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JP5614652B2 - リアクトルの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、ハイブリッド自動車などの車載用DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用されるリアクトルの製造方法に関するものである。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば、特許文献1は、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータに利用されるリアクトルを開示している。このリアクトルは、コイルと、コイルが配置される環状の磁性コアと、コイルと磁性コアとの組合体を収納するケースと、ケース内に充填される封止樹脂とを備える。このリアクトルは、一般に、通電時に発熱するコイルなどを冷却するために、冷却ベースに固定されて利用される。
上記ケースは、アルミニウムのダイキャスト品が代表的であり、上記冷却ベースに固定されて上記コイルなどの熱を放出するための放熱経路に利用される。
特開2010-050408号公報
昨今、ハイブリッド自動車などの車載部品には、更なる小型化、軽量化が望まれている。しかし、従来のアルミニウムケースを備えるリアクトルでは、更なる小型化が難しい。
アルミニウムは導電性材料であるため、少なくともコイルと電気的に絶縁する必要がある。従って、通常、コイルとケースの内面(底面及び側壁面)との間には、電気的絶縁距離を確保するために比較的大きな間隔が設けられている。この絶縁距離の確保から小型化が難しい。
例えば、ケースを省略することで、リアクトルの小型化を図ることができる。しかし、コイルや磁性コアがむき出しの状態になるため、コイルや磁性コアに対して粉塵や腐食といった外部環境からの保護や強度といった機械的特性の確保などを図ることができない。
また、ケース内に充填する封止樹脂は、放熱性に優れることが望まれる。例えば、セラミックスからなるフィラーを含有させた樹脂を封止樹脂に利用することで放熱性を高められる。しかし、コイルと磁性コアとの組合体がつくる外形は複雑な形状であることから、上記組合体とケース内面との間に隙間やボイドが生じないように上記フィラーを含有する樹脂をケース内に充填しようとすると、時間が掛かり、リアクトルの生産性に劣る。また、封止樹脂中のフィラーの含有率を高めることで放熱性を向上できる反面、封止樹脂が脆化するため、熱衝撃によって破損し易くなる。従って、フィラーを含有する封止樹脂を用いなくても、放熱性に優れるリアクトルの開発が望まれる。
そこで、本発明の目的の一つは、小型でありながら放熱性に優れるリアクトルの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ケースを分割構造とすると共に、ケースの底板部において組合体と接する箇所に放熱性に優れる放熱層を備えることで、上記目的を達成することを見出した。本発明は、上記知見に基づくものである。
本発明のリアクトルの製造方法は、コイルと、このコイルが配置される内側コア部及びコイルが配置されない外側コア部を有する磁性コアとの組合体を作製し、底板部とこの底板部に立設されて上記組合体の周囲を囲む側壁部とを備えるケースに上記組合体を収納してリアクトルを製造するにあたり、以下の工程を備える。
準備工程:絶縁高熱伝導接着剤からなる放熱層が形成され、上記側壁部とは独立した底板部を準備する。
固定工程:上記底板部を位置決め用の台座の所定位置に固定する。
載置工程:上記放熱層の上に上記組合体を載置する。
硬化工程:上記放熱層を構成する絶縁高熱伝導接着剤を硬化する。
上記載置工程は、上記組合体の底板部に対するコイルの軸方向と直交する方向の位置決めを行う第一治具と、上記組合体の底板部に対するコイルの軸方向の位置決めを行う第二治具とを上記台座に配置する。そして、上記第一治具と第二治具とでこの組合体を両端から挟むことによって、組合体の上記放熱層に対する位置決めを行う。
この製造方法によれば、第一治具、第二治具、及び台座といった位置決め治具を用いることにより、組合体の放熱層に対する位置決めを容易に精度よく行うことができ、この位置決めを行った状態で放熱層を構成する絶縁高熱伝導接着剤を硬化することで、組合体が放熱層上で位置が移動することを防止できる。即ち、組合体と放熱層との接触面積を正確に確保することができ、放熱性に優れるリアクトルを得ることができる。上記位置決めを行うことによって、組合体と他の構成部材との位置合わせ、例えば、電源などの外部装置と接続するための端子金具とコイルの端部との位置合わせも行い易い。本発明の製造方法によれば、底板部と側壁部とが固定材により取り付けられる独立した別部材であることから、側壁部を取り外した状態で組合体の位置決めを行うことができ、容易に精度よく位置決めを行うことができる。よって、リアクトルの製造性にも優れる。上記製造方法によって得られたリアクトルによれば、ケースを備えることで、コイル及び磁性コアの環境からの保護、及び機械的保護を図ることができる。
本発明の製造方法によって得られたリアクトルは、コイルにおいてリアクトルを固定対象に設置したときに設置側となる面(以下、コイル設置面と呼ぶ)が放熱層に接触されることから、コイルの熱を効率よく放熱層に伝えられ、当該放熱層を介して、冷却ベースといった固定対象に放出でき、放熱性に優れる。特に、放熱層は、絶縁高熱伝導接着剤により構成されることから、底板部が導電性材料から構成された場合でも、コイルを放熱層に接触させることでコイルと底板部との間を確実に絶縁できる。従って、放熱層を薄くすることができ、この点からも、コイルの熱を固定対象に放出し易く、上記リアクトルは、放熱性に優れる。特に、底板部と、側壁部とが別部材であることから、両者をそれぞれ異なる材質のものとすることができ、例えば、底板部を側壁部よりも熱伝導率が高い材料からなるものとすると、更に放熱性に優れるリアクトルとすることができる。
また、上述のように放熱層の厚さを薄くすることで、コイル設置面とケースの内側となる底板部の内面との間隔を小さくすることができ、リアクトルの小型化を図ることができる。更に、上記リアクトルによれば、底板部と、側壁部とが別部材であることから、両者の構成材料を容易に変更できる。例えば、側壁部を電気絶縁性に優れる材質のものとすることで、コイルの外周面と側壁部の内周面との間隔をも小さくできるため、より小型なリアクトルにできる。
加えて、上記リアクトルによれば、放熱層を備えることで、上述のように少なくともコイル設置面から放熱層を介して効率よく放熱できることから、例えば、ケース内に封止樹脂を充填する形態とする場合、熱伝導性に劣る樹脂を利用しても、放熱層により放熱性を高められる。従って、上記リアクトルによれば、利用可能な封止樹脂の選択の自由度を高められる。例えば、フィラーを含有していない樹脂を利用することができる。或いは、封止樹脂を有していない形態としても、放熱層により、十分な放熱性を確保することができる。
