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JP5657431B2 - 通信システム - Google Patents
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JP5657431B2 - 通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、漏洩伝送線路を用いた通信システムに関し、特に、漏洩伝送線路同士で無線通信を行う通信システムに関する。
従来、漏洩伝送線路として、例えば、漏洩同軸ケーブル(LCX:Leaky Coaxial Cable)が提案され、無線通信システムの送受信用アンテナとして利用されている。LCXは、例えば、列車と地上との間の無線連絡を目的として、列車軌道沿いに布設され、また、地下鉄構内や地下街と地上との間の消防無線や警察無線による連絡を目的として、地下鉄構内や地下街に布設される。また、携帯電話や無線LANに代表される無線通信システムは、いつでも、どこでも、誰でも通信ネットワークを利用できることから、急速に拡大しつつある。
また、図12に示すように、製鉄所などの工場内で材料を移動するクレーン64の制御において、無線LANシステムを使用することができる。この無線LANシステムでは、クレーン64が移動するレール63に沿って、LCX52a、52bが付設され、LCX52a、52bに対向するクレーン64の側面に平面アンテナ62が取り付けられている。LCX52a、52bの各一端は分配器51に接続され、分配器51はアクセスポイント50に接続されている。そして、LCX52a、52bと平面アンテナ62との間で無線LAN信号を送受信することにより、クレーン64を制御している(非特許文献1及び2参照)。
特開2009−171458号公報
杉山智則、他2名、"金属構造物の多い製鉄所で安定した通信を可能にする漏洩同軸ケーブル方式無線LAN"、[online]、2009年、東芝レビュー、[平成22年9月3日]、インターネット(URL:http://www.toshiba.co.jp/tech/review/2009/11/64_11pdf/f05.pdf) "漏洩ケーブル(LCX)無線LANシステム" 、[online]、東芝テック株式会社、インターネット(URL:http://www.tec.jp/catalog/detail/lcxlan.htm)
非特許文献1及び図12に示した無線LANシステムでは、送受信用アンテナとして、LCX52a、52b、及び平面アンテナ62を使用している。ここで、LCX52aと平面アンテナ62の指向性について検討する。図14(a)に示すように、LCX52aを含む平面での垂直偏波に対する指向性半値角θは約10度である(特開2009−171458号公報の第7図参照)。なお「垂直偏波に対する指向性半値角」とは、放射波の電力がピーク値に対して半分になる角度である。そして、この指向性半値角内の領域である指向性領域ddは、LCX52aを軸として、放射角αの方向に円錐型の放射ビームを形成している。放射角θは、LCXの外部導体に設けた開孔のピッチとLCXを伝搬する電磁波の波長によって定まる(岸本利彦、他1名、“LCX通信システム”、コロナ社、昭和57年8月20日発行)。これに対して、図14(b)に示すように、平面アンテナ62の指向性領域fdにおいて、平面アンテナ62の指向性半値角βは、LCX52aよりも大きく、60度〜75度の範囲である(株式会社バッファロー、無線LAN用平面アンテナカタログ、URL: http://buffalo.jp/products/catalog/network/wle-2da/ 、及びマスプロ電工株式会社、無線LAN用平面アンテナカタログ、URL: http://www.maspro.co.jp/pdfview/manual_pdf/4843.pdf 参照)。
図12の無線LANシステムでは、図13に示すように、LCX52aと平面アンテナ62は、互いに指向性領域dd及びfdが一致するように付設される。よって、LCX52aから鋭い放射ビームとして放出される電波SLは、直接波として平面アンテナ62により受信される。しかし、製鉄所などの工場に無線LANシステムが付設される場合、図15に示すように、LCX52a、52bからの電波は、空間に存在する金属体65a、65bにより反射される。これにより、多数の反射波MP1、MP2、つまりマルチパス波が発生する。
