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JP5604064B2 - 指紋が目立ちにくく、耐疵付き性に優れたカラーチタン製品 - Google Patents
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指紋が目立ちにくく、耐疵付き性に優れたカラーチタン製品 Download PDF

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Description

本発明は、建築用内装材および外装材、厨房部材、食器、家具、器物、電気機器外装、電子機器筐体、時計、カメラ、メガネ、装身具、装飾品、また、鉄道、自動車、船舶、航空機などの内装材等に使用される、指紋汚れが目立たないか、指紋が付着しても容易に拭き取ることの出来る表面を有し、意匠性に優れたカラーチタン製品に関する。
近年、建築用内装および外装材、時計、カメラ、メガネなどの装飾品や電子機器類筐体など、表面美観を要求される用途にチタン製品が多量に採用されるようになってきた。これはチタン最大の特徴である優れた耐食性や、人体・生体への無害性に加え、独特の質感や高級感がデザイナーやユーザーに好まれるからである。したがって、これらのチタン製品では、意匠性や美観を要求されることが多い。特に、チタンは陽極酸化法などにより表面に干渉色による発色層を設けることが可能であるが、そのようなカラーチタン製品は、高級感から種々用途で非常に好まれている。
しかし、チタンを金属表面の状態で使用する場合、指紋が付着して目立ちやすい、付着した指紋が拭き取りにくい、などの問題があった。特に、陽極酸化発色により表面に着色したチタン製品では、さらに指紋が目立ちやすくなり、商品価値を落してしまうことが欠点であった。
チタン製品で指紋が目立ちやすくなる理由は、チタンあるいはチタン酸化物層表面に指紋(油脂成分などの有機物)が付着すると、それがたとえ少量であり、それ自身は無色透明であったとしても、金属表面と有機物では光の散乱係数が異なるため、付着した部分が目立つことに起因するものである。これはチタンの材質特性を損なうことはないが、近年、チタンの意匠性を重視してチタンが使用されている分野においては、表面の美麗さを損ない、商品価値が低下してしまうという点から、指紋が目立たないか、付着しても拭き取りやすいという特性への要求は高まっている。
これを解決する方法として、一般的には、金属表面にクリアー塗装する手段が経験的に採用されてきた。これは、油脂成分と光の散乱係数が比較的近い樹脂などを金属表面に塗ることにより、指紋付着部が目立つのを抑えようとするものである。これらのクリアー塗装材には有機系と無機系とあるが、チタン同様に、無垢で使用される場合に指紋の目立ちやすいステンレス鋼にクリアー塗装した製品は幅広く実用化されている。例えば、特許文献1には、耐指紋性のみならず耐疵付き性に優れたクリアー樹脂塗装金属板が開示されており、クリアー塗膜の表面粗さを制御することで、金属色の外観を保持しつつ疵を目立ちにくくするとある。
また、特許文献2では、チタンを添加したステンレスを用いて、その表面に酸化チタンを形成させる熱処理を施すことを特徴とする、耐指紋汚れ性が良好なステンレス鋼が提案されている。こうして表面に生成した酸化チタン層に紫外線を当てることで生じる光触媒作用を活用して、指紋などによる汚れを自ら落とすことが可能であると記載されている。さらに、特許文献3には、ステンレス鋼表面にフッ素と炭素の結合を有する化合物を被覆することにより、耐指紋性を向上させる方法が提案されている。これはフッ素と炭素の結合を有する化合物には油脂成分が付着しにくい効果を活用したものであり、従来、厚目付けしかできず鋼板の質感を保持できなかった当該化合物を粒界溝に埋め込むことで克服できたことが紹介されている。なお、以上の文献は、いずれもステンレスあるいは鋼への適用例を示した技術であるが、チタン製品へも容易に適用可能と考えられるため参照した。
