以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<1.第1実施形態>
図1は、本発明に係る貼付剤製造装置1の要部構成の概略を示す図である。貼付剤製造装置1は、基材シートの片面に薬剤を塗布して貼付剤を製造する装置である。第1実施形態においては、予め粘着剤91が塗られた帯状の支持体92上に円形の基材シート90を一定間隔で貼設し(図7参照)、その基材シート90上に薬剤を塗布する。貼付剤製造装置1は、帯状の支持体92を水平方向に沿って搬送する搬送機構20と、搬送される支持体92上に貼設された基材シート90に薬剤を含む薬液を吹き付けて塗布する塗布ユニット10と、塗布ユニット10に薬液を送給する薬液送給部30と、基材シート90に塗布した薬液を乾燥させる乾燥ユニット50と、を備える。また、貼付剤製造装置1は、装置に設けられた上記の各要素を制御する制御部40を備える。
搬送機構20は、長尺の帯状の支持体92が巻回された送りローラ21を有する。搬送機構20は、図示を省略するテンションローラや補助ローラをも備えており、送りローラ21から送り出された支持体92を水平方向に沿って搬送する。支持体92は、塗布ユニット10に基材シート90を順次搬送供給する役割を担うものであり、ネル生地、織布、メリヤス、不織布、樹脂フィルムなどにて形成することができる。支持体92の幅は例えば60mmである。第1実施形態においては、送りローラ21に巻回された支持体92の片面全面に予め粘着剤91が積層されている(図6)。すなわち、搬送機構20は、粘着剤91の層が既に形成された支持体92を送りローラ21から送り出し、粘着剤層が上側を向くように支持体92を搬送するのである。
また、貼付剤製造装置1は、送りローラ21の近傍に図示を省略するシート供給機構を備えており、そのシート供給機構によって送りローラ21から送り出された支持体92に円板形状の基材シート90を供給する。薬剤を直接担持する基材シート90は、薬剤に対する不透過性を有する樹脂材料にて形成されており、第1実施形態ではPET(ポリエチレンテレフタレート)にて形成されている。なお、基材シート90はPP(ポリプロピレン)またはPE(ポリエチレン)にて形成するようにしても良い。
塗布ユニット10は、搬送機構20によって搬送される基材シート90に薬剤を含む薬液を塗布する。図2は、塗布ユニット10の内部構成を示す平面図である。同図に示すように、塗布ユニット10は12個の塗布ヘッド11を備える。12個の塗布ヘッド11のそれぞれは、薬剤を含む薬液を微滴化して微小液滴を生成し、その液滴を搬送機構20によって搬送される基材シート90の上面に吹き付ける。塗布ヘッド11は、液滴ジェット方式によって薬液を噴出する液滴ジェットヘッドであり、本実施形態では駆動方式が積層ピエゾドロップオンデマンド方式のインクジェットヘッド(例えば、リコープリンティングシステムズ株式会社製の製品型名「GEN3E2」)を用いている。
塗布ヘッド11の内部構造は、例えば特開2009−23334号公報に開示されるのと同様のものである。図3は、塗布ヘッド11の内部構造の概略を示す図である。各塗布ヘッド11は、128個のノズル12を所定ピッチで一列に配列して設けている。図3は、それらのうちの1つのノズル12において塗布ヘッド11を切断した断面図である。特開2009−23334号公報に記載されているように、塗布ヘッド11は、共通液室64を形成したフレーム61と、加圧液室65および連通口68を形成した流路板66と、ノズル12を形成するノズル板67と、ダイヤフラム部63aを有する振動板63と、振動板63のダイヤフラム部63aに接合された積層圧電素子62と、積層圧電素子62を固定するベース60と、を備えている。
ベース60は、塗布ヘッド11に固定設置されており、積層圧電素子62が装着される。積層圧電素子62は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電素子(ピエゾ素子)を複数積層したものである。振動板63は、ダイヤフラム部63aを有しており、そのダイヤフラム部63aが島状凸部を介して積層圧電素子62と接合されている。
フレーム61は、樹脂材料にて形成されており、共通液室64を有する。共通液室64には図示省略の薬液供給口が形設されている。流路板66は、加圧液室65および連通口68を有する。加圧液室65は、振動板63の開口部を介して共通液室64と連通されている。加圧液室65には振動板63のダイヤフラム部63aが面している。また、連通口68は、加圧液室65とノズル12とを連通接続する。ノズル板67には、薬液の液滴を吐出するための微細な吐出口であるノズル12が穿設されている。ノズル12の内部形状はホーン形状とされている。
図3のような構成を備える塗布ヘッド11において、共通液室64から加圧液室65に薬液を充填しつつ、積層圧電素子62のピエゾ素子に所定の波形の電圧を印加して積層方向の変位を生じさせることにより、ダイヤフラム部63aを介して加圧液室65内の薬液が加圧されて液圧が上昇し、その結果ノズル12から薬液の液滴が吐出される。積層圧電素子62のピエゾ素子への電圧を印加するタイミングおよび印加電圧値は制御部40によって制御されている。すなわち、制御部40は、各塗布ヘッド11からの薬液の吹き付けを制御する。
また、基材シート90の搬送方向に沿って並べられた3つの塗布ヘッド11でもって1つのヘッド群が構成される。図2に示すように、塗布ユニット10にはそのようなヘッド群が4列配置されて支持体92の全幅をカバーしている。なお、必ずしも支持体92の全幅をカバーするように塗布ヘッド11を並べる必要は無く、例えば、支持体92の中央にのみ円形の基材シート90が配置される場合には、幅方向中央の2列のヘッド群のみ配置するようにしても良い。また、支持体92上の基材シート90の配置状態に応じて、例えば図2の幅方向に4列示すヘッド群のうちの2列を1列飛びで配置するようにしても良い。
