上述の問題の少なくとも一部を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、1つの無線LAN通信インタフェースを無線親機および無線子機のいずれにも排他的に機能させることができる通信端末について、ユーザの利便性を向上させることである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決することを目的とし、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。例えば、本発明は、通信装置であって、無線LAN制御回路を含む無線LANインタフェースと、前記無線LANインタフェースを無線子機または無線親機として排他的に動作させて無線通信を制御する無線通信制御部と、前記通信装置が前記無線LANインタフェースを前記無線親機として動作させる無線親機モードで動作している際に、前記無線LANインタフェースを介した通信の接続関係が確立された前記通信装置以外の無線子機の存在の有無を所定の判断処理によって判断する判断部と、前記通信装置が前記無線親機モードで動作している際に、前記判断部が前記接続関係の確立された通信装置以外の無線子機が存在しないと判断した場合に、前記通信装置の動作を、前記無線親機モードから、前記無線LANインタフェースを前記無線子機として動作させる無線子機モードに切り替える動作制御部とを備えた通信装置として実現することが可能である。その他、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]無線LAN制御回路を含む無線LANインタフェースと、
前記無線LANインタフェースを無線子機または無線親機として排他的に動作させて無線通信を制御する無線通信制御部と、
移動体通信網を介したデータのやり取りを制御する移動体通信制御部と、
前記無線LANインタフェースを前記無線子機として動作させる無線子機モードと、該無線LANインタフェースを前記無線親機として動作させる無線親機モードとを、通信環境に応じて自律的に切り替えるとともに、該無線親機モードで動作する際に、前記無線通信制御部によって制御される前記移動体通信網を介した通信と、前記無線通信制御部によって制御される前記無線通信とを中継して、前記通信装置の動作を制御する動作制御部と
を備えた通信装置。
かかる構成の通信装置は、無線LAN制御回路を含む無線LANインタフェースと、無線LANインタフェースを無線子機または無線親機として排他的に動作させて無線通信を制御する無線通信制御部と移動体通信網を介したデータのやり取りを制御する移動体通信制御部とを備え、無線子機モードと無線親機モードとを切り替えて制御する。したがって、通信装置は、無線子機モードの動作を行う際には、無線親機と通信することができるとともに、移動体通信網を介した通信によって外部ネットワークとの通信を行うことができる。また、無線親機モードでの動作を行う際には、移動体通信網を介した通信と、無線通信制御部によって制御される無線通信とを中継するので、移動体通信網を介した通信によって外部ネットワークとの通信を行うことができるとともに、他の無線子機に無線親機としての機能を提供して、他の無線子機に移動体通信網を介した通信によって外部ネットワークとの通信を行わせることができる。しかも、通信装置は、無線子機モードと無線親機モードとを通信環境に応じて自律的に切り替えるので、ユーザは、無線子機モードと無線親機モードとを手動操作で切り替える手間が省け、利便性が向上する。
[適用例2]前記動作制御部は、前記通信装置が前記無線子機モードによって動作している際に、前記無線LANインタフェースを介して所定のプローブリクエストを受信した場合に、前記通信装置の動作を、前記無線子機モードから前記無線親機モードに切り替える適用例1記載の通信装置。
かかる構成の通信装置は、無線子機モードによる動作中に所定のプローブリクエストを受信すると、通信装置の動作を、無線子機モードから無線親機モードに切り替える。所定のプローブリクエストを受信したということは、通信装置が置かれた通信環境において、無線親機としての通信装置に接続したい無線子機が存在するこということであるから、通信環境に応じた切り替えを好適に実現することができる。
[適用例3]前記所定のプローブリクエストは、前記通信装置に設定された識別情報を含むプローブリクエストである適用例2記載の通信装置。
かかる構成の通信装置は、通信装置に設定された識別情報を含むプローブリクエストを受信した場合に、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを行うので、ユーザが意図しない無線子機からプローブリクエストが送信された場合に、ユーザの意図に反して、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えが行われることを抑制することができる。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか記載の通信装置であって、前記動作制御部は、前記通信装置が前記無線子機モードによって動作している際に、前記通信装置以外の無線親機の存在が検出された場合には、前記無線子機モードから前記無線親機モードへの切り替えを禁止する通信装置。
かかる構成の通信装置は、通信装置以外の無線親機が存在する通信環境においては、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを禁止する。無線子機モードは、無線親機モードと比べて通信装置の消費電力が小さくなるので、かかる構成によって通信装置の消費電力を低減することができる。
[適用例5]適用例4記載の通信装置であって、前記動作制御部は、前記前記通信装置以外の無線親機の存在が検出された場合であっても、該無線親機の通信状態を判断し、該通信状態が所定の基準を満たさないときには、前記無線子機モードから前記無線親機モードへの切り替えを許容する通信装置。
かかる構成の通信装置は、通信装置以外に無線親機が存在する場合であっても、当該無線親機の通信状態が所定の基準を満たさない場合には、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを許容する。したがって、通信装置以外の無線親機の通信状態が良好でない場合であっても、通信装置以外の無線子機は、通信装置を用いて、良好な通信状態で無線通信を行うことができる。
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか記載の通信装置であって、更に、前記通信装置が前記無線親機モードで動作している際に、前記無線LANインタフェースを介した通信の接続関係が確立された前記通信装置以外の無線子機の存在の有無を所定の判断処理によって判断する判断部を備え、前記動作制御部は、前記通信装置が前記無線親機モードで動作している際に、前記判断部が前記接続関係の確立された通信装置以外の無線子機が存在しないと判断した場合に、前記通信装置の動作を、前記無線親機モードから前記無線子機モードに切り替える通信装置。
かかる構成の通信装置は、無線親機モードでの動作中に、接続関係が確立された無線子機が存在しないと判断した場合に、無線親機モードから無線子機モードへの切り替えを行うので、通信環境に応じた切り替えを好適に実現することができる。
[適用例7]適用例6記載の通信装置であって、前記判断処理は、前記通信装置と、該通信装置以外の無線子機との接続関係の確立および解除の状況を管理する処理を含み、前記判断部は、前記管理する接続関係の確立および解除の状況が、該接続関係を確立中である前記通信装置以外の無線子機が存在しないものである場合に、該通信装置以外の無線子機が存在しないと判断する通信装置。
