以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である芳香族アミン化合物について説明する。
本実施の形態の芳香族アミン化合物は、一般式(1)で表される芳香族アミン化合物である。
(式中、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、R3〜R14は、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Ar1及びAr2は、それぞれ炭素数6〜13のアリール基を表す。炭素数6〜13のアリール基はさらに置換基を有していてもよく、前記置換基が互いに結合して環を形成してもよい。)
一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、炭素数6〜13のアリール基は、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基といった置換基をさらに有していても良く、この置換基が互いに結合して環を形成していても良い。R1およびR2として具体的には、構造式(11−1)〜構造式(11−25)に示す置換基が挙げられる。
一般式(1)において、R3〜R14は、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。具体的には、構造式(12−1)〜構造式(12−9)に示す置換基が挙げられる。
一般式(1)において、Ar1及びAr2は、それぞれ炭素数6〜13のアリール基を表す。また、炭素数6〜13のアリール基は、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基といった置換基をさらに有していても良く、この置換基が互いに結合して環を形成していても良い。Ar1及びAr2として具体的には、構造式(13−1)〜構造式(13−26)に示す置換基が挙げられる。
一般式(1)で表される芳香族アミン化合物のうち、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
(式中、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、Ar1及びAr2は、それぞれ炭素数6〜13のアリール基を表す。炭素数6〜13のアリール基はさらに置換基を有していてもよく、前記置換基が互いに結合して環を形成してもよい。)
より好ましくは、一般式(3)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
(式中、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、R20〜R29は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基のいずれかを表す。炭素数6〜13のアリール基はさらに置換基を有していてもよく、前記置換基が互いに結合して環を形成してもよい。)
一般式(3)において、R20〜R29は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基のいずれかを表す。具体的には、構造式(14−1)〜構造式(14−15)に示す置換基が挙げられる。
さらに好ましくは、一般式(4)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
(式中、R20〜R29は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基のいずれかを表す。)
本実施の形態の芳香族アミン化合物の具体例としては、構造式(21)〜(118)に示される芳香族アミン化合物を挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されない。
一般式(1)で表される本実施の形態の芳香族アミン化合物は、合成スキーム(A−1)および合成スキーム(B−1)〜合成スキーム(B−3)で表される合成方法によって合成することができる。
まず、化合物Aで表されるハロゲン化した9−アリール−9H−カルバゾール化合物を合成する。合成スキーム(A−1)で示すように、化合物Aは、9H−カルバゾール化合物(化合物A1)とジハロゲン化アリール化合物(化合物A2)とを、塩基存在下で、パラジウム触媒を用いたハートウィック・ブッフバルト反応、または、銅や銅化合物を用いたウルマン反応によりカップリングすることで得ることができる。
なお、上記合成スキーム(A−1)において、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。炭素数6〜13のアリール基はさらに置換基を有していてもよく、この置換基が互いに結合して環を形成してもよい。また、R3〜R6及びR11〜R14は、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。X1及びX2は、ハロゲン、又は、トリフラート基を示す。また、X1及びX2がハロゲンである場合は塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
合成スキーム(A−1)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられる。また、合成スキーム(A−1)において用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。合成スキーム(A−1)において、用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。また、合成スキーム(A−1)において用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
また、合成スキーム(A−1)においてウルマン反応を行う場合について説明する。合成スキーム(A−1)においてR104とR105は、ハロゲンやアセトキシ基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセトキシ基である酢酸銅(II)が好ましい。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅を用いることができる。合成スキーム(A−1)において、用いることができる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。合成スキーム(A−1)において、用いることができる溶媒としては、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いる。
次いで、化合物Bで表されるハロゲン化3級アリールアミン化合物を合成する。化合物Bは、合成スキーム(B−1)のようにして合成することができる。すなわち、3級アリールアミン化合物(化合物B1)をハロゲン化剤によりハロゲン化することで、ハロゲン化3級アリールアミン化合物(化合物B)を得ることができる。なお、ハロゲン化剤としては、N−ブロモスクシンイミド(NBS)やN−ヨードスクシンイミド(NIS)、臭素、ヨウ素、ヨウ化カリウム等を用いることができる。
なお、上記反応式(B−1)において、R7〜R10は、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Ar1及びAr2は、それぞれ炭素数6〜13のアリール基を表す。炭素数6〜13のアリール基はさらに置換基を有していてもよく、この置換基が互いに結合して環を形成してもよい。X3は、ハロゲン、又は、トリフラート基を示す。また、X3がハロゲンである場合は塩素、臭素、又はヨウ素が好ましい。
次いで、合成スキーム(B−2)に示すように、合成スキーム(B−1)によって合成したハロゲン化3級アリールアミン化合物(化合物B)にアルキルリチウム試薬とホウ素試薬を用いてボロン酸、または有機ホウ素と変換することにより、3級アミンボロン酸又は、3級アミン化合物の3位が有機ホウ素で置換された化合物(化合物C)を得ることができる。アルキルリチウム試薬としてはn−ブチルリチウム、メチルリチウム等を用いることができる。ホウ素試薬としてはホウ酸トリメチル、ホウ酸イソプロピルなどを用いることができる。
なお、上記反応式(B−2)において、Ar1及びAr2は、それぞれ炭素数6〜13のアリール基を表す。炭素数6〜13のアリール基はさらに置換基を有していてもよく、この置換基が互いに結合して環を形成してもよい。また、R7〜R10は、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。X3は、ハロゲン、又は、トリフラート基を示す。また、X3がハロゲンである場合は塩素、臭素、又はヨウ素が好ましい。また、R98及びR99は炭素数1〜6のアルキル基を表す。また、R100及びR101は、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。R100及びR101は互いに結合して環を形成していても良い。
