本発明の吸収性物品は、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性コアとを有する。本発明の吸収性物品の態様としては、尿パッド(失禁パッドを含む)、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等が示される。
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が、例えば尿パッド、生理用ナプキンである場合、吸収性物品の形状としては、略長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が示される。
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、左右に一対の止着部材が備えられ、当該止着部材により着用時にパンツ型に形成するオープン型使い捨ておむつであってもよく、ウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
吸収性物品が、例えば使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、前腹部と、後背部と、これらの間に位置し吸収性コアが備えられた股部とから構成されているものが挙げられる。吸収性物品が使い捨ておむつである場合、吸収性物品としては例えば、内側シートと外側シートとからなる積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とからなるおむつ本体を形成し、おむつ本体の股部に吸収性コアを有する吸収性物品が備えられていてもよい。このとき、吸収性物品の形状としては、略長方形等が示される。また、吸収性物品が使い捨ておむつである場合、吸収性物品としては、例えば、吸収性物品が、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを形成し、この股部に吸収性コアが備えられていてもよい。前腹部、後背部、股部とは、使い捨ておむつを着用の際に、着用者の腹側に当てる部分を前腹部と称し、着用者の背側に当てる部分を後背部と称し、前腹部と後背部との間に位置し着用者の股間に当てる部分を股部と称する。
吸収性物品は前後方向と幅方向とを有する。吸収性物品の前後方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。吸収性物品の幅方向とは、吸収性物品を平面に広げた状態で吸収性物品と同一面上にあり、前後方向と直交する方向を意味する。また、本発明において、上側とは吸収性物品を着用した際の着用者側を意味し、下側とは吸収性物品を着用した際の着用者とは反対側、すなわち外側を意味する。上側から下側に延びる方向またはその逆方向を、上下方向と称する。
トップシートは、吸収性物品の着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であればその材料は特に限定されない。バックシートは、吸収性物品の着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であればその材料は特に限定されない。なお、本発明において、液不透過性とは撥水性の意味も含まれる。
トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルムを用いてもよい。
バックシートとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
前記説明した各シートの材料として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブロー法、エアレイド法やそれらの製法の組み合わせ等により製造されるものが好ましい。また、スパンボンド法とメルトブロー法を組み合わせたSMS法により製造された不織布を用いてもよい。
吸収性物品が、前記説明したように、内側シートと外側シートとからなる積層体から形成されるおむつ本体の股部に備えられるものである場合、内側シートは親水性または液不透過性であることが好ましく、外側シートは液不透過性であることが好ましい。
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布シート等のシート部材で覆ったものを用いることができる。吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、粉砕したパルプ繊維、セルロース繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。吸収性材料は、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
