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JP5653004B2 - 懸濁液の分離デバイスと方法 - Google Patents
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JP5653004B2 - 懸濁液の分離デバイスと方法 - Google Patents

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Description

本発明は、懸濁液を分離するためのデバイスと方法に関し、かつより正確には、懸濁液から液相を抽出するためのデバイスと方法に関する。
本発明は、特に、血漿を抽出することに適用される。
血液は、伝統的に、巨視的サイズのシステム内で遠心分離されることによって細胞と血漿とに分けられる。より最近では、微小流体技術も開発されてきている。
マイクロシステムの分野において、最も広範に使用される技術は濾過である。フィルタは流れに対して直角に置かれ、微粒子を保持するように最適化されたサイズの細孔を有することにより、僅かな液相が回収される。このような技術の主たる限界は、生体液によって使用される場合、所定の細胞(具体的には、血液中の赤血球)の変形性が高いことにある。特に、高度に濃縮された溶液の場合、細孔は急速に目詰まりし、結局細胞は溶解する。
別の技術は、懸濁液をスパイラルまたはベンドの形態であるダクト内へ注入することにより、微小流体スケールで遠心分離する分離を実行することから成る。しかしながら、このような状態の下で成長する二次流れ(ディーンセル)は、液体画分から分離することが望まれる粒子を混合させる傾向がある。この論題に関しては、S.オオカワラ、D.StreetおよびK.オガワ共著の論文「曲がったマイクロチャネルにおける粒子濃度プロファイルの成長に関する数値的研究(Numerical study on development of particle concentration profiles in a curved microchannel)」Chem.Engineering Science 61(2006年)、3714−3724ページ、を参照することができる。
新生技術の1つは、減耗ゾーンからの抽出である。この技術は、真っ直ぐなダクト内へ注入される懸濁液内の粒子は、剪断力の結果として非均一な側方移動にさらされ、よって、チャネルの縁に粒子が存在しないゾーンが出現し、続いて、濃度が均一である中央ゾーンを包囲して超凝集リングが生じるという事実を基礎とする。
この技術の血漿抽出への適用は、M.Faivre、M.Abkarian、K.BickrajおよびH.Stone共著の論文「微小流体デバイスにおける細胞の幾何学的集束:血漿分離へのアプローチ(Geometrical focusing of cells in a microfluidic device:an approach to separate blood plasma)」Biorheology(2006年)43、147−159ページ、に記述されている。
この技術の主たる限界は、流れに対して加えられる如何なる作用(例えば、血漿の抽出)も流れを乱してしまうことにある。さらに、減耗ゾーン現象は流れの状態(液粘度、粒子の流動学的特性)に依存するが、これらは、患者および血液病理学間で著しく変わる状態である。
本発明は、先行技術による上述の欠点の少なくとも幾つかを呈示しない、懸濁液を分離するための微小流体技術を提供することを目的とする。
本発明による技術は、ダクト内の流体の流れが幾何学的特異点によって乱される際に発現する再循環渦の離脱力を利用する。このような特異点は、ダクト内へと開く空隙、唐突な拡張、唐突な収縮またはダクトの断面を変える唐突な変化を成す任意の障害であってもよい。これらの特異点は、減耗層を介して流れに接続されるような方法で配置される。これらによる機能は、いわば、ある点における層の減耗を増幅することにある。
再循環渦の離脱力については、J.P.Shelby、D.S.W.Lim、J.S.KuoおよびD.T.Chiu共著の論文「微小渦における高い半径方向加速度(High radial acceleration in microvortices)」Nature(2003年)425、において既に記述され、かつより最近では、D.T.Chui著の論文「微小渦における細胞操作(Cellular manipulations in microvortices)」Anal Bioanal Chem(2007年)387、17−20ページ、に記述されている。これらの論文は、この離脱力を異なる密度の粒子をソートするために使用する可能性について言及している。しかしながら、懸濁液の液相を抽出することは予見されていない。
