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JP5609919B2 - マイクロヒータ素子 - Google Patents
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JP5609919B2 - マイクロヒータ素子 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン化合物等の支持膜の表面に形成された発熱体であるマイクロヒータを有するマイクロヒータ素子に関するものである。本マイクロヒータ素子は、例えば、赤外線検知センサやガス量等を検知するセンサを加熱するというような用途に用いられる。
近年、半導体チップ上に形成される熱式流量計やガスセンサ等が提供されている。これらには、その検出原理で必要となるマイクロヒータが設けられている。マイクロヒータとは薄膜で形成された抵抗発熱体で、電流を流すことによりジュール熱を発生させる。このようなマイクロヒータは、通常、昇温時における基板への熱の逃げを抑制するために、マイクロヒータの膜厚が数μm程度の薄膜構造となるメンブレン構造やマイクロブリッジ構造といった断熱構造を採用している。
特許文献1には、マイクロブリッジ構造によるマイクロヒータが開示されている。マイクロブリッジ構造とは、支持脚等によって薄膜部を基板から隔離、浮かせた構造体のことで、このマイクロヒータは折り返し部分を曲線で構成することにより、部分的な温度上昇による抵抗値の経時的変化が起こりにくく、抵抗値のバラツキが小さいマイクロヒータを提供している。
特許文献2には、これら基板上に形成したヒータを利用した湿度センサが開示されている。
特開平11−281444号公報 特開2006−153512号公報
特許文献1においては、マイクロヒータ電極内における局所的な形状による温度分布の改善はできるが、マイクロブリッジ上の広範囲な温度分布までは改善できない。すなわち、マイクロブリッジ上のマクロヒータ電極がある部分の温度が高く、その周囲で温度が低いなどの分布が生じるといった問題がある。
特許文献2においては、配線パターンによる膜厚段差があるため、総膜厚が広範囲にわたって均一でなく、膜厚が厚い部分および薄い部分ができてしまう。そのため、膜厚の違いにより熱容量が場所によって異なりヒータから暖められる領域で熱分布が発生してしまうといった問題がある。
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、マイクロヒータによる温度分布が均一なマイクロヒータ素子を提供することを目的とする。
本発明は、基板上に、薄膜からなるマイクロヒータと、薄膜サーミスタが積層されており、さらにメンブレン構造を有しているマイクロヒータ素子であって、前記薄膜サーミスタは、一対の櫛歯電極を有しており、積層方向からみて、一対の前記櫛歯電極によって囲まれた領域が形成されており、前記マイクロヒータと一対の前記櫛歯電極は、積層方向からみて、前記領域内で、互いに重ならないように配置されていることを特徴とするマイクロヒータ素子である。
このような構成にすることにより、マイクロヒータによる温度分布が均一なマイクロヒータ素子を得ることができる。すなわち、マイクロヒータと薄膜サーミスタ電極配線が、積層方向からみて重なることにより生じてしまう膜厚段差を、お互いの膜厚により解消できるという効果もあり、このことも、マイクロヒータによる温度分布を均一にすることについて貢献している。
また、積層方向からみて、前記マイクロヒータが、前記領域外で、一対の櫛歯電極の外周を取り囲むように配置することで、櫛歯電極の外側からメンブレンの中央に向かって伝わる熱の流れもできるため、メンブレンの中央からの熱の流れを抑制させることができるばかりでなく、外周部の温度の低い箇所が回りを囲むマイクロヒータによって暖められるので温度分布が効果的に改善されるので、さらに好ましい。
また、前記薄膜サーミスタ上に、絶縁層を介して、温度分布改善層をさらに設けることにより、メンブレン中央と基板側の低温部との温度差が温度分布改善層を伝わって早急に緩和されるため、メンブレン内での温度分布を非常に小さくすることができるので、さらに好ましい。
本発明により、マイクロヒータによる温度分布が均一なマイクロヒータ素子が得られる。
実施形態と実施例1によるマイクロヒータ素子の平面透視図である。 図1のA−A断面図である。 図1の詳細な平面透視図である。 実施例1によるマイクロヒータ素子の製造工程断面図である。 実施例1によるマイクロヒータ素子の製造工程断面図である。 実施例1によるマイクロヒータ素子の製造工程断面図である。 実施例1によるマイクロヒータ素子の製造工程断面図である。 比較例1によるマイクロヒータ素子の平面透視図である。 図5のB−B断面図である。 実施例2によるマイクロヒータ素子の平面透視図である。 実施例3によるマイクロヒータ素子の断面図である。 実施例4によるマイクロヒータ素子の平面透視図である。 実施例5によるマイクロヒータ素子の断面図である。 実施例6によるマイクロヒータ素子の断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
