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JP5590447B2 - 地震動が抑制可能な建築地盤構造およびその構築方法 - Google Patents
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地震動が抑制可能な建築地盤構造およびその構築方法 Download PDF

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Description

この発明は、建築物において、地震による振動、特にS波と称される水平方向の地震動を速やかに抑制することのできる地震動が抑制可能な建築地盤構造と、その構築方法に関するものである。
免震装置の基本原理は、地下から伝播してくる地震動に対して、建物の塑性変化を許すことによって、地振動の伝達を抑制するもので、比較的規模の大きなコンクリート構造物においては、上下一対の板間にゴム状弾性体と金属板とを交互に積層成型してなる、積層ゴムアイソレータが免震装置(例えば、特公平06−60539号公報)として用いられている。
これに対し、例えば、木造住宅においても、耐震性および免震性を備えた免震装置が提案されている。
すなわち、特開平10−30276号公報(特許文献1)では、ベースと立ち上がりを同時に造成した基礎コンクリートの底は、発泡樹脂等から成るマットを敷き、前記基礎コンクリート上に起立した柱には連結金具を介して梁を連結する。
前記連結金具は、梁に当接して固定した背板から垂直に支持板を延ばすとともに、前記支持板には支持溝を形成し、一方の梁にはその端面からスリット溝を形成して、前記スリット溝を貫通してピンを水平に取り付けるとともに、このスリット溝に支持板を嵌入し、前記ピンを支持溝に係止して連結し、壁板及び床板には、発泡スチロール等の芯材の両面に合板を貼着した板材を用いた木造住宅構造が提案されている。
また、特許第3761803号公報(特許文献2)では、建物が構築される地盤に形成された地盤側基礎と、建物の下部に構成され、前記地盤側基礎の上に置かれる建物側基礎との間に、少なくとも1つの摩擦軽減機構と、少なくとも1つのヨーイング防止機構とを設けた建物減震用基礎構造が提案されている。
前記発明において、前記摩擦軽減機構とは、前記地盤側基礎に設けられた所定の面積を持つ板材と、前記板材の上を前記建物側基礎と共にスライド可能な滑動部材とから構成されたものである。
また、前記滑動部材とは、鋼材等の金属、セラミック、樹脂体のいずれか、あるいはそれらの下面の少なくとも一部に、摩擦軽減用の樹脂材を固着または塗布したものである。
さらに、前記板材とは、鋼板等の金属板、セラミック板、樹脂板、石板、コンクリート板のいずれか、あるいはそれらの上面の少なくとも一部に摩擦軽減用の樹脂材を固着または塗布したものとされている。
また、特開2002−70039号公報(特許文献3)においては、住宅が構築される地盤側基礎と、住宅の下部に構成され、前記地盤側基礎の上に置かれる住宅側基礎との間に摩擦軽減材を設けること、および前記住宅側基礎と前記地盤側基礎との間には、前記住宅側基礎が地震に伴う振動により前記地盤側基礎に対して変位した際に、前記住宅側基礎を元の位置に自動的に復帰させるための自動復帰機構を複数箇所に設けることが開示されている。
また、特開2007−285092号公報(特許文献4)では、建物に対応する表層地盤の全部又は一部に、特定の厚みと減衰係数および使用時の卓越周波数を有するマットを敷設することが開示されている。
さらに、特開2003−147783号公報(特許文献5)では、地面側に配設される鉄筋コンクリートと、建築物本体を支えるベタ基礎との間に、少なくとも二枚以上の、表面活性の大きな塩化ビニールシートからなるシート部材は介在させた建築物の免震基礎が開示されている。
特開平10− 30276号公報(特許請求の範囲) 特許第3761803号公報(特許請求の範囲) 特開2002−70039号公報(特許請求の範囲) 特開2007−285092号公報(特許請求の範囲) 特開2003−147783号公報(特許請求の範囲)
前記免震アイソレータは、安定した構造で、その性能については多くの実績があるものの、その装置は構造上複雑であって、規模も大きく重量があるため、取り扱いに際し、専門的な技術が必要である。