本発明の一形態として、上記底板部には、固定対象に固定するための締付部材が挿通される固定孔があり、この固定孔を上記第一治具及び第二治具の少なくとも一方の配置のために用いる形態が挙げられる。
本発明の一形態として、上記底板部には、この底板部と上記側壁部とを嵌め合わせることによって両者の位置決めを行う嵌合部があり、この嵌合部を上記第一治具及び第二治具の少なくとも一方の配置のために用いる形態が挙げられる。
組合体の放熱層に対する位置決めを行う第一治具及び第二治具の配置を、リアクトルの構成部材を用いて行うことによって、上記位置決めを更に精度よく行うことができる。リアクトルの構成部材としては、底板部を用いることができる。第一治具及び第二治具の台座への配置は、直接的に台座へ配置してもよいし、台座に固定されるリアクトルの構成部材(底板部)を介して間接的に台座へ配置してもよい。前者の場合、底板部には放熱層が形成されており、その底板部は台座の所定位置に固定されているので、この台座に対して第一治具及び第二治具を配置することによって、放熱層に対する組合体の位置決めを精度よく行うことができる。後者の場合、底板部は台座の所定位置に固定されており、この底板部に対して第一治具及び第二治具を配置することによって、上記位置決めを更に精度よく行うことができる。また、底板部に設けられた上記固定孔や嵌合部を用いることで、第一治具及び第二治具を台座の所定位置に配置するための配置機構を別途設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。この固定孔や嵌合部の利用は、第一治具及び第二治具の一方だけに行ってもよいし、双方に対して行ってもよい。
本発明の一形態として、上記硬化工程において、上記組合体の上方に錘を載置した状態で硬化する形態が挙げられる。
放熱層は、絶縁高熱伝導接着剤を硬化する前には柔軟性があるため、組合体が放熱層上において部分的に接触できない箇所が形成され、放熱性が悪化する虞がある。例えば、組合体において、コイルの設置面全体は放熱層に接触しているが、外側コア部の設置面が非接触状態となっている場合がある。組合体の上方に錘を載置することによって、組合体を放熱層上に圧接させることができ、放熱性の悪化を防止することができる。この錘によって、組合体全体を押してもよいし、コイルのみを押してもよいし、外側コア部のみを押してもよい。組合体と放熱層の非接触状態は、特に、組合体の端部となる外側コア部に起きやすい。よって、外側コア部を錘で押すことによって、組合体の端部を押すことになり、組合体全体を放熱層と接触状態にすることができる。
本発明の一形態として、上記磁性コアは、内側コア部と外側コア部とが接着剤により接合されておらず、上記載置工程において、上記第一治具と第二治具とで上記内側コア部と外側コア部とを所定の接触状態として放熱層に対する位置決めを行い、上記硬化工程において、上記放熱層により、この内側コア部と外側コア部とを上記接触状態のまま底板部に固定する形態が挙げられる。
内側コア部と外側コア部とを接着剤により結合する場合、接着工程が多く時間が掛かってしまう。この場合、まず内側コア部と外側コア部とを接着剤で結合し、両者が結合した状態の組合体を放熱層上に結合する必要がある。一方、内側コア部と外側コア部とが接着剤により接合されていない場合、本発明の製造方法によれば、第一治具と第二治具とで内側コア部と外側コア部とを所定の接触状態とすることができ、この状態の組合体を放熱層上に載置して接着剤を硬化するので、内側コア部と外側コア部との間を別途接着することなく、両者を接触状態のまま底板部に固定することができる。よって、接着工程の簡略化を図ることができ、接着剤の使用量の削減も図れる。
本発明のリアクトルの製造方法は、ケースを分割構造とすると共に、ケースの底板部において組合体と接する箇所に放熱性に優れる放熱層を備えることで、小型であり、放熱性に優れるリアクトルを得ることができる。特に、この製造方法は、組合体の放熱層に対する位置決めを精度よく行うことができ、組合体と放熱層との接触面積を正確に確保することができ、放熱性に優れるリアクトルを得ることができる。
図1は、実施形態1のリアクトルを示す概略斜視図である。 図2は、実施形態1のリアクトルに備えるコイルと磁性コアとの組合体の概略を示す分解斜視図である。 図3は、実施形態1のリアクトルの概略を示す分解斜視図である。 図4は、実施形態1のリアクトルに備えるコイルと磁性コアとの組合体を放熱層に固定する工程を説明する説明図である。 図5は、実施形態2のリアクトルに備えるコイルと磁性コアとの組合体を放熱層に固定する別の工程を説明する説明図である。
以下、本発明についての実施形態を図面に基づいて説明する。図面において同一符号は同一部材を示す。なお、以下の説明では、リアクトルを設置したときに設置側を下側、その対向側を上側として説明する。
{実施形態1}
図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態1を説明する。
≪概要≫
本発明のリアクトル1の製造方法は、コイル2と、このコイル2が配置される内側コア部31及びコイル2が配置されない外側コア部32を有する磁性コア3との組合体10を作製し、底板部40とこの底板部40に立設されて組合体10の周囲を囲む側壁部41とを備えるケース4に上記組合体10を収納してリアクトル1を製造する方法に係る。以下、まずリアクトル1の各構成部材を説明し、次にこのリアクトル1の製造方法について詳細に説明する。
≪リアクトルの全体構成≫
リアクトル1は、組合体10と、この組合体10を収納するケース4とを備える。ケース4は、一面が開口した箱体であり、代表的には封止樹脂(図示せず)が充填され、組合体10は、コイル2を形成する巻線2wの端部を除いて封止樹脂に埋設される。リアクトル1の特徴とするところは、ケース4が分割可能な構成となっていることにある。
≪組合体≫
[コイル]
コイル2は、図2,図3を適宜参照して説明する。コイル2は、接合部の無い1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子2a,2bと、両コイル素子2a,2bを連結するコイル連結部2rとを備える。各コイル素子2a,2bは、互いに同一の巻数で、軸方向から見た形状(端面形状)がほぼ矩形状である。これら両コイル素子2a,2bは、各軸方向が平行するように横並びに並列されており、コイル2の他端側(図3では紙面奥側)において巻線2wの一部がU字状に屈曲されてコイル連結部2rが形成されている。この構成により、両コイル素子2a,2bの巻回方向は同一となっている。
