JP5633489B2 - Ni基合金およびNi基合金の製造方法 - Google Patents
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「%」:対象物に含まれる各成分の質量百分率(質量%)を表す。
(1)電気炉により溶製して得られたNi基合金塊に、均熱処理、分塊(鍛造)、熱間での圧延または押出し加工を施してNi基合金素管(Ni基合金素材)とし、
(2)必要に応じて、合金素管(合金素材)に引き抜きまたは圧延による冷間加工を施し、
(3)さらに合金素管(合金素材)に溶体化熱処理およびスケール除去のための酸洗等を施してNi基合金管(成品)とする。
(1)質量%で、C:0.03〜0.09%、Si:0.05〜0.4%、Mn:0.01〜1.0%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Cr:19〜25%、Mo+0.5W:5.5〜10%、Co:9〜21%、Ti:0.2〜2.5%、Al:0.3〜1.5%およびB:0.001〜0.005%を含有し、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金であって、当該Ni基合金を電解して得られた抽出残渣の定量分析により求められるCr析出量が0.3質量%以下であることを特徴とするNi基合金。
第1グループ:Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Ta:0.2%以下およびZr:0.2%以下
第2グループ:Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下およびNd:0.05%以下
第3グループ:Fe:5.0%以下
ΔT×Δt/2.5≦75 ・・・(1)
ただし、ΔT:均熱温度と均熱後の急冷開始温度との差(℃)
Δt:均熱後、急冷開始までの時間(min)
第1グループ:Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Ta:0.2%以下およびZr:0.2%以下
第2グループ:Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下およびNd:0.05%以下
第3グループ:Fe:5.0%以下
(1)本発明のNi基合金は、Cr析出量が0.3質量%以下であることから、靭性(20℃シャルピー衝撃値)が低下することなく、良好な靱性を備えたNi基合金である。
(2)このため、本発明のNi基合金は、管、板その他いかなる形状の部材やそれらの加工品であっても良好な靱性を備える。
(a)調査に用いたNi基合金管では、溶体化熱処理の際にCr炭化物が粒界に析出して靭性が低下する。
(b)炭化物の周囲(粒界近傍)にはCr濃度の低い領域(以下、「Cr欠乏領域」という)が形成されると推定される。材料中のCr濃度が25%以下の材料ではCr欠乏領域の形成により、酸洗処理の際に粒界近傍の酸による腐食が促進され、酸荒れや粒界に沿った割れが生じることがある。
○:良好。20℃衝撃値が150J/cm2以上であることを示す。
×:不良。20℃衝撃値が150J/cm2未満であることを示す。
C:0.03〜0.09%
Cは炭化物を形成してNi基合金として必要な高温引張強さ、高温クリープ強度を確保する上で必要な成分であり、0.03%以上含有させることが必要である。しかし、その含有量が0.09%を超えると、Crの炭化物が増えてNi基合金の靱性に悪影響を及ぼすおそれがあるので上限は0.09%とした。望ましいC含有量は0.05〜0.085%である。
Siは、溶製時の脱酸剤として必要な元素であり、最低でも0.05%含有させることが必要である。しかし、その含有量が過剰になると当該合金の加工性が低下するので上限は0.4%とした。望ましいSi含有量は0.08〜0.3%である。
Mnは、当該合金中に含まれる不純物のSと結合してMnSを形成し、熱間加工性を向上させるが、その含有量が0.01%未満ではこの効果が十分ではない。一方、その含有量が過剰になると合金が硬くなり、加工性や溶接性が損なわれるので上限は1.0%とした。望ましいMn含有量は0.05〜0.8%である。
Pは不純物として不可避的に混入する。過剰なPは溶接性および加工性を害するので、上限は0.015%とする。望ましい上限は0.012%である。
SもPと同様に不純物として不可避的に混入する。過剰なSは溶接性および加工性を害するので、上限は0.005%とする。望ましい上限は0.0015%である。
Crは、高温耐酸化性・耐食性を確保するための重要な合金元素である。高温下での十分な耐食性を確保するためには19%以上含有させることが必要である。一方、Cr含有量が25%を超えるとオーステナイト組織が不安定になりクリープ強度の低下を招くので上限は25%とした。
MoおよびWは固溶強化作用によりクリープ強度を向上させる元素である。MoとWの効果は似通っており、その含有量からMo+0.5Wで計算される値でその効果を整理することができる。含有量がMo+0.5Wで5.5%未満ではこの効果が得られない。一方、その含有量が過剰になると当該合金を著しく硬化させ、加工性および溶接性を劣化させるので、Mo+0.5Wで上限を10%とした。望ましい含有量はMo+0.5Wで5.5〜9.5%である。MoおよびWは、両方を含有させても、MoまたはWの一方のみを含有させてもよく、Mo+0.5Wで計算される値が上記の範囲内であればよい。
