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JP5664183B2 - 可変指向性アンテナ装置 - Google Patents
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JP5664183B2 - 可変指向性アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、可変指向性アンテナ装置に関し、特に、アンテナの指向性を設定する技術に関する。
可変指向性アンテナの指向性を変化させることで、無線端末からの電波到来方向を探知する装置が知られている(たとえば特許文献1)。特許文献1の装置では、可変指向性アンテナとして、複数の非励振素子にそれぞれ接続された可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることで指向性が変化するアレーアンテナを備えている。そして、アレーアンテナの指向性を変化させつつ、到来方向が未知の無線信号を受信して、各指向性毎の未知無線信号の電力値に基づいて、電波到来方向を探知している。
特許第3836080号公報
特許文献1のものにおいて、アレーアンテナの指向性を設定するためのリアクタンス値には、配置環境は考慮されていない。しかし、固定型の装置を考えた場合には、アンテナの周囲に電波を反射する壁が近接するような位置に装置を配置することもあれば、また、そのような壁が存在しない位置に装置を配置することもある。
可変指向性アンテナの周囲に電波を反射する壁が存在するにも関わらず、壁が存在しない場合と同じリアクタンス値セットを用いてしまうと、壁による反射の影響によって、壁による影響がない場合には生じていない角度に強いサイドローブが生じてしまうことがある。そして、このサイドローブの存在により、無線端末の存在方位を誤検出してしまう可能性があった。
反対に、可変指向性アンテナの周囲に電波を反射する壁が存在しないにも関わらず、壁が存在する場合と同じリアクタンス値セットを用いてしまっても、適切な指向性が得られない。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、周囲の壁の影響によらず、良好な指向性を得ることができる可変指向性アンテナ装置を提供することにある。
その目的を達成するための請求項1、3、4記載の発明は、可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより指向性が変化するアレーアンテナを備えている。また、記憶部には、各可変リアクタンス素子にそれぞれ対応したリアクタンス値からなるリアクタンス値セットが指向性毎に記憶されており、しかも、そのリアクタンス値セットは、指向性毎に、壁の影響によらず良好な指向性を得るために、壁までの距離が異なる複数の設置環境にそれぞれ対応した複数セットが記憶されている。そして、リアクタンス値設定部は、記憶部に記憶されている複数のリアクタンス値セットのうちから1つのセットを選択してリアクタンス値を設定する。よって、実際に設置される環境における壁までの距離に応じてリアクタンス値セットを選択することが可能となるので、周囲の壁の影響によらず良好な指向性を得ることができるようになる。
加えて、請求項記載の発明では、記憶部には、指向性毎に、壁が指向性に影響を与える距離に存在する場合のリアクタンス値セットと、影響を与える距離に存在しない場合のリアクタンス値セットとが記憶されている。また、指向性に影響を与える距離に壁が存在するか否かを判断する壁判断部を備えている。そして、リアクタンス値設定部は、壁判断部の判断結果に応じたリアクタンス値セットを設定する。従って、壁の影響に応じたリアクタンス値セットを自動的に設定することができる。しかも、このように壁判断部を備えることにより、人が視認できる壁が存在するか否かではなく、電波を反射して指向性に影響を与える壁であるか否かが判断されることになるので、より適切にリアクタンス値セットを設定することができる利点もある。
なお、この請求項記載の発明とは異なり、手動操作により、リアクタンス値セットを設定するようにしてもよい。この場合、リアクタンス値設定部に対してどのリアクタンス値セットを設定するかを指示するための操作を操作者が行う操作部を備え、リアクタンス値設定部は、その操作部からの指示に基づいてリアクタンス値セットを設定する。