巻線2wは、銅やアルミニウムといった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を利用している。絶縁被覆の厚さは、20μm以上100μm以下が好ましく、薄いほど占積率を高められ、厚いほどピンホールを低減できて電気絶縁性を高められる。両コイル素子2a,2bは、上記被覆平角線をエッジワイズ巻きにして、中空の角筒状に形成されている。巻線2wは、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、楕円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。平角線は、断面が円形状の丸線を用いた場合よりも占積率が高いコイルを形成し易い。なお、各コイル素子を別々の巻線により作製し、各コイル素子を形成する巻線の端部を溶接などにより接合して一体のコイルとした形態とすることもできる。
コイル2を形成する巻線2wの両端部は、コイル2の一端側(図3において紙面手前側)においてターン形成部分から適宜引き延ばされてケース4の外部に引き出される(図1)。引き出された巻線2wの両端部は、絶縁被覆が剥がされて露出された導体部分に、導電材料からなる端子金具8が接続される。この端子金具8を介して、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。端子金具8の詳細は後述する。
[磁性コア]
磁性コア3の説明は、図2を適宜参照して行う。磁性コア3は、各コイル素子2a,2bがそれぞれ配置される一対の内側コア部31と、コイル2が配置されず、コイル2から露出されている一対の外側コア部32とを有する。ここでは、各内側コア部31はそれぞれ直方体状であり、各外側コア部32はそれぞれ、一対の台形状面を有する角柱状体である。磁性コア3は、離間して配置される内側コア部31を挟むように外側コア部32が配置され、各内側コア部31の端面31eと外側コア部32の内端面32eとを接触させて環状に形成される。これら内側コア部31及び外側コア部32により、コイル2を励磁したとき、閉磁路を形成する。
内側コア部31は、磁性材料からなるコア片31mと、代表的には非磁性材料からなるギャップ材31gとを交互に積層して構成された積層体であり、外側コア部32は、磁性材料からなるコア片である。各コア片は、磁性粉末を用いた成形体や、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、電磁鋼板)を複数積層した積層体が利用できる。
上記成形体は、例えば、Fe,Co,Niといった鉄族金属、Fe-Si,Fe-Ni,Fe-Al,Fe-Co,Fe-Cr,Fe-Si-AlなどのFe基合金、希土類金属やアモルファス磁性体といった軟磁性材料からなる粉末を用いた圧粉成形体、上記粉末をプレス成形後に焼結した焼結体、上記粉末と樹脂との混合体を射出成形や注型成型などした成形硬化体が挙げられる。その他、コア片は、金属酸化物の焼結体であるフェライトコアなどが挙げられる。成形体は、種々の立体形状の磁性コアを容易に形成することができる。
圧粉成形体は、上記軟磁性材料からなる粉末の表面に絶縁被膜を備えるものを好適に利用することができ、この場合、当該粉末を成形後、上記絶縁被膜の耐熱温度以下で焼成することにより得られる。絶縁被膜は、代表的には、シリコーン樹脂やリン酸塩からなるものが挙げられる。
内側コア部31の材質と外側コア部32の材質とを異ならせた形態とすることができる。例えば、内側コア部31を上記圧粉成形体や上記積層体とし、外側コア部32を上記成形硬化体とすると、内側コア部31の飽和磁束密度を外側コア部32よりも高め易い。ここでは、各コア片は、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性粉末の圧粉成形体としている。
ギャップ材31gは、インダクタンスの調整のためにコア片31m間に設けられる隙間に配置される板状材であり、アルミナやガラスエポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなど、上記コア片よりも透磁率が低い材料、代表的には非磁性材料により構成される(エアギャップの場合もある)。
コア片やギャップ材の個数は、リアクトル1が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。また、コア片やギャップ材の形状は適宜選択することができる。
その他、内側コア部31の外周に、絶縁性材料からなる被覆層を設けた構成とすると、コイル2と内側コア部31との間の絶縁性を高められる。上記被覆層は、例えば、熱収縮チューブや常温収縮チューブ、絶縁性テープや絶縁紙などを配置することで設けられる。上記収縮チューブを内側コア部31の外周に配置したり、絶縁性テープなどを貼り付けることで、絶縁性を高めることに加えて、コア片とギャップ材とを一体化することもできる。
磁性コア3では、内側コア部31の設置側の面と外側コア部32の設置側の面とは、面一になっていない。具体的には、リアクトル1を冷却ベースなどの固定対象に設置したとき、外側コア部32において設置側となる面(以下、コア設置面と呼ぶ。図2において下面)が内側コア部31において設置側となる面よりも突出している。また、外側コア部32のコア設置面は、コイル2において設置側となる面(以下、コイル設置面と呼ぶ。図2において下面)と面一となるように、外側コア部32の高さ(リアクトル1を固定対象に設置した状態において、当該固定対象の表面に対して垂直な方向(ここでは、コイル2の軸方向に直交する方向であり、図2において上下方向)の長さ)を調整している。従って、磁性コア3は、リアクトル1を設置した状態において、側面から透視すると、H字状である。また、コア設置面及びコイル設置面が面一であることから、コイル2のコイル設置面だけでなく、磁性コア3のコア設置面も、後述する放熱層42(図3)に接触することができる。更に、磁性コア3を環状に組み立てた状態において、外側コア部32の側面(図2において紙面手前及び奥の面)は、内側コア部31の側面よりも外方に突出している。従って、磁性コア3は、リアクトルを設置した状態において(図2では下方を設置側とした状態において)、上面又は下面から透視すると、II字状である。このような三次元形状の磁性コア3は、圧粉成形体とすることで形成が容易である上に、外側コア部32において内側コア部31よりも突出した箇所をも磁束の通路に利用できる。
[インシュレータ]
組合体10は、コイル2と磁性コア3との間にインシュレータ5を備えて、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高めている。インシュレータ5は、内側コア部31の外周に配置される周壁部51と、コイル2の端面(コイル素子のターンが環状に見える面)に当接される一対の枠状部52とを備えた構成が挙げられる。
