる。
本発明のインク組成物中の「水不溶性樹脂によって被覆されている顔料」の含有量には特に限定はないが、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.15〜15質量%が特に好ましい。0.05質量%以上であると、インクの発色性が不十分となる現象をより効果的に抑制できる。また、30質量%以下であると、インクの粘度をより効果的に抑制でき、インクの吐出安定性等の劣化をより効果的に抑制できる。
本発明のインク組成物は、アニオン解離性基含有モノマーに由来する親水性構成単位の少なくとも1種と、環状脂肪族基含有モノマーまたは芳香族基含有モノマーに由来する疎水性構成単位の少なくとも1種とを含み、ガラス転移温度Tgが100℃以上の水不溶性ポリマー粒子(以下、「ポリマー粒子」ともいう。)を少なくとも1種含有して構成される。
ポリマー粒子をインク組成物に添加することにより、耐擦過性及び耐プレスブロッキング性を有する画像を形成することができる。特に高温高湿条件下においても吐出回復性に優れ、良好な耐ブロッキング性を有する画像を形成することができる。
前記ポリマー粒子は、前記ガラス転移温度Tgが100℃以上であれば、特に限定されるものではないが、自己分散性のポリマー粒子(自己分散性ポリマー粒子)であることが好ましい。
計算Tgは下記の式(1)で計算する。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi) (1)
ここで、計算対象となるポリマーはi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンション)の両方の状態を含むものである。
本発明における自己分散性ポリマーにおいては、インク組成物に含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散性ポリマーであることが好ましい。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離によるポリマー粒子の沈降が生じない、すなわち、ポリマー粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
ここで水溶性成分とは、自己分散性ポリマーに含有される化合物であって、自己分散性ポリマーを分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散性ポリマーを製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
前記親水性構成単位は、親水性基含有モノマー(親水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
前記親水性基は、自己分散促進の観点、および形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、少なくとも1種は解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離性基であることがより好ましい。前記アニオン性の解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が特に好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中でも、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種がより好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、末端が水酸基のエチレン性不飽和モノマーよりも、末端がアルキルエーテルのエチレン性不飽和モノマーのほうが、粒子の安定性、水溶性成分の含有量の観点で好ましい。
また、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位を2種以上含有する態様や、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性構成単位を2種以上併用する態様であることもまた好ましい。
本発明において、水不溶性ポリマー粒子はアニオン性の解離性基を有するアニオン解離性基含有モノマーに由来する親水性構成単位の少なくとも1種を含む。
また2種以上の親水性構成単位を有する場合、親水性構成単位の総含有率が前記範囲内であることが好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有する構成単位の含有量としては、吐出安定性と経時安定性の観点から、好ましくは0〜25質量%であって、より好ましくは0〜20質量%であって、特に好ましいのは0〜15質量%である。
酸価が50mgKOH/g以上であることにより、該ポリマーを用いたインク組成物の吐出応答性、吐出回復性は向上し、酸価が75mgKOH/g以下であることにより粘度は上がり、耐ブロッキングは向上する傾向となる。
前記疎水性構成単位は、疎水性基含有モノマー(疎水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の疎水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の疎水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記疎水性基としては、特に制限はなく、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基のいずれであってもよい。
前記疎水性モノマーは、耐ブロッキング性、耐擦性、分散安定性の観点から、少なくとも1種は環状脂肪族基含有モノマーであることが好ましく、環状脂肪族基含有(メタ)アクリレート(以下、「脂環式(メタ)アクリレート」いうことがある)であることがより好ましい。