かかる構成の通信装置は、通信装置と通信装置以外の無線子機との接続関係の確立および解除の状況を管理する。そして、通信装置は、管理する状況が、接続関係を確立中である通信装置以外の無線子機が存在しないものである場合に、無線親機モードから無線子機モードへの切り替えを行う。したがって、通信装置は、接続中の無線子機が存在しないことが明確な状況において親機モードで動作することがなく、通信環境に応じた切り替えを好適に実現することができる。
[適用例8]適用例6または適用例7記載の通信装置であって、前記判断処理は、前記通信装置以外の無線子機からの前記通信パケットの受信を監視する処理を含み、前記判断部は、前記通信装置以外の無線子機から所定時間の間、通信パケットを受信しなかった場合に、該通信装置以外の無線子機が存在しないと判断する通信装置。
かかる構成の通信装置は、無線親機モードでの動作中に、通信装置以外の無線子機から所定時間の間、通信パケットを受信しなかった場合に、無線親機モードから無線子機モードへの切り替えを行う。通信装置以外の無線子機から所定時間の間、通信パケットを受信しなかったということは、通信装置が置かれた通信環境において、通信可能な無線子機が存在しなくなっている可能性が高い、または、通信装置以外の無線子機から通信パケットが送信される可能性は低いということであるから、通信環境に応じた切り替えを好適に実現することができる。しかも、無線子機の存在の有無の判断を行うために通信を行わないので、効率的である。
[適用例9]適用例6または適用例7記載の通信装置であって、前記判断処理は、前記無線LANインタフェースを介して、前記通信装置以外の無線子機にデータフレームを送信し、該送信したデータフレームに対する応答を確認する処理を含み、前記判断部は、前記応答を受信しなかった場合に、前記通信装置以外の無線子機が存在しないと判断する通信装置。
かかる構成の通信装置は、通信装置が送信するデータフレームへの応答を確認して、通信装置以外の無線子機の存在の有無を判断するので、精度良く当該判断を行うことができる。
[適用例10]適用例1ないし適用例9のいずれか記載の通信装置であって、更に、前記通信装置に電源を供給する二次電池に接続可能に構成され、該二次電池から前記電源を受け付ける電源受付部を備え、前記動作制御部は、前記通信装置が前記無線子機モードによって動作している際に、前記二次電池の残容量が所定値以下になったと判断された場合には、前記無線子機モードから前記無線親機モードへの切り替えを禁止する通信装置。
かかる構成の通信装置は、通信装置に電源を供給する二次電池の残容量が所定値以下になったと推定された場合には、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを禁止する。無線親機モードは、無線子機モードよりも消費電力が大きくなるので、かかる構成によって、二次電池の残容量切れを抑制し、通信装置を長時間動作させることができる。
[適用例11]適用例1ないし適用例10のいずれか記載の通信装置であって、更に、前記通信装置の筐体内部または表面の温度を検出する温度検出部を備え、前記動作制御部は、前記通信装置が前記無線子機モードによって動作している際に、前記検出した温度が所定値以上となった場合には、前記無線子機モードから前記無線親機モードへの切り替えを禁止する通信装置。
かかる構成の通信装置は、通信装置の筐体内部または表面の温度が所定値以上となった場合には、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを禁止する。無線親機モードでは、移動体通信網を介した通信が行われる可能性が高い。移動体通信網を介した通信が行われる場合、無線LANインタフェースと、移動体通信網を介した通信を行う移動体通信インタフェースとが同時動作することとなり、通信装置がさらに高温化するおそれがある。かかる構成によれば、通信装置が高温化することによる不具合の発生を抑制することができる。
[適用例12]適用例1ないし適用例11のいずれか記載の通信装置であって、更に、所定の指示を受け付ける受付部と、前記受け付けた所定の指示に基づいて、前記無線LANインタフェースを用いた無線通信の設定に関する情報を含む設定情報を、無線親機と無線子機との間で実行されるプロトコルを用いて、該無線LANインタフェースを介した通信によって、前記通信装置とは異なる無線子機に提供する設定情報提供部とを備え、前記動作制御部は、前記通信装置が前記無線子機モードによって動作している際に、前記受付部が前記所定の指示を受け付けた場合に、前記通信装置の動作を、前記無線子機モードから前記無線親機モードに切り替える通信装置。
かかる構成の通信装置は、無線親機と無線子機との間で実行されるプロトコルを用いて、設定情報を無線親機から無線子機に提供するための所定の指示を受け付けた場合に、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを行うので、当該プロトコルを用いて無線子機に設定情報を設定したい通信環境においても、通信環境に応じた切り替えを好適に実現することができる。
[適用例13]適用例1ないし適用例12のいずれか記載の通信装置であって、前記通信装置の動作は、DHCPサーバとしてのサーバ動作を含み、前記無線親機モードは、前記サーバ動作が可能に制御される通信装置。
かかる構成の通信装置は、無線親機モードにおいてDHCPサーバとしての動作を行うことができるので、通信装置以外の無線子機にIPアドレスを割り当てることができる。したがって、ユーザは、当該無線子機のIPアドレスを手動操作で設定する必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。
[適用例14]適用例1ないし適用例13のいずれか記載の通信装置であって、前記通信装置の動作は、DHCPクライアントとしてのクライアント動作を含み、前記無線子機モードは、前記クライアント動作が可能に制御される通信装置。
かかる構成の通信装置は、無線子機モードにおいてDHCPクライアントとしての動作を行うことができるので、通信装置が置かれた通信環境に、DHCPサーバ機能を有する機器が通信可能に存在すれば、当該無線機器からIPアドレスの割り当てを受けることができる。したがって、ユーザは、無線子機として動作する通信装置のIPアドレスを手動操作で設定する必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。
[適用例15]適用例1ないし適用例14のいずれか記載の通信装置であって、前記無線子機モードによる動作は、ビーコンを送信可能に構成され、前記動作制御部は、前記通信装置が前記無線子機モードによって動作している際に、前記無線LANインタフェースを介して前記無線通信の接続関係を確立するための所定のフレームを受信した場合に、前記通信装置の動作を、前記無線子機モードから前記無線親機モードに切り替える通信装置。
かかる構成の通信装置は、無線子機モードでの動作中にビーコンを送信し、無線通信の接続関係を確立するための所定のフレームを受信した場合に、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを行う。したがって、無線親機としての通信装置に接続したい無線子機が存在し、当該無線子機がパッシブスキャンによって無線親機を検索している通信環境においても、通信環境に応じた切り替えを好適に実現することができる。
[適用例16]更に、移動体データ通信制御回路を含み、前記移動体通信網を介した通信を行う移動体通信インタフェースを備えた適用例1ないし適用例15のいずれか記載の通信装置。
かかる構成の通信装置は、移動体通信インタフェースを備えているので、ユーザは、移動体通信インタフェースを別途用意する必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
