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JP5649766B2 - 柱と梁との接合部構造 - Google Patents
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JP5649766B2 - 柱と梁との接合部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄骨造ラーメン架構における柱と梁との接合部構造に関するものである。
鉄骨ラーメン構造の建築物において柱と梁とを高力ボルト等のボルトにて接合する場合、従来から柱側の梁との接合部(以下、「柱側の梁との接合部」を「梁接合部」とする)の肉厚を増すことによって梁接合部の剛性を高めることが一般的に行われてきた。例えば、特許文献1では、角形鋼管柱2の梁接合部に該角形鋼管柱2よりも厚肉の鋳鋼製の接合金物3を溶接によって取り付け、梁接合部の剛性を高める技術が開示されている。また、特許文献2では、鋼管柱11の長手方向の一部に誘導加熱および圧縮によって厚肉部11aを設けて、該厚肉部11aに梁を接合する技術が開示されている。
一方、建物の高さ制限の厳しい地域に建てられることの多い戸建住宅において、高さ制限の範囲内で快適かつ有効な居住空間を構成する為の工夫として、特許文献3に示すように一部のグリッドにおいて中間階層の床レベルを変更し、階高の増した下層階をリビングルーム等のパブリックな空間として利用し、階高の減少した上部階を収納空間として利用することが提案されている。このような空間構成とすることによって、建物の高さを増すことなく天井が高く日照や採光も確保しやすい快適な空間を下層階に構成することができ、また、その上部の天井高が減少し居住に適さない空間も有効に活用することができる。
特開昭61−113941号公報 特開平7−292771号公報 特開平6−323010号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術の場合、接合金物の溶接作業という工程が梁接合部の数だけ必要となり手間がかかりコストアップにつながるという問題があった。また、大きな曲げモーメントの作用する梁接合部近傍での溶接作業を伴うので、熱の影響による材質の劣化や溶接欠陥等の問題が生じないように全ての梁接合部について、細心の注意を払って品質管理を行う必要が生じていた。
また、特許文献2に開示された技術は、加熱装置9や圧縮装置4等を含む特殊かつ複雑な厚肉加工装置が必要であり高コストかつ簡易に行い得るものではない。また、厚肉部11aの肉厚を一定に保つように装置を制御することは実際には困難なことであった。更に、溶接の工程を省略することができるので溶接欠陥の問題は解消されるものの、鋼管を圧縮することにより肉厚を増す為、鋼管に内部歪が残留する。その為、後工程として熱処理を行い歪を除去する必要があった。
また、鉄骨ラーメン構造の建物において特許文献3に開示されたような空間構成とする為には、中間階層の一部の梁の接合レベルを変更する必要がある。この場合、上記特許文献1、2いずれの技術を利用したとしても、柱と梁との接合は特殊な加工のされた厚肉の梁接合部に限定される為、厚肉の梁接合部を夫々の梁接合レベル毎に設けなければならず更に手間とコストがかさむという問題があった。
特に、柱や梁等の部材の断面寸法が規格化された工業化住宅においては、設定された梁レベルに応じて予め厚肉の接合部を複数形成しておく、或いは柱のバリエーションを複数用意しておく必要がある為、部材品種が膨大になるという問題があった。また、和室や浴室の床面と一般部の床面との段差を解消する為に一部床のレベルを50mmから100mm程度下げる場合、床を支持する梁のレベルを床下げのレベルに応じて下げる必要があるが、この場合、1本の柱に接合する複数の梁どうしが高さ方向にラップするような構成に対応させようとすると、厚肉の梁接合部のバリエーションも増加させざるを得なくなり更に複雑な部材構成とする必要があった。従って、工業化住宅のメリットのひとつである部材の規格化によるコスト削減効果が薄らいでしまうという問題があった。