本発明において、水不溶性ポリマー粒子は環状脂肪族基含有モノマーまたは芳香族基含有モノマーに由来する疎水性構成単位の少なくとも1種を含む。
脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換または置換された脂環式炭化水素基を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
また、「脂環式(メタ)アクリレート」とは、脂環式炭化水素基を有する、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、およびビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
また脂環式炭化水素基は、さらに縮合環を形成していてもよい。
脂環式炭化水素基としては、粘度や溶解性の観点から、脂環式炭化水素基部分の炭素数が5〜20であることが好ましい。
単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を20質量%以上とすることで、定着性、ブロッキングを改良することができる。一方、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位が90質量%以下であることでポリマー粒子の安定性が向上する。
(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
その他共重合可能なモノマーとして芳香族含有(メタ)アクリレートを含む場合、自己分散性ポリマー粒子の分散安定性の観点から、自己分散性ポリマーの全質量に対して、芳香族含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位は40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが特に好ましい。
ここで、スチレン系モノマーとは、スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン、クロロスチレンなど)、および、ポリスチレン構造単位を有するスチレンマクロマーのことを指す。
その他の構成単位を含有する場合、その含有量は、自己分散性ポリマーの全質量に対して、10〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜75質量%であって、特に好ましいのは20〜70質量%である。その他の構成単位を形成するモノマーを、2種以上を組み合わせて使用する場合、その総含有量が前記範囲であることが好ましい。
本発明においては、分散安定性の観点から、炭素数が9以上の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、および、芳香族基含有マクロモノマー等に由来する疎水性が大きい置換基を有する構成単位の含有量は、実質的に含まないことが好ましく、全く含まない態様であることがより好ましい
尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
酸価が50mgKOH/g以上であることにより、該ポリマーを用いたインク組成物の吐出応答性、吐出回復性は向上し、酸価が75mgKOH/g以下であることにより粘度が上がる傾向となる。
本発明において、酸価はJIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により求める。
上記中和度が40%以上であると粘度が上昇する効果、吐出応答性が良化する効果があり、60%以下であると吐出回復性が良化する点で好ましい。
また、中和度が40%以下、あるいは60%以上であると自己分散性ポリマーが安定に製造できない等の弊害もある。
中和度は自己分散性ポリマーの製造時において、自己分散性ポリマー鎖に含まれる解離性基を100モル%とした時に、添加したアルカリのモル%のことを言う。
また、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上90質量%未満と、炭素数1〜4の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として10質量%以上80質量%未満と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構造を酸価が50〜75mgKOH/gの範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が10000〜20万であるビニルポリマーであることがより好ましい。
さらに、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として40質量%以上80質量%未満と、少なくともメチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上60質量%未満含み、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する構造を酸価が50〜75mgKOH/gの範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が30000〜15万であるビニルポリマーであることが特に好ましい。
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(40/52/8)、ガラス転移温度:160℃、酸価:52.1
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(38/52/10)、ガラス転移温度:160℃、酸価:65.1