吸収性コアの形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コアの形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が挙げられる。
吸収性コアは、開口を有する。また後述するように、開口には拡散層が重なって設けられる。トップシートを通過した尿等の一部または全部は、開口を通って拡散層に移行した後、拡散層内を拡散する。従って、本発明の吸収性物品は、吸収性コアに開口が形成されることにより、尿等の拡散性が高められ、尿等が吸収性コアによって速やかに吸収されるようになる。
開口は吸収性コアを厚み方向(上下方向)に貫通するものであれば、その形状は特に限定されない。開口の形状は、例えば、長方形、楕円形、多角形、角の丸い長方形等が挙げられる。なお、吸収性物品は一般に前後方向に長い形状であることから、尿等は前後方向への拡散が促されることが吸収性コアによる速やかな吸収を実現する点で好ましい。従って、開口の形状としては、吸収性物品の幅方向より前後方向に長い形状であることが好ましい。
開口の形状としては、前後方向の端が幅方向の外方に湾曲する形状であってもよい。開口がこのような形状であれば、開口の前側端または後側端で、尿等が前後方向とともに幅方向にも拡散しやすくなる。
開口は、吸収性物品を着用した際に着用者の排尿部付近が面するように、吸収性コアに配されることが好ましい。このように開口が設けられれば、着用者から排泄された尿等を開口で受けて、開口で受けた尿等が拡散層を通って拡散するようになる。
開口は、例えば、吸収性コアの前後方向に対する相対的位置として前側端を0%とし後側端を100%としたとき、開口の前側端が15%〜40%の範囲(より好ましくは25%〜35%の範囲)に位置し、開口の後側端が50%〜90%の範囲(より好ましくは60%〜75%の範囲)に位置することが好ましい。このように開口が形成されていれば、吸収性物品を着用した際、開口が着用者の排尿部付近が面しやすくなる。開口の後側端が吸収性コアの前側端から50%以上の位置にあれば、尿等が開口を前後方向に拡散して、尿等が吸収性コアの後側部まで容易に達するようになる。従って、着用者から排泄され、吸収性コアの前側部で受けた尿等が、着用者の股間を越えて吸収性コアの後側部まで拡散しやすくなる。さらに、開口の前側端が吸収性コアの前側端から15%以上の位置にあり、開口の後側端が吸収性コアの前側端から90%以下の位置にあれば、尿等が開口の前側端または後側端まで拡散しても、尿等が吸収性コアで好適に吸収されて、尿等の前後方向への漏れが起こりにくくなる。
吸収性コアに形成される開口の数は特に限定されず、1つでもよく、2つ以上でもよい。開口が複数設けられる場合は、尿等の前後方向への拡散性を高めるために、開口は、吸収性物品の前後方向に延びるように、吸収性物品の幅方向に並行に複数設けられることが好ましい。開口は、尿等の拡散性を高めるために、開口全体の幅方向の長さを広くとるように形成しつつ、吸収性コアの前後方向への圧縮強度を確保する点から、2つ以上の開口が幅方向に並行して設けられることが好ましい。一方、多数の開口を幅方向に並行して設けると、各開口の幅が狭くなって、尿等が開口で前後方向へ拡散しにくくなるおそれがある。従って、開口の数は4つ以下が好ましい。
開口は、吸収性物品の前後方向に延びるように、吸収性物品の幅方向に並行して2つ形成されていることが特に好ましい。このように開口が形成されれば、開口での尿等の前後方向への拡散性が高められるとともに、吸収性コアの前後方向への強度が十分確保されやすくなる。このとき、開口の幅(幅方向の長さ)は、15mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、40mm以下が好ましく、35mm以下がより好ましい。また、2つの開口の離間距離(最近接離間距離)は10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましく、60mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましい。
開口はまた、吸収性物品の幅方向の中心線に対し略対称に2つ形成されることが好ましい。このように開口が形成されれば、着用者から排泄された尿等は、幅方向の中心線の両側に形成された2つの開口の両方に移行しやすくなり、尿等が吸収性コアに効率的に吸収されやすくなる。