しかしながら、これらの技術はいずれも、その表面に母材とは異なる物質を付着させることにより達成されるものであり、その場合、まずは経年変化により表面状態(塗膜、酸化チタン層、化合物層)が変ることは容易に想像される。したがって、ある程度の時間が経てば、表面状態が変化してしまい、初期のパフォーマンスを維持できなくなってしまう。また、仮に薄目付けしたとしても金属表面そのものが持つ意匠性を維持することはできず、チタンそのものの質感や高級感を要望された場合には適用できないという問題がある。さらに、特に、表面酸化チタン層での光の干渉を利用して発色している陽極酸化法による発色チタンでは、クリアコート塗布により表面皮膜の厚みが変化してしまい、元々発色していた色が変化してしまい、好みの色彩に仕上げることができないという問題がある。
一方、表面に凹凸を設けた圧延ロールを使用して冷間圧延することで製品表面に起伏を転写させるロールダル法により、適度の表面粗さを板製品に付与し、耐指紋汚れ性を改善したステンレス鋼板およびその製造方法が特許文献1に提案されている。しかし、この方法では、製品形状が冷間圧延した薄板製品に限定されるとともに、この後プレス成型などの二次加工を受ける製品へは適用し難い技術である。また、発色後にこのロール成形による加工を行うと、発色層が剥離してしまうこと、加工後に発色しても耐指紋性は改善されないことから、カラーチタンへの適用は実用的と言えない。
また、種々の表面性状を有する金属板において生じる光学的現象を突き詰め、表面粗さのパワースペクトル分布を測定し、指紋の目立たない表面性状を定量化したものが特許文献4に記載されている。しかし、当該文献の中にも記載されているように、この条件を満たす金属板を製造する方法については、当該文献が公開されて今日まで、最適なものが見出されていたとは言い難い。
特開2002−361303号公報 特開平8−193218号公報 特開2005−68503号公報 特開2001−47105号公報
以上のような現状を鑑み、本発明は、指紋が付着しても目立ちにくいか、容易に拭き取ることができ、しかも、耐疵付き性および意匠性に優れたカラーチタン材を提供するものである。
発明者らは、種々の実用的方法にて、陽極酸化発色したチタン材に表面処理を施し、指紋が目立ちにくいか、指紋が付いても拭き取りやすい表面肌について鋭意研究を重ねた。その結果、チタン表面に均一な凹みを入れてその部分に発色を行い、凹み部の径と深さを制御するとともに、凹み部の稜に、適度な表面粗さを有するなだらかな平面部を適正な面積率にて設けることにより、指紋が目立ちにくいか、指紋が付着しても拭き取りやすくなることを見出した。
その要旨とするところは以下の通りである。
(1)陽極酸化法により表面を発色した、平均で20〜150μmの径および隣接する凸部(稜)からの平均深さが3〜30μmの凹みを表面に均一に有するとともに、隣接する凸部(稜)の部分には、発色が除去され、その表面粗さがRaで0.10〜1.50μmのなだらかな平坦部を有し、平坦部の面積率が全体の10〜60%であるとともに、最表面から50μmの深さでの最大硬さが、母材よりもビッカース硬さ(Hv0.02)で40〜150ポイント高いことを特徴とする、指紋が目立ちにくく、疵が付きにくい、意匠性に優れたカラーチタン製品。
(2)前記カラーチタン製品が、意匠性に優れた器物、電子機器筐体、建造物またはその部材のいずれかであることを特徴とする上記(1)に記載のカラーチタン製品。