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(42/52/6)、ガラス転移温度:161℃、酸価:39.1
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(36.5/52/11.5)、ガラス転移温度:160℃、酸価:74.8
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(36/52/12)、ガラス転移温度:160℃、酸価:78.1
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/62/10/8)、ガラス転移温度:170℃、酸価:52.1
・メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/72/8)、ガラス転移温度:160℃、酸価:52.1・メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(18/72/10)、ガラス転移温度:161℃、酸価:65.1
自己分散性ポリマーの製造方法においては、モノマー混合物と、必要に応じて、有機溶剤及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させて前記水不溶性ポリマーを製造することができる。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶剤、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を攪拌して分散体を得る工程。
工程(2):前記分散体から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの有機溶剤の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が好ましい。
また、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。これは、例えば、油系から水系への転相時への極性変化が穏和になるためと考えることができる。
上記平均粒径の範囲の中でも、増粘、吐出性(吐出応答性、吐出回復性)の点で、0.5〜8nmであることが好ましく、1〜7nmがより好ましく1〜5nmがさらに好ましい。特に好ましくは1〜4nmである。
0.1nm以上の平均粒径であることで製造適性、吐出回復性が更に向上し、10nm以下の平均粒径とすることで保存安定性、インクの増粘効果が向上する点で好ましい。また、自己分散性に増粘効果を持たせることで、結果として増粘剤の添加量を減らすことにより吐出応答性も良化することも可能になる。
また、自己分散性ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、水不溶性粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、自己分散性ポリマー粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明の自己分散性ポリマー粒子は自己分散性に優れており、ポリマー単独で分散させたときの安定性は非常に高いものである。しかし、例えば、顔料を安定に分散させる、所謂分散剤としての機能は高くないため、本発明における自己分散性ポリマーが顔料を含有する形態でインク組成物中に存在すると、結果としてインク組成物全体の安定性が大きく低下する場合がある。
本発明のインク組成物における水不溶性ポリマー粒子(好ましくは、自己分散性ポリマー粒子)の含有量としては、耐擦過性、耐プレスブロッキング性などの観点から、インク組成物全質量に対して、5質量%以上含有することが好ましく、5〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることが特に好ましい。
また、本発明のインク組成物における顔料粒子と自己分散性ポリマー粒子の含有比率(顔料粒子/水不溶性ポリマー粒子)としては、画像の耐擦過性などの観点から、1/0.5〜1/10であることが好ましく、1/1〜1/4であることがより好ましい。
本発明のインク組成物は、固体湿潤剤の少なくとも1種を含有して構成される。
固体湿潤剤を含有することにより耐プレスブロッキング性、インク吐出性が向上する。
本発明において固体湿潤剤とは、保水機能を有し、25℃で固体の水溶性化合物を意味する。
中でも、尿素及び尿素誘導体は、保湿機能が高く、本発明の固体湿潤剤としてより好適に使用することができる。
即ち、固体湿潤剤の含有量が5質量%以上であって、ポリマー粒子の含有量が5質量%以上である組み合わせが好ましく、固体湿潤剤の含有量が5〜20質量%であって、ポリマー粒子の含有量が5〜20質量%である組み合わせがより好ましく、固体湿潤剤の含有量が5〜10質量%であって、ポリマー粒子の含有量が5〜10質量%である組み合わせが特に好ましい。
また、インク組成物中の固形分の総量(前記水不溶性樹脂、前記顔料、及び前記ポリマー粒子の含有量の合計)に対する固体湿潤剤の含有量の比(固体湿潤剤の質量/固形分総量の質量)が0.3以上であることが好ましく、0.4〜2.0であることがより好ましく、0.5〜1.5であることが最も好ましい。
本発明におけるインク組成物は、水を溶媒として含むものであるが、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を更に含有することが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、浸透促進を図ることができる。水溶性有機溶剤を乾燥防止剤として用いる場合、インク組成物をインクジェット法で吐出して画像記録する際に、インク吐出口でのインクの乾燥によって発生し得るノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。