図1及び図2を参照しながら、本実施形態のマイクロヒータ素子1の構造について説明する。ここで、図1はマイクロヒータ素子1の平面透視図、図2は図1のA−Aでマイクロヒータ素子1を切断した断面図である。本実施形態によるマイクロヒータ素子1は、基板2、絶縁膜3、マイクロヒータ4、マイクロヒータ保護膜5、薄膜サーミスタ電極6、薄膜サーミスタ7、薄膜サーミスタ保護膜8を備える。
基板2としては、適度な機械的強度を有し、且つエッチングなどの微細加工に適した材質であれば、特に限定されるものではない。例えば、シリコン(Si)単結晶基板、サファイア単結晶基板、セラミック基板、石英基板、ガラス基板などが好適である。基板の表面および裏面には、Si酸化膜又はSi窒化膜などの絶縁膜3が形成される。絶縁膜3として、例えばSi酸化膜を形成するには、熱酸化法やCVD(Chemical Vapor Deposition)による成膜法を適用すればよい。膜厚は、絶縁膜3上に形成する膜と基板との絶縁がとれ、かつキャビティ10を形成する際のエッチング停止層として機能すればよい。通常0.1〜1.0μm程度が好適である。
基板2には、マイクロヒータ4を高温動作させた時に、熱が基板へ伝導するのを抑制するためにマイクロヒータ4の位置に対応して基板の一部を薄肉化したキャビティ10を有している。このキャビティ10により基板が取り除かれた部分はメンブレン9と呼ばれる。メンブレン9では基板を薄肉化した分だけ熱容量が小さくなるため、非常に少ない消費電力でマイクロヒータ4を高温にすることができる。また、基板2への伝導経路が数μmの薄膜部分のみで形成された断熱構造であるため、基板2への熱伝導が小さく、効率よくマイクロヒータ素子1を高温にすることができる。
図2において、マイクロヒータ4の実際の温度検出用として、薄膜サーミスタ7が形成されている。薄膜サーミスタ7は櫛歯電極6A、6Bを備え、マイクロヒータ4を覆うように形成される。これによりマイクロヒータ4の高温駆動中の実際の温度を直接検出することができる。このため所望の温度であるかどうかの検出機能を有するだけでなく、得られた電気信号より駆動電圧の調整によりマイクロヒータ4の温度コントロールが可能となる。
薄膜サーミスタ7を形成するサーミスタの材質としては、複合金属酸化物、アモルファスシリコン、ポリシリコン、ゲルマニウムなどの負の温度抵抗係数を持つ材料をスパッタ法、CVDなどの薄膜プロセスを用いて形成する。膜厚は目標とするサーミスタ抵抗値に応じて調整すればよく、例えばMnNiCo系酸化物を用いて室温での抵抗値(R25)を140kΩ程度に設定するのであれば、素子の電極間の距離にもよるが0.2〜1μm程度の膜厚に設定すればよい。
薄膜サーミスタ7の電気信号を取り出す為に、薄膜サーミスタ電極6が形成される。薄膜サーミスタ7の薄膜サーミスタ電極6は一対の櫛歯電極6Aと6Bからなり、それぞれの平面形状は、櫛形状であって、櫛歯電極6Aと6Bが組み合わさって薄膜サーミスタ電極6を形成している。薄膜サーミスタ電極6の材質としては、薄膜サーミスタ7の成膜工程および熱処理工程などのプロセスに耐えうる導電性物質で比較的高融点の材料、例えば、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)又はこれら何れか2種以上を含む合金などが好適である。
図3は、図1と同じ実施形態の平面透視図であるが、追加の情報を入れ込んだ図である。図1と図3において、マイクロヒータ素子1を積層方向からみて、薄膜サーミスタ7の薄膜サーミスタ電極6の間にマイクロヒータ4が形成されている。すなわち、薄膜サーミスタ7は、一対の櫛歯電極6A、6Bを有しており、積層方向からみて、一対の櫛歯電極によって囲まれた領域20が形成されており、マイクロヒータ4と一対の櫛歯電極6A、6Bは、積層方向からみて、領域20内で、互いに重ならないように配置されている。
マイクロヒータ4の配線幅は、薄膜サーミスタ7の薄膜サーミスタ電極6間の間隙と同じであることが望ましい。また、マイクロヒータ4の膜厚は薄膜サーミスタ電極6と同じであることが望ましい。図5は比較例1の平面透視図であるが、実施形態とは異なり、マイクロヒータ4と薄膜サーミスタ7の配線が積層方向からみて、重なるように配置されているが、図5のB−B断面図が図6であるが、図6の比較例1のような場合には、工程上の段差19が生じてしまうという問題もある。
しかしながら、本実施形態のような配線の配置にすることにより、マイクロヒータ4と薄膜サーミスタ電極6が、積層方向からみて重なることにより生じてしまう図6のような膜厚段差19が、お互いの膜厚により解消される。これにより、薄膜サーミスタ7の櫛歯電極6A、6Bで囲まれた領域20は厚みが均一になり、厚みばらつきが少ない平らな形状になり、温度分布の少ないマイクロヒータ素子1を形成することができる。
マイクロヒータ4の材質としては、薄膜サーミスタ7の成膜工程および熱処理工程などのプロセスに耐えうる導電性物質で比較的高融点の材料からなる金属層であって、例えば、Mo、Pt、Au、W、Ta、Pd、Ir又はこれら何れか2種以上を含む合金などが好適である。また、イオンミリングなどの高精度なドライエッチングが可能である導電材質であることが好ましく、さらに耐腐食性が高い、Ptなどがより好適である。また絶縁膜3との密着性を向上させるためにはPtの下部にはチタン(Ti)などの密着層を形成するのが好ましい。
