以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態によるキースイッチ装置10を示す。キースイッチ装置10は、オペレータがキートップを押下操作することによりオンオフ信号等を入力可能なスイッチとして、産業機械や医療機械の操作盤に組み込むことができる高背型の構成を有する。なお、本発明に係るキースイッチ装置の用途は限定されない。
キースイッチ装置10は、開口部12を有するフロントパネル14と、フロントパネル14の開口部12を通って昇降動作可能なキートップ16と、キートップ16を昇降動作可能に支持する支持機構18と、キートップ16の昇降動作に対応して開閉する接点部20を有するスイッチ部材22とを備えている。
フロントパネル14は、開口部12を有する平板状の主部24と、開口部12を包囲する形態で主部24の裏面24aから鉛直方向へ延長される延長壁部26とを備えている。延長壁部26は、矩形横断面を有する中空筒状要素であり、その一対の対向壁部分26aには、主部24から離隔した端縁26bの所定位置に、後述するリンク部材に回動式に係合可能な二組(計4個)の回動軸受部28が形成される(図1に2個のみ示す)。各回動軸受部28は、主部24の裏面24aに略直交する方向へ延びる凹溝状の構成を有する。
フロントパネル14は、全体として、キースイッチ装置10の押下操作時に容易には変形しない剛性を有する樹脂製や金属製の薄板から形成できる。またフロントパネル14は、キースイッチ装置10を組み込んだ操作盤(図示せず)の筐体の一部を構成することができる。操作盤に複数のキースイッチ装置10を任意の配列で組み込む場合は、全てのキースイッチ装置10に共通する大判のフロントパネルに、キースイッチ装置10の個数に対応する複数の開口部12及び延長壁部26を形成できる。
キートップ16は、内側に凹所30を有する平面視で略矩形の箱状の主部32と、主部32の開口端から側方へ延長される環状のフランジ部34とを備えている。主部32の外面には、オペレータによって打鍵ないし押下操作される操作面32aが設けられ、主部32の内面には、後述する付勢部材を押圧する押圧面32bが設けられる。フランジ部34には、その四隅に、主部32とは反対側に突出する4本の爪36が設けられ、それら爪36の各々により、後述するリンク部材に摺動式に係合可能な摺動軸受部38が形成される。各摺動軸受部38は、主部32の操作面32aに略平行な方向へ延びる凹溝状の構成を有する。
キートップ16は、主部32が、フロントパネル14の主部24に接触することなく開口部12を通して昇降方向へ移動できる一方、フランジ部34が、フロントパネル14の延長壁部26の中に配置されて開口部12を通過できないような、寸法及び形状を有する。キートップ16は、例えば、キースイッチ装置10の押下操作時に容易には変形しない剛性を有する樹脂材料の一体成形品から形成できる。
支持機構18は、互いに連動可能に組み合わされてキートップ16を昇降方向(下降方向α及び上昇方向β)へ案内する一対のリンク部材40と、キートップ16の下方に配置されて一対のリンク部材40を変位可能に支持するベース部材42とを備えている。
一対のリンク部材40は、それぞれの一端で互いに歯車状に噛合した状態に組み合わされるギアリンク形式の構成を有する。個々のリンク部材40は、互いに同一方向へ略平行に延びる一対の腕部44、46と、それら腕部44、46を互いに連結する胴部48とを備えている。一対のリンク部材40は、互いに同一の形状及び寸法を有し、例えば、キースイッチ装置10の押下操作時に容易には変形しない剛性を有する樹脂材料の一体成形品から形成できる。
