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JP5594533B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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本発明は、吸音材をタイヤ内面に備えた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、不織布からなる吸音材をタイヤ内面に対して簡単かつしっかりと固定することを可能にした空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤにおいて、空洞部内で生じる共鳴音を低減するために、タイヤ内面に吸音材を取り付けることが行われている。このような吸音材の材料として、近年では、ウレタンフォームの替わりに、不織布を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。不織布からなる吸音材は、軽量かつ安価であって吸音性にも優れている。
しかしながら、不織布からなる吸音材はタイヤ内面に対する固定が難しいという欠点がある。そのため、タイヤ内面に装着されるタイプの吸音材として、不織布からなる吸音材は実用化されていないのが現状である。
特開2009−6819号公報
本発明の目的は、不織布からなる吸音材をタイヤ内面に対して簡単かつしっかりと固定することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、基材の一方の面に複数本の係合素子を設けた面ファスナーを前記係合素子がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面に取り付け、前記面ファスナーに、嵩密度が異なる少なくとも2種類の不織布の複合体からなり、該複合体において最もタイヤ側に配置される不織布の嵩密度がタイヤ側とは反対側に配置される不織布の嵩密度よりも高い吸音材を直接係合させたことを特徴とするものである。
本発明では、面ファスナーを係合素子がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面に取り付ける一方で、その面ファスナーに対して不織布からなる吸音材を直接係合させるようにしたので、不織布からなる吸音材をタイヤ内面に対して簡単かつしっかりと固定することができる。その結果、タイヤ内面に装着されるタイプの吸音材として、軽量かつ安価であって吸音性にも優れた不織布からなる吸音材を実用化することができる。
本発明において、面ファスナーは樹脂成形体であることが好ましい。樹脂成形体からなる面ファスナーは、不織布からなる吸音材の係合に好適である。ここで、係合素子の基材表面からの高さは0.2mm〜10mmの範囲にあることが好ましい。これにより、不織布からなる吸音材の係合をより安定させることができる。また、面ファスナーはタイヤ内面に加硫接着したものであることが好ましい。これにより、面ファスナーをタイヤ内面に対して強固に固着することができる。
吸音材は嵩密度が異なる少なくとも2種類の不織布の複合体からなり、該複合体の嵩密度が4kg/m3 〜40kg/m3 の範囲にあることが好ましい。複数種類の不織布は要求される機能に応じて適宜配置することが可能であるが、複合体の嵩密度を上記範囲内に設定することで吸音材の耐久性と軽量性とを実用レベルにおいて両立することができる。特に、複合体において最もタイヤ側に配置される不織布の嵩密度は20kg/m3 〜100kg/m3 の範囲にあることが好ましい。これにより、面ファスナーと不織布からなる吸音材との間の係合力を十分に確保することができる。
本発明において、嵩密度(kg/m3 )は、不織布の内部の空間を含んだ見掛けの体積と該不織布の質量とを用いて算出することができる。不織布の目付け(kg/m2 )が明らかであれば、その目付けと不織布の厚さとから嵩密度を求めることも可能である。
本発明の基礎となる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。 本発明で使用される面ファスナーの一例を示す斜視図である。 本発明で使用される面ファスナーの他の例を示す斜視図である。 本発明で使用される面ファスナーに保護ゴム層を積層した状態を示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の基礎となる空気入りタイヤを示し、図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図3は本発明で使用される面ファスナーの一例を示すものである。