また、施工に際しては様々な機械器具や多くの労力を要するため、一般の木造住宅には適用し難いという課題が残されている。
これに対し、木造住宅用に提案されている特許文献2〜5のいずれに記載の発明も、地盤側に設けられる基礎と、建物の下部に設けられる基礎との間に、摩擦軽減機構および/または滑動部材を介在させるというもので、それぞれの作用効果が各文献に記載されている。
しかしながら、特許文献2では、建物が地盤側の基礎上のある点を中心として回動させるためのヨーイング防止機構を有し、実施に際しては、建物側の基礎に貫通穴を形成する必要があるなど、施工に労力と費用を有するものである。
さらに、各文献において使用される減衰用の部材は、シート状あるいはマット状のものであって、施工に際しては、その取り扱いが難しいなど解決すべき多くの課題がある。
特に、シートを利用する場合には、シートが敷設されるコンクリートの表面は、施工精度の限界からある程度の撓みや起伏、凹凸が避けられないという事情から、地振動に対して水平方向にスムーズに滑動するという所期の動作を検証することができない。
この発明はかかる現状に鑑み、単純な構造で、入手が容易でかつ加工性に優れ、しかも施工時の取り扱いが容易で、木造住宅にも適用ができるとともに、地震動を抑制する一定以上の性能が保障できる品質を確保することのできる地震動が抑制可能な建築地盤構造およびその構築方法を提供せんとするものである。
前記目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の発明は、
地盤に形成された根切り部内に、表面全体が平坦な人工地盤を形成し、
前記人工地盤の表面上に、あらかじめ所要の形状と厚さおよび大きさに加工された板状の樹脂製発泡体からなる滑動体の複数を、前記根切り部の内側面との間に所要の隙間を存して、全面に亘って隙間なく敷設するとともに、
前記根切り部内に敷設された前記滑動体の上面に、同一素材と形状からなる上部滑動体を、少なくとも1段以上、各上部滑動体の隣接する境界面が上下方向において互いに近接しないように前記根切り部の内側面との間に所要の隙間を存して、全面に亘って積層して敷き詰め、
前記上部滑動体の上面に、基礎スラブの底面部全体が平坦に形成されたベタ基礎の前記底面部を当接させ、
前記上下に積層される滑動体は、前記人工地盤と前記基礎コンクリート間に垂直に配置される緩衝部材と所要の間隔を存して係合していること
を特徴とする地震動が抑制可能な建築地盤構造である。
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造において、
前記人工地盤は、
前記根切り部内に所定の厚みで平坦に敷設された割栗石の表面に、捨てコンクリートを所要厚みでかつ平坦に打設して構成されていること
を特徴とするものである。
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造において、
前記上下に積層される滑動体は、
直角な方向の載荷による圧縮試験によって求められる圧縮強度と、平行な方向の一面せん断試験によって求められる摩擦係数が保持されていること
を特徴とするものである。
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項に記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造において、
前記人工地盤上に敷設された滑動体の縁部と、前記根切り部の内側面との間に形成された隙間には、緩衝用の樹脂製発泡体が上下方向に積層されていること
を特徴とするものである。
この発明の請求項5に記載の発明は、
前記請求項又はに記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造において、
前記隙間は、
その上部開口部が、カバー部材で覆われていること
を特徴とするものである。
この発明の請求項6に記載の発明は、
前記請求項1〜のいずれかに記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造において、
前記滑動体は、