吸収性物品には、吸収性コアとバックシートとの間に、不織布製の拡散層が設けられている。このとき、拡散層は吸収性コアと隣接して設けられることが好ましい。
拡散層は、開口と重なる受入部と開口と重ならない移送部を有している。つまり拡散層は、開口から吸収性コアの下側まで延在して設けられることとなる。このように拡散層が設けられることにより、尿等が拡散層を通って吸収性コアに速やかに吸収されるようになる。
拡散層は、受入部が移送部よりも厚く形成されている。拡散層は、受入部の少なくとも一部が移送部よりも厚ければよい。受入部が移送部よりも厚ければ、拡散層は、受入部が開口に入り込んだ形状となりやすくなり、その結果、拡散層の受入部がトップシートの近くに、あるいはトップシートと接して配されるようになる。そして、トップシートを通過した尿等が受入部に速やかに移行しやすくなる。開口で受入部に移行した尿等は、拡散層内を受入部から移送部に拡散することにより吸収性コアの下側に移行し、吸収性コアによって吸収される。あるいは、開口で受入部に移行した尿等は、拡散層の表面を伝って厚みの薄い移送部に移行し、あるいは受入部と移送部の境界まで移行し、尿等が吸収性コアの下側または側面から吸収性コアによって吸収されるようになる。その結果、尿等の速やかな吸収が実現できる。
拡散層の厚さは、厚さ測定機により測定する。厚さ測定機としては、株式会社テクロック社製のシックネスゲージSM−130を用いる。吸収性物品から拡散層を取り出し、拡散層をアンビルと測定子の間に挟んで、拡散層の受入部と移送部の厚さを測る。シックネスゲージSM−130によれば、終圧が2.2N以下となるように厚さが測定される。アンビルと測定子は、測定対象との接触面が直径10mmの円形であり、接触面が平らなものを用いる。
拡散層は、受入部の嵩密度が移送部の嵩密度よりも小さいことが好ましい。受入部の嵩密度が移送部の嵩密度よりも小さければ、受入部では移送部よりも不織布を構成する繊維間の空隙が多く存在しやすくなる。従って、尿等が特に受入部で拡散層に速やかに吸収されるようになり、その結果、尿等が吸収性コアによって速やかに吸収されるようになる。なお、拡散層の嵩密度は、上記に従い拡散層の厚さを測定した上で、当該厚さを測定した部分の目付(単位面積当たりの質量)を測定し、目付を厚さで除することにより算出される。
受入部の厚さを移送部よりも厚くする方法は特に限定されない。例えば、(1)不織布を構成する繊維またはウェブを、受入部が形成される部分のみ堆積量を多くして、当該部分の厚みを厚くする方法;(2)受入部が形成される部分に不織布層を積層して、当該部分の厚みを厚くする方法;(3)不織布を、移送部が形成される部分で加圧して、当該部分の厚みを薄くする方法等が挙げられる。本発明においては特に(3)の方法が、受入部の厚さを移送部より厚くできるとともに、受入部の嵩密度を移送部よりも小さくできる点で、好ましく採用される。
拡散層の不織布は、移送部がエンボス加工されていることが好ましい。移送部がエンボス加工されていれば、受入部の厚さが移送部より厚く、かつ受入部の嵩密度が移送部よりも小さい不織布を容易に得ることができる。例えば、エンボス加工される前の不織布の目付が均一であったとしても、移送部が形成される部分をエンボス加工することにより、受入部の厚さが移送部より厚く、かつ受入部の嵩密度が移送部よりも小さい不織布を得ることができる。移送部は、所定のエンボスパターンにより部分的に加圧されることにより、加圧された部分では移送部の厚さが薄く形成される。一方、加圧されない部分では、不織布を構成する繊維間隙が維持され、移送部内での尿等の拡散性が大きく低下しないようにすることができる。
移送部がエンボス加工される場合、移送部は、エンボス加工された部分が融着していてもよいし、融着していなくてもよい。前者の場合、移送部は例えば、熱エンボスされることにより形成される。後者の場合、移送部は例えば、繊維またはウェブが接着剤によって接着されたエアレイド不織布やケミカルボンド不織布をエンボスにより加圧することにより形成される。いずれの場合も、エンボスされた部分の厚みが薄く形成される。
移送部がエンボス加工される場合、エンボスパターンは特に限定されないが、吸収性物品の前後方向に長い形状のエンボスパターンでエンボス加工されていることも好ましい。このようなエンボスパターンで移送部がエンボス加工されていれば、移送部で尿等が吸収性物品の前後方向に拡散しやすくなる。
拡散層を構成する不織布の材料は特に限定されず、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布;前記例示したような疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化された不織布等を用いることができる。なかでも、拡散層の不織布としては、疎水性繊維から形成された不織布、または疎水性繊維から形成され界面活性剤により親水化された不織布を用いることが好ましい。
