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JP5601698B2 - 抗ウイルス性を有するポリ塩化ビニル系樹脂製シート - Google Patents
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抗ウイルス性を有するポリ塩化ビニル系樹脂製シート Download PDF

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Description

本発明は焼成ドロマイトを含有する表面処理剤を塗布したポリ塩化ビニル系樹脂製シートに関するものであり、柔軟性があり、引裂強度が良好で、抗ウイルス性に優れたポリ塩化ビニル系樹脂製シートに関するものである。
重症呼吸器感染症(SARS)ウイルスや鳥インフルエンザウイルス、新型インフルエンザウイルスが社会問題となったことをきっかけに、衛生観念の広範な普及から病院、保健所、養護施設等の医療関係のみならずパンデミック(感染爆発)に備え一般公共施設、家庭まで抗ウイルス製品が期待されるようになってきている。
ウイルスの感染力を消失させることによりウイルスが細胞に進入するのを防止することができる抗ウイルス剤として焼成ドロマイトがある。
焼成ドロマイトを含有した熱可塑性樹脂をシート又はフィルムにするために適した組成物に関しては特許文献1に開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では抗ウイルス性を有するポリ塩化ビニル系樹脂製シートを得るために大量の焼成ドロマイトを添加する必要があり、その場合引裂強度に乏しく、用途によっては使用できないという問題がある。またポリ塩化ビニルに焼成ドロマイトを練り込むと加工時の色変化が著しく、所望の色に調色できないという問題も生じる。さらに焼成ドロマイトは水と接触することで徐々に塩基性が強くなるため皮膚と接触した場合に肌が荒れる可能性があるため肌が触れ易い用途に使用できないという問題がある。
特開2006−89335
本発明は焼成ドロマイトを含有する表面処理剤を塗布したポリ塩化ビニル系樹脂製シートに関するものであり、柔軟性があり、引裂強度が良好で、抗ウイルス性に優れたポリ塩化ビニル系樹脂製シートを提供することを目的としている。
係る目的を達成するために本発明が講じた手段は、ポリ塩化ビニル系樹脂製シートの片面最外層に不織布を積層したポリ塩化ビニル系樹脂製複層シートであって、前記不織布がレーヨン、コットン、ポリエステル、ポリビニルアルコールのうち少なくともいずれかの繊維を含有する不織布または親水性処理した不織布であり、前記ポリ塩化ビニル系樹脂製シート面および/または前記不織布面に、有機溶剤を主成分とする液状媒体に焼成ドロマイトを分散してなる抗ウイルス性表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂製シートであり(請求項1)、さらに前記抗ウイルス性表面処理剤の固形分中の焼成ドロマイト含有量が30〜70重量%である抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂製シートであり(請求項2)、またさらに前記不織布面のpH が10.0以下である抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂製シートである(請求項3)。またこれらの抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂製シートを2次加工してなる衣服類またはカーテンである(請求項4)。
本発明によれば、柔軟性、引裂強度、抗ウイルス性に優れたポリ塩化ビニル系樹脂製シートを得ることができる。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製シート 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製シート 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製シート 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製シート 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製シート 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製シート