本発明は、従来技術の問題を解決し、鉄骨ラーメン構造における柱と梁との接合部を簡易かつ高い品質をもって構成することができ、更に、一部の梁の接合レベルの変更にも容易に対応することが可能な柱と梁との接合部構造を提供することを目的とする。
上記従来技術の課題を解決する為の本発明に係る柱と梁との接合部構造の第1の構成は、重層の鉄骨造ラーメン架構におけるボルト接合による柱と梁との接合部構造であって、前記柱は、少なくとも柱脚部から2階の梁接合部までの範囲、もしくは少なくとも連続する2つの階の梁接合部を含む範囲が、横断面内に溶接による継目が存在しない均一な肉厚を有する角形鋼管からなり、前記角形鋼管の肉厚は、地震力の作用によって前記梁の崩壊が始まる時点で前記ボルトの引抜力によって生ずる前記柱の面外変形が制限されるとともに前記ボルトの引抜力によって前記梁接合部から前記ボルトが抜けて接合が解除されることがないように設定されたことを特徴とする。
また、本発明に係る柱と梁との接合部構造の第2の構成は、前記鉄骨造ラーメン架構は工業化住宅に適用されるものであり、前記柱の均一な肉厚を有する角形鋼管からなる部分には、所定の層における梁接合部が高さ方向に予め複数形成され、前記角形鋼管の肉厚は前記複数の梁接合部のうち最も高い位置にある梁接合部に前記梁を接合した状態を想定して設定されており、前記複数の梁接合部の中から選択された梁接合部に梁を接合して構成されたことを特徴とする。
本発明に係る柱と梁との接合部構造の第1の構成によれば、梁接合部において柱が角形鋼管で構成されその肉厚がボルトの引き抜き力に基づいて設定されているので、柱に対して特に高強度の接合金物を付加したり厚肉部を設けるなどといった補強を施すことなく、ボルト孔を穿つという簡易な作業で梁接合部を構成することができる。従って、梁接合部の加工工程を大幅に簡略化することができる。
また、梁接合部の加工工程において溶接等による部材の接合作業が不要であるので、接合の精度によって部材の寸法精度が低下する虞がなく、また、加熱による材質の劣化が生じないので強度面での信頼性が向上する。
更に、均一な肉厚を有する角形鋼管の肉厚は、柱と梁との接合に使用される引張力が作用するボルトの引抜力に基づいて設定され、且つ同一断面部のどの位置においても均一であるので、均一な肉厚を有する角形鋼管の範囲内において任意の位置にボルト孔を穿つだけで梁接合部を構造上問題なく構成することができる。従って建物の階高の設定を従来技術のように手間やコストをかけることなく容易に行うことができる。
特に、本発明を工業化住宅等の部材が規格化された建物に適用した場合、ボルト孔を付加するだけで階高の設定を自由に行うことができるので、部材のバリエーションを増加させることなく単一品種の柱で多様な顧客のニーズへの対応力を高めることができる。
本発明に係る柱と梁との接合部構造の第2の構成によれば、柱の均一な肉厚を有する角形鋼管からなる部分には所定の階層における梁接合部が高さ方向に予め複数形成され、前記複数の梁接合部の中から選択された梁接合部に梁を接合するので、全く同一の柱を用いて梁の接合レベルの変更を容易に行うことができる。
また、新築時のみならず改築工事においても床レベルを変更するという一般的には大掛かりな工事が溶接等の部材加工が不要なので比較的容易に行うことができる。
以下に、本発明に係る柱と梁との接合部構造の最も好ましい形態について説明する。本発明は、重層の鉄骨造ラーメン架構のボルト接合による柱と梁との接合部構造において、特に柱を均一な肉厚を有する角形鋼管で構成することで構造安全性を確保しつつ合理的な構成を実現するものである。本発明が適用される鉄骨造ラーメン架構は、2階建て以上の重層の架構であればよく、階層に特に制限はない。
本発明に使用する柱は、均一な肉厚を有する角形鋼管で構成された部分を有し、この角形鋼管で構成された部分に少なくとも1箇所の梁接合部を有するように構成されていればよい。この条件を除いて上記角形鋼管と他の角形鋼管との接合部の位置や接合数に制限はなく、構造物に作用する応力や柱の製作コスト等を考慮して適宜決定すればよい。
均一な肉厚を有する角形鋼管とは、継目部と一般部で肉厚の違いが無く等厚であるということである。このような構成の角形鋼管としては、継目無、即ち横断面内に溶接による継目が存在しない角形鋼管(いわゆるシームレスパイプ)、溶接組み立て箱型断面柱、冷間成形角形鋼管、熱間成形角形鋼管などがあるが、製造の過程で溶接が不要のシームレスパイプが好ましい。