また本発明でいう水溶性とは、25℃の水に対する溶解度が、1g/100g以上であることを意味する。
中でも、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの水溶性有機溶剤は、インク組成物中に10〜50質量%含有されることが好ましい。
なお、水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
インク組成物は融点が40℃以上100℃未満のワックス(以下、単に「ワックス」ともいう。)粒子を含有する。該ワックス粒子を含有することにより、画像の耐プレスブロッキング性は向上する。
天然ワックスとしては、石油由来ワックス(石油系ワックス)、植物由来ワックス(植物系ワックス)、動植物由来ワックスが挙げられる。
石油由来ワックスとして、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等、また、植物由来ワックスとしてはカルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ等、また、動物植物由来ワックスとしてはラノリン、みつろう等を挙げることができる。
合成ワックスとしては、合成炭化水素系ワックス、変性ワックス系が挙げられる。
合成炭化水素系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロブシュワックス等が挙げられ、また、変性ワックス系としてはパラフィンワックス誘導体、モンタンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等を挙げることができる。
前記ワックスの中でも、パラフィンワックスは炭素数20〜40の炭化水素を主成分とするもので、画像光沢感や、ノズル先端から水分蒸発防止、水分保持効果が優れている点で好ましい。
また、ポリエチレンワックスは、樹脂との相溶性が優れるため均質で良好な画像を形成しやすい点で好ましい。さらに、ポリエチレンワックスは変性し易いため、その変性されたグリコール変性ポリエチレンワックスは、グリコールに起因する湿潤性を付与することができ、ノズル先端でのインク組成物の湿潤性効果がみられ、よって吐出安定性が一層効果的に出来る点でより好ましい。
本発明においては、耐プレスブロッキング性及びインク吐出性(吐出直後及び吐出経時後)の向上の観点から、ワックスは分散安定化剤(好ましくは、下記一般式(1)の分散安定化剤である)と共に用いることが好ましく、ワックスと分散安定化剤とから構成されるワックス分散粒子における両成分の構成比は特に限定されないが、25〜99質量%のワックスと1〜75質量%の分散安定化剤から作製されるワックス分散粒子を使用することが好ましい。これは、ワックスの含有量が多いほどそのワックス分散粒子としての特性を最大限に発現するためである。
したがってワックス分散粒子における一般式(1)の分散安定化剤はできるだけその含有比が小さい方が好ましい。
本発明で用いるワックス分散粒子は、予め分散される前にその化合物の融点の高いほうよりも更に高温度で混合され、いわゆる溶融混合することが好ましい。そして、分散媒となる溶剤を同様に高温に加温しておき、この中に溶融混合物を添加し各種の分散方法にて微細分散化すればよい。なお、溶融混合物中に加温した溶剤を添加して分散・粒子化することも好ましい。またワックスまたは分散剤を溶解する非水系有機溶剤にこれらを溶解したのち、水の中で他の水溶解性の界面活性剤を利用して微細分散し、そのままワックスの分散粒子として添加してもよい。例えば、前記非水系有機溶媒として酢酸エチルなどが好ましい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルセバケートあるいはトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、上記の乳化分散剤を添加して機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。このとき、油滴の粘度や屈折率の調製の目的でα−メチルスチレンオリゴマーやポリ(t−ブチルアクリルアミド)等のポリマーを添加することも好ましい。
特に好ましいのは、乳化分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。
インク組成物は、インク吐出性の更なる向上の観点から、分散安定化剤の少なくとも1つを含有し、上記ワックスと共に用いる。
本発明に用いられる分散安定化剤としては従来知られている多くの乳化分散剤より選択して用いることが出来る。本発明において乳化分散剤は、下記の一般式(1)で表される分散剤である。
一般式(1) (R3)a−G−(D)d
式中、R3は置換もしくは無置換の炭素数10〜60のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基である;Gは2〜7価の連結基を示す;Dは、(B)n−Eであり、Bは−CH2CH2O−、−CH2CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−又は−CH2CH(OH)CH2O−を表し、nは1〜50の整数である。ここで、Eは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基,アリール基,アルキルカルボニル基またはアリールカルボニル基を表す;aおよびdはそれぞれ1〜6の整数を表す;複数存在するR3、DおよびEは互いに同一でも相違していてもよい。