次いで、合成スキーム(B−3)で示すように、ハロゲン化した9−アリール−9H−カルバゾール化合物(化合物A)と3級アリールアミンボロン酸又は、3級アリールアミン化合物が有機ホウ素で置換された化合物(化合物C)とを、塩基存在下で、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦反応によりカップリングし、一般式(1)で示される本実施の形態の芳香族アミン化合物を得ることができる。
なお、上記反応式(B−3)において、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基のいずれかを表す。また、R3〜R14は、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Ar1及びAr2は、それぞれ炭素数6〜13のアリール基を表す。炭素数6〜13のアリール基はさらに置換基を有していてもよく、この置換基が互いに結合して環を形成してもよい。X1は、ハロゲン、又は、トリフラート基を示す。また、X1がハロゲンである場合は塩素、臭素、又は、ヨウ素が好ましい。また、R100及びR101は、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。R100及びR101は互いに結合して環を形成していても良い。
また、合成スキーム(B−3)において、用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。また、合成スキーム(B−3)において用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(オルトートリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。
合成スキーム(B−3)において用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。合成スキーム(B−3)において用いることができる溶媒としては、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒等が挙げられる。なお、トルエンと水、又はトルエンとエタノールと水の混合溶媒がより好ましい。
図1(A)に、本実施の形態の芳香族アミン化合物の一例である、下記構造式(120)で表される化合物1の、計算によって求めた最高被占有軌道を示す。本実施の形態の芳香族化合物の一例である化合物1は、カルバゾール基とアミン骨格との間に3つのベンゼン環を有する。
また、図1(B)に、YGA骨格を有する化合物の一例である、下記構造式(121)で示す化合物2の、計算によって求めた最高被占有軌道を示す。化合物2はカルバゾール基とアミン骨格との間に1つのベンゼン環を有する。
また、図1(C)に、YGA骨格を有する化合物の一例である、下記構造式(122)で示す化合物3の、計算によって求めた最高被占有軌道を示す。化合物3はカルバゾール基とアミン骨格との間に2つのベンゼン環を有する。
なお、化合物1〜3の基底状態における最適分子構造は、密度汎関数法(DFT)のB3LYP/6−311(d,p)により計算した。DFTは、電子相関を考慮しないハートリー・フォック(HF)法に比較して計算精度が良く、同レベルの計算精度である摂動法(MP)法よりも計算コストが小さいため、本計算で採用した。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)(SGI社製、Altix3700 DX)を用いて行った。図1は、この計算結果の可視化が可能なソフトウェアGauss View3.0によって、最適分子構造の計算結果を可視化したものである。
図1(B)及び(C)に示すように、化合物2及び化合物3においては、カルバゾール基の窒素原子とフェニル基の炭素原子の結合部位に、最高被占有軌道が存在している。
芳香族アミン化合物のカルバゾール基は、電荷の移動に弱く、カルバゾール基に正孔が入ると、カルバゾール基の窒素原子とカルバゾール基に結合したフェニル基の炭素との結合が弱くなると考えられる。従って、当該結合部位に最高被占有軌道が存在している化合物2及び化合物3を用いて発光素子を作製した場合、電圧の印加によって発光素子の経時的な劣化が起こり、信頼性の高い素子を作製するのが困難であると推測される。
一方、図1(A)に示すように、化合物1においては、カルバゾール基の窒素原子と、カルバゾール基に結合したフェニル基の炭素原子と、の結合部位において、最高被占有軌道が存在しない。従って、本実施の形態の芳香族アミン化合物を用いて作製された発光素子は、電圧の印加による経時的な劣化が起こりにくく、高い信頼性を実現することができると考えられる。
また、この計算結果から得られた構造式(120)で表される化合物1の最高被占有軌道(HOMO)準位の値は5.22eVであり、構造式(121)で表される化合物2のHOMO準位は5.25eVであり、構造式(122)で表される化合物3のHOMO準位は5.22eVであり、いずれの化合物もHOMO準位の値は大きく変わらず、深い値を示した。
また、本実施の形態の芳香族アミン化合物の一例である構造式(69)及び構造式(120)で表される化合物、及び燐光材料に対するホスト材料の一例として4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)の三重項状態の最安定構造を密度汎関数法で計算した。
計算に使用した量子化学計算プログラムはGaussian03である。基底関数は、H、C、N原子に、6−311G(d,p)を用いた。汎関数はB3LYPである。励起エネルギーについては、上記で得られたそれぞれの三重項状態の最安定構造を用い、時間依存密度汎関数法で計算した。基底関数、汎関数は上記と同じである。
計算で得られた三重項状態の第一励起エネルギーは、構造式(69)で表される本実施の形態の芳香族アミン化合物は1.76eV、構造式(120)で表される本実施の形態の芳香族アミン化合物は1.75eV、また、NPBは1.74eVであり、いずれの化合物もほぼ同等の第1励起エネルギーを示した。
NPBは蛍光及び燐光材料に対するホスト材料としても使用することができ、また、以上の計算結果より、構造式(69)又は構造式(120)で表される本実施の形態の芳香族アミン化合物も、NPBと同程度に燐光ゲストを励起することが示された。従って、構造式(69)又は構造式(120)で表される本実施の形態の芳香族アミン化合物は、燐光材料に対するホスト材料として使用することができると考えられる。
以上示したように、本実施の形態の芳香族アミン化合物は、深い最高被占有軌道準位を保ちつつ、カルバゾール基の窒素原子とカルバゾール基に結合したフェニル基の炭素原子との結合部位において最高被占有軌道が存在しない構造を有している。従って、発光素子の発光効率の向上と高い信頼性と、を同時に実現させることができると考えられる。
また、本実施の形態の芳香族アミン化合物は、短波長の発光を示す発光材料のホスト材料として用いることができる。また、短波長の発光を示す発光材料と接する層に用いることができる。
より具体的には、本実施の形態の芳香族アミン化合物は、青色などの短波長の蛍光を示す蛍光材料に対してホスト材料として用いることができる。また、短波長の蛍光を示す蛍光材料が含まれる層に接する層に用いることができる。なお、本実施の形態の芳香族アミン化合物を、蛍光材料が含まれる層に接する層に用いる場合には、発光領域が本実施の形態の芳香族アミン化合物を含む層と距離が近くなるようにするとより効果的である。また、より長波長の発光を示す蛍光材料であれば、本実施の形態の芳香族アミン化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
また、具体的には、本実施の形態の芳香族アミン化合物は、緑色などの比較的短波長の燐光を示す燐光材料に対してホスト材料として用いることができる。また、比較的短波長の燐光を示す燐光材料が含まれる層に接する層に用いることができる。なお、本実施の形態の芳香族アミン化合物を、燐光材料が含まれる層に接する層に用いる場合には、発光領域が本実施の形態の芳香族アミン化合物を含む層と距離が近くなるようにするとより効果的である。また、より長波長の発光を示す燐光材料であれば、本実施の形態の芳香族アミン化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態の芳香族アミン化合物は、正孔輸送性に優れている。よって、発光素子の正孔輸送層として用いることができ、良好な特性を有する発光素子を得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いた発光素子の一態様について図2(A)を用いて以下に説明する。
本実施の形態の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