発明者らは、種々の実用的方法にて、陽極酸化発色したチタン材の表面状態を変化させ、指紋が目立ちにくいか、指紋が付いても拭き取りやすい表面肌について鋭意研究を重ねた。その結果、表面に均一に凹みを付与し、そこに発色層を設けるとともに、その後の研磨処理などにより、凹みの稜に適度な表面粗さを有するなだらかな平面部を設けることにより、発色による色調を維持するとともに、指紋が目立ちにくいか、指紋が付いても拭き取りやすくなることを明らかとした。このような構成を持つチタン表面では、チタン表面よりも皮脂が付着しやすく、除去されにくい陽極酸化発色層に、直接、指が触れにくくなる構造になるためである。また、このような凹凸を有するチタン表面は適度の滑らかさを有しているため、皮脂が局所的にこびりつき指紋として目立ちやすくなることが抑えられると同時に、皮脂が付着しても拭き取りやすくなる。さらには、表面硬さを適正に調整することにより、キズに対する抵抗が高まり、キズがつきにくくなると同時に、表面形態も維持されるため、指紋が目立ちにくい効果を長期間持続することが可能となる。
請求項1に記載の本発明(以下、本発明(1))では、平均で20〜150μmの径および3〜30μmの深さに相当する凹みを表面に均一に有するとともに、凹みに隣接する凸部(稜)の部分に表面粗さRaで0.1〜1.5μmのなだらかな平坦部を有し、その平坦部は発色が除去され、平坦部の面積率が全体の10〜60%であるとともに、最表面から50μmの深さでの最大硬さが、母材よりもビッカース硬さ(Hv0.02)で40〜150ポイント高いことを特徴とする、指紋が目立ちにくく、疵が付きにくいカラーチタン製品とした。
このとき、陽極酸化法により発色層を設ける凹み部において、凹み部の平均径20μm未満、平均深さ3μm未満の場合、凹凸の少ない表面肌と同様となり、耐指紋性は向上しないこと、また、凹み部平均径が150μm超、平均深さが30μm超では、皮脂が付着した場合に残りやすくなり、いずれも耐指紋性は低下する。この時、高い意匠性と耐指紋性を要求される場合、表面に付与する凹みの平均径は30〜120μm、平均深さは5〜20μmの範囲であることが望ましい。また、凹みに隣接する凸部(稜)の部分には、発色が除去された平坦部を設け、その部分の表面粗さがRaで0.1未満および1.5超の場合、いずれも、指先に対する表面の抵抗が大きくなり、指紋が残りやすくなる。また、その平坦部の面積率が全体の10%未満の場合は、単純な凹凸のある表面と同様となり、やはり指先に対する摩擦抵抗が上昇するために、耐指紋性は低下する。逆に、平坦部の面積率が60%を超えると、凹凸の少ない平坦な表面形態に近づくため、この場合も指先に対する摩擦抵抗が増加して耐指紋性は低下するとともに、発色部分の面積が減少し、求める色調を得ることは困難となる。
さらに、最表層から50μmの深さでのビッカース硬さ(Hv0.02)の最大値が、母材に比べ40ポイント未満の場合にはキズが入りやすく、また、150ポイントを超えて硬い場合には、最表層が脆くなり、却って剥がれやすくなってしまうため、両者の硬さの差は40〜150ポイントの範囲とした。
本発明のカラーチタン製品が、請求項2に記載の本発明(以下、本発明(2))に規定するように、意匠性に優れた器物、電子機器筐体、建造物またはその部材のいずれかであると好ましい。これらの製品に本発明を適用することにより、指紋が目立ちにくく、疵が付きにくいという本発明の特徴を特に良好に活用することができる。
本発明のカラーチタン製品は、以下の製造方法により製造することができる。
チタン板の表面にブラスト処理することにより、本発明の凹みを形成するとともに、最表面から50μmの硬さ(母材とのHv0.02の差)を付与することができる。次に、陽極酸化発色を行うことにより、表面全体を発色させることができる。この後、表面を研磨することにより、凸部(稜)の部分の発色を除去し、併せて凸部の表面粗さを本発明範囲内とする。ブラスト処理については、例えば平均粒径50〜500μmのジルコニア製ビーズを投射圧0.3〜0.4MPaで処理することができる。陽極酸化発色については、例えば例えば浴温20℃の10g/L硫酸−10g/L燐酸浴中で、30Vの電圧を与えて処理することができる。表面研磨については、例えば5%クエン酸水溶液300g中に、直径0.3mm、長さ5mmのステンレス製ピンを200g、φ1.0mmのステンレス製ボールを100g入れたものを、2分〜1時間、毎分200回転で電磁攪拌することによりバレル研磨を行なうことができる。あるいは、1000番の研磨砥粒の付着したナイロン製不織布を使用して、荷重2kg/10cm2にて偏芯回転させることにより研磨を行なうことができる。
