JP5590902B2 - Anti-floating structure for multi-layer buildings - Google Patents
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Description
本発明は多層建築物の浮上り防止構造に関し、とくに各柱の下部を基礎部から切り離した多層建築物の浮上りを防止する構造に関する。 The present invention relates to a structure for preventing a multi-layered building from rising, and more particularly, to a structure for preventing a multi-layered building from rising from a lower part of each pillar separated from a foundation.
多層建築物を解体する場合に、従来は建設時と逆の順序で躯体やコンクリートを上層階から下層階へと順次破砕又は切断する工法が一般的に採用されている。しかし、上層階から解体する工法は、先ず最上階に解体装置(小型の重機等)を設置したうえで解体に応じて順次下層階へ移動させる作業が必要があり、周囲への振動・騒音・飛石・粉塵等の拡散や飛散を防止するために解体工事に先行して建築物の全体を覆う養生仮設を設ける作業も必要であり、これらの作業が工期、コストを増加させる要因となっている。これに対し、多層建築物の各柱の下部にジャッキを介装し、建築物をジャッキにより徐々に降下(ジャッキダウン)させながら下層階から上層階へと順次解体する工法(以下、ジャッキダウン工法ということがある)が開発されている(特許文献1〜3参照)。
When demolishing a multi-layered building, conventionally, a construction method is generally employed in which the frame and concrete are sequentially crushed or cut from the upper floor to the lower floor in the reverse order of construction. However, in the method of dismantling from the upper floor, it is necessary to first install a dismantling device (small heavy machinery, etc.) on the top floor and then move it to the lower floor in accordance with the dismantling. In order to prevent the diffusion and scattering of stepping stones and dust, it is also necessary to install a temporary curing covering the entire building prior to the demolition work, and these work increase the construction period and costs. . On the other hand, a jack is installed at the bottom of each pillar of a multi-layered building, and the building is gradually demolished from the lower floor to the upper floor while the building is gradually lowered (jacked down) by the jack (hereinafter referred to as the jack down construction method). Have been developed) (see
図9は、ジャッキダウン工法による多層建築物の解体手順の一例を示す。先ず多層建築物1の特定下層階(図示例では地上階F1)の上部荷重を負担する全ての柱Pの下部を基礎部Bから切り離してジャッキ6を介装し、そのジャッキ介装階F1に解体装置5を進入させて柱以外の躯体やコンクリート(壁等)を解体撤去する(同図(A))。次いで、全ての柱Pのジャッキ6を同時に縮める収縮ステップと、柱P相互間で荷重分担しながら各柱Pのジャッキ6の直上部を順次に吊るし切りしてジャッキ6を伸ばす伸張ステップとを繰り返すことにより、ジャッキ上方の柱に結合した各階層を徐々に降下させる(同図(B))。ジャッキ上方の各階層を1階層降下させたのち、降下した上層階(図示例では2階F2)に解体装置5を進入させて柱以外の躯体やコンクリート(床梁又は床板、壁等)を解体撤去する(同図(D))。図9(E)は、上階層の解体後に同図(A)と同じ状態に復帰することを示しており、上述したジャッキ上方の各階層の降下ステップ(同図(B))と降下した階層の解体ステップ(同図(D))とを同様に繰り返すことにより、3階以上の各階層についても順次解体することができる(同図(F))。