また、図1において、マイクロヒータ4と薄膜サーミスタ電極6からの基板2上へのそれぞれの引き出し配線4A、4B、16A、16Bは、メンブレン9の中心から放射状に等間隔かつ交互に配置されていることが望ましい。実施形態のマイクロヒータ素子1は、マイクロヒータ4を駆動させるため、また薄膜サーミスタ7の電気信号を検出するために電気接続配線が必要であるが、この、それぞれの引き出し配線4A、4B、16A、16Bが形成されている部分は膜厚が厚くなってしまい熱容量が変わってしまう。また、一般的に引き出し配線として使われる材料は導電性を有するが、同時に熱伝導も大きいため、引き出し配線4A、4B、16A、16Bを伝わって熱が基板2へ逃げてしまう。そのため、メンブレン9において温度分布が発生する。
そこで、引き出し配線4A、4B、16A、16Bを偏りなく均等に最適配置させることで温度分布を改善することが可能となる。すなわち、引き出し配線4A、4B、16A、16Bをメンブレン9の中心から放射状に等間隔に配置することで熱容量の大きい箇所、熱伝導が大きい箇所をメンブレン9内で均等に配置することになるので温度分布の偏りをなくすことができる。合わせて、発熱源となるマイクロヒータ4と、熱伝導が高く熱の逃げ道となる薄膜サーミスタ電極6を交互に配置させる、つまり、図1において、薄膜サーミスタの引き出し配線を16A、16Bとして、マイクロヒータ4の引き出し配線を4A、4Bとすると、16Aを基準として、時計周りにみていくと、16Aの隣には、4Bがあり、4Bの隣には、16Bがあり、16Bの隣には4Aがあり、4Aの隣には16Aというように、薄膜サーミスタの引き出し配線と、マイクロヒータ4の引き出し配線が、積層方向から見て、交互に配置することで、発熱体と熱の逃げ道とを効率よく均等に配置することになるのでメンブレン9の熱分布はよりいっそう改善される。
図2において、マイクロヒータ4及び絶縁膜3を覆うようにマイクロヒータ保護膜5が形成される。マイクロヒータ保護膜5としては、絶縁膜3と同じ材料であることが望ましい。マイクロヒータ4は数百度にまで上昇し、次に常温へ下がるという熱ストレスを繰り返し受ける。この熱ストレスを継続的に受けると層間剥離やクラックといった破壊につながる。同じ材料同士は、異種材料を積層した場合に比べて材料特性が同じであり密着性が強固で機械的強度も強い。このため、マイクロヒータ4の熱ストレスに対しても破壊を防止することができる。マイクロヒータ保護膜5として、例えばSi酸化膜を形成するには、熱酸化法やCVDによる成膜法を適用すればよい。膜厚は、マイクロヒータ4を確実に覆うことができ層間絶縁ができる厚みが良い。通常0.1〜3.0μm程度が好適である。
薄膜サーミスタ7に、複合金属酸化物等を利用する場合においては、マイクロヒータ保護膜5は、絶縁性を有する酸化膜であることが望ましく、例えばSi酸化膜等が望ましい。マイクロヒータ保護膜5の上には薄膜サーミスタ7および薄膜サーミスタ電極6が形成される。マイクロヒータ保護膜5は、マイクロヒータ5の保護膜であると同時に、薄膜サーミスタ7の下地層でもあり、薄膜サーミスタ7と直接接触する。
一般的に、複合金属酸化物を利用したサーミスタは、高温で還元劣化があるためサーミスタ全体を耐還元材料でコーティングする方法が知られている。即ち、サーミスタを還元性を持つ材料と接触させて高温状態にすると、サーミスタから酸素を奪って還元を引き起こし、サーミスタ特性に影響を与えてしまう。よって薄膜サーミスタ保護膜8においてもSi酸化膜等の絶縁性を有する酸化膜であることが望ましい。
また、同様な理由により、薄膜サーミスタ電極6は薄膜サーミスタ7の基板側に形成されていることが望ましい。すなわち、マイクロヒータ4上に、絶縁層であるマイクロヒータ保護膜5を介して、一対の櫛歯電極6A、6B、薄膜サーミスタ7の順に積層し形成されている。つまり、薄膜サーミスタ電極6の上に薄膜サーミスタ7が形成される。一般的に、薄膜電極は、電極材料と下地との密着力を上げるために密着層が形成される。例えばクロム(Cr)やTi等が数nm程度の膜厚で形成される。薄膜サーミスタ7上に薄膜サーミスタ電極6が形成された場合、この密着層が直接薄膜サーミスタと接触し、サーミスタからの酸素を奪う等により酸化することで、界面抵抗が上昇し薄膜サーミスタ7の検出特性が変動してしまい好ましくない。
薄膜サーミスタ電極6、マイクロヒータ4はメンブレン9の外で、電極パッド11と接続される。電極パッド11は、ワイヤーボンドやフリップチップボンディングなどで電気的接続を行うために、例えばアルミニウム(Al)やAuなどの材料で形成され、必要に応じて積層してもよい。