図4は、ヘッド群を構成する3つの塗布ヘッド11の配置関係を示す図である。塗布ユニット10に設けられたそれぞれの塗布ヘッド11は基材シート90の搬送方向TDに対して水平面内で角度αだけ傾斜するように設けられている。各塗布ヘッド11に設けられた128個のノズル12の配列ピッチ(隣接するノズル間の距離)をpとすると、搬送方向TDに垂直な方向(基材シート90の幅方向)に沿った方向でのノズル間の距離dはpsinαとなる。そして、ヘッド群を構成する3つの塗布ヘッド11はd/3ずつ搬送方向TDに垂直な方向に沿ってずれるように配置されている。具体的には、搬送方向TDに沿って最も下流側(図4の上側)の塗布ヘッド11に対して真ん中の塗布ヘッド11がd/3だけ搬送方向TDに垂直な方向にずれて配置される。同様に、真ん中の塗布ヘッド11に対して最も上流側(図4の下側)の塗布ヘッド11がd/3だけ搬送方向TDに垂直な方向にずれて配置される。
このように配置することによって、支持体92の幅方向におけるみかけのノズル配列ピッチはd/3となり、元のピッチpよりも大幅に小さくすることができ、薬液塗布の精度を向上させることができる。このみかけのノズル配列ピッチが、例えば、10μm以上200μm以下の範囲内となるように傾斜角度αおよび元の配列ピッチpは設定される。また、塗布ヘッド11の1つのノズル12から吐出する1つの液滴の量は、例えば、5pl(ピコリットル)以上100pl以下の範囲内とされる。第1実施形態においては、1つのノズル12から吐出する1つの液滴の量を25plとし、みかけのノズル配列ピッチを50μmとしている。なお、隣接するヘッド群を構成する塗布ヘッド11のノズル12が相互にオーバーラップすることの無いように各塗布ヘッド11は配置されている。
図1に戻り、塗布ユニット10に薬液を送給する薬液送給部30は、薬液タンク31を備える。薬液タンク31は、供給配管32を介して塗布ユニット10の各塗布ヘッド11と連通接続されている。供給配管32の経路途中には異物除去フィルター36および脱気フィルター33が介挿されている。薬液タンク31は、常に一定量の薬液を貯留しており、調合タンク331から適宜薬液タンク31に薬液が補充される。
ここで、薬液とは薬剤を含む液体である。本発明による貼付剤に用いられる薬剤は、特に限定されるものではないが、皮膚を通して投与し得るもの、すなわち経皮吸収可能な薬剤が好ましい。そのような薬剤として、より具体的には、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ビロキシカム、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、l-メントール、dl-カンフル、ノニル酸ワリニリルアシド、カプサイシンなどの鎮痛消炎剤があげられる。また、ニトログリセリン、ニフェジピン、イソソルバイドナイトレートなどの冠血管拡張剤、または、プロカテロール、ツロブテロールなどの喘息薬を薬剤として使用しても良い。さらに、上記の他にも薬剤としては、全身性麻酔薬、催眠・鎮静薬、抗てんかん薬、鎮暈薬、精神神経用薬、骨格筋弛緩薬、自律神経用薬、鎮痙薬、抗パーキンソン薬、抗ヒスタミン薬、強心薬、不整脈用薬、利尿薬、血圧降下薬、血管収縮薬、末梢血管拡張薬、動脈硬化用薬、循環器用薬、呼吸促進薬、鎮咳去痰薬、ホルモン薬、化膿性疾患用外用薬、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎用薬、寄生性皮膚疾患用薬、止血用薬、痛風治療用薬、糖尿病用薬、抗悪性腫瘍用薬、抗生物質、化学療法薬、麻薬、抗うつ用薬、禁煙補助薬(ニコチン)などを使用することができる。
このような薬剤が溶媒中に溶解されて薬液とされている。溶媒としては、薬剤の性質に応じて、水、または、アルコールを用いることができる。薬剤が溶媒中に溶解された所定濃度の薬液が調合タンク331にて調合され、その薬液が調合タンク331から供給されて薬液タンク31に貯留される。薬液タンク31に貯留されている薬液は、塗布ヘッド11が薬液を噴出したときにノズル内に生じる毛管現象によって各ノズル12に送給される。薬液の送給過程において、供給配管32を流れる薬液から異物および気泡が異物除去フィルター36および脱気フィルター33によってそれぞれ取り除かれる。なお、薬液には、基材シート90への密着性を高めるバインダー、および/または、添加剤がさらに含まれていても良い。
第1実施形態の薬液送給部30は溶媒添加部34を備える。溶媒添加部34は、調合タンク331の薬液にさらに薬剤の溶媒を添加して薬液の粘度および表面張力を調整する。すなわち、液滴ジェット方式を採用する塗布ヘッド11においては、薬液の粘度および表面張力が適正範囲内でなければノズル12から薬液の液滴を噴出することができない。従来から経皮吸収剤製造用に用いられている薬液は、そのままでは粘度および表面張力が液滴ジェット方式のノズル12から噴出可能な適正範囲から外れていることが多く、安定して噴出させることが困難である。このため、溶媒添加部34から薬液にさらに溶媒を添加して薬液の粘度および表面張力が液滴ジェット方式のノズル12から噴出可能な適正範囲内に収まるように調整する。なお、溶媒添加部34としては、所定量の溶媒を調合タンク331に供給できるものであれば良く、例えば秤量槽またはマスフロコントローラなどを用いて構成することができる。