均一な肉厚を有する角形鋼管と他の略同一外形の角形鋼管とを接合して柱の断面を途中で変更する場合、その接合部(以下、角形鋼管どうしの接合部を「柱・柱接合部」とする)は溶接、ボルト接合いずれの方法によって接合されていてもよく、公知の技術を利用して構成することができる。尚、柱・柱接合部は、大きな応力の作用する梁接合部近傍は避けて作用する応力が小さく影響の少ない中間部分で接合するのが好ましい。
柱と梁とを接合する引張力が作用するボルトの引抜力は、梁に作用する曲げモーメントにより生じるもので、梁接合部に面する柱フランジ面に面外変形を生じさせるものである。梁接合部の柱フランジ面に充分な強度と剛性がなければ柱が破壊したり、梁端部に回転が生じ建物の水平方向の変形が過大になるという問題が生じる。また、柱にネジを切ったボルト孔を穿ちボルトを螺合してボルト接合する場合、ボルトの引抜力に耐え得るボルト孔のネジ部の強度が求められ、充分な強度が確保されない場合は、ボルトが抜けて柱と梁との接合が解除され、床が落下して建物が倒壊に至る。また、ボルト孔にネジを切らずに公知のワンサイドボルトを用いてボルト接合する場合もボルト孔周辺の強度が確保されていない場合はボルトが抜けて柱と梁との接合が解除され建物が倒壊に至る。
一般に重層の門型ラーメン架構において地震力を想定した水平荷重を作用させた場合、各層とも梁端部(柱との接合部)に作用する曲げモーメントは、梁接合レベルが高いほど(柱脚部から接合部までの高さが大きくなるほど)大きい。従って、本発明に使用する柱の均一な肉厚を有する角形鋼管の肉厚は、想定される梁接合レベルの範囲内で梁端部に作用する応力が最も大きくなる場合、柱が変形・破断することなく構造安全性が確保されるように設定したものである。つまり、均一な肉厚を有する角形鋼管において想定される梁接合レベルのうちもっとも高いレベルにおいて、フランジ近傍の最も大きな引抜力が作用するボルト孔周囲において、柱が変形・破断することなく構造安全性が確保されるように設定したものである。
本発明に使用する梁は、H形鋼、溝形鋼、鋼管等ラーメン架構を成立させ得る強度を有するものであればよく、特に限定されるものではない。また、2階以上の柱だけでなく、1階の柱脚部に接続する基礎梁をボルト接合する事もできる。その場合、基礎梁の少なくとも柱に接合する端部は鉄骨製または鉄骨コンクリート製である事が望ましい。
本発明における柱と梁との接合部の形式は、ボルト接合によって剛接合を実現する形式、即ち柱と梁との間で曲げモーメントを伝達するように設計された形式であればいかなるものでもよく、特に限定されるものではない。例えば、梁の端部に柱との接合面を有する接合プレートを溶接等によって取り付け該接合プレートを柱側の梁との接合面に当接し高力ボルト等にてボルト接合する形式や、柱側の梁との接合面に一対のT字状断面の接合金物(所謂スプリットティー)を接合した上で該接合金物と梁の上下フランジの端部とを高力ボルト等によってボルト接合する形式などを適用することができる。
本発明に使用するボルトは、柱の内面側にナットやネジ孔加工された補強板等の溶接が不要なワンサイドボルトが好ましい。ワンサイドボルトのうち柱の内面側にボルトを突出させ該突出部にバルジを形成して締結する形式は、柱の肉厚が増すほど隣接するボルト相互の干渉の問題が生じやすくなる。このような場合、柱のボルト孔にネジを切ってボルトを螺合する形式のボルトとすることが好ましい。また、締結トルク管理の容易なトルシア型ボルトであることが好ましい。このようなボルトとしては、実公平5−575号公報に開示された特殊高力ボルトがある。
(第1実施例)
次に、本発明の第1実施例を、図を用いて具体的に説明する。本実施例は、3階建て鉄骨ラーメン構造の工業化住宅における柱と梁との接合部構造の例である。図1は本実施例の架構の平面的グリッド構成を示す図である。図2は本実施例の架構の全体構成を示す図である。図3は本実施例に使用される柱と大梁との接合部を示す図である。図4は本実施例に使用される柱を示す図である。図5は同一の部材を使用して、階高(天井高)を変更した架構の側面図である。