本実施の形態において、発光素子は、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本実施の形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明をするが、これに限られるものではない。
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
第1の層103は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても第1の層103を形成することができる。
また、第1の層103として、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いることができる。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。
また、第1の層103として有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、第1の電極102とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。また、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いることもできる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
第2の層104は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は正孔輸送性に優れているため、第2の層104に好適に用いることができる。実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を第2の層104に用いることにより、良好な特性の発光素子を得ることができる。
第3の層105は、発光性の物質を含む層である。発光性の物質については、特に制限させることなく各種のものが使用できる。例えば、蛍光を発光する蛍光材料としては、クマリン6やクマリン545Tなどのクマリン誘導体、N,N’−ジメチルキナクリドンやN、N’−ジフェニルキナクリドンなどのキナクリドン誘導体、N−フェニルアクリドンやN−メチルアクリドンなどのアクリドン誘導体、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPhA)、ルブレン、ペリフランテン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)などの縮合芳香族化合物、4−ジシアノメチレン−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピランなどのピラン誘導体、4−(2,2−ジフェニルビニル)トリフェニルアミン、9−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などのアミン誘導体などが挙げられる。燐光を発光する燐光材料としては、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac)),ビス{2−(p−トリル)ピリジナト}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(tpy)2(acac))、ビス{2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)2(acac))、ビス{2−(4、6−ジフルオロフェニル)ピリジナト}イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)などのイリジウム錯体、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−白金錯体(pt(OEP))などの白金錯体、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリントリス(2−テノイルトリフルオロアセトナト)ユーロピウム(III)などの希土類錯体などが挙げられる。
本実施の形態で示す発光素子は、第3の層105に含まれる発光性の物質が青色の蛍光を発光する材料であるときに効果的である。具体的には、上述したt−BuDNA、DPhA、TBP、YGAPA、PCBAPAなどの青色を発光する蛍光材料を用いることが好ましい。
また、本発明は、第3の層105に含まれる発光性の物質が緑色の燐光を発光する材料であるときに効果的である。具体的には、上述したIr(ppy)3、Ir(ppy)2(acac)、Ir(tpy)2(acac)などの緑色を発光する燐光材料、FIrpicなどの青緑色を発光する燐光材料を用いることが好ましい。
また、第3の層105は上述した発光性の物質を分散させて構成してもよい。発光性の物質を分散させるための材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりもLUMO準位が高く、HOMO準位が低い物質を用いることが好ましい。具体的には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、2−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール(略称:YGAO11)等を用いることができる。また、発光性の物質を分散させるための材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、発光性の物質へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
第4の層106は、電子輸送性の高い物質を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウムやセシウム等のアルカリ金属、およびマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム、イッテルビウム等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極107と第4の層106との間に、電子注入を促す機能を有する層を、当該第2の電極と積層して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素を含むITO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウムを含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、第2の電極107からの電子注入が効率良く行われるため、より好ましい。
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、蒸着法の他、例えばインクジェット法またはスピンコート法などの種々の方法を用いることができる。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
以上のような構成を有する本実施の形態の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方は、透光性を有する物質で成る。第1の電極102のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図2(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図2(B)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する物質からなるものである場合、図2(C)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極107を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
なお第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であれば、上記以外のものでもよい。
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性の(電子及び正孔の輸送性の高い)物質、正孔ブロック材料等から成る層を、実施の形態1の芳香族アミン化合物と自由に組み合わせて構成すればよい。
図3に示す発光素子は、陰極として機能する第1の電極302の上に電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光性の物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、正孔注入性の高い物質からなる第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。なお、301は基板である。