なお、マイクロヒータ4の温度検出としては薄膜サーミスタ7が好適である。まず、薄膜の積層構造であるために、マイクロヒータ4の発熱を直上にて直接検出することができる。また、一般的に、薄膜サーミスタ7はサーミスタの電気信号を取り出すために薄膜サーミスタ電極6により構成される。薄膜サーミスタ電極6は、抵抗値の調整や、信頼性の面で、多くは一対の櫛歯形状の電極6A、6Bを構成することがほとんどである。この際に、上下またはどちらか一方に積層形成されるマイクロヒータ4を櫛歯電極6A、6Bと重ならないように配置し、かつ膜厚や電極間、配線幅を最適化することで、配線パターン等により形成されてしまう、例えば図6で示すような段差19を相殺しあい、厚みが均一で平らなマイクロヒータ素子1を作製することができる。よって、膜厚の不均一による熱容量の分布がない、マイクロヒータ面内で均熱のとれたマイクロヒータ素子1を形成することが可能となる。
(実施例1)
実施形態に基づく、実施例1の薄膜サーミスタ7を有するマイクロヒータ素子1の具体的な製造方法について、図を用いて説明する。
まず、Siからなり、誘電率が2.4で、板厚が250μmである基板2の2つの主面に、熱酸化法により厚さ0.5μmのSiO膜を略全面に形成し絶縁膜3とした。
次いで、図4aに示すように、基板2の一方の主面上の絶縁膜3の表面に、高周波マグネトロンスパッタ法により、厚さ5nmのTiからなる密着層12を形成し、その上に、厚さ100nmのPtからなる金属層13を略全面に形成し、マイクロヒータ4とした。なお、Tiからなる密着層12はPtからなる金属層13と絶縁膜3とを密着させるための密着層である。なお、必要に応じて、Tiからなる密着層12はなくてもよい。
マイクロヒータ4の材質としては、薄膜サーミスタ7の成膜工程および熱処理工程などのプロセスに耐えうる導電性物質で比較的高融点の材料からなる金属層13であって、例えば、Mo、Pt、Au、W、Ta、Pd、Ir又はこれら何れか2種以上を含む合金などが好適である。また、イオンミリングなどの高精度なドライエッチングが可能である導電材質であることが好ましく、さらに耐腐食性が高い、Ptなどがより好適である。また絶縁膜3との密着性を向上させるためにはPtの下部にはチタン(Ti)などの密着層12を形成するのが好ましい。
その後、図4aに示すように、形成されたマイクロヒータ4上に、フォトリソグラフィにてミアンダ状など所望の形状のエッチングマスク14をフォトレジストで形成した後、エッチングマスク14で覆われていないPtからなる金属層13および、Tiからなる密着層12をイオンミリング法によりエッチングする。そして、エッチングマスク14を除去することにより、マイクロヒータ4を所望の形に形成する。なお、図4bのマイクロヒータ4は、密着層12と、金属層13の2層構造であるが、便宜上、以後は、マイクロヒータ4と表示することとする。
続いて、図4bに示すように、マイクロヒータ4及び絶縁膜3を覆うように、TEOS(Tetra−Ethyl−Ortho−Silicate)−CVD法によりSiO膜を成膜することで、厚さ0.4μmのマイクロヒータ保護膜5を形成した。ここで絶縁膜3と同じSi酸化膜とすることで、マイクロヒータ4の動作時における熱ストレスに対しても強固に保護膜としての機能を果たす。事前に行った実験では保護膜3をSi窒化膜としてマイクロヒータ4を作成し駆動させた場合にこの保護膜3との界面付近において剥離が生じてしまった。
さらに、図4cに示すように、マイクロヒータ保護膜5表面に、高周波マグネトロンスパッタ法により、厚さ5nmのTiからなる密着層22、および、厚さ100nmのPtからなる金属層23を順次形成し、薄膜サーミスタ電極6とする。Tiからなる密着層22はPtからなる金属層23とマイクロヒータ保護膜5とを密着させるための密着層である。ここでも、必要に応じて、Tiからなる密着層22はなくてもよい。
形成された薄膜サーミスタ電極6上に、フォトリソグラフィにて櫛歯状など所望の形状のエッチングマスク15をフォトレジストで形成した後、エッチングマスク15で覆われていない密着層22および金属層23をイオンミリング法によりエッチングする。
その後、図4dに示すように、エッチングマスク15を除去することにより、薄膜サーミスタ7の一対の櫛歯電極6A、6Bの間隙が25ミクロンである、薄膜サーミスタ電極6を形成する。なお、一対の櫛歯電極6A、6Bが、図1のA−A断面でみて、水平方向に交互に配置されている。
次いで、図2に示すように、形成した薄膜サーミスタ電極6の表面に、スパッタ法によりMnNiCo系複合酸化膜を成膜することで、厚さ0.4μm、抵抗値140kΩのマイクロヒータ温度検知膜として機能する、薄膜サーミスタ薄膜7を形成した。このスパッタは、マルチターゲットスパッタ装置を使用し、基板温度600℃、アルゴン(Ar)圧力0.5Pa、O/Ar流量比2%、投入電力400Wの条件下で実施した。その後、BOX焼成炉を使用し、熱処理を大気雰囲気中で650℃、1時間の条件下で実施した。なお、図2の薄膜サーミスタ電極6は、密着層22と、金属層23の2層構造であるが、便宜上、以後は、薄膜サーミスタ電極6と表示することとする。
ところで、本実施形態のマイクロヒータ素子1は、薄膜サーミスタ7によりマイクロヒータ4の動作温度を直接検出することができる。これにより動作中の温度を所定値で安定維持できるようにフィードバック制御することが可能である。あわせて、経時劣化にともなうマイクロヒータ抵抗の変化、すなわち動作温度の変化を、薄膜サーミスタ7により検出することも可能である。このため、マイクロヒータを使ったセンサ等で使用する場合に、出力が経時的に変化してしまって測定値に誤差が生じてしまっていたという問題も解決できる。