本発明を実施するための形態について詳しく説明する。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂製シートはポリ塩化ビニル系樹脂製シートの少なくとも片面、またはポリ塩化ビニル系樹脂製シートの片面最外層に吸水性を有する不織布を積層したポリ塩化ビニル系樹脂製複層シートのポリ塩化ビニル系樹脂製シート面および/または前記不織布面に、表面処理剤の固形分中の焼成ドロマイト含有量が30〜70重量%であり、有機溶剤を主成分とする液状媒体に焼成ドロマイトを分散してなる抗ウイルス性表面処理剤が塗布されてなる。
本発明に係る抗ウイルス性表面処理剤について説明する。
本発明で使用される抗ウイルス性表面処理剤の樹脂成分にはウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルゴム系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル系共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーンゴム系樹脂、変性シリコーン系樹脂、アルキド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル変性エポキシ系樹脂、エポキシ−フェノール系樹脂、エポキシ−アクリル系樹脂、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、メラミン系樹脂など、更にはこれら樹脂成分を好適に用いることができる。
本発明で使用される抗ウイルス性表面処理剤の液状媒体の主成分に、水溶性タイプや、エマルジョンタイプように水を用いた場合、焼成ドロマイトを配合することでアンモニア臭が発生し作業環境に悪影響を及ぼすといった問題点がある。さらに、このような場合には、処理剤の粘度が著しく増大または減少するため、塗布加工において表面処理不良の原因となり好ましくない。また、処理剤の粘度が著しく増大する場合には、界面活性剤などの減粘剤や処理剤のpH調整を行う緩衝液などを配合したり、あらかじめpHが塩基性に調整されている処理剤を使用する必要がある。逆に処理剤の粘度が著しく低下する場合には、処理剤中に含まれる樹脂成分もの濃度を増加させたり、シリカやクレーなどの増粘剤を配合したり、あらかじめpHが塩基性に調整されている処理剤を使用する必要がある。さらにこのように粘度を調整したとしても保管時の貯蔵安定性に劣る。
また塗布後の表面処理層の耐摩擦性に劣ることから使用時に処理剤がシートや不織布から剥れ易く、抗ウイルス性が低下する。
これらの理由から本発明で使用される抗ウイルス性表面処理剤の液状媒体の主成分には有機溶剤を用いることが好ましい。
本発明で使用される抗ウイルス性表面処理剤の液状媒体としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤や、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、アノン、メチルイソブチルケトンなどのエステルやケトン系溶剤や、メチルセロソルブ、セロソルブ、エチルジグリコール、セロソルブアセテートなどのエーテルアルコール系溶剤や、ジクロロメタン、トリクロロエチレンなどの塩素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、灯油などの脂肪族系炭化水素系溶剤や、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤など、更にはこれらの混合溶剤やミネラルスピリットなどの有機溶剤を好適に用いることができる。
本発明で使用されるドロマイトとは、カルシウムとマグネシウムの複合炭酸塩鉱物(化学組成CaCO・MgCO、もしくはCa・Mg(CO)を指し、一般には復塩を形成しているが、本発明の効果を妨げない限り、複塩を形成していないものでもかまわない。また、ドロマイトは天然に産出されるもの以外に、化学合成によっても製造することができ、本発明には天然品、合成品のいずれも使用することができるが、工業的に利用する上では安価な点から天然品が好ましい。
天然のドロマイトは、通常、CaO/MgOで表わされる複塩のモル比が0.70〜1.63の範囲であり、CaCOをCaO換算9〜40重量%程度、MgCOをMgO換算で10〜38重量%程度含有しており、本発明にもこのようなドロマイトを利用することができる。また、天然のドロマイトは主成分の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム以外に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸鉄(II)等を含んでいるが、これら由来の成分は、本発明における効果を損なわない程度の量であれば問題はない。