請求項記載の発明では、壁の有無を探知する方向として予め設定された壁探知方向にメインローブが向くようにリアクタンス値セットが設定された状態で、アレーアンテナから送信する送信電力と、そのアレーアンテナによって受信される受信電力との電力比を算出する電力比算出部を備えている。壁探知方向に実際に壁が存在する場合には、壁による反射により受信電力が高くなり、壁が存在しない場合には受信電力は低くなる。よって、送信電力と受信電力との電力比は、壁が存在する場合と存在しない場合とで値が大きく異なる。よって、壁判断部は、電力比算出部が算出した電力比に基づいて指向性に影響を与える距離に壁が存在するか否かを判断することができる。
請求項記載の発明では、記憶部には、指向性毎に、壁までの距離が異なる設置環境にそれぞれ対応した3つ以上のリアクタンス値セットが記憶されている。また、第1電力比算出部により、壁の有無を探知する方向として予め設定された壁探知方向にメインローブが向くリアクタンス値セットが設定された状態で、アレーアンテナから送信する送信電力と、そのアレーアンテナによって受信される受信電力との電力比である第1電力比を算出する。また、第2電力比算出部により、壁探知方向に対して所定角度ずれた方向にメインローブが向くリアクタンス値セットが設定された状態で、前記アレーアンテナから送信する送信電力と、前記アレーアンテナによって受信される受信電力との電力比である第2電力比を算出する。
受信電力は壁までの距離が遠いほど弱くなることから、送信電力と受信電力との電力比は、壁までの距離に応じて変化する傾向を有する。しかし、この電力比は、壁までの距離に応じて単純に変化するのではなく、波長周期に基づく周期性を有する。そのため、1つの電力比だけでは、壁までの距離を精度よく算出することができない。しかし、この発明では、電力比差算出手段により、第1電力比と第2電力比との差である電力比差を算出する。2つの電力比には、いずれも、同じ波長周期に基づく周期性変動が含まれていることから、電力比差は、波長周期に基づく周期性変動が少なくなっている。よって、電力比差は壁までの距離と対応する。また、電力比差と壁までの距離との関係は予め実験に基づいて決定しておくことができ、さらには、壁までの距離とリアクタンス値セットとの関係も予め記憶しておくことができる。
よって、リアクタンス値設定部は、電力比差に基づいて予めリアクタンス値セットが定まる予め記憶された関係と、実際の電力比差とから、リアクタンス値セットを設定する。このようにすることで、壁までの距離に応じたリアクタンス値セットを設定することができるので、壁の影響によらず良好な指向性を得ることができる。
なお、電力比差に基づいて予めリアクタンス値セットが定まる予め記憶された関係は、電力比差とリアクタンス値セットとが直接対応する関係に限らず、電力比差と壁までの距離との関係と、壁までの距離とリアクタンス値セットとの関係の2つの関係であってもよい。
請求項記載の発明では、記憶部には、指向性毎に、壁までの距離が異なる設置環境にそれぞれ対応した3つ以上のリアクタンス値セットが記憶されている。また、送信制御部は、壁の有無を探知する方向として予め設定された壁探知方向にメインローブが向くリアクタンス値セットが設定された状態で、送信周波数を複数に変化させて、各送信周波数においてアレーアンテナから信号を送信させる。そして、電力比算出部は、各送信周波数において、前記アレーアンテナから送信される送信電力と、前記アレーアンテナによって受信される受信電力との比である電力比を算出する
送信周波数の変化により波長も変化し、この波長の変化により、壁において反射する波長部位が変化する。そのため、周波数の変化により受信電力が変化し、受信電力の変化により、送信電力と受信電力との電力比も変化することになる。また、壁までの距離も、壁において反射する波長部位に影響する。よって、送信周波数の変化に対する電力比の変化傾向は、壁までの距離に応じて異なる変化傾向を示すことになる。
そこで、リアクタンス値設定部は、送信周波数の変化に対する電力比の変化傾向に基づいてリアクタンス値セットが定まる予め記憶された関係と、電力比算出部が実際に算出した電力比の送信周波数に対する変化傾向とに基づいて、リアクタンス値セットを設定する。このようにすることで、壁までの距離に応じたリアクタンス値セットを設定することができるので、壁の影響によらず良好な指向性を得ることができる。
第1実施形態の無線端末方向探知装置の構成図である。 第1実施形態における指向性の方向を定める図である。 可変リアクタンス制御部61が実行する壁判断処理を示すフローチャートである。 リアクタンス値セットと実際の設置環境における指向性との関係を示す図である。 第2実施形態における方向探知コンピュータ6の構成を示す図である。 第1電力比が算出される指向性である背面方向と、第2電力比が算出される指向性方向である背面から30°ずれた方向との関係を示す図である。 壁までの距離と電力比差との関係の一例を示す図である。 第3実施形態における方向探知コンピュータ6の構成を示す図である。 背面の壁までの距離と電力比との関係を、3つの周波数(2300、2400、2500MHz)について概念的に示した図である。 3つの距離(61mm、91.5mm、122mm)における、送信周波数の変化に対する電力比の変化傾向を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態の無線端末方向探知装置の構成図であり、この無線端末方向探知装置は、本発明の可変指向性アンテナ装置としての機能を備えており、アレーアンテナ1の指向性を変化させつつ、図示しない無線端末(たとえば無線タグ)からの無線信号を受信して、その無線信号の到来方向を推定する。