FIG. 9 shows an example of the procedure for dismantling the multi-layered building by the jack-down method. First, the lower part of all the pillars P which bear the upper load of the specific lower floor of the multi-layered building 1 (the ground floor F1 in the illustrated example) is separated from the base part B and the
図9のジャッキダウン工法によれば、解体装置5を上層階へ移動させる手間を省き、多層建築物1の全体の解体作業を地上で行うことができる。また、高所作業に伴う周囲への影響を小さく抑え、低層階のみを覆う簡単な養生仮設によって飛石や粉塵等の周囲への飛散を有効に防止できる。しかも、建築物1の高さに拘わらず同じ工程速度で解体作業を進めることができ、クレーン等を用いる従来工法に比して多層建築物1を短工期で効率的に解体することが期待できる。
According to the jack-down method of FIG. 9, the labor for moving the dismantling apparatus 5 to the upper floor can be saved, and the entire dismantling work of the
しかし、ジャッキダウン工法では、図9(A)に示すように多層建築物1の各柱Pが基礎部Bから切り離された構造となるため、解体中に建築物1が構造的に不安定な状態となりやすい。ジャッキ6の収縮時に生じる不安定状態はジャッキ6の連動制御等によって小さく抑えることも期待できるが、地震時・風負荷時等に建築物1に加わる水平荷重(せん断力)をジャッキ6の連動制御のみによって抑えることは困難であり、各柱Pに大きなせん断力が加わるとジャッキが座屈し又は破損するおそれがある。また、建築物1のアスペクト比(高さ/幅の比率)が大きな場合は、大規模な地震力・風負荷が加わると外周部等の柱Pに引抜き力が生じて浮上り、或いは外周部等の柱Pがジャッキ6の上で水平方向に捩れて(偏心して)ジャッキが破損するおそれがある。
However, in the jackdown method, as shown in FIG. 9 (A), each pillar P of the
解体中の多層建築物1を構造的に安定な状態に維持するため、図9のジャッキダウン工法では、建築物1の柱Pで囲まれた区画内に基礎部Bからジャッキ介装階(図示例では地上階F1)を貫く高さの荷重伝達構造体(コア壁等)7を設けている(同図(A)参照)。その区画の上層階(図示例では2階F2)の周囲柱に荷重伝達構造体7の外面に沿って荷重伝達梁8を架け渡し、降下ステップ(同図(B))のジャッキ6の収縮時にジャッキ上方の各階層を荷重伝達梁8と共に荷重伝達構造体7の外面に沿って徐々に降下させ、上層階に加わる水平荷重(せん断力)を荷重伝達梁8及び荷重伝達構造体7を介して基礎部Bへ伝達して逃がすことにより、解体中の建築物に地震や風負荷に対する十分な耐震・耐風性能を確保する。また、ジャッキ6の収縮時以外は、荷重伝達梁8と荷重伝達構造体7との間に楔等を打ち込んで両者を結合することにより、解体中の建築物1が構造的に不安定な状態となることを防止する。更に、降下した上層階F2を解体する前に、荷重伝達梁8をその階F2から取り外してその直上階F3の区画の周囲柱に付け替えることにより(同図(C)参照)、3階以上の各階層の解体に際しても同様の耐震・耐風性能を確保している(同図(E)参照)。
In order to keep the
しかし、図9のように荷重伝達構造体7及び荷重伝達梁8を用いる方法では、建築物1に加わるせん断力の影響を小さく抑えることはできても、建築物1に加わる引抜き力(浮上り力)に十分抵抗できない問題点がある。例えばアスペクト比の大きな多層建築物1では、せん断力を基礎部Bに逃がしたとしても、大規模地震時等に建築物1が振り子状に揺動して外周部の柱Pに浮上り荷重が加わることが懸念される。ジャッキダウン工法の安全を確保するためには、せん断力だけでなく浮上り力についても構造的に抵抗できる状態に多層建築物1を維持することが求められる。また、図9の方法では、ジャッキ6の収縮時以外は荷重伝達梁8と荷重伝達構造体7とを結合しているため、ジャッキ6の収縮時(建築物1の降下時)に結合を解除する必要があり、ジャッキ6の収縮作業が煩雑となり手間がかかる問題点もある。多層建築物を短工期で効率的に解体できるというジャッキダウン工法の利点を生かすためには、ジャッキの収縮を妨げることなく多層建築物を常時安定な状態に維持することが重要である。
However, in the method using the
そこで本発明の目的は、各柱を基礎部から切り離した多層建築物において柱の降下を妨げることなく柱の浮上りを防止する構造を提供することにある。 Therefore, an object of the present invention is to provide a structure that prevents the column from rising without interfering with the descent of the column in a multi-layered building in which each column is separated from the foundation.
