JP5657043B2 - 圧延銅箔 - Google Patents
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ところで、FPCは銅箔が再結晶した状態で使用されるのが一般的である。銅箔を圧延加工すると結晶が回転し、圧延集合組織が形成され、純銅の圧延集合組織はCopper方位と呼ばれる{112}〈111〉が主方位になるといわれている。そして、圧延銅箔を圧延後に焼鈍したり、最終製品に加工されるまでの工程、つまりFPCになるまでの工程で熱が加えられると再結晶する。この圧延銅箔となった後の再結晶組織を、以下では単に「再結晶組織」と称し、熱がかかる前の圧延組織を単に「圧延組織」と称する。なお、再結晶組織は圧延組織によって大きく左右され、圧延組織を制御することで再結晶組織も制御することができる。
このようなことから、圧延銅箔の再結晶後に{001}〈100〉のCube方位を発達させて屈曲性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
なお、Cube方位の発達度を調整するため、最終圧延で再結晶後に圧延組織を制御する方法があるが、Cube方位が発達しなかったり、発達し過ぎたりしてCube方位の発達度を調整が十分に行えないという問題がある。
従って、本発明の目的は、エッチング性と屈曲性に共に優れた圧延銅箔を提供することにある。
すなわち、本発明の圧延銅箔は、質量率で99.9%以上の銅を含み、圧延面における{112}面からの算出X線回折強度をI{112}とし、{110}面からの算出X線回折強度をI{110}としたとき、2.5≦I{110}/I{112}≦6.0を満たす。
本発明の圧延銅箔は、酸素を2〜50質量ppm含有することが好ましい。
本発明の圧延銅箔は、200℃で30分の加熱後に、圧延面において、I{112}≦1.0を満たすことが好ましい。
本発明の圧延銅箔は、350℃で1秒加熱後において、前記圧延銅箔の圧延面の{200}面のX線回折強度をI{200}とし、純銅粉末試料の{200}面のX線回折強度をI0{200}としたとき、5.0≦I{200}/I0{200}≦27.0を満たすことが好ましく、13.0≦I{200}/I0{200}≦27.0を満たすことが好ましい。
本発明の圧延銅箔は、厚みが4〜70μmであることが好ましい。
圧延銅箔は質量率で99.9%以上の銅を含む。このような組成としては、JIS-H3510(C1011)またはJIS- H3100 (C1020)に規格される無酸素銅、又は、JIS-H3100(C1100)に規格されるタフピッチ銅が挙げられる。又、圧延銅箔の酸素含有量を2〜50質量ppmとすることが好ましい。圧延銅箔中の酸素含有量が2〜50質量ppmと少ない場合、圧延銅箔中に亜酸化銅がほとんど存在しない。そのため、圧延銅箔を屈曲した際、亜酸化銅が原因となるひずみの蓄積がほとんど無いため、クラックが入り難く、屈曲性が向上する。なお、銅に含まれる酸素含有量の上限は特に限定はされないが、一般的には500質量ppm以下、さらに一般的には320質量ppm以下である。
さらに、Ag、Sn、Mg、In、B、Ti、Zr及びAuの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で10〜300質量ppm含有してもよい。これらの元素を添加すると、圧延面に{110}面が多くなる傾向にあるので、後述するI{110}/I{112}の値を調整し易くなる。上記元素の合計量が10質量ppm未満であると、圧延面に{110}面を発達させる効果が少なく、300質量ppmを超えると導電率が低下するとともに再結晶温度が上昇し、最終圧延後の焼鈍において銅箔の表面酸化を抑えつつ再結晶させることが困難になる場合がある。
銅箔の厚みは、4〜100μmであることが好ましく、5〜70μmであることがさらに好ましい。厚みが4μm未満であると銅箔のハンドリング性が劣る場合があり、厚みが100μmを超えると銅箔の屈曲性が劣る場合がある。
{200}、{220}、{111}面のX線回折強度から算出した銅箔圧延面における各面の存在強度を算出X線回折強度と定義する。そして、{112}面の算出X線回折強度をI{112}とし、{110}面からの算出X線回折強度をI{110}としたとき、2.5≦I{110}/I{112}≦6.0を満たす。より好ましい範囲は4.0≦I{110}/I{112}≦5.6である。
まず、銅箔の{200}、{220}、{111}面の正極点図測定を行う。正極点図測定法は、試料をセットするゴニオメーターに2軸(α、β)の回転機構が付いており、これら角度を変えながらX線回折を測定する方法である。そして、X線回折正極点測定結果(銅箔の{200}、{220}、{111}面の正極点図)から、幾何学関係を利用し、{110}面及び{112}面の集合度を計算で求めることができる。この計算は、市販のソフトウェア(例えば、StandardODF(株式会社ノルム工学製)を用いて逆極点表現に変換して行うことができる。