図1、2に示すように、本実施例の住宅は、複数の平面グリッドからなる総3階の建物である。図2に示すように、基本架構は、1層から3層まで連続した通し柱形式の複数の柱1と、各階層において隣接する柱1どうしを連結する複数の大梁2とからなり、桁行き方向が3スパン、妻方向が2スパンで合計6つの平面グリッドにより構成され、格子状に連続した基礎3の上部に構築されている。なお、柱脚部は特開平01−203522号公報に開示された露出型固定柱脚工法にて基礎に接合されている。
この基本架構を構築したのち、相対する大梁2の間に小梁を適宜架け渡した上でALC(軽量気泡コンクリート)からなる床パネルを梁の上フランジに載置して床が構成され、外周部の大梁2にALCからなる壁パネルを取り付けることによって外壁が構成されて躯体が完成する。
図3に示すように、柱1に接合される大梁2はH形鋼からなり、全ての階層における全ての大梁2は梁成が250mm、フランジの幅が125mm、フランジの厚みが9mm、ウェブの厚みが6mmに統一されている。大梁2の柱1との接合部は、大梁2の両端部に溶接された接合プレート2aによって構成され、接合プレート2aには、横方向には中心から左右対称に2列、縦方向には等間隔に4段、同一径の孔2bが計8箇所穿たれている。孔2bのうち上部2段と最下段の計6個の孔が柱1との接合に使用するボルト4を挿通する為の孔である。なお、下から2段目の孔2個は接合作業の際「シノ」を挿し込んで位置合わせを行う為の孔であり、柱と梁との接合には使用しない。上記構成は寸法も含め全ての階層の全ての大梁2に共通している。
図4に示すように、柱1は、外形寸法が150mm角の角形鋼管からなる通し柱となっており、柱脚プレート1aの接合部から中途部分に形成された柱・柱接合部1bまでの部分(下部柱1cとする)は22mm肉厚を有する継目無の角形鋼管(即ち横断面内に溶接による継目が存在しないシームレスパイプ)で長さ方向について接合部を有することなく構成され、これより上部(上部柱1dとする)は外形寸法は下部柱1cと同一ではあるが下部柱1cよりも薄い4.5mm乃至6.0mmの肉厚を有する角形鋼管で構成されている。
柱1は、各階層の標準的な階高(大梁上端面間の離間寸法)が2870mmとなるように大梁2の基準接合レベルが設定されており、柱1の全ての面には各階大梁2の基準接合レベルに合わせて、大梁2の接合プレート2aの孔2bに対応するようにネジが切られた孔1hが穿たれて大梁2との接合部(第1の梁接合部)1e1、1f1、1g1が形成されている。大梁2の孔2bと同様に、上部2段と最下段の計6個の孔1hが、大梁2と接合するボルト4を螺入する孔であり、下から2段目の孔2個は位置合わせ用の孔である。
更に、2階の基準接合レベル(第1の梁接合部1e1)から下方向1000mmの位置と上方向1000mmの位置には、第1の梁接合部1e1と同様の構成で第2の梁接合部1e2と第3の梁接合部1e3が形成されている。また、3階においても同様に基準接合レベル(第1の梁接合部1f1)から下方向1000mmと上方向1000mmの位置には、第1の梁接合部1f1と同様の構成で第2の梁接合部1f2と第3の梁接合部1f3が形成されている。
柱・柱接合部1bは、特開平6−180026号公報や特開平8−60740号公報等に記載された公知の接合部構造によって3階大梁の第3の梁接合部1f3の上方に形成されている。
下部柱1cを構成する角形鋼管の肉厚は、前述したように大梁2の端部に最も大きな曲げモーメントが作用し、ボルトに最も大きな引抜力(高力ボルト1本当たり245kN)が作用する接合レベルにおいて下記手順により構造安全性の確認がなされている。
(1) 所定の材料強度と断面寸法を有する大梁2に対して保有耐力接合(柱との接合部の崩壊が大梁の崩壊に先行しないような接合)を満足するボルト4の引抜力を求める。(即ち、梁の崩壊がはじまる時点での、最も大きな引抜力の作用する上端および下端のボルト4の引抜力を求める。)
(2) 求めたボルト4の引抜力に基づいて柱の断面を仮定する。
(3) 3階大梁接合部の第3の梁接合部1f3に3階大梁2を接合した状態を想定して応力を計算し、部材応力が許容値以下であることを確認する。
大梁2と柱1とは、図3に示すように、実公平5−575号公報に開示されたボルト(特殊高力ボルト)4によりボルト接合されている。