周壁部51は、ここでは、一対の断面]状体により構成され、各周壁部51は互いに接触せず、内側コア部31の外周面の一部のみに配置される構成としている。周壁部51は、内側コア部31の外周面の全周に沿って配置される筒状体とすることもできるが、コイル2と内側コア部31との間の絶縁距離を確保することができれば、図2に示すように、内側コア部31の一部が周壁部51により覆われない形態としてもよい。また、ここでは、周壁部51は、表裏に貫通する窓部を備えるものを利用している。
内側コア部31の一部が周壁部51から露出されることで、周壁部51の材料を低減することができる。また、封止樹脂を備える形態とする場合、上記窓部を有する周壁部51としたり、内側コア部31の全周が周壁部51により覆われない構成とすることで、内側コア部31と封止樹脂との接触面積を大きくすることができる上に、封止樹脂を流し込むときに気泡が抜け易く、リアクトル1の製造性に優れる。
枠状部52は、平板状で、各内側コア部31がそれぞれ挿通される一対の開口部を有しており、内側コア部31を導入し易いように、内側コア部31の側に突出する短い筒状部を備える。また、一方の枠状部52には、コイル連結部2rが載置され、コイル連結部2rと外側コア部32との間を絶縁するためのフランジ部52fを備える。
インシュレータの構成材料には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの絶縁性材料が利用できる。
[組合体の形成方法]
上記組合体10の形成方法は、図2に示すように、コア片31mやギャップ材31gを積層して内側コア部31を形成し、この外周にインシュレータ5の周壁部51を配置させた状態で、各コイル素子2a,2bに挿入する。両コイル素子2a,2bの端面及び内側コア部31の端面31eをインシュレータ5の枠状部52及び外側コア部32で挟むように、コイル2に枠状部52及び外側コア部32を配置して、組合体10を形成する。内側コア部31の端面31eは、枠状部52の開口部から露出されて外側コア部32の内端面32eに接触する。
上記コア片31mやギャップ材31gは接着剤やテープなどにより接合して一体化してもよいが、ここでは、接着剤を利用しない形態としている。また、一対の周壁部51は、互いに係合する構成ではないが、内側コア部31と共にコイル素子2a,2b内に挿入され、更に外側コア部32が配置されることで、コイル素子2a,2bの内周面と内側コア部31との間に配置された状態が維持され、脱落することが無い。
≪ケース≫
ケース4の説明は、図3を適宜参照して行う。上記コイル2と磁性コア3との組合体10が収納されるケース4は、平板状の底板部40と、この底板部40に立設する枠状の側壁部41とを備え、底板部40と側壁部41とが一体に形成されておらず、固定材により固定される。そして、底板部40に放熱層42を備える。
[底板部と側壁部]
(底板部)
底板部40は、ほぼ矩形の板であり、リアクトル1が固定対象に設置されるときに固定対象に固定される。図3に示す例では、底板部40が下方となる設置状態を示すが、底板部40が上方、或いは側方となる設置状態も有り得る。この底板部40は、ケース4を組み立てたとき、内側に配置される一面に放熱層42が形成されている。底板部40の外形は適宜選択することができる。ここでは、底板部40は、四隅のそれぞれから突出した取付部400を有しており、その外形は後述する側壁部41の外形に沿った形状としており、底板部40と側壁部41とを組み合せてケース4を形成した場合、この取付部400は、側壁部41の取付部411と重なる。その他、側壁部41に取付部411を設けず、底板部40の取付部400が側壁部41の外形から突出するような外形としてもよい。各取付部400にはそれぞれ、冷却ベースといった固定対象にケース4を固定するボルト等の締付部材(図示せず)が挿通される固定孔400hが設けられている。固定孔400hは、後述する側壁部41の固定孔411hに連続するように設けられている。固定孔400h,411hは、ネジ加工が成されていない貫通孔、ネジ加工がされたネジ孔のいずれも利用でき、個数なども適宜選択することができる。
(側壁部)
側壁部41は、両端が開口した矩形枠状体であり、下部開口側を底板部40により塞いでケース4を組み立てたとき、上記組合体10の周囲を囲むように配置され、上部開口側は部材で塞がれることなく開放される。ここでは、側壁部41は、リアクトル1を固定対象に設置したときに設置側となる領域が上記底板部40の外形に沿った矩形状であり、上部開口側の領域がコイル2と磁性コア3との組合体10の外周面に沿った曲面形状である。ケース4を組み立てた状態において、コイル2の外周面と側壁部41の内周面とは近接しており、コイル2の外周面と側壁部41の内周面との間隔は、0mm〜1.0mm程度と非常に狭い。また、ここでは、側壁部41の上部開口側の領域には、組合体10の外側コア部32の台形状面を覆うように配置される庇状部が設けられており、ケース4に収納された組合体10は、図1に示すようにコイル2が露出され、磁性コア3は実質的にケース4の構成材料に覆われる。上記庇状部を備えることで、耐振動性の向上、ケース4(側壁部41)の剛性の向上、その他、組合体10の外部環境からの保護や機械的保護を図ることができる。なお、上記庇状部を省略して、コイル2と共に、両外側コア部32の一方の台形状面がいずれも露出される形態としてもよい。
[端子台]
上記側壁部41の開口側の領域において、一方の外側コア部32の上方を覆う箇所は、端子金具8が固定される端子台410として機能する。
端子金具8は、コイル2を構成する巻線2wの端部に接続される溶接面81と、電源などの外部装置側と接続するための接続面82と、溶接面81と接続面82とを繋ぐ連結部とを備える長方形状の板材である。この板材は、図3に示すように、階段状に屈曲され、垂直な溶接面81の下端と水平な接続面82の一端とを、接続面82よりも上方で連結部により水平につなぐことで、溶接面81と接続面82とがそれぞれ接続相手と接続し易いように構成されている。巻線2wの導体部分と端子金具8との接続には、TIG溶接などの溶接の他、圧着などが利用できる。端子金具8の形状は、例示であり、適宜な形状のものが利用できる。
端子台410には、上記端子金具8の連結部が配置される凹溝410cが形成されている。凹溝410cに嵌め込まれた端子金具8は、その上方を端子固定部材9により覆われ、端子固定部材9をボルト91により締め付けることで、端子台410に固定される。端子固定部材9の構成材料には、後述するケースの構成材料に利用されるような絶縁性樹脂といった絶縁性材料を好適に利用することができる。なお、端子台を別部材とし、例えば、側壁部に別途端子台を固定する形態とすることができる。また、側壁部を後述するような絶縁性材料で形成する場合、端子金具をインサート成形することにより、側壁部、端子金具、端子台部分を一体とした形態とすることもできる。
[取り付け箇所]