続いて、フォトリソグラフィにより、所望のエッチングマスクを作成し、塩化第二鉄水溶液を用いてウェットエッチング処理し非マスク領域のMnNiCo系複合酸化膜を除去した。その後、エッチングマスクを除去することにより、薄膜サーミスタ7を形成した。
次に、薄膜サーミスタ7を覆うように、TEOS−CVD法によりSiO膜を成膜することで、厚さ0.4μmの薄膜サーミスタ保護膜8を形成した。
そして、図示していないが、電極パッド11を配置する部位を除く薄膜サーミスタ保護膜8上にフォトリソグラフィによりエッチングマスクを作成し、電極パッド11を配置する部位にウェットエッチング処理を施し、SiO膜を除去することで開口を形成し、電子ビーム蒸着法により厚さ1.0ミクロンのAl金属薄膜を形成し、リフトオフ法により、開口を充填するように形成したAl金属薄膜以外の部位のAlおよびマスクを除去し、電極パッド11を形成した。
最後に、図2に示すように、基板2の裏面にフォトリソグラフィによりエッチングマスクを形成したのち、裏面側をフッ化物系ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によって絶縁膜3を除去した。その後、フッ化物系ガスを用いたRIEによって基板2を除去し、一辺が750μm程度のキャビティ10を形成した。基板2を除去しキャビティ10を形成するには、エッチングとバリア層形成を交互に行いながら垂直に加工する深堀りRIE(Deep−RIE、D−RIE)法を用い、メンブレン9を得た。
(比較例1)
実施例1と同様な製造方法で、比較例1を作成した。実施例1と異なる点は、マイクロヒータ4と薄膜サーミスタ電極6が、比較例1を図5に示すように、積層方向からみて、マイクロヒータ4と薄膜サーミスタ電極6が重なるように配置されている点である。図6は、図5のB−B断面図である。図6に示すように、工程上の段差19が、形成されている。
実施例1と比較例1を図示しない赤外線カメラを使ってマイクロヒータ素子1の温度分布を確認した。マイクロヒータ素子1の最高温度点が100℃になるように電圧印加し、図3に示したように、薄膜サーミスタ7の櫛歯電極6A、6Bで囲まれた領域20の2点、D、Eの温度を測定した。D点は下層にマイクロヒータ4が配置されるが、薄膜サーミスタ電極6はない地点である。E点は下層にマイクロヒータ4はないが、薄膜サーミスタ電極6が配置されている地点で、メンブレン9内での温度分布の影響を受けないように、2点はすぐ隣の隣接する点を選択した。また、マイクロヒータ素子1と図示しない赤外線カメラとの距離は5センチで、測定環境の影響を受けないように温湿度管理された空間で行った。また、基板は25℃に温度制御された筐体に直接接触させ固定した。また、領域20内おいて、薄膜サーミスタ電極6から電極パッド11へと接続される部分であって、最低温度部と考えられる点、すなわち、図3のF点についても測定した。表1は、実施例1から4と、比較例1から3についての実験の結果を示したデータである。
Figure 0005609919
比較例1においては、メンブレン9の中央が最も高温になり100℃を示した。先ほどと同じ位置の2点において同様に温度測定した。ただし、図5のように、下層における層構成が異なり、下層にマイクロヒータ4および薄膜サーミスタ電極6が配置されている地点であるE点と、下層にマイクロヒータ4および薄膜サーミスタ電極6がない地点であるD点となる。
この結果、表1より、比較例1においては、D点では97.7℃、E点では87.3℃、F点では69.3℃であった。下層にマイクロヒータ4および薄膜サーミスタ電極6が配置されている地点であるE点の方が、D点よりも10.4℃低い結果となった。これは、比較例1の構成において、E点では発熱源であるマイクロヒータ4の直上に熱伝導の高い薄膜サーミスタ電極6が形成されていることで、この薄膜サーミスタ電極6が熱を基板へ逃がすパスになっているためである。また、マイクロヒータ4および薄膜サーミスタ電極6の分だけ膜厚が厚いため熱容量も大きくなり、表面温度が低くなったためである。
一方、D点の下層にマイクロヒータ4および薄膜サーミスタ電極6がない地点においては、熱を逃がすパスがなく、かつ膜厚が薄く熱容量が小さいために熱がこもり、温度が高くなった。この結果、図3の領域20において、温度の高い箇所、低い箇所が規則的に存在しマイクロヒータ素子1の温度分布が発生してしまった。なお、F点での温度が最低温度となっているのは、基板2に近くなるほど熱が逃げやすくなるため温度が下がる傾向があるためである。また、F点は基板2への引き出し配線上であるために熱が容易に基板2に逃げ易くなっているためで、領域20において一番温度が低い部分となる。