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリクス型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。
実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は、深いHOMO準位を有している。また、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は、最高被占有軌道がカルバゾール基の窒素とフェニル基の炭素との結合部位に存在しない構造を有していると考えられる。従って、この芳香族アミン化合物を発光素子に適用することにより、発光素子の発光効率の向上と高い信頼性を同時に実現させることができる。
また、本実施の形態の発光素子は、発光効率が高いため、消費電力を低減することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
実施の形態1の芳香族アミン化合物は、発光性の物質を分散させるためのホスト材料として用いることができる。つまり、実施の形態2で示した第3の層105のホスト材料に用いることができる。実施の形態1で示した芳香族アミン化合物に分散する発光性の物質としては、種々の蛍光材料、燐光材料を用いることができる。
本発明の一態様の芳香族アミン化合物を第3の層105に用いた場合、第2の層104を形成する物質としては、種々の材料を用いることができる。例えば、種々の芳香族アミン化合物を用いることができる。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は、深いHOMO準位を有している。また、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は、最高被占有軌道がカルバゾール基の窒素とフェニル基の炭素との結合部位に存在しない構造を有していると考えられる。従って、この芳香族アミン化合物を発光素子に適用することにより、発光素子の発光効率の向上と高い信頼性を同時に実現させることができる。
また、本実施の形態の発光素子は、発光効率が高いため、消費電力を低減することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2〜実施の形態3で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
実施の形態2で示した第3の層105に実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いることにより、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物からの発光を得ることができる。実施の形態1の芳香族アミン化合物は紫〜青色の発光を示すため、紫〜青色の発光を示す発光素子を得ることができる。
第3の層105は、実施の形態1の芳香族アミン化合物のみで構成してもよいし、実施の形態1の芳香族アミン化合物を他の物質に分散させて構成してもよい。実施の形態1の芳香族アミン化合物を分散させる物質としては、種々の材料を用いることができ、実施の形態2で述べた正孔輸送性の高い物質や電子輸送性の高い物質の他、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)や、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリ−イル)−トリス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール](略称:TPBI)などが挙げられる。
実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は、深いHOMO準位を有している。また、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は、最高被占有軌道がカルバゾール基の窒素とフェニル基の炭素との結合部位に存在しない構造を有していると考えられる。従って、この芳香族アミン化合物を発光素子に適用することにより、発光素子の発光効率の向上と高い信頼性を同時に実現させることができる。
また、本実施の形態の発光素子は、発光効率が高いため、消費電力を低減することができる。
なお、第3の層105以外は、実施の形態2〜実施の形態3に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2〜実施の形態4で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は正孔注入性を有するため、実施の形態2で示した第1の層103に用いることができる。また、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物と無機化合物とを複合した複合材料を第1の層103に用いることができる。複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
実施の形態1で示した芳香族アミン化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。また、第1の層103として実施の形態1で示した芳香族アミン化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、第1の電極102とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を第1の層103に用いた場合、第2の層104を形成する物質としては、種々の材料を用いることができる。例えば、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物を用いることができる。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
また、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を、第1の層103および第2の層104に用いてもよい。
実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は、正孔注入性を有するため、発光素子の正孔注入層として好適に用いることができる。
実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は、深いHOMO準位を有している。また、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物は、最高被占有軌道がカルバゾール基の窒素とフェニル基の炭素との結合部位に存在しない構造を有していると考えられる。従って、この芳香族アミン化合物を発光素子に適用することにより、発光素子の発光効率の向上と高い信頼性を同時に実現させることができる。
また、本実施の形態の発光素子は、発光効率が高いため、消費電力を低減することができる。
なお、第1の層103以外は、実施の形態2〜実施の形態4に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態は、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図4を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。発光ユニットとしては、実施の形態2で示した発光物質を含む層と同様な構成を用いることができる。つまり、実施の形態2で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子であり、本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子について説明する。
図4において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は実施の形態2と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2〜実施の形態5と同様なものを適用することができる。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態2で示した有機化合物と酸化バナジウムや酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合体は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合体と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、本実施の形態を適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現できる。また、また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いて作製された発光装置について図5を用いて説明する。