拡散層の不織布を構成する繊維には、複合繊維を用いてもよい。複合繊維としては、断面が芯鞘型に成分配置された芯鞘複合繊維、断面が並列型に成分配置された並列複合繊維、断面が放射型に成分配置された放射複合繊維等が挙げられる。複合繊維を構成する成分は、互いに異なる融点を有することが好ましく、すなわち高融点成分と低融点成分を有することが好ましい。このような複合繊維を用いれば、後述するエアスルー法により不織布を容易に製造できるようになる。このような複合繊維は、低融点成分により繊維どうしが融着され、高融点成分により繊維に剛性が付与されて、不織布を構成する繊維間に空隙が良好に形成されやすくなる。従って、複合繊維から形成される不織布は尿等の拡散性に優れたものとなる。複合繊維としては芯鞘複合繊維を用いることが特に好ましく、芯鞘複合繊維は、芯に高融点成分が配置され、鞘に低融点成分が配置されることが好ましい。芯鞘複合繊維は、芯と鞘とが同芯であっても偏芯であってもよい。
複合繊維の材料としては熱可塑性高分子を用いればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリイソブチレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等のポリエステル等を用いることができる。中空繊維の材料としては、これら例示した各材料を組み合わせて用いればよい。これらの中でも、PETとポリエチレンとの組み合わせ、ポリプロピレンとポリエチレンとの組み合わせ、PETとポリプロピレンとの組み合わせが好ましい。芯鞘複合繊維の場合は、芯にPETを用い鞘にポリエチレンを用いる組み合わせ、芯にPETを用い鞘にポリプロピレンを用いる組み合わせ、芯にポリプロピレンを用い鞘にポリエチレンを用いる組み合わせが好ましい。これらの中でも、PETとポリエチレンとの組み合わせ、またはPETとポリプロピレンの組み合わせが特に好ましい。
拡散層を構成する不織布の種類は特に限定されないが、ケミカルボンド法、エアレイド法、エアスルー法、スパンレース法により得られる不織布が好ましい。このような不織布を用いれば、不織布を嵩高くすることが容易になる。また、不織布を構成する繊維間隙を比較的大きくすることができ、尿等の拡散性を高めやすくなる。拡散層を構成する不織布としては、特にエアスルー法により得られる不織布(エアスルー不織布)を用いることが好ましい。
拡散層の不織布は、受入部と移送部の目付が50g/m2以上が好ましく、60g/m2以上がより好ましい。拡散層を構成する不織布の目付が50g/m2以上であれば、拡散層が比較的嵩高く形成されて、拡散層での尿等の拡散性が高められる。一方、拡散層の不織布の目付が大きすぎると、吸収性物品の厚みが厚くなって装着感が低下するおそれがある。従って、拡散層の不織布は、受入部と移送部の目付が200g/m2以下であることが好ましく、180g/m2以下であることがより好ましい。
拡散層の不織布を構成する繊維は、4dtex以上の繊度を有することが好ましい。なお、不織布を構成する繊維が4dtex以上の繊度を有するとは、不織布が、実質的に4dtex以上の繊度を有する繊維のみから構成されることを意味する。前記繊度は、5dtex以上がより好ましい。拡散層の不織布を構成する繊維の繊度の上限は特に限定されないが、繊度の一般的な上限として、20dtex以下が好ましく、10dtex以下がより好ましい。繊度が4dtex以上の不織布は、吸収性物品に使用される不織布の中では比較的繊維径が太いものとなる。拡散層の不織布を構成する繊維が4dtex以上の繊度を有していれば、不織布の繊維間の空隙が大きくなり、尿等の拡散性が良好となる。
移送部は、開口の前側端より前方および/または後側端より後方に存在していることが好ましい。すなわち、拡散層は、開口の前側端より前方および/または後側端より後方まで延在していることが好ましい。吸収性物品は一般に前後方向に長い形状であることから、移送部が開口の前側端より前方および/または後側端より後方に存在していれば、尿等が開口を越えて前後方向に速やかに拡散して、吸収性コアに吸収されるようになる。
移送部は少なくとも、開口の後側端より後方に存在していることが好ましい。吸収性物品は一般に、吸収性コアの前後方向の後側部が広い面積となるように形成される場合が多く、移送部が開口の後側端より後方に存在していれば、尿等が吸収性コアのより広い部分である後側部まで速やかに移行しやすくなる。従って、尿等はより吸収容量の高い部分に速やかに移行して、吸収性コアに吸収されるようになる。