図1の実施例を参照するに、本発明による多層建築物の浮上り防止構造は、多層建築物1の各柱Pの下部を基礎部Bから切り離し、建築物1の地震時に浮上り力を受ける柱P1、P4の側面と基礎部B又は基礎部Bに連結した荷重伝達躯体10とを所定間隙dで対向させ、対向間隙dに柱Pの浮上り時に間隙dを閉塞し且つ柱Pの降下時に閉塞を解除する楔機構20を設けたものである。
Referring to the embodiment of FIG. 1, the structure for preventing the lifting of a multi-layered building according to the present invention separates the lower part of each pillar P of the
好ましくは、図1(D)に示すように、楔機構20に、基礎部B又は荷重伝達躯体10の間隙対向面に固定したテーパ付き楔受け材22と、柱Pの間隙対向面に摩擦係合しつつ対向間隙dに下方から嵌合するテーパ付き楔材21と、楔材21を基礎部B又は荷重伝達躯体10に支持しつつ対向間隙dの下方に保持する保持部材23とを含める。保持部材23には、楔材21を上方へ押圧する弾性部材24を含めることができる。また、図4に示すように、楔受け材22又は楔材21の対向面に静摩擦係数μ1の小さな滑り面22aを設けることが望ましい。
Preferably, as shown in FIG. 1D, the
或いは,図5に示すように,楔機構20に,柱Pの間隙対向面に固定したテーパ付き楔受け材22と,基礎部B又は荷重伝達躯体10の間隙対向面に摩擦係合しつつ対向間隙dに上方から嵌合するテーパ付き楔材21とを含めてもよい。この場合は,図5に示すように,多層建築物1の各柱Pの下部を基礎部Bから切り離し,建築物1の地震時に浮上り力を受ける柱P1,P4と対向する基礎部B又は基礎部Bに連結した荷重伝達躯体10に鉛直溝14を設け,柱Pにその鉛直溝14内へ嵌入するブラケット15を取り付け,鉛直溝14の両側面とブラケット15との対向間隙dにそれぞれ柱Pの浮上り時に間隙dを閉塞し且つ柱Pの降下時に閉塞を解除する楔機構20を設けることができる。また,楔受け材22又は楔材21の間隙対向面に静摩擦係数μ1の小さな滑り面22aを設けることが望ましい。更に望ましくは,図7及び図8に示すように,楔機構20に,楔材21を対向間隙dの上方に落下可能に保持する保持装置25と,建築物1の上部の揺動を検知する感震器37と,感震器37の検知信号に応じて保持装置25による楔材21の保持を解除する解除装置27とを含める。
Alternatively, as shown in FIG. 5, the
本発明による多層建築物の浮上り防止構造は、各柱Pの下部が基礎部Bから切り離された多層建築物1において、建築物1の地震時に浮上り力を受ける柱P1、P4の側面と基礎部B(又は基礎部Bに連結した荷重伝達躯体10)とを所定間隙dで対向させ、対向間隙dに柱Pの浮上り時に間隙dを閉塞し且つ柱Pの降下時に閉塞を解除する楔機構20を設けるので、次の有利な効果を奏する。
In the
(イ)柱Pに引抜き力が生じていない時は、その柱Pと基礎部B(又は基礎部Bに連結した荷重伝達躯体10)との間の対向間隙dが楔機構20により開放されているので、基礎部Bに拘束されずに柱Pを降下させ又は柱Pの位置を微調整することができる。
(ロ)地震時・強風時等に柱Pに引抜き力が生じると、その柱Pと基礎部Bとの対向間隙dを楔機構20が自動的に閉塞して柱Pの移動を拘束するので、建築物1をせん断力及び浮上り力の何れにも抵抗できる構造とすることができる。
(ハ)従って、本発明を多層建築物1のジャッキダウン工法に適用すれば、建築物1の降下(ジャッキ6の収縮)を妨げることなく地震時・風負荷時にのみ建築物1を基礎部Bに結合することが可能となり、解体中の建築物1を地震時・強風時にも構造的に安全な構造に維持できる。
(ニ)また、本発明の楔機構は基礎部Bに支持することができ、多層建築物1の降下に応じて楔機構20の付け替え作業等を省略できるので、本発明を適用することでジャッキダウン工法の省力化、短工期化を図ることができる。
(ホ)また、楔機構20にある程度の遊びを設け、地震時等に所定範囲内で柱Pの浮上りを許容する構造とすることにより多層建築物1に伝わる地震エネルギー等を低減し、建築物1の耐震性能・安全性の向上を図ることも期待できる。
(A) When no pulling force is generated in the column P, the opposing gap d between the column P and the base part B (or the
(B) When a pulling force is generated in the column P during an earthquake or a strong wind, the
(C) Therefore, if the present invention is applied to the jack-down method of the
(D) Moreover, since the wedge mechanism of the present invention can be supported by the base portion B, and the replacement work of the
(E) Further, by providing a certain amount of play to the