ポリエチレン系又はスチロール系の細かな気泡を含ませた樹脂発泡体からなることを特徴とするものである。
この発明の請求項7に記載の発明は、
前記請求項1に記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造において、
前記ベタ基礎は、
少なくとも底面部全面が平坦な基礎スラブの周縁沿って一体的に形成されたつなぎ梁の内側面と前記基礎スラブの内底面とが断面三角形状の梁部材によって一体的に結合されていること
を特徴とするものである。
さらに、この発明の請求項8に記載の発明は、
建築物を構築するための地盤に、所要の大きさでかつ深さを有する根切り部を掘削したのち、
前記根切り部内に、所要の厚みで表面が平坦な人工地盤を全面に亘って形成し、
前記人工地盤の表面に、少なくとも前記根切り部の内面と所要の間隔を存して、所要の厚みと大きさを有する板状の樹脂製発泡体からなる滑動体の複数を、隙間なく敷設するとともに、
前記滑動体の上面に、同一素材と形状からなる上部滑動体を、少なくとも1段以上、前記根切り部の内側面との間に所要の隙間を存して、上部滑動体の隣接する境界面が、上下方向において互いに近接しないように全面に亘って積層して敷き詰め、
前記上下に積層される滑動体を、前記人工地盤と前記基礎コンクリート間に垂直に配置される緩衝部材と所要の間隔を存して係合させ、
しかるのち、前記上部滑動体の上面に、基礎スラブの底面部全体が平坦に形成されたベタ基礎の前記底面部を当接させ形成すること
を特徴とする地震動が抑制可能な建築地盤構造の構築方法である。
この発明にかかる地震動が抑制可能な建築地盤構造は、建築物を構築するための地盤に掘削された根切り部内に、割栗石や捨てコンクリートなどからなる表面が平坦な人工地盤上に、上下方向に少なくとも2段以上となるように、あらかじめ所要の形状と厚さおよび大きさに加工された板状の樹脂製発泡体からなる滑動体の複数が、隙間なく積層状態で敷設されているので、地振動によって接合面における滑動体が塑性変位するとともに、滑動体の水平方向の移動によって地振動を抑制することができるものである。
特に、前記滑動体は比重がきわめて小さいため、全面への敷設によって地盤の一部を軽量化させたのと同じ効果が得られ、支持力が不足する地盤の場合には、地盤改良の効果も得られるものである。
さらに、前記滑動体として樹脂製発泡体を使用するので、入手がきわめて容易であるとともに、あらかじめ工場において、適用する現場に合わせて所要の形状と厚さおよび大きさに加工することができるので可搬性に優れ、現場においては、単にこれを全面に敷設するだけでよいため施工作業がきわめて簡素化され、作業能率が大幅に向上される。
さらにまた、前記の滑動体は軽量であるとともに、大きさや寸法などに誤差が生じても現場において、容易に修正加工することが可能なもので、現場において特殊な機器や技能を必要とせず、騒音や振動の発生がなく、作業性に優れたものである。
さらにまた、樹脂発泡体からなる滑動体は、対衝撃性に優れているので、その厚みを適宜設定することによって、P波と称される鉛直方向の地振動に対してもある程度抑制効果を発揮させることができ、同時に断熱効果を奏させることも可能なものである。
さらにまた、この発明にかかる地震動が抑制可能な建築地盤構造の構築方法は、建築物を構築するための地盤に、地震動を速やかに吸収することのできる地盤構造を容易に構築することができるとともに、得られた地盤構造は前記の優れた効果を奏するものである。
この発明にかかる地震動が抑制可能な建築地盤構造の概略説明図である。 図1における要部の拡大参考図である。
以下、この発明にかかる地震動が抑制可能な建築地盤構造の実施の形態を、図面に基づいて具体的に説明する。
この発明にかかる地震動が抑制可能な建築地盤構造1は、図1で明らかなように、敷地内の所定の地盤2に掘削形成される根切り部3内に、所定の厚みで形成される表面が平坦な人工地盤5と、この人工地盤5の上面に少なくとも2段以上積層される板状の樹脂製発泡体からなる滑動体7,8と、上段側の滑動体(上部滑動体)8の上面に積層重合されるベタ基礎9とから構成されるものである。
前記人工地盤5は、この実施例では、厚さ約120mmの高さで充填された割栗石4およびその表面に打設された厚さ約30mmの捨てコンクリート6とで形成されているが、根切り部3の底部にコンクリートを一定厚さで打設して形成してもよい。