各リンク部材40には、両腕部44、46の一端で胴部48とは反対の外側に、略円柱状の一対の摺動軸部50が互いに同軸に突設される。また各リンク部材40には、両腕部44、46の長手方向中央付近で摺動軸部50と同じ外側に、略円柱状の一対の回動軸部52が互いに同軸に突設される。個々の腕部44、46は、胴部48に隣接する基端側部分54と、胴部48から離れた末端側部分56とを有する。各腕部44、46の基端側部分54は、摺動軸部50及び回動軸部52を設けた部位を2つの頂点とする略三角形の輪郭を有する。各腕部44、46の末端側部分56は、回動軸部52を設けた部位から摺動軸部50を設けた部位とは反対の方向へ延長され、各末端側部分56の先端に2枚の歯部58が形成される。
ベース部材42は、キースイッチ装置10の構造上の基礎となる平板状部材であって、例えば、キースイッチ装置10の押下操作時に容易には変形しない剛性を有する樹脂製や金属製の薄板から形成できる。或いはベース部材42を、所要の配線を敷設した回路基板から形成することもできる。ベース部材42は、一対のリンク部材40及びスイッチ部材22を担持する略平坦な上面42aを有する。キースイッチ装置10を適正に組み立てたときに、ベース部材42の上面42aは、スイッチ部材22を介して、フロントパネル14の延長壁部26の端縁26bに実質的に当接される。
キースイッチ装置10を適正に組み立てたときに、各リンク部材40は、一対の摺動軸部50を、キートップ16に設けた対応の摺動軸受部38に摺動自在に嵌入し、かつ、一対の回動軸部52を、フロントパネル14の延長壁部26に設けた対応の回動軸受部28に回動自在に嵌入して、キートップ16とベース部材42との間に配置される。このとき一対のリンク部材40は、それぞれの一方の腕部44の2枚の歯部58と、それぞれの他方の腕部46の2枚の歯部58とが、互いに噛み合わされて連動構造を成し、それにより、回動軸部52が規定するそれぞれの回動軸線52aを中心として、互いに連動して揺動できる。
したがってキートップ16は、一対のリンク部材40がそれぞれの回動軸線52aを中心に同期して互いに反対方向へ揺動するとともに、それぞれの摺動軸部50が摺動軸受部38に沿って同期して互いに反対方向へ摺動することにより、ベース部材42に対し略鉛直な昇降方向へ、操作面32aをベース部材42の上面42aに対し略平行に配置した所定の略水平姿勢を保持しつつ平行移動する。キートップ16の昇降動作の上限位置は、一対のリンク部材40の摺動軸部50同士の相互接近方向への摺動が、キートップ16の対応の摺動軸受部38の周囲壁によって係止された時点で規定される(図2(a))。この上限位置で、キートップ16の操作面32aは、フロントパネル14の主部24の表面24bから所定距離だけ突出した位置に配置される。
そして、キートップ16が図2(a)の上限位置から下降する(矢印α)に従い、両リンク部材40の摺動軸部50は、摺動軸受部38による水平方向への案内の下で相互離反方向へ摺動する。キートップ16が昇降動作の下限位置(図2(b))に達すると、後述するようにしてスイッチ部材22の接点部20が閉成される。この下限位置では、キートップ16の操作面32aは、フロントパネル14の主部24の表面24bと略同一平面上の位置か、或いは表面24bから所定距離だけ突出した位置に配置される。
支持機構18はさらに、キートップ16の昇降動作と一対のリンク部材40の変位とを連動させる第1係合部60と、ベース部材42に一対のリンク部材40を変位可能に支持させる第2係合部62と、キートップ16が下降する間に、第1係合部60が第2係合部62よりも上方でベース部材42から予め定めた距離Dだけ離れている位置で、キートップ16の下降を阻止して昇降動作の下限位置を定める係止部64とを備えている。
第1係合部60は、各リンク部材40の摺動軸部50と、当該摺動軸部50を嵌入したキートップ16の摺動軸受部38とから構成される。各摺動軸部50は、キートップ16の昇降動作に伴い、対応の摺動軸受部38と一体的にキートップ昇降方向へ移動するとともに、当該摺動軸受部38に沿って、キートップ昇降方向への相対的変動を実質的に生じることなくキートップ昇降方向に略直交する方向へ円滑に摺動する。