側壁部41の設置側の領域は、底板部40と同様に、四隅のそれぞれから突出する取付部411を備え、各取付部411には、固定孔411hが設けられている。固定孔411hは、側壁部41の構成材料のみにより形成してもよいし、別材料からなる筒体を配置させて形成してもよい。例えば、側壁部41を樹脂により構成する場合、上記筒体は、例えば、真鍮、鋼、ステンレス鋼などの金属からなる金属管を利用すると、強度に優れることから、樹脂のクリープ変形を抑制することができる。ここでは、金属管を配置して固定411hを形成している。
(材質)
ケース4の構成材料は、例えば、金属材料とすると、金属材料は一般に熱伝導率が高いことから、放熱性に優れたケースとすることができる。具体的な金属は、例えば、アルミニウムやその合金、マグネシウム(熱伝導率:156W/m・K)やその合金、銅(390W/m・K)やその合金、銀(427W/m・K)やその合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304:16.7W/m・K)が挙げられる。上記アルミニウムやマグネシウム、及びその合金を利用すると、軽量なケースとすることができ、リアクトルの軽量化に寄与することができる。特に、アルミニウムやその合金は、耐食性にも優れるため、車載部品に好適に利用することができる。金属材料によりケース4を形成する場合、ダイキャストといった鋳造の他、プレス加工などの塑性加工により形成することができる。
或いは、ケース4の構成材料は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂などの樹脂といった非金属材料とすると、これらの非金属材料は一般に電気絶縁性に優れるものが多いことから、コイル2とケース4との間の絶縁性を高められる。また、これらの非金属材料は上述した金属材料よりも軽く、リアクトル1を軽量にできる。上記樹脂に後述するセラミックスからなるフィラーを混合した形態とすると、放熱性を向上することができる。樹脂によりケース4を形成する場合、射出成形を好適に利用することができる。
底板部40及び側壁部41の構成材料は同種の材料とすることができる。この場合、両者の熱伝導率は等しくなる。或いは、底板部40及び側壁部41が別部材であることから、両者の構成材料を異ならせることができる。この場合、特に、底板部40の熱伝導率が側壁部41の熱伝導率よりも大きくなるように、両者の構成材料を選択すると、底板部40に配置されるコイル2及び磁性コア3の熱を冷却ベースといった固定対象に効率よく放出できる。ここでは、底板部40をアルミニウムにより構成し、側壁部41をPBT樹脂により構成している。
(連結方法)
底板部40と側壁部41とを一体に接続する手法は、種々の固定材を利用することができる。固定材は、例えば、接着剤やボルトといった接合部材が挙げられる。このとき、底板部40と側壁部41との相互の位置決めを行うために、両者を嵌め合わせる嵌合部を底板部40と側壁部41の各部の一部に形成するとよい。例えば、底板部40と側壁部41のどちらか一方にピンを設け、他方にピン孔を設ける形態が挙げられる。ここでは、底板部40及び側壁部41にボルト孔(図示せず)を設け、固定材にボルト(図示せず)を利用し、このボルトをねじ込むことで、両者を一体化している。
[放熱層]
底板部40において、コイル2のコイル設置面及び外側コア部32のコア設置面が接触する箇所に放熱層42を備える。この放熱層42は、コイル設置面やコア設置面が接する表面側が絶縁性材料から構成され、底板部40に接する側が熱伝導性に優れる材料から構成される多層構造であることが好ましい。放熱層42は、熱伝導率が2W/m・K超の絶縁性材料により構成されている。放熱層42は、熱伝導率が高いほど好ましく、3W/m・K以上、特に10W/m・K以上、更に20W/m・K以上、とりわけ30W/m・K以上の材料により構成されることが好ましい。
熱伝導性に優れる材料は、例えば、金属元素,B,及びSiの酸化物、炭化物、及び窒化物から選択される一種の材料といったセラミックスなどの非金属無機材料が挙げられる。より具体的なセラミックスは、窒化珪素(Si3N4):20W/m・K〜150W/m・K程度、アルミナ(Al2O3):20W/m・K〜30W/m・K程度、窒化アルミニウム(AlN):200W/m・K〜250W/m・K程度、窒化ほう素(BN):50W/m・K〜65W/m・K程度、炭化珪素(SiC):50W/m・K〜130W/m・K程度などが挙げられる。これらのセラミックスは、放熱性に優れる上に、電気絶縁性にも優れる。上記セラミックスにより形成する場合、例えば、PVD法やCVD法といった蒸着法を利用することができる。或いは、上記セラミックスの焼結板などを用意して、適宜な接着剤により形成することができる。
或いは、上記材料として、上記セラミックスからなるフィラーを含有する絶縁性樹脂が挙げられる。絶縁性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。絶縁性樹脂に上記放熱性及び電気絶縁性に優れるフィラーを含有することで、放熱性及び電気絶縁性に優れる放熱層42を構成することができる。また、フィラーを含有する樹脂を利用した場合でも、底板部40に当該樹脂を塗布などすることで、放熱層42を容易に形成できる。上記絶縁性樹脂により放熱層42を形成する場合、例えば、スクリーン印刷を利用すると容易に形成することができる。
放熱層42を絶縁高熱伝導接着剤により構成すると、コイル2と放熱層42との密着性を高められる。ここでは、放熱層42は、アルミナからなるフィラーを含有するエポキシ系接着剤により形成されている(熱伝導率:3W/m・K)。この放熱層42の硬化前の粘度は、(200〜400Pa・s)である。また、ここでは、放熱層42は、上記接着剤層の二層構造で形成され、一層の厚さを0.2mm、合計0.4mmとしている。放熱層42は、コイル設置面及びコア設置面が放熱層42に十分に接触できる面積を有していれば特に形状は問わない。ここでは、放熱層42は、図3に示すようにコイル2のコイル設置面及び外側コア部32のコア設置面がつくる形状に沿った形状としている。
[封止樹脂]
ケース4内に絶縁性樹脂からなる封止樹脂(図示せず)を充填した形態とすることができる。この場合、巻線2wの端部は、ケース4の上部開口側から外部に引き出して、封止樹脂から露出させる。封止樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。また、封止樹脂として、絶縁性及び熱伝導性に優れるフィラー、例えば、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、ムライト、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを含有すると、放熱性を更に高められる。
ケース4内に封止樹脂を充填する場合、未硬化の樹脂が底板部40と側壁部41との隙間から漏れることを防止するために、パッキン6を配置することが挙げられる。ここでは、パッキン6は、コイル2と磁性コア3との組合体10の外周に嵌合可能な大きさを有する環状体であり、合成ゴムから構成されるものを利用しているが、適宜な材質のものが利用できる。ケース4の側壁部41の設置面側には、パッキン6を配置するパッキン溝(図示せず)を有する。