図1及び図2において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。また、カーカス層4よりもタイヤ内腔側の部位にはインナーライナー層6が配置されている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。
上記空気入りタイヤにおいて、タイヤ内面Sのトレッド部1に対応する領域には面ファスナー10が設置されている。面ファスナー10は、図3に示すように、シート状をなす基材11の一方の面11aにフック形状を有する複数本の係合素子12を設けた構造を有している。係合素子12はタイヤ周方向Cに沿って列をなし、複数の列がタイヤ幅方向Wに沿って並ぶように配置されている。係合素子12の形状は特に限定されるものではないが、例えば、図示のように先端部が枝分かれして面ファスナー10の面方向に向かって延びるT字形状や鏃形状(2段鏃形状を含む)であると良い。このように構成される面ファスナー10は係合素子12がタイヤ内腔側に位置するようにしてタイヤ内面Sに対して加硫接着されている。但し、面ファスナー10は空気入りタイヤの加硫後にタイヤ内面Sに対して接着剤等を用いて接着しても良い。また、面ファスナー10はタイヤ内面Sのトレッド部1に対応する領域に配置することが望ましいが、面ファスナー10のタイヤ内面Sにおける設置場所は必要に応じて任意に選択することができる。
一方、面ファスナー10には不織布21からなる吸音材20が取り付けられる。不織布21からなる吸音材20は、その絡合した繊維の構造を利用することで面ファスナー10に対して直接係合させることができる。図1においては吸音材20が嵩密度が均一な単一種類の不織布21から構成されているが、図2においては吸音材20が嵩密度が互いに異なる複数種類の不織布21(21a,21b)の複合体から構成されている。
不織布21の繊維としては、例えば、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維を用いることができる。これら繊維は単独又は2種以上混合して用いることができる。また、不織布21における平均繊維径は3μm〜100μmであると良い。
上述した空気入りタイヤでは、面ファスナー10を係合素子12がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面Sに取り付ける一方で、その面ファスナー10に対して不織布21からなる吸音材20を直接係合させるようにしたので、不織布21からなる吸音材20をタイヤ内面Sに対して簡単かつしっかりと固定することができる。そのため、軽量かつ安価であって吸音性にも優れた不織布21からなる吸音材20をタイヤ内面Sに装着して長期間にわたって有効に機能させることができる。また、吸音材20には面ファスナー10と対をなす他の面ファスナーを取り付けていないので、一対の面ファスナーを用いて係合を行う場合に比べてコストを削減することができる。
上記空気入りタイヤにおいて、面ファスナー10は基材11の一方の面11aに複数本の係合素子12を設けた構造を有する樹脂成形体である。そのため、成形加工された係合素子12が不織布21の繊維をしっかりと捕らえることで良好な係合力を発揮する。また、樹脂成形体からなる面ファスナー10をタイヤ内面Sに加硫接着した場合、面ファスナー10をタイヤ内面Sに対して強固に固着することができる。
面ファスナー10は、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂から成形することができる。例えば、基材11及び係合素子12をタイヤ周方向に向かって見たときの側面視形状に相当する開口部を備えた押出成形機から熱可塑性樹脂を押出し、係合素子12に相当する突条部分にスリットを間欠的に形成し、その押出物を延伸して係合素子12の相互間隔を広げることにより、基材11の一方の面11aに多数本の独立した係合素子12を備えた面ファスナー10を成形することができる。
係合素子12の基材表面からの高さは特に限定されるものではないが、例えば、0.2mm〜10mmの範囲、より好ましくは、0.3mm〜5mmの範囲にすると良い。係合素子12の高さを上記範囲に設定することにより、面ファスナー10に対する不織布21からなる吸音材20の係合力を十分に確保することができる。係合素子12が低過ぎると不織布21への係合素子12の進入が不十分になるため係合力が低下し、逆に高過ぎると係合素子12が曲がり易くなるため係合力が低下する。