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
図1(A)は、図9に示したジャッキダウン工法で解体する多層建築物1に本発明の浮上り防止構造を適用した実施例を示す。図示例の建築物1は、地上階F1の上部荷重を負担する全ての柱P1〜P4の下部を基礎部Bから切り離し、各柱Pの切断した下端に上層各階の荷重を支えるジャッキ6を介装してジャッキ介装階Fvを設けたものである。ただし、ジャッキダウン工法における柱P1〜P4の切断位置(ジャッキ介装階Fvの階層)は地上階F1に限られず、建築物1の特定下層階の各柱Pを切断してジャッキ介装階Fvとすることができる。例えば、図1(C)に示すようにジャッキ介装階Fvを地下階B1又は2階F2、3階F3とし、その階Fvの上部荷重を支える全ての柱Pを基礎部Bから切り離してジャッキ介装階Fvとしてもよい。
FIG. 1A shows an embodiment in which the anti-lift structure of the present invention is applied to a
また、図示例の建築物1は、ジャッキダウン工法で解体する前に、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)(図示例では2階F2)の床梁又は床板3をダイヤモンドブレード、ワイヤーソー等によって全ての柱Pから切り離し、ジャッキ介装階Fvの直上階に解体装置5(図9参照)を進入させる解体作業階F(v+1)を設けている。各柱Pのジャッキ6を収縮させるジャッキダウン工法の降下ステップ(図9(B)参照)において、各柱Pと切り離された解体作業階F(v+1)の床梁又は床板3は降下せず、それより上方の各柱Pと結合した各階層(図示例では3階F3以上)を解体作業階F(v+1)に降下させて解体する(図9(D)参照)。解体作業階F(v+1)をジャッキ介装階Fvと別階層とすることにより、ジャッキ介装階Fvに解体装置5を進入させる図9の解体方法に比して、解体装置5とジャッキ6との接触を避けて解体作業の安全を図ると共にジャッキ介装階Fvの作業環境の改善を図ることができる。また、解体作業階F(v+1)の床梁又は床板3と基礎部Bとを壁柱等の連結構造体11で連結することにより、以下に述べる荷重伝達躯体10aの一部として解体作業階F(v+1)の床梁又は床板3を利用することが可能となる。
In addition, the
図示例の浮上り防止構造は、建築物1の地震時・風負荷時等に浮上り力を受ける外周部等の各柱P1、P4(以下、浮上り柱Pということがある)の側面と所定間隙dで対向するように基礎部Bに連結して構築した荷重伝達躯体10と、その間隙dに配置した楔機構20とを有する。図示例の荷重伝達躯体10は、連結構造体11により基礎部Bと連結された解体作業階F(v+1)の床梁又は床板3と、建築物1の外縁部に基礎部Bと連結して立ち上げた架台構造体12とにより構成されている。図示例の架台構造体12は、基礎部Bから建築物1の浮上り柱Pのジャッキ上方部分と対向する高さ(図示例では、解体作業階F(v+1)の床梁又は床板3と同程度の高さ)で立ち上げたS造又はRC造等の耐力構造体であり、地震時・風負荷時等に建築物1に加わる浮上り荷重を十分に負担できる強度、耐力、靭性を有する。基礎部Bに連結した床梁又は床板3を浮上り柱Pのジャッキ上方の内側面に所定間隙dで対向させ、基礎部Bから立ち上げた架台構造体12を浮上り柱Pのジャッキ上方の外側面に所定間隙dで対向させることにより、図2に示すように、間隙dを介して各浮上り柱Pを挟み込み又は囲むように荷重伝達躯体10を配置する。ただし、荷重伝達躯体10の構成は図示例に限定されず、例えば図5に示すように、荷重伝達躯体10を架台構造体12のみで構成し、その架台構造体12に鉛直溝14を設けると共に浮上り柱Pに溝14へ嵌入するブラケット15を取り付け、そのブラケット15と鉛直溝14の両側面との間隙dに柱Pを挟み込むように荷重伝達躯体10を配置してもよい。
The lift prevention structure in the illustrated example includes the side surfaces of the pillars P1 and P4 (hereinafter sometimes referred to as the lift pillars P) such as the outer peripheral portion that receives the lift force during an earthquake or wind load of the
図2は、建築物1の解体作業階F(v+1)の水平断面図を示し、各浮上り柱Pと荷重伝達躯体10との対向間隙dにおける楔機構20の配置を表している。楔機構20は、図1(A)に示すように柱Pの降下時には間隙dを開放し、ジャッキダウン工法の降下ステップ時(図9(B)参照)にジャッキの収縮(建築物1の降下)を許容するが、図1(B)に示すように柱Pの浮上り時には間隙dを閉塞し、柱Pと荷重伝達躯体10とを結合して柱Pの浮上りを防止するものである。図示例のように、各浮上り柱Pの両側面の間隙dにそれぞれ楔機構20を配置し、一対の楔機構20で各柱Pを両側の荷重伝達躯体10と結合可能とすることにより柱Pの浮上りを確実に防止することができる。また、浮上り柱Pの両側に楔機構20を配置することで、柱Pを荷重伝達躯体10に対して位置決めし、各柱Pのジャッキ6の収縮時(建築物1の降下時)に荷重伝達躯体10に対する柱Pの横ずれや捩れを防止することができる。ただし、楔機構20の配置位置及び数は図示例に限定されず、例えば各浮上り柱Pの周囲に3個以上の楔機構20を配置してもよい。
