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JP5605550B2 - リアクトル及びその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、車載用DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に用いられるリアクトル及びその製造方法に関するものである。特に、外部への漏れ磁束を低減でき、小型なリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータに利用されるリアクトルとして、O字状といった環状の磁性コアの外周に、巻線を巻回してなる一対のコイルが並列に配置された形態が代表的である。
特許文献1は、一つのコイルと、このコイルの内周に配置される内側コア、及び上記コイルの外周の実質的に全体を覆うように配置される外周コアを具えた断面E-E状の磁性コア、所謂ポット型コアとを具えるリアクトルを開示している。ポット型リアクトルは、小型であり、設置スペースが狭い車載部品に適している。特に、特許文献1に開示されるリアクトルは、内側コアの飽和磁束密度を外周コアよりも高くして内側コアの断面積を小さくしたり、外周コアの透磁率を内側コアよりも低くしてギャップ材を不要にしたり、ケースを有しない形態としたりすることで、更に小型である。また、特許文献1は、外周コアの構成材料として、磁性粉末と樹脂との混合物(以下、磁性混合物と呼ぶ)を開示している。
特開2009-033051号公報
しかし、従来のリアクトルでは、外部に磁束が漏れる恐れがある。
上述のようにケースを有しておらず、かつ磁性コアにおいて外部に露出される箇所の透磁率が低いと、外部(通常、大気)との透磁率の差が小さいことで、当該外部に磁束が漏れ易くなる。特に、外周コアが上記磁性混合物で構成されている場合、樹脂の含有割合が増加するほど、透磁率が低くなり易いため、更に磁束が外部に漏れ易くなる。
例えば、図5に示すリアクトル100のように、内側コア131及び外周コア132を有する磁性コア130とコイル120との組合体110をアルミニウムといった非磁性材料からなるケース140に収納することで、漏れ磁束の低減を図ることができる。しかし、この場合でも、ケース140の開口部からケース140の外部への磁束の漏れを低減することが難しい。例えば、図5において一点鎖線で示すようにケース140を大きくし、コイル120の端面からケース140の開口部までの距離Lを大きくすれば、つまり、外周コア132におけるケース140の開口側の厚さを厚くすれば、ケース140の外部への漏れ磁束を低減できる。しかし、この場合、リアクトルが嵩高くなり、リアクトルの大型化を招く。
そこで、本発明の目的の一つは、外部に磁束が漏れ難く、小型なリアクトルを提供することにある。また、本発明の他の目的は、外部に磁束が漏れ難く、小型なリアクトルを生産性よく製造できるリアクトルの製造方法を提供することにある。
図5に示すリアクトル100に対して、ケース140の開口部を、例えば、非磁性材料からなる蓋部材で覆うことが考えられる。しかし、この場合、上記蓋部材に加えて、この蓋部材をケースに固定するボルトなども必要となり、部品点数の増加を招くだけでなく、ケースへの穴あけ加工、上記蓋部材の配置やボルトなどの配置・固定による組立工程数の増加をも招き、リアクトルの生産性を低下させる。また、上記蓋部材と上記磁性コアとの間に隙間が生じた場合、この隙間に磁束が漏れる恐れがある。例えば、外周コアを上記磁性混合物で構成し、当該磁性混合物の樹脂が硬化する前に蓋部材の一部を埋め込むことで、上記隙間が形成されることを防止できる。特に、この場合、蓋部材の外形を凹凸形状とすると、当該磁性混合物との接触面積を増加させることができ、上記隙間が更に生じ難い。また、上記磁性混合物に蓋部材を埋め込むことで、ボルトなどの固定部材を不要にできるものの、別途、蓋部材は必要である。
そこで、本発明は、ケースから独立した蓋部材を別途用意してケースに装着するのではなく、磁性コアの製造時、磁性コアの最表部に磁性コアと同時に形成可能な磁気シールド層を具える構成とすることで、上記目的を達成する。
本発明のリアクトルは、巻線を巻回してなる一つのコイルと、このコイルが配置される磁性コアと、開口部を有し、上記コイルと上記磁性コアとの組合体を収納するケースとを具える。上記コイルは、その外周の少なくとも一部が上記磁性コアに覆われて上記ケースに封止されている。上記磁性コアにおいて上記ケースの開口側領域は、磁性粉末と樹脂との混合物により構成されている。そして、このリアクトルは、上記磁性コアの開口側領域を覆い、上記ケースの開口部から露出する最表領域に、上記磁性粉末よりも比重が小さく、かつ導電性を有する非磁性粉末と樹脂とからなる磁気シールド層を具える。
上記本発明リアクトルは、例えば、以下の本発明製造方法により容易に製造することができる。本発明の第一のリアクトルの製造方法は、開口部を有するケースに、巻線を巻回してなる一つのコイルとこのコイルが配置される磁性コアとの組合体を収納してリアクトルを製造する方法に係るものであり、以下の収納工程、充填工程、及び硬化工程を具える。
(1) 収納工程:上記コイルを上記ケースに収納する工程。
(2) 充填工程:上記コイルの外周を覆うように、磁性粉末と、上記磁性粉末よりも比重が小さく、かつ導電性を有する非磁性粉末と、樹脂との混合物を上記ケースに充填する工程。
(3) 硬化工程:上記磁性粉末と上記非磁性粉末との比重差により、上記非磁性粉末が上記ケースの開口側に浮上し、上記磁性粉末が上記ケースの底面側に沈降した状態とした後、上記樹脂を硬化する工程。