第2係合部62は、各リンク部材40の回動軸部52と、当該回動軸部52を嵌入したフロントパネル14の延長壁部26の回動軸受部28とから構成される。各回動軸部52は、キートップ16の昇降動作に伴い、対応の回動軸受部28の中で、それ自体の回動軸線52aに交差する方向への相対的変動を実質的に生じることなく円滑に回動する。この間、各回動軸部52の回動軸線52aは、ベース部材42に対して実質的に静止した位置に保持される。
係止部64は、一対のリンク部材40の少なくとも一方に設けられる第1の係止面と、それらリンク部材40を除くキースイッチ装置10の他の構成要素に設けられる第2の係止面とから構成される。図示構成では、第1の係止面は、個々のリンク部材40の一対の腕部44、46の基端側部分54が有する略L字状膨出部分の頂面54aから形成され、第2の係止面は、ベース部材42の上面42aから形成される。なお、各リンク部材40の腕部44、46には、基端側部分54の頂面54aを第1の係止面として機能させるために、回動軸部52を設けた部位に隣接して、頂面54aと同じ側に膨出する補助当接面54bが設けられる。
キートップ16が昇降動作する間、両リンク部材40の補助当接面54bは、スイッチ部材22を介してベース部材42の上面42aに間接に当接される一方、両リンク部材40の頂面54a(第1の係止面)とベース部材42の上面42a(第2の係止面)との間には、寸法可変の隙間が形成される。そして、キートップ16が昇降動作の下限位置に在るときに、両リンク部材40の頂面54a(第1の係止面)と、ベース部材42の上面42a(第2の係止面)とは、スイッチ部材22を介して互いに間接に当接される。或いは、スイッチ部材22の所要位置に複数の貫通穴を形成し、両リンク部材40の頂面54a(第1の係止面)及び補助当接面54bとベース部材42の上面42a(第2の係止面)とを、当該貫通穴を通して互いに直接に当接させることもできる。このようにキースイッチ装置10では、両リンク部材40の頂面54a(第1の係止面)とベース部材42の上面42a(第2の係止面)とが互いに間接又は直接に当接された時点で、第1係合部60は第2係合部62よりも上方の位置であってベース部材42から所定距離Dだけ離れている位置に配置されており、キートップ16は、さらなる下降を不能とされた昇降動作の下限位置に配置されている。
スイッチ部材22は、キートップ16の下方位置に接点部20を担持した状態でベース部材42の上面42aに重ねて配置されるメンブレンスイッチシート66を有する。メンブレンスイッチシート66は、図示省略するが、一対の接点を互いに対向させて各々に担持する一対のフレキシブル回路基板と、それら回路基板を所定間隔に支持して両接点を開放状態に保持するシート状のスペーサとを備え、両回路基板のフィルム基体の表面にパターン形成された接点が、スイッチ部材22の接点部20を構成する。なお、ベース部材42を、接点部20及び信号ラインを敷設した回路基板(すなわちスイッチ部材22)から構成すれば、メンブレンスイッチシート66を省略することもできる。
キースイッチ装置10はさらに、キートップ16を上昇させる弾性付勢力(すなわち初期位置復帰力)を生じる付勢部材68を備えている。付勢部材68は、中空ドーム状の下部70と、下部70のドーム頂端から上方に延長される中空円筒状の上部72とを有する。付勢部材68は、歯部58同士を互いに噛み合わせた一対のリンク部材40の、両腕部44、46及び胴部48によって包囲される空間に配置され、上部72をキートップ16側に向けた姿勢でキートップ16とメンブレンスイッチシート66との間に介在する。その状態で、付勢部材68は、下部70の略中心に接点部20が位置するようにして、下部70の下端すなわちドーム開口端70aでメンブレンスイッチシート66に固定されるとともに、上部72の頂端72aでキートップ16の主部32の押圧面32bに当接される。付勢部材68は、無負荷時には下部70のドーム頂端を、メンブレンスイッチシート66から上方へ離隔して配置する。付勢部材68の下部70のドーム頂端の内面には、メンブレンスイッチシート66の接点部20に位置合わせして、キートップ16が下降したときに接点部20を押圧閉成するための突起70bが形成される(図5(a)、図7(a))。付勢部材68は、例えば所要の弾性を有するゴム材料から一体成形できる。