図1に示すように、無線端末方向探知装置は、アレーアンテナ1、送信器3、サーキュレータ4、電力検出回路5、方向探知コンピュータ6を備えている。
アレーアンテナ1は、1本の励振素子10と、その励振素子10を中心とする円周上に等間隔に設けられた6本の非励振素子11〜16とを備えている。これらはいずれも直棒形状であり、その長さは、たとえば、いずれも約λ/4となっている。
これら励振素子10、非励振素子11〜16は、接地導体17の上に、その接地導体17から絶縁された状態に設けられている。その接地導体17は、励振素子10や非励振素子11〜16に対して十分に大きい広さ(たとえば半径λ/2)を有している。
励振素子10の給電点は、同軸ケーブル19を介して送信器3およびサーキュレータ4に接続されている。非励振素子11〜16には、可変リアクタンス回路18A〜18Fがそれぞれ接続されている。この可変リアクタンス回路18は、電子制御導波器アレーアンテナ装置において一般的に用いられるものと同一の回路であり、たとえば、バイアス電圧が印加されることによってリアクタンス値が変化する可変リアクタンス素子(例えば可変容量ダイオード)を含む回路として構成される。この回路は、高周波的に接地導体17に接続され、方向探知コンピュータ6の後述する可変リアクタンス制御部61によってリアクタンス値が電子的に変化させられる。このリアクタンス値が変化させられることにより、アレーアンテナ1は指向性が変化する。
送信器3は、方向探知コンピュータ6およびサーキュレータ4に接続されている。この送信器3は、図示しない内部に変調部、増幅部を備えており、方向探知コンピュータ6から供給される信号を変調・増幅して、所定の電力の信号を出力する。送信器3から出力された信号は、サーキュレータ4および同軸ケーブル19を介して励振素子10へ供給され、無線信号として励振素子10から送信される。
サーキュレータ4は、送信器3からの信号はアレーアンテナ1へ導き、アレーアンテナ1からの信号は電力検出回路5へ導く。電力検出回路5は、アレーアンテナ1で受信され、サーキュレータ4を介して供給された受信信号の電力の大きさ(電力値)を検出する回路である。この電力検出回路5は、無線信号の電力を検出する種々の公知の回路を用いることができ、たとえばダイオード検波器を含む回路構成のものである。この電力検出回路5で検出された電力値を示す電力値信号は図示しないAD変換回路を介して方向探知コンピュータ6に供給される。
方向探知コンピュータ6は、CPU、ROM、RAM等(いずれも図示せず)を備えており、CPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつROMに記憶されているプログラムを実行することにより、方向探知コンピュータ6は、可変リアクタンス制御部61、通信制御部62、方向探知部63として機能する。また、方向探知コンピュータ6は、記憶部65を備えている。
記憶部65は、EEPROMなどの不揮発性メモリであり、可変リアクタンス回路18A〜18Fに備えられている各可変リアクタンス素子にそれぞれ対応したリアクタンス値からなるリアクタンス値セットを複数記憶している。これら複数のリアクタンス値セットは、無線端末の方向探知を行う方向探知範囲内において、アレーアンテナ1の指向性を向ける複数の方向にそれぞれ対応している。上記方向探知範囲は、本実施形態では、90°〜270°までの180°の範囲であり、アレーアンテナ1の指向性を向ける方向は、90°〜270°まで30°のステップ角毎の方向である。すなわち、90°、120°、150°、180°、210°、240°、270°の方向に指向性が向くようになるリアクタンス値セットが記憶されている。
さらに、各指向性に対して、リアクタンス値セットは、それぞれ、背面に壁がある場合のセットと背面に壁がない場合のセットとが記憶されている。図2は、第1実施形態における指向性の方向を定める図である。本実施形態において背面とは、図2に示す0°方向を意味する。なお、図2において、内部に数字が示されている丸は、励振素子10或いは非励振素子11〜16を示している。