拡散層は、開口を幅方向に横切って設けられてもよい。また、拡散層は、開口の全体を覆うように設けられてもよい。このように拡散層が設けられれば、尿等が拡散層を通って吸収性コアに速やかに吸収されるようになる。
開口は1つの拡散層によって覆われてもよく、2つ以上の拡散層が1つの開口の異なる領域を覆ってもよい。また、1つの拡散層が2つ以上の開口を覆ってもよい。なお、拡散層における尿等の拡散性を高める点から、1つの開口においては拡散層が連続的に設けられていることが好ましい。従って、1つまたは2つ以上の開口が1つの拡散層で覆われていることが好ましい。
吸収性物品には、吸収性コアの幅方向両側に立ち上がりフラップが設けられてもよい。立ち上がりフラップは、例えば、吸収性コアの上側に、吸収性コアの両側縁に沿って設けられてもよく、吸収性コアの幅方向両外側に設けられてもよい。立ち上がりフラップは、例えばトップシートや、トップシート上面に折り返されたバックシート、あるいはトップシートとバックシートの両方に接合される。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップは、トップシートの幅方向両側に設けられたサイドシートの内方端が立ち上げられて、形成されてもよい。立ち上がりフラップおよびサイドシートは、液不透過性であることが好ましい。
次に、本発明の吸収性物品の構成例について、図1〜図3を参照して説明する。なお、本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1は、吸収性物品として尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。図2は、図1の吸収性物品のA−A断面図を表す。図3は、図1の吸収性物品のB−B断面図を表す。なお、本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が上下方向zを表す。図1では、図の上側が吸収性物品の後側に相当し、図の下側が吸収性物品の前側に相当する。
吸収性物品1は、液透過性のトップシート2と液不透過性のバックシート3とこれらの間に設けられた吸収性コア4とを有する。トップシート2は、着用者の肌に面するように配置され、尿等の排泄物を透過する。トップシート2を透過した排泄物は、吸収性コア4により収容される。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
吸収性コア4とバックシート3との間には、不織布製の拡散層6が設けられている。吸収性コア4は開口5を有し、拡散層6は、開口5と重なる受入部6Aと開口5と重ならない移送部6Bを有している。拡散層6は、受入部6Aが移送部6Bより厚く形成されている(図3)。吸収性物品1はこのように拡散層6が設けられることにより、尿等が拡散層6を通って吸収性コア4に速やかに吸収されるようになる。
吸収性物品1は、移送部6Bが開口5の前側端より前方および開口5の後側端より後方に存在している。従って、尿等は開口5を越えて前後方向yに速やかに拡散して、吸収性コアに吸収されるようになる。
図1〜図3に示した吸収性物品1では、開口5が、前後方向yに延びるように幅方向xに並行して2つ形成されている。このように開口が幅方向xに並行して複数形成される場合、拡散層は、幅方向xの最も外方に位置する開口の外方縁を大きく越えて設けられないことが好ましい。具体的には、拡散層は、幅方向xに対し最も外方に位置する開口の外方縁から外方に5mm超の領域(より好ましくは3mm超の領域)に設けられないことが好ましい。このように拡散層を設けることにより、尿等が幅方向に拡散しにくくなり、尿等の幅方向への横漏れが防止される。
トップシート2の幅方向xの両端には、前後方向yに延在するサイドシート8が接合している(図1,図2)。サイドシート8は、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成される。サイドシート8には、幅方向xの内方端に起立用弾性部材10が設けられている。サイドシート8は、起立用弾性部材10の収縮力によりサイドシート8の内方端が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより立ち上がりフラップ9が形成され、尿等の幅方向xの横漏れが防止される。立ち上がりフラップ9は前後端部の内面がトップシート2上に接合されてもよく、これにより尿等の前後方向yの外方への漏れが防止される。