図5(A)は、発光装置を示す上面図、図5(B)は図5(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)を含んでいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図5(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、発光物質を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれるため、好ましい。
また、発光物質を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。発光物質を含む層616は、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を含んでいる。また、発光物質を含む層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマーを含む)であっても良い。
さらに、発光物質を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、LiF、CaF2等)を用いることが好ましい。なお、発光物質を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いて作製された発光装置を得ることができる。
本実施の形態の発光装置は、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、信頼性及び発光効率の高い発光装置を得ることができる。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、この他、パッシブマトリクス型の発光装置であってもよい。図6には上記実施の形態を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の斜視図を示す。図6において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブマトリクス型の発光装置においても、発光効率の高い本発明の発光素子を含むことによって、信頼性及び発光効率の高い発光装置を得ることができる。また、発光効率が高いため、消費電力を低減することも可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7に示す発光装置をその一部に含む電子機器について説明する。本実施の形態の電子機器は、実施の形態1に示した芳香族アミン化合物を含み、信頼性が高い表示部を有する。また、発光効率の高い表示部を有する。また、発光効率が高いため、消費電力を低減できるという効果もある。
実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いて作製された発光素子を有する電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図7に示す。
図7(A)は本実施の形態に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高いという特徴を有している。また、信頼性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られている。
図7(B)は本実施の形態に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高いという特徴を有している。また、信頼性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。
図7(C)は本実施の形態に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高いという特徴を有している。また、信頼性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
図7(D)は本実施の形態の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高いという特徴を有している。また、信頼性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
以上の様に、本発明の一態様である発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いることにより、発光効率が高く、信頼性の高い表示部を有する電子機器を提供することが可能となる。
また、本発明の一態様である発光装置は、照明装置として用いることもできる。実施の形態2〜6で示した発光素子を照明装置として用いる一態様を、図8を用いて説明する。
図8は、本発明の一態様である発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図8に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の一態様である発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
本発明の一態様である発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、発光効率の高いバックライトが得られる。また、本発明の一態様である発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の一態様である発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。また、本発明の一態様である発光装置は信頼性に優れているため、その発光装置を用いた液晶表示装置も信頼性に優れている。
図9は、本発明の一態様を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図9に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の一態様である発光装置が用いられている。当該発光装置は、高輝度の発光が可能であるため、細かい作業をする場合など、手元を明るく照らすことが可能である。
図10は、実施の形態7を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の一態様である発光装置は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の一態様である発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明の一態様である発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図7(A)で説明したような、テレビ装置3002を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。
本実施例では、本発明の一態様である、構造式(69)で表されるN−(ビフェニル−4−イル)−4’’−(9H−カルバゾール−9−イル)−N−フェニル−[1,1’,4’,1’’]ターフェニル−4−アミン(略称:YGTA1BP)の合成方法について説明する。
[ステップ1]
9−(4’−ヨードビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾールの合成
9−(4’−ヨードビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾールの合成スキーム(C−1)を以下に示す。
まず、ジヨードビフェニル49g(120mmol)、カルバゾール17g(100mmol)、よう化銅(I)1.0g(5.0mmol)、18−クラウン−6−エーテル1.3g(5.0mmol)、炭酸カリウム10g(75mmol)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:DMPU)40mLを500mL三口フラスコへ入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物を窒素雰囲気下、170℃で6.5時間撹拌した。攪拌後、この混合物に水を加えてろ過し、ろ物を得た。このろ物を1M塩酸、水、炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し、トルエンとヘキサンの混合溶液で再結晶を行った。得られた固体をさらにクロロホルムで再結晶を行ったところ、目的物である9−(4’−ヨードビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾールの白色粉末を収量40g、収率89%で得た。