0°の方向は、方向探知を行わない範囲の中心であり、また、本装置の図示しない筐体内におけるアレーアンテナ1の配置により定まる方向である。さらに、記憶部65には、この背面方向に指向性を向けるためのリアクタンス値セットも記憶されている。これらリアクタンス値セットにおけるリアクタンス値は、いずれも、実験に基づいて決定されている。
可変リアクタンス制御部61は、背面に壁があるか否かを判断する壁判断処理を行う。よって、可変リアクタンス制御部61は、特許請求の範囲の壁判断部として機能する。なお、背面に壁があるか否かは、無限遠方までを考慮するのではなく、壁が指向性に影響を与える距離に存在するかを判断するものである。壁判断処理の内容は図3を用いて後述する。また、可変リアクタンス制御部61は、無線端末の方向を探知する際にはリアクタンス値設定処理も行う。このリアクタンス値設定処理では、背面に壁があるか否かの判断結果に基づいて、記憶部65に記憶されている複数のリアクタンス値セットの中から、背面に壁がある場合のセット、あるいは、背面に壁がない場合のセットのいずれかを選択する。そして、方向探知範囲内において指向性をステップ角毎に順次変化させる。このリアクタンス値設定処理を行うことから、可変リアクタンス制御部61は、特許請求の範囲のリアクタンス設定部としても機能する。
通信制御部62は、送信器3を制御するものであり、可変リアクタンス制御部61からの指示により、送信器3から所定の送信電力の信号を送信させる。方向探知部63は、可変リアクタンス制御部61がリアクタンス値設定処理を行っている際、可変リアクタンス制御部61からアレーアンテナ1の指向性を逐次取得するとともに、電力検出回路5から電力値を取得する。そして、それらに基づいて指向性毎の電力値を決定し、最大電力値を示した指向性方向を無線端末が存在する方向に決定する。
図3は、可変リアクタンス制御部61が実行する壁判断処理を示すフローチャートである。この図3に示す処理は、たとえば、ユーザによる処理開始指示操作により開始する。なお、アレーアンテナ1は、所定の設置位置に固定されるものであり、壁判断処理は、その設置位置に設置されたときに一度だけ実行する。
図3において、ステップS1では背面方向に指向性を向ける。より具体的には、記憶部65から、背面方向に指向性を向けるためのリアクタンス値セットを取得し、取得したリアクタンス値セットに含まれているリアクタンス値を各可変リアクタンス素子に対して設定する。
続くステップS2では、通信制御部62に対して、送信器3から所定の電力の信号を送信させることの指示を行う。続くステップS3では、電力検出回路5が検出した受信電力を取得する。そして、ステップS4では、ステップS2で送信した送信電力と、ステップS3で取得した受信電力との電力比(受信電力/送信電力)を算出する。なお、このステップS4で電力比を算出することから、可変リアクタンス制御部61は、電力比算出部としても機能する。
続くステップS5では、ステップS4で算出した電力比が予め設定されている閾値Xよりも大きいか否かを判断する。背面方向に壁がある場合、壁による反射により受信電力が大きくなる。よって、背面方向に壁がある場合には電力比が大きくなる。閾値Xは、壁の有無により変化する電力比を区別できる値となるように、実験に基づいて予め設定されている。よって、ステップS5が肯定判断である場合には、ステップS6において、背面に壁ありと決定する。そして、続くステップS7では、リアクタンス値セットとして、背面に壁がある場合のリアクタンス値セットを選択すると決定する。
一方、ステップS5が否定判断である場合には、ステップS8へ進んで、背面に壁なしと決定する。そして、ステップS9において、リアクタンス値セットとして、背面に壁がない場合のリアクタンス値セットを選択すると決定する。
図4は、リアクタンス値セットと実際の設置環境における指向性との関係を示す図である。より詳しくは、図4は、背面方向に壁がない場合のリアクタンス値セットを用いた場合および背面方向に壁がある場合のリアクタンス値セットを用いた場合のそれぞれに対して、実際の設置環境が、背面方向に壁がある場合および背面方向に壁がない場合の指向性をシミュレーションした結果を示す図である。また、この図4は、指向性を270°方向に向けるためのリアクタンス値セットを用いた場合を示している。
リアクタンス値セットの具体的な数値は実験に基づいて決定するが、リアクタンス値の概略を以下に説明する。指向性を270°方向に向けるためのリアクタンス値セットは、壁がない場合のものは、指向性を向けたい方向を中心とする左右それぞれ2つの非励振素子11、14、15、16のリアクタンス値を小さい値(たとえば0.5pF)に設定して導波器として振舞わせる。一方、残りの非励振素子12、13に対するリアクタンス値を大きい値(たとえば20pF)に設定して反射器として振舞わせる。また、壁がある場合のものは、非励振素子12、13に加えて、壁に対して垂直な方向の非励振素子11、14も反射器として振舞わせる。