本発明で使用される焼成ドロマイトとは、天然または合成ドロマイトを700℃以上の温度で焼成することにより得られる。また、焼成ドロマイトは焼成後水和したものであってもよい。
本発明で使用する焼成ドロマイトは、機械的な微粒子化手段により、後加工に適した粒系に調整できる。機械的微粒子化手段としては、ジェットミル、ロールミル、ボールミル、ハンマーミル、インパクトミル、ウイレーミル、ポットミル、グラインドミル、ディスクミル、ホモナイザー、ペイントシェイカー、ビーズミルなどの、乾式及び湿式の粉砕方法を用いることができる。さらに、得られた微粒子を篩や風力などの分級装置によって分級し、目的とする粒子径の抗菌剤を得ることもできる。
さらに、焼成ドロマイトを表面処理することにより、樹脂との親和性が向上し、再凝集を防止して分散性を増大することができる。また塩化ビニル樹脂の場合、成形時の樹脂の変色を抑制することができる。表面処理剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸アルミニウムなどの脂肪酸金属塩、チタン系やシラン系などのカップリング剤、界面活性剤などを挙げることができる。
本発明で使用される抗ウイルス性表面処理剤に含有する焼成ドロマイトの含有量は、表面処理剤の固形分中の30〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは40〜60重量%である。焼成ドロマイトの含有量が30重量%未満では抗ウイルス性が乏しくなり、70重量%を超えると表面処理剤の粘度上昇や分散性の著しい低下により表面処理剤の生産が困難になる。ここで固形分とは表面処理剤を塗布後に揮発しない成分のことを示す。
また、抗ウイルス性表面処理剤全体に対する含有する焼成ドロマイトの含有量は、5〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜20重量%である。表面処理剤全体に対する焼成ドロマイトの含有量が5重量%未満では抗ウイルス性が乏しくり、30重量%を超えると表面処理剤の粘度上昇や分散性の著しい低下により表面処理剤の塗布が困難になる。
本発明で使用される抗ウイルス性表面処理剤には、前述した焼成ドロマイトの他、発明の目的を逸脱しない限りにおいて、必要に応じて、シリカやタルク、クレー、顔料、導電性金属、磁性材料、蓄光剤などの無機成分を含んでいてもかまわない。
本発明で使用される焼成ドロマイトを分散させ抗ウイルス性表面処理剤を調製する方法としては、従来顔料分野で使用されているようなボールミル、ビーズミル、スピードラインミル、サンドミル、ロールミル、ペイントシェイカー等を挙げることができる。
本発明で使用される抗ウイルス性表面処理剤の塗布量としては、1.0〜5.0g/m、好ましくは2.0〜3.0g/mである。1.0g/m未満では抗ウイルス性が乏しくなり、5.0g/mを超えるとポリ塩化ビニル系樹脂製シートの柔軟性を損なうことや、吸水性を有する不織布に抗ウイルス性表面処理剤を塗布した場合には吸水性能を損なうことや、ポリ塩化ビニル系樹脂製シートと不織布を複合体とした後、不織布面に抗ウイルス性表面処理剤を塗布した場合、ポリ塩化ビニル系樹脂製シートと不織布の接着強度が低下する。
抗ウイルス性表面処理剤の塗布方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、表面処理剤を、ナイフコート、グラビアコート、スクリーンコート、彫刻ロールコート、フレキソコート、スプレー塗装、ロール塗装、フロー塗装、ディッピング等の公知の方法に従って塗布することができる。
本発明に係るポリ塩化ビニル系樹脂製シートについて説明する。
本発明で使用されるポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル系樹脂共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などが挙げられ、これらを1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらポリ塩化ビニル系樹脂の中でも加工性、価格の点でポリ塩化ビニルが好ましい。
本発明で使用されるポリ塩化ビニル系樹脂製シートには、本発明における効果を逸脱しない限り、必要に応じて可塑剤を添加してもよい。可塑剤は1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。可塑剤の添加量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して20〜80重量部が好ましく、さらに好ましくは30〜60重量部である。可塑剤の添加量が20重量部未満では流動性が悪くシート成形が難しくなり、80重量部を超えるとシートにしたときべた付き易く取扱い性が悪くなる。