平面アンテナ62の指向性半値角βは大きいため、LCX52a、52bからの電波SL以外に、多数のマルチパス波MP1,MP2を受信してしまう。これが原因で通信障害が起こり、通信不能となってクレーン64が制御不能となる場合がある。
また、周囲に他の無線LANシステムが存在する場合には、他の無線LANシステムからの電波を平面アンテナ62が受信してしまう。よって、マルチパス波MP1,MP2の場合と同様にして、受信障害が起こり、通信不能、クレーン64の制御不能を引き起こす場合がある。
図16は、図15のC−C切断面に沿った指向性領域dd、fdの断面図である。指向性領域ddはLCX52a、52bにより形成され、略リング状の形状を有する。指向性領域fdは、平面アンテナ62により形成され、略円形の形状を有する。指向性領域ddと指向性領域fdが重なる部分fdddにおいて、平面アンテナ62は、LCX52aから放出される電波SLを直接波として受信する。指向性領域fdのうち重複部分fdddを除いた領域では、マルチパス波や他の無線LANシステムからの電波を受信してしまう。
これらの技術的課題に対して、特許文献1に記載された移動体通信システムでは、図12のクレーン64に相当する移動体に搭載するアンテナとして、平面アンテナ62の代わりに、LCXを使用している。すなわち、移動体の移動方向(図12のレール63)に沿って配置される固定側アンテナ、及び移動体(図12のクレーン64)に搭載されるアンテナとして、共にLCXを採用し、LCX同士で無線通信を行っている。互いに、垂直偏波に対する指向性半値角θを小さくして指向性領域ddを細く絞ることで、マルチパス波や他の無線LANシステムの電波を受信しにくくなり、通信障害を抑制することができる。
しかし、特許文献1では、LCXの必要な長さ、LCX相互の適切な間隔や許容される位置誤差については記載されていない。実際に、LCX同士で無線通信を行う通信システムを実施する場合には、LCXの必要な長さ、LCX相互の適切な間隔や許容される位置誤差を、トライアンドエラーにより求めていた。したがって、実際に、特許文献1に記載された移動体通信システムを構築する場合には、現場での長期間の検証実験が必要となり、現場の操業も停止する必要があるため、そのためのコストが高額となる。
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、漏洩伝送線路同士で無線通信を行う通信システムにおいて、マルチパス波及び他の無線LANシステムの電波による通信障害を抑制することである。
また、本発明の他の目的は、漏洩伝送線路同士で無線通信を行う通信システムを実施する場合において、長期間の検証実験及びこれに伴う現場の操業停止を不要とすることである。
本発明の一態様は、それぞれ漏洩伝送線路をアンテナとして使用する基地局及び通信端末が互いに無線で通信する通信システムであって、線分を成す第1の漏洩伝送線路を備える基地局と、線分を成す第2の漏洩伝送線路を備える通信端末とを備える。第1の漏洩伝送線路の全体及び第2の漏洩伝送線路の少なくとも一部を含む一平面内において、第2の漏洩伝送線路と第1の漏洩伝送線路の傾き角は−5度以上5度以下である。前記した一平面に対して垂直な方向への第2の漏洩伝送線路のねじれ角は−5度以上5度以下である。第2の漏洩伝送線路の長さは5m以下である。
本発明の一態様において、第2の漏洩伝送線路の長さは1m以上であり、第1の漏洩伝送線路の長さは第2の漏洩伝送線路の長さ以上であってもよい。
本発明の一態様において、第1の漏洩伝送線路と第2の漏洩伝送線路の間隔は1m以下であってもよい。
本発明の一態様において、通信システムは、第1の漏洩伝送線路及び第2の漏洩伝送線路が対向する側の逆側に備えられた、漏洩伝送線路から発信される電波及び漏洩伝送線路に向かう電波を吸収する電波吸収体を更に備えていてもよい。
本発明の一態様において、第1の漏洩伝送線路の全体及び第2の漏洩伝送線路の少なくとも一部を含む一平面内において、第2の漏洩伝送線路と第1の漏洩伝送線路の傾き角の許容範囲を、前記した一平面に対して垂直な方向への第2の漏洩伝送線路のねじれ角の許容範囲よりも狭くしてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、第2の漏洩伝送線路と第1の漏洩伝送線路の傾き角が−5度以上5度以下であり、ねじれ角は−5度以上5度以下であり、第2の漏洩伝送線路の長さが5m以下であることにより、漏洩伝送線路同士で無線通信を行う通信システムにおいて、マルチパス波及び他の無線LANシステムの電波による通信障害を抑制することができる。