壁なし用のリアクタンス値を用いた場合であって、実際の設置環境も壁がない場合には、同図(A)に示されるように、270°方向にメインローブが向く良好な指向性となっている。しかし、背面方向に壁70がある場合には、同じリアクタンス値を用いても、同図(B)に示されるように、壁からの反射の影響により、180°方向(壁の正面方向)に大きなサイドローブが生じてしまう。
また、壁あり用のリアクタンス値を用いた場合であって、実際の設置環境においても壁70が存在する場合には、同図(D)に示されるように、ほぼ270°の方向にメインローブが向く良好な指向性となっている。しかし、背面方向に壁がない場合には、同じリアクタンス値を用いても、同図(C)に示されるように、ビーム幅が大きくなってしまう。
そこで、上述の第1実施形態では、記憶部65に、リアクタンス値セットを、指向性毎に、背面に壁がある場合とない場合にそれぞれ対応した2種類を記憶している。そして、可変リアクタンス制御部61は、背面方向に壁があるか否かを実際に判断し、記憶部65に記憶されている2種類のリアクタンス値セットのうちから、壁の有無の判断結果に応じたリアクタンス値セットを選択する。このように、実際に設置される環境において背面方向に壁があるか否かに応じてリアクタンス値セットを選択しているので、背面の壁の有無によらず良好な指向性を得ることができるようになる。
また、この第1実施形態では、背面方向に壁があるか否かを、可変リアクタンス制御部61が判断しており、その判断結果に応じてリアクタンス値を設定している。すなわち、壁の有無に応じたリアクタンス値セットを自動的に設定している。よって、人が視認できる壁が存在するか否かではなく、電波を反射して指向性に影響を与える壁の有無を判断していることになるので、適切なリアクタンス値セットを選択することができる。
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態は、方向探知コンピュータ6の可変リアクタンス制御部61の機能、および、記憶部65の記憶内容が第1実施形態と異なり、他の構成は第1実施形態と同じである。
図5は、第2実施形態における方向探知コンピュータ6の構成を示す図である。第2実施形態においても、記憶部65は、無線端末の方向探知を行う方向探知範囲内において、アレーアンテナ1の指向性を向ける複数の方向にそれぞれ対応したリアクタンス値セットを記憶している。ただし、第2実施形態では、各指向性に対して、背面の壁までの距離が異なる3つ以上の設置環境にそれぞれ対応したリアクタンス値セットが記憶されている。また、記憶部65には、背面方向に指向性を向けるためのリアクタンス値セット、背面から30°ずれた方向に指向性が向くリアクタンス値セットも記憶されており、さらに、壁までの距離と電力比差との関係も記憶されている。なお、壁までの距離と電力比差との関係については、後に詳しく説明する。
可変リアクタンス制御部61は、第1電力比算出部611、第2電力比算出部612、電力比差算出部613、リアクタンス値設定部614を備えている。リアクタンス値設定部614は、背面の壁までの距離を検出し、記憶部65に記憶されている複数のリアクタンス値セットのうちから、背面の壁までの距離に応じたリアクタンス値セットを選択する。
背面の壁までの距離を検出する処理においては、まず、壁探知方向である背面方向に指向性が向くリアクタンス値を設定する。そして、通信制御部62に対して、送信器3から所定の電力の信号を送信させることの指示を行う。また、第1電力比算出部611に第1電力比を算出させる。
第1電力比算出部611は、リアクタンス値設定部614からの指示に基づき、電力検出回路5から受信電力を取得し、この受信電力と送信電力とから第1電力比(受信電力/送信電力)を算出する。そして、算出した第1電力比を電力比差算出部613へ送る。
さらに、リアクタンス値設定部614は、背面から30°ずれた方向に指向性が向くリアクタンス値を設定する。そして、通信制御部62に対して、送信器3から所定の電力の信号を送信させることの指示を行う。また、第2電力比算出部612に第2電力比を算出させる。
第2電力比算出部612は、リアクタンス値設定部614からの指示に基づき、電力検出回路5から受信電力を取得し、この受信電力と送信電力とから第2電力比(受信電力/送信電力)を算出する。そして、算出した第2電力比を電力比差算出部613へ送る。
電力比差算出部613は、第1電力比と第2電力比との差である電力比差を算出する。そして、算出した電力比差をリアクタンス値設定部614へ送る。ここで、この電力比差について説明する。