[ステップ2]4−[N−(ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]フェニルボロン酸の合成
(i)4−フェニルトリフェニルアミンの合成
4−フェニルトリフェニルアミンの合成スキーム(C−2)を以下に示す。
まず、4−ブロモビフェニル14g(59mmol)、ジフェニルアミン10g(59mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド11g(118mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.30g(0.52mmol)を100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、トルエン100mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.50mLを加えた。この混合物を減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、80℃で5時間加熱撹拌した。攪拌後、この混合物にトルエンを加え、この懸濁液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水により洗浄した。次いで、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、固体を得た。得られた固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物である4−フェニルトリフェニルアミンの粉末状淡褐色固体を収量18g、収率95%で得た。
(ii)4−ブロモ−4’−フェニルトリフェニルアミンの合成
4−ブロモ−4’−フェニルトリフェニルアミンの合成スキーム(C−3)を以下に示す。
まず、4−フェニルトリフェニルアミン10g(31mmol)を500mL三角フラスコに入れ、酢酸エチル300mLを加えて室温で撹拌した。この溶液にN−ブロモコハク酸イミド(略称:NBS)5.5g(31mmol)を少量ずつ加え、この混合溶液を室温で24時間撹拌した。攪拌後、この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、乾燥したところ、目的物である 4−ブロモ−4’−フェニルトリフェニルアミンの粉末状淡褐色固体を収量12g、収率97%で得た。
(iii)4−[N−(ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]フェニルボロン酸の合成
4−[N−(ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]フェニルボロン酸の合成スキーム(C−4)を以下に示す。
まず、4−ブロモ−4’−フェニルトリフェニルアミン7.0g(18mmol)を300mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換したのち、テトラヒドロフラン(略称:THF)80mLを加えて、−78℃で10分撹拌した。この溶液に1.63mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液13mL(21mmol)をシリンジにより滴下し、−78℃で1時間撹拌した。所定時間経過後、反応混合物にホウ酸トリメチル3.5mLを加え、−78℃で1時間攪拌し、その後、−78℃から徐々に室温に戻しながら24時間撹拌した。攪拌後、この溶液に1M希塩酸100mLを加えて室温で1時間撹拌した。撹拌後、この溶液に酢酸エチルを加え、酢酸エチルで抽出した。抽出後、有機層と抽出溶液を合わせて飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、吸引ろ過により硫酸マグネシウムを除去してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、クロロホルムとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物である4−[N−(ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]フェニルボロン酸を収量4.0g、収率61%得た。
[ステップ3]YGTA1BPの合成
YGTA1BPの合成スキーム(C−5)を以下に示す。
9−(4’−ヨードビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール1.1g(2.5mmol)、4−[N−(ビフェニル−4−イル)−N−フェニルアミノ]フェニルボロン酸0.92g(2.51mmol)、酢酸パラジウム(0)0.010g(0.045mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン0.10g(0.33mmol)を100mL三口フラスコに入れ、この混合物に2.0mol/L炭酸カリウム水溶液10mL、トルエン30mL、エタノール5mLを加えた。この混合物を、減圧下で撹拌しながら脱気し、フラスコ内を窒素置換した後、90℃で5時間加熱撹拌した。撹拌後、反応混合物にトルエンを加え、この懸濁液の有機層と水層を分離した。分離後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水により洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物をセライト、アルミナ、フロリジ−ルを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。
カラムクロマトグラフィーはまずトルエン:ヘキサン=1:9の混合溶媒を展開溶媒として用い、次いで、トルエン:ヘキサン=2:3の混合溶媒を展開溶媒として用いることにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒により再結晶したところ、粉末状白色固体を収量0.80g、収率50%で得た。
得られた白色固体0.80gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして、315℃で15時間行った。昇華精製後、目的の化合物を、収量0.62g、収率78%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物がN−(ビフェニル−4−イル)−4’’−(9H−カルバゾール−9−イル)−N−フェニル−[1,1’,4’,1’’]ターフェニル−4−アミン(略称:YGTA1BP)であることを確認した。
この化合物の1H NMRデータを以下に示す。
1H NMR(CDCl3,300MHz):δ=7.05−7.12(m,1H)、7.18−7.25(m,6H)、7.27−7.36(m,5H)、7.39−7.63(m,12H)、7.66(d,J=8.3Hz,2H)、7.70−7.80(m,4H)、7.87(d,J=7.8Hz,2H)、8.16(d,J=7.8Hz,2H)。
また、1H NMRチャートを図11(A)、(B)に示す。なお、図11(B)は、図11(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、YGTA1BPのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図12(A)に示す。また、YGTA1BPの薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図12(B)に示す。図12において、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度または吸収強度(任意単位)を表し、実線のグラフが吸収スペクトルを、破線のグラフが発光スペクトルをそれぞれ示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図12(A)および(B)に示した。トルエン溶液の場合では355nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では348nm付近に吸収が見られた。また、図12(A)及び(B)において、YGTA1BPの最大発光波長はトルエン溶液の場合では415nm(励起波長340nm)、薄膜の場合で449nm(励起波長343nm)であった。
また、YGTA1BPの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.51eVであった。さらに、図12のYGTA1BPの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは3.11eVであった。したがって、LUMO準位は−2.40eVである。