従来の全ての分別技術と比べて、微小流体系における減耗ゾーンと結合された再循環渦を利用する血漿抽出は、特に有利である。具体的には、
・離脱効果は、懸濁液に包含される粒子の種類(硬質または変形しやすい、球形または楕円体、...)に関わりなく発生し、媒体密度より大きい粒子密度がもたらされる。
・現象は、可能性のある流れの外乱に際してもロバストである。
・関連するメカニズムは、制御がより単純である。
・現象は、大規模な粒子減耗ゾーンの達成を可能にし、よって、特に抽出がダクトに沿って繰り返される場合には、高い抽出収率を達成できるようになる。
本発明によれば、これらの利点は、懸濁液から液相を抽出するためのデバイスによって達成されることが可能であり、本デバイスは前記懸濁液の流れを運ぶための主ダクトであって、該ダクトは、固相が減耗される前記懸濁液の層が成長することができるのに十分な長さである、主ダクトと、前記懸濁液の流れを乱すための流れ外乱手段であって、前記手段は前記主ダクト内に設けられ、かつ少なくとも1つの再循環渦を形成して前記減耗層の厚さを局所的に増大させるようになされる、流れ外乱手段と、前記再循環渦の結果として前記懸濁液の液相が濃縮されるデバイス領域に配置される液体抽出手段と、を備える。
本発明の具体的な実施形態において、
・本デバイスは、また、懸濁液を主ダクト内へ、少なくとも1つの再循環渦を前記流れの特異点において形成させる適切な速度で注入するための注入手段を含んでもよい。
・前記液体抽出手段は、前記懸濁液の液相濃縮部分を前記渦の中央領域から抽出するように配置されてもよい。ある変形例では、これは、前記懸濁液の液相濃縮部分を前記前記渦の外側から、またはその周辺領域から抽出するように配置されてもよい。
・前記液体抽出手段は、前記液相濃縮部分を前記渦の平面に対して垂直方向へ抽出するように配置されてもよい。ある変形例では、これは、前記液相濃縮部分を前記渦の平面に沿った方向へ、かつ主ダクト内の懸濁液の流れ方向に対して後向きの方向へ抽出するように配置されてもよい。
・前記懸濁液の流れを乱すための手段は、前記主ダクトの唐突な拡張部、前記主ダクトの側壁内へと開く空隙および前記主ダクトのルーメン内に置かれる非流線形の障害物から選択されてもよい。
・前記ダクトはスパイラル形状であっても、ベンドまたは曲部を呈してもよく、かつ前記流れ外乱手段は、前記主ダクトの側壁内へ開きかつ前記ベンドの外側へ位置決めされる空隙であってもよい。
・前記主ダクトには、前記固相減耗層の厚さを増大させるために、前記流れ外乱手段の上流へ狭窄部が設けられてもよい。
・前記液体抽出手段は、前記懸濁液の液相濃縮部分を連続的に抽出するための副ダクトを備えてもよい。具体的には、前記液体抽出手段は、前記懸濁液の液相濃縮部分を、前記副ダクトを介しマイクロポンプを使用して抽出するように構成され、これにより、ポンプ作用の基礎を様々な物理的原理に置くこと、かつ特には、毛管または電気毛管効果、電気流体力学または電磁流体力学的効果、もしくは温度勾配に置くことが可能である。有利には、前記副ダクトの入口にフィルタが設けられてもよい。
・ある変形例では、本デバイスは、前記懸濁液の液相濃縮部分を不連続的に抽出するための少なくとも1つの親水性の空隙を含んでもよい。
・液体の抽出をコマンドによって起動しかつ停止させるための手段が設けられてもよい。
・前記液体抽出手段は、前記主ダクトの両側へ対称配置されてもよい。
・このようなデバイスは、前記懸濁液の流れを乱すための、かつ前記ダクトに沿って配置される複数の流れ外乱手段と、前記流れ外乱手段に関連づけられる複数の液体抽出手段とを含んでもよい。本デバイスはさらに、前記懸濁液を混合するための手段を含んでもよく、前記手段は、様々な流れ外乱手段の間に置かれる。
・このようなデバイスは、個別のデバイスの1つによって抽出される液体が、隣接するデバイスの入口へ注入されるように直列に接続される複数の個別デバイスを含んでもよい。
・前記主ダクトは微小流体型であってもよく、かつ10マイクロメートル(μm)から10ミリメートル(mm)までの範囲の横方向寸法を呈してもよい。
・このような微小流体デバイスは、有利には、平面型のジオメトリを呈する。
別の態様において、本発明は、懸濁液から液相を抽出する方法を提供し、本方法は、前記懸濁液を上述のデバイス内へ、前記流れの特異点または各流れの特異点の下流に少なくとも1つの再循環渦を形成させることに適する速度で注入する工程であって、前記または各渦は、固相が減耗される前記懸濁液の層の厚さを局所的に増大させる工程と、前記(1つまたは複数の)再循環渦の結果として液体で濃縮される前記懸濁液の一部を抽出する工程を含む。