上記本発明リアクトルの別の製造方法として、例えば、以下の本発明製造方法が挙げられる。本発明の第二のリアクトルの製造方法は、開口部を有するケースに、巻線を巻回してなる一つのコイルとこのコイルが配置される磁性コアとの組合体を収納してリアクトルを製造する方法に係るものであり、以下の収納工程、磁性混合物の充填工程、及び非磁性混合物の充填工程を具える。
(1) 収納工程:上記コイルを上記ケースに収納する工程。
(2) 磁性混合物の充填工程:上記コイルの外周を覆うように、磁性粉末と樹脂との混合物を上記ケースに充填する工程。
(3) 非磁性混合物の充填工程:上記磁性粉末と樹脂との混合物の上に、上記磁性粉末よりも比重が小さく、かつ導電性を有する非磁性粉末と樹脂との混合物を充填した後、上記樹脂を硬化する工程。
本発明リアクトルは、コイルの外周が磁性コアにより覆われ、かつ開口部を有するケースを具えた構成でありながら、ケースの開口部から露出する最表領域に、実質的に非磁性材料からなる磁気シールド層を具えることで、ケース外部への漏れ磁束を効果的に抑制できる。特に、本発明リアクトルは、磁気シールド層が、非磁性粉末と、代表的には、磁性コアの一部を構成する樹脂とにより磁性コアと一体に形成されていることから、独立した蓋部材を設ける場合と比較して、ボルトなどの固定部材を含む部品点数の増加やケースに組み付ける工程数の増加がなく、生産性に優れる。また、本発明リアクトルは、代表的には、磁性コアを構成する磁性粉末と樹脂との混合物(以下、磁性混合物と呼ぶ)においてケースの開口部から露出する最表領域の磁性粉末が非磁性粉末に置換された構成であるため、独立した蓋部材がケースに装着される場合と比較して、小型である。更に、本発明リアクトルは、コイルを一つのみ具えるポット型リアクトルであることからも小型である。
本発明製造方法によれば、磁性混合物の形成と同時に磁気シールド層を形成することができ、独立した蓋部材を具える場合と比較して、蓋部材の形成やケースへの組み付けといった工程が無く、生産性よくリアクトルを製造できる。
特に、第一の本発明製造方法によれば、磁性混合物の形成及び磁気シールド層の形成にあたり、混合物の充填工程が一度で済み、工程数が少なく、リアクトルの生産性に優れる。
特に、第二の本発明製造方法によれば、磁性混合物と、非磁性粉末と樹脂との混合物(以下、非磁性混合物と呼ぶ)とを分けてケースに充填することで、ケースの開口部から露出する最表領域に非磁性粉末が寄り集まった状態をより確実に、かつ短時間で形成できる。つまり、第二の本発明製造方法は、第一の本発明製造方法よりも工程数が多いものの、第一の本発明製造方法における磁性粉末と非磁性粉末とを分離する時間を短縮、或いは省略できることから、製造時間の短縮を図ることができ、この点から、リアクトルの生産性に優れる。
本発明リアクトルの一形態として、上記磁性コアが上記コイル内に挿通された内側コア部と、上記コイルの外周を覆い、上記磁性混合物で構成される連結コア部とを具え、この内側コア部と連結コア部とが上記磁性混合物の樹脂により一体化された形態が挙げられる。
上記形態によれば、内側コア部と連結コア部との接合にあたり、接着剤が不要で接着工程が無く、連結コア部の形成と同時に、磁性コアを形成できる。かつ、連結コア部の形成と同時に磁気シールド層をも形成できる。そして、磁性コア及び磁気シールド層の形成によりリアクトルが形成される。従って、上記形態によれば、連結コア部の形成、磁性コアの形成、磁気シールド層の形成及びリアクトルの製造を同時に行えるため、リアクトルの生産性に更に優れる。
また、上記形態において、上記内側コア部が上記連結コア部よりも飽和磁束密度が高く、上記連結コア部が上記内側コア部よりも透磁率が低い形態が挙げられる。
上記形態によれば、内側コア部の飽和磁束密度が高いことで、一定の磁束を得る場合、例えば、磁性コアの全体が単一種の材料で構成されて、内側コア部と連結コア部との双方の飽和磁束密度が等しいリアクトルと比較して、内側コア部の断面積を小さくできる。そのため、上記形態によれば、内側コア部の外周に設けるコイルの外径をも小さくできる。従って、上記形態のリアクトルは、更に小型にできる。また、コイルの外径を小さくできることでコイルを構成する巻線を短くでき、コイルの抵抗を下げられる。そのため、上記形態によれば、損失の低減を図ることができる。コイルの小型化や損失の低減を考慮すると、内側コア部の飽和磁束密度は、連結コア部よりも大きいほど好ましく、上限は特に設けない。
また、上記形態によれば、連結コア部の透磁率が内側コア部よりも低く、かつ連結コア部が磁性混合物で構成されていることで磁性コア全体の透磁率を容易に調整できることから、例えば、磁束の飽和を防止するためのギャップを不要にできる。従って、例えば、コイルの内周面と内側コア部の外周面との間の隙間をできる限り小さくした場合でも、ギャップ部分における漏れ磁束が生じ得ないことから、この漏れ磁束によるコイルの損失が生じない。そのため、上記隙間を小さくする、好ましくは、上記隙間を実質的に無くすことで、上記形態のリアクトルは更に小型である。
本発明リアクトルは、外部への漏れ磁束を低減できる上に小型である。本発明リアクトルの製造方法は、外部への漏れ磁束を低減でき、小型なリアクトルを生産性よく製造することができる。
図1は、実施形態1に係るリアクトルの模式断面図である。 図2(A)は、実施形態1に係るリアクトルの概略斜視図、図2(B)は、図2(A)においてB-B線で切断した断面図である。 図3は、実施形態1に係るリアクトルの構成部材を説明するための概略分解図である。 図4は、実施形態2に係るリアクトルの模式断面図である。 図5は、ケースを具えるリアクトルの模式断面図である。
以下、図面を参照して、実施形態のリアクトルを説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、図1,図4では、分かり易いように巻線の両端部を省略している。また、図1,図4において太線の矢印は磁束を例示している。
(実施形態1)