[適用例17]更に、移動体データ通信制御回路を含み、前記移動体通信網を介した通信を行う移動体通信インタフェースと接続可能な接続インタフェースを備えた適用例1ないし適用例15のいずれか記載の通信装置。
かかる構成の通信装置は、移動体通信インタフェースと接続可能な接続インタフェースを備えているので、接続インタフェースに移動体通信インタフェースを接続すれば、移動体通信網を介した通信を行うことができる。しかも、移動体通信インタフェースを複数用意する場合には、使用環境に応じて、異なるキャリアの移動体通信網を使い分けることも可能となり、ユーザの利便性が向上する。
また、本発明は、上述した通信装置のほか、通信装置に用いる通信制御プログラム、当該プログラムを記録した記憶媒体、適用例18の通信装置の動作制御方法、無線LANインタフェースの動作制御方法等としても実現することができる。勿論、これらの実現形態に対しても、適用例2〜適用例16の構成を付加することも可能である。
[適用例18]無線LANインタフェースを用いた無線LAN通信と、移動体データ通信とが可能な通信装置の動作を制御する通信装置の動作制御方法であって、前記無線LANインタフェースを無線子機として動作させる無線子機モードと、該無線LANインタフェースを無線親機として動作させる無線親機モードとを、通信環境に応じて自律的に切り替え、前記無線親機モードで動作する際に、前記移動体通信と、前記無線LAN通信とを中継する動作制御方法。
A.第1実施例:
本発明の第1実施例について説明する。
A−1.携帯通信装置20の構成:
本発明の通信装置の実施例としての携帯通信装置20の使用例を図1に示す。携帯通信装置20は、データ端末としてのPDA(Personal Digital Assistant)である。本実施例の携帯通信装置20は、移動体通信網を介した無線通信と、無線LANに準拠した無線通信とを実現可能に構成されている。携帯通信装置20は、無線LANに準拠した無線通信では、無線子機モードと無線親機モードとの2つの動作モードによって動作可能である。携帯通信装置20は、この動作モードの違いによって、2種類の形態で使用することができる。
携帯通信装置20の第1の使用例を図1(A)に示す。第1の使用例とは、携帯通信装置20が無線子機モードで動作を行う場合の携帯通信装置20の使用方法である。図示するように、無線子機モードで動作を行う携帯通信装置20は、無線子機として、無線親機としてのアクセスポイントAPと無線LANに準拠した無線通信を行う。このアクセスポイントAPは、ルータRTに接続されており、さらに、ISP(図示省略)を介して、外部ネットワークとしてのインターネットINTに接続される。また、携帯通信装置20は、基地局BSを介して、移動体通信網を利用した無線通信によって、インターネットINTに接続することが可能である。なお、第1の使用例においては、図示する無線子機としての端末TEは使用されないものとして点線で表示しているが、端末TEは、アクセスポイントAPと通信を行うこととしてもよい。この場合、携帯通信装置20と端末TEとはアクセスポイントAPを介して無線通信を行うことができる。
携帯通信装置20の第2の使用例を図1(B)に示す。第2の使用例とは、携帯通信装置20が無線親機モードで動作を行う場合の携帯通信装置20の使用方法である。図示するように、無線親機モードで動作を行う携帯通信装置20は、無線親機(アクセスポイント)として、無線子機としての端末TEと無線LANに準拠した無線通信を行う。また、携帯通信装置20は、基地局BSを介して、移動体通信網を利用した無線通信によって、インターネットINTに接続することが可能である。ここで、携帯通信装置20は、ブリッジ機能を備えており、無線LANと移動体データ通信網とを介した通信の中継を行うことができる。したがって、端末TEは、携帯通信装置20および基地局BSを介して、インターネットINTに接続することが可能となる。なお、第2の使用例においては、図示するアクセスポイントAPおよびルータRTは存在しない環境下であり、これらを点線で表示している。また、無線親機モードで動作を行う携帯通信装置20に通信可能に接続される端末TEは複数台であってもよい。
携帯通信装置20の概略構成を図2に示す。図示するように、携帯通信装置20は、CPU30、フラッシュROM41、RAM42、移動体通信インタフェース50、無線LANインタフェース60、ディスプレイ70、モード切替スイッチ71、温度検出部80、検出回路91を備え、それぞれがバスにより相互に接続されている。また、携帯通信装置20は、電源受付部90を備えている。
移動体通信インタフェース50は、移動体通信網の基地局BSと端末として無線データ通信を行うための制御回路であり、変調器やアンプ、アンテナといったハードウェアを備えている。この移動体通信インタフェース50は、外部への電波の送信や外部からの電波の受信が可能な状態で、携帯通信装置20に内蔵されている。本実施例では、移動体通信インタフェース50は、データ通信のみを実現可能に構成されているが、音声通信も併用可能に構成されていてもよい。本実施例では、移動体通信インタフェース50は、3G/HSPA(High Speed Packet Access)に準拠して構成されている。なお、移動体データ通信の規格は、特に限定するものではなく、3G/HSPAに代えて、例えば、IEEE802.16a、IEEE802.16m、LTE(Long Term Evolution)、LTE-Advancedなどであってもよい。
無線LANインタフェース60は、無線LANに準拠した無線通信を行うための制御回路であり、変調器やアンプ、アンテナといったハードウェアを備えている。この無線LANインタフェース60は、外部への電波の送信や外部からの電波の受信が可能な状態で、携帯通信装置20に内蔵されている。本実施例では、無線LANインタフェース60は、IEEE802.11に準拠して構成されている。この無線LANインタフェース60は、CPU30が実行するソフトウェアによる制御によって、無線子機または無線親機として排他的に動作する。
ディスプレイ70は、本実施例では、液晶ディスプレイである。本実施例のディスプレイ70は、タッチパネル式のディスプレイであり、入力手段を兼ねている。
CPU30は、フラッシュROM41に記憶されたファームウェア等のプログラムをRAM42に展開して実行することで、携帯通信装置20の動作全般を制御する。また、CPU30は、所定のプログラムを実行することで、無線通信制御部31、移動体通信制御部32、動作制御部33、判断部34としても機能する。無線通信制御部31は、無線LANインタフェース60を用いた無線通信を制御する。移動体通信制御部32は、移動体通信インタフェース50を用いた無線通信を制御する。換言すれば、移動体通信制御部32は、移動体通信網を介したデータのやり取りを制御する。動作制御部33は、無線LANインタフェース60を無線子機として動作させる無線子機モードと、無線LANインタフェース60を無線親機として動作させる無線親機モードとを、携帯通信装置20が置かれた通信環境に応じて自律的に切り替える制御(動作モード切替処理ともいう)を行う。動作モード切替処理の詳細は後述する。判断部34は、携帯通信装置20が無線親機モードで動作している際に、無線LANインタフェース60を介した通信の接続関係が確立された携帯通信装置20以外の無線子機の存在の有無を所定の処理(以下、判断処理ともいう)によって判断する。