また、塗布ユニット10には温調部15が付設されている。温調部15は、塗布ユニット10に設けられた12個の塗布ヘッド11を加熱または冷却して薬液の温調を行う。温調部15としては、所定温度の温調水を導入する温調配管、または、ヒータを用いることができる。薬液の粘度および表面張力は薬液の温度にも依存する。すなわち、温調部15も薬液の温調を行うことによって薬液の粘度および表面張力が液滴ジェット方式のノズル12から噴出可能な適正範囲内に収まるように調整するのである。なお、温調部15を塗布ヘッド11内に内蔵するようにしても良い。
また、薬液の温度が変わると薬液の粘度および表面張力が変化してノズル12の先端付近に形成される薬液のメニスカス量が変化する。そうすると、噴出される液滴の量が変化するという問題が生じるため、塗布ユニット10に温調部15を設けて塗布ヘッド11内の薬液の温度を一定(例えば30℃)に保つようにしている。その結果、薬液の粘度および表面張力も一定となり、噴出される液滴の量も一定にすることができる。なお、温調部15は、塗布ヘッド11に個別に付設するようにしても良いし、或いは供給配管32に付設するようにしても良い。
薬液送給部30は保湿剤添加部35を備える。保湿剤添加部35は、調合タンク331の薬液に0.5vol%〜10vol%の保湿剤を添加する。保湿剤は薬液の乾燥速度を低下させるために添加される。すなわち、液滴ジェット方式を採用する塗布ヘッド11においては、薬液の乾燥速度が速いとノズル内で薬液が乾燥してその物性が急速に変化し、最悪の場合薬液が固化することもある。このような事態が生じるとノズル12から薬液を安定して噴出することができなくなる。このため、保湿剤添加部35から薬液に保湿剤を添加して乾燥速度を低下させ、ノズル内で薬液が乾燥するのを防止する。添加する保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどの人体に影響の少ない多価アルコールを用いることができる。なお、保湿剤添加部35としては、所定量の保湿剤を調合タンク331に供給できるものであれば良く、例えば秤量槽またはマスフロコントローラなどを用いて構成することができる。また、調合タンク331の内部には、保湿剤添加部35から供給された保湿剤および溶媒添加部34から供給された溶媒を調合タンク331の薬液と十分に混合するための攪拌機338が設けられている。薬液タンク31の内部にも同様の攪拌機38が設けられている。
また、薬液送給部30は負圧ポンプ37を備える。負圧ポンプ37は、薬液タンク31から供給配管32を介して塗布ユニット10の各塗布ヘッド11に負圧を付与する。この負圧ポンプ37は、ノズル12において積層圧電素子62が加圧液室65内の薬液を加圧する前に、ノズル12の先端付近に薬液のメニスカスを形成しておくためのものである。すなわち、連通口68からノズル12に供給された薬液は、そのままでは自重でノズル12の先端付近に液滴ジェット方式に適したメニスカスを形成できないため、負圧ポンプ37によって吐出方向とは逆向きの負圧を薬液に与えて薬液を若干ノズル12内に引き戻して適正なメニスカスを形成する。
さらに、調合タンク331および薬液タンク31の下部にはヒータ340およびヒータ341がそれぞれ付設されている。ヒータ340,341はそれぞれ調合タンク331および薬液タンク31内の薬液の温度を例えば30℃に温調する。ヒータ340,341および温調部15によって、薬液送給部30から塗布ユニット10にわたって薬液を30℃に温調する。
乾燥ユニット50は、塗布ユニット10よりも基材シート90の搬送方向下流側に設けられている。乾燥ユニット50は、その内側を通過する基材シート90に塗布されている薬液を乾燥させる。乾燥ユニット50としては、基材シート90の表面に常温のドライエアーまたは加熱したドライエアー(温風)を送風するものなど公知の種々の乾燥装置を用いることができる。また、乾燥ユニット50としては、単なる熱風(特段の除湿を行っていない)を供給する熱風乾燥炉や遠赤外線ヒータを用いた乾燥炉を用いるようにしても良い。
また、図1に示すように、塗布ユニット10よりも基材シート90の搬送方向上流側には位置検出センサ70が設けられている。位置検出センサ70は、塗布ヘッド11から薬液の液滴を吹き付ける前に、支持体92上における基材シート90の位置を検出する。位置検出センサ70によって検出された基材シート90の位置情報に基づいて、その基材シート90に正確に薬液の液滴が吹き付けられるように制御部40が塗布ヘッド11の薬液吐出位置を制御する。位置検出センサ70としては、反射式若しくは透過式の光学式センサ、または、超音波センサなどの各種センサを用いることができる。また、位置検出センサ70に代えて撮像カメラを設け、その撮像カメラによって支持体92上面を撮像して得られた画像データを処理することによって基材シート90の位置を検出するようにしても良い。
制御部40は、貼付剤製造装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。図5は、制御部40の構成を示すブロック図である。制御部40のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部40は、各種演算処理を行うCPU41、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM42、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM43および処理プログラム81やデータなどを記憶しておく固定ディスク44をバスライン49に接続して構成されている。RAM43には、後述する塗布パターン82が記憶されている。