図6は、第1電力比が算出される指向性である背面方向と、第2電力比が算出される指向性方向である背面から30°ずれた方向との関係を示す図である。この図6からも分かるように、背面方向から30°ずれた方向では、背面方向よりも壁までの距離が遠くなる。よって、背面方向よりも受信電力は低下する。また、受信電力の低下により、電力比(本実施形態では受信電力/送信電力)も低下する。ただし、電力比は壁までの距離に応じて単純に低下するのではなく、図9にも示すように、波長周期に基づく周期性が存在する。従って、第1電力比だけでは壁までの距離を精度よく算出することができない。
しかし、第1電力比だけでなく、第2電力比にも、波長周期に基づく周期性が存在する。そのため、これらの差である電力比差は、波長周期に基づく周期性変動が少なくなっている。しかも、第1電力比を算出したときの指向性における壁までの距離と、第2電力比を算出したときの指向性における壁までの距離とは異なることから、電力比差は、壁までの距離を反映して変化する値となる。また、壁までの距離を種々変化させて、第1電力比、第2電力比を算出する実験を行うことで、壁までの距離と電力比差との関係は予め決定することが可能である。記憶部65には、この関係、すなわち、壁までの距離と電力比差との関係が予め記憶されている。
リアクタンス値設定部614は、記憶部65から、壁までの距離と電力比差との関係を取得し、取得したこの関係と、電力比差算出部613が算出した電力比差とから、壁までの距離を決定する。
図7は、壁までの距離と電力比差との関係の一例を示す図である。図7に示すように、電力比差は、距離が遠くなるに従ってほぼ単調に減少している。ここで、電力比差算出部613が算出した電力比差が、図7に示すように、1.05程度であったとすると、この図7に示す関係から、壁までの距離は、70mm程度であると推定することができる。そこで、リアクタンス値設定部614は、記憶部65に記憶されている複数のリアクタンス値セット、すなわち、背面の壁までの距離が異なる3つ以上の設置環境にそれぞれ対応したリアクタンス値セットから、上記のようにして推定した距離に最も近いリアクタンス値セットを選択する。
以上、説明した第2実施形態によれば、実際に設置される環境における壁までの距離に応じてリアクタンス値セットを選択しているので、背面方向の壁の影響によらず良好な指向性を得ることができるようになる。
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態は、送信器3が送信周波数を可変に構成されている点において前述の実施形態と相違し、また、方向探知コンピュータ6の可変リアクタンス制御部61、通信制御部62の機能、および、記憶部65の記憶内容も前述の実施形態と相違する。他の構成は前述の実施形態と同じである。
図8は、第3実施形態における方向探知コンピュータ6の構成を示す図である。第3実施形態において、記憶部65は、第2実施形態と同様に、各指向性に対して、背面の壁までの距離が異なる3つ以上の設置環境にそれぞれ対応したリアクタンス値セットが記憶されている。また、記憶部65には、背面方向に指向性を向けるためのリアクタンス値セットも記憶されており、さらに、送信周波数と電力比との関係も記憶されている。なお、送信周波数と電力比との関係については、後に詳しく説明する。
可変リアクタンス制御部61は、電力比算出部615、リアクタンス値設定部616を備えている。リアクタンス値設定部616は、背面の壁までの距離を検出し、記憶部65に記憶されている複数のリアクタンス値セットのうちから、背面の壁までの距離に応じたリアクタンス値セットを選択する。この点においては、第2実施形態と同じである。ただし、背面の壁までの距離を検出する処理において第2実施形態と相違する。
背面の壁までの距離を検出する処理においては、背面に指向性が向くリアクタンス値を設定する。そして、通信制御部62に対して、送信器3から、送信周波数を変化させつつ所定の電力の信号を送信させることの指示を行う。また、電力比算出部615に電力比を算出させる。
通信制御部62は、リアクタンス値設定部616からの指示に基づき、送信器3から、送信周波数を変化させつつ、所定の電力の信号を送信させる。なお、第3実施形態においては、通信制御部62は、特許請求の範囲の送信制御部に相当する。
電力比算出部615は、リアクタンス値設定部616からの指示に基づき、送信器3から送信周波数および送信電力を取得するとともに、電力検出回路5から受信電力を取得する。そして、各送信周波数に対して、送信電力と受信電力との電力比(受信電力/送信電力)を算出し、算出した電力比をリアクタンス値設定部616に出力する。
ここで、電力比と送信周波数との関係について説明する。図9は、背面の壁までの距離と電力比との関係を、3つの周波数(2300、2400、2500MHz)について概念的に示した図である。