≪製造方法≫
上記構成を備えるリアクトル1は、代表的には、底板部の準備⇒底板部に形成された放熱層上への組合体の固定⇒ケースの組立という工程により製造することができる。
[準備工程]
絶縁高熱伝導接着剤からなる放熱層42が形成され、側壁部41とは独立した底板部40を準備する。この底板部40は、図3に示すようにアルミニウム板を所定の形状に打ち抜き、一面に所定の形状の放熱層42をスクリーン印刷ないしは塗布することにより形成する。底板部40に形成される放熱層42は、後述する組合体10の固定工程の直前に形成してもよいし、予め形成しておいた底板部40を利用してもよい。後者の場合、組合体10を配置するまでの間に放熱層42に異物などが付着しないように離型紙を配置しておくとよい。
<放熱層上への組合体の固定>
準備工程で準備した底板部40に形成された放熱層42の上に、組合体10を所定の位置に固定する。このとき、図4に示すように、位置決め治具100を用いて、底板部の固定⇒組合体の載置⇒放熱層の硬化という工程により、組合体10の放熱層42に対する位置決めを行い固定する。
[固定工程]
底板部40を位置決め用の台座101の所定位置に固定する。組合体10を放熱層42の上に載置するにあたり、放熱層42が形成された底板部40を固定しておくことによって、組合体10の放熱層42に対する位置決めを行い易い。
底板部40と台座101には、両者40,101を固定するための固定部(図示せず)が形成されており、この固定部により位置決めを行う。固定部は、例えば、ピンといった接合部材が挙げられる。台座101に複数のピンを形成し、このピンに適合するピン孔を底板部40に形成することで、両者40,101を固定する。固定部として、底板部40を固定対象に固定するための締付部材が挿通される固定孔400h(図3)や、底板部40と側壁部41との位置決めを行うための嵌合部(嵌合孔、図示せず)を用いて、これらの孔に適合するピンを台座101に形成してもよい。
(台座)
台座101は、ほぼ矩形の板であり、底板部40が設置される面に底板部40を固定するための固定部が形成される。この固定部は、底板部40を台座101に固定できればよく、例えば、ピンが形成されている形態や、ネジが嵌るネジ孔が形成されている形態が挙げられる。両形態とも、底板部40はピンやネジに適合する孔を有する。
更に、台座101には、後述する第一治具110や第二治具120とを配置する配置部が形成されている。配置部は、例えば、ピンやボルトといった接合部材や、各治具110、120の下端と嵌合する凹部が挙げられる。ここでは、第一治具110を配置するために台座101にピン(図示せず)を形成し、第二治具120を配置するためにガイド溝102を形成している。このピンを第一治具110に形成したピン孔に嵌め込むことによって、台座101に対して第一治具110を配置することができる。ガイド溝102を形成することによって、組合体10のコイル2の軸方向に沿った長さに応じて第二治具120をスライドさせることができ、組合体10の上記長さに応じて精度よく位置決めを行うことができる。台座101への第二治具120の固定は、ボルト125を用いて行う。台座101は、底板部40と第一治具110や第二治具120とが十分に固定できる面積を有していれば特に形状や材質は問わない。また、組合体10の放熱層42に対する位置決めができるのであれば特に上記配置部の形態は問わない。
[載置工程]
放熱層42の上に組合体10を載置する。まず、組合体10の底板部40に対するコイル2の軸方向と直交する方向の位置決めを行う第一治具110を台座101に配置する。次に、この第一治具110に対して、組合体10を放熱層42の上に載置する。そして、組合体10を挟んで第一治具110と反対側に、組合体10の底板部40に対するコイル2の軸方向の位置決めを行う第二治具120を台座101に配置する。上記第一治具110と第二治具120とで組合体10を両端から挟むことによって、組合体10の放熱層42に対する位置決めを後述する硬化工程の前に行う。つまり、放熱層42を構成する絶縁高熱伝導接着剤が硬化する前に上記位置決めを行う。ここでは、第一治具110と第二治具120は、外側コア部32で位置決めを行っている。具体的には、台座101に配置した第一治具110に対して、組合体10の外側コア部32の一方を当て止めする。第一治具110に対して組合体10を位置決めした状態で、第二治具120を台座101のガイド溝102に沿ってスライドさせ、組合体10の外側コア部32の他方に当て止めした箇所において、ボルト125で第二治具120を台座101に配置する。第一治具110と第二治具120とで外側コア部32を両端から挟むことで、組合体10を放熱層42上の所定の位置に位置決めを行っている。第一治具110と第二治具120との配置順序は問わない。例えば、組合体10に対して第一治具110と第二治具120とを当て止めした状態で、三者(10,110,120)を同時に台座101上に配置してもよい。
第一治具110と第二治具120とは、コイル2の軸方向と直交する方向に配置してもよいし、コイル2の軸方向に配置してもよい。コイル2の軸方向に配置する場合は、上記治具110,120はコイル2に接して配置してもよいし、コイル2には接することなく、外側コア部32に接するような形状として配置してもよい。上記治具110,120をコイル2に非接触状態とすることによって、コイル2を形成する巻線の外周に備わる絶縁被覆を損傷することを防止できる。
底板部40には放熱層42が形成されており、その底板部40は台座101の所定位置に固定されているので、この台座101に対して第一治具110及び第二治具120を配置することによって、放熱層42に対する組合体10の位置決めを精度よく行うことができる。第一治具110と第二治具120の台座101への配置は、底板部40を固定対象に固定するための締付部材が挿通される固定孔400h(図3)や、底板部40と側壁部41との位置決めを行うための嵌合部(図示せず)を用いて行うこともできる。この場合、上記固定孔や嵌合部に適した配置部を各治具110,120に形成すればよい。両治具110,120を底板部40を介して間接的に台座101へ配置することで、更に上記位置決めを精度よく行うことができる。
(第一治具)