キースイッチ装置10では、キートップ16に外力が加わらないときには、付勢部材68がキートップ16をベース部材42から鉛直上方へ離れた昇降動作の上限位置に付勢支持する(図2(a))。このときメンブレンスイッチシート66は、接点部20が開いた状態にある。また、打鍵ないし押下操作によりキートップ16が押し下げられると、付勢部材68は、キートップ16の下降動作に伴い主としてドーム状の下部70が弾性変形して、キートップ16に上方(矢印β)への弾性付勢力(初期位置復帰力)を加えるとともに、キートップ16が昇降動作の下限位置に達するときに、下部70の内面の突起70bでメンブレンスイッチシート66を外側から押圧して接点部20を閉成する(図2(b))。キートップ16への押し下げ力が解除されると、付勢部材68が弾性的に復元し、キートップ16を上限位置へ復帰させるとともに、メンブレンスイッチシート66が復元して接点部20が開放される。このように、付勢部材68は、キートップ16の昇降動作に対応してスイッチ部材22の接点部20を開閉させる作動部材としても機能する。
キースイッチ装置10はさらに、キートップ16を透過する光を生成する発光部74を備えている。発光部74は、LED等の発光素子からなり、ベース部材42の所定位置に設置されて、スイッチ部材22(メンブレンスイッチシート66)及び付勢部材68を透過するとともにキートップ16を透過する光を生成する。それにより、外部からのキートップ16の視認性を向上させることができる。図示構成では、ベース部材42の、スイッチ部材22の接点部20を中心とした対称な4箇所に、貫通孔76が形成され、それら貫通孔76に4個の発光部74がそれぞれ設置されている。なおこの構成では、ベース部材42を、発光部74への給電ラインを敷設した回路基板から構成することができる。
上記構成を有するキースイッチ装置10では、キートップ16の支持機構18に、ギアリンク形式の一対のリンク部材40を用いているから、キートップ16は、リンク部材40同士の円滑な連動の下で、操作面32aをベース部材42の上面42aに対し略平行に配置した所定の略水平姿勢を保持しつつ、ベース部材42に対して実質的鉛直方向へ安定して昇降動作できる。特に、キートップ支持機構として入れ子式の摺動軸を用いた構成に比べて、キートップ昇降動作中の摩擦発生箇所が少なく、またキートップ16の中央を押下したときと端縁を押下したとき(いわゆる隅押しや斜め押し)とで操作感の変化が少ない利点が有る。
しかもキースイッチ装置10は、キートップ16が昇降動作の下限位置にあるときに、各リンク部材40の摺動軸部50とキートップ16の対応の摺動軸受部38とから構成される第1係合部60が、各リンク部材40の回動軸部52とフロントパネル14の対応の回動軸受部28とから構成される第2係合部62よりも上方の位置であって、ベース部材42から所定距離Dだけ離れた位置に配置されるように構成されているから、キートップ16の視認性や指先による押下操作感覚に優れた高背型の構造を有するものとなり、例えば産業機械や医療機械の操作盤への組み込み作業が容易なものとなる。したがって、キースイッチ装置10は、例えば産業機械や医療機械の操作盤に組み込まれた場合に、油や薬品の飛散等の悪環境下であっても、キートップ16の良好な操作性を確保することができる。