無線子機モードとは、無線LANインタフェース60を無線子機として動作させる動作モードである。CPU30は、無線子機モードでの制御を行っている際には、アクセスポイントAPとの無線通信を実現する。また、このとき、CPU30は、移動体通信インタフェース50を介して基地局BSと通信することもできる。すなわち、携帯通信装置20のユーザは、ディスプレイ70に表示されたGUI(Graphical User Interface)を操作して、移動体通信網を利用してインターネットINTへのアクセスと、アクセスポイントAPおよびルータRTを介したインターネットINTへのアクセスとを選択的に実現することができる。勿論、両方のルートで同時にインターネットINTにアクセスすることも可能である。
また、無線子機モードにおいて、CPU30は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)クライアントとしても動作可能に構成されている。したがって、携帯通信装置20が、無線子機モードで動作する通信環境において、DHCPサーバ機能を有する無線機器が通信可能に存在すれば、例えば、アクセスポイントAPがDHCP機能を有していれば、当該無線機器からIPアドレスの割り当てを受けることができる。したがって、ユーザは、無線子機として動作する携帯通信装置20のIPアドレスを手動操作で設定する必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。
無線親機モードとは、無線LANインタフェース60を無線親機として動作させる動作モードである。CPU30は、無線親機モードでの制御を行っている際には、無線親機として、無線子機の送信する通信パケットの中継動作を行う。また、このとき、CPU30は、移動体通信インタフェース50を介して基地局BSと通信することもできる。さらに、このとき、CPU30は、所定のプログラムを実行することで、ブリッジ機能を実現し、移動体通信インタフェース50と無線LANインタフェース60とを介した通信パケットの中継を行う。つまり、CPU30は、無線LANインタフェース60で受信した通信パケットを、所定のフォーマット変換を行って、移動体通信インタフェース50側に転送し、また、無線LANインタフェース60で受信した通信パケットを、所定のフォーマット変換を行って、無線LANインタフェース60側に転送する。したがって、携帯通信装置20のユーザは、ディスプレイ70を操作して、移動体通信網を利用してインターネットINTへのアクセスを行うことができ、同時に、端末TEのユーザは、携帯通信装置20および基地局BSを介して、インターネットINTへアクセスすることができる。
また、本実施例では、無線親機モードにおいて、CPU30は、ルータ機能を実現することができる。このルータ機能は、DHCPサーバ機能を含んでいる。つまり、CPU30は、無線親機モードにおいて、DHCPサーバとしても動作可能に構成されており、携帯通信装置20以外の無線子機、例えば、端末TEにIPアドレスを割り当てることができる。したがって、ユーザは、当該無線子機のIPアドレスを手動操作で設定する必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。
モード切替スイッチ71は、携帯通信装置20が無線子機モードと無線親機モードとのうちのいずれで動作するのかをユーザが指示するための手動スイッチである。本実施例においては、モード切替スイッチ71は、携帯通信装置20の動作モードを「自動」、「無線子機モード」、「無線親機モード」のいずれかを選択入力可能なスライドスイッチとして構成されている。モード切替スイッチ71によって「自動」が選択されているときは、CPU30は、後述する動作モード切替処理によって、自身の動作モードを自律的に切り替える。一方、「無線子機モード」または「無線親機モード」が選択されているときは、CPU30は、動作モード切替処理を実行せずに、選択された動作モードでの動作を固定的に実行する。
温度検出部80は、携帯通信装置20の筐体内部または表面の温度を検出する温度センサ(ここではサーミスタ)を含んでいる。温度検出部80は、サーミスタのアナログ出力電圧をデジタル変換してCPU30に出力する。なお、温度検出部80は、必ずしもサーミスタの出力電圧をCPU30に出力する必要はなく、サーミスタでの検出温度が所定値以上となった場合に、所定の信号をCPU30に出力してもよい。つまり、温度検出部80は、検出温度が所定値以上になったことを検知できればよい。本実施例においては、温度検出部80は、携帯通信装置20の筐体内部において、電源受付部90の近傍に設置されている。
電源受付部90は、携帯通信装置20に電源を供給する二次電池92に接続可能に構成された電池ボックスである。電源受付部90は、二次電池92が収容された際に、二次電池92から携帯通信装置20の電源を受け付けて、携帯通信装置20の各部に供給する。図2では、電源受付部90に二次電池92が収容された状態を示している。ただし、携帯通信装置20の電源は、商用電源などであってもよい。この電源受付部90には、検出回路91が接続されている。検出回路91は、電源受付部90に収容された二次電池92のアナログ出力電圧をデジタル変換してCPU30に出力する回路である。なお、電源受付部90は、必ずしも二次電池92の出力電圧をCPU30に出力する必要はなく、二次電池92の出力電圧が所定値以下となった場合に、所定の信号をCPU30に出力してもよい。つまり、検出回路91は、二次電池92の残容量が所定値以下になったことを検知できればよい。
A−2.動作モード切替処理:
携帯通信装置20において実行される動作モード切替処理について説明する。本実施例においては、CPU30は、無線子機モードによる動作がデフォルト設定されている。つまり、モード切替スイッチ71が「自動」に設定されている際に、ユーザがディスプレイ70に表示されたGUIを操作して、無線LANインタフェース60を起動させると、CPU30は、無線LANインタフェース60を無線子機モードで動作させる。その後、CPU30は、動作モード切替処理によって、無線子機モードと無線親機モードとを、携帯通信装置20が置かれた通信環境に応じて自律的に切り替える制御を行う。この動作モード切替処理は、特に断る場合を除き、動作制御部33の処理として実行させる。以下、無線LANインタフェース60が無線子機モードで動作している場合と、無線親機モードで動作している場合とに分けて、動作モード切替処理の流れについて説明する。
A−2−1.無線子機モード動作時:
無線LANインタフェース60が無線子機モードで動作している場合の動作モード切替処理の流れを図3に示す。この処理は、携帯通信装置20のCPU30が無線子機モードでの制御を開始すると同時に開始される。図示するように、無線子機モードでの制御が開始されると、CPU30は、携帯通信装置20以外の無線親機が送信するビーコンを監視する(ステップS110)。
ビーコンの監視の結果、ビーコンを受信すれば、すなわち、無線親機の存在が確認できれば(ステップS120:YES)、CPU30は、ビーコンを受信できなくなるまで、ビーコンを監視する。この処理は、携帯通信装置20が置かれた通信環境において、携帯通信装置20以外の無線親機が存在する場合には、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを禁止することを意味する。このような構成としているのは、携帯通信装置20以外に無線親機が存在する場合には、当該無線親機に携帯通信装置20よりも優先的に端末TEの無線LAN通信の中継処理を行わせるためである。