本実施例では、本発明の一態様である発光素子について、図13を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
(発光素子1)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極2102が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に複数の材料の蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に、実施例1で合成した構造式(69)で表されるN−(ビフェニル−4−イル)−4’’−(9H−カルバゾール−9−イル)−N−フェニル−[1,1’,4’,1’’]ターフェニル−4−アミン(略称:YGTA1BP)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、CzPAとPCBAPAとの重量比は、1:0.1(=CzPA:PCBAPA)となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、第1の電子輸送層2106aを形成した。
さらに、抵抗加熱による蒸着法を用い、第1の電子輸送層2106a上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を20nmの膜厚となるように成膜し、第2の電子輸送層2106bを形成した。
さらに、抵抗加熱による蒸着法を用い、第2の電子輸送層2106b上に、フッ化リチウムを蒸着することにより、1nmの膜厚で電子注入層2107を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子1を作製した。
(比較発光素子1)
正孔輸送層2104として、NPBを10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層2104以外は、発光素子1と同様に形成した。
(比較発光素子2)
正孔輸送層2104として、YGA骨格を有する化合物であり、下記構造式(131)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−4’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGA1BP)を10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層2104以外は、発光素子1と同様に形成した。
(比較発光素子3)
正孔輸送層2104として、YGA骨格を有する化合物であり、下記構造式(132)で表される4−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]4’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGBA1BP)を10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層2104以外は、発光素子1と同様に形成した。
本実施例で作製した発光素子1及び比較発光素子1〜3の素子構成を表1に示す。表1では、混合比は全て重量比で表している。
作製した発光素子1及び比較発光素子1〜3は、いずれも青色発光材料であるPCBAPA由来の発光波長が観測された。CIE色度座標はいずれの素子も、(x、y)=(0.15、0.22)程度であった。
発光素子1および比較発光素子1〜3の電流密度−輝度特性を図14に示す。図14において、横軸は電流密度(mA/cm2)を、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。また、電圧−輝度特性を図15に示す。図15において、横軸は印加した電圧(V)、縦軸は発光輝度(cd/m2)を表している。また、輝度−電流効率特性を図16に示す。図16において、横軸は発光輝度(cd/m2)、縦軸は電流効率(cd/A)を表している。
発光素子1において、1026cd/m2の輝度を得るために必要な電圧は3.8Vであり、その時流れた電流は0.52mA(電流密度は12.9mA/cm2)であった。また、この時の電流効率は8.0cd/Aであった。
また、比較発光素子1において、690cd/m2の輝度を得るために必要な電圧は3.6Vであり、その時流れた電流は0.57mA(電流密度は14.2mA/cm2)であった。また、この時の電流効率は4.9cd/Aであった。
また、比較発光素子2において、910cd/m2の輝度を得るために必要な電圧は3.6Vであり、その時流れた電流は0.51mA(電流密度は12.8mA/cm2)であった。また、この時の電流効率は7.0cd/Aであった。
また、比較発光素子3において、920cd/m2の輝度を得るために必要な電圧は3.8Vであり、その時流れた電流は0.46mA(電流密度は11.4mA/cm2)であった。また、この時の電流効率は8.1cd/Aであった。
以上から、本発明の一態様である芳香族アミン化合物を用いた発光素子は、YGA骨格を有する化合物であるYGA1BPを用いた比較発光素子2、又は、YGA骨格を有する化合物であるYGBA1BPを用いた比較発光素子3と同様に、高い電流効率を示すことがわかる。
次いで、発光素子1及び比較発光素子1〜3の規格化輝度時間変化のグラフを図17に示す。なお、規格化輝度時間変化とは、定電流駆動で初期輝度を約1000cd/m2とし、輝度の変化を規格化したものである。
図17より、発光素子1は、比較発光素子2及び比較発光素子3よりも時間経過による輝度の低下が起こりにくく、比較発光素子1と同様に長寿命であることがわかる。
以上より、本発明の一態様である芳香族アミン化合物を用いて正孔輸送層を形成することにより、素子特性に優れ、且つ素子寿命の長い発光素子を形成することができることが示された。
本実施例では、上記実施例2とは、別の構成の発光素子について、図18を用いて説明する。
(発光素子2)
まず、ガラス基板2201上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2202を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極2202が形成された面が下方となるように、第1の電極2202が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2202上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2203を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に複数の材料の蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法を用い、複合材料を含む層2203上に構造式(69)で表されるN−(ビフェニル−4−イル)−4’’−(9H−カルバゾール−9−イル)−N−フェニル−[1,1’,4’,1’’]ターフェニル−4−アミン(略称:YGTA1BP)を10nmの膜厚となるように成膜し、第1の正孔輸送層2204aを形成した。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法を用い、第1の正孔輸送層2204a上にNPBを10nmの膜厚となるように成膜し、第2の正孔輸送層2204bを形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)とを共蒸着することにより、第2の正孔輸送層2204b上に30nmの膜厚の発光層2205を形成した。ここで、CzPAとPCBAPAとの重量比は、1:0.1(=CzPA:PCBAPA)となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2205上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、第1の電子輸送層2206aを形成した。
さらに、抵抗加熱による蒸着法を用い、第1の電子輸送層2206a上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を20nmの膜厚となるように成膜し、第2の電子輸送層2206bを形成した。
さらに、抵抗加熱による蒸着法を用い、第2の電子輸送層2206b上に、フッ化リチウムを蒸着することにより、1nmの膜厚で電子注入層2207を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2207上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2208を形成することで、発光素子2を作製した。
本実施例で作製した発光素子2の素子構成を表2に示す。表2では、混合比は全て重量比で表している。
作製した発光素子2は青色発光材料であるPCBAPA由来の発光波長が観測された。CIE色度座標は、(x、y)=(0.15、0.22)であった。