キースイッチ装置10においては、図2(b)に示すように、一方のリンク部材40の回動軸部52と他方のリンク部材40の回動軸部52との、回動軸線(つまり中心軸線)52aの間の距離(W/2)が、この距離を規定する方向に測ったキートップ16の外形寸法Wの略半分であるか、或いは半分以上であるように構成できる。この構成によれば、一対のリンク部材40がベース部材42の上面42aに間接又は直接に当接される補助当接面54bの間の距離を、キートップ16の外形寸法Wの半分以上にすることができるので、キートップ16の昇降動作中の両リンク部材40の安定性を向上させることができる。それにより、キースイッチ装置10を打鍵ないし押下操作する際に、キートップ16の「がたつき」や「ふらつき」を効果的に防止できる。
上記構成を有するキースイッチ装置10は、様々な変形や修正を施すことができる。例えば、図3及び図4に示す変形例によるキースイッチ装置10Aは、前述したリンク部材40の代りに、末端側部分56を有さず、腕部44、46の回動軸部52を設けた部位に近接して1枚又は2枚の歯部58を形成したリンク部材40Aを、支持機構18に具備している。一対のリンク部材40Aの各々は、腕部44、46又は胴部48の所望位置に、係止部64の第1の係止面として作用する膨出面78を備えている。フロントパネル14は、延長壁部26の端縁26bの所定位置に、両リンク部材40Aの回動軸部52を個々に回動自在に嵌入できる二組(計4個)の回動軸受部28を備えている。
この変形例では、キートップ16が昇降動作する間、一対のリンク部材40Aの膨出面78(第1の係止面)とベース部材42の上面42a(第2の係止面)との間に、寸法可変の隙間が形成される(図3(a))。そして、キートップ16が昇降動作の下限位置に在るときに、両リンク部材40Aの膨出面78(第1の係止面)とベース部材42の上面42a(第2の係止面)とが互いに間接又は直接に当接される。このキートップ下限位置において、第1係合部60(各リンク部材40Aの摺動軸部50とキートップ16の摺動軸受部38)は、第2係合部62(各リンク部材40Aの回動軸部52とフロントパネル14の回動軸受部28)よりも上方の位置であって、ベース部材42から所定距離Dだけ離れている位置に配置される(図3(b))。
図5及び図6に示す他の変形例によるキースイッチ装置10Bは、図3及び図4に示すリンク部材40Aの第1係合部60と第2係合部62とを、それぞれの動作の観点で逆の構成にしたリンク部材40Bを、支持機構18に具備している。すなわち、一対のリンク部材40Bの各々は、両腕部44、46の一端の摺動軸部50を、フロントパネル14Bの延長壁部26に設けた対応の摺動軸受部80に摺動自在に嵌入し、両腕部44、46の他端の回動軸部52を、キートップ16Bに設けた対応の回動軸受部82(図7参照)に回動自在に嵌入する構成を有する。また、各リンク部材40Bは、摺動軸部50を設けた部位に近接して、係止部64の第1の係止面として作用する外面84を備えている。他方、フロントパネル14Bの延長壁部26の内面26cは、係止部64の第2の係止面として作用する。
フロントパネル14Bは、延長壁部26の端縁26bの所定位置に、両リンク部材40Bの摺動軸部50を個々に摺動自在に嵌入できる二組(計4個)の摺動軸受部80を備えている。キートップ16Bは、箱状の主部32と、主部32の開口端から側方へ延長される環状のフランジ部34とを備え、フランジ部34に隣接して主部32の押圧面32bに、互いに離間かつ対向する一対の支壁86が突設されるとともに、それら支壁86に、両リンク部材40Bの回動軸部52を個々に回動自在に嵌入できる二組(計4個)の回動軸受部82が設けられている。