また、バスライン49には、上述した位置検出センサ70および塗布ユニット10の各塗布ヘッド11がインターフェイス(I/F)45を介して接続されている。位置検出センサ70および塗布ヘッド11以外の貼付剤製造装置1の各種動作機構も図示を省略するインターフェイスを介してバスライン49に接続されている。制御部40のCPU41は、固定ディスク44に格納されている処理プログラム81を実行することにより、これら塗布ヘッド11などの各動作機構を制御して貼付剤製造処理を進行させる。
また、バスライン49には、表示装置46および入力装置47が電気的に接続されている。表示装置46は、例えば液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、処理結果やメッセージ等の種々の情報を表示する。入力装置47は、例えばキーボードやマウス等を用いて構成されており、コマンドやパラメータ等の入力を受け付ける。装置のオペレータは、表示装置46に表示された内容を確認しつつ入力装置47からコマンドやパラメータ等の入力を行うことができる。なお、表示装置46と入力装置47とを一体化してタッチパネルとして構成するようにしても良い。
さらに、バスライン49には、DVDやCDなどの記録媒体RMから記録内容を読み取る読取装置48が接続されている。処理プログラム81は、記録媒体RMから読取装置48によって読み出されて固定ディスク44に格納されるようにしても良い。また、塗布パターン82も記録媒体RMから読取装置48によって読み出されてRAM43に記憶されるようにしても良い。
上記の構成以外にも貼付剤製造装置1は、詳説を省略する種々の機構を備えている。例えば、乾燥ユニット50よりもさらに下流側には、薬液が塗布された基材シート90に剥離ライナーを貼り合わせる機構や支持体92を裁断する機構が設けられている。
上記構成を有する貼付剤製造装置1において貼付剤の製造処理を行うときには、制御部40のCPU41が処理プログラム81を実行して貼付剤製造装置1の各動作機構を制御する。図6は、貼付剤製造装置1における貼付剤の製造工程の一例を示す図である。制御部40の制御下にて、搬送機構20が支持体92を水平方向に沿って搬送するとともに、図示省略のシート供給機構が支持体92の上面に一定間隔で円板形状の基材シート90を供給する。送りローラ21から送り出されて水平方向に搬送される支持体92の上面には粘着剤91の層が予め形成されており、供給された基材シート90は支持体92上に一定間隔で貼設される。支持体92上に貼設されたそれぞれの基材シート90の位置は位置検出センサ70によって検出されて制御部40に伝達され、その位置情報に基づいて制御部40が塗布ヘッド11を制御して薬液の液滴を支持体92上の基材シート90に吹き付ける。
塗布ヘッド11による基材シート90への薬液塗布についてさらに説明する。制御部40の制御下にて、溶媒添加部34が調合タンク331の薬液に溶媒を添加して攪拌機338で攪拌して薬液の粘度および表面張力を調整する。また、必要に応じて、温調部15が薬液を温調することによって薬液の粘度および表面張力を補助的に調整する。これらの調整によって、薬液の粘度および表面張力が液滴ジェット方式のノズル12から噴出可能な適正範囲内に収まるようにする。なお、上述したように、塗布ヘッド11内の薬液の温度が変化すると薬液の物性が変化して噴出される液滴の量が変化するため、温調部15が薬液の温度を一定に温調しておくことが好ましい。また、制御部40の制御下にて、保湿剤添加部35が調合タンク331の薬液に保湿剤を添加して薬液の乾燥速度を低下させる。
制御部40は、位置検出センサ70から伝達された基材シート90の位置情報およびRAM43に記憶されている塗布パターン82に従って塗布ユニット10の各塗布ヘッド11からの液滴吹き付けを制御する。具体的には、塗布パターン82には基材シート90上に薬液を吹き付ける領域のパターンが記述されている。制御部40は、そのパターンを読み取って12個の塗布ヘッド11に設けられた全てのノズル12についてオン/オフのタイミングを制御する。すなわち、ある領域に薬液を吹き付けるときには、その領域に対応するノズル12の積層圧電素子62に電圧を印加して当該ノズル12から薬液を噴出させる。なお、塗布パターン82は、演算により生成してRAM43に記憶させるようにしても良いし、上述の如く記録媒体RMから読み出してRAM43に記憶させるようにしても良い。塗布パターン82を演算により生成する際には、基材シート90の大きさ、形状、塗布ヘッド11の解像度(上記のみかけのノズル配列ピッチ)、パターン形状を、いわゆるレシピデータとして入力装置47から入力する。そして、このレシピデータに基づいてCPU41が演算を行って塗布パターン82を算出し、その演算結果をRAM43に記憶させるようにすれば良い。
第1実施形態の塗布パターン82は、基材シート90の一部領域に薬液を塗布するという単純なパターンである。このような塗布パターン82に従って制御部40が塗布ユニット10からの液滴吹き付けを制御する。塗布ユニット10の各塗布ヘッド11は、制御部40による制御に従って、薬剤を含む薬液を微滴化して微小液滴を生成し、その液滴を搬送機構20によって搬送される基材シート90の片面の一部領域に吹き付ける。その結果、図7に示すように、支持体92上に貼設された基材シート90の片面の一部領域のみに薬液が塗布されて薬剤層95が形成されることとなる。薬液が塗布された基材シート90は乾燥ユニット50に搬送されて薬液の乾燥処理が行われる。さらにその後、薬剤層95が形成された基材シート90に剥離ライナーが貼り合わされ、支持体92が所定のサイズに裁断されて貼付剤とされる。