本発明で使用されるポリ塩化ビニル系樹脂製シートには、本発明における効果を逸脱しない限り、必要に応じて安定剤を添加してもよく、例えば、フェノール系,亜リン酸エスエル系,チオエーテル系等の各種酸化防止剤、脂肪酸の金属塩,ヒドロキシ脂肪酸の金属塩,アルキル乳酸の金属塩等の金属石鹸系安定剤、アルキル錫メルカプチド系,アルキル錫マレート系,アルキル錫カルボキシレート系等の有機錫系安定剤、三塩基性硫酸鉛,二塩基性亜リン酸鉛,ステアリン酸鉛等の鉛系安定剤を単独あるいは併用して使用することができる。
これらの添加剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の添加が一般的である。
更に、本発明で使用されるポリ塩化ビニル系樹脂製シートには、本発明の効果を逸脱しない限り、必要に応じて、無機充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、紫外線遮蔽剤、帯電防止剤、難燃剤、増粘剤、界面活性剤、蛍光剤、架橋剤、アクリル系ゴム、スチレン系ゴム、ポリオレフィン系ゴム、シリコーン系ゴムなどの衝撃改良剤など、一般的に樹脂に添加される他の配合剤を添加してもよい。
本発明で使用されるポリ塩化ビニル系樹脂製シートを得るに当たって予備混練が必要な場合には、通常、熱可塑性樹脂において用いられている公知の装置を利用することができる。例えば、本発明の組成物を高速攪拌機、低速攪拌機、ヘンシェルミキサーなどで均一に混合し、バッチ式混練ミキサー、バンバリーミキサー、コニーダ、押出機などで溶融混合し、直ちに成形してもよい。また、溶融混合した後、一旦ペレット化し、その後成形してもよい。
本発明で使用されるポリ塩化ビニル系樹脂製シートは、ロール成形装置、カレンダー成形装置、一軸又はニ軸押出装置等の公知の設備で成形することができる。シートを製造するスピードや、得られたシートの厚み精度の点から、カレンダー成形装置が好ましい。
本発明で使用されるポリ塩化ビニル系樹脂製シートの厚みは特に限定はされないが、1.00mm未満が好ましく、より好ましくは0.50mm以下、さらに好ましくは0.30mm以下である。シートの厚みが1.00mm以上である場合には、シートの表面平滑性が劣る可能性がある。厚さが1.00mm以上のシートを得る場合には、厚さが1.00mm未満のシートを複数枚積層することによって製造する方が好ましい。一方、厚みの下限については成形する装置にもよるが、成形性、厚みの均一性を考えると0.03mm以上が好ましく、0.05mm以上がさらに好ましい。
本発明で使用される不織布は、ポリ塩化ビニル系樹脂製シートの引裂強度が弱い場合に補強する目的や、肌に触れる場合に肌触りを良好にすることを目的としており、不織布の種類としては特に限定しないが、シートを使用する上で必要と考えられる柔軟性を付与する場合には塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、レーヨン、コットン等の繊維からなる不織布を好適に用いることができる。また、これらの繊維を2種以上混紡した不織布を用いても良い。
本発明で使用される焼成ドロマイトは水と接触することで徐々に塩基性が強くなるため皮膚と接触した場合に肌が荒れる可能性がある。このように肌が触れ易い用途に本発明のシートを使用する場合には水分を長時間焼成ドロマイトと接触させないようにできる吸水性若しくは水分拡散性を有する不織布を用いることが好ましい。吸水性若しくは水分拡散性を有する不織布を用いることで焼成ドロマイトと水の接触する時間を短くすることができ、塩基性が強くなるのを防ぐことができる。肌荒れを防ぐための塩基性の強さとしては好ましくはpH10.0以下、より好ましくはpH9.0以下、最も好ましくはpH8.5以下である。
吸水性若しくは水分拡散性を有する不織布としてはレーヨン、コットン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等の繊維からなる不織布が挙げられ、吸水性若しくは水分拡散性のない不織布であっても不織布を親水性処理することで用いることができる。これらの繊維を2種以上混紡した不織布を用いても良く、吸水性若しくは水分拡散性を有する不織布と吸水性若しくは水分拡散性のない不織布を混紡しても良い。吸水性若しくは水分拡散性を有する不織布と吸水性若しくは水分拡散性のない不織布を混紡する場合は吸水性若しくは水分拡散性を有する不織布を50〜99重量%とするのが好ましい。