Coは、Niと同様オ−ステナイト生成元素であり、オーステナイト相の安定性を高めてクリープ強度の向上に寄与する。高温強度と耐食性に優れた耐熱合金においてCoの効果を確実に得るためには、9%以上を含有させることが必要である。Co含有量は、9.5%を超えることが望ましく、10%以上とするのがより望ましい。一方、Co含有量が21%を超えると熱間加工性が低下するうえ、Ni基合金の価格が極めて高くなり実用的でなくなるため、その上限は21%とした。なお、Co含有量は20.5%以下とすることが望ましい。
Al:0.3〜1.5%
TiおよびAlは、高温域で使用中にNiとNi3(Al,Ti)などの金属間化合物を作成してクリープ強度に寄与する。その効果を得るためにはTiが0.2%以上、Alが0.3%以上含有させることが必要である。一方、その含有量が過剰になると不均一なクリープ変形や延性低下の原因となるのでその上限はTiが2.5%、Alが1.5%とした。
Bは、クリープ抑制作用を有する元素であるが、その含有量が0.001%未満ではこの効果が得られない。一方、その含有量が過剰になると溶接性が損なわれるのでその上限は0.005%とした。望ましいB含有量は0.001〜0.003%である。
第1グループ:Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Ta :0.2%以下およびZr:0.2%以下
第2グループ:Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下およびNd:0.05%以下
第3グループ:Fe:5.0%以下
第1グループ:Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Ta :0.2%以下およびZr:0.2%以下
第1グループの元素であるNb、V、TaおよびZrは、いずれも高温での強度を向上させる作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を含有させてもよい。以下、第1グループの元素について詳しく説明する。
第1グループの元素であるNb、V、TaおよびZrは、マトリックスであるオーステナイト組織に固溶あるいは炭化物として析出し、高温での強度向上に寄与するので、こうした効果を得るために上記の元素を含有させてもよい。しかしながら、これらの元素を過剰に含有すると炭化物の析出量が多くなり、特に、いずれの元素についても、その含有量が0.2%を超えると、多量の炭化物が析出して靱性の低下を招く。そのため、含有させる場合のNb、V、TaおよびZrの含有量は、いずれも0.2%以下とする。なお、含有量の望ましい上限は、いずれの元素についても0.1%である。一方、前記したNb、V、TaおよびZrの効果を確実に得るためには、含有量の下限はいずれの元素についても0.003%とすることが望ましく、0.005%とすればより望ましい。
第2グループの元素であるCa、MgおよびNdは、いずれも熱間加工性を向上させる作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を含有させてもよい。以下、第2グループの元素について詳しく説明する。
CaおよびMgは、熱間加工性を向上させる作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を含有させてもよい。しかしながら、これらの元素を過剰に含有するとOと結合して合金の清浄性が低下し、特に、いずれの元素についても、その含有量が0.005%を超えると、合金の清浄性が著しく低下して却って熱間加工性の低下をきたす。したがって、含有させる場合のCaおよびMgの含有量は、いずれも0.005%以下とする。なお、含有量の望ましい上限は、いずれの元素についても0.004%である。一方、前記したCaおよびMgの効果を確実に得るためには、含有量の下限はいずれの元素についても0.0005%とすることが望ましく、0.001%とすればより望ましい。
Ndは、熱間加工性を向上させる作用を有するので、この効果を得るためにNdを含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有するとOと結合して合金の清浄性が低下し、特に、Nd含有量が0.05%を超えると、合金の清浄性が著しく低下して却って熱間加工性の低下をきたす。したがって、含有させる場合のNd含有量は、0.05%以下とする。なお、Nd含有量の望ましい上限は、0.04%である。一方、前記したNdの効果を確実に得るためには、Nd含有量の下限は0.003%とすることが望ましく、0.005%とすればより望ましい。
第3グループの元素であるFeは、Ni基合金の熱間加工性を改善する作用を有するため必要に応じて含有させてもよい。なお、実際の製造工程では電気炉等の炉壁からの汚染等により、不純物として0.5〜1%程度のFeを含有することがある。Feを含有させる場合、Fe含有量が5.0%を超えると、合金の熱膨張係数が大きくなり、また耐酸化性も劣化する。そのため、Feを含有させる場合の含有量の上限は5.0%とする。一方、上記Feの効果を得るためには、Fe含有量の下限を1.2%とすることが望ましい。