本発明のカラーチタン製品の表面形状については、例えば三次元レーザ顕微鏡によって計測することができる。表面が発色されている点、及び凸部について発色部分が除去されている点については、白色光源を用いた光学顕微鏡により評価することができる。また最表面から50μmの深さでの最大硬さは、カラーチタン製品の断面試料を作成し、マイクロビッカース(Hv0.02)により計測することができる。
(実施例1)
表1に示す本発明例については、純チタン1種(JIS H4600 TP270C)製板表面に平均粒径50〜500μmのジルコニア製ビーズを投射圧0.4MPaでブラスト処理した後、浴温20℃の10g/L硫酸−10g/L燐酸浴中で、30Vの電圧を与えて陽極酸化発色を行った。これと共に、5%クエン酸水溶液300g中に、直径0.3mm、長さ5mmのステンレス製ピンを200g、φ1.0mmのステンレス製ボールを100g入れたものを、2分〜1時間、毎分200回転で電磁攪拌することによりバレル研磨を行なった。これら処理により、表1に記載の表面形態、最表面から50μmの硬さ(母材とのHv0.02の差)を付与した。
比較例については、上記本発明例の製造条件を基準としつつ、一部の条件を変更することにより、製品品質を変化させた。即ち、用いたジルコニア製ビーズの平均粒径が、比較例の試験番号1は40μm、試験番号6は750μmである。ブラスト投射圧が、比較例の試験番号7は0.1MPa、試験番号6は1.5MPaである。ブラストを、比較例の試験番号17は3秒間、試験番号21は20分間行った。バレル研磨時間が、比較例の試験番号12は5時間、試験番号16は10秒間行った。用いたショット粒が、試験番号22は平均粒径400μm、比重2.0のフェロクロムスラグ(JIS Z 0312)、試験番号26は粒度400番、比重7.9の高炭素鋳鋼ショット(JIS Z 0311)であった。
カラーチタン製品の表面形状については、三次元レーザ顕微鏡(キーエンス カラー3Dレーザ顕微鏡 VK−9700)を用いて計測した。凹みの表面が発色されているか否か、及び凸部について発色部分が除去されているか否かについては、白色光源を用いた光学顕微鏡500倍観察により評価した。
最表面から50μmの深さでの最大硬さは、カラーチタン製品の硬質樹脂埋め込み断面試料を作成し、湿式エメリー紙研磨、無水電解液で電解研磨の後、マイクロビッカース(Hv0.02)で、最表層から50μmの位置で各5点、互いに100μm以上離して測定し、最大値を求めた。母材の硬さは、同じ断面試料の板厚中心部の位置で各5点、互いに100μm以上離して測定し、平均値を母材の硬さとした。
表1には、耐指紋性、耐疵付き性および色調を評価した結果も示す。
耐指紋性は、実際に指紋を押し付けて、そのままで目立たないか、ウエスで拭きとって残存していないかを10人に見てもらい、うち7人以上が、「そのままで指紋が目立たない」かつ、「ウエスで拭きとって残存していない」と判定した場合は良好(表中、○)とした。
また、耐疵付き性は、表1に示すチタン材(10×10cm板)各2枚を用意し、うち各1枚を10円玉コイン2個および100円玉コイン2個と一緒にそれぞれ、長型3号封筒に入れ、全26封筒をカバンの中に、互いの封筒が、カバンを手で振った際、動ける状態で入れて、往復徒歩約30分、電車約120分の通勤で毎平日、半年間持ち運んだ。この後、持ち運ばずに保管していた別の一枚のチタン材との比較で、表面状態を10人に目視観察してもらい、キズが目立つかどうかを判定した。この場合、目立たないとしたのが6人以上の場合は○、5人以下の場合は×とした。