吸音材20は、図2に示すように、嵩密度が異なる少なくとも2種類の不織布21の複合体から構成すると良い。複数種類の不織布21は要求される機能に応じて適切に配置することができる。例えば、図示のように嵩密度が異なる複数種類の不織布21をタイヤ内面と直交する方向に積層したり、嵩密度が異なる複数種類の不織布21をタイヤ周方向又はタイヤ幅方向に並べるように配置することが可能である。嵩密度が異なる複数種類の不織布21を用いることで、より広い周波数帯域において吸音効果を得ることができる。
少なくとも2種類の不織布21の複合体の全体としての嵩密度は4kg/m3 〜40kg/m3 の範囲にあると良い。複合体の嵩密度を上記範囲内に設定することで吸音材の耐久性と軽量性とを実用レベルにおいて両立することができる。ここで、複合体の嵩密度が4kg/m3 未満であると吸音材20の耐久性が低下し、逆に40kg/m3 を超えると吸音材20の質量が大きくなるため空気入りタイヤの転がり抵抗が増大する。また、複合体の全体としての厚さは0.5cm〜5cmにすると良い。これにより、所望の吸音効果を得ることが可能になる。
嵩密度が異なる複数種類の不織布21をタイヤ内面と直交する方向に積層するにあたって、複合体において最もタイヤ側に配置される不織布21aの嵩密度は20kg/m3 〜100kg/m3 の範囲にあると良い。このように複合体において最もタイヤ側に配置される不織布21aの嵩密度を比較的高くすることにより、面ファスナー10の係合素子12と吸音材20との間の係合力を十分に確保することができる。嵩密度が20kg/m3 〜100kg/m3 の範囲にある不織布21aは、例えば、ニードルパンチにより得ることができる。
一方、複合体においてタイヤ側とは反対側に配置される不織布21bの嵩密度は4kg/m3 〜20kg/m3 の範囲にあると良い。このように複合体においてタイヤ側とは反対側に配置された不織布21bの嵩密度を比較的低くすることにより、良好な吸音効果を得ることができる。嵩密度が4kg/m3 〜20kg/m3 の範囲にある不織布21bは、例えば、メルトブローにより得ることができる。
嵩密度が異なる複数種類の不織布21からなる複合体を構成するにあたって、その積層時の接合方法は特に限定されるものではない。例えば、複数種類の不織布21a,21bを積層した後、これら不織布21a,21bの繊維同士をニードルパンチにより絡合させたり、既に加工された不織布21aに対してメルトブローにより繊維を吹き付け他の不織布21bを形成したり、或いは、不織布21a,21bに低融点繊維を含ませ、その低融点繊維を融解することで複数種類の不織布21a,21bを互いに接合しても良い。
図4は本発明で使用される面ファスナーの他の例を示すものである。図4において、図2と同一物には同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。
図4において、面ファスナー10は、基材11の一方の面11aに複数本の係合素子12を設ける一方で基材11の他方の面11bに複数本のアンカー素子13を設けた構造を有している。アンカー素子13はタイヤ周方向Cに沿って列をなし、複数の列がタイヤ幅方向Wに沿って並ぶように配置されている。アンカー素子13の形状は特に限定されるものではないが、例えば、図示のように先端部が枝分かれして面ファスナー10の面方向に向かって延びるT字形状であると良い。これらアンカー素子13はタイヤ内面Sのインナーライナー層6に埋設されるため、面ファスナー10のタイヤ内面Sに対する接着力を向上することができる。アンカー素子13も係合素子12と同様に基材11に対して一体的に形成することができる。
図5は本発明で使用される面ファスナーに保護ゴム層を積層した状態を示すものである。この図5において、図4と同一物には同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。
図5に示すように、面ファスナー10をタイヤ内面Sに加硫接着するにあたって、基材11の一方の面11aには保護ゴム層30を積層すると良い。このような保護ゴム層30を設けた場合、タイヤ加硫時にブラダーBの押圧により係合素子12が潰れるのを防止することができる。空気入りタイヤの加硫後、保護ゴム層30を面ファスナー10から引き剥がすことにより、基材11上で起立した状態の係合素子12を露出させ、その起立状態の係合素子12に対して不織布21からなる吸音材20をしっかりと係合させることができる。
タイヤサイズ195/65R15で、タイヤ内面におけるトレッド部に対応する領域にフック形状を有する複数本の係合素子を備えた面ファスナー(樹脂成形体)を設置し、この面ファスナーをタイヤ内面に対して加硫接着した空気入りタイヤにおいて、タイヤ内面に設置された面ファスナーを利用して材質が種々異なる吸音材(幅:150mm、厚さ:20mm、長さ:タイヤ全周長)を取り付けた比較例1及び実施例1〜4のタイヤを製作した。