要は、この人工地盤5の表面は凹凸が存在せず平坦で、載置した前記滑動体が水平方向にスムーズに移動可能なように可能な限り平坦面とあることが好ましい。
前記滑動体7,8は、この実施例においては上下方向に2段積層されたもので、いずれもポリエチレン又はスチロールなどの細かな気泡を含ませた樹脂製発泡体からなるものである。
なお、樹脂そのものは元来滑動性を有するものであるが、これを発泡体に成型すると含まれる細かな気泡によって粗しょう化して滑動性が損なわれるので、好ましくは、その表面を熱処理して薄い滑動層を形成して滑動性を向上させて使用するものである。
かかる素材からなる滑動体7,8は、平常時は、上部の構造物(戸建て住宅)からの鉛直方向の荷重に対して十分な支持力を有し、地震時には上下方向における滑動体の接触面において水平方向のスムーズな滑動を発生させる観点から、各滑動体7,8は、あらかじめ板面と直角方向の載荷による圧縮試験によって求めた圧縮強度と、板面と平行な方向の一面せん断試験によって求めた摩擦係数が得られたものが使用される。
この滑動体7,8は、いずれも人工地盤5表面に全面的に隙間なく敷設されるもので、適用される構造物の大きさや重量などによって、生産工場などで事前に所定の性状を有する樹脂製発泡体の選択と、滑動性能や施工性、さらには可搬性の観点から所定の厚さや大きさなどに加工される。
これら滑動体7,8を隙間なく敷設するのは、建築物をしっかりと支持して安全を確保するためで、上部からの荷重をできるたけ分散させ、均等化することによって、滑動体内部に発生する鉛直方向の応力を小さくすることができる。
さらに、地震は3次元の複雑な荷重が作用するので、滑動体が可能な限り安定した機能を発揮できるよう、力の伝達をスムーズに行わせることができる。
なお、隣接する滑動体7,7、8,8間に隙間が生じると、その隙間にごみや小動物・植物、さらには地下汚水などが侵入し、滑動体の表面からの劣化を促進するおそれがあるので、隙間なく敷設することで、これらのおそれを防止することができる。
前記人工地盤5上に積層する滑動体は、少なくとも上下2段となるように積層するものであるが、3段であっても、それ以上であっても特段の制限はないので、費用対効果の観点、および地盤の強弱の観点から適宜判断すればよい。
その際、各滑動体7,8は、厚さが30〜300mm程度、大きさは一辺が1000〜3000mmであるが、この点についても特段の制限はないので、費用対効果の観点、および地盤の強弱の観点から適宜判断すればよい。
なお、上下の滑動体の厚さは必ずしも同一である必要性はなく、3段以上に積層する場合には、中間に介在する滑動体の厚さを薄くすることもできる。
前記ベタ基礎9は、前記上段側の滑動体8の表面に積層重合されるものであって、その基礎スラブ9aの厚さは、構築しようとする建築物の重量によって適宜選定されるものである。
このベタ基礎9は、その周縁部に沿って一体的に形成される所要高さと厚みを有するつなぎ梁9bを有し、前記スラブ基礎9aの内底面とつなぎ梁9bとは、断面が三角形状の梁部材9cによって補強されているが、前記梁部材は他の形状の梁部材であってもよく、要は、その底面が平坦面であればよい。
敷地内の地盤2に、建築しようとする住宅の大きさに合わせて、所定の深さ(実施例では約300mm)の根切り部3を掘削したのち、この根切り部3の底部に高さが約120mm程度となるように割栗石4を全面に敷き詰める。
しかるのち、前記割栗石4の表面にコンクリートを厚さが約30mm程度となるよう流し込んで捨てコンクリート6を打設して、厚さ約150mmの人工地盤5を形成する。
その際、捨てコンクリート6の表面は、可能な限り大きな凹凸が生じないように平らに形成することが好ましい。
前記捨てコンクリート6が乾燥固化したのち、前記捨てコンクリート6の表面全体に、まず滑動体7を隙間なく敷設する。
使用した滑動体7は、ポリエチレン系の樹脂製発泡体であって、厚さ約30mm、大きさが一辺1000mmのものである。
前記人工地盤5への滑動体7の敷設が終了すると、ついで、この滑動体7の上面に、同一素材からなる同一の大きさの隙間なく滑動体(上部滑動体)8を敷設する。