本発明の他の特徴、詳細および利点は、以下の説明を例として示される添付の図面を参照して読むことにより明らかとなる。
直線ダクトの長手軸を中心とするリング状の粒子超凝集による影響下で横方向へ移動する懸濁液内粒子を示す。 本発明の基礎を成す原理を示す。 本発明を実施するために使用できる、流れにおける様々な特異点を示す。 本発明を実施するために使用できる、流れにおける様々な特異点を示す。 本発明を実施するために使用できる、流れにおける様々な特異点を示す。 本発明を実施するために使用できる、流れにおける様々な特異点を示す。 本発明を実施するために使用できる、流れにおける様々な特異点を示す。 主ダクトにおける狭窄部、または曲部、が懸濁液の分離に助力するメカニズムを示す。 主ダクトにおける狭窄部、または曲部、が懸濁液の分離に助力するメカニズムを示す。 主ダクトにおける狭窄部、または曲部、が懸濁液の分離に助力するメカニズムを示す。 主ダクトにおける狭窄部、または曲部、が懸濁液の分離に助力するメカニズムを示す。 各々が、共に並列(図9から図11および図13)に、または直列(図12)に接続される複数の個々のデバイスにより構成される複雑なデバイスを示す。 各々が、共に並列(図9から図11および図13)に、または直列(図12)に接続される複数の個々のデバイスにより構成される複雑なデバイスを示す。 各々が、共に並列(図9から図11および図13)に、または直列(図12)に接続される複数の個々のデバイスにより構成される複雑なデバイスを示す。 各々が、共に並列(図9から図11および図13)に、または直列(図12)に接続される複数の個々のデバイスにより構成される複雑なデバイスを示す。 各々が、共に並列(図9から図11および図13)に、または直列(図12)に接続される複数の個々のデバイスにより構成される複雑なデバイスを示す。 各々、本発明によるものではないデバイス、および本発明の異なる実施形態を構成する4つのデバイスを示す。 各々、本発明によるものではないデバイス、および本発明の異なる実施形態を構成する4つのデバイスを示す。 各々、本発明によるものではないデバイス、および本発明の異なる実施形態を構成する4つのデバイスを示す。 各々、本発明によるものではないデバイス、および本発明の異なる実施形態を構成する4つのデバイスを示す。 各々、本発明によるものではないデバイス、および本発明の異なる実施形態を構成する4つのデバイスを示す。 図14Aから図14Eのデバイスについて、抽出収率が流量に依存する様を示す曲線をプロットしている。
流体力学において、再循環は周知の現象である。これは、内部を流体が流れる、かつ集合的に総じて「ダクト」と称されるチャネル、管、細管、などに影響を与える幾何学的特異点において現出する。具体的には、特異点は、ダクト内へ開かれている空隙、唐突な拡張部、唐突な狭窄部または事実上ダクト内部の障害物によって構成されてもよい。
粒子の懸濁液が注入される場合、この現象は、(恐らくは、遙かに小さい周縁の渦に関連づけられる)主渦の現出によって明らかにされる。主渦は、特異点の範囲の主たる部分を占有する。これは、ダクト内の軸方向の流れから主渦を分離する流体インタフェースを介して駆動される。主渦内に位置決めされる(周囲の液体より重いものであるべき)各粒子または細胞は、2つの対抗する力、即ち、粒子または細胞を渦の中央から離れて移動させようとする遠心力、および粒子または細胞を壁から離れて移動させる揚力にさらされる。質量M=ρVが十分である粒子の場合(ここで、ρはその密度であり、Vはその体積である)、遠心力は、単にサイズに依存しかつ粒子のV1/3に比例する揚力を凌ぎ、これにより、粒子は駆動用の流体インタフェースを通過しかつこうしてもはや渦内に取り込まれないことが可能とされ、次に、粒子が噴出される。他の粒子は、渦の軸上を中心とするリング内に封じ込められて留まり、よって、渦の中央に1つの減耗ゾーンが残され、かつ壁の側に別の減耗ゾーンが残される。従って血液の、軽量である小さい細胞と、より重い大きい細胞との分類を予見することが可能である。例えば、赤血球は、1.098の相対密度で7μmの平均直径を有するが、白血球は、1.06から1.09までの範囲内の相対密度で9μmから15μmまでの範囲内の直径を有する。