ここでいう、吸水性とはJIS L 1907に準拠した測定にて、吸水率が25%以上の場合を指す。
抗ウイルス性能として、活性酸素であるヒロドキシラジカルは単独で抗ウイルス性能を発揮し、さらに金属酸化物粉末と水酸化物との組み合わせ及び反応制御により、さらに高い抗ウイルス性能を発揮することが知られている。本発明に使用する焼成ドロマイトも同様のメカニズムで抗ウイルス性能を発揮する。そのため抗ウイルス性表面処理剤の塗布面を水と接触させるとヒドロキシイオンが発生し易く、容易に塩基性が強くなり、pHが高くなる。
上記のようにpHが高くなると肌への接触部位に使用する際には肌荒れが懸念される。そこで、このような場合には、ポリ塩化ビニル系樹脂製シートと吸水性若しくは水分拡散性を有する不織布を積層し、その両面に本発明の抗ウイルス性表面処理剤を塗布し、肌非接触面はpH10.0以上とし、肌接触面はpH8.0以上〜10.0未満とすることで、肌荒れがなく積層シートの両面において抗ウイルス性が得られる。
本発明で使用される不織布としては、目付が20〜80g/m、好ましくは30〜50g/mのものである。20g/m未満では抗ウイルス性表面処理剤を塗布した場合には不織布に表面処理剤を十分に塗布できなくなる可能性が生じ、80g/mを超えるとポリ塩化ビニル系樹脂製シート由来の柔軟性を損なう可能性がある。
また、本発明の抗ウイルス性表面処理剤は、不織布に予め塗布することも可能である。不織布に予め塗布する場合、処理剤が不織布の絡み点に付着し易いことから、不織布の目付は20g/m以上が好ましく、40g/m以上がより好ましい。
このように塗布された不織布は抗ウイルス性を有し、この抗ウイルス性表面処理剤で処理した不織布のみでもシーツ、衣服、手袋等の引裂強度や高耐久性を要求されない用途に使用することが出来る。さらに、肌荒れを懸念する用途であれば、上記の吸水性若しくは水分拡散性を有する不織布を使用することが好ましい。
上記不織布は、スパンボンド法、スパンレース法、メルトブローン法、乾式法、湿式法等種々の方法で製造することができる。
本発明においてポリ塩化ビニル系樹脂製シートと不織布を積層するには、超音波融着や熱エンボス等による熱接着や溶剤型接着剤やホットメルト接着剤等の接着剤を使用する方法を採用することができる。
本発明においてポリ塩化ビニル系樹脂製シートと不織布を積層時のポリ塩化ビニル系樹脂製シートと不織布との接着強度として、好ましくは1.0N(ニュートン)以上、さらに好ましくは3.0N以上である。1.0N未満では容易にポリ塩化ビニル系樹脂製シートと不織布を剥がすことができるため、シートを使用時に剥れる可能性がある。
本発明において両面抗ウイルス性を有する、ポリ塩化ビニル系樹脂製シートまたはポリ塩化ビニル系樹脂製複層シート得るには、ポリ塩化ビニル系樹脂製シートと不織布を積層後に両面に抗ウイルス性表面処理剤を塗布してもよく、ポリ塩化ビニル系樹脂製シートと予め抗ウイルス性表面処理剤を塗布した不織布を抗ウイルス性表面処理剤塗布面が最外面にくるように積層し、その後ポリ塩化ビニル系樹脂製シート面に抗ウイルス性表面処理剤を塗布してもよく、抗ウイルス性表面処理剤を塗布したポリ塩化ビニル系樹脂製シートと抗ウイルス性表面処理剤を塗布した不織布を抗ウイルス性表面処理剤塗布面が最外面にくるように積層してもよい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製シートの構成としては図1〜6のような構成を用いることができ、抗ウイルス性と肌荒れ防止を両立できるポリ塩化ビニル系樹脂製シートの構成としては図6のような構成が好ましい。図6のような構成とすることで肌非接触面はpH10.0以上とし、肌接触面はpH8.0以上〜10.0未満とすることができ、抗ウイルス性と肌荒れ防止を両立できる。
本発明の積層シートは、裁断、熱融着または溶剤溶着など2次加工することにより建築用シート、衣服類、カーテンなどに用いることもできる。
次に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において実施例1〜12を参考例と読み替える。
<処理剤>
A−1(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂系溶剤タイプ処理剤)
成 分:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 15%
メチルエチルケトン 45%
メチルイソブチルケトン 35%
酢酸エチル 5%
塗料中の固形分量:15%