前述したように、Ni基合金は、溶体化熱処理時の冷却過程でCr炭化物が粒界に析出して靭性が低下することがある。本発明のNi基合金は、上記の化学組成を有し、Ni基合金を電解して得られた抽出残渣の定量分析により求められるCr析出量が0.3質量%以下である。前記図1(a)および(b)に示したように、Cr析出量が0.3質量%以下であれば、20℃シャルピー衝撃値が150J/cm2以上となるので、本発明のNi基合金は、良好な靱性を備える。
本発明のNi基合金の製造では、上記の化学組成を有する合金を溶製する。次いで、得られた合金塊を均熱し、分塊(鍛造)、熱間加工(圧延または押出など)の順に処理した後、必要に応じて冷間加工を実施し、熱処理を行う管や板形状のNi基合金素材を得る。冷間加工としては管の場合は引抜または圧延、板や棒材の場合は圧延による加工が挙げられる。その後、Ni基合金素材に熱処理(すなわち、均熱後、急冷する溶体化熱処理)を実施する。必要に応じて、熱処理を実施したNi基合金素材に酸洗または機械的処理(工具による内外削やショットブラストなど)を施し、Ni基合金とする。
ΔT×Δt/2.5≦75 ・・・(1)
ただし、ΔT:均熱温度と均熱後の急冷開始温度との差(℃)
Δt:均熱後、急冷開始までの時間(min)
表3に、本試験に用いた供試材1〜4の化学組成をそれぞれ示す。
表4の「20℃衝撃試験」欄の記号の意味は、前記表1および表2の場合と同様で、次のとおりである。
○:良好。20℃衝撃値が150J/cm2以上であることを示す。
×:不良。20℃衝撃値が150J/cm2未満であることを示す。
表4の結果から、本発明のNi基合金の製造方法で規定するΔT×Δt/2.5≦75の条件が満たされる場合、Cr析出量がいずれも0.3質量%以下となった。また、本発明のNi基合金で規定するCr析出量が0.3質量%以下という条件が満たされる場合、20℃シャルピー衝撃値がいずれも150J/cm2以上であり、Ni基合金は良好な靱性を備えることが確認できた。これらの場合、酸洗による酸荒れも認められなかった。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.03〜0.09%、Si:0.05〜0.4%、Mn:0.01〜1.0%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Cr:19〜25%、Mo+0.5W:5.5〜10%、Co:9〜21%、Ti:0.2〜2.5%、Al:0.3〜1.5%およびB:0.001〜0.005%を含有し、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金であって、
当該Ni基合金を電解して得られた抽出残渣の定量分析により求められるCr析出量が0.3質量%以下であることを特徴とするNi基合金。 - Niの一部に代えて、質量%で、下記の第1グループから第3グループまでのいずれかに属する1種以上の元素を含有することを特徴する請求項1に記載のNi基合金。
第1グループ:Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Ta:0.2%以下およびZr:0.2%以下
第2グループ:Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下およびNd:0.05%以下
第3グループ:Fe:5.0%以下 - 質量%で、C:0.03〜0.09%、Si:0.05〜0.4%、Mn:0.01〜1.0%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Cr:19〜25%、Mo+0.5W:5.5〜10%、Co:9〜21%、Ti:0.2〜2.5%、Al:0.3〜1.5%およびB:0.001〜0.005%を含有し、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金の製造方法であって、
熱間加工後または熱間加工に加えて冷間加工を行った後のNi基合金素材の熱処理において、当該Ni基合金素材を1150℃以上に加熱する均熱処理を行った後、放冷に続き、下記(1)式を満たす条件でヘリウムガスによる制御冷却または水冷により急冷を開始して、
当該熱処理後のNi基合金を電解して得られた抽出残渣の定量分析により求められるCr析出量を0.3質量%以下にすることを特徴とするNi基合金の製造方法。
ΔT×Δt/2.5≦75 ・・・(1)
ただし、ΔT:均熱温度と均熱後の急冷開始温度との差(℃)
Δt:均熱後、急冷開始までの時間(min) - Niの一部に代えて、質量%で、下記の第1グループから第3グループまでのいずれかに属する1種以上の元素を含有することを特徴する請求項3に記載のNi基合金の製造方法。
第1グループ:Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Ta:0.2%以下およびZr:0.2%以下
第2グループ:Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下およびNd:0.05%以下
第3グループ:Fe:5.0%以下
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