なお、{110}面及び{112}面の集合度は、まず{200}、{220}、{111}面の正極点測定を行い、次に同様にして純銅粉末標準試料の{200}、{220}、{111}面の正極点測定を行う。そして、{200}、{220}、{111}面の集合度を、それぞれ純銅粉末標準試料の{200}、{220}、{111}面の集合度で規格化する。そして、このように規格化した{200}、{220}、{111}面の正極点図から、上記ソフトウェアにより逆極点に変換して{110}面及び{112}面の集合度(算出X線回折強度)を計算する。
ここで、「最終再結晶焼鈍」とは、最終冷間圧延の前の焼鈍のうち、最後のものをいう。又、最終再結晶焼鈍後の再結晶組織を、上述の「再結晶組織」(圧延銅箔となった後の再結晶組織)と区別するために「中間再結晶組織」と称する。まず、中間再結晶組織を簡単に調整する方法としては焼鈍温度を変えることが挙げられる。しかしながら、単に最終再結晶焼鈍温度を高くした場合、ランダムな方位の再結晶粒が成長し、再結晶粒が混粒(結晶粒径の大きさの分布の幅が大きくなる)となると最終圧延後のスジなどの表面欠陥の原因となり好ましくないので、I{110}/I{112}の値を適切に制御することが難しい。
一方、最終再結晶焼鈍にて銅箔に掛かる張力を高くすると、この張力が駆動力となって中間再結晶組織における結晶粒径が大きくなり、圧延面に{112}面を多く存在させることができる。但し張力が高くなり過ぎると最終圧延後の圧延面に{110}面が減少するので、I{110}/I{112}の値が上記範囲内になるよう、張力の範囲を調整すればよい。又、張力の値は、最終再結晶焼鈍温度、及び上述の添加元素の量によっても変化するので、これらに応じて張力の値を調整すればよい。なお、張力とは、最終再結晶焼鈍を行う雰囲気中に銅ストリップを装入した際の、最終再結晶焼鈍雰囲気の入側と出側の各ロール間の張力である。張力の適切な値(絶対値)は焼鈍温度と銅ストリップの成分によって変化することから、張力を焼鈍温度における材料の耐力で除した無次元の値を管理することが好ましい。
なお、従来は、搬送ロールの劣化防止等の目的のため、連続焼鈍炉における張力の値は通常0.1〜0.15の範囲に設定される。
圧延銅箔を200℃で30分の加熱後に、圧延面において、I{112}/I{100}≦1.0を満たすと好ましい。200℃で30分の加熱は、いわゆるキャスト法でFPCを製造する際の銅箔の加熱条件を模擬したものである。そして、この加熱で銅箔が完全に再結晶し未再結晶領域が残存しない状態であるとI{112}≦1.0となる。I{112}/I{100}>1.0である場合、未再結晶が残存し,FPCの屈曲性が劣ることがある。
圧延銅箔を350℃で1秒加熱後において、5.0≦I{200}/I0{200}≦27.0を満たすと好ましい。再結晶後に{001}〈100〉方位(Cube方位)が発達すると良い屈曲性が得られるので、I{200}/I0{200}が高いほどよい。5.0>I{200}/I0{200}であると、屈曲性が低下することがある。特に、13.0≦I{200}/I0{200}≦27.0であるとより好ましい。なお、他の特性とのバランスで、I{200}/I0{200}>27.0を実現するのは工業的には困難であるので、上限を27.0とした。
表1に示す組成の元素を添加したタフピッチ銅又は無酸素銅を原料として厚さ100mmのインゴットを鋳造し、800℃以上で厚さ10mmまで熱間圧延を行い、表面の酸化スケールを面削した。その後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返して0.5mmの厚みの圧延板コイルを得た。その最後の冷間圧延の後に、この銅ストリップを700℃でかつ表1に示す張力下で連続焼鈍炉に通板して最終再結晶焼鈍を行った。なお、張力の値は、その試料の再結晶焼鈍温度下での耐力で除して規格化した({張力(N/mm2)/ 再結晶焼鈍温度下での耐力(N/mm2)})。また、再結晶焼鈍における銅ストリップの加熱時間は100〜200秒とした。最後に最終冷間圧延で表1に記載の厚みに仕上げた。最終冷間圧延での圧延加工度を86〜99%とした。
なお、表1の組成の欄の「Ag190ppm OFC」は、JIS-H3510(C1011)(実施例10)またはJIS- H3100 (C1020)(実施例10以外)の無酸素銅OFC)に190質量ppmのAgを添加したことを意味する。又、「Ag190ppm TPC」は、JIS-H3100(C1100)のタフピッチ銅(TPC)に190質量ppmのAgを添加したことを意味する。他の添加量の場合も同様である。
最終冷間圧延後の銅箔の表面(圧延面)について、X線回折装置(RINT-2500:理学電機製)を用い、それぞれ{200}、{220}、{111}面の正極点測定(X線反射平均強度)を行った。得られた測定結果から、StandardODF(株式会社ノルム工学製)を用いて逆極点に変換し、{110}面及び{112}面の算出X線回折強度を計算した。
X線回折の測定条件は、入射X線源:Cu、加速電圧:30kV、管電流:100mA、発散スリット:0.5度、散乱スリット:4mm、受光スリット:4mm、発散縦制限スリット:1.2mmとした。又、同一条件で各面につきX線回折を行った純銅粉末の値(X線反射平均強度)を用いて{200}、{220}、{111}面の集合度を規格化した後、逆極点に変換した。純銅粉末は、微粉末銅(325mesh)を用いた。