A−2(ウレタン樹脂系溶剤タイプ処理剤)
成 分:ウレタン系樹脂 13%
シリカ 2%
メチルエチルケトン 58%
メチルイソブチルケトン 14%
イソプロピルアルコール 7%
N,N−ジメチルホルムアミド 6%
塗料中の固形分量:15%

A−3(アクリル樹脂系エマルジョンタイプ処理剤)
成 分:アクリル系樹脂 30%
水 60%
イソプロピルアルコール 10%
塗料中の固形分量:30%

A−4(塩化ビニル樹脂系エマルジョンタイプ処理剤)
成 分:塩化ビニル系樹脂 15%
シリカ 5%
水 60%
イソプロピルアルコール 20%
塗料中の固形分量:15%

<焼成ドロマイト>
B−1:平均粒径2.0μmの粉末
B−2:平均粒径3.5μmの粉末、表面有機化処理

<不織布>
C−1:コットン60wt%/ポリエステル40wt%複合不織布(目付量40g/m
C−2:糊引きPP不織布(目付量30g/m
<実施例1〜23および比較例1、5〜7>
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して可塑剤(フタル酸ジイソノニル)45重量部、安定剤3重量部、充填剤(炭酸カルシウム)15重量部を配合した樹脂組成物を、温度175℃の逆L型カレンダー成形機で成形してポリ塩化ビニル系樹脂製シートを得た。
また不織布との複合シートとする場合は、圧延後、直ちにポリ塩化ビニル系樹脂製シートを不織布に積層した。
表1〜6に示した組成で処理剤と焼成ドロマイトを混合後、ボールミルで攪拌して抗ウイルス性表面処理剤を調製した。調製した処理剤を、グラビアコーターによりポリ塩化ビニル系樹脂製シートおよび不織布表面に塗工した後、70℃のオーブン中で乾燥した。なお、抗ウイルス性表面処理剤の塗布量はグラビアメッシュロールの種類および塗工速度により調整した。
<実施例24>
表4に示した組成で処理剤と焼成ドロマイトを混合後、ボールミルで攪拌して抗ウイルス性表面処理剤を調製した。調製した処理剤を、グラビアコーターにより不織布表面に塗工した後、70℃のオーブン中で乾燥した。なお、抗ウイルス性表面処理剤の塗布量はグラビアメッシュロールの種類および塗工速度により調整した。
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して可塑剤(フタル酸ジイソノニル)45重量部、安定剤3重量部、充填剤(炭酸カルシウム)15重量部を配合した樹脂組成物を、温度175℃の逆L型カレンダー成形機で成形し、圧延後、直ちにポリ塩化ビニル系樹脂製シートを不織布に積層した。不織布のポリ塩化ビニル系樹脂製シートとの積層面は処理剤を塗布していない面とした。
<比較例2〜4>
表5に示した組成で処理剤と焼成ドロマイトを混合後、ボールミルで攪拌して抗ウイルス性表面処理剤を調製した。
調製した処理剤は粘度に問題があり、塗布することができなかった。
<比較例8>
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して可塑剤(フタル酸ジイソノニル)45重量部、安定剤3重量部、焼成ドロマイト70重量部を配合した樹脂組成物を、温度175℃の逆L型カレンダー成形機でシートに圧延後、不織布に積層し、複合シートを得た。
表6に示した組成で処理剤と焼成ドロマイトを混合後、ボールミルで攪拌して抗ウイルス性表面処理剤を調製した。調製した処理剤を、グラビアコーターにより不織布表面に塗工した後、70℃のオーブン中で乾燥した。なお、抗ウイルス性表面処理剤の塗布量はグラビアメッシュロールの種類および塗工速度により調整した。
得られたポリ塩化ビニル系樹脂製シートを、以下の方法、基準で評価し、結果を表1〜6に記載した。
<塗料粘度>
B型粘度計で、ローターNo.1もしくは2を用いて、回転数20rpmで測定し、以下の基準で判定した。
[評価結果]
〇:粘度が30mPa・s以上〜300mPa・s未満
(グラビアコーターでの塗工に適する粘度)
△:粘度が300mPa・s以上〜800mPa・s未満
(グラビアコーターで塗工が可能な粘度)
×:粘度が30mPa・s未満、800mPa・s以上
(グラビアコーターでの塗工が困難な粘度)
<アンモニア臭>
処理剤と焼成ドロマイトを混合した時のアンモニア臭について、以下の基準で判定した。
[評価結果]
〇:アンモニア臭がほとんどない
△:アンモニア臭が問題とならない
×:アンモニア臭が問題となる
<抗ウイルス性>
ポリ塩化ビニル系樹脂製シートに関しては実施例及び比較例で作製した4cm×4cmのポリ塩化ビニル系樹脂製シートの処理剤塗工面にウイルス液を50μL滴下し、2cm×2cmのポリエチレンシートを被せてウイルス液を均等に拡げた。室温(26℃)で30分後にウイルス液を全量回収し、10日齢の発育鶏卵に接種し、ウイルス増殖の有無を判断し、ウイルス力価をもとめた。
不織布に関しては実施例及び比較例で作製したポリ塩化ビニル系樹脂製複層シートから不織布部分をはがし、1.5cm×1.5cmに裁断した。重量が約0.20gになるように裁断した不織布を重ねてポリエチレンのチャック袋に入れた。ウイルス液を0.6ml不織布に滴下ししみ込ませた。4℃で30分後にウイルス液を90μL回収し、10日齢の発育鶏卵に接種し、ウイルス増殖の有無を判断し、ウイルス力価をもとめた。
初期ウイルス力価:約5.0±1.0LogEID50/0.2ml
[評価結果]
○:ウイルス力価が1.5LogEID50/0.2ml未満
△:ウイルス力価が1.5LogEID50/0.2ml以上〜3.0LogEID50/0.2ml未満
×:ウイルス力価が3.0LogEID50/0.2ml以上
<着色度>
実施例及び比較例で作製したシートの変色による着色度を目視により評価した。
[評価結果]
○:ほとんど着色なし
△:若干の着色あり
×:著しい着色があり
<柔軟性>
実施例及び比較例で作製したシートをJIS K 7127に準拠して引張弾性率の測定を行い評価した。引張速度10mm/min、ダンベル1号型にて実施した。
○:引張弾性率が50MPa未満
△:引張弾性率が50MPa以上〜100MPa未満
×:引張弾性率が100MPa以上
<引裂強度>
実施例及び比較例で作製したシートをJIS P 8116に準拠して測定を行い評価した。
[評価結果]
○:引裂強度20N/mm以上
△:引裂強度10N/mm以上〜20N/mm未満
×:引裂強度10N/mm未満
<pH測定>
実施例及び比較例で作製したシートの処理剤塗工面に水1mlを滴下し、30分後に、pHメーターにて測定を行った。不織布を積層している場合は、不織布面も同様にして測定した。
[評価結果]
分類1:pH8.5未満
分類2:pH8.5以上〜pH10.0未満
分類3:pH10.0以上〜pH10.5未満
分類4:pH10.5以上