先行技術では、血液が直線ダクトに沿って流れる場合、楕円体であって変形しやすい細胞である赤血球は、赤血球を壁から離れて移動させる傾向がある揚力を受けることが知られている。図1は、所定の距離を流れた後、長方形断面の直線ダクト100内の溶液中の血球のプロファイルが、壁に近く粒子が存在しないゾーン303と、ダクトの長手軸を中心とする、血球が超凝集されて観察されるリング302と、血球の凝集が比較的均一でありかつリング302における凝集より遙かに低い中央ゾーン301とを含むことを示す。リング302内の血球の超凝集は当初はゼロであるが、流れの距離に伴って増大し、有用な限界距離の後に安定化する。前記限界距離は、懸濁液の特性(具体的には、その粒子濃度および粒子の変形性)および流れの特性に依存する。典型的には、微小流体型ダクトの場合、限界距離は約1mmから50mmである。
図2は、本発明によるデバイス1の部分断面図である。このようなデバイスは、注入器130によって内部へ注入されて長手方向zに沿って流れる粒子の懸濁液200を有するダクト100を備える。本図左側のグラフ300は、横方向xの粒子分布のプロファイルを示す。先に説明したように、粒子の濃度ρは、流れの中央領域301においてほぼ一定の値を有し、ダクトの壁に近い領域303において超小値をとり、前記壁との接触場所でゼロに達する(x=L/2、但し、Lはダクトの幅である)。領域301および303は、粒子濃度がピークに達する層302によって分離される。
ダクト100の断面形状は、概して重要ではない。例えばこれは、正方形、長方形であってもよく、また、円形断面のダクトにすることがより困難であるとしても、円形であってもよい。本デバイスは微小流体型であり、よって、ダクトの横方向寸法はほぼ10μmから10mmまでの範囲内である。全体として、本デバイスは、約数平方センチメートルの大きさを有してもよい。
図2に示す例において、ダクト100は唐突な拡張部111を呈する。その幅は、好適には2倍から8倍にまで増大し、よって、再循環渦210を形成させる。流線は、3種を見出すことができ、まず、流線201が粒子濃度の高い流れ領域301および302を伴って存在する。これらの流線は、小さい断面ゾーンから大きい断面ゾーンへ流れる際に規則的に散開する。次に、再循環ゾーン210において輪になる流線212が存在する。上述の2つのゾーンの間には、周縁の減耗層303から到来する流線202が存在する。これらの流線のうちの1つは、超凝集リングに隣接する。再循環ゾーン210には、唐突な拡張部111の縁から到来するこれらの流線のうちの別の1つ203も隣接する。
懸濁液が注入される速度は、再循環渦が形成されるに足るものでなければならない。例えば、血液と数百マイクロメートルの幅を有するダクトの場合、このような渦は、毎分約100マイクロリットル(μL/分)の流量から現出する。懸濁液は、図に示すようなシリンジプッシャによって、または任意の適切なポンプによって注入されてもよい。
先に説明したように、液体より密度の高い粒子は渦のリング212内に凝集する。渦の中央211、その周縁213および外部ゾーン220は特に液体濃度が高く、粒子は減耗される。従って、これらのゾーンのうちの1つには、液相濃度が著しく高い懸濁液部分を抽出するために、概して副ダクトの形式である抽出手段を設けることができる。図2において、この抽出手段は、主ダクト100に沿って懸濁液が流れる方向とは実質的に反対方向へ延在するチャネル121を備える。
高濃度の液相の抽出は、本発明による技術における決定的要素であり、前記抽出が再循環を不安定にしない、または減衰しないことが最も重要である。例えば、ポンピングが強すぎると、流れを壁に押しつけ、渦を消失させる場合もある。この目的に添って、シリンジプッシャまたは圧力コントローラにより抽出速度を制御すること、かつ/または抽出ダクトを、流体の流れに対して十分に高い耐性を示すことを保証するような大きさに決めることが可能である。
典型的には、抽出速度は、毎分約数ナノリットル(nL/分)から数μL/分までの範囲であることが必要である。何れにしても、流れの外乱を回避しつつ、それでも抽出収率が十分であるようにするために、特定の各形状に最も適合する流量を実験的に、またはシミュレーションによって推定する必要がある。
抽出が流れを乱さないことを保証するためには、抽出ダクトが細くかつ長く、よって流体の流れに対して主ダクトのものより高い耐性を示すことも好適である。正確な寸法は、使用される形状に依存して実験的に、またはシミュレーションによって規定される必要がある。
抽出用の副ダクトは、本質的に2つの場所、即ち、図2に示すような渦の外側(または周縁領域)、もしくは渦の中央に配置されてもよい。渦の中央からの抽出は、それが最も完全な分離の生じる場所であるため、特に有利である。
副ダクトは、実質的に渦の平面に平行であってもよく、かつ好適には、主ダクトにおける懸濁液の流れの方向に対して後向きに延在する。図2に示すソリューションがこれであり、液体が渦の周縁から抽出される場合に最も有利であることが発見されている。