第一治具110は、組合体10の底板部40に対するコイル2の軸方向と直交する方向の位置決めを行う部材である。第一治具110は、第一基部111とこの第一基部111の両端部に第一脚片112とを備える。第一基部111は、矩形状の切欠が形成されることで]状の外形であり、この凹み部分の外縁面に組合体10の位置決めを行う第一位置決め面113を有する。一対の第一脚片112同士は、底板部40を挟む間隔で、第一基部111に対して直角に形成されている。上記台座110の配置部に対する相手部(ここでは、ピン孔)はこの第一脚片112に形成されている。第一脚片112を台座110上に立設すると、この第一脚片112の高さは、第一基部111の外側コア部32に当接する位置が外側コア部32の高さ方向のほぼ中央となる高さであることが好ましい。第一位置決め面113は、外側コア部32の外周を囲むような形状であり、この第一位置決め面113のうち、第一基部111の長手方向に対向する一対の内端面で外側コア部32を支持しており、この内端面間の長さが、外側コア部32のコイル2の軸方向と直交する方向の長さと実質的に対応する。さらに、位置決め面113のうち、第一基部111の長手方向に沿った長尺面は、外側コア部32のコイル2の軸方向の端面を支持する。少なくとも外側コア部32におけるコイル2の軸方向と直交する方向の両端を第一位置決め面113で支持することによって、組合体10の底板部40に対するコイル2の軸方向と直交する方向の位置決めを行うことができる。第一基部111と第一脚片112とは、一体に形成してもよいし、別部材で構成してもよい。
(第二治具)
第二治具120は、組合体10の底板部40に対するコイル2の軸方向の位置決めを行う部材である。第二治具120は、第一治具110とほぼ同じ構成であり、第二基部121とこの第二基部121の両端部に第二脚片122とを備える。第二基部121は、矩形状の切欠が形成されることで]状の外形であり、この凹み部分の外縁面に組合体10の位置決めを行う第二位置決め面123を有する。一対の第二脚片122同士は、底板部40を挟む間隔で、第二基部121に対して直角に形成されている。第二脚片122を台座110上に立設すると、この第二脚片122の高さは、第二基部121の外側コア部32に当接する位置が外側コア部32の高さ方向のほぼ中央となる高さであることが好ましい。第二脚片122は、第一治具110と対向する側面に開口して、この第二脚片122の長手方向全長に亘って形成されたU字溝124等のスライド用凹部を有する。このU字溝124にボルト125を嵌め込み、U字溝124の深さ方向に沿って第二治具120をスライドすることによって、組合体10の底板部40に対するコイル2の軸方向の位置決めの調整を行うことができる。このU字溝124と上記台座110に形成されたガイド溝102を用いて、第二治具120をスライドさせて、上記第二位置決め面123のうち、第二基部121の長手方向に沿った長尺面が外側コア部32のコイル2の軸方向の端部に当接した状態でボルト125を固定することで、第二治具120を台座101へ固定でき、組合体10の底板部40に対するコイル2の軸方向の位置決めを行うことができる。第二治具120のスライドは、台座101に形成されたガイド溝102のみを用いて行ってもよい。この場合、第二治具120を台座101の所定位置に固定するために、上記ボルト125以外に別途ボルト等の両者の接合部材が必要となる。第二基部121と第二脚片122とは、一体に形成してもよいし、別部材で構成してもよい。第二治具120は、組合体10の底板部40に対するコイル2の軸方向の位置決めを行う部材なので、切欠のない矩形の第二基部121の側面を外側コア部32のコイル2の軸方向の端部に当接させて、組合体10の底板部40に対するコイル2の軸方向の位置決めを行ってもよい。第二基部121の側面側の長さは、外側コア部32のコイル2の軸方向と直交する方向の長さに対応させてもよいが、第二治具120は組合体10のコイル2の軸方向の位置合わせができればよいため、この直交方向の長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。
上記第一治具110と第二治具120とで外側コア部32を両端から挟むことで、組合体10を放熱層42上の所定の位置に位置決めを行っている。具体的には、第一治具110に形成された第一位置決め面113でコイル2の軸方向と直交する方向の位置決めを行っており、第二治具120を形成する第二基部121の側面でコイル2の軸方向の位置決めを行っている。
[硬化工程]
上記載置工程において、放熱層42上の所定の位置に組合体10を位置決めできたら、その状態で、放熱層42を構成する絶縁高熱伝導接着剤を硬化する。
磁性コア3において、内側コア部31と外側コア部32とが接着剤により接合されていない場合でも、上記載置工程で、第一治具110と第二治具120とで両者31,32を所定の接触状態として放熱層42に対して位置決めできているので、この硬化工程で、放熱層42により、両者31,32をこの接触状態のまま底板部40に固定することができる。
[ケースの組立]
放熱層42上の所定の位置に組合体10を固定したら、位置決め治具100を撤去する。そして、射出成形などにより所定の形状に構成した側壁部41を、上記組合体10の周囲を囲むように組合体10の上方から被せ、固定材(ここでは、別途用意したボルト(図示せず))により、底板部40と側壁部41とを一体化する。このとき、組合体10は、端子台410及び上述した庇状部により各外側コア部32の一方の台形状面が覆われて当たり止めとなることで、側壁部41を組合体10に対して位置決めしたり、底板部40が上方や側方となるようにリアクトル1を設置する場合に組合体10が側壁部41から脱落することを防止できる。端子台410や庇状部の内側に、外側コア部32の脱落を防止する位置固定部などを別途設けておいてもよい。この工程により、図1に示すように箱状のケース4が組み立てられると共に、ケース4内に組合体10が収納された状態とすることができる。
ケース4から突出する巻線2wの端部に端子金具8の溶接面81を溶接して、側壁部41の端子台410(図3)の凹溝410c(図3)に端子金具8を嵌め込む。そして、端子固定部材9で端子金具8の連結部を覆い、ボルト91により、端子固定部材9を側壁部41に固定することで、端子金具8を端子台410に固定する。この工程により、封止樹脂を設けないリアクトル1が形成される。本発明の製造方法によれば、放熱層42上に組合体10を正確に位置決めできているので、巻線2wと端子金具8との位置合わせを容易にできる。
一方、ケース4内に封止樹脂(図示せず)を充填して硬化させることで、封止樹脂を備えるリアクトル1が形成される。なお、端子金具8をボルト91により端子台410に固定しておき、封止樹脂を充填後、巻線2wの端部と端子金具8の溶接面81とを溶接してもよい。
≪用途≫
上記構成を備えるリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
≪効果≫
上記製造方法によれば、第一治具、第二治具、及び台座といった位置決め治具を用いることにより、組合体の放熱層に対する位置決めを容易に精度よく行うことができ、この位置決めを行った状態で放熱層を構成する絶縁高熱伝導接着剤を硬化することで、組合体が放熱層上で位置が移動することを防止できる。即ち、組合体と放熱層との接触面積を正確に確保することができ、放熱性に優れるリアクトルを得ることができる。上記位置決めを行うことによって、組合体と他の構成部材との位置合わせ、例えば、電源などの外部装置と接続するための端子金具とコイルの端部との位置合わせも行い易い。また、位置決め治具を用いることで、組合体の放熱層に対する位置決めを精度よくできるので、利用可能な絶縁高熱伝導接着剤の選択の自由度を高められる。本発明の製造方法によれば、底板部と側壁部とが固定材により取り付けられる独立した別部材であることから、側壁部を取り外した状態で組合体の位置決めを行うことができ、容易に精度よく位置決めを行うことができる。よって、リアクトルの製造性にも優れる。