表1
Figure 0005601698






















表2
Figure 0005601698






















表3
Figure 0005601698






















表4
Figure 0005601698






















表5
Figure 0005601698






















表6
Figure 0005601698






















本発明は、柔軟性があり、引裂強度が良好で、抗ウイルス性に優れたポリ塩化ビニル系樹脂製シートが得られることから、抗ウイルス性が要求される病院、保健所、養護施設等の医療関係のみならずパンデミック(感染爆発)に備え一般公共施設、家庭用の日用品、事務用品、衣料、医療用、内装材など各分野で広く使用することができる。
1 ポリ塩化ビニル系樹脂製シート
2 抗ウイルス性表面処理剤
3 吸水性若しくは水分拡散性の無い不織布
4 吸水性若しくは水分拡散性の有る不織布

Claims (4)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂製シートの片面最外層に不織布を積層したポリ塩化ビニル系樹脂製複層シートであって、前記不織布がレーヨン、コットン、ポリエステル、ポリビニルアルコールのうち少なくともいずれかの繊維を含有する不織布または親水性処理した不織布であり、前記ポリ塩化ビニル系樹脂製シート面および/または前記不織布面に、有機溶剤を主成分とする液状媒体に焼成ドロマイトを分散してなる抗ウイルス性表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂製シート。
  2. 前記抗ウイルス性表面処理剤の固形分中の焼成ドロマイト含有量が30〜70重量%であることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂製シート。
  3. 前記不織布面のpH が10.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂製シート。
  4. 記請求項1〜3のいずれかに記載の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂製シートを2次加工してなる衣服類またはカーテン
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