この変形例では、キートップ16Bが昇降動作する間、一対のリンク部材40Bの外面84(第1の係止面)とフロントパネル14Bの延長壁部26の内面26c(第2の係止面)との間に、寸法可変の隙間が形成される(図5(a))。そして、キートップ16Bが昇降動作の下限位置に在るときに、両リンク部材40Bの外面84(第1の係止面)とフロントパネル14Bの内面26c(第2の係止面)とが互いに当接される。このキートップ下限位置において、第1係合部60(各リンク部材40Bの回動軸部52とキートップ16Bの回動軸受部82)は、第2係合部62(各リンク部材40Bの摺動軸部50とフロントパネル14Bの摺動軸受部80)よりも上方の位置であって、ベース部材42から所定距離Dだけ離れている位置に配置される(図5(b))。
図8に示すさらに他の変形例によるキースイッチ装置10Cは、図1及び図2に示すリンク部材40の第1係合部60と第2係合部62とを、それぞれの動作の観点で逆の構成にしたリンク部材40Cを、支持機構18に具備している。すなわち、一対のリンク部材40Cの各々は、両腕部44、46の一端の摺動軸部50を、フロントパネル14Bの延長壁部26に設けた対応の摺動軸受部80(図6)に摺動自在に嵌入し、両腕部44、46の長手方向中央の回動軸部52を、キートップ16Bに設けた対応の回動軸受部82(図7)に回動自在に嵌入する構成を有する。また、各リンク部材40Cは、摺動軸部50を設けた部位に近接して、係止部64の第1の係止面として作用する外面84を備えている。他方、フロントパネル14Bの延長壁部26の内面26cは、係止部64の第2の係止面として作用する。フロントパネル14Bは、延長壁部26の端縁26bの所定位置に、両リンク部材40Cの摺動軸部50を個々に摺動自在に嵌入できる二組(計4個)の摺動軸受部80を備えている。キートップ16Bは、主部32の押圧面32bに突設された一対の支壁86に、両リンク部材40Cの回動軸部52を個々に回動自在に嵌入できる二組(計4個)の回動軸受部82が設けられている。
この変形例では、キートップ16Bが昇降動作する間、一対のリンク部材40Cの外面84(第1の係止面)とフロントパネル14Bの延長壁部26の内面26c(第2の係止面)との間に、寸法可変の隙間が形成される(図8(a))。そして、キートップ16Bが昇降動作の下限位置に在るときに、両リンク部材40Cの外面84(第1の係止面)とフロントパネル14Bの内面26c(第2の係止面)とが互いに当接される。このキートップ下限位置において、第1係合部60(各リンク部材40Cの回動軸部52とキートップ16Bの回動軸受部82)は、第2係合部62(各リンク部材40Cの摺動軸部50とフロントパネル14Bの摺動軸受部80)よりも上方の位置であって、ベース部材42から所定距離Dだけ離れている位置に配置される(図8(b))。
この変形例でも、図8(b)に示すように、一方のリンク部材40Cの回動軸部52と他方のリンク部材40Cの回動軸部52との、回動軸線(つまり中心軸線)52aの間の距離(W/2)が、この距離を規定する方向に測ったキートップ16Bの外形寸法Wの略半分であるか、或いは半分以上であるように構成できる。この構成によれば、図1及び図2のキースイッチ装置10と同様に、キートップ16Bの昇降動作中の両リンク部材40Cの安定性を向上させることができる。それにより、キースイッチ装置10Cを打鍵ないし押下操作する際に、キートップ16Bの「がたつき」や「ふらつき」を効果的に防止できる。
なお、上記したいずれのキースイッチ装置10、10A、10B、10Cにおいても、一対のリンク部材40、40A、40B、40Cの連動機能により、いずれか一方のリンク部材40、40A、40B、40Cのみが、係止部64の第1係止面(例えば、頂面54a、膨出面78、外面84)を有する構成とすることもできる。また、係止部64の第1係止面及び第2係止面の構成は、図示の構成に限定されず、キートップ16が昇降動作の下限位置に在るときに互いに当接されるものであることを条件として、多様な形状、多様な位置に形成される面を採用できる。さらに、支持機構18の一対のリンク部材として、図示のギアリンク形式の構成に限定されず、両リンク部材の交点で互いに回動可能又は摺動可能に連結されて側面視X字形状を呈するパンタグラフ形式の構成を採用することもできる。