大梁2は、基本的に第1の梁接合部1e1、1f1、1g1を使用して柱1に接合され基準接合レベルに設定されているが、躯体を構成するグリッドのうち図1において斜線で示したグリッドG1については1階の階高を大きくとる為に2階レベルにおいて第3の梁接合部1e3を用いて大梁2を接合し接合レベルを基準接合レベルよりも上げている。
また、基準階高のグリッドGと階高を変更したグリッドG1との境界部については、図示しないALCパネルからなる床を適宜小梁を架設した上で夫々のレベルに合わせて構成する。このため、夫々の接合レベルに大梁2が接合されており、第1の梁接合部1e1を使用して接合された大梁2と第3の梁接合部1e3を使用して接合された大梁2とが並存するように構成されている。
このように構成することによって1階の階高(天井高)を部分的に高くとることができ、1階の窓をより高い位置に配置することも可能となり、採光が確保しにくい1階部分を明るく開放的な空間とすることができる。また、階高の低くなった2階部分は収納空間として活用することで室内空間を無駄なく活用することができる。
上記実施例では1階の階高(天井高)を部分的に高くしたが、同一の部材を用いて、図5(a)に示すように、2階大梁2を第2の梁接合部1e2を用いて接合することにより部分的に2階の階高を大きくとることも可能である。この場合、2階の階高を大きくとった領域をリビングルームとして、階高の小さくなった1階部分を大きな階高を必要としないピロティー車庫や収納空間として利用することで、室内空間を無駄なく活用することができる。
また、図5(b)に示すように、3階大梁2の接合を第2の梁接合部1f2を用いることにより、3階大梁2の接合レベルを下げ、3階の階高を大きくとることや、図5(c)に示すように、3階大梁2の接合を第3の梁接合部1f3を用いることにより3階大梁2の接合レベルを上げ、2階の階高を大きくとることも可能である。
上記実施例は一部グリッドの大梁2の接合レベルを変更した例であるが、全てのグリッドについて大梁2の接合レベルを変更することも無論可能である。
上述の如く、所定の層における梁接合部1e、1fが高さ方向に予め複数形成され、複数の梁接合部1e1〜1f3の中から選択された梁接合部に大梁2をボルト4にて接合する。
これにより、全く同一の柱1を用いて梁の接合レベルの変更を容易に行うことができる。また、設定される大梁2の接合レベルに応じて特殊な加工を施したり特殊な部材を付加することなく、同一の部材構成で容易に階高を変更することができ、建物の階高の設定を従来技術のように手間やコストをかけることなく容易に行うことができる。また、構造安全性が確保された柱と梁との接合部構造とすることができる。また、ボルト孔1hを付加するだけで階高の設定を自由に行うことができるので、部材のバリエーションを増加させることなく単一品種の柱で多様な顧客のニーズへの対応力を高めることができる。
また、柱1に対して特に高強度の接合金物を付加したり厚肉部を設けるなどといった補強を施すことなく、ボルト孔1hを穿つという簡易な作業で梁接合部1e、1fを構成することができるので、梁接合部1e、1fの加工工程を大幅に簡略化することができる。
また、梁接合部1e、1fの加工工程において溶接等による部材の接合作業が不要であるので、接合の精度によって部材の寸法精度が低下する虞がなく、また、加熱による材質の劣化や溶接欠陥等が生じないので強度面での信頼性が向上する。
また、新築時のみならず改築工事においても床レベルを変更するという一般的には大掛かりな工事が溶接等の部材加工が不要なので比較的容易に行うことができる。
また、柱1に均一な肉厚を有する角形鋼管を用いたことにより、特殊かつ複雑な厚肉加工を行う必要がなく、コストを押えることができるとともに、肉厚を増す際に発生する内部歪が発生することもない。
(第2実施例)