第1実施形態においては、液滴ジェット方式の塗布ヘッド11によって薬剤を含む薬液を微滴化して液滴を生成し、その液滴を基材シート90の一部領域のみに吹き付けている。液滴ジェット方式の塗布ヘッド11であれば、塗布パターン82に従って薬液吹き付けのオン/オフを切り替えることが可能であり、容易に基材シート90の一部領域のみに薬液を塗布することができる。基材シート90の一部領域のみに薬液を塗布することができれば、後工程において不要部分に塗布されていたために無駄に除去される薬剤を無くすことができ、薬剤の使用効率を向上させることができる。また、液滴ジェット方式の塗布ヘッド11であれば、薬液塗布の定量精度にも優れているため、医療用の貼付剤の製造に好適である。また、塗布パターン82の設定を変更することによって自在にパターニングが可能である。さらには、塗布パターン82の大きさを変更することによって塗布領域の大きさをも自在に調整することが可能である。
また、塗布ユニット10は非接触にて薬剤を含む薬液を塗布するため、従来の展延塗布方式に比較して塗布ユニット10からのコンタミネーションを確実に防止することができる。
また、第1実施形態においては、1つのノズル12から吐出する1つの液滴の量を25plとし、みかけのノズル配列ピッチを50μmとしている。従って、50μmの間隔を隔てて25plの量の液滴が基材シート90上に着弾することとなる。図8(a)は、塗布ヘッド11から吹き付けられた25plの薬液の液滴99が50μmの間隔を隔てて基材シート90上に着弾した直後の状態を示す図である。図8(a)に示すように、着弾直後であれば液滴99は互いに重なっていないが、25plの量の液滴は基材シート90上で徐々に拡がり、やがて50μmの間隔を隔てた隣接する液滴99が互いに重なり合う。その結果、図8(b)に示すように、薬液の液滴が吹き付けられた基材シート90上の領域では薬液がムラなく均一に塗布されることとなり、薬剤の効能を均一にすることができる。また、当該領域の美観も維持されることとなる。なお、液滴の量を25plとするのに、1つのノズル12から1回で吐出するようにしても良いし、複数回吐出タイプのノズルから同じ位置に複数回に分けて吐出するようにしても良い。例えば、複数回吐出タイプのノズルから同じ位置に5plの液滴を5回吐出して液滴の量を25plとしても良い。
また、第1実施形態においては、溶媒添加部34および温調部15によって薬液の粘度および表面張力が液滴ジェット方式のノズル12から噴出可能な適正範囲内に収まるように調整している。このため、医療用の薬剤を含む薬液を液滴ジェット方式の塗布ヘッド11から確実に噴出させることができる。
さらに、第1実施形態においては、保湿剤添加部35から薬液に保湿剤を添加して薬液の乾燥速度を低下させている。これにより、ノズル内で薬液が乾燥して変質することを防止でき、塗布ヘッド11から薬液を安定して吹き付けることができる。すなわち、ノズル内で薬液が乾燥すると、薬液の物性(粘度および表面張力)が液滴ジェット特性から外れてノズル12の先端付近に形成されるメニスカスが壊れてしまい、液滴の噴出が出来なくなる。薬液に保湿剤を添加することによってかかる現象が生じるのを防止し、塗布ヘッド11から薬液を安定して吹き付けることができるのである。また、薬液の噴出を停止した後もノズル内で薬液が乾燥するのを防止することができ、いわゆるノズル抜けを防止することができる。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態の貼付剤製造装置1の要部構成の概略を示す図である。同図において、第1実施形態と同一の要素については同じ符号を付している。第2実施形態の貼付剤製造装置1は、樹脂製の基材シート90の片面に薬剤を塗布して貼付剤を製造する装置である。第2実施形態の貼付剤製造装置1が第1実施形態と相違するのは、2つの塗布ユニット10a,10bを備えている点である。
2つの塗布ユニット10a,10bのそれぞれは第1実施形態の塗布ユニット10と同じである。すなわち、2つの塗布ユニット10a,10bのそれぞれは12個の塗布ヘッド11を備えている。12個の塗布ヘッド11は第1実施形態と同様に基材シート90の搬送方向TDに対して傾斜して配設されている。塗布ユニット10aは塗布ユニット10bよりも基材シート90の搬送方向上流側に設けられている。
また、塗布ユニット10a,10bに対してはそれぞれ薬液送給部30a,30bから薬液が送給される。2つの薬液送給部30a,30bのそれぞれの構成は第1実施形態の薬液送給部30と同じである。第2実施形態においては、薬液送給部30aが送給する薬液と薬液送給部30bが送給する薬液とでは、含有する薬剤の種類は同一であるものの、濃度が互いに異なる。なお、薬液を構成する薬剤および溶媒の種類としては第1実施形態と同様のものを使用することができる。
また、図9では図示を省略しているが、第2実施形態の塗布ユニット10a,10bには第1実施形態と同様の温調部が付設され、薬液送給部30a,30bには第1実施形態と同様の溶媒添加部および保湿剤添加部が設けられている。第2実施形態の貼付剤製造装置1の残余の構成は第1実施形態と同様である。
第2実施形態の貼付剤製造装置1において貼付剤の製造処理を行うときには、制御部40の制御下にて、搬送機構20が支持体92に貼設した円形の基材シート90を水平方向に沿って搬送するとともに、2つの塗布ユニット10a,10bの塗布ヘッド11が薬液の液滴を基材シート90に吹き付ける。貼付剤の製造工程の基本的な流れは第1実施形態と同様なものであるが、第2実施形態においては濃度が異なる2つの薬液のそれぞれについて、つまり塗布ユニット10a,10bのそれぞれについて塗布パターン82が予め設定されている。ここでは、塗布ユニット10a,10bのそれぞれについて互いに白黒反転した市松模様の塗布パターン82が設定されているものとする。