FIG. 2 is a horizontal sectional view of the dismantling work floor F (v + 1) of the
なお、図示例では、建築物1の2階2Fの床梁又は床板3を浮上り防止用の荷重伝達躯体10として利用するため、その床梁又は床板3とほぼ同じ高さ架台構造体12を建築物1の外縁部に構築しているが、架台構造体12は本発明の浮上り防止構造に必須のものではない。例えば図1(C)に示すように、建築物1のジャッキ介装階Fvを地下階B1に設けた場合は、建築物1の基礎部Bをそのまま荷重伝達躯体10として利用することができるので、架台構造体12は省略可能である。
In the illustrated example, since the floor beam or
図1(D)は、浮上り柱Pと荷重伝達構造体10との間隙dに配置する楔機構20の一例を示す。図示例の楔機構20は、荷重伝達躯体10の間隙対向面に固定したテーパ付き楔受け材22と、浮上り柱Pの間隙対向面に摩擦係合しつつ対向間隙dに下方から嵌合するテーパ付き楔材21とを有する。また、荷重伝達躯体10に一端を支持しつつ他端を対向間隙dの下方に張り出して楔材21を保持する保持部材(L字型ブラケット等)23を有し、その保持部材23により楔材21を荷重伝達躯体10に支持して間隙dの下方の所定保持位置に上向きに保持する。保持部材23は、柱Pの側面に摩擦係合させた楔材21が柱Pの上昇時(浮上り時)に追従して上昇することを許容するが、柱Pの降下時には摩擦力に抗して楔材21を保持することにより追従した移動を阻止する。
FIG. 1D shows an example of the
図3(A)に示すように、浮上り柱Pに引抜き力が生じていない通常時は、保持部材23により楔材21が間隙dを閉塞しない間隙下方の保持位置に保持される。柱Pのジャッキ6を収縮させて建築物1を降下させるときは、図3(B)に示すように、柱Pとの摩擦係合により楔材21に間隙dから抜け出す方向(下向き方向)の力が加わるので、楔材21を保持位置に保持したまま建築物1をスムーズに降下させることができる。逆に、図3(C)に示すように地震時・強風時等に柱Pに引抜き力が生じたときは、柱Pとの摩擦係合により楔材21に間隙dへ嵌合する方向(上向き方向)の力が加わり、保持位置の楔材21が楔受け材22との間隙dに噛み込んで柱Pと荷重伝達躯体10とを結合し、荷重伝達躯体10を介して引抜き力を基礎部Bへ伝達して逃がすと共に柱Pの変位を拘束して浮上りを防止する。
As shown in FIG. 3A, in a normal time when the pulling force is not generated in the floating column P, the
好ましくは、保持部材23にバネ、ゴムその他の弾性部材24を設け、弾性部材24の下端を保持部材23に固定すると共にその上端に楔材21を取り付けて上方へ押圧することにより、図3(A)に示す通常時に、弾性部材24の押圧力により楔材21を保持位置から押し上げて楔受け材22との間隙dに遊嵌させる。この場合も、図3(B)の浮上り柱Pのジャッキ6の収縮時には、柱Pとの摩擦力により弾性部材24を押し縮め、間隙dに遊嵌させた楔材21を保持部材23の保持位置まで抜け出させることにより、柱Pと荷重伝達構造体10との拘束を解除して建築物1を自重でスムーズに降下させることができる。また、ジャッキ6の収縮の終了後、押し縮められた弾性部材24の反発力により楔材21を上方に押し上げて図3(A)の通常状態に回復・復帰させることができる。更に地震時・強風時等に柱Pに引抜き力が生じたときは、図3(C)を参照して上述した場合と同様に、柱Pとの摩擦力によって弾性部材24が引き伸ばされ、楔材21を楔受け材22との間隙dに喰い込ませて柱Pと荷重伝達躯体10とを結合し、柱Pの変位を拘束して浮上りを防止できる。保持部材23に弾性部材24を含めることにより、柱Pの降下時以外は間隙dを実質的に閉塞しつつ降下時にのみ間隙dを解除する構造とすることができ、多層建築物1の耐震・耐風性能を高めることが期待できる。
Preferably, the holding
更に好ましくは、図4(A)に示すように、楔材21又は楔受け材22のテーパ面(楔材21と楔受け材22との対向面の何れか又は両方)を静摩擦係数μ1の小さな滑り面22aとする。楔材21と楔受け材22との静摩擦係数μ1が大きくなると、楔材21と浮上り柱Pの間隙対向面(表面)との静摩擦係数μ2が相対的に小さくなるので楔材21が柱Pの表面上で滑ってしまい、柱Pの浮き上がりに対して楔材21が追従できなくなる。弾性部材24の押圧力を無視した場合、柱Pの表面で楔材21が滑らない条件は、図4に示すように(1)〜(3)式で表すことができる。(1)式において、μ2・Hは柱Pの表面の静摩擦力、Fは楔受け材22の表面の静摩擦力μ1・Nによって定まる反対向きの力を示す。(1)〜(3)式は、柱Pの表面で楔材21の滑りを防ぐためには楔受け材22との静摩擦係数μ1を小さくし、それと共に柱Pとの静摩擦係数μ2を大きくすることが有効であることを示している。例えば、楔材21又は楔受け材22のテーパ面に摺動材・滑動材を取り付け又はグリス等の潤滑剤を塗布することにより、静摩擦係数μ1をできるだけ小さくする。逆に、楔材21と柱Pとの接触面は、ブラスト(粗化)処理又は錆びの発生等の表面処理を施すことにより、静摩擦係数μ1をできるだけ大きくすることが望ましい。