比較例1のタイヤは、ポリウレタンフォーム(嵩密度:37kg/m3 )からなる吸音材にループ形状を有する複数本の係合素子を備えた面ファスナー(ナイロン製織布)を貼り付け、タイヤ内面に設置された面ファスナーに対して吸音材の面ファスナーを係合させたものである。
参考例1のタイヤは、図1に示すように、タイヤ内面に設置された面ファスナーに対して単一種類の不織布からなる吸音材を直接係合させたものである。実施例1〜3のタイヤは、図2に示すように、タイヤ内面に設置された面ファスナーに対して2種類の不織布の複合体からなる吸音材を直接係合させたものである。2種類の不織布のうち、タイヤ側の不織布の厚さは4mm(20%)とし、その反対側の不織布の厚さは16mm(80%)とした。これら参考例1及び実施例1〜3における不織布の嵩密度は表1の通りである。なお、嵩密度が20kg/m3 〜100kg/m3 の範囲にある不織布はニードルパンチ不織布であり、嵩密度が4kg/m3 〜20kg/m3 の範囲にある不織布はメルトブロー不織布である。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、吸音材の質量、吸音材の係合力、吸音効果を評価し、その結果を表1に併せて示した。
吸音材の質量:
各試験タイヤについて、吸音材の質量を測定した。但し、吸音材に面ファスナーを取り付けた場合は、面ファスナーを含む吸音材の質量を測定した。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど軽量であることを意味する。
吸音材の係合力:
各試験タイヤにおける係合構造について、JIS L3416に準拠して剥離強さ(N/cm)を測定した。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど吸音材の係合力が強いことを意味する。
吸音効果: 各試験タイヤをリムサイズ15×6Jのホイールに組付け、空気圧220kPaとして排気量1800ccの車両に装着し、速度60km/hにて舗装路を走行する際のロードノイズを測定した。そして、測定されたロードノイズの波形において、200〜250Hzに現れる空洞共鳴音のピークレベル(音圧レベル)を、吸音材を装着していない場合(基準タイヤ)におけるピークレベルと対比した。評価結果は、基準タイヤに対するピークレベルの差で表した。マイナス値の場合、基準タイヤよりも空洞共鳴音が低減され、吸音効果があることを意味する。
Figure 0005594533
表1から判るように、実施例1〜3のタイヤは、ウレタンフォームからなる吸音材を用いた比較例1との対比において、吸音効果を良好に維持しながら吸音材の軽量化を可能にし、しかも吸音材の係合力を十分に確保することができた。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 インナーライナー層
7 ベルト層
10 面ファスナー
11a 一方の面
11b 他方の面
12 係合素子
13 アンカー素子
20 吸音材
21 不織布
S タイヤ内面

Claims (6)

  1. 基材の一方の面に複数本の係合素子を設けた面ファスナーを前記係合素子がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面に取り付け、前記面ファスナーに、嵩密度が異なる少なくとも2種類の不織布の複合体からなり、該複合体において最もタイヤ側に配置される不織布の嵩密度がタイヤ側とは反対側に配置される不織布の嵩密度よりも高い吸音材を直接係合させたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記面ファスナーが樹脂成形体であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記面ファスナーをタイヤ内面に加硫接着したことを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記複合体の嵩密度が4kg/m3〜40kg/m3の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記複合体において最もタイヤ側に配置される不織布の嵩密度が20kg/m3 〜100kg/m3 の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記係合素子の基材表面からの高さが0.2mm〜10mmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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