図9は、本発明の第2の実施形態によるキースイッチ装置90を示す。キースイッチ装置90は、支持機構の構成以外は、前述したキースイッチ装置10(又はキースイッチ装置10B(図5))と略同一の構成を有する。したがって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
キースイッチ装置90は、開口部12を有するフロントパネル14(図9では省略)と、フロントパネル14の開口部12を通って昇降動作可能なキートップ16Bと、キートップ16Bを昇降動作可能に支持する支持機構92と、キートップ16Bの昇降動作に対応して開閉する接点部20を有するスイッチ部材22(図9では省略)とを備えている。
支持機構92は、互いに連動可能に組み合わされてキートップ16Bを昇降方向へ案内する一対のリンク部材94と、キートップ16Bの下方に配置され、一対のリンク部材94を変位可能に支持する第1のベース部材96と、第1のベース部材96の下に配置される第2のベース部材98とを備えている。
一対のリンク部材94は、それぞれの一端で互いに歯車状に噛合した状態に組み合わされるギアリンク形式の構成を有する。個々のリンク部材94は、前述したリンク部材40B(図5)に類似したものであって、互いに同一方向へ略平行に延びる一対の腕部100、102と、それら腕部100、102を互いに連結する胴部104と、両腕部100、102の一端で胴部104とは反対の外側に突設される一対の摺動軸部106と、両腕部100、102の他端で摺動軸部106と同じ外側に突設される一対の回動軸部108と、回動軸部108に隣接して両腕部100、102の末端に形成される1枚又は2枚の歯部110とを備えている。各リンク部材94はさらに、両腕部100、102の他端で回動軸部108とは反対の内側に、両腕部100、102を互いに連結するように延設される押圧部112を有している。
第1及び第2のベース部材96、98は、キースイッチ装置90の構造上の基礎となる平板状部材であって、例えば、キースイッチ装置90の押下操作時に容易には変形しない剛性を有する樹脂製や金属製の薄板から形成できる。或いは、第2のベース部材98を、所要の配線を敷設した回路基板から形成することもできる。第1のベース部材96は、平面視矩形の四隅に近接して、素材を打ち抜きかつ折曲して形成される薄板状の案内部114を備える。それら案内部114には、キートップ16Bが昇降動作を行なう間、一対のリンク部材94の摺動軸部106を個々に受容して案内する二組(計4個)の長穴状の摺動軸受部116が形成される。
キースイッチ装置90を適正に組み立てたときに、各リンク部材94は、一対の摺動軸部106を、第1のベース部材96に設けた対応の摺動軸受部116に摺動自在に嵌入し、かつ、一対の回動軸部108を、キートップ16Bに設けた対応の回動軸受部82(図7)に回動自在に嵌入して、キートップ16Bと第1のベース部材96との間に配置される。このとき一対のリンク部材94は、それぞれの一方の腕部100の2枚の歯部110と、それぞれの他方の腕部102の1枚の歯部110とが、互いに噛み合わされて連動構造を成し、それにより、回動軸部108が規定するそれぞれの回動軸線を中心として、互いに連動して揺動できる。
支持機構92はさらに、キートップ16Bの昇降動作と一対のリンク部材94の変位とを連動させる第1係合部と、第1のベース部材96に一対のリンク部材94を変位可能に支持させる第2係合部と、キートップ16Bが下降する間に、第1係合部が第2係合部よりも上方でベース部材96から予め定めた距離だけ離れている位置で、キートップ16Bの下降を阻止して昇降動作の下限位置を定める係止部とを備えている。