主として、図1〜図3を参照して、実施形態1のリアクトル1αを説明する。リアクトル1αは、巻線2w(図2)を巻回してなる一つのコイル2と、コイル2が配置される磁性コア3とを具える所謂ポット型リアクトルであり、コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するケース4を更に具える。磁性コア3は、コイル2内に挿通された内側コア部31と、コイル2の外周に配置され、内側コア部31に連結される連結コア部32とを具え、これら両コア部31,32により閉磁路を形成する。連結コア部32は、磁性粉末と樹脂との混合物から構成されており、コイル2は、実質的に全外周を連結コア部32により覆われてケース4に封止されている。リアクトル1αの特徴とするところは、ケース4の開口部から露出する最表領域に磁気シールド層5を具えることにある。以下、各構成を詳細に説明する。
[コイル2]
コイル2は、1本の連続する巻線を螺旋状に巻回してなる円筒状体である。巻線2wは、銅やアルミニウムといった導電性材料からなる導体の外周に、電気絶縁性材料からなる絶縁被覆を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を利用している。絶縁被覆の厚さは、20μm以上100μm以下が好ましく、厚いほどピンホールを低減できて絶縁性を高められる。コイル2は、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されている。円筒状とすることで、エッジワイズ巻きであっても比較的容易にコイルを形成できる。巻線は、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。
コイル2を形成する巻線2wの両端部は、図2,3に示すようにターンから適宜引き延ばされて後述する連結コア部32を経て磁気シールド層5の外部に引き出され、絶縁被覆が剥がされて露出された導体部分に、銅やアルミニウムなどの導電性材料からなる端子部材(図示せず)が接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。巻線2wの導体部分と端子部材との接続には、TIG溶接などの溶接の他、圧着などが利用できる。ここでは、コイル2の軸方向に平行するように巻線2wの両端部を引き出しているが、引き出し方向は適宜選択することができる。
リアクトル1αでは、当該リアクトル1αを設置対象に設置したとき、コイル2の軸方向がケース4の底面40に直交するように、コイル2がケース4内に収納された形態(以下、この配置形態を縦型形態と呼ぶ)である。
[磁性コア3]
磁性コア3は、コイル2内に挿通された円柱状の内側コア部31と、コイル2と内側コア部31との組物の外周を覆うように形成された連結コア部32とを具え、コイル2の軸方向に沿って切断した断面形状が、二つのEを組み合せて形成されるE-E形状である所謂ポット型コアである。特に、リアクトル1αでは、内側コア部31の構成材料と、連結コア部32の構成材料とを異種の材料とし、両部31,32の磁気特性が異なることを特徴の一つとする。具体的には、内側コア部31は、連結コア部32よりも飽和磁束密度が高く、連結コア部32は、内側コア部31よりも透磁率が低い。
《内側コア部》
内側コア部31は、コイル2の内周面の形状に沿った円柱状の外形を有しており、その全体が圧粉成形体から構成されている。ここでは、ギャップ材やエアギャップが介在していない中実体としているが、ギャップ材やエアギャップを適宜介在させた形態とすることができる。また、例えば、内側コア部31を複数の分割片で構成し、各分割片を接着剤により接合することで一体化する形態とすることができる。
圧粉成形体は、代表的には、表面に絶縁被膜を具える軟磁性粉末や、軟磁性粉末に加えて適宜結合剤を混合した混合粉末を成形後、上記絶縁被膜の耐熱温度以下で焼成することにより得られる。圧粉成形体は、三次元形状体を簡単に形成でき、例えば、コイルの内周面の形状に適合した外形を有する内側コア部を容易に形成できる。また、圧粉成形体は、磁性粒子間に絶縁物が存在することで、磁性粉末同士が絶縁されて、渦電流損失を低減でき、コイルに高周波の電力が通電される場合であっても、上記損失を少なくすることができる。
上記軟磁性粉末は、Fe,Co,Niといった鉄族金属粉末の他、Fe-Si,Fe-Ni,Fe-Al,Fe-Co,Fe-Cr,Fe-Si-AlなどのFe基合金粉末、或いは希土類金属粉末、フェライト粉末などが利用できる。特に、Fe基合金粉末は、フェライトなどの磁性材料に比較して、飽和磁束密度が高い圧粉成形体を得易い。軟磁性粉末に形成される絶縁被膜は、例えば、燐酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、又は硼素化合物などが挙げられる。結合剤は、例えば、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、又は高級脂肪酸が挙げられる。この結合剤は、上記焼成により消失したり、シリカなどの絶縁物に変化したりする。圧粉成形体は、公知のものを利用してもよい。
圧粉成形体の飽和磁束密度は、軟磁性粉末の材質や、上記軟磁性粉末と上記結合剤との混合比、種々の被膜の量などを調整することで変化させることができる。例えば、飽和磁束密度の高い軟磁性粉末を用いたり、結合剤の配合量を低減して軟磁性材料の割合を高めたりすることで、飽和磁束密度が高い圧粉成形体が得られる。その他、成形圧力を変える、具体的には成形圧力を高くすることでも飽和磁束密度を高められる傾向にある。所望の飽和磁束密度となるように軟磁性粉末の材質の選択や成形圧力の調整などを行うとよい。
ここでは、内側コア部31は、絶縁被膜を具える軟磁性粉末を用いて作製した圧粉成形体から構成されている。