また、本発明によれば、漏洩伝送線路同士で無線通信を行う通信システムを実施する場合において、長期間の検証実験及びこれに伴う現場の操業停止を不要とすることができる。
図1は、本発明の実施の形態に関わる通信システムの全体構成を示す模式図である。 図2は、輻射方向が正対している第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32を示す模式図である。 図3は、図2のB−B切断面に沿った指向性領域D1、D2を示す断面図である。 図4は、第2の漏洩伝送線路32の長さによる指向性の変化を説明する模式図であり、図4(a)は第2の漏洩伝送線路32の長さLが短い場合を示し、図4(b)は第2の漏洩伝送線路32の長さLが長い場合を示す。 図5は、平行に配置された第1の漏洩伝送線路21及び第2の漏洩伝送線路32を含む平面内における第2の漏洩伝送線路32の傾き角φを定義する模式図である。 図6は、傾き角φを0度から正方向及び負方向に変化させた場合の結合値Lcの変化を示すグラフであり、図6(a)は、第2の漏洩伝送線路32の長さが1mである場合を示し、図6(b)は、第2の漏洩伝送線路32の長さが3mである場合を示す。 図7は、第2の漏洩伝送線路32の長さ及び間隔Yと安定通信傾き角φSAとの関係を示すグラフである。 図8は、平行に配置された第1の漏洩伝送線路21及び第2の漏洩伝送線路32を含む平面に対して垂直な方向への第2の漏洩伝送線路32のねじれ角δを定義する模式図である。 図9は、第2の漏洩伝送線路32の長さ及び間隔Yと安定通信ねじれ角δSAとの関係を示すグラフである。 図10は、傾き角φ及びねじれ角δの変化量に応じた結合値Lcの変化度合を説明する断面図であり、図10(a)は傾き角φを変化させた場合を示し、図10(b)はねじれ角δを変化させた場合を示している。 図11(a)は、漏洩伝送線路21、32の各々から発信される電波及び漏洩伝送線路21、32の各々に向かう電波を吸収する電波吸収体44、43及び金属板42、41を示す断面図であり、図11(b)は、図11(a)の漏洩伝送線路21、32により形成される指向性領域D1、D2を示す断面図である。 図12は、製鉄所などの工場内で材料を移動するクレーン64の制御において、無線LANシステムを使用する一例を示す模式図である。 図13は、LCX52aと平面アンテナ62の付設方向を示す模式図である。 図14(a)はLCX52a、52bの指向性を示す模式図であり、図14(b)は平面アンテナ62の指向性を示す模式図である。 図15は、マルチパス波による通信障害を説明するための模式図である。 図16は、図15のC−C切断面に沿った指向性領域dd、fdの断面図である。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。
<通信システムの構成>
先ず、図1を参照して、本発明の実施の形態に関わる通信システムの全体構成を説明する。本発明の実施の形態に係る通信システム10は、無線基地局(基地局)20及び移動体(通信端末)30を備える。無線基地局20は、アンテナとして機能する第1の漏洩伝送線路21を備える。第1の漏洩伝送線路21の一端は無線基地局20に接続され、その多端は終端器(終端抵抗器)22によって終端されている。第1の漏洩伝送線路21は、自重による撓み及び設置誤差による曲折部を除き、線分を成している。また、第1の漏洩伝送線路21は、移動体30の直線状の移動経路RTに対して平行に延びている。
移動体30は、移動経路RTに沿って直線状に移動するものであり、無線基地局20と適宜通信を行う通信端末31と、アンテナとして機能する第2の漏洩伝送線路32と、第2の漏洩伝送線路32を終端する終端器(終端抵抗器)33とを有する。
通信端末31側からの第2の漏洩伝送線路32の延長方向は、無線基地局20からの第1の漏洩伝送線路21の延長方向に対して逆方向になっている。第2の漏洩伝送線路32は、線分を成し、移動経路RTに対して平行に設置されている。したがって、第2の漏洩伝送線路32及び第1の漏洩伝送線路21は、移動体30の移動可能範囲において平行な状態を維持する。よって、第2の漏洩伝送線路32の輻射方向は、両端側の漏洩伝送線路部分21の輻射方向に対して正対する。これにより、輻射方向が正対している第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32とを強く結合させて、移動体30と無線基地局20の間で安定した通信を確保することができる。例えば、第2の漏洩伝送線路32と第1の漏洩伝送線路21として、長さなどは異なるが、特性が同じ漏洩同軸ケーブル(LCX)を適用することができる。