R3は置換もしくは無置換の、直鎖、分岐、環状を含む、炭素数10〜60の、アルキル基、アルケニル基、又はアラルキル基および置換もしくは無置換の炭素数10〜60のアリール基である。好ましいR3の例としてはCgH2g+1(gは12〜60の整数を表す)、エイコシル、ドコサニルである。さらには、ドデシル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オレイル、エイコシル、ドコサシル、トリアコンタシル、テトラコンタシル、ヘプタコンタシル、ジノニルフェニル、ジドデシルフェニル、テトラデシルフェニル、トリペンチルフェニル、ドデシルナフチルなどである。Dは、一般式−(B)n−Eのポリオキシアルキレン基を表す。ここでBは−CH2CH2O−、−CH2CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−又は−CH2CH(OH)CH2O−を表し、nは1〜50の数である。Bとして好ましいのは−CH2CH2O−であり、好ましいnは5〜30の整数である。又、Eは水素、置換または無置換の炭素数1〜8のアルキル基,アリール基、アルキルカルボニル基またはアリールカルボニル基を表す。アルキル基としては、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシルであり、特に好ましいのはメチル、エチル、プロピルである。アルキルカルボニル基としては、好ましくはアセチル、プロピオニル、ブチロイル、ピバロイル、シクロヘキサンカルボニルであり、特に好ましいのはアセチルである。アリール基としてはフェニル基が,またアリールカルボニル基としてはベンゾイル基を挙げられる。Eで特に好ましいのは、水素、メチル、メチル、プロピル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルである。
本発明におけるインク組成物は、界面活性剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いられる。表面張力調整剤として、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
インク組成物の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定されるものである。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等も挙げられ、耐擦過性を良化することもできる。
本発明におけるインク組成物は、水を含有することが好ましい。また含有する水の量には特に制限はない。本発明において水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
本発明のインク組成物は、上記成分に加えて必要に応じてその他の添加剤を含むことができる。
本発明におけるその他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。具体的には特開2007−100071号公報の段落番号[0153]〜[0162]に記載のその他の添加剤などが挙げられる。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェット方式で良好に打滴するために、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。一方、インクの付与をインクジェット方式以外の方法で行う場合には、20〜60mN/mの範囲が好ましく、30〜50mN/mの範囲がより好ましい。
本発明において、インク組成物の表面張力は、プレート法を用いて25℃で測定する。
また、インク組成物の付与をインクジェット方式以外の方法で行う場合には、1〜40mPa・sの範囲が好ましく、5〜20mPa・sの範囲がより好ましい。
インク組成物の粘度は、E型粘度計(東機産業製)を用いて25℃で測定した値を採用する。
本発明の画像形成方法は、インク組成物をシングルパス方式で吐出することにより画像を形成する画像形成工程を含んで構成される。更に、前記画像形成工程前に、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与工程を含むことが好ましい態様である。
また、本発明の画像形成方法は、必要に応じてその他の工程を備えて構成される。
−インク付与工程−
インク付与工程は、既述の本発明のインク組成物を記録媒体にインクジェット法(シングルパス方式)で付与する。シングルパス方式については後述する。
本工程では、記録媒体上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。本発明のインク組成物における各成分の詳細及び好ましい態様などの詳細については、既述した通りである。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
本発明の画像形成方法は、このシングルパスヘッドを用いてシングルパス方式で記録媒体上にインク組成物を付与するものである。
ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明の画像形成方法は、本発明の前記インク組成物を用いることによりプレスブロッキングの発生を抑制することができ、また、前記インク組成物をシングルパス方式で吐出することにより、吐出精度の向上が図れ、また、ノズルプレートとインクとの接触による侵食の抑制効果も大きい。
処理液付与工程は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を記録媒体上に付与する工程である。
即ち、凝集体の形成が可能な処理液を記録媒体に付与し、処理液をインク組成物と接触させて画像化する。この場合、インク組成物中のポリマー粒子や色材(例えば顔料)などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。なお、処理液における各成分の詳細及び好ましい態様について、詳述する。