また、内側コア部31におけるコイル2の軸方向の長さ(以下、単に長さと呼ぶ)は、適宜選択することができる。図1に示す例では、内側コア部31の長さがコイル2よりも若干長く、内側コア部31の両端面及びその近傍がコイル2の端面から突出しているが、コイル2と同じ長さでもよいし、コイル2よりも若干短くすることもできる。内側コア部31の長さがコイル2の長さと同等以上であると、コイル2がつくる磁束を内側コア部31に十分に通過させられる。また、内側コア部31におけるコイル2からの突出長さも適宜選択することができる。図1に示す例では、内側コア部31においてコイル2の両端面から突出する突出長さが同じであるが、図2に示す例のように、内側コア部31においてコイル2の一端面から突出する突出長さを他端面からの突出長さよりも大きくすることができる。特に、上述した縦型形態では、図2に示す例のようにコイル2の一端面から突出する内側コア部31の一端面をケース4の底面40に接触させて内側コア部31をケース4に配置すると内側コア部31をケース4に安定して配置できるため、連結コア部32を形成し易い。
《連結コア部》
連結コア部32は、上述のように内側コア部31と共に閉磁路を形成すると共に、コイル2と内側コア部31との組物の外周を覆い、両者をケース4に封止する封止材としても機能する。従って、リアクトル1αでは、ケース4の底面40から開口側に至って、磁性粉末と樹脂との混合物からなる成形硬化体が存在し、この成形硬化体が連結コア部32を構成する。この連結コア部32と上記内側コア部31とは接着剤を介在することなく、連結コア部32の構成樹脂により接合されている。従って、磁性コア3は、その全体に亘って接着剤やギャップ材を介することなく一体化された一体化物である。
上記成形硬化体は、代表的には、射出成形、注型成形により形成することができる。射出成形は、磁性材料からなる磁性粉末と流動性のある樹脂とを混合し、この混合物を、所定の圧力をかけて成形型に流し込んで成形した後、上記樹脂を硬化させる。注型成形は、射出成形と同様の混合物を得た後、この混合物を、圧力をかけることなく成形型に注入して成形・硬化させる。
上記いずれの成形手法も、磁性粉末には、上述した内側コア部31に利用する軟磁性粉末と同様のものを利用することができる。特に、連結コア部32に利用する軟磁性粉末は、純鉄粉末やFe基合金粉末といった鉄基材料からなる粉末が好適に利用できる。鉄基材料は、フェライトなどに比較して飽和磁束密度や透磁率が高い材料であることから、樹脂の含有割合が高い場合でも、ある程度の飽和磁束密度や透磁率を有するコアが得られる。軟磁性材料からなる粒子の表面に燐酸鉄などからなる被膜を具える被覆粉末を利用してもよい。これら磁性粉末は、平均粒径が1μm以上1000μm以下、更に10μm以上500μm以下の粉末が利用し易い。
また、上記いずれの成形手法も、バインダとなる樹脂には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が好適に利用できる。熱硬化性樹脂を用いた場合、成形体を加熱して樹脂を熱硬化させる。常温硬化性樹脂、或いは低温硬化性樹脂を用いてもよく、この場合、成形体を常温〜比較的低温に放置して樹脂を硬化させる。成形硬化体は、圧粉成形体や後述する電磁鋼板と比較して、非磁性である樹脂が比較的多く存在する。従って、連結コア部32の磁性粉末に、内側コア部31を構成する圧粉成形体と同じ軟磁性粉末を用いたとしても、飽和磁束密度が低く、かつ透磁率も低くなる。
成形硬化体の透磁率や飽和磁束密度は、磁性粉末とバインダとなる樹脂との配合を変えることで調整することができる。例えば、磁性粉末の配合量を減らすと、透磁率が低い成形硬化体が得られる。
ここでは、連結コア部32は、平均粒径100μm以下の鉄基材料であって、絶縁被膜を具える被覆粉末とエポキシ樹脂との混合物を用いて作製した成形硬化体から構成されている。
なお、ここでは、連結コア部32は、コイル2と内側コア部31との組物の実質的に全周を覆う形態を示すが、磁性コア3は、コイル2におけるケース4の開口部側に配置される領域の外周を少なくとも覆うように存在すれば、コイル2の一部が磁性コア3に覆われていない形態(但し、ケース4には覆われた形態)とすることができる。
≪磁気特性≫
内側コア部31の飽和磁束密度は、1.6T以上、更に1.8T以上、とりわけ2T以上が好ましい。また、内側コア部31の飽和磁束密度は、連結コア部32の飽和磁束密度の1.2倍以上、更に1.5倍以上、とりわけ1.8倍以上であることが好ましい。内側コア部31が連結コア部32に対して相対的に十分に高い飽和磁束密度を有することで、内側コア部31の断面積を小さくできる。また、内側コア部31の透磁率は、50以上1000以下、特に、100〜500程度が好ましい。
連結コア部32の飽和磁束密度は、0.5T以上内側コア部の飽和磁束密度未満が好ましい。また、連結コア部32の透磁率は、5以上50以下、特に5〜30程度が好ましい。連結コア部32の透磁率が上記範囲を満たすことで、磁性コア3全体の平均透磁率が大きくなり過ぎることを防止して、例えば、ギャップレス構造とすることができる。
ここでは、内側コア部31の飽和磁束密度が1.8T、透磁率が250であり、連結コア部32の飽和磁束密度が1T、透磁率が10である。飽和磁束密度や透磁率が所望の値となるように、内側コア部31及び連結コア部32の構成材料を調整するとよい。
[ケース]
上記コイル2と磁性コア3との組合体10を収納するケース4は、リアクトル1αを設置対象(図示せず)に配置したときに当該リアクトル1αの設置側となる底面40と、底面40から立設される側壁41とを具え、底面40と対向する側が開口した矩形の箱体である。