最終再結晶焼鈍の直後(最終冷間圧延前)の銅箔の結晶粒径をJIS-H0501の切断法に準じ、圧延面について測定した。
<I{200}/I0{200}>
最終冷間圧延後の銅箔を、それぞれ200℃で0.5時間焼鈍後、及び350℃で1秒焼鈍後に、その表面について{200}面のX線回折強度を測定した。そして、同一条件でX線回折を行った純銅粉末の値(I0{200}:X線反射平均強度)を用いて規格化した。
X線回折の測定条件は、入射X線源:Cu、加速電圧:25kV、管電流:20mA、発散スリット:1度、散乱スリット:1度、受光スリット:0.3mm、発散縦制限スリット:10mm,モノクロ受光スリット0.8mmとした。純銅粉末は、微粉末銅(325mesh)を用いた。
まず、厚み12.5μmの熱硬化性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミド接着剤を塗工し乾燥させた。次に、このフィルムの両面に最終冷間圧延後の銅箔をそれぞれ積層した後、熱圧着して両面CCLを作製した。この両面CCLにつき、両面の銅箔にエッチングによりライン/スペースの幅がそれぞれ100μm/100μmの回路パターンを形成した後、厚み25μmのカバーレイフィルムを被覆してFPCに加工した。
このFPCにつき、スライド屈曲試験を行って屈曲性を評価した。具体的には、摺動試験機(応用技研産業株式会社製,TK-107型)を用い、スライド半径r(mm)は実施例9についてはr=4mm 、その他の実施例及び比較例についてはr=0.72mmとし、いずれの場合もスライド速度120回/分でFPCを屈曲させた。
試験前に比べて銅箔の回路の電気抵抗が10%増加したときの屈曲回数が、15万回未満を評価×とし、10万回〜15万回未満のものを評価△とし、15万回〜30万回のものを評価○とし、30万回を越えたものを評価◎とした。屈曲性が◎〜△であれば、屈曲性が良好といえる。
上記した両面CCLを、撹拌した液温30℃のエッチング液(ADEKA社製の製品名:テックCL−8の20質量%溶液)に1分間浸漬してエッチングし、エッチング面を光学顕微鏡で撮影した。
上記画像のうち、暗部はエッチングが均一にされている領域を示すので、エッチング性は撮影した画像と、基準画像とを比較して評価した。図3に、基準画像と、エッチング性の評価の対応を示す。暗部の面積率が高いほど、エッチング性が良好となり、◎が最もエッチング性が良好となる。エッチング性が◎〜△であれば、エッチング性が良好といえる。
なお、厚み、及び最終再結晶焼鈍条件が同一の実施例1,2を比べると、Agの添加量が多い実施例1の方が(110)方位が多くなり、I{110}/I{112}の値も高くなることがわかる。又、13.0>I{200}/I0{200}である実施例20〜23の場合、他の実施例に比べると屈曲性が少し低下したが実用上は問題ない。
銅箔の組成が同一である実施例5に比べて最終再結晶焼鈍時の張力を高くした比較例2の場合、及び銅箔の組成が同一である実施例7に比べて最終再結晶焼鈍時の張力を高くした比較例3の場合、いずれも(110)方位が減少し、I{110}/I{112}の値が2.5未満となり、屈曲性が劣化した。
製造方法が同一である実施例1、6の場合、銅箔の酸素濃度が低い実施例1の方が屈曲性が優れている。
なお、図2(a)、(b)は、それぞれ実施例5、比較例1のエッチング面の光学顕微鏡像である。エッチング性に優れる実施例5の場合、暗部の割合が多いことがわかる。
Claims (6)
- 質量率で99.9%以上の銅を含む圧延銅箔であって、
圧延面における{112}面からの算出X線回折強度をI{112}とし、{110}面からの算出X線回折強度をI{110}としたとき、
2.5≦I{110}/I{112}≦6.0を満たす圧延銅箔。 - Ag、Sn、Mg、In、B、Ti、Zr及びAuの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で10〜300質量ppm含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる請求項1に記載の圧延銅箔。
- 酸素を2〜50質量ppm含有する請求項1又は2に記載の圧延銅箔。
- 200℃で30分の加熱後に、圧延面において、I{112}≦1.0を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の圧延銅箔。
- 350℃で1秒加熱後において、前記圧延銅箔の圧延面の{200}面のX線回折強度をI{200}とし、純銅粉末試料の{200}面のX線回折強度をI0{200}としたとき、
5.0≦I{200}/I0{200}≦27.0を満たす請求項1〜4のいずれかに記載の圧延銅箔。 - 厚みが4〜70μmである請求項1〜5のいずれかに記載の圧延銅箔。
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