ここで、第2の漏洩伝送線路32と第1の漏洩伝送線路21の間の平行度合いには、後述する漏洩伝送線路21、32同士の傾き角及びねじれ角の許容範囲に対応している。
漏洩伝送線路21、32は、中心導体と、この中心導体を被覆した絶縁体と、この絶縁体の周囲に配置された外部導体と、この外部導体を被覆した外被(シース)とを備えた同軸ケーブルとして構成されている。漏洩伝送線路21、32の中心導体及び外部導体をなす材料は、一般的には銅であるが、アルミニウムを使用する場合もある。絶縁体をなす材料としては、主にポリエチレンなどが使用されている。そして、漏洩伝送線路21、32の外部導体には、電磁波漏れ機構として、ケーブル長さ方向に周期的にスロット(細長い形状の開孔部)が設けられている。漏洩伝送線路21、32の放射原理は、ケーブル内部を伝送する電気信号エネルギーの一部が、電磁波として外部ヘ放射するものである。
図2は、図1の輻射方向に相当する第1の漏洩伝送線路21の指向性領域D1及び第2の漏洩伝送線路32の指向性領域D2を示している。ここで、「指向性領域D1、D2」とは、漏洩伝送線路21、32を含む平面での垂直偏波に対する指向性半値角θ内の領域を示す。第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32が平行に配置されている場合、第1の漏洩伝送線路21の指向性領域D1と第2の漏洩伝送線路32の指向性領域D2が正対する。第1の漏洩伝送線路21及び第2の漏洩伝送線路32を含む平面での垂直偏波に対する指向性半値角θは共に小さいため、マルチパス波MP1、MP2や他の無線LANシステムからの電波OPを受信し難くなる。
図3は、図2のB−B切断面に沿った指向性領域D1、D2を示す。指向性領域D1は第1の漏洩伝送線路21により形成され、指向性領域D2は第2の漏洩伝送線路32により形成される。指向性領域D1と指向性領域D2が重なる部分D12において、第1の漏洩伝送線路21は、第2の漏洩伝送線路32から放出される電波を直接波として受信する。指向性領域D2のうち重複部分D12を除いた領域は、図16に示した平面アンテナ62を用いた場合に比べて狭いため、第2の漏洩伝送線路32は、マルチパス波や他の無線LANシステムからの電波を受信し難くなる。すなわち、図1の通信システムは、図12の通信システムに比べて通信障害に強いシステムといえる。
<漏洩伝送線路の長さ、漏洩伝送線路の間隔や角度誤差について>
先ず、図4を参照して、第2の漏洩伝送線路32の長さによる指向性の変化を説明する。図4(a)に示すように、第2の漏洩伝送線路32の長さLが短いと、垂直偏波に対する指向性半値角θが大きくなり、指向性領域Dの幅が広くなる。図4(b)に示すように、第2の漏洩伝送線路32の長さLが長いと、垂直偏波に対する指向性半値角θ が小さくなり、指向性領域 の幅が狭くなる。第2の漏洩伝送線路32が長くなると、第2の漏洩伝送線路32に含まれる波源となる開孔の数が増えるため、指向性半値角θは小さくなる。また、第2の漏洩伝送線路32の指向性領域Dは、第1の漏洩伝送線路21からの距離に応じても変化する。第1の漏洩伝送線路21からの距離が近いほど、指向性領域Dの幅が狭くなる。漏洩伝送線路21、32の指向性の向きは漏洩伝送線路21、32の取り付け誤差で変化してしまう。安定した無線通信を確保するためには、漏洩伝送線路21、32の長さ、漏洩伝送線路21、32の間隔Y、漏洩伝送線路21、32の取り付け精度は、予め調査しておくことが望ましい。
次に、本発明の発明者が行った、第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32の結合値Lcに及ぼす第2の漏洩伝送線路32の長さ、第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32の間隔、第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32間の傾き角及びねじれ角についての調査結果について説明する。