一方、比較例1に対し、実施例1においても、メンブレン9の中央が最も高温になり100℃を示した。表1において、実施例1では、この時、領域20における上述の2点を測定しD点は96.6℃、E点は95.4℃、F点は80.2℃で、D点とE点の温度差は1.2℃であった。また、領域20の外側、すなわち基板側に近づくほど温度が下がる傾向が確認され、メンブレン9の中央の100℃を最高温度に同心円状に温度分布が確認された。また、F点についても、比較例1に比べて、温度が高くなっており、改善が確認された。これは、比較例1におけるF点では、マイクロヒータ4が形成されている分だけ膜厚が厚く、結果として熱容量が大きいことにより温度が低くなったと考えられる。すなわち、比較例1に対し、実施例1では、温度分布に改善があることを確認できた。
(実施例2)
図7は、実施例2に係わるマイクロヒータ素子1の平面透視図である。実施例1と異なる点は、マイクロヒータ4と薄膜サーミスタ7の一対の櫛歯電極6A、6Bを積層方向からみて、マイクロヒータ4が、図3に示した一対の櫛歯電極によって囲まれた領域20の外で、一対の櫛歯電極6A、6Bの外周をも取り囲むように並行して配置されたことが異なる。製造方法は、実施例1と同じでマイクロヒータ4のフォトレジストマスクが異なり、配線パターンのみが異なる。
実施例1と同じ評価系を使用して測定を行った。実施例1と同様にマイクロヒータ素子1の最高温度点が100℃になるように電圧印加し、領域20における最低温度を計測した。実施例2において、メンブレン9の中央が最も高温になり100℃を示した。表1より、領域20内おいて、最低温度部は薄膜サーミスタ電極6から電極パッド11へと接続される部分すなわち、図3のF点で、87.3℃であった。なお、F点の温度は、比較例1では、69.3℃、実施例1では、80.2℃であり、やはり、それぞれで、最低温度部となっている。
これは、基板2に近くなるほど熱が逃げやすくなるため温度が下がる傾向があり、また、基板2への引き出し配線上であるために熱が容易に基板2に逃げ易くなっているためである。櫛歯電極6A、6Bで囲まれた領域20においても基板側ほど熱が逃げやすく温度が低い。その点、実施例2では櫛歯電極6A、6Bの外側、すなわち基板2に近い領域にマイクロヒータ4の一部を配置し発熱させることで、櫛歯電極6A、6Bの外側からメンブレン9の中央に向かって伝わる熱の流れもできるため、メンブレン9の中央からの熱の流れを抑制させることができるばかりでなく、外周部の温度の低い箇所が回りを囲むマイクロヒータ4によって暖められるので温度分布が効果的に改善されたためである。
すなわち、実施例2は、比較例1に比べて、格段に、温度分布に改善が見られた。また、実施例1に対しても、更なる改善が見られた。
(実施例3)
実施例3を図8に示す。実施例1と異なる点は、薄膜サーミスタ電極6が薄膜サーミスタ7の上部に形成されていることである。薄膜サーミスタ7の一対の櫛歯電極6A、6Bの積層方向から見た配置は実施例1と同じである。実施例1で示す製造方法において、マイクロヒータ保護膜5を形成した後に、薄膜サーミスタ7を形成し、その後に薄膜サーミスタ電極6を形成する以外は同じである。ここで、薄膜サーミスタ電極6は、以下の通りリフトオフ法で形成した。まず、薄膜サーミスタ7を形成するまでは実施例1の通りで、その後、フォトリソグラフィにより、薄膜サーミスタ電極6を形成する部位以外にフォトレジストを形成した。つづいて、高周波マグネトロンスパッタ法により、厚さ5nmのTi金属薄膜22、および厚さ100nmのPt金属薄膜23を順次、略全面に形成する。その後、フォトレジストで覆われていた部分をレジストごと剥離することで、薄膜サーミスタ電極6を形成した。以降、薄膜サーミスタ保護膜8形成と続く。
実施例3で作成したマイクロヒータ素子1を実施例1と同じ評価を行ったが、実施例1と同等の結果でD点において96.5℃、E点において95.7℃であった。しかし、このマイクロヒータ素子1を125℃1000hrの長期信頼性試験に投入したところ、薄膜サーミスタ7の抵抗が信頼性投入前に比べて7.0%の抵抗値増加が生じてしまうという問題がみられた。なお、実施例1で作成した素子を比較のために一緒に投入したところ0.5%の抵抗値変化であった。これは、薄膜サーミスタ電極6におけるPtからなる金属層23、Tiからなる密着層22、および、薄膜サーミスタ7が関係していると考えられる。
すなわち、実施例1のように、薄膜サーミスタ7に対して薄膜サーミスタ電極6が基板側の下側に形成される場合には、基板側から順に密着層22、金属層23、薄膜サーミスタ7となり、密着層22と薄膜サーミスタ7は直接接することはない。一方で、薄膜サーミスタ7に対して薄膜サーミスタ電極6が基板2と反対側の上側に形成される場合には、基板側から順に薄膜サーミスタ7、密着層22、金属層23となり薄膜サーミスタ7と密着層22が直接接することになる。ここでTiからなる密着層22は非常に酸化しやすい性質であるため、高温放置による酸化反応によりTi酸化膜となり、薄膜サーミスタ7とPtからなる金属層23との界面抵抗が増えてしまったために薄膜サーミスタ7の抵抗値変動が起こってしまったと考えられる。
すなわち、実施例3における、Tiからなる密着層22が酸化して、薄膜サーミスタ7とPtからなる金属層23との界面抵抗が増えてしまうという問題は、実施例3以外の、実施例1をはじめとする実施例により、解決される。
(実施例4)