ある変形例では、副ダクト(図7aにおける122)は渦平面に対して垂直に配置されてもよい。この代替ソリューションが、渦の中央からの液体抽出に際して流れへの外乱を最小限に抑える働きをすることは理解されるであろう。本発明の好適な一実施形態では、本デバイスはプレーナ技術を使用して、基板をエッチングすることにより、または成形により製造される。このような状況下では、渦に対して垂直に延在するダクトは、本デバイスの平面に直交して延在するウェルの形をとる。
・副ダクト121または122を介する液体の抽出は、ポンプ125を使用して、好適には、様々な方法で行われ得るエネルギー供給の結果としての主ダクトと抽出ダクトとの圧力差を利用するマイクロポンプを使用して実行されてもよい。従って、マイクロポンプは、温度差、電位差または事実上磁場を利用してもよい。但し、これらは網羅的なリストではない。
・また、流体力学的抽出を使用することも可能である。この場合は、渦の外乱を回避すべく注入と抽出との十分な平衡を達成するために、損失水頭の正確な制御が必要である。
・抽出は、空隙を利用することによって不連続的に行うこともできる。空隙は、親水性であってもよい。この実施形態では、抽出される液相は、制御された放出ステップまで空隙内に保持される。例えば、図10は、電極1120がその底部に位置決めされている空隙112を示す。抽出流れの送出に先立ってこれらの電極を起動させると、空隙は親水性になり、液相を保持できるようになる。電極を停止させると、前記液相の放出が可能になる。この放出は、抽出ダクト127にも電極を設けることによって促進されてもよい。
概して、抽出は、デバイスを介する流れが安定した時点でのみ開始することが適切である。この目的に添って、副ダクトを選択的に開閉するためのバルブ126を設けることが可能である。バルブは、空気圧系によって作動されてもよい。またバルブは、親水性であってもよく、かつ所定の圧力レベルを始点として起動可能であってもよい。抽出が電気毛管現象によって実行される場合、電極124は、液体抽出を可能にまたは防止するためにダクトの親水性/疎水性を加減する。同様に、不連続的抽出の場合、空隙の親水性を電気的に制御することが可能である。
図3に示すように、主ダクト内の拡張部111は、好適にはその長手軸に対して対称であり、よって、2つの再循環渦を使用して懸濁液を分離することができる。これは、渦210を乱す可能性もある、各副ダクトを介するポンピング速度を上げる必要なしに、液相の抽出速度を倍増させることを可能にする。
図2および図3に示す例において、主ダクトの拡張部は、懸濁液の流れを乱すためと、再循環渦を発生させるために使用される。ある変形例では、下記のような他の流れ外乱手段、即ち、
・主ダクトの側壁内へと開く空隙112、または好適には、互いに向き合って対称配置される2つの空隙(図4)、
・主ダクトの側壁内へと開く、対向する反対側の側壁に突起113が存在する空隙112(図5)、または、
・主ダクトのルーメン内に置かれる非流線形の障害物114(図6)、を使用することも可能である。
空隙112が使用される場合、これらの寸法(ほぼ円形である空隙の直径)は、主ダクト内の流れの過度の外乱を回避するように決定される必要がある。典型的には、これらの寸法は、数マイクロメートルから数ミリメートルまでの範囲内である。
具体的には、分離用の懸濁液が血液等の生体懸濁液である場合、細胞(特に、血液中の赤血球)を損傷しないように配慮されなければならない。従って、空隙112または障害物114は、鋭い縁を有さないことが好適である。
再循環渦より上流の流れのプロファイルは、その離脱力を強調するように修正することが有利である場合がある。例えば、主ダクト内の幾何学的狭窄部101は、流れの粒子減耗側層を散開させる(303)。従って、主たる流れから離脱して渦に加わる粒子の数は少なくなる。図7aは、この効果を示す。図7aはまた、高濃度の液相が渦の周縁から、または渦の中央からも(副ダクト121および122)等しく十分に抽出され得る様子を示している。
図7bと図7cの比較は、主ダクト内に狭窄部を導入することによってもたらされる利点を示す。血漿の抽出率は、図7bの例で9%であり、図7cの例で19%である。
これらの3つの例は、リン酸緩衝食塩水希釈液で1/20まで希釈されたヒトの血液を注入することに関連している。
有効であるため、かつ減耗粒子層を大幅に増大するために、幾何学的狭窄部は可能な限り細く、かつ長いものである必要がある。しかしながら、細胞は次に封じ込められた状態になって変形しかつ乱される場合があるため(溶解、トランスクリプトームの変形、...)、20μm未満の幅は回避されるべきである。100μmより大きい幅では、著しい効果は観察されない。狭窄部の長さは、典型的には、50μmから1mmまでの範囲であるべきである。