その際、上下方向に積載される各滑動体7,8の左右の境界面7a,8a が同一位置にある場合には、地震時に上段と下段が相対変位を生じた場合、上下の境界面7a,8a同士が干渉し、各滑動体7,8が損傷するおそれがある。
したがって、図2に示すように、上段側の滑動体8,8同士の境界面8aの位置と、下段側の滑動体7,7同士の境界面7aの位置と互いに近接しないようにして敷設するものである。
この滑動体8の人工地盤5表面への敷設は、根切り部3の内側面から始めることも可能である。
この場合、敷設された滑動体8の水平方向への移動を殆どさせることができないので、内側面から所要の隙間12(実施例では約30mmであるが、通常は300〜800mm程度)を存して敷設する。
かかる構成からなる地震動が抑制可能な建築地盤構造1は、地震時にS波が到来した場合には、まず人工地盤5上に隙間なく敷設された滑動体7に伝達されるとともに、滑動体7と人工地盤5が、同時に水平方向に滑動して地震による揺れを吸収ないし軽減させるので、震度の小さな地震の場合には、建築物は殆ど揺れることがない。
一方、震度の大きな地震の場合には、滑動体7のみでは揺れを吸収することができないので、その揺れが上方の滑動体8にも伝えられ、滑動体7と滑動体8が水平方向に滑動して相対移動し、地震波をある程度吸収することができので、地震動はベタ基礎9に軽減されて伝えられる、建築物自体の揺れを緩和させることができる。
しかしながら、震度の大小の如何に関わらず上方の滑動体8が水平方向に相対移動すると、例えば強風などによっても建築物が揺れるおそれがあるので、震度がある一定の値を超えた場合にのみ、上段の側の滑動体8が水平方向にスライドさせることが好ましい。
その際、どの程度の地震動に対して、滑動体7および8を滑動させるかは、建築物が受ける風の力との関係で決定されるもので、風で可動するようでは困るので、実際には、風による横揺れ防止装置を付加することも検討される。
なお、鉛直方向の地震動のP波は、人工地盤5を介して直接滑動体7,8に伝えられるので、滑動体7,8の総計の厚みによって対衝撃性が発揮され、衝撃が緩和されることを期待することができる。
図2において、符号11は、人工地盤5の表面部に鉛直に固定されたゴムなどの弾性体からなる柱状の復元補助部材(以下、「緩衝部材」ともいう)である。
この緩衝部材11の柱状部を、前記上下に積層された滑動体7,8の所要位置で、かつ相対する位置に貫通させて形成した隙間7b,8bを貫通させたのち、先端部を人工地盤5の上面部に係着固定させ、水平方向に移動した滑動体7,8を元の位置に復帰させるためのものである。
なお、上部滑動体8に形成された隙間8bの上部には、隙間8bや7bに不要なコンクリートの欠片などが入り込まないようにシール(図示せず)を設けて、隙間8bを閉塞することが好ましい。
さらに、前記根切り部3の内周面とベタ基礎9の外周面間に形成される隙間12には、少なくとも前記上部滑動体8が水平方向に滑動する際、そのスムーズな滑動が妨げられないように、前記所要の厚みと大きさを有する弾性の板状体、もしくは緩衝用の弾性を有する充填材13を充填して、隙間12を完全に塞ぐことが好ましい。
その際、この隙間12の開口部には、充填材カバー14を設けることによって、隙間12の開口部を閉止することが好ましい。
この実施例においては、人工地盤5とベタ基礎9との間には、上下2段に滑動体7,8を介在させたものを示したが、人工の地盤5表面に隙間なく敷設する滑動体は、少なくとも1段上であればよく、図示した滑動体7と8との間に、大きさや厚さの同一な滑動体もしくは性状や大きさ、厚さの異なる滑動体を介在させて3層、あるいはそれ以上に積層することも可能なものである。
この場合、上下方向に積層される滑動体全体の厚みがますので、P波に対する震度の吸収が高まるとともに、断熱効果も向上し、かつ地盤改良の効果を得ることができるが、段数と滑動体全体の厚みなどは、地盤の性状や住宅の大きさ、布基礎や地盤側基礎にかかる荷重に基づいて設定されるものである。
この発明にかかる地震動が抑制可能な建築地盤構造および構築方法は、人工地盤とベタ基礎との間に上下方向に相対させて樹脂製発泡体からなる滑動体を介在させて地盤構造を構成しているので、前記滑動体が上部からの荷重に耐えるものであれば、木造の建築物であっても、コンクリート製の建築物であっても利用することができるものである。