制御部40は、第1の市松模様の塗布パターン82に従って上流側の塗布ユニット10aの塗布ヘッド11からの液滴吹き付けを制御する。塗布ユニット10aの各塗布ヘッド11は、制御部40による制御に従って、第1濃度の薬液を微滴化して液滴を生成し、その液滴を搬送機構20によって搬送される基材シート90の片面の一部領域に吹き付ける。その結果、塗布ユニット10aによる塗布が終了した時点においては、図10(a)の斜線部に示すように、基材シート90の片面の一部領域に第1濃度の薬液が市松模様に塗布されることとなる。
また、制御部40は、第1の市松模様とは白黒反転した第2の市松模様の塗布パターン82に従って下流側の塗布ユニット10bの塗布ヘッド11からの液滴吹き付けを制御する。塗布ユニット10bの各塗布ヘッド11は、制御部40による制御に従って、第1濃度とは異なる第2濃度の薬液を微滴化して液滴を生成し、その液滴を搬送機構20によって搬送される基材シート90の片面の一部領域に吹き付ける。この液滴を吹き付ける一部領域自体は塗布ユニット10aによる吹き付け領域と同じである。その結果、図10(b)の格子線に示すように、第1濃度の薬液によって描かれた市松模様の無塗布部分に第2濃度の薬液が塗布されることとなる。図10(b)に示す如く異なる濃度の薬液が塗布された基材シート90は乾燥ユニット50に搬送されて薬液の乾燥処理が行われる。さらにその後、薬剤層が形成された基材シート90に剥離ライナーが貼り合わされ、支持体92が所定のサイズに裁断されて貼付剤とされる。
第2実施形態においては、互いに濃度の異なる2つの薬液のそれぞれについて予め塗布パターン82を設定し、それら2つの薬液の液滴をそれぞれについて予め設定された塗布パターン82に従って基材シート90に吹き付けている。そして、濃度の異なる2つの薬液を異なる塗布パターン82に従って基材シート90に吹き付けることにより、それら2つの薬液を互いに異なる領域に吹き付けて塗り分けている。
塗布パターン82は自由に設定することができるため、濃度の異なる2つの薬液を所望のパターンにて塗布することが可能となる。例えば、図10に示すように濃度の異なる2つの薬液を市松模様に塗り分けるようにしても良いし、図11に示すようにストライプ状に塗り分けるようにしても良いし、図12に示すように同心円状に塗り分けるようにしても良い。このように、互いに濃度の異なる2つの薬液を異なる領域に吹き付けて塗り分けることにより、薬の吸収速度の減少を抑制することができ、一定速度で長時間にわたって薬剤を皮膚へ吸収させることができる。すなわち、薬の持続性を制御することが可能となる。従来の貼付剤にて持続性を制御するためにはイオントフォレーシスの原理を応用して電気的に薬剤の吸収を調整しなければならず、貼付剤にバッテリー装着する必要があったために製造工程が複雑になって価格も高くなっていた。これを第2実施形態のようにすれば、互いに濃度の異なる2つの薬液を異なる領域に吹き付けて塗り分けることによって薬の持続性を制御しているため、製造工程は単純であり、貼付剤の単価上昇も抑制することができる。また、貼付剤の単価上昇を抑制して低価格とすることができれば、より使い捨てに適した貼付剤を製造することができる。
また、2つの塗布ユニット10a,10bが非接触にて異なる薬液を異なる領域に塗布するため、塗布ユニット10a,10bからのコンタミネーションを防止することができるとともに、双方の薬液が不必要に混じり合うことをも防ぐことができる。異なる薬液を異なる領域に塗り分ける場合に、双方の薬液が混じり合うことを確実に防止するために、隣接する異なる領域の境界部分では液滴が拡がっても重ならないようにしても良い。具体的には、図13(a)に示すように、異なる薬液を塗り分ける異なる領域の境界部分を挟んだ両側には、通常であれば5plずつ5回吐出して25plの量の液滴を着弾させるところを、例えば5plの量の液滴を1回だけ吐出して基材シート90上に着弾させる。このようにすれば、図13(b)に示すように、5plの量の液滴が基材シート90上で拡がったとしても、境界部分を挟んで異なる領域に着弾した異なる薬液の隣接する液滴が互いに重なり合うことを防止できる。また、液滴の吐出回数を減らすのに代えて、領域の境界部分に対応するノズルからの吐出を止めるようにしても良い。
また、第2実施形態においては、2つの塗布ユニット10a,10bから同一種類の薬剤を互いに異なる濃度にて含有する薬液を異なる領域に吹き付けるようにしていたが、これらを同一の領域に重ねて吹き付けるようにしても良い。例えば、塗布ユニット10aから第1濃度の薬液を図10(a)の市松模様に塗布した後、塗布ユニット10bから第2濃度の薬液を第1濃度の薬液の上に重ねて塗布するようにしても良い。このようにしても、薬の持続性や吸収量を適宜に制御することが可能となる。
また、第2実施形態においては、2つの塗布ユニット10a,10bから同一種類の薬剤を互いに異なる濃度にて含有する薬液を基材シート90に吹き付けるようにしていたが、2つの塗布ユニット10a,10bから互いに異なる種類の薬剤を含有する薬液を基材シート90に吹き付けるようにしても良い。この場合、異なる種類の薬剤を含有する薬液を異なる領域に吹き付けて塗り分けるようにしても良いし、同一の領域に重ねて吹き付けるようにしても良い。効能が異なる異種の薬剤を組み合わせることにより、新たな効能が期待できる。
また、2つの塗布ユニット10a,10bから吹き付ける薬液の重量比にバリエーションを持たせるように制御部40が制御しても良い。