ケース4の形状、大きさは、適宜選択することができる。例えば、上記組合体10に沿った円筒形としてもよい。また、ケース4の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金といった非磁性材料で、かつ導電性材料が好適に利用できる。導電性を有する非磁性材料からなるケースは、ケース外部への漏れ磁束を効果的に防止できる。また、アルミニウムやマグネシウム、その合金といった軽量な金属からなるケースは、樹脂よりも強度に優れる上に、軽量であることから、軽量化が望まれる自動車部品に好適である。ここでは、ケース4は、アルミニウムにより構成されている。
その他、図2に示すケース4は、側壁41の内周面にコイル2の回転を抑制すると共に、コイル2の挿入時にガイドとして機能するガイド突起部42と、ケース4の内周面の一角に突出して巻線2wの端部の位置決めに利用される位置決め部43と、ケース4の内周面において底面40から突出してコイル2を支持し、ケース4に対するコイル2の高さを位置決めするコイル支持部(図示せず)とを具える。ガイド突起部42、位置決め部43、コイル支持部を具えるケース4を利用することで、ケース4内の所望の位置にコイル2を精度良く配置でき、引いては、コイル2に対する内側コア部31の位置も精度良く決められる。ガイド突起部42などを省略してもよいし、別部材を用意して、これら別部材をケースに収納して、コイル2の位置決めなどに利用してもよい。特に、この別部材を連結コア部32の構成材料と同様の材料からなる成形硬化体とすると、連結コア部32の形成時に容易に一体化できる上に、当該別部材を磁路に利用することができる。また、図2に示すケース4は、リアクトル1αを設置対象(図示せず)にボルトにより固定するためのボルト孔44hを有する取付部44を具える。取付部44を有することで、ボルトによりリアクトル1αを設置対象に容易に固定することができる。
[磁気シールド層]
磁気シールド層5は、連結コア部32においてケース4の開口側領域を覆うように設けられている。この磁気シールド層5は、連結コア部32を構成する磁性粉末よりも比重が小さく、かつ導電性を有する非磁性粉末と、連結コア部32を構成する樹脂との混合物により構成されている。即ち、磁気シールド層5は、その構成材料の一部を連結コア部32の構成材料と共用している。
より具体的には、磁気シールド層5は、ケース4の収納物の最表面に位置し、実質的に非磁性粉末と樹脂との混合物により構成される領域であって、当該混合物に対する非磁性粉末の体積割合が20%以上の領域とし、非磁性粉末の体積割合が20%未満となる領域を連結コア部32とする。
なお、磁気シールド層5と連結コア部32との境界は、磁気シールド層5を主として構成する非磁性粉末と連結コア部32を主として構成する磁性粉末とが混合された状態である。また、後述する製造方法では、連結コア部32内に若干の非磁性粉末が存在することがあるが、この非磁性粉末は、磁性粉末が磁性コア部32内に均一的に分散するためのフィラーとしての機能を有するため、連結コア部32内に存在することを許容する。
磁気シールド層5は、上記非磁性粉末と、一般に非磁性である上記樹脂とにより構成されることで、ケース4の開口部からケース4の外部に磁束が漏れることを防止することができる。また、上記非磁性粉末が導電性を有することで、当該粉末は、コイル2からの磁束を受けて渦電流を生じ、この渦電流により生じた磁界により、ケース4の開口部近傍でコイル2がつくる磁界を打ち消すことができる。即ち、上記渦電流による磁界により、コイル2の磁束がケース4の外部に漏れることを防止できる。このように磁気シールド層5は、ケース4の外部への漏れ磁束を抑制できる。
上記導電性を有する非磁性粉末の構成材料には、例えば、アルミニウム(比重:2.7)、アルミニウム合金、マグネシウム(比重:1.7)、マグネシウム合金といった、鉄基材料(鉄の比重:7.8)よりも比重が小さい金属材料、ジルコニア(比重:代表的には約6.0)といった非金属材料が挙げられる。アルミニウム合金は、例えば、Al-Si系合金、Al-Mg系合金が挙げられ、マグネシウム合金は、Mg-Al系合金(例えば、ASTM規格のAZ合金,AS合金,AM合金など)、Mg-Zr系合金(例えば、ASTM規格のZK合金など)が挙げられる。特に、金属材料は、渦電流を生じ易く、磁束の漏れを効果的に防止できると期待される。
上記非磁性粉末は、連結コア部32を構成する磁性粉末よりも比重が小さいことを利用して、後述する製造方法により、磁気シールド層5を容易に形成することができる。また、磁気シールド層5の形成にあたり、原料となる非磁性粉末の量は、例えば、非磁性粉末の体積割合が20%以上の領域の厚さがケース4の厚さと同程度となるように、調整するとよい。非磁性粉末は、平均粒径が1μm以上1000μm以下、更に10μm以上500μm以下のものが利用し易い。
[その他の構成要素]
コイル2と磁性コア3との間の絶縁性、コイル2(特に、巻線2wの端部側)と磁気シールド層5との間の絶縁性をより高めるために、コイル2において磁性コア3に接触する箇所や磁気シールド層5に接触する箇所には、絶縁物を介在させることが好ましい。例えば、コイル2の内・外周面に絶縁性テープを貼り付けたり、絶縁紙や絶縁シートを配置したり、コイル2を形成する巻線2wの一部に絶縁性チューブを配置したりすることが挙げられる。また、内側コア部31の外周に絶縁性材料からなるボビン(図示せず)を配置してもよい。ボビンは、内側コア部31の外周を覆う筒状体が挙げられる。筒状体の両端縁から外方に延設される環状のフランジ部を具えるボビンを利用すると、コイル2の端面と連結コア部32との間の絶縁性を高められる。ボビンの構成材料には、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂が好適に利用できる。
[リアクトルの大きさ]
ケース4を含めたリアクトル1αの容量を0.2リットル(200cm3)〜0.8リットル(800cm3)程度とすると、車載部品に好適に利用することができる(ここでは280cm3)。