一方、ビーコンを受信できなければ、すなわち、無線親機の存在が確認できなければ(ステップS120:NO)、CPU30は、所定期間だけ、携帯通信装置20以外の無線子機、すなわち、端末TEが送信するプローブリクエストの受信を待機する(ステップS130)。その結果、プローブリクエストを受信しなければ(ステップS130:NO)、処理を上記ステップS110に戻す。一方、所定期間内にプローブリクエストを受信すれば(ステップS130:YES)、携帯通信装置20が置かれた通信環境において、無線親機に接続したい端末TEが存在するということである。したがって、CPU30は、受信したプローブリクエストに含まれるSSID(Service Set Identifier)が自機のSSIDであるか否かを判断する(ステップS140)。なお、本実施例においては、ユーザは、無線親機としての携帯通信装置20のSSIDを予め端末TEに登録しておくものとしている。
判断の結果、SSIDが自機のSSIDでなければ(ステップS140:NO)、例えば、SSIDが、自機のSSIDと異なるSSIDやANYであれば、プローブリクエストを送信した無線子機は、ユーザが無線親機としての携帯通信装置20への接続を予定する端末TEではないということである。したがって、CPU30は、このプローブリクエストを無視し、処理を上記ステップS130に戻す。このように、後述するステップS170において動作モードの切り替えを行う契機となるプローブリクエストを所定のものに限定することで、ユーザが意図しない無線子機からプローブリクエストが送信された場合に、ユーザの意図に反して、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えが行われることを抑制することができる。
一方、SSIDが自機のSSIDであれば(ステップS140:YES)、プローブリクエストを送信した無線子機は、ユーザが携帯通信装置20への接続を予定する端末TEであり、ユーザは、端末TEが携帯通信装置20との接続関係を確立することを所望しているということである。そこで、CPU30は、さらに、検出回路91によって検出された二次電池92の出力電圧が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS150)。この判断は、二次電池92の残容量、つまり、利用可能な蓄電量が所定値以下であるか否かを判断するものである。二次電池92の出力電圧は、二次電池の残容量の減少に伴って低下するので、出力電圧が所定値以下になると、残容量が所定値以下になったと判断することができる。
判断の結果、二次電池の残容量が所定値以下であれば(ステップS150:YES)、CPU30は、処理を上記ステップS130に戻す。この処理は、二次電池92の残容量が所定値以下である場合には、後述するステップS170によって無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを行うことを禁止することを意味する。無線親機モードでは、端末TEがインターネットINTにアクセスする際には、携帯通信装置20において、移動体通信インタフェース50と無線LANインタフェース60とを同時に動作させることとなるので、無線子機モードよりも消費電力が大きくなりがちである。また、無線親機モードで携帯通信装置20がビーコンを送信する場合には、消費電力は更に大きくなる。このように、二次電池92の残容量が少なくなっている場合に、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを禁止する構成とすれば、二次電池92の残容量切れを抑制し、携帯通信装置20を長時間動作させることができる。
一方、二次電池の残容量が所定値よりも大きければ(ステップS150:NO)、CPU30は、温度検出部80によって検出された温度が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS160)。その結果、検出温度が所定値以上であれば(ステップS160:YES)、CPU30は、処理を上記ステップS130に戻す。この処理は、携帯通信装置20の筐体内部の温度が所定値以上である場合には、後述するステップS170によって無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを行うことを禁止することを意味する。無線親機モードでは、端末TEがインターネットINTにアクセスする際には、携帯通信装置20において、移動体通信インタフェース50と無線LANインタフェース60とを同時に動作させることとなるので、発熱量が多くなり、無線子機モードよりも携帯通信装置20の筐体内部温度が高くなりがちである。このように、携帯通信装置20の筐体内部温度が所定値以上である場合に、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを禁止する構成とすれば、携帯通信装置20が過剰に高温化することを抑制することができる。その結果、高温化による不具合の発生を抑制することができる。
かかる構成は、本実施例においては、温度検出部80を電源受付部90の近傍に設置して、高温化による二次電池92の性能劣化を抑制することを主な目的としている。ただし、抑制すべき不具合は、二次電池92の性能劣化に限るものではなく、例えば、CPU30の熱暴走防止などであってもよい。温度検出部80の設置箇所は、その目的に合わせて適宜設定すればよい。勿論、複数の温度検出部80を設けてもかまわない。
一方、検出温度が所定値よりも小さければ(ステップS160:NO)、CPU30は、動作モードを無線子機モードから無線親機モードへ切り替える(ステップS170)。そして、CPU30は、受信したプローブリクエストへの応答として、端末TEにプローブレスポンスを送信し、さらに、端末TEと接続関係を確立する(ステップS180)。以降、CPU30は、無線LANインタフェース60を無線親機として動作させ、端末TEが送信する通信パケットの中継動作を行うこととなる。こうして、無線子機モードとして動作している際の動作モード変更処理は終了となる。
上述した動作モード変更処理において、上記ステップS130,S170,S180以外の処理は、適宜省略することが可能である。また、CPU30が無線子機モードでの動作中に、定期的にビーコンを送信する構成を付加してもよい。かかる場合、CPU30は、無線通信の接続関係を確立するための所定のフレームを受信した場合にも、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを行う構成としてもよい。かかる所定のフレームとしては、アソシエーションリクエストやオーセンティケーションなどがある。こうすれば、端末TEがパッシブスキャンによって無線親機を検索して、無線親機としての携帯通信装置20に接続したい場合にも、好適に動作モードの切り替えを行うことができる。オーセンティケーションを受信して無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを行う場合には、当該オーセンティケーションをシェアードキー方式のオーセンティケーションに限定してもよい。こうすれば、ユーザが意図しない端末TEと携帯通信装置20とが接続されることがない。ただし、オーセンティケーションにオープンシステム方式のオーセンティケーションを含めても構わない。
A−2−2.無線親機モード動作時:
無線LANインタフェース60が無線親機モードで動作している場合の動作モード切替処理の流れを図4に示す。この処理は、携帯通信装置20のCPU30が無線親機モードでの制御を開始すると同時に開始される。図示するように、無線親機モードでの制御が開始されると、CPU30は、無線LANインタフェース60を介した通信パケットの受信後の経過時間の測定を開始する(ステップS210)。この測定する経過時間は、携帯通信装置20が無線LANインタフェース60を介して通信パケットを受信するたびにリセットされる。