{実施形態2}
次に、図5を参照して、実施形態2のリアクトルの製造方法を説明する。実施形態2のリアクトルの製造方法は、放熱層42上への組合体10の固定方法が実施形態1と異なる。以下、この相違点を中心に説明し、その他の構成は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
放熱層42上への組合体10の固定方法において、放熱層42上の所定の位置に組合体10を位置決めした状態で、放熱層42を構成する絶縁高熱伝導接着剤を硬化する際、組合体10の上方に錘200を載置する。硬化前の絶縁高熱伝導接着剤は柔軟性があるため、組合体10が放熱層42上において部分的に非接触状態となる虞がある。よって、組合体10の上方に錘200を載置することによって、組合体10を放熱層42上に圧接させることができる。
(錘)
錘200は、組合体10を上方から押さえることによって、組合体10を放熱層42上に圧接させる部材である。錘200は、矩形板の本体部201と、この本体部201の両端部に設けられる長尺ブロック状の圧接片202とを備える。本体部201と圧接片202とは、一体に形成してもよいし、別部材で構成してもよい。錘200の形状は、組合体10を放熱層42上に圧接することができれば特に問わない。この錘200自体で組合体10を押してもよいし、この錘200の上方に更に錘となる別部材を載置して押してもよい。前者の場合、錘200は鉄等の比較的重量のある材料で構成することが好ましい。
錘200は、外側コア部32を重点的に押すことが好ましい。ここでは、圧接片202で外側コア部32を押しており、本体部201はコイル2に非接触である。組合体10と放熱層42の非接触状態は、特に、組合体10の端部となる外側コア部32に起きやすいので、外側コア部32を錘200で押すことによって、組合体10全体を放熱層42と接触状態にすることができる。錘の形状を適宜選択することで、組合体10全体を押してもよいし、コイル2のみを押してもよい。錘200をコイル2と非接触状態とすることによって、コイル2を形成する巻線の外周に備わる絶縁被覆を損傷することを防止できる。
組合体10の上方に錘200を載置する場合、放熱層42の上に組合体10を載置する載置工程において、第一治具110及び第二治具120と組合体10との間には、組合体10が放熱層42上で位置が移動しない程度に隙間を設けておくことが好ましい。そうすることで、錘200を載置した際に、放熱層42の上に組合体10が水平状態を保って圧接することができる。また、上記圧接後に、第一治具110と第二治具120とを調整して上記隙間を埋めることで、更に位置決めを行ってもよい。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。
本発明のリアクトルの製造方法は、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータといった電力変換装置の構成部品利用されるリアクトルの製造方法に好適に利用することができる。
1 リアクトル 10 組合体
2 コイル 2a,2b コイル素子 2r コイル連結部 2w 巻線
3 磁性コア 31 内側コア部 31e 端面 31m コア片 31g ギャップ材
32 外側コア部 32e 内端面
4 ケース 40 底板部 41 側壁部 42 放熱層
400,411 取付部 400h,411h 固定孔 410 端子台 410c 凹溝
5,5α インシュレータ 51,51α 周壁部 52,52α 枠状部 52f フランジ部
6 パッキン
8 端子金具 81 溶接面 82 接続面
9 端子固定部材 91 ボルト
100 位置決め治具 101 台座 102 ガイド溝
110 第一治具 111 第一基部 112 第一脚片 113 第一位置決め面
120 第二治具 121 第二基部 122 第二脚片 123 第二位置決め面
124 U字溝 125 ボルト
200 錘 201 本体部 202 圧接片

Claims (5)

  1. コイルと、このコイルが配置される内側コア部及びコイルが配置されない外側コア部を有する磁性コアとの組合体を作製し、底板部とこの底板部に立設されて前記組合体の周囲を囲む側壁部とを備えるケースに前記組合体を収納してリアクトルを製造するリアクトルの製造方法であって、
    絶縁高熱伝導接着剤からなる放熱層が形成され、前記側壁部とは独立した底板部を準備する準備工程と、
    前記底板部を位置決め用の台座の所定位置に固定する固定工程と、
    前記放熱層の上に前記組合体を載置する載置工程と、
    前記放熱層を構成する絶縁高熱伝導接着剤を硬化する硬化工程とを備え、
    前記載置工程は、
    前記組合体の底板部に対するコイルの軸方向と直交する方向の位置決めを行う第一治具と、前記組合体の底板部に対するコイルの軸方向の位置決めを行う第二治具とを前記台座に配置し、
    前記第一治具と第二治具とでこの組合体を両端から挟むことによって、組合体の前記放熱層に対する位置決めを行うことを特徴とするリアクトルの製造方法。
  2. 前記底板部には、固定対象に固定するための締付部材が挿通される固定孔があり、
    この固定孔を前記第一治具及び第二治具の少なくとも一方の配置のために用いることを特徴とする請求項1に記載のリアクトルの製造方法。
  3. 前記底板部には、この底板部と前記側壁部とを嵌め合わせることによって両者の位置決めを行う嵌合部があり、
    この嵌合部を前記第一治具及び第二治具の少なくとも一方の配置のために用いることを特徴とする請求項1に記載のリアクトルの製造方法。
  4. 前記硬化工程において、前記組合体の上方に錘を載置した状態で硬化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトルの製造方法。
  5. 前記磁性コアは、内側コア部と外側コア部とが接着剤により接合されておらず、
    前記載置工程において、前記第一治具と第二治具とで前記内側コア部と外側コア部とを所定の接触状態として放熱層に対する位置決めを行い、
    前記硬化工程において、前記放熱層により、この内側コア部と外側コア部とを前記接触状態のまま底板部に固定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトルの製造方法。
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