再循環渦が下流の間隙によって生成される場合、空隙は、減耗層が安定したことを保証するに足る狭窄部からの離隔距離(典型的には、少なくとも200μm)に置かれる必要がある。
この狭窄部の効果と再循環の効果とのカップリングを有利に使用すれば、軽い粒子と重い粒子、具体的には白血球と赤血球とを分類することができる。
白血球は、変形不可であるためダクトの断面全体に渡って分散され、赤血球が凝集する流れの領域(リングおよび中央ゾーン)だけでなく赤血球が減耗される層においても分散される。狭窄部を通過した後、(赤血球の)減耗層は、狭窄部より前に比べてサイズが拡張される。白血球は、変形不可であるので超凝集リングの縮小に影響されず、よって、新しい減耗層においてより多数が発見されることになる。
従って、(角または空隙における)再循環渦を介する通過は、白血球濃度の高い血漿が収集されることを可能にし、かつ血球が保持されることを可能にし、同時に、関係する流量および特異点の幾何学的特性の双方へ作用することによって、内部に透通する場合もある赤血球を排除する。白血球濃度の高いこの血漿の抽出は、これに続く、そのために設計されるデバイスにおける白血球分離への道を開く。白血球濃度の高い血漿が再循環渦内で選択されていれば、流量および形状を再度正確に制御することによる白血球の排除を予見することも可能である。
主ダクト100内のベンドも、懸濁液の分離に助力することができる。流体が曲がったチャネル内を流れると、流れの方向に対して横方向に広がる平面に「ディーンセル」として知られる二次流れが成長することは知られている(S.オオカワラらによる上述の論文を参照されたい)。この流体が懸濁液である場合、これらの二次流れは粒子を、ベンドの外側に位置づけられる壁から離れて移動させる傾向がある。この効果は、図8において、セクションS1、S2およびS3におけるダクト100の連続的断面を表す詳細図に見ることができる。このような状況下では、ベンドの下流に、かつベンドの外側に横方向の空隙112を設け、既に粒子が減耗されている流れの領域に再循環渦を生じさせることが有利である。
二次流れの成長は、ディーン数として知られかつ次式、
Figure 0005653004
により定義される無次元数によって特徴付けられてもよい。ここで、

Figure 0005653004
はダクトのレイノルズ数であって、
Figure 0005653004
により与えられ、wは流れの平均軸方向速度であり、Dはダクトの水力直径であり、Rはその曲率半径であり、νは懸濁液の動粘度である。概して、1から100までの範囲内のディーン数、かつ好適には10から50までの範囲内のディーン数が適切であることが分かっている。
また、スパイラルに巻かれ、その全長に沿って配置される複数の抽出空隙を有する主ダクト100の保有を予見することも可能である(図13)。
上述のように、再循環渦の外乱を回避するために、懸濁液の液相濃縮部分は適度な速度で抽出される必要がある。従って、高い分離速度を達成するためには、並列に接続された複数の個々のデバイス11で製造される複合デバイス10を利用することが適切である。図9から図11および図13は、このような複合デバイスの4つの例を示す。
図9のデバイスは、両側に配置される複数の再循環空隙112を有する主ダクト100により構成され、これらの空隙は、副ダクト120を介して共通の液体除去ダクト127へ接続される。
図10は、このようなデバイスの変形例を示し、本変形例では、
・拡張部を伴う主ダクト内の局所的狭窄部101が、図7aから図7cを参照して先に論じた粒子減耗効果による恩恵を受けるべく空隙112の各ペアより上流に設けられ、かつ、
・懸濁液を混合しかつこれを均一にする目的で、各空隙ペアの下流に手段(ピラーの集合140)が設けられる。
図11に示すデバイスは、本質的に、図9に示すデバイスの小型の変形例である。このデバイスでは、主ダクト100は円形に巻かれ、再循環空隙112はこの円の内側のみに設けられ、共通の液体除去ダクト127は中央部分に位置決めされる。また、ディーンセルにより与えられる分離助力をうまく利用するために、空隙112をダクト100の外側のみに設けることも可能であろう。
図9から図11および図13において、抽出用の副ダクトは、対応する再循環空隙に対して中央位置に配置されている。実際に、これらの副ダクトは、液体が主ダクト内の流れの方向に対して後方へ抽出されることが可能になるように配置されることが好適である(例えば、図8参照)。