経過時間の測定を開始すると、CPU30は、判断部34の処理として、アソシエートリストをチェックする(ステップS220)。アソシエーションリストとは、携帯通信装置20と、携帯通信装置20以外の無線子機(ここでは端末TE)との接続関係の確立および解除の状況を管理するためのリストである。本実施例では、CPU30は、このアソシエーションリストを用いて、判断処理の1つとして、端末TEとの接続関係の確立および解除の状況を管理している。具体的には、携帯通信装置20が端末TEからアソシエーションリクエストを受信して、端末TEとの接続関係を確立すると、CPU30は、端末TEのMACアドレスをアソシエーションリストに登録する。また、接続関係を確立済みの端末TEからディスアソシエーションリクエストを受信して、端末TEとの接続関係を解除すると、CPU30は、アソシエーションリストから端末TEのMACアドレスを消去する。
アソシエーションリストをチェックすると、CPU30は、チェック結果に基づいて、接続関係を確立中の無線子機である端末TEが存在するか否かを判断する(ステップS230)。その結果、接続関係を確立中の端末TEが存在しなければ(ステップS230:NO)、携帯通信装置20を無線親機として動作させる必要はないので、CPU30は、動作モードを無線親機モードから無線子機モードへ切り替える(ステップS280)。以降、CPU30は、無線LANインタフェース60を無線子機として動作させることとなる。
一方、接続関係を確立中の端末TEが存在すれば(ステップS230:YES)、端末TEは、無線親機として動作する携帯通信装置20と無線通信を行う可能性がある。ただし、端末TEは、携帯通信装置20との無線通信を行わなくなる際に、携帯通信装置20にディスアソシエーションリクエストを送信するとは限らない。そこで、CPU30は、以下の説明するように、更に、判断処理の1つとしてのアクティブ検出によって端末TEの生存確認を行う。
具体的には、CPU30は、最後に受信した通信パケットの受信から所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS240)。最後に受信した通信パケットとは、複数の端末TEがCPU30と無線LANで接続されている場合には、各々の端末TEから受信した全ての通信パケットのうちの最後に受信した通信パケットである。その結果、所定時間を経過していなければ(ステップS220:NO)、CPU30は、処理を上記ステップS220に戻す。この処理は、後述するステップS250の処理によって通信量が増加することを抑制するために行うものであって、省略可能である。
一方、所定時間を経過していれば(ステップS240:YES)、CPU30は、判断部34の処理として、端末TEに対してヌルデータを送信する(ステップS250)。通信可能な端末TEが存在する場合には、当該端末TEは、ヌルデータを送信して、その応答として、携帯通信装置20にACK(ACKnowledgement)フレームを送信することとなる。ヌルデータを送信すると、CPU30は、判断部34の処理として、端末TEが送信するACKフレームを受信したか否かを判断する(ステップS260)。かかるステップS250,S260の処理は、判断処理の1つとして実行される。CPU30がACKフレームを受信すれば、端末TEが通信可能に存在するということであり、ACKフレームを受信しなければ、通信可能な端末TEが存在しなくなっているということである。
判断の結果、ACKフレームを受信すれば(ステップS260:YES)、端末TEが通信可能に存在するということであるから、以降も端末TEが携帯通信装置20に通信パケットを送信する可能性が高いので、CPU30は、上記ステップS210で計測を開始した計測時間をリセットし(ステップS270)、処理をステップS210に戻す。このことは、CPU30が無線親機モードでの制御を維持することを意味する。こうすれば、ユーザが無線親機モードでの動作を所望しているにもかかわらず、通信パケットの送信間隔がたまたま長くなっただけで動作モードが切り替わることがない。
一方、ACKフレームを受信しなければ(ステップS260:NO)、通信可能な端末TEが存在しなくなっており、以降、端末TEが携帯通信装置20に通信パケットを送信することは予定されないので、CPU30は、動作モードを無線親機モードから無線子機モードへ切り替える(ステップS280)。こうして、無線親機モードとして動作している際の動作モード変更処理は終了となる。
上述した動作モード変更処理では、携帯通信装置20がヌルデータを送信し、その応答を確認することによって、アクティブ検出による端末TEの生存確認を行う構成としたが、アクティブ検出は、端末TEにデータフレームを送信し、その応答を確認するものであればよい。例えば、ヌルデータに代えて、あるいは、加えて、pingを用いたエコーリクエストを送信する構成としてもよい。端末TEは、エコーリクエストを受信すると、その応答としてエコーリプライを送信するので、CPU30がエコーリプライを受信した場合には、端末TEが通信可能に存在し、エコーリプライを受信しなければ、端末TEが通信可能に存在しないと判断することができる。これらのように、アクティブ検出を行うことによって、端末TEの生存確認を精度良く行うことができる。
このようなアクティブ検出において、CPU30は、ヌルデータやエコーリクエストを複数回送信して、1度でも応答を受信すれば、端末TEが通信可能に存在すると判断してもよい。あるいは、ヌルデータとエコーリクエストとの両方を送信し、少なくとも一方の応答があれば、端末TEが通信可能に存在すると判断してもよい。これらのような構成とすれば、端末TEの存在の有無の判断精度を向上させることができる。
A−3.効果
かかる構成の携帯通信装置20は、移動体通信インタフェース50と、無線子機または無線親機として排他的に動作する無線LANインタフェース60とを備え、無線子機モードと無線親機モードとを切り替えて制御する。したがって、無線子機モードの制御を行う際には、携帯通信装置20は、アクセスポイントAPを介して、端末TEと通信を行うことができる。アクセスポイントAPがインターネットINTに接続されていれば、携帯通信装置20は、アクセスポイントAPを介して、インターネットINTにアクセスすることもできる。さらに、携帯通信装置20は、移動体通信インタフェース50を介した通信によってインターネットINTにアクセスすることもできる。また、無線親機モードでの制御を行う際には、携帯通信装置20は、移動体通信インタフェース50を介した通信によってインターネットINTとの通信を行うことができるとともに、端末TEに無線親機としての機能を提供して、端末TEに移動体通信インタフェース50を介した通信によってインターネットINTとの通信を行わせることができる。
したがって、携帯通信装置20のユーザと端末TEのユーザとが同一であり、当該ユーザが端末TEからインターネットINTにアクセスしたい場合に、当該ユーザは、携帯通信装置20を介して、端末TEからインターネットINTにアクセスすることができる。また、携帯通信装置20のユーザと端末TEのユーザとが同一ではなく、携帯通信装置20のユーザが携帯通信装置20の無線LAN機能を使用していない場合に、端末TEのユーザは、使用されていない携帯通信装置20の無線LAN機能を有効に活用して、端末TEからインターネットINTにアクセスすることができる。しかも、携帯通信装置20は、無線子機モードと無線親機モードとを通信環境に応じて自律的に切り替えるので、ユーザは、無線子機モードと無線親機モードとを切り替える手間が省け、利便性が向上する。
また、携帯通信装置20は、無線子機モードによる動作中に所定のプローブリクエストを受信すると、携帯通信装置20の動作を、無線子機モードから無線親機モードに切り替える。所定のプローブリクエストを受信したということは、携帯通信装置20が置かれた通信環境において、無線親機としての携帯通信装置20に接続したい端末TEが存在するこということであるから、通信環境に応じた切り替えを好適に実現することができる。