また、第2実施形態においては、貼付剤製造装置1に2つの塗布ユニット10a,10bを設けるようにしていたが、3つ以上の塗布ユニットを設けてそれぞれから異なる薬液を吹き付けるようにしても良い。すなわち、基材シート90に複数の異なる薬液(同一種類の薬剤を異なる濃度にて含有する薬液および異なる種類の薬剤を含有する薬液の双方を含む)を吹き付けるようにしても良い。この場合、複数の異なる薬液のそれぞれについて予め設定された塗布パターン82がRAM43に保持されており、それら塗布パターン82に従って複数の異なる薬液の液滴を基材シート90に吹き付ける。複数の異なる薬液について同一の塗布パターン82を設定した場合には、それら複数の異なる薬液のそれぞれを同一の領域に重ねて吹き付けることとなる。また、複数の異なる薬液のそれぞれについて互いに異なる塗布パターン82を設定した場合には、それら複数の異なる薬液のそれぞれを互いに異なる領域に吹き付けて塗り分けることとなる。
<3.第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図14は、第3実施形態の貼付剤製造装置1の要部構成の概略を示す図である。同図において、第1実施形態と同一の要素については同じ符号を付している。第3実施形態の貼付剤製造装置1は、樹脂製の基材シート90の片面に薬剤を塗布して貼付剤を製造する装置である。第3実施形態の貼付剤製造装置1が第1実施形態と相違するのは、2つの塗布ユニット10c,110を備えている点である。また、第3実施形態においては、帯状の基材シート90が直接送りローラ21に巻回されている。
2つの塗布ユニット10c,110のそれぞれは第1実施形態の塗布ユニット10と同じである。すなわち、2つの塗布ユニット10c,110のそれぞれは12個の塗布ヘッド11を備えている。12個の塗布ヘッド11は第1実施形態と同様に基材シート90の搬送方向TDに対して傾斜して配設されている。塗布ユニット110は塗布ユニット10cよりも基材シート90の搬送方向上流側に設けられている。
塗布ユニット10cに対しては薬液送給部30cから薬液が送給される。薬液送給部30cの構成は第1実施形態の薬液送給部30と全く同じである。すなわち、図14では図示を省略しているが、薬液送給部30cには第1実施形態と同様の溶媒添加部および保湿剤添加部が設けられている。また、第3実施形態の塗布ユニット10cには第1実施形態と同様の温調部が付設されている。なお、薬液を構成する薬剤および溶媒の種類としては第1実施形態と同様のものを使用することができる。
また、塗布ユニット110に対しては粘着剤送給部130から粘着剤の溶液が送給される。粘着剤送給部130は粘着剤タンク131に貯留している粘着剤溶液を供給配管132を経由して塗布ユニット110に送給する。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、ビニル系粘着剤、アクリル系粘着剤などの経皮吸収薬分野にて公知の種々のものを採用することができる。粘着剤タンク131には、このような粘着剤を有機溶媒に溶解した溶液が貯留される。なお、粘着剤溶液の粘度および表面張力は、液滴ジェット方式の塗布ユニット110のノズルから噴出可能な適正範囲内に収まるように予め調整しておく。
また、第3実施形態においては、塗布ユニット110および塗布ユニット10cのそれぞれの下流に乾燥ユニット50が設けられている。第3実施形態の貼付剤製造装置1の残余の構成は第1実施形態と同様である。
第3実施形態の貼付剤製造装置1において貼付剤の製造処理を行うときには、制御部40の制御下にて、搬送機構20が帯状の基材シート90を水平方向に沿って搬送する。但し、第3実施形態においては、送りローラ21に基材シート90のみが直接巻回されており、搬送機構20は粘着剤層が形成されていない基材シート90を水平方向に沿って搬送する。
また、制御部40の制御下にて、塗布ユニット110の塗布ヘッド11が粘着剤の溶液を微滴化して生成した液滴を基材シート90に吹き付け、その後塗布ユニット10cの塗布ヘッド11が薬液を微滴化して生成した液滴を基材シート90に吹き付ける。すなわち、第3実施形態においては、粘着剤溶液および薬液の双方を液滴ジェット方式によって基材シート90に吹き付けているのである。
第3実施形態においては、粘着剤および薬液のそれぞれについて、つまり塗布ユニット110,10cのそれぞれについて塗布パターン82が設定されている。制御部40は、粘着剤について設定されている塗布パターン82に従って塗布ユニット110の塗布ヘッド11からの液滴吹き付けを制御する。塗布ユニット110の各塗布ヘッド11は、制御部40による制御に従って、粘着剤溶液を微滴化して液滴を生成し、その液滴を搬送機構20によって搬送される基材シート90の片面の一部領域に吹き付ける。その結果、塗布ユニット110による塗布が終了した時点においては、図15の斜線部に示すように、基材シート90の片面のリング状領域に粘着剤溶液が塗布されることとなる。粘着剤溶液が塗布された基材シート90は乾燥ユニット50に搬送されて粘着剤溶液の乾燥処理が行われる。
また、制御部40は、薬液について設定されている塗布パターン82に従って塗布ユニット10cの塗布ヘッド11からの液滴吹き付けを制御する。塗布ユニット10cの各塗布ヘッド11は、制御部40による制御に従って、薬液を微滴化して液滴を生成し、その液滴を搬送機構20によって搬送される基材シート90の片面の一部領域に吹き付ける。その結果、図16の縦線に示すように、リング状に塗布された粘着剤の内側に薬液が塗布されることとなる。薬液が塗布された基材シート90は乾燥ユニット50に搬送されて薬液の乾燥処理が行われる。さらにその後、粘着剤および薬剤層が形成された基材シート90に剥離ライナーが貼り合わされて所定のサイズに裁断されて貼付剤とされる。