More preferably, as shown in FIG. 4A, the tapered surface of the
μ2・H>F ……………………………………………………………………………(1)
H=N・cosθ+μ1・N・sinθ ……………………………………………(2)
F=N・sinθ+μ1・N・cosθ ……………………………………………(3)
μ2>F/H
=(sinθ+μ1・cosθ)/(cosθ+μ1・sinθ)
≒(sinθ+μ1・cosθ)/cosθ …………………………………(4)
=tanθ+μ1 ………………………………………………………………(5)
μ2>tanθ−μ1 ………………………………………………………………(6)
μ2 ・ H> F …………………………………………………………………………… (1)
H = N · cos θ + μ1 · N · sin θ ……………………………………… (2)
F = N · sinθ + μ1 · N · cosθ …………………………………………… (3)
μ2> F / H
= (Sin θ + μ1 · cos θ) / (cos θ + μ1 · sin θ)
≒ (sinθ + μ1 ・ cosθ) / cosθ ……………………………… (4)
= Tan θ + μ1 ……………………………………………………………… (5)
μ2> tanθ−μ1 ……………………………………………………………… (6)
また、楔材21の頭頂角θを、楔材21の楔受け材22との静摩擦係数μ1及び柱Pとの静摩擦係数μ2に応じて選択することが望ましい。(3)式は、反対向きの力Fを小さくするために、楔受け材22の静摩擦係数μ1と共に楔材21の頭頂角θを小さくすること、すなわちμ1・sinθ≒0とすることが望ましいことを示している。μ1・sinθ≒0を仮定すると、(1)〜(3)式は(4)〜(5)式のように整理できる。(5)式は、柱Pの表面で楔材21の滑りを防ぐために、楔材21の頭頂角tanθを(柱Pの静摩擦係数μ2−楔受け材22の静摩擦係数μ1)より小さくすることが有効であることを示している。従って、楔受け材22の静摩擦係数μ1及び柱Pの静摩擦係数μ2に応じて、(5)式を満たすように楔材21の頭頂角θを選択することにより、柱Pの表面での楔材21の滑りを防止することができる。例えば、楔受け材22又は楔材21の表面に静摩擦係数μ1=0.1程度の滑り面22aを設け、楔材21の頭頂角θをtanθ=0.1程度とした場合は、楔材21と柱Pとの接触面に静摩擦係数μ1が0.2以上見込めるようなブラスト処理又は表面処理を施す。
Further, it is desirable to select the vertex angle θ of the
更に、楔材21の頭頂角θ、楔材21と柱Pとの静摩擦係数μ2、及び楔材21と楔受け材22との静摩擦係数μ1を、間隙dに一旦嵌合した楔材21が地震時の水平力等によって間隙dから抜け出すことがないように選択することが望ましい。間隙dに一旦嵌合した楔材21が抜け出さないための条件は、(5)式による静摩擦係数μ1の符号を反転させることにより、(6)式で表すことができる。(6)式を満たすように、すなわち楔材21の両側の静摩擦係数の和(柱Pの静摩擦係数μ2+楔受け材22の静摩擦係数μ1)を楔材21の頭頂角tanθより大きくすることで、間隙dに嵌合した楔材21の抜け出しを防止するセルフロック機能が得られる。
Further, the
上述した浮上り防止構造を図1の多層建築物1に適用したうえで、図9に示すジャッキダウン工法を適用すれば、建築物1をせん断力だけでなく浮上り力についても構造的に抵抗できる状態に維持しつつ、建築物1を下層階から上層階へと順次解体することができる。また、ジャッキの収縮を妨げることなく地震時・風負荷時に引抜き力が生じた時のみ多層建築物1の各浮上り柱Pを基礎部Bに結合して建築物1を安全に解体することができる。しかも、図9に示す方法では建築物1の解体に応じて荷重伝達梁8の付け替え作業が必要であるのに対し、図1(D)及び図3に示すように本発明では楔機構20を基礎部Bに支持したまま柱Pを降下(ジャッキ6を収縮)させることができるので、建築物1の解体に応じて楔機構20を付け替える作業等を省略することができ、ジャッキダウン工法の省力化、短工期化を図ることができる。なお、本発明の浮上り防止構造は、図9に示す荷重伝達構造体7及び荷重伝達梁8と組み合わせて用いることも可能であり、そのような組み合わせによってジャッキダウン工法を一層安全に施工することもできる。
9 is applied to the
こうして本発明の目的である「各柱を基礎部から切り離した多層建築物において柱の降下を妨げることなく柱の浮上りを防止する構造」を提供することができる。 Thus, the object of the present invention can be provided as “a structure for preventing the column from rising without interfering with the descent of the column in a multi-layered building in which each column is separated from the foundation”.