さらに、色調は、研磨処理前後の表面状態を10人に比較してもらい、研磨前後で色調が大きく異なると評価した人が3人以上の場合は×、それ以下の場合は○とした。試験条件とともに、これら評価結果も併せて、表1に示す。表1において、本発明範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
Figure 0005604064
表1において、本発明(1)に記載の表面形態ならびに表面硬さを有する、試験番号2、3、4、5、8、9、10、13、14、15、18、19、20、23、24、25は、耐指紋性、耐疵付き性ならびに色調のいずれの評価結果も良好であった。一方、試験番号1、6、7、11、12、16、17、21は、いずれも指紋が目立つと共に拭き取り性も悪く、耐指紋性の評価は低かった。このうち、試験番号1、6は、本発明(1)に記載の適正な範囲の凹み部平均径を有さないものであり、試験番号7、11は、本発明(1)に記載の適正な範囲の凹み部平均深さでないものである。凹み部の平均径および深さが適正でないため、皮脂が局所的に溜りやすくなっていたり、拭き取りにくくなったりしてしまうからである。また、試験番号12、16は本発明(1)に記載の適正な範囲の稜部表面粗さを満たさないもの、試験番号17、21は本発明(1)に記載の適正な範囲の稜部面積率を満たさないものである。稜部の表面粗さと面積率は、指先との摩擦抵抗、ならびに拭き取り時の抵抗に効いてくる。これらの試験番号では、稜部の表面粗さと面積率が適正な範囲になかったため、皮脂が溜りやすく、指紋の拭き取りやすさも損なわれていたためである。
さらにこのうち、試験番号21は、耐指紋性評価が低い上、色調評価も低かった。この試験番号では、稜の平坦部分の面積率が本発明(1)に記載の範囲を超えて大きいということは、発色層を設けた凹み部分を大きく削ったということであり、それにより、元の発色した状態から色調が変化したためである。
試験番号22と26では耐疵付き性の評価が低かった。試験番号22では、表面硬さが、本発明(1)に記載の下限を下回っていたため疵が入りやすく、明らかに疵付き性が悪かったためである。一方、試験番号26では、耐疵付き性の評価を行うため、前記コインと一緒にカバンの中に入れて半年間持ち運んでいた間、表面層の一部が脱落してしまったため、疵付き性の評価は出来なかった。これは表層が硬過ぎて脆くなってしまい、前記コインと強く接触した際に折損したためである。
表面の発色については、本発明例と比較例のいずれも、凹み部は発色しており、凸部は発色部分が除去されていることを確認した。
(実施例2)
表2に示す本発明例については、純チタン1種(JIS H4600 TP270C)製板表面に平均粒径50〜500μmのジルコニア製ビーズを投射圧0.3MPaでブラスト処理した後、浴温20℃の10g/L硫酸−10g/L燐酸浴中で、30Vの電圧を与えて陽極酸化発色を行った。これに、1000番の研磨砥粒の付着したナイロン製不織布を使用して、荷重2kg/10cm2にて偏芯回転させることにより研磨を行なった。これら処理により、表2に記載の表面形態、最表面から50μmの硬さ(母材とのHv0.02の差)を付与した。
比較例については、上記本発明例の製造条件を基準としつつ、一部の条件を変更することにより、製品品質を変化させた。即ち、用いたジルコニア製ビーズの平均粒径が、比較例の試験番号27は40μm、試験番号32は750μmである。ブラスト投射圧が、比較例の試験番号33は0.1MPa、試験番号32は1.5MPaである。ブラストを、比較例の試験番号43は3秒間、試験番号47は20分間行った。用いた研磨砥粒が、比較例の試験番号38は平均粒径0.1μmのアルミナ、試験番号42は120番であった。用いたショット粒が、試験番号48は平均粒径400μm、比重2.0のフェロクロムスラグ(JIS Z 0312)、試験番号52は粒度400番、比重7.9の高炭素鋳鋼ショット(JIS Z 0311)であった。