第3実施形態においては、液滴ジェット方式の塗布ヘッド11によって粘着剤および薬液の双方を基材シート90に吹き付けて塗布している。このため、粘着剤および薬液の双方を互いに混じり合わせることなく、予め定められた所定位置に正確に塗布することができる。その結果、粘着剤および薬液を塗布する際の位置合わせは不要となり、後工程での裁断も容易に行うことができる。
第3実施形態においては、リング状に塗布した粘着剤の内側に薬液を塗布するようにしていたが、粘着剤および薬液についての塗布パターン82を自由に設定することによって、双方を所望のパターンにて塗布することが可能となる。例えば、粘着剤の塗布パターン82を図15に示すリングに加えてその内側に複数のアイランドが形成されるパターンとしても良い。リングに加えてその内側に形成された複数のアイランドに粘着剤を塗布することによって貼付剤の皮膚への接着力を増すことができる。また、粘着剤および薬液の双方を、第2実施形態の図10に示す市松模様、図11に示すストライプ状、図12に示す同心円状に塗り分けて塗布するようにしても良い。
また、粘着剤については液滴ジェット方式の塗布ヘッド11に代えて、ディスペンサー方式の塗布機構によって塗布するようにしても良い。図17は、ディスペンサー方式のノズルによる塗布を示す図である。ディスペンサーノズル210は、基材シート90の搬送方向(図17の紙面の法線方向)と垂直な方向に走査(スキャン)されながら、粘着剤を線状に塗布する。そして、ディスペンサーノズル210からの粘着剤吐出をオン/オフすることによって図15に示すようなリング状等の所望の形状に粘着剤を塗布することができる。このようなディスペンサー方式の塗布機構は粘着剤を精度良く定量塗布することができる。また、液滴ジェット方式に適した液体(薬液等)の物性の範囲が狭いのに対して、ディスペンサー方式であれば扱える液体の物性の範囲が広い。一般に粘着剤は高粘度のものが多いので、ディスペンサー方式が適している。但し、薬液については塗布の位置精度にも優れ、種々のパターンにて自由に塗布することができる液滴ジェット方式の塗布ヘッド11を用いることが好ましい。
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態の塗布ヘッド11には積層ピエゾドロップオンデマンド方式のインクジェットヘッドを用いていたが、これに限定されるものではなく、いわゆる液滴ジェット方式によって微小液滴を生成して噴出するものであれば良い。
また、第1実施形態においては、塗布パターン82を基材シート90の一部領域に薬液を塗布するだけの単純なパターンとしていたが、塗布ユニットが1つであったとしても、塗布パターン82を自由に設定することが可能なのは勿論であり、市松模様、ストライプ状、同心円状などの任意のパターンとすることができる。
また、第1および第2実施形態においては、粘着剤91の層が既に形成された支持体92を水平方向に沿って搬送し、その支持体92の上面に基材シート90を供給して貼設し、さらにその基材シート90の上面に薬液の液滴を吹き付けるようにしていたが、薬液に含まれる薬剤および溶媒の種類、或いは、第2実施形態のように複数の異なる薬液を吹き付ける場合にはそれらの組み合わせに応じて吹き付けの形態は種々に変更することが可能である。例えば、図18(a)に示すように、第3実施形態と同じく帯状の基材シート90を直接送りローラ21に巻回しておき、搬送機構20が帯状の基材シート90を水平方向に沿って搬送し、その上面の一部領域に塗布ユニット10から薬液を直接吹き付けて薬剤層95を形成する。そして、基材シート90から薬剤層95が形成された領域をくり抜き、そのくり抜いた領域を図18(b)に示すように、別途準備された粘着剤91の層が既に形成された支持体92の上面に貼設する。これにより、第1実施形態(図6)と同様の貼付剤を製造することができる。
また、図19に示すように、粘着剤91の層が既に形成された基材シート90を水平方向に沿って搬送し、その粘着剤91の上から塗布ユニット10が直接薬液の液滴を吹き付けるようにしても良い。この場合、基材シート90そのものが支持体としての役割をも担っている。図19の例においては、薬剤層95が形成された基材シート90に剥離ライナーが貼り合わされ、それが所定のサイズに裁断されて貼付剤とされる。
また、上記の各実施形態においては、塗布ヘッド11を基材シート90の搬送方向TDに対して角度αだけ傾斜するように設けていたが、ノズル12の配列ピッチpが上記のみかけのノズル配列ピッチと同程度である場合には必ずしも傾斜させる必要は無い。すなわち、基材シート90上に着弾したときに隣接する液滴の間隔が10μm以上200μm以下となってそれら隣接する液滴が拡がったときに互いに重なり合うように塗布ヘッド11の傾斜角度αおよびノズル12の配列ピッチpが設定されていれば良い。また、基材シート90上に着弾した隣接する液滴が互いに重なり合うように、1つのノズル12から吐出する1つの液滴の量は、5pl以上100pl以下の範囲内とされている。隣接する液滴が重なり合えば良いため、1つのノズル12から吐出する1つの液滴の量が多いほど隣接する液滴の間隔を大きくすることができる。
また、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせ、粘着剤用の塗布ユニットと複数の薬液用の塗布ユニットとを設け、基材シート90上にリング状に塗布した粘着剤の内側に複数の異なる薬液を吹き付けるようにしても良い。
また、第2実施形態においては、異なる薬液が全て基材シート90に塗布された後に乾燥ユニット50にて乾燥処理を行うようにしていたが、第3実施形態のように塗布ユニットのそれぞれの下流に乾燥ユニット50を設け、1つの薬液が塗布されるごとに乾燥処理を行うようにしても良い。このようにすれば、異なる薬液が混じり合うことをより確実に防止することができる。