次に第2実施例について図6を用いて説明する。第1実施例では、柱1側の各層の梁接合部1e、1fは離隔した位置に設定されてひとつの梁接合部につき8個の孔1hが形成されていたが、孔1hの径は同一であるので、図6に示すように、孔1hを縦方向について等間隔で5段以上連続して形成する。そして、複数の孔1hから使用する孔1hを選択することで、大梁2の接合レベルを縦方向の孔1hのピッチの整数倍のピッチで変更することができる。従って、大梁2の接合レベルをより細かく設定すると共に、同一の柱1に接合される大梁2どうしの接合レベルを微妙にずらすことが可能となる。例えば、孔1hの縦方向のピッチを50mmに設定しておき、60mm程度の厚みを有する畳敷きの床の領域において大梁2の接合レベルを1ピッチ分下方にずらすことにより床レベルを50mm下げることができ、畳よりも薄い層構成の洋室の床と段差なく仕上げることが容易に行える。
(その他の実施例)
第1実施例と同じ3層の工業化住宅における他の実施例として図7(a)〜図7(g)に示すような柱の構成とすることができる。図7において斜線で示した部分が同一断面で継目無の角形鋼管であり、斜線で示していない部分が通常の柱であり、三角で示した位置がこの2つの柱を接合する柱・柱接合部1bである。
図7(a)は3層分の柱の全長にわたって同一断面で継目無の角形鋼管とした例である。この場合、第1実施例に比して更に自由度の高い架構とすることができる。
図7(b)は第1層部分に柱・柱接合部1bを設けて柱・柱接合部1bより上部を同一断面で継目無の角形鋼管とした例である。
図7(c)は、第2層部分に柱・柱接合部1bを設けて柱・柱接合部1bより上部を同一断面で継目無の角形鋼管とした例である。
図7(d)は第2層部分に柱・柱接合部1bを設けて柱・柱接合部1bより下部を同一断面で継目無の角形鋼管とした例である。
図7(e)は第1層部分と2層部分に柱・柱接合部1bを設けて中間部を同一断面で継目無の角形鋼管とした例である。
図7(f)は第2層部分と3層部分に柱・柱接合部1bを設けて中間部を同一断面で継目無の角形鋼管とした例である。
図7(g)は第1層部分と3層部分に柱・柱接合部1bを設けて中間部を同一断面で継目無の角形鋼管とした例である。
図7(a)〜図7(g)に示す柱の構成は、設定された接合レベル数の違いはあるものの、いずれの場合であっても第1実施例と同様の作用・効果が発揮される。
本発明は、鉄骨造建物に限らず、柱と梁とをボルトにて剛接合する鋼構造物全般に広く適用することができる。
第1実施例にかかる架構の平面的グリッド構成を示す図である。 第1実施例の架構の全体構成を示す図である。 第1実施例に使用される大梁と柱の柱と梁との接合部を示す図である。 第1実施例に使用される柱を示す図である。 第1実施例にかかる階高(天井高)変更した架構の側面図である。 第2実施例にかかる柱と梁との柱と梁との接合部の構成図である。 その他の実施例にかかる架構の構成を示す部分断面図である。
G、G1 …グリッド
1…柱
1a…柱脚プレート
1b…柱・柱接合部
1c…下部柱
1d…上部柱
1e…2階大梁接合部
1e1…第1の梁接合部
1e2…第2の梁接合部
1e3…第3の梁接合部
1f…3階大梁接合部
1f1…第1の梁接合部
1f2…第2の梁接合部
1f3…第3の梁接合部
1g…R階大梁接合部
1h…孔
2…大梁
2a…接合プレート
2b…孔
3…基礎
4…ボルト

Claims (2)

  1. 重層の鉄骨造ラーメン架構におけるボルト接合による柱と梁との接合部構造であって、
    前記柱は、少なくとも柱脚部から2階の梁接合部までの範囲、もしくは少なくとも連続する2つの階の梁接合部を含む範囲が、横断面内に溶接による継目が存在しない均一な肉厚を有する角形鋼管からなり、
    前記角形鋼管の肉厚は、地震力の作用によって前記梁の崩壊が始まる時点で前記ボルトの引抜力によって生ずる前記柱の面外変形が制限されるとともに前記ボルトの引抜力によって前記梁接合部から前記ボルトが抜けて接合が解除されることがないように設定されたことを特徴とする柱と梁との接合部構造。
  2. 前記鉄骨造ラーメン架構は工業化住宅に適用されるものであり、前記柱の均一な肉厚を有する角形鋼管からなる部分には、所定の層における梁接合部が高さ方向に予め複数形成され、前記角形鋼管の肉厚は前記複数の梁接合部のうち最も高いレベルにある梁接合部に前記梁を接合した状態を想定して、設定されており、前記複数の梁接合部の中から選択された梁接合部に梁を接合して構成されたことを特徴とする請求項1に記載した柱と梁との接合部構造。
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