図5を参照して、平行に配置された第1の漏洩伝送線路21及び第2の漏洩伝送線路32を含む平面内における第2の漏洩伝送線路32の傾き角φを説明する。図5に示すxyz直行座標系において、第1の漏洩伝送線路21はz軸上に配置され、第1の漏洩伝送線路21の中心は原点に位置している。第2の漏洩伝送線路32はzy平面内において第1の漏洩伝送線路21に対して平行に配置され、第2の漏洩伝送線路32の中心はy軸と交差し、そのy座標はYである。つまり、第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32との間隔はYである。なお、図5には示さないが、第1の漏洩伝送線路21の一端に発振器が接続され、その他端に終端抵抗が接続されている。また、第2の漏洩伝送線路32の一端には、受信器が接続されている。
そして、第2の漏洩伝送線路32を、第2の漏洩伝送線路32の中心を回転軸として、zy平面内において回転させた。この時の回転角(以後、「傾き角」と呼ぶ)φに対する第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32の結合値Lcの変化を測定した。なお、第2の漏洩伝送線路32の長さが1m、3m、及び5mである場合についてそれぞれ測定した。更に、第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32の間隔Yが0.1m、0.5m、1m、及び1.5mである場合についてそれぞれ測定した。なお、第1の漏洩伝送線路21の長さは、第2の漏洩伝送線路32から射出される電波を十分に受信できる長さが望ましく、第2の漏洩伝送線路32と同等或いはそれ以上であることが好ましい。ここでは、第1の漏洩伝送線路21の長さを6mとした。
また、結合値Lcは、第1の漏洩伝送線路21への入力電力Pinと、第2の漏洩伝送線路32からの出力電力Poutとの比として、(1)式から求めることができる。(1)式から分かるように、結合値Lcが大きいほど、第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32間の電磁的な結合は強くなる。結合値Lcの単位はdBである。
Lc=10×log(Pout/Pin) ・・・(1)
図6は、傾き角φを0度から正方向及び負方向に変化させた場合の結合値Lcの変化を示すグラフである。図6(a)は、第2の漏洩伝送線路32の長さが1mである場合を示し、図6(b)は、第2の漏洩伝送線路32の長さが3mである場合を示す。横軸は傾き角φを示し、縦軸は結合値Lcを示す。なお、第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32との間隔Yは共に1mである。
ここで、第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32の間で安定した結合値Lcが得られる状態は、一般的に、ピークの結合値から半分の結合値、すなわち、結合値のピーク値から3dB低下するまでの範囲である。これを「安定通信範囲」と呼ぶ。この安定通信範囲を与える傾き角φ(以後、「安定通信傾き角φSA」という)は、図6(a)では9度、図6(b)では2度であった。
図7は、第2の漏洩伝送線路32の長さ及び間隔Yを変化させて安定通信傾き角φSAを測定した結果を示す。第2の漏洩伝送線路32の長さが長くなるほど、第2の漏洩伝送線路32と第1の漏洩伝送線路21との間隔Yが短くなるほど、安定通信傾き角φSAは小さくなることが分かる。
次に、図8を参照して、平行に配置された第1の漏洩伝送線路21及び第2の漏洩伝送線路32を含む平面に対して垂直な方向への第2の漏洩伝送線路32のねじれ角δを説明する。図8に示すxyz直行座標系において、第1の漏洩伝送線路21及び第2の漏洩伝送線路32は、図5と同様にして配置されている。
そして、第2の漏洩伝送線路32を、第2の漏洩伝送線路32の中心を回転軸として、zy平面に対して垂直な方向へ回転させた。この時の回転角(以後、「ねじれ角」と呼ぶ)δに対する第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32の結合値Lcの変化を測定した。なお、第2の漏洩伝送線路32の長さが1m、3m、及び5mである場合についてそれぞれ測定した。更に、第1の漏洩伝送線路21と第2の漏洩伝送線路32の間隔Yが0.1m、0.5m、1m、及び1.5mである場合についてそれぞれ測定した。なお、第1の漏洩伝送線路21の長さは6mとした。