図12のデバイスでは、複数の個々のデバイス11が「直列」に接続されている。これは、第1の個別デバイスにより抽出される液相濃度の高い懸濁液が第2のデバイスの主ダクト内へ注入され、かつ以下同様に注入されることを意味する。この配置は、抽出される液体が所望される度合いまで浄化されることを可能にする。
或いは、ルーピングによって進むこと、即ち、抽出される液体を集め、これを後続の浄化段階用のデバイス内へ再度注入することも可能である。
使用される技術が何であれ、抽出品質は、抽出用の副ダクトへの入口にフィルタを設けることによって大幅に向上されることが可能である。再循環渦によりもたらされる粒子の減耗は、フィルタを先行技術によるフィルタ系において発生するような目詰まりを防止する。
フィルタは、開始を補償するためにも、即ち、再循環渦が安定するのを待ちながら懸濁液を濾過するためにも使用可能である。このようなフィルタは、目詰まりになることなく、かつ流体の流れに対するチャネルの耐性を大幅に変更することなく、所定数の粒子(例えば、数百万個の粒子)を吸引する能力を有する必要がある。
図14Aから図14Eおよび図15は、本発明の異なる実施形態を構成するデバイスの性能を比較するためのものである。図14Aから図14Eに示す例では、ダクトは断面が長方形であり、深さ(または厚さ)は100μmである。主ダクトの幅は200μmであり、抽出ダクトの幅は50μmである。デバイス全体を流れる流体は、リン酸緩衝食塩水(PBS)希釈液において20倍に希釈された全血である。全血(濃い灰色)を、抽出された血漿(薄い灰色)から区別することは容易である。
図15における曲線AからEは、図14Aから図14Eのデバイスの抽出収率をμL/分単位の流量の関数として(パーセントで)示している。
図14Aのデバイスは特異点を備えず、よって、再循環渦を形成させない。血漿分離は、専らダクトの周縁における血液細胞が減耗される層の存在を基礎とする。抽出収率は低く(5%未満)、流量にほとんど依存しない。
図14Bに示すデバイスの場合、再循環渦は、主ダクトの両側に対称配置されかつ100μmの曲率半径を呈する「耳形の」幾何学的特異点によって誘発される。収率は約7.4%であり、形状Aに比べて約50%増大する。
図14Cのデバイスでは、再循環渦を発生させる幾何学的特異性は、主ダクトにおける200μmから600μmまでの唐突な拡張部である。抽出収率は10%を超えるが、100μL/分より大きい流量では降下する。
図14Dのデバイスでは、拡張部に先行して狭窄部(幅50μm、長さ500μm)が存在する。抽出ダクトは拡張部に、向流方向へ向けて配置される。抽出収率は15%より高く(形状Aに比べて3倍向上する)、流量にほとんど依存しない。
図14Eのデバイスは、唯一、抽出ダクトの配置が先のデバイスとは異なり、抽出ダクトは遙か下流に位置決めされる。抽出収率は、低い流量では図14Dのデバイスのものと実質的に同じであるが、100μL/分を超えると急落する。
本発明のデバイスは、有利には、プレーナ構造を呈する。これは、様々な技術を使用して製造可能である。
第1の製造方法は、超小型電子技術に由来するエッチング技術を基礎とする。この方法では、既に酸化珪素の沈積物内に覆われている基板が、次に、感光性樹脂の層内に覆われる。樹脂は、所望されるパターンを有するマスクを介して暴露される。酸化珪素は、残りの樹脂層を介してエッチングされる。次に、樹脂が除去され、プラズマエッチングまたは化学エッチングにより、10μmから数百μmまでの範囲内の深さを達成することができる。次に、チップはアノードシーリングによって覆われ、かつ適切なコネクタ(必要であれば、生体適合性のあるもの)を使用して接続される。
製造方法として可能性のある別の方法は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)技術を基礎とする。この方法は、実施がより容易、かつより迅速である。しかしながら、これは精度が劣り、利用可能な寸法はより大きい。この製造方法では、まず、シリコンまたはガラスの裏層にordyl樹脂パターンを有するモードが製造される。次に、裏層上へポリマが注がれ、硬化され、型から外される。最後に、本デバイスは覆われ、適切なコネクタを使用して接続される。

Claims (17)

  1. 懸濁液(200)から液相を抽出するためのデバイス(1)であって、前記デバイスは、
    ・前記懸濁液の流れを運ぶための主ダクト(100)であって、前記ダクトは、固相が減耗される前記懸濁液の減耗層が成長することができるのに十分な長さである10μmから10mmまでの範囲の横方向寸法を呈する、主ダクトと、