製品の表面性状、硬さの評価方法は上記実施例1と同様である。
表2には、耐指紋性、耐疵付き性および色調を評価した結果も示す。耐指紋性、耐疵付き性、色調の評価方法は、上記実施例1と同様である。
試験条件とともに、これら評価結果も併せて、表2に示す。表2において、本発明範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
Figure 0005604064
表2において、本発明(1)に記載の表面形態ならびに表面硬さを有する、試験番号28、29、30、31、34、35、36、39、40、41、44、45、46、49、50、51は、耐指紋性、耐疵付き性ならびに色調のいずれの評価結果も良好であった。一方、試験番号27、32、33、37、38、42、43、47は、いずれも指紋が目立つと共に拭き取り性も悪く、耐指紋性の評価は低かった。このうち、試験番号27、32は、本発明(1)に記載の適正な範囲の凹み部平均径を有さないものであり、試験番号33、37は、本発明(1)に記載の適正な範囲の凹み部平均深さでないものである。凹み部の平均径および深さが適正でないため、皮脂が局所的に溜りやすくなっていたり、拭き取りにくくなったりしてしまうからである。また、試験番号38、42は本発明(1)に記載の適正な範囲の稜部表面粗さを満たさないもの、試験番号43、47は本発明(1)に記載の適正な範囲の稜部面積率を満たさないものである。稜部の表面粗さと面積率は、指先との摩擦抵抗、ならびに拭き取り時の抵抗に効いてくる。これらの試験番号では、稜部の表面粗さと面積率が適正な範囲になかったため、皮脂が溜りやすく、指紋の拭き取りやすさも損なわれていたためである。
さらにこのうち、試験番号47は、耐指紋性評価が低い上、色調評価も低かった。この試験番号では、稜の平坦部分の面積率が本発明(1)に記載の範囲を超えて大きいということは、発色層を設けた凹み部分を大きく削ったということであり、それにより、元の発色した状態から色調が変化したためである。
試験番号48と52では耐疵付き性の評価が低かった。試験番号48では、表面硬さが、本発明(1)に記載の下限を下回っていたため疵が入りやすく、明らかに疵付き性が悪かったためである。一方、試験番号52では、耐疵付き性の評価を行うため、前記コインと一緒にカバンの中に入れて半年間持ち運んでいた間、表面層の一部が脱落してしまったため、疵付き性の評価は出来なかった。これは表層が硬過ぎて脆くなってしまい、前記コインと強く接触した際に折損したためである。
表面の発色については、本発明例と比較例のいずれも、凹み部は発色しており、凸部は発色部分が除去されていることを確認した。
本発明の処理を施したカラーチタン材は、建築用内装材および外装材、厨房部材、家具、器物、電気機器外装、電子機器筐体、装身具、装飾品、また、自動車などの内装材等に、特に活用することができる。

Claims (2)

  1. 陽極酸化法により表面を発色した、円相当直径で、平均で20〜150μmの径および隣接する凸部(稜)からの平均深さが3〜30μmの凹みを表面に均一に有するとともに、隣接する凸部(稜)の部分には、発色が除去され、その表面粗さがRaで0.10〜1.50μmのなだらかな平坦部を有し、平坦部の面積率が全体の10〜60%であるとともに、最表面から50μmの深さでの最大硬さが、母材よりもビッカース硬さ(Hv0.02)で40〜150ポイント高いことを特徴とする、指紋が目立ちにくく、疵の付きにくい、意匠性に優れたカラーチタン製品。
  2. 前記カラーチタン製品が、意匠性に優れた器物、電子機器筐体、建造物またはその部材のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のカラーチタン製品。
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