本発明における処理液は、既述のインク組成物と接触することで凝集体を形成可能なように構成されたものである。具体的には、処理液は、前記インク組成物中の色材粒子(顔料等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集剤を少なくとも含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
処理液は、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤の少なくとも1種を含有することができる。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25±1℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25±1℃)が1.5〜3である場合が好ましい。
前記凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、前記凝集剤(好ましく、有機酸)を含有するが、更に、水と共に水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤の詳細については、既述のインク組成物におけるものと同様である
(その他成分)
本発明における処理液は、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の各種添加剤を用いて構成することができる。
その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ、既述のインク組成物に含まれるその他の添加剤の具体的な例に挙げたものが適用できる。
本発明の画像形成方法は、前記画像形成工程の後、インク組成物の付与により形成されたインク画像に加熱面を接触させて加熱定着する加熱定着工程を有することも好ましい。加熱定着処理を施すことにより、記録媒体上の画像の定着が施され、画像の擦過に対する耐性をより向上させることができる。
ポリマー粒子の最低造膜温度(MFT)はポリマーのTgとインク溶剤の種類、量によって制御され、一般的にはTgが低いほど、インク溶剤のI/O値が低いほど、インク溶剤の量が多いほどMFTは低下する傾向にある。
除去工程を施すことにより、即ち、インクジェットヘッドに付着したインク組成物、インク組成物由来の固着物、又はその他の付着物を除去することにより、吐出直後及び経時後のインク吐出性がより向上する点で好ましい。
本発明の画像形成方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明の画像形成方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
本発明の画像形成方法によって記録媒体に記録された記録物は、高速記録する場合であっても、耐ブロッキング性に優れた、高精彩で耐擦性にすぐれたインクジェット記録物を得ることができる。
下記スキームにしたがって、以下に示すようにしてポリマー分散剤P−1を合成した。
得られた樹脂の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1規定 NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した後、更に、高速遠心冷却機7550(久保田製作所製)を用いて、50mL遠心菅を使用し、8000rpmで30分間遠心処理を行ない、沈殿物以外の上澄み液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の顔料分散物C(シアン分散液M)を得た。
顔料分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製)の代わりに、ピグメント・レッド122を用いた以外は顔料分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の顔料分散物M(マゼンタ分散液M)を調製した。
顔料分散物Cの調製において、シアン顔料Pigment Blue 15:3の代わりに、イエロー顔料ピグメントイエロー74を用い、ポリマー分散剤の添加量を固形分換算で4.0gに変更した以外は、同様の方法で顔料分散物Y(イエロー分散液Y)を調製した。得られたイエロー分散液Yの平均粒径は82nmであった。
−合成例1−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート180.0g、メチルメタクリレート162.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g、メチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g、イソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は64000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー(株)製)、酸価は38.9(mgKOH/g)であった。
次に、重合溶液668.3gを秤量し、イソプロパノール388.3g、1mol/L NaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0%の自己分散性ポリマー粒子(B−01)の水分散物(エマルジョン)を得た。なお、下記に示した化合物例(B−01)の各構成単位の数字は質量比を表す。以下、各構造式に関しても同様である。
<処理液1の調製>
下記組成となるように成分を混合溶解して、処理液1を調製した。
(処理液1の組成)