[用途]
リアクトル1αは、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが10μH以上1mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが0Aのときのインダクタンスの30%以上を満たすように、リアクトル1αのインダクタンスを調整すると好適に利用できると期待される。
[リアクトルの製造方法(1)]
リアクトル1αは、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、コイル2、及び圧粉成形体からなる内側コア部31を用意し、図3に示すようにコイル2内に内側コア部31を挿入して、コイル2と内側コア部31との組物を作製する。上述のようにコイル2と内側コア部31との間に適宜絶縁物を配置させてもよい。
次に、上記組物をケース4内に収納する。上述したガイド突起部42などを利用して、当該組物をケース4内の所定の位置に精度良く配置できる。連結コア部32(図1,2)を構成する磁性粉末と、磁気シールド層5(図1,2)を構成する非磁性粉末と、連結コア部32と磁気シールド層5とに共通の樹脂との混合物を作製して、上記ケース4に充填する。上記磁性粉末と、非磁性粉末と、樹脂との混合物(樹脂硬化前のもの)において、非磁性粉末の含有量は、1体積%〜10%体積%程度、磁性粉末と非磁性粉末との合計含有量が20体積%〜60体積%程度(樹脂が40体積%〜80体積%程度)とすることで、上述のように透磁率が5〜50の連結コア部32を形成できると共に、磁気シールド層5を形成できる。ここでは、磁性粉末:35体積%、非磁性粉末(ここでは、平均粒径:150μmのアルミニウム粉末):5体積%、樹脂:60体積%とした。
上記磁性粉末と、非磁性粉末と、樹脂との混合物をケース4に充填した後、直ちに樹脂を硬化させるのではなく、磁性粉末と非磁性粉末との比重差により、非磁性粉末がケース4の開口側に浮上し、磁性粉末がケース4の底面40側に沈降して、両粉末が分離した状態となるまで、上記樹脂が硬化しない温度に保持して静置する。その後、上述のように磁性粉末と非磁性粉末とが分離した状態で樹脂を硬化させることで、リアクトル1αが得られる。ここでは、80℃程度に保持した状態で数分〜数10分静置して、磁性粉末と非磁性粉末とを分離した後、樹脂を硬化した。
上記両粉末を分離するときの保持温度は、使用する樹脂に応じて適宜選択することができる。分離状態は、例えば、鉄粉末とアルミニウム粉末のように、磁性粉末の色と非磁性粉末の色が異なる場合、ケース4の開口部から上記粉末の色を目視により確認することで把握できる。そして、目視確認しながら、静置する時間を調整するとよい。なお、磁性粉末と非磁性粉末との配合比や使用する樹脂によって、分離に掛かる時間が変化する。そこで、種々の原料を用いたテストピースを作製して各静置時間を予め求めておき、以後、原料に応じた静置時間を適宜選択すると、生産性よくリアクトルを形成できる。また、テストピースの作製時に透明なケースを用いると、上述のようにケースの開口部から上記混合物の表面の目視確認することに加えて、上記混合物の内部をも容易に目視確認できる。
[リアクトルの製造方法(2)]
或いは、リアクトル1αは、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、製造方法(1)と同様にして、ケース4内にコイル2と内側コア部31との組物を収納する。
次に、連結コア部32(図1,2)を構成する磁性粉末と樹脂との混合物(磁性混合物)を作製して、上記ケース4に充填して、当該樹脂を硬化する。上記磁性混合物は、連結コア部32が所望の磁気特性となるように、磁性粉末と樹脂との比率を調整する。
次に、磁気シールド層5(図1,2)を構成する非磁性粉末と、上記連結コア部32で用いた樹脂と同様の樹脂との混合物(非磁性混合物)を、上記連結コア部32を構成する磁性混合物の上に充填した後、樹脂を硬化する。上記非磁性混合物は、非磁性材料の体積割合が20%となるように非磁性粉末と樹脂との比率を調整する。連結コア部32を構成する磁性混合物の樹脂を完全に硬化してから、上記非磁性混合物を充填してもよいし、上記磁性混合物の樹脂を完全に硬化させず、磁性混合物の磁性粉末と、非磁性混合物の非磁性粉末とが混ざり合わない程度に上記磁性混合物の樹脂を硬化させてから、非磁性混合物を充填してもよい。連結コア部32を構成する磁性混合物の樹脂が未硬化であることで、磁気シールド層5を構成する非磁性混合物の樹脂が馴染み易く、連結コア部32と磁気シールド層5との間に隙間が生じ難いと期待される。
なお、連結コア部32の樹脂と磁気シールド層5の樹脂とは、異種の樹脂や樹脂に充填する硬化剤などの添加物を異ならせたものを利用することができる。例えば、硬化剤を変化させて、連結コア部32を構成する磁性混合物の樹脂の粘度と磁気シールド層5を構成する非磁性混合物の樹脂の粘度とを異ならせてもよい。磁気シールド層5を連結コア部32と分けて形成する場合、上述の分離する工程が不要であるため、例えば、磁気シールド層5を構成する非磁性混合物の樹脂の粘度を高くすることができる。一方、連結コア部32の樹脂と磁気シールド層5の樹脂とが上述のように同質の樹脂であると、連結コア部32と磁気シールド層5とが密着し易い。
上記製造方法(1),(2)のいずれも、上記樹脂の硬化後、コイル2の外周を覆う箇所は、実質的に磁性粉末と樹脂との混合物により構成され、ケース4の開口部から露出する最表面からある程度の厚さの領域は、実質的に非磁性粉末と樹脂(連結コア部の樹脂と同じ樹脂)との混合物により構成されたリアクトル1αが得られる。
[効果]
リアクトル1αは、磁気シールド層5を具えることで、ケース4の外部にコイル2がつくる磁束が漏れることを効果的に抑制できる。また、磁気シールド層5は、連結コア部32と同時に形成でき、蓋部材といった別部材を製造したり、この蓋部材をケース4に組み付けたりする必要がなく、リアクトル1αは、生産性に優れる。