実施例4として、1つの例を図9に示す。実施例1と実施例4との違いは次の通りである。実施例1は、図1のように、マイクロヒータ4と薄膜サーミスタ電極6からの基板上へのそれぞれの引き出し配線4A、4B、16A、16Bはメンブレン9の中央から放射状に等間隔かつ交互に配置されている。実施例4については、例えば、図9のように、マイクロヒータ4はメンブレン9に対して対角線上に基板への引き出し配線4A、4Bが接続されている。一方、薄膜サーミスタ電極6の引き出し配線16A、16Bは、例えば、図9のように、櫛歯電極6A、6Bともに4辺で形成された四角いメンブレン内で、対角線上ではなくマイクロヒータ4の引き出し配線4A側に、偏った配置で引き出されている。すなわち、実施例1と異なり基板上への引き出し配線がメンブレン中央から放射状に等間隔かつ交互に配置されていないことになる。
実施例1と同じ評価系を使用して、同様に図3の領域20において最高温度が100℃になるように調整し測定した。評価にあたっては、図9のように、メンブレン9上の領域20より外側の任意の部分、4点(N、O、P、Q)の温度測定を行った。それぞれ4点はメンブレン9の中央を原点としてそれぞれ90度づつ回転させたときに重なる点である。
Figure 0005609919
結果は、表2により、図9のような実施例4においては、N点とQ点が同等で41℃程度、O点とP点がそれぞれ同等で55℃程度で、N点とQ点の温度がO点とP点の温度よりも低い結果となってしまい問題であるのに対し、実施例1においては、4点ともに54℃程度となり改善が見られた。この場合、図3の通り、4点ともにマイクロヒータ4の基板2への引き出し配線、4A、4Bからと、薄膜サーミスタ7の櫛歯電極6A、6Bの基板への引き出し配線16A、16Bから等しい距離にあるために、4点においては熱分布が同じになり4点が同等の温度となったからである。ただし、図3の領域20のように、領域20が正方形状であれば、引き出し配線の4A、4B、16A、16Bは、等間隔となるのであるが、ここでいう、等間隔は、必ず正確な等しい距離を意味するわけではなく、ばらつきなどの誤差を考慮した上での、おおよその概念を含む。
実施例4の2点(N、Q)の温度が低い問題について、例えば図9の場合だと、発熱源でもあるマイクロヒータ4の基板2への引き出し配線4Aと2点(N、Q)の間には薄膜サーミスタ櫛歯電極6A、6Bがそれぞれ配置されている。このため、引き出し配線4Aで発熱した熱が2点(N、Q)に直接伝わる前に、熱伝導の良い櫛歯電極6A、6Bに伝わり、結果として櫛歯電極6A、6Bの基板2への引き出し配線を伝って、熱が基板へ逃げてしまったためである。よって、実施例4ではメンブレン9において非常に温度分布の大きいマイクロヒータ素子になってしまった。
すなわち、実施例4における、2点(N、Q)の温度が低い問題について、実施例4以外の実施例1をはじめとする実施例は、このような配線の構成をとっていないため、解決された。
(実施例5)
実施例5を図10に示す。実施例1と異なる点は、マイクロヒータ素子1の最表層に温度分布改善層18が形成されている点である。温度分布改善層18はキャビティの幅Lよりも小さい方が好ましい。これは、基板2が下部に存在する領域まで形成すると基板2への熱の逃げが大きくなってしまうためである。特に、温度分布改善層18は熱伝導が良好な材質を使用し、パターン形状にあわせた最適な大きさにするのが良い。温度分布改善層18の材料としては、例えば、Au、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等があげられるが、これに限定されることはなく、マイクロヒータ素子1の製造工程等の制約を考慮して最適な金属材料を選定すればよい。
実施例5においては、この熱伝導が良好な温度分布改善層18を利用してメンブレン9の温度分布を小さくすることを目的とする。すなわち、パターン形状にもよるが、メンブレン9の中央は基板2への熱伝導の影響が一番小さいために高温になり、メンブレン中央から基板側へ近づくほど温度が低下していく。ここで、温度分布改善層18をメンブレン9上に形成することで、メンブレン中央と基板側の低温部との温度差が温度分布改善層18を伝わって早急に緩和されるため、メンブレン9内での温度分布を非常に小さくすることができる。
ここでは、実施例1と同様のマイクロヒータ素子1において、薄膜サーミスタ保護膜の上に、温度分布改善層18を形成した。まず、フォトリソグラフィにより、温度分布改善層18を形成する部位以外にフォトレジストを形成した。つづいて、高周波マグネトロンスパッタ法により、厚さ10nmのTiからなる温度分布改善層18を形成しフォトレジストをリフトオフにより剥離した。その後、基板裏面をD−RIEすることでキャビティ形成しメンブレン9を得た。
実施例5で作成したマイクロヒータ素子1を、実施例2と同じ要領で測定した。マイクロヒータ素子1の最高温度が100℃になるように印加電圧を調整し、領域20において最低温度を計測した。両方とも領域20のメンブレン9の中央付近で100℃になり、電極パッド11へと接続される部分であるF点でやはり最低温度となった。表1より、図3のF点の温度を見ると、比較例1では、69.3℃、実施例1では、80.2℃、実施例2では、87.3℃であり、やはり、それぞれで、最低温度部となっている。それらに対し、実施例5でのF点の温度は、93.4℃と格段に改善されていた。