図9は、第2の漏洩伝送線路32の長さ及び間隔Yを変化させて安定通信ねじれ角δSAを測定した結果を示す。ここで「安定通信ねじれ角δSA」とは、図6を参照して説明した安定通信範囲を与えるねじれ角δである。第2の漏洩伝送線路32の長さが長くなるほど、第2の漏洩伝送線路32と第1の漏洩伝送線路21との間隔Yが短くなるほど、安定通信ねじれ角δSAは小さくなることが分かる。この傾向は、傾き角φと同様であった。
図7と図9の測定結果を比較すると、第2の漏洩伝送線路32の長さ及び間隔Yが同じ状況では、安定通信ねじれ角δSAよりも安定通信傾き角φSAが小さいことが分かる。なぜなら、図10に示すように、第1の漏洩伝送線路21の指向性領域D1と第2の漏洩伝送線路32の指向性領域D2とが重複する領域の面積が、ねじれ角δを変数とした場合よりも傾き角φを変数とした場合の方が急激に変化するからである。図10(a)は、傾き角φが0度である時の指向性領域D1及び指向性領域D2と、傾き角φが1度である時の指向性領域D2φ1を示す。傾き角φを変化させると、指向性領域D2はその幅方向に移動するため、重複領域の面積は急激に変化する。よって、安定通信傾き角φSAは小さくなる。一方、ねじれ角δを変化させると、指向性領域D2は、指向性領域D2の円周に沿った方向、或いは、第1の漏洩伝送線路21及び第2の漏洩伝送線路32を含む平面に垂直な方向に移動するため、重複領域の面積は急激には変化しない。よって、安定通信ねじれ角δSAは大きくなる。
したがって、第1の漏洩伝送線路21の全体及び第2の漏洩伝送線路32の少なくとも一部を含む一平面内において、第2の漏洩伝送線路32と第1の漏洩伝送線路21の傾き角φの許容範囲を、前記した一平面に対して垂直な方向への第2の漏洩伝送線路のねじれ角δの許容範囲よりも狭くすることが好ましい。これにより、第1の漏洩伝送線路21の指向性領域D1と第2の漏洩伝送線路32の指向性領域D2とが重複する領域の面積の急激な変化を抑制することができる。よって、通信品質の劣化を抑制し、無線基地局20と移動体30の間での良好な無線通信を確保することができる。
次に、第2の漏洩伝送線路32の長さ、漏洩伝送線路21、32の間隔Y、安定通信傾き角φSA及び安定通信ねじれ角δSAの適正値について説明する。安定通信傾き角φSA及び安定通信ねじれ角δSAが広くなるほど、マルチパス波や他の無線LANシステムの電波を受信しやすくなる。前述したように、平面アンテナ62の前方の垂直偏波に対する指向性半値角βは、60度〜75度の範囲である。よって、安定通信傾き角φSA及び安定通信ねじれ角δSAが50度以下であれば、平面アンテナ62の場合に比べて、マルチパス波や他の無線LANシステムの電波による通信障害を抑制することができる。
図9からも分かるように、安定通信ねじれ角δSAを50度以下にするには、漏洩伝送線路21、32の間隔Yは1m以下に設定し、第2の漏洩伝送線路32の長さは1m以上に設定すればよい。なお、前述したように、第1の漏洩伝送線路21の長さは、第2の漏洩伝送線路32から射出される電波を十分に受信できる長さが望ましく、第2の漏洩伝送線路32と同等或いはそれ以上であることが好ましい。漏洩伝送線路21、32の間隔Yを短くするほど、第2の漏洩伝送線路32の長さを長くするほど、安定通信傾き角φSA及び安定通信ねじれ角δSAが小さくなるので、通信障害をより強く抑制することができる。
漏洩伝送線路21、32の間隔Yは1m以下に設定し、第2の漏洩伝送線路32の長さは1m以上に設定した場合、第1の漏洩伝送線路21の全体及び第2の漏洩伝送線路32の少なくとも一部を含む一平面(図5のyz平面)内において、第2の漏洩伝送線路32と第1の漏洩伝送線路21の傾き角φは−5度以上5度以下であることが望ましい。傾き角φを−5度以上5度以下にすることにより、図7に示すように、安定通信傾き角φSAの範囲内で第2の漏洩伝送線路32及び第1の漏洩伝送線路21を付設することができる。よって、通信品質の劣化を抑制し、無線基地局20と移動体30の間での良好な無線通信を確保することができる。また同時に、漏洩伝送線路同士で無線通信を行う通信システムを実施する場合において、長期間の検証実験及びこれに伴う現場の操業停止を不要とすることができる。