発光素子2の電流密度−輝度特性を図19に示す。図19において、横軸は電流密度(mA/cm2)を、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。また、電圧−輝度特性を図20に示す。図20において、横軸は印加した電圧(V)、縦軸は発光輝度(cd/m2)を表している。また、輝度−電流効率特性を図21に示す。図21において、横軸は発光輝度(cd/m2)、縦軸は電流効率(cd/A)を表している。
発光素子2において、940cd/m2の輝度を得るために必要な電圧は4.4Vであり、その時流れた電流は0.48mA(電流密度は12.1mA/cm2)であった。また、この時の電流効率は7.8cd/Aであった。
次いで、発光素子2の規格化輝度時間変化のグラフを図22に示す。図22より、発光素子2は、初期輝度1000cd/m2で駆動して1100時間後でも初期輝度の58%の輝度を保っており、長寿命な発光素子であることがわかった。
以上の結果から、本発明の一態様である芳香族アミン化合物を発光素子の正孔輸送層に用いることにより、素子特性に優れ、且つ素子寿命の長い発光素子を形成することができることが示された。
本実施例では、他の実施例で用いた材料の合成例について説明する。
≪YGBA1BPの合成例≫
以下では、下記構造式(132)で表される4−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]4’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGBA1BP)の合成方法について説明する。
[ステップ1]4−フェニル−ジフェニルアミンの合成
4−フェニル−ジフェニルアミンの合成スキーム(D−1)を以下に示す。
まず、4−ブロモ−1,1’−ビフェニルを51g(220mmol)、アニリンを23g(250mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを50g(500mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を250mg(0.4mmol)、1000mLのフラスコへ入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、脱水トルエン500mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)3.0mL(1.5mmol)を加えた。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下にて90℃で4.5時間加熱撹拌し、反応させた。
反応後、この反応混合物にトルエン600mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、セライトを通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、ヘキサンを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物である4−フェニル−ジフェニルアミンの白色粉末を収量40g、収率73%で得た。
[ステップ2]YGBA1BPの合成
YGBA1BPの合成スキーム(D−2)を以下に示す。
まず、実施例1のステップ1で得た9−(4’−ヨードビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾールを1.8g(4.0mmol)、4−フェニル−ジフェニルアミンを1.0g(4.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを0.8g(8.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を5.0mg(0.01mmol)、100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、脱水キシレン40mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.06mL(0.03mmol)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、120℃で5時間加熱撹拌し、反応させた。
反応後、この反応混合物にトルエン200mLを加え、この懸濁液をフロリジール、アルミナ、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、セライトを通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:1)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけた後、再結晶したところ、目的物である4−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]4’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGBA1BP)の白色粉末を収量1.6g、収率95%で得た。
なお、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:10)は、目的物は0.39、9−(4’−ヨードビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾールは0.64、4−フェニル−ジフェニルアミンは0.25だった。
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に1H NMRの測定データを示す。
1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=7.08(t, J=7.2Hz, 1H), 7.20−7.62 (m, 25H), 7.78 (d, J=8.1Hz, 2H), 8.15 (d, J=7.8Hz, 2H)。
また、1H NMRチャートを図23に示す。測定結果から、上述の構造式(132)で表される4−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]4’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGBA1BP)が得られたことがわかった。なお、図23(B)は、図23(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
本実施例では、上記実施例2及び実施例3とは、別の構成の発光素子について、図13を用いて説明する。なお、本実施例で示す発光素子において、先に述べた実施例1と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。素子構造に関しては実施例1と同様であり、図13を参照されたい。
(発光素子3)
本実施例の発光素子3は、複合材料を含む層2103以外は、実施例1の発光素子1と同様に形成した。発光素子3は、第1の電極2102が形成された面が下方となるように、第1の電極2102が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、YGTA1BPと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、YGTA1BPと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=YGTA1BP:酸化モリブデン)となるように調節した。
本実施例で作製した発光素子3の素子構成を表3に示す。表3では、混合比は全て重量比で表している。
作製した発光素子3は青色発光材料であるPCBAPA由来の発光波長が観測された。CIE色度座標は、(x、y)=(0.16、0.18)であった。
発光素子3の電流密度−輝度特性を図24に示す。図24において、横軸は電流密度(mA/cm2)を、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。また、電圧−輝度特性を図25に示す。図25において、横軸は印加した電圧(V)、縦軸は発光輝度(cd/m2)を表している。また、輝度−電流効率特性を図26に示す。図26において、横軸は発光輝度(cd/m2)、縦軸は電流効率(cd/A)を表している。
発光素子3において、830cd/m2の輝度を得るために必要な電圧は4.2Vであり、その時流れた電流は0.51mA(電流密度は12.7mA/cm2)であった。また、この時の電流効率は6.5cd/Aであった。
以上の結果から、本発明の一態様である芳香族アミン化合物を、発光素子の複合材料を含む層及び正孔輸送層に用いた場合にも、素子特性に優れた発光素子を形成することができることが示された。