なお、本発明の浮上り防止構造では、図3(A)に示すように楔受け材22と楔材21との間にある程度の遊び(隙間)を設けることが可能であり、地震時等に多層建築物1の安全が確保できる範囲内で柱Pの浮上りを許容する構造とすることもできる。柱Pの浮き上がりを許容することで、建築物1に伝わる地震エネルギー等を低減し、建築物1の部材の破損を小さく抑えると共に、建築物1の耐震性能及び安全性を向上させることが期待できる。
In the lifting prevention structure of the present invention, it is possible to provide a certain amount of play (gap) between the
図5は、多層建築物1の浮上り柱Pと荷重伝達構造体10との間隙dに配置する楔機構20の他の一例を示す。本実施例では、図1の場合と同様に建築物1の外縁部に基礎部Bから架台構造体12を立ち上げると共に鉛直溝14を設け、その鉛直溝14を設けた架台構造体12のみを荷重伝達躯体10として用いている。図5(A)に示すように、浮上り柱Pには架台構造体12の鉛直溝14内へ嵌入するブラケット15を取り付け、ブラケット15と溝14の両側面との間隙dにそれぞれ楔機構20を配置する。或いは、図5(B)に示すように、ブラケット15に鉛直溝14内へ嵌入する突出部16を設け、その突出部16と溝14の両側面との対向間隙dにそれぞれ楔機構20を配置してもよい。図5(C)では、架台構造体12を建築物1の解体作業階F(v+1)の床梁又は床板3以上の高さとしているが、本実施例では架台構造物14のみで荷重伝達躯体10を構成することができるので、架台構造体12の高さにとくに制限はない。
FIG. 5 shows another example of the
図5(C)に示す楔機構20は、浮上り柱P(又はブラケット15)の間隙対向面に固定した両側テーパ付きの台形型楔受け材22と、基礎部B又は荷重伝達躯体10の間隙対向面(鉛直溝14の両側面)に摩擦係合しつつ対向間隙dに上方から嵌合する一対のテーパ付き楔材21とを有する。図6(A)に示すように、浮上り柱Pに引抜き力が生じていない通常時は、楔材21が楔受け材22と荷重伝達躯体10(鉛直溝14)との間隙dに嵌合して柱Pを荷重伝達躯体10により拘束する。柱Pのジャッキ6を収縮させて建築物1を降下させるときは、図6(B)に示すように、柱Pと共に楔受け材22が降下して楔材21の喰い込み方向と逆向きに移動するので、荷重伝達躯体10による拘束を解除して建築物1をスムーズに降下させ、楔受け材22の降下に応じて楔材21を自重で鉛直溝14の側面に沿って降下させることができる。図6(C)に示すように地震時・強風時等に柱Pに引抜き力が生じたときは、逆に柱Pと共に楔受け材22が持ち上がるので、楔受け材22と荷重伝達躯体10との間隙dに楔材21が喰い込んで柱Pと荷重伝達躯体10とを結合し、荷重伝達躯体10を介して引抜き力を基礎部Bへ伝達して逃がすと共に柱Pを拘束して浮上りを防止する。
The
図5及び図6の実施例においても、楔材21と楔受け材22との静摩擦係数μ1が大きくなると、楔材21が荷重伝達躯体10の表面(鉛直溝14の表面)上で滑ることがあるため、上述した図4の場合と同様に、楔材21又は楔受け材22のテーパ面(楔材21と楔受け材22との対向面の何れか又は両方)を静摩擦係数μ1の小さな滑り面22aとして滑りを防止することができる。また、上述した(5)式を満たすように、楔材21の楔受け材22との静摩擦係数μ1及び柱Pとの静摩擦係数μ2に応じて楔材21の頭頂角θを選択することにより、荷重伝達躯体10の表面での楔材21の滑りを防止することが望ましい。更に望ましくは、楔受け材22と荷重伝達躯体10との間隙dに嵌合した楔材21が抜け出すことがないように、上述した(6)式を満たすように楔材21と荷重伝達躯体10(鉛直溝14)との静摩擦係数μ1、楔材21と楔受け材22との静摩擦係数μ2、及び楔材21の頭頂角θを選択し、楔機構20に楔材21の抜け出し防止用のセルフロック機能を与える。