更に、第2の漏洩伝送線路32の長さを5m以下に設定した場合、第1の漏洩伝送線路21の全体及び第2の漏洩伝送線路32の少なくとも一部を含む一平面(図8のyz平面)に対して垂直な方向への第2の漏洩伝送線路32のねじれ角δは−5度以上5度以下であることが望ましい。ねじれ角δを−5度以上5度以下にすることにより、図9に示すように、安定通信ねじれ角δSAの範囲内で第2の漏洩伝送線路32及び第1の漏洩伝送線路21を付設することができる。よって、通信品質の劣化を抑制し、無線基地局20と移動体30の間での良好な無線通信を確保することができる。また同時に、長期間の検証実験及びこれに伴う現場の操業停止を不要とすることができる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は、1つの実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、通信システムは、図11(a)に示すように、漏洩伝送線路21、32の各々から発信される電波及び漏洩伝送線路21、32の各々に向かう電波を吸収する電波吸収体44、43を更に備えていてもよい。電波吸収体44は、第1の漏洩伝送線路21の第2の漏洩伝送線路32に対向する側の逆側に少なくとも設けられている。図11(a)の例では、第2の漏洩伝送線路32に対向する側の逆側のみならず、第2の漏洩伝送線路32に対向する側を除く総ての外周面に沿って電波吸収体44が配置されている。同様に、電波吸収体43は、第2の漏洩伝送線路32の第1の漏洩伝送線路21に対向する側の逆側に少なくとも設けられている。図11(a)の例では、第1の漏洩伝送線路21に対向する側の逆側のみならず、第1の漏洩伝送線路21に対向する側を除く総ての外周面に沿って電波吸収体43が配置されている。電波吸収体44、43は、漏洩伝送線路21、32外周面から一定の間隔をおいて扇状に配置されている。電波吸収体44、43は、マルチパス波や他の無線LANシステムの電波を吸収して、通信障害をより強く抑制することができる。
更に、電波吸収体44、43の外周側面に金属板42、41をそれぞれ設けてもよい。金属板42、41に接地電位を印加することにより電波シールド用金属板として使用する。漏洩伝送線路21、32の各々に向かうマルチパス波や他の無線LANシステムの電波を反射して、通信障害をより強く抑制することができる。
図11(b)は、図11(a)の漏洩伝送線路21、32により形成される指向性領域D1、D2を示す断面図である。指向性領域D1のうち重複部分を除いた領域は、図3に示した場合に比べて狭いため、第2の漏洩伝送線路32は、マルチパス波や他の無線LANシステムからの電波を受信し難くなる。すなわち、図11の通信システムは、図2に示した通信システムに比べて通信障害に強いシステムといえる。
20 無線基地局(基地局)
30 移動体(通信端末)
21 第1の漏洩伝送線路
32 第2の漏洩伝送線路
φ 傾き角
δ ねじれ角
43、44 電波吸収体

Claims (4)

  1. それぞれ漏洩伝送線路をアンテナとして使用する基地局及び通信端末が互いに無線で通信する通信システムであって、
    線分を成す第1の漏洩伝送線路を備える前記基地局と、
    線分を成す第2の漏洩伝送線路を備える前記通信端末とを備え、
    前記第1の漏洩伝送線路の全体及び第2の漏洩伝送線路の少なくとも一部を含む一平面内において、第2の漏洩伝送線路と第1の漏洩伝送線路の傾き角の許容範囲を、前記一平面に対して垂直な方向への第2の漏洩伝送線路のねじれ角の許容範囲よりも狭くし、
    前記第1の漏洩伝送線路の全体及び第2の漏洩伝送線路の少なくとも一部を含む一平面内において、前記第2の漏洩伝送線路と前記第1の漏洩伝送線路の傾き角は−2度以上2度以下であり、
    前記一平面に対して垂直な方向への前記第2の漏洩伝送線路のねじれ角は−5度以上5度以下であり、
    前記第2の漏洩伝送線路の長さは5m以下である
    ことを特徴とする通信システム。
  2. 前記第2の漏洩伝送線路の長さは1m以上であり、前記第1の漏洩伝送線路の長さは第2の漏洩伝送線路の長さ以上であることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
  3. 前記第1の漏洩伝送線路と前記第2の漏洩伝送線路の間隔は1m以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
  4. 前記第1の漏洩伝送線路及び前記第2の漏洩伝送線路が対向する側の逆側に備えられた、前記第1の漏洩伝送線路或いは前記第2の漏洩伝送線路から発信される電波及び前記第1の漏洩伝送線路或いは前記第2の漏洩伝送線路に向かう電波を吸収する電波吸収体を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の通信システム。
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