また、上述のように磁性コア2の製造にあたり、接着剤を一切用いない接着剤レス構造であることからも、リアクトル1αは生産性に優れる。更に、リアクトル1αは、内側コア部31を圧粉成形体とすることで、飽和磁束密度の調整を簡単に行える上に、複雑な三次元形状であっても容易に形成でき、この点からも生産性に優れる。
加えて、リアクトル1αは、コイル2が一つであることで、小型である。特に、リアクトル1αでは、内側コア部31の飽和磁束密度が連結コア部32よりも高いことで、単一種の材料により構成されて磁性コア全体の飽和磁束密度が均一的である磁性コアと同じ磁束を得る場合、内側コア部31の断面積(磁束が通過する面)を小さくできる。このような内側コア部31を具えることからも、リアクトル1αは、小型である。更に、リアクトル1αは、内側コア部31の飽和磁束密度が高いと共に、連結コア部32の透磁率が低いことで、ギャップ材を有していないギャップレス構造とすることができ、ギャップを有するリアクトルと比較して小型である。また、ギャップレス構造であることで、コイル2と内側コア部31とを近付けて配置することができることからも、リアクトル1αは小型である。加えて、リアクトル1αは、内側コア部31の外形が、円筒状のコイル2の内周面の形状に沿った円柱形状であることで、コイル2と内側コア部31とを更に近付け易く、小型にできる。
その他、リアクトル1αは、ケース4を具えることで、コイル2と磁性コア3との組合体10を粉塵や腐食といった外部環境から保護したり、機械的に保護したりすることができる。また、連結コア部32の表面が磁気シールド層5により覆われるため、磁性粉末に鉄といった腐食し易い材料を用いていた場合でも、磁性粉末の腐食を抑制できる。即ち、磁気シールド層5は、磁性コア3(連結コア部32)やコイル2の外部環境からの保護材、機械的な保護材としても機能することができる。その上、ケース4や磁気シールド層5の主成分を金属製にすることで、これらを放熱経路に利用することができ、リアクトル1αは、放熱性にも優れる。特に、図2に示すようにコイル2が配置された内側コア部31がケース4の底面40に接し、かつケース4の開口側に金属成分を含有する磁気シールド層5を具えることで、コイル2の熱をケース4の底面側及び開口側の双方から効果的に放出できる。その他、リアクトル1αは、連結コア部32を構成する磁性粉末と樹脂との比率を調整することで磁気特性を容易に変更できるため、インダクタンスの調整を容易に行える。
(実施形態2)
上記実施形態1では、コイル2を縦型配置する形態を説明した。その他、図4に示すリアクトル1βのように、ケース4の底面40に対してコイル2の軸方向が平行するように、コイル2及び内側コア部31がケース4に収納された形態(以下、この配置形態を横型形態と呼ぶ)とすることができる。
横型形態では、図4に示すように、ケース4の開口部が大きくなり易く、この開口部から露出される連結コア部32の面積が実施形態1の縦型形態に比較して大きくなり易い。しかし、実施形態2のリアクトル1βも、ケース4の開口部から露出する最表領域に磁気シールド層5を具えることから、連結コア部32からケース4の外部にコイル2がつくる磁束が漏れることを効果的に抑制することができる。即ち、実施形態2のリアクトル1βのようにケース4の開口部から露出される連結コア部32の面積が広く、ケース4外部への漏れ磁束が多くなり易い場合に、磁気シールド層5を具える構成とすることで、磁束の漏れを効果的に抑制することができる。
実施形態2のリアクトル1βも、実施形態1のリアクトル1αと同様に、上述した製造方法(1),(2)により容易に製造することができる。
(変形例1)
上記実施形態1,2では、コイルを構成する巻線2wの絶縁被覆や別途用意した絶縁物により、コイル2と磁性コア3との間の絶縁を確保する構成を説明した。その他、コイルと、コイルの表面を覆う内側樹脂部(図示せず)とを具えるコイル成形体(図示せず)を具える形態とすることができる。以下、コイル成形体を詳細に説明し、その他の構成は実施形態1,2の構成と重複するため、詳細な説明を省略する。
コイル成形体は、例えば、コイルと、コイル内に挿通された内側コア部と、コイルの表面を覆ってその形状を保持すると共に、コイルと内側コア部とを一体に保持する内側樹脂部とを具える形態が挙げられる。
或いは、コイルと、コイルの表面を覆ってその形状を保持する内側樹脂部とを具え、この内側樹脂部は、内側コア部が挿通配置される中空孔を具える形態が挙げられる。この形態では、内側コア部がコイル内の適切な位置に配置されるように内側樹脂部の構成樹脂の厚さを調整すると共に、中空孔の形状を内側コア部の外形に合わせると、コイル内に存在する内側樹脂部の構成樹脂を内側コア部の位置決め部として機能させられる。従って、このコイル成形体におけるコイル内の所定の位置に、内側コア部を容易に挿入配置することができる。
巻線の両端部を除き、コイルの概ね全体が上記内側樹脂部により覆われた形態とすると、コイルの実質的に全周と磁性コアとの間に内側樹脂部が介在するため、コイルと磁性コアとの間の絶縁性を高められる。或いは、コイルのターン形成部分の一部が内側樹脂部から露出された形態とすると、コイル成形体の外形が凹凸形状となることから、連結コア部の樹脂との接触面積が増え、コイル成形体と連結コア部との密着性を高められる。コイルが露出されない程度に内側樹脂部の外形を凹凸形状とすると、内側樹脂部の介在により、コイルと磁性コアとの間の絶縁性を高められ上に、密着性にも優れる。内側樹脂部の厚さは、例えば、1mm〜10mm程度が挙げられる。