すなわち、実施例5は、比較例1に比べて、格段に、温度分布に改善が見られた。また、実施例2に対しても、更なる改善が見られた。
(実施例6)
実施例6を図11に示す。実施例5と異なる点は、赤外線放射層17が温度分布改善層18の上に形成されている点である。温度分布改善層18および赤外線放射層17はキャビティ幅Lよりも小さい方が好ましい。理由は、実施例5の場合と同じである。赤外線放射層17は、Au黒、Pt黒に代表される黒化膜等があげられるが、これに限定したものではなく、無機、有機材料、等これらを組み合わせたものを使用することができる。実施例4ではAu黒を使用した。ここでは、実施例3のマイクロヒータ素子1において、裏面のD−RIEによるキャビティ10の形成工程前に赤外線放射層17を形成した。まず、フォトリソグラフィにより、赤外線放射層17を形成する部位を露出させたマスクをかぶせ、低真空度においてAu黒を蒸着にて形成した。その後、基板裏面をD−RIEすることでキャビティ10を形成しメンブレン9を得た。また、金属で形成された黒化膜は一般的に密度が低く密着性が低いといった問題があるが、温度分布改善層18は密着層としての機能も兼ね備えるので赤外線放射層17の密着性を向上させることもできる。
実施例5および、実施例6で作成したマイクロヒータ素子1を、外部に別で設けた赤外線検知素子を使って評価した。印加電圧はそれぞれ同じにし、マイクロヒータ素子1から直上に10cm離れたところに赤外線検知素子として外部に別で設けた図示しないサーモパイルを対向するように設置して受光した赤外線量に応じて信号に変換された出力を比較することで評価した。また、測定環境の影響を受けないように温湿度管理された空間で行った。その結果、実施例6で作成したマイクロヒータ素子1は、実施例5に対して、約2.3倍の出力を得ることができた。すなわち、実施例6のマイクロヒータ素子1においては、放射率の高いAu黒からなる赤外線放射層17を具備しているため、より効果的に熱放射されているため高い出力を得ることができた。したがって、実施例6では、実施例5に比較して、赤外線放射効率が良くなったことを確認した。
1 マイクロヒータ素子
2 基板
3 絶縁膜
4 マイクロヒータ
4A、4B マイクロヒータからの引き出し配線
5 マイクロヒータ保護膜
6 薄膜サーミスタ電極
6A、6B 櫛歯電極
7 薄膜サーミスタ
8 薄膜サーミスタ保護膜
9 メンブレン
10 キャビティ
11 電極パッド
12、22 Ti金属薄膜
13、23 Pt金属薄膜
14、15 エッチングマスク
16A、16B 薄膜サーミスタからの引き出し配線
17 赤外線放射層
18 温度分布改善層
19 段差
20 櫛歯電極6A、6Bで囲まれた領域

Claims (4)

  1. 基板上に、マイクロヒータと、サーミスタが積層されており、さらにメンブレン構造を有しているマイクロヒータ素子であって、
    前記サーミスタは、一対の櫛歯電極を有しており、
    積層方向からみて、一対の前記櫛歯電極によって囲まれた領域が形成されており、
    前記マイクロヒータと一対の前記櫛歯電極は、積層方向からみて、前記領域内で、互いに重ならないように配置されており、
    前記マイクロヒータと一対の前記櫛歯電極からのそれぞれの引き出し配線は、積層方向からみて、前記メンブレン構造の中心位置から放射状に等間隔で、かつ交互に配置されていることを特徴とするマイクロヒータ素子。
  2. 前記マイクロヒータ上に、絶縁層を介して、一対の前記櫛歯電極とサーミスタが、順に積層し形成されていることを特徴とする請求項に記載のマイクロヒータ素子。
  3. 基板上に、マイクロヒータと、サーミスタが積層されており、さらにメンブレン構造を有しているマイクロヒータ素子であって、
    前記サーミスタは、一対の櫛歯電極を有しており、
    積層方向からみて、一対の前記櫛歯電極によって囲まれた領域が形成されており、
    前記マイクロヒータと一対の前記櫛歯電極は、積層方向からみて、前記領域内で、互いに重ならないように配置されており、積層方向からみて、前記マイクロヒータが、前記領域外で、一対の櫛歯電極の外周を取り囲むように配置されたことを特徴とするマイクロヒータ素子。
  4. 基板上に、マイクロヒータと、サーミスタが積層されており、さらにメンブレン構造を有しているマイクロヒータ素子であって、
    前記サーミスタは、一対の櫛歯電極を有しており、
    積層方向からみて、一対の前記櫛歯電極によって囲まれた領域が形成されており、
    前記マイクロヒータと一対の前記櫛歯電極は、積層方向からみて、前記領域内で、互いに重ならないように配置されており、前記サーミスタ上に、絶縁層を介して、温度分布改善層が積層され、前記温度分布改善層上に、赤外線放射層が積層されていることを特徴とするマイクロヒータ素子。
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