同図に示すように、いずれの送信周波数においても、電力比は、波長周期に基づく周期性変動を有する。しかし、壁までの距離および波長が定まれば、壁において反射する波長部位も定まることになり、ひいては、電力比も定まることになる。よって、ある距離において、送信周波数を変化させたときの電力比の変化傾向は予め実験に基づいて決定しておくことができる。
たとえば、図9の例では、壁までの距離が61mmの場合、送信周波数2300MHzのときの電力比が最も小さく、次いで、2400MHzのときの電力比が小さく、2500MHzのときの電力比が最も大きいことが分かる。
図10は、3つの距離(61mm、91.5mm、122mm)における、送信周波数の変化に対する電力比の変化傾向を示す図である。図10の例では、距離61mmの場合には、送信周波数が高くなるのに伴い電力比は増加するが、増加の傾きは比較的小さい。また、距離91.5mmでは、送信周波数2400MHzのときが最も電力比が大きくなっている。また、距離122mmでは、送信周波数が高くなるのに伴い電力比が増加し、その増加の傾きが比較的大きくなっている。記憶部65には、この図10に例示したような送信周波数と電力比との関係が記憶されている。
リアクタンス値設定部616は、記憶部65から、送信周波数と電力比との関係を取得し、また、電力比算出部615から、各送信周波数における電力比を取得する。そして、記憶部65から取得した関係に含まれる複数の変化傾向のうち、電力比算出部615から取得した電力比の送信周波数に対する変化傾向に最も近いものを決定し、その決定した変化傾向が示す距離を壁までの距離と推定する。さらに、記憶部65に記憶されている複数のリアクタンス値セット、すなわち、背面の壁までの距離が異なる3つ以上の設置環境にそれぞれ対応したリアクタンス値セットから、上記のようにして推定した距離に最も近いリアクタンス値セットを選択する。
以上、説明した第3実施形態においても、実際に設置される環境における壁までの距離に応じてリアクタンス値セットを選択しているので、背面方向の壁の影響によらず良好な指向性を得ることができるようになる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
たとえば、前述の実施形態では、電力比は、受信電力/送信電力であったが、分母と分子とを入れ替えてもよい。また、第2実施形態において、背面方向からずれた方向として、背面方向から30°ずれた方向に指向性を設定していたが、30°以外の方向に指向性を設定してもよい。ただし、あまり背面方向に近い場合には、電力比差が小さくなり、また、背面方向からのずれ角が大きいと、壁からの反射が小さくなって第2電力比が小さくなってしまう。よって、30°付近が適当である。
また、第3実施形態において、送信周波数を4種類以上としてもよいし、また、送信周波数と電力比との関係を記憶しておく距離も、4点以上であってもよい。
1:アレーアンテナ、 3:送信器、 4:サーキュレータ、 5:電力検出回路、 6:方向探知コンピュータ、 10:励振素子、 11〜16:非励振素子、 17:接地導体、 18:可変リアクタンス回路、 19:同軸ケーブル、 61:可変リアクタンス制御部(壁判断部、リアクタンス値設定部、電力比算出部)、 62:通信制御部(送信制御部)、 63:方向探知部、 65:記憶部、 70:壁、 611:第1電力比算出部、 612:第2電力比算出部、 613:電力比差算出部、 614:可変リアクタンス設定部、 615:電力比算出部、 616:リアクタンス値設定部

Claims (4)

  1. 無線信号を受信するための励振素子と、その励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、各非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子とを備え、その複数の可変リアクタンス素子のリアクタンス値が変化することにより指向性が変化するアレーアンテナと、
    各可変リアクタンス素子にそれぞれ対応したリアクタンス値からなるリアクタンス値セットを、指向性毎に、壁の影響によらず良好な指向性を得るために、壁までの距離が異なる複数の設置環境にそれぞれ対応した複数セット記憶する記憶部と、
    その記憶部に記憶されている複数セットのリアクタンス値セットから一つのリアクタンス値セットを、前記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値設定部とをみ、
    前記記憶部には、指向性毎に、壁が指向性に影響を与える距離に存在する場合のリアクタンス値セットと、影響を与える距離に存在しない場合のリアクタンス値セットとが記憶されており、
    壁が指向性に影響を与える距離に存在するか否かを判断する壁判断部を備え、