5 and 6 also, when the static friction coefficient μ1 between the
図7及び図8は、図5の楔機構20に、更に楔材21を対向間隙dの上方に落下可能に保持する保持装置25と、建築物1の上部の揺動を検知する感震器37と、感震器37の検知信号に応じて保持装置25による楔材21の保持を解除する解除装置27とを設けた実施例を示す。本実施例の楔機構20の詳細な拡大頂面図を図8(A)に示し、その側面図及び正面図を図8(B)及び(C)に示す。図示例の楔機構20は、例えば図5(B)に示すように、浮上り柱Pのブラケット15の突出部16と荷重伝達躯体10の鉛直溝14との間隙dに配置したものである。図8(A)及び(B)に示すように、ブラケット15の突出部16に両側テーパ付きの楔受け材22を固定すると共に、その突出部16上に設けた保持装置25により一対のテーパ付き楔材21を間隙dの上方に落下可能に保持する。図示例の保持装置25は、図8(C)に示すように、突出部16から鉛直に立ち上げた鉛直部材25aと、その鉛直部材25aの頂端に鉛直溝14の側面と直角方向に配置した中空水平部材25bとを有し、水平部材25bの中空部両端のピン28に係止した一対の吊り下げ索(チェーン等)26にそれぞれ楔材21を吊り下げて突出部16の両側の間隙dの上方に保持している。
7 and 8 show the
図7は、解除装置27による楔材21の保持解除システムの一例を示す。通常時は、同図に実線で示すように、解除装置27のピン28及び保持部材25のリンク機構29(水平部材25bの中空部内に配置されたリンク機構29)を介して吊り下げ索26を係止することにより間隙dの上方に楔材21が保持されており(図8(C)参照)、荷重伝達躯体10の鉛直溝14に沿って柱Pをスムーズに降下させることができる。感震器37が地震を検知すると、その検知信号が非常停止装置36を介して解除装置27に入力され、例えばソレノイド等が駆動されて係止ピン28が移動することにより、リンク機構29から係止ピン28が外れて吊り下げ索26が解放され、楔材21が自重で落下して楔受け材22と鉛直溝14との間隙dを閉塞し(図8(D)参照)、柱Pを荷重伝達躯体10に結合して拘束することにより柱Pの浮上りを防止する。
FIG. 7 shows an example of a holding and releasing system for the
なお、図7の非常停止装置36には感震器37と共に早期地震警報受信機38及び手動スイッチ39が接続されており、早期地震警報受信機38の受信信号(早期地震警報信号)又は手動スイッチ39の押下信号(スイッチ信号)に応じて保持装置25による楔材21の保持を解除して柱Pを荷重伝達躯体10に結合することもできる。また、楔材21の保持装置25は、図8(E)に示すように、浮上り柱Pのブラケット15に代えて荷重伝達躯体10の鉛直溝14に取り付けることも可能である。例えば荷重伝達躯体10の鉛直溝14の頂部に一対の保持装置25及び解除装置27を取り付け、そこから吊り下げ索26により一対の楔材21を支持して柱Pのブラケット15の突出部16の上方まで吊り下げ、突出部16と溝14の両側面との間隙dに臨ませる。
The
1…多層建築物 2…壁
3…床梁又は床板 5…解体装置
6…ジャッキ 7…荷重伝達構造体(コア壁)
8…荷重伝達梁 9…ジャッキ制御装置
10…荷重伝達躯体 11…連結構造体
12…架台構造体 14…鉛直溝
15…ブラケット 16…突出部
20…楔機構 21…楔材
22…楔受け材 22a…滑り面
23…保持部材 24…弾性部材
25…保持装置 25a…鉛直保持部材
25b…水平保持部材 26…吊り下げ索(チェーン)
27…解除装置 28…係止ピン
29…リンク機構 36…非常停止装置
37…感震器 38…早期地震警報受信器
39…手動スイッチ
B…基礎部 d…所定間隙
L…ジャッキの伸縮ストローク P…柱
θ…頭頂角 μ…摩擦係数
DESCRIPTION OF
DESCRIPTION OF
27 ...
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