本発明の吸収性物品は、前後方向への拡散性を容易に高めることができることから、吸収性物品の股部(着用者の股間が当てられる部分)での幅を狭く形成することが可能となる。すなわち、吸収性物品が股部で幅狭に形成されても、尿等の前後方向への拡散性を高めることにより、吸収性物品が着用者から排泄された尿等を受けても、尿等が速やかに吸収性物品の前後方向に拡散して幅方向への横漏れが起こりにくくなる。そして、吸収性物品を股部で幅狭に形成すれば、着用者の股間(両大腿部の間)で吸収性物品が嵩張りにくくなり、また着用者は大腿部を違和感なく動かしやすくなる。従って、このような吸収性物品は、着用感に優れたものとなる。
図1〜図3に示した吸収性物品1は、一般に市販されている吸収性物品(使い捨ておむつや尿パッド等)よりも、股部が幅狭に形成されたものである。吸収性物品1では、吸収性コア4は、前後方向yの中間部が幅狭に形成されている。すなわち、吸収性コア4は、幅方向xにくびれた部分が中間部に位置するように、形成されている。吸収性コア4の中間部には、着用者の股間が当てられる。
吸収性コア4の前後方向yの中間部とは、吸収性コア4を前後方向yに3分割したとき、前側部と後側部との間に形成される部分を意味する。前側部と中間部と後側部は、例えば、それぞれ吸収性コア4の前後方向yの長さの25%、30%、45%の領域を占める。
図4には、図1に示した吸収性物品1について、吸収性コア4の中間部の拡大図を示した。また図4では、1点鎖線の円で囲まれた部分が、さらに拡大されて示されている。図4において、矢印11は吸収性コア4の中間部の最も幅狭な部分の幅(幅方向xの長さ)を表しているが、吸収性コア4の中間部の最も幅狭な部分の幅は、吸収性コア4の幅の35%〜50%(より好ましくは40%〜50%)であることが好ましい。なお、吸収性コア4の幅とは、吸収性コア4の幅方向xの最大長さを意味する。吸収性コア4の中間部の最も幅狭な部分の幅が吸収性コア4の幅の50%以下であれば、吸収性物品1は股部での幅が十分狭くなって、吸収性物品1が着用者の股間で嵩張りにくくなる。吸収性コア4の中間部の最も幅狭な部分の幅が吸収性コア4の幅の35%以上であれば、吸収性物品1が着用者の股間で過度に狭くならず、吸収性物品1の着用者の股間での収まりが良好となる。
開口5は、中間部の最も幅狭な部分で前後方向yに延びるように、吸収性コア4に形成されていることが好ましい。開口5がこのように形成されれば、着用者から排泄され、吸収性コア4の前側部で受けた尿等が、着用者の股間を越えて吸収性コア4の後側部まで拡散しやすくなる。吸収性物品1では、このように開口5が吸収性コア4に形成されている。
吸収性コア4に開口5が複数並行して設けられる場合、中間部の最も幅狭な部分では、開口5が吸収性コア4の外縁近くに形成されることが好ましい。このように開口5が形成されれば、吸収性コア4の前後方向yへの圧縮強度を確保しつつ、中間部が着用者の股間で両大腿部により幅方向xの外方から力を受けると、開口5が歪んで、中間部の幅や形状が着用者の股間に適合しやすくなる。
具体的には、吸収性コア4に開口5が複数並行して設けられる場合、開口5は、中間部の最も幅狭な部分で、開口5の最外方にある外縁が吸収性コア4の外縁から5mm以上20mm以内の領域にあることが好ましい。なお、開口5の最外方にある外縁は、幅方向xの一方側と他方側(右側と左側)に合計2つ存在する。従って、図1や図4に示されるように、中間部の最も幅狭な部分で開口5が複数設けられる場合は、幅方向xの中心線(前後方向yに延びる中心線)を挟んだ一方側または他方側で、幅方向xに対し最外方にある外縁(開口5の外縁)が、開口5の最外方にある外縁となる。図4では、吸収性コア4の前後方向yの中間部の最も幅狭な部分における開口5の最外方にある外縁と吸収性コア4の外縁の間の長さが、矢印12で表されている。そして、矢印12で表される部分の長さが5mm〜20mmであることが好ましい。開口5の最外方にある外縁が吸収性コア4の外縁から5mm以上の領域にあれば、開口5の最外方にある外縁より外方に開口5を維持するのに十分な吸収性コア4(吸収性材料)が存在するようになる。開口5の最外方にある外縁が吸収性コア4の外縁から20mm以内の領域にあれば、開口5の最外方にある外縁より外方にある吸収性コア4が、幅方向xの外力に対し歪みやすくなる。従って、中間部の幅や形状が、着用者の股間に適合しやすくなる。