    前記リアクタンス値設定部は、前記壁判断部の判断結果に応じたリアクタンス値セットを設定することを特徴とする可変指向性アンテナ装置。
  2. 請求項において、
    壁の有無を探知する方向として予め設定された壁探知方向にメインローブが向くリアクタンス値セットが設定された状態で、前記アレーアンテナから送信する送信電力と、前記アレーアンテナによって受信される受信電力との電力比を算出する電力比算出部をさらに備え、
    前記壁判断部は、前記電力比算出部が算出した電力比に基づいて、指向性に影響を与える距離に壁が存在するか否かを判断することを特徴とする可変指向性アンテナ装置。
  3. 無線信号を受信するための励振素子と、その励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、各非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子とを備え、その複数の可変リアクタンス素子のリアクタンス値が変化することにより指向性が変化するアレーアンテナと、
    各可変リアクタンス素子にそれぞれ対応したリアクタンス値からなるリアクタンス値セットを、指向性毎に、壁の影響によらず良好な指向性を得るために、壁までの距離が異なる複数の設置環境にそれぞれ対応した複数セット記憶する記憶部と、
    その記憶部に記憶されている複数セットのリアクタンス値セットから一つのリアクタンス値セットを、前記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値設定部とを含み
    前記記憶部には、指向性毎に、壁までの距離が異なる設置環境にそれぞれ対応した3つ以上のリアクタンス値セットが記憶されており、
    壁の有無を探知する方向として予め設定された壁探知方向にメインローブが向くリアクタンス値セットが設定された状態で、前記アレーアンテナから送信する送信電力と、前記アレーアンテナによって受信される受信電力との電力比である第1電力比を算出する第1電力比算出部と、
    前記壁探知方向に対して所定角度ずれた方向にメインローブが向くリアクタンス値セットが設定された状態で、前記アレーアンテナから送信する送信電力と、前記アレーアンテナによって受信される受信電力との電力比である第2電力比を算出する第2電力比算出部と、
    前記第1電力比算出部が算出した第1電力比と前記第2電力比算出部が算出した第2電力比との差である電力比差を算出する電力比差算出部とを備え、
    前記リアクタンス値設定部は、電力比差に基づいてリアクタンス値セットが定まる予め記憶された関係と、前記電力比差算出部が実際に算出した電力比差とに基づいて、リアクタンス値セットを設定することを特徴とする可変指向性アンテナ装置。
  4. 無線信号を受信するための励振素子と、その励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、各非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子とを備え、その複数の可変リアクタンス素子のリアクタンス値が変化することにより指向性が変化するアレーアンテナと、
    各可変リアクタンス素子にそれぞれ対応したリアクタンス値からなるリアクタンス値セットを、指向性毎に、壁の影響によらず良好な指向性を得るために、壁までの距離が異なる複数の設置環境にそれぞれ対応した複数セット記憶する記憶部と、
    その記憶部に記憶されている複数セットのリアクタンス値セットから一つのリアクタンス値セットを、前記可変リアクタンス素子に設定するリアクタンス値設定部とを含み
    前記記憶部には、指向性毎に、壁までの距離が異なる設置環境にそれぞれ対応した3つ以上のリアクタンス値セットが記憶されており、
    壁の有無を探知する方向として予め設定された壁探知方向にメインローブが向くリアクタンス値セットが設定された状態で、送信周波数を複数に変化させて、各送信周波数において前記アレーアンテナから信号を送信させる送信制御部と、
    各送信周波数において、前記アレーアンテナから送信される送信電力と、前記アレーアンテナによって受信される受信電力との比である電力比を算出する電力比算出部とを備え、
    前記リアクタンス値設定部は、送信周波数の変化に対する電力比の変化傾向に基づいてリアクタンス値セットが定まる予め記憶された関係と、前記電力比算出部が実際に算出した電力比の送信周波数に対する変化傾向とに基づいて、リアクタンス値セットを設定することを特徴とする可変指向性アンテナ装置。
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