また、携帯通信装置20は、携帯通信装置20以外の無線親機であるアクセスポイントAPが存在する通信環境においては、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを禁止する。無線子機モードは、ビーコンを送信する必要がなく、無線親機モードと比べて通信装置の消費電力が小さくなるので、かかる構成によって携帯通信装置20の消費電力を低減することができる。その結果、携帯通信装置20の電源としての二次電池の限りある容量を有効活用することができる。なお、このようにしても、端末TEは、アクセスポイントAPとの間で無線LANに準拠した無線通信を行うことができるので、ユーザに支障は生じない。また、携帯通信装置20は、動作モード切替処理を実行するにあたって、動作モードのデフォルトは、無線子機モードに設定されているので、携帯通信装置20の消費電力を低減することができる。
B.第2実施例:
本発明の通信装置の第2実施例について説明する。第2実施例のとしての携帯通信装置20のハード構成は、第1実施例と同様である。第2実施例としての携帯通信装置20が第1実施例と異なる点は、無線親機モードとして動作している際の動作モード変更処理の流れのみである。以下、この異なる点についてのみ図5を用いて説明する。なお、図5において、第1実施例と同一内容の処理については、図4と同一の符号を付して、説明を簡略化する。
図示するように、無線親機モードでの制御が開始されると、CPU30は、無線LANインタフェース60を介した通信パケットの受信後の経過時間の測定を開始し、判断処理の1つとして、通信パケットの受信を監視する(ステップS210)。そして、CPU30は、判断部34の処理として、アソシエートリストをチェックする(ステップS220)。アソシエーションリストをチェックすると、CPU30は、接続関係を確立中の無線子機である端末TEが存在するか否かを判断する(ステップS230)。その結果、接続関係を確立中の端末TEが存在しなければ(ステップS230:NO)、CPU30は、動作モードを無線親機モードから無線子機モードへ切り替える(ステップS280)。
一方、接続関係を確立中の端末TEが存在すれば(ステップS230:YES)、CPU30は、パッシブ検出によって端末TEの生存確認を行う。具体的には、CPU30は、判断部34の処理として、最後に受信した通信パケットの受信から所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS320)。最後に受信した通信パケットとは、複数の端末TEがCPU30と無線LANで接続されている場合には、各々の端末TEから受信した全ての通信パケットのうちの最後に受信した通信パケットである。その結果、所定時間を経過していなければ(ステップS320:NO)、CPU30は、処理を上記ステップS220に戻す。一方、所定時間を経過していれば(ステップS320:YES)、携帯通信装置20が置かれた通信環境において、通信可能な端末TEが存在しなくなっている可能性が高いということである。そこで、CPU30は、動作モードを無線親機モードから無線子機モードへ切り替える(ステップS280)。こうして、無線親機モードとして動作している際の動作モード変更処理は終了となる。
以上の説明からも明らかなように、第2実施例では、通信パケットの受信状況を監視し、受信した通信パケットの受信間隔に基づいて、パッシブ検出による端末TEの生存確認を行っている。かかる構成によれば、アクティブ検出を行う場合と比べて、処理を簡略化することができ、効率的である。しかも、無線LANインタフェース60を用いた通信量を低減することができるので、通信負荷が低減される。
C.第3実施例:
本発明の通信装置の第3実施例としての携帯通信装置420について説明する。携帯通信装置420が第1実施例と異なる点は、携帯通信装置420の構成と、無線子機モードで動作している場合の動作モード切替処理の流れである。以下、携帯通信装置420について、第1実施例と異なる点についてのみ説明し、共通する点については説明を省略する。第3実施例としての携帯通信装置420の概略構成を図6に示す。図6において、第1実施例と共通する構成については、図2と同一の符号を付して説明を省略する。携帯通信装置420は、CPU430が受付部435および設定情報提供部436としても機能する点と、自動設定スイッチ475を備えている点とが第1実施例と異なる。受付部435および設定情報提供部436の機能については後述する。
自動設定スイッチ475は、無線LANインタフェース60を用いた無線通信の設定に関する設定情報を自動設定するAOSS(AirStation One-Touch Secure System、株式会社バッファローの登録商標)の動作の起動指示を与えるための手動スイッチである。AOSSでは、無線親機と無線子機とにユーザが所定の起動指示を与えると、無線親機と無線子機との間で非対称なプロトコルが実行され、無線LAN通信によって、無線親機がネットワーク機器の暗号・認証等の設定情報を無線子機に提供する仕組みである。AOSSは周知の技術であるので、詳しい説明は省略するが、無線親機は、AOSSの起動指示を受け付けると、設定要求の待機状態に移行する。一方、無線子機は、AOSSの起動指示を受け付けると、無線親機に設定要求を送信する。無線親機は、設定要求の待機状態で設定要求を受信すると、無線子機との間で無線LAN通信を行って、設定情報を無線子機に提供する。無線子機は、提供された設定情報を自機に設定して、無線親機との接続関係を確立することとなる。
自動設定スイッチ475は、設定情報を自動設定するためのインタフェースであればよく、例えば、CPU30がWPS機能を実現可能な場合には、WPSスイッチなどであってもよい。また、自動設定スイッチ475に代えて、ディスプレイ70に表示されるGUIなどで、起動指示を与える構成であってもよい。
かかる携帯通信装置420で実行される、無線子機モードで動作している場合の動作モード切替処理の流れを図7に示す。図示するように、動作モード切替処理が開始されると、携帯通信装置420のCPU430は、まず、受付部435の処理としてAOSSの起動指示を受け付けたか否か、すなわち、自動設定スイッチ475がユーザによって押下されたか否かを判断する(ステップS510)。この処理は、AOSSの起動指示を受け付けるまで継続的に行われる(ステップS510:NO)。そして、AOSSの起動指示を受け付けると(ステップS510:YES)、CPU430は、動作制御部33の処理として、動作モードを無線子機モードから無線親機モードへ切り替える(ステップS520)。
動作モードを切り替えると、CPU430は、AOSSの起動指示を受け付けた端末TEが送信する設定要求を受信し、設定情報提供部436の処理として、無線LANインタフェース60を用いた無線通信によって、端末TEに設定情報を提供する(ステップS530)。こうして、無線子機モードとして動作している際の動作モード変更処理は終了となる。なお、かかる動作モード変更処理は、第1実施例または第2実施例の動作モード変更処理と並行的に実行されてもよいことは勿論である。
かかる構成の携帯通信装置420は、AOSSなどによって、無線親機としての携帯通信装置420から、無線子機としての端末TEに設定情報を自動的に提供させて、端末TEの無線通信設定を行いたい通信環境においても、通信環境に応じた切り替えを好適に実現することができる。
上述した実施形態の変形例について説明する。
D:変形例:
D−1.変形例1:
上述の実施形態においては、移動体通信インタフェース50や無線LANインタフェース60がCPU30と別体で設けられた構成について示したが、これらの少なくとも一方は、CPU30に内蔵されていてもよい。こうした構成は、WiSoC(Wireless System on a Chip)として知られている。また、上述の実施形態においては、携帯通信装置20は、移動体通信インタフェース50を内蔵した構成としたが、携帯通信装置20は、必ずしも移動体通信インタフェース50を内蔵している必要はなく、移動体通信インタフェース50と接続可能なインタフェースを備えていてもよい。こうしたインタフェースとしては、USB(Universal Serial Bus)、SDIO(Secure Digital Input/Output)など、種々のものを用いることができる。かかるインタフェースに、移動体データ通信が可能なデータ通信カード、例えば、モデムを内蔵したUSBモデムなどを接続しても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。しかも、移動体通信インタフェース50を着脱式とすれば、複数のキャリアが各々に提供する移動体通信網を使い分けたい場合に、所望の移動体通信インタフェース50を接続すればよいので、利便性が向上する。また、既存品よりも高速な通信が行える移動体通信インタフェース50が市場に導入され、これを使用したい場合には、移動体通信インタフェース50のみを交換すれば足り、携帯通信装置20を買い換える必要がないので、ユーザの利便性が向上するとともに、省資源化に資する。
D−2.変形例2:
上述した実施形態では、動作モード切替処理における各処理を固定的に実行する構成について示したが、動作モード切替処理の内容は、状況に応じて、変化させてもよい。例えば、二次電池92の残容量が所定値以下となっている場合には、省電力化モードでの処理に切り替えてもよい。省電力化モードでの処理としては、例えば、上記ステップS220やステップS320の所定時間を相対的に短く変化させて設定してもよい。こうすれば、携帯通信装置20が無線親機モードで動作している時間を相対的に短縮できるので、ビーコンを送信する期間が短くなり、また、移動体通信インタフェース50と無線LANインタフェース60とを同時動作させる期間が短くなり、省電力化を図ることができる。あるいは、省電力化モードでの処理として、無線親機モードでの動作中にビーコンの送信を禁止する構成を採用してもよい。さらに、無線子機モードでの動作時にビーコンを送信する構成とする場合には、省電力化モードでの処理として、当該ビーコンの送信を禁止する構成を採用してもよい。勿論、省電力化モードへの切り替えは、ディスプレイ70に表示されるGUIなどを用いて、手動操作で行える構成としてもよい。
D−3.変形例3:
上述の実施形態においては、二次電池92の残容量が所定値以下となった場合や、温度検出部80による検出温度が所定値以上となった場合には、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを禁止する構成ついて示したが、かかる構成に加えて、あるいは、代えて、無線親機モードでの動作中に、二次電池92の残容量が所定値以下となった場合や、温度検出部80による検出温度が所定値以上となった場合に、強制的に無線親機モードから無線子機モードへ切り替える構成としてもよい。
D−4.変形例4:
上述の実施形態においては、二次電池92の出力電圧から二次電池92の残容量を判断する構成について示したが、残容量の判断手法は、特に限定するものではない。例えば、二次電池92を収納する電源受付部90に物理的あるいは光学的に二次電池92の収納を検知するセンサを設け、二次電池92が新たに収納されてからの動作時間を計測し、当該動作時間から二次電池92の利用可能な蓄電量を推測する構成としてもよい。このように動作時間から推測する構成を採用する場合には、無線親機モードでの動作時間と、無線子機モードでの動作時間とを分けて計測して、二次電池92の利用可能な蓄電量を推測してもよい。こうすれば、無線親機モードと無線子機モードとでは、消費電力が大きく異なるので、利用可能な蓄電量の推測精度を向上させることができる。
D−5.変形例5:
図3に示した動作モード切替処理においては、携帯通信装置20以外の無線親機が存在する場合には、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを禁止する構成について示したが、かかる構成を変形することもできる。例えば、携帯通信装置20以外の無線親機がビーコンの受信によって検出された場合であっても、当該ビーコンのRSSI(Received Signal Strength Indication)が所定値よりも低ければ、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを許容する構成としてもよい。あるいは、携帯通信装置20以外の無線親機がビーコンの受信によって検出された場合に、当該無線親機との間で接続関係を確立し、所定数の通信パケットを当該無線親機に送信することによって、PER(Packet Error Rate)を計測し、PERが所定値以上である場合に、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを許容する構成としてもよい。これらのように、携帯通信装置20が、検出された無線親機の通信状態を判断し、無線親機の通信状態が良好でない場合には、無線子機モードから無線親機モードへの切り替えを許容する構成とすれば、端末TEは、良好な通信状態で端末TEを用いた無線通信を行うことができる。
D−6.変形例6:
上述の実施形態においては、本発明の通信装置の一例として、携帯通信装置20としての構成を例示したが、本発明の通信装置は、種々の通信装置、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型ルータ装置、携帯電話などとして実現することができる。特に、本発明の通信装置を携帯電話として実現する場合には、ユーザの利便性が向上する。具体的には、携帯電話は、近年、だれもが所持し、持ち歩くものであるから、通信手段として無線子機機能のみを搭載した情報処理装置を使用するユーザは、携帯電話さえ携帯していれば、特別な装置を別途携帯しなくても、当該情報処理装置と携帯電話とを用いて、移動体通信網を利用可能などのような場所からでもインターネットINTにアクセスすることが可能となる。
また、これらの通信装置は、移動体通信インタフェース50および無線LANインタフェース60以外のインタフェースを備えていてもよい。例えば、通信装置は、有線LANインタフェースを備え、有線LANインタフェースと無線LANインタフェース60とを介した通信パケットの中継を行うイーサネット(イーサネットは登録商標)コンバータとして構成されてもよい。かかる場合、有線LANインタフェースに、映像データ、音声データなどの各種データの入出力装置を接続すれば、端末TEは、通信装置を介して、有線LANインタフェースに接続された機器と各種データの入出力を行うことができる。あるいは、通信装置は、USBインタフェースを備えていてもよい。かかる場合、USBインタフェースに可搬式のハードディスクドライブなどの記憶装置を接続すれば、端末TEは、当該記憶装置との間で、データの入出力を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態における本発明の構成要素のうち、独立クレームに記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略、または、組み合わせが可能である。また、本発明はこうした実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、本発明は、通信装置としての構成のほか、通信装置に用いる通信制御プログラム、当該プログラムを記録した記憶媒体、無線LANインタフェースの動作制御方法等としても実現することができる。