マロン酸 11.25質量%
DL−リンゴ酸 14.5質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0質量%
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFTG) 4.0質量%
イオン交換水 66.25質量%
東亜DDK(株)製pHメーターWM−50EGにて、pHを測定したところ、pH値は、1.10であった。また、協和界面科学(株)製 FASE Automatic Surface Tensionmeter CBVP−Zにて、表面張力を測定したところ、41.3mN/mであった。
(インク組成物M1の調製)
上記顔料分散物M、及び、自己分散ポリマー粒子(B−01)の水分散物を用いて、下記組成となるように各成分を混合して試料M1を調製した。調製した試料M1をプラスチック製ディスポーサブルシリンジにて、PVDF5μmフィルター(ミリポア社製Millex SV、直径25mm)で濾過して完成インク組成物とした。
顔料分散物M(顔料濃度15質量%) 33.3 g
サンニックスGP−250(三洋化成工業(株)製) 8.0 g
MFTG(日本乳化剤(株)製) 8.0 g
尿素(日産化学(株)製 5.0 g
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 1.0 g
ラテックスA(自己分散性ポリマー粒子B−01) なし
ワックス なし
純水 総量100gに調製
インク組成物M1の調製において、上記試料M1の組成から、表1に示す様に成分及び量等を変更した以外は試料M1と同様にして試料M2〜M13を調製し、インク組成物M1と同様にしてインク組成物M2〜M13を調製した。
記録媒体としてA4サイズのOKトップコート(坪量104.7g/m2、王子製紙(株)製)を用いて、上記処理液とインク組成物とを組合せて用いて、下記画像記録条件で画像を描画記録した。
インク組成物として、上記で得られたマゼンタ顔料インクM(インク組成物M1〜M13)、シングルパス方式にて各インク組成物を吐出して、ベタ画像を形成した。
記録媒体へのインク組成物付与による描画の直前に前記処理液を、塗布バーを用いて1.7g/m2になる様に媒体表面に塗設した。
−−処理液用乾燥条件(送風乾燥)−−
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
処理液が付与された記録媒体上に下記条件で、インク組成物を付与した。
ヘッド :1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置した。
吐出液滴量:2.4pLの記録とした。
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
−−インク用乾燥条件(送風乾燥)−−
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
1.耐擦性評価
画像部に、印画していないOKトップコート(坪量104.7g/m2、王子製紙(株)製)を重ねて200gの荷重、20mmのストロークで10往復擦った。その画像部の傷のつき方を目視で4段階評価した。
〜評価基準〜
◎: 全く傷が付かない。
○: 画像表面に僅かに擦れた痕が見える。
△: 画像表面が少し削られた痕が見える。使用限界。
×: 画像が削られ、インクの色が一部取れて紙帳面が見える深い傷が付いている。
上記で得られた評価サンプルを3.5cm×4cmのサイズに2枚裁断し、10cm×10cmのアクリル板の上に印字面同士が向かい合うように評価サンプルを載せ、更にこの評価サンプルの上に重ねて同じサイズに裁断した未印字のOKトップコート坪量104.7g/m2(王子製紙(株)製)を10枚載せた上に、更に10cm×10cmのアクリル板を載せ、60℃30%RHの環境条件下で12時間放置した。
放置後、最上部のアクリル板の上に1kgの分銅を載せて60℃30%RH条件下、更に24時間放置した(加重700kg/m2に相当)。
更に、25℃53%RHの環境条件下で2時間保管した後、評価サンプルの印字面同士を剥がした。このときの剥がれ易さ及び剥がした後の接着を目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
◎:印字面に全く接着が見られない。
○:印字面に目視では接着は確認できないが、50倍の顕微鏡では確認でき、紙表面が見える。
△:印字面の画像表面に目視で極僅かに接着が見られる。
×:印字面に接着が生じ、画像同士付着し片方の画像の剥がれが目視で確認できる。
印刷物の断裁加工時に掛かる圧力による印字画像同士の接着、転写を想定し、上記で得られたサンプルを印字面同士が向かい合う様にサンプルを重ね、その上から、100N、500N、1000Nの荷重を10秒間かけた後剥がし、印字面のインクの接着や転写の度合いを目視で観察し、下記の基準に従って評価した。
〜評価基準〜
◎:印字面に全く接着が見られない。
○:印字面の極僅かに接着転写が見られる。
△:印字面の面積の数%程度に接着転写が見られる。
×:印字面の面積の10%以上に接着転写が見られる。
(株)リコー製GELJET GX5000プリンターヘッドを前記ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)を合わせて固定した。次にこれに繋がる貯留タンクを上記で作製したインクに詰め替えた。
記録媒体として富士フイルム(株)製画彩写真仕上げProを、ヘッドのノズル配列方向(走査方向)に対して直交方向(主走査方向)に移動するステージに貼り付けた。
次に、ステージを211mm/秒で搬送方向(副走査方向)に移動させ、インク滴量3.4pL、吐出周波数10kHz、ノズル配列方向×搬送方向75×1200dpiで96本のラインを搬送方向に対して平行に1ノズル当り2000発打滴し、すべてのノズルが吐出されていることを確認した。