上記内側樹脂部の構成樹脂は、コイル成形体を具えるリアクトルを使用した際に、コイルや磁性コアの最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な絶縁性材料が好適に利用できる。例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。また、上記構成樹脂として、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを混合したものを利用すると、コイルの熱を放出し易く、放熱性に優れるリアクトルが得られる。また、この内側樹脂部により、コイルを自由長よりも圧縮した状態に保持して、コイルの長さを適宜調整したコイル成形体とすることができる。
上記コイル成形体は、金型に、コイルと中子、或いはコイルと内側コア部とを配置し、コイルを適宜圧縮した状態で上記内側樹脂部の構成樹脂を金型内に充填して硬化させることで、製造することができる。例えば、特開2009-218293号公報に記載されるコイル成形体の製造方法を利用することができる。
このようなコイル成形体を利用することで、コイルと磁性コアとの間の絶縁性を高められる上に、リアクトルの組立時にコイルの外形が内側樹脂部により保持されていることでコイルを取り扱い易く、リアクトルの生産性に優れる。特に、コイルと内側コア部とを内側樹脂部により一体に成形したコイル成形体を利用すると、コイルと内側コア部とがばらばらにならず取り扱い易く、かつ同時にケースに収納できるため、リアクトルの生産性に更に優れる。特に、内側樹脂部がコイルを圧縮状態に保持するコイル成形体を利用すると、コイルの軸方向の長さを短くでき、リアクトルを更に小型にできる。
(変形例2)
上記実施形態1,2では、内側コア部31が圧粉成形体からなるものを説明した。その他、内側コア部として、珪素鋼板に代表される電磁鋼板を積層させた積層体からなるものを利用することができる。電磁鋼板は、圧粉成形体と比較して、飽和磁束密度が高い磁性コアを得易い。
なお、上述した実施の形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。
本発明リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車といった車両に搭載される双方向DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。本発明リアクトルの製造方法は、上記本発明リアクトルの製造に好適に利用することができる。
1α,1β リアクトル 10 組合体
2 コイル 2w 巻線
3 磁性コア 31 内側コア部 32 連結コア部
4 ケース 40 底面 41 側壁 42 ガイド突起部 43 位置決め部
44 取付部 44h ボルト孔
5 磁気シールド層
100 リアクトル 110 組合体 120 コイル 130 磁性コア
131 内側コア 132 外周コア 140 ケース

Claims (4)

  1. 巻線を巻回してなる一つのコイルと、このコイルが配置される磁性コアと、開口部を有し、前記コイルと前記磁性コアとの組合体を収納するケースとを具えるリアクトルであって、
    前記コイルは、その外周の少なくとも一部が前記磁性コアに覆われて前記ケースに封止されており、
    前記磁性コアにおける前記コイルを覆っている部分、および前記磁性コアにおける前記ケースの開口側領域は、磁性粉末と樹脂とを含む混合物により構成され、
    前記磁性コアの開口側領域を覆い、前記ケースの開口部から露出する最表領域に、前記磁性粉末よりも比重が小さく、かつ導電性を有する非磁性粉末と樹脂とで実質的に構成される磁気シールド層を具えるリアクトル。
  2. 前記磁性コアは、前記コイル内に挿通された内側コア部と、前記コイルの外周を覆い、前記混合物で構成される連結コア部とを具え、
    前記内側コア部と連結コア部とは、前記混合物の樹脂により一体化されており、
    前記内側コア部は、前記連結コア部よりも飽和磁束密度が高く、
    前記連結コア部は、前記内側コア部よりも透磁率が低い請求項1に記載のリアクトル。
  3. 開口部を有するケースに、巻線を巻回してなる一つのコイルとこのコイルが配置される磁性コアとの組合体を収納してリアクトルを製造するリアクトルの製造方法であって、
    前記コイルを前記ケースに収納する工程と、
    前記コイルの外周を覆うように、磁性粉末と、前記磁性粉末よりも比重が小さく、かつ導電性を有する非磁性粉末と、樹脂との混合物を前記ケースに充填する工程と、
    前記磁性粉末と前記非磁性粉末との比重差により、前記非磁性粉末が前記ケースの開口側に浮上し、前記磁性粉末が前記ケースの底面側に沈降した状態とした後、前記樹脂を硬化する工程と
    を具え
    前記磁性コアの開口側領域を覆い、前記ケースの開口部から露出する最表領域に、前記磁性粉末よりも比重が小さく、かつ導電性を有する非磁性粉末と樹脂とで実質的に構成される磁気シールド層を形成するリアクトルの製造方法。
  4. 開口部を有するケースに、巻線を巻回してなる一つのコイルとこのコイルが配置される磁性コアとの組合体を収納してリアクトルを製造するリアクトルの製造方法であって、
    前記コイルを前記ケースに収納する工程と、
    前記コイルの外周を覆うように、磁性粉末と樹脂との混合物を前記ケースに充填する工程と、
    前記磁性粉末と樹脂との混合物の上に、前記磁性粉末よりも比重が小さく、かつ導電性を有する非磁性粉末と樹脂との混合物を充填した後、前記樹脂を硬化する工程と
    を具え
    前記磁性コアの開口側領域を覆い、前記ケースの開口部から露出する最表領域に、前記磁性粉末よりも比重が小さく、かつ導電性を有する非磁性粉末と樹脂とで実質的に構成される磁気シールド層を形成するリアクトルの製造方法。
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