1 地震動が抑制可能な建築地盤構造
2 地盤
3 根切り部
4 割栗石
5 人工地盤
6 捨てコンクリート
7 滑動体
8 滑動体(上部滑動体)
9 ベタ基礎
10 土台
11 復元補助部材(緩衝部材)
12 隙間
13 充填材
14 カバー部材

Claims (8)

  1. 地盤に形成された根切り部内に、表面全体が平坦な人工地盤を形成し、
    前記人工地盤の表面上に、あらかじめ所要の形状と厚さおよび大きさに加工された板状の樹脂製発泡体からなる滑動体の複数を、前記根切り部の内側面との間に所要の隙間を存して、全面に亘って隙間なく敷設するとともに、
    前記根切り部内に敷設された前記滑動体の上面に、同一素材と形状からなる上部滑動体を、少なくとも1段以上、各上部滑動体の隣接する境界面が上下方向において互いに近接しないように前記根切り部の内側面との間に所要の隙間を存して、全面に亘って積層して敷き詰め、
    前記上部滑動体の上面に、基礎スラブの底面部全体が平坦に形成されたベタ基礎の前記底面部を当接させ、
    前記上下に積層される滑動体は、前記人工地盤と前記基礎コンクリート間に垂直に配置される緩衝部材と所要の間隔を存して係合していること
    を特徴とする地震動が抑制可能な建築地盤構造。
  2. 前記人工地盤は、
    前記根切り部内に所定の厚みで平坦に敷設された割栗石の表面に、捨てコンクリートを所要厚みでかつ平坦に打設して構成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造。
  3. 前記上下に積層される滑動体は、
    直角な方向の載荷による圧縮試験によって求められる圧縮強度と、平行な方向の一面せん断試験によって求められる摩擦係数が保持されていること
    を特徴とする請求項1に記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造。
  4. 前記人工地盤上に敷設された滑動体の縁部と、前記根切り部の内側面との間に形成された隙間には、板状の樹脂製発泡体が上下方向に積層されていること
    を特徴とする請求項に記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造。
  5. 前記隙間は、
    その上部開口部が、カバー部材で覆われていること
    を特徴とする請求項又はに記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造。
  6. 前記滑動体は、
    ポリエチレン系又はスチロール系の細かな気泡を含ませた樹脂発泡体からなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造。
  7. 前記ベタ基礎は、
    少なくとも底面部全面が平坦な基礎スラブの周縁沿って一体的に形成されたつなぎ梁の内側面と前記基礎スラブの内底面とが断面三角形状の梁部材によって一体的に結合されていること
    を特徴とする請求項1に記載の地震動が抑制可能な建築地盤構造。
  8. 建築物を構築するための地盤に、所要の大きさでかつ深さを有する根切り部を掘削したのち、
    前記根切り部内に、所要の厚みで表面が平坦な人工地盤を全面に亘って形成し、
    前記人工地盤の表面に、少なくとも前記根切り部の内面と所要の間隔を存して、所要の厚みと大きさを有する板状の樹脂製発泡体からなる滑動体の複数を、隙間なく敷設するとともに、
    前記滑動体の上面に、同一素材と形状からなる上部滑動体を、少なくとも1段以上、前記根切り部の内側面との間に所要の隙間を存して、上部滑動体の隣接する境界面が、上下方向において互いに近接しないように全面に亘って積層して敷き詰め、
    前記上下に積層される滑動体を、前記人工地盤と前記基礎コンクリート間に垂直に配置される緩衝部材と所要の間隔を存して係合させ、
    しかるのち、前記上部滑動体の上面に、基礎スラブの底面部全体が平坦に形成されたベタ基礎の前記底面部を当接させ形成すること
    を特徴とする地震動が抑制可能な建築地盤構造の構築方法。
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