上記インク吐出後、一定時間(5〜45分まで5分間隔)放置後、ヘッドをそのままの状態で放置し、新しい記録媒体を貼付し、再び同様の条件で打滴して印字サンプルを印字した。前記一定時間放置して2000発打滴で96本のノズルすべてが吐出可能である放置時間でインク吐出性(DJリカバビリティー)を評価した。放置時間が長いほど吐出性が良好であると考えられ、以下のように評価基準を設定した。
◎:45分以上
○:30以上、45分未満
△:20分以上、30分未満
×:20分未満
インクを下記(1)〜(3)の条件で吐出後に、ワイパブレード(水素化NBR)でインクジェットヘッドのノズル面をワイピングし、その後の再吐出性評価の結果より、その合否を判定した。ついで下記評価基準に従ってメンテナンス性を評価した。結果を表1に示す。
(1)60分連続吐出終了直後にブレードワイプを1回実施し、その後のインク吐出率が90%以上の場合、合格。
(2)1分間吐出後30分休止し、休止後にブレードワイプを1回実施し、その後のインク吐出率が90%以上の場合、合格。
(3)10分間吐出終了直後にブレードワイプを1回実施し、その後に形成された画像に画像ムラが見られない場合、合格。
実験開始時に全ノズルが吐出していることを確認し、メンテナンスを含めた実験終了後の吐出ノズル数をカウントして、下記の通り吐出率を算出した。
吐出率(%)=[メンテナンス後の吐出ノズル数]/[全ノズル数]×100(%)
AA:3項目とも合格の場合
A:2項目が合格の場合
B:1項目のみ合格の場合
C:3項目とも不合格の場合
実施例1において、インク組成物M1〜M13の代わりに、下記のように調製したインク組成物Y1〜Y13、インク組成物C1〜C13、インク組成物K1〜K13を用いて、各インクについて性能評価した。結果、実施例1と同様に本発明の試料では良好な結果であった。
インク組成物M1〜M13において、上記試料M1〜M13の顔料分散物Mの代わりに、上記の顔料分散物Y、C及びKに変更した以外は同様にして、イエロー、シアン及びブラックのインク組成物Y1〜Y13、C1〜C13、K1〜K13を調製した。
上記各色の2次色(C/M、Y/M、K/M、Y/C)描画を各色のインク組成物の組合せで行い、描画画像の耐擦性、直後ブロッキング性、プレスブロッキング性を評価した結果、実施例1と同様に本発明の組合せにおいては、良好な性能が得られた。
上記2次色描画は、例えば、シアンインクとマゼンタインク(C/M)の場合は、記録媒体上にマゼンタインクを全面に印画したマゼンタベタ画像の上に、シアンドット画像を印画した2次色ドット画像をそれぞれ描画して行った。
Claims (10)
- 水不溶性樹脂によって被覆されている顔料、アニオン解離性基含有モノマーに由来する親水性構成単位の少なくとも1種と、環状脂肪族基含有モノマーまたは芳香族基含有モノマーに由来する疎水性構成単位の少なくとも1種とを含み、ガラス転移温度が100℃以上の水不溶性ポリマー粒子、固体湿潤剤、水溶性有機溶剤、融点が40℃以上100℃未満のワックス粒子、分散安定化剤として下記一般式(1)で表される化合物及び水を含有するインク組成物。
(式中、R 3 は炭素数10〜60のアルキル基、炭素数10〜60のアルケニル基、炭素数10〜60のアラルキル基または炭素数10〜60のアリール基である。Gは2〜7価の連結基である。Dは(B) n −Eであり、Bは−CH 2 CH 2 O−、−CH 2 CH 2 CH 2 O−、−CH(CH 3 )CH 2 O−、又は、−CH 2 CH(OH)CH 2 O−を表し、nは1〜50の整数である。Eは、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルキルカルボニル基、又は、炭素数1〜8のアリールカルボニル基を表す。a及びdは、それぞれ1〜6の整数である。複数のR 3 、D及びEは同じでも異なっていてもよい。) - 前記水不溶性ポリマー粒子のガラス転移温度が100℃以上200℃以下である請求項1に記載のインク組成物。
- 前記ワックス粒子が植物由来及び石油由来のワックスから選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。
- 前記固体湿潤剤が、尿素、尿素の窒素上の水素をアルキル基もしくはアルカノールで置換した化合物、チオ尿素、及びチオ尿素の窒素上の水素をアルキル基もしくはアルカノールで置換した化合物から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記水不溶性ポリマー粒子の含有量が全質量に対して5質量%以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記分散安定化剤の含有量が全質量に対して0.1〜2質量%である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 記録媒体上に、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物をシングルパス方式で吐出することにより画像を形成する画像形成工程を含む画像形成方法。
- 前記画像形成工程前に、更に、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与工程を含む請求項7に記載の画像形成方法。
- 前記処理液が、有機酸と水溶性有機溶剤と水とを含む請求項8に記載の画像形成方法。
- 更に、前記吐出を行うインクジェットヘッドに付着したインクを除去する除去工程を含む請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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