第1係合部は、各リンク部材94の回動軸部108と、当該回動軸部108を嵌入したキートップ16Bの回動軸受部82とから構成される。第2係合部62は、各リンク部材94の摺動軸部106と、当該摺動軸部106を嵌入した第1のベース部材96の摺動軸受部116とから構成される。また係止部は、各リンク部材94の摺動軸部106の外周面(第1の係止面)と、当該摺動軸部106を嵌入した第1のベース部材96の摺動軸受部116の内周面(第2の係止面)とから構成される。
キートップ16Bが昇降動作する間、一対のリンク部材94の摺動軸部106の外周面(第1の係止面)と第1のベース部材96の摺動軸受部116の内周面(第2の係止面)との間には、摺動軸受部116の長穴の長手方向に寸法可変の隙間が形成される。そして、キートップ16Bが昇降動作の下限位置に在るときに、両リンク部材94の摺動軸部106の外周面(第1の係止面)と第1のベース部材96の摺動軸受部116の内周面(第2の係止面)とが、摺動軸受部116の長穴の外方端で互いに当接される。このキートップ下限位置において、第1係合部(各リンク部材94の回動軸部108とキートップ16Bの回動軸受部82)は、第2係合部(各リンク部材94の摺動軸部106と第1のベース部材96の摺動軸受部116)よりも上方の位置であって、第1のベース部材96から所定距離だけ離れている位置に配置される。
キースイッチ装置90はさらに、キートップ16Bを上昇させる弾性付勢力(すなわち初期位置復帰力)を生じる付勢部材68を備えている。付勢部材68は、第1のベース部材96の略中心位置に形成した開口部(図示せず)の中で、歯部110同士を互いに噛み合わせた一対のリンク部材94の押圧部112の下方に配置され、円筒状の上部72(図1)を押圧部112側に向けた姿勢でキートップ16Bと第2のベース部材98(又は図示しないメンブレンスイッチシート)との間に介在する。
キースイッチ装置90では、キートップ16Bに外力が加わらないときには、付勢部材68が、一対のリンク部材94の押圧部112を上方へ付勢し、それにより、キートップ16Bをベース部材96から鉛直上方へ離れた昇降動作の上限位置に間接的に支持する。このときスイッチ部材22の接点部20は開いた状態にある。また、打鍵ないし押下操作によりキートップ16Bが押し下げられると、付勢部材68は、キートップ16Bの下降動作に伴い、一対のリンク部材94を介してキートップ16Bに上方への弾性付勢力(初期位置復帰力)を加えるとともに、キートップ16Bが昇降動作の下限位置に達するときに、スイッチ部材22の接点部20を閉成する。キートップ16Bへの押し下げ力が解除されると、付勢部材68が弾性的に復元し、キートップ16Bを上限位置へ復帰させるとともに、スイッチ部材22の接点部20が開放される。このように、付勢部材68は、キートップ16Bの昇降動作に対応してスイッチ部材22の接点部20を開閉させる作動部材としても機能する。
キースイッチ装置90はさらに、キートップ16Bを透過する光を生成する発光部74を備えている。発光部74は、LED等の発光素子からなり、第2のベース部材98の所定位置に設置されて、スイッチ部材22及び付勢部材68を透過するとともにキートップ16Bを透過する光を生成する(図1及び図5参照)。
上記構成を有するキースイッチ装置90は、前述したキースイッチ装置10と同様に、キートップ16Bの視認性や指先による押下操作感覚に優れた高背型の構造を有するものであり、例えば産業機械や医療機械の操作盤に組み込まれた場合に、油や薬品の飛散等の悪環境下であっても、キートップ16Bの良好な操作性を確保することができる。しかも、キースイッチ装置90では、各リンク部材94に、キートップ16Bが下降する間に付勢部材68を押圧して弾性変形させる押圧部112を形成したから、高背型の構造と相俟って、キートップ16Bと付勢部材68との間に、発光部74が生成した光を障害無く通過させる空間を確保できる。したがって、発光部74が生成した光をキートップ16Bに効率良く到達させて、外部からのキートップ16Bの視認性を一層向上させることができる。