吸収性コア4に開口5が複数並行して設けられ、中間部の最も幅狭な部分で開口5が吸収性コア4の外縁近くに形成される場合、尿等の前後方向yへの拡散を促進して、幅方向xへの横漏れが防止されるように、次のように拡散層6が設けられることが好ましい。すなわち、中間部の最も幅狭な部分で、拡散層6の最外方にある外縁が開口5の最外方にある外縁から3mm以内の領域(より好ましくは2mm以内の領域)にあり、拡散層6の移送部6Bが開口5の後側端より10mm以上(より好ましくは20mm以上)後方に存在していることが好ましい。このように拡散層6が配されれば、中間部の最も幅狭な部分では、拡散層6が吸収性コア4の外縁まで延在しないことなる。従って、当該部分で尿等は吸収性コア4の外縁まで拡散しにくくなり、尿等の幅方向xへの横漏れが防止されるようになる。そして、尿等は、より多くの量が開口5の後側端を越えて後方に拡散できるようになる。
拡散層6の最外方にある外縁は、幅方向xの一方側と他方側(右側と左側)に合計2つ存在する。図1や図4に示されるように、中間部の最も幅狭な部分で拡散層6が複数設けられる場合は、幅方向xの中心線(前後方向yに延びる中心線)を挟んだ一方側または他方側で、幅方向xに対し最外方にある外縁(拡散層6の外縁)が、拡散層6の最外方にある外縁となる。図4では、吸収性コア4の前後方向yの中間部の最も幅狭な部分における拡散層6の最外方にある外縁と開口5の最外方にある外縁の間の長さが、矢印13で表されている。そして、矢印13で表される部分の長さが3mm以下であることが好ましい。拡散層6の最外方にある外縁は、図4に示すように開口5の最外方にある外縁よりも幅方向xの外方にあってもよく、拡散層6の最外方にある外縁と開口5の最外方にある外縁とが一致していてもよく、拡散層6の最外方にある外縁が開口5の最外方にある外縁よりも幅方向xの内方にあってもよい。
本発明の吸収性物品は、図1〜図4に示した吸収性物品1のように股部が幅狭に形成された吸収性物品に好適に適用できるが、それ以外の吸収性物品にも当然適用できる。
本発明の吸収性物品は、吸収性コアとトップシートの間に補助吸収性コアが設けられてもよい。これについて、図5〜図7を用いて説明する。図5〜図7には、図1〜図3に示した吸収性物品1の吸収性コア4とトップシート2の間に補助吸収性コア7を設けた吸収性物品を示した。図5は、吸収性物品として尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。図6は、図5の吸収性物品のC−C断面図を表す。図7は、図5の吸収性物品のD−D断面図を表す。下記の説明において、図1〜図3の実施態様と重複する部分の説明は省略する。
図5〜図7に示した吸収性物品1は、吸収性コア4とトップシート2の間に補助吸収性コア7が設けられている。補助吸収性コア7は、吸収性コア4の開口5の少なくとも前側部分を覆わないように設けられることが好ましい。このように補助吸収性コア7が設けられることにより、吸収性コア4の開口5に尿等が移行しやすくなって、尿等が開口5に設けられた拡散層6を通って拡散できるようになる。なお補助吸収性コア7は、吸収性コア4に使用可能な吸収性材料から構成されていればよい。
補助吸収性コア7は、吸収性コア4の開口5の後側端を覆うように設けられることが好ましい。この場合、開口5の後側端には尿等を収容可能なポケット5Pが形成されることとなる。このように補助吸収性コア7が設けられれば、開口5の後側端に一度に大量の尿等が移行しても、ポケット5Pで尿等が開口5の前方に戻されて、尿等が開口5から溢れることなく吸収性コア4や補助吸収性コア7で吸収されるようになる。
補助吸収性コア7は、吸収性物品の着用者が着座した際、着用者の臀部が載るように設けられることが好ましい。従って、補助吸収性コア7は、吸収性コア4の後側部と重なって設けられることが好ましい。このように補助吸収性コア7が設けられれば、吸収性コア4の開口5に尿等が溜まっても、着用者は、吸収性物品を強く圧迫する臀部付近で尿等の逆戻りによる不快感を覚えにくくなり、着用感が向上する。
また補助吸収性コア7には、着座時に着用者の臀部が載るようにしつつ、開口5が補助吸収性コア7で覆われない部分をより広く確保する点から、前側縁に切欠きが形成されていることが好ましい。補助吸収性コア7の前側縁に切欠きが形成されていれば、前側縁の切欠きが形成されない部分や切欠きが浅く形成された部分では、補助吸収性コア7に着用者の臀部の左右の膨らみが当たって、着座時に補助吸収性コア7に着用者の臀部を載せやすくなる。一方、前側縁の切欠きが深く形成された部分では、開口5のより多くの部分が補助吸収性コア7に覆われなくなり、開口5での尿等の拡散性が向上する。
補助吸収性コア7の前側縁に形成される切欠きの形状は特に限定されない。切欠きの形状としては、略V字形状、略U字形状、台形の底辺が欠けた形状等が挙げられるが、略V字形状であることが好ましい。切欠きの形状が略V字形状であれば、開口5の補助吸収性コア7が重ならない部分の面積を広くとりやすくなるとともに、補助吸収性コア7の面積を広くとりやすくなる。