    ・前記懸濁液の流れを乱すための流れ外乱手段(111、112、113、114)であって、前記手段は前記主ダクト内に設けられ、かつ少なくとも1つの再循環渦(210)を形成して前記減耗層の厚さを局所的に増大させるようになされる、流れ外乱手段と、
    ・前記再循環渦の結果として前記懸濁液の液相が濃縮されるデバイス領域(211、213、220)に配置される液体抽出手段(121、122)と、
    ・懸濁液を前記主ダクト内へ、少なくとも1つの再循環渦を前記流れ外乱手段において形成させる適切な速度で注入するための注入手段(130)と、
    を備え、
    前記懸濁液の流れを乱すための前記手段は、
    ・前記主ダクトの唐突な拡張部(111)、
    ・前記主ダクトの側壁内へと開く空隙(112)、および、
    ・前記主ダクトのルーメン内に置かれる非流線形の障害物(114)から選択されることを特徴とするデバイス。
  2. 前記液体抽出手段(122)は、前記懸濁液の液相濃縮部分を前記渦(210)の中央領域(211)から抽出するように配置される、請求項1記載のデバイス。
  3. 前記液体抽出手段(121)は、前記懸濁液の液相濃縮部分を前記渦の外側(220)から、またはその周辺領域(213)から抽出するように配置される、請求項1記載のデバイス。
  4. 前記液体抽出手段(122)は、前記液相濃縮部分を前記渦の平面に対して垂直方向へ抽出するように配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
  5. 前記抽出手段(121)は、前記液相濃縮部分を前記渦の平面に沿った方向へ、かつ前記主ダクト内の前記懸濁液の流れ方向に対して後向きの方向へ抽出するように配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
  6. 前記ダクトはスパイラル形状であり、またはベンドもしくは曲部(102)を呈し、前記流れ外乱手段は、前記主ダクトの側壁内へ開きかつ前記ベンドの外側へ位置決めされる空隙(112)である、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
  7. 前記主ダクトには、前記固相減耗層の厚さを増大させるために、前記流れ外乱手段の上流へ狭窄部(101)が設けられる、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
  8. 前記液体抽出手段は、前記懸濁液の液相濃縮部分を連続的に抽出するための副ダクト(121、122)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
  9. 前記液体抽出手段は前記懸濁液の液相濃縮部分を、前記副ダクトを介しマイクロポンプを使用して吸引により抽出するようになされる、請求項記載のデバイス。
  10. 前記副ダクトの入口には、フィルタ(128)が設けられる、請求項または記載のデバイス。
  11. 前記液体抽出手段は、前記懸濁液の液相濃縮部分を不連続的に抽出するための少なくとも1つの親水性の空隙(112)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
  12. 液体の抽出をコマンドによって起動しかつ停止させるための手段(124、126)が設けられる、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
  13. 前記液体抽出手段(121)は前記主ダクトの両側へ対称配置される、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
  14. ・前記懸濁液の流れを乱すための、かつ前記ダクトに沿って配置される複数の流れ外乱手段(112)と、
    ・前記流れ外乱手段に関連づけられる複数の液体抽出手段(121)と、
    を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
  15. 前記懸濁液を混合するための手段(140)を含み、前記手段は様々な流れ外乱手段の間に置かれる、請求項14記載のデバイス。
  16. 請求項1から15のいずれか一項に記載の複数のデバイスによって構成されるシステムであって、前記複数のデバイスは、1つのデバイスによって抽出される液体が当該1つのデバイスに隣接するデバイスの入口へ注入されるように直列に接続される、システム
  17. 平面型のジオメトリを呈する、請求項1から15のいずれか一項に記載の微小流体型デバイス。
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