JP5664483B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、膨張行程で燃料のポスト噴射を実施する燃料噴射制御装置において、シリンダー内の温度に基づいて噴射タイミングを決定するものが記載されている。この技術では、ポスト噴射された燃料噴霧がシリンダー壁面に到達しない温度が目標温度に設定され、筒内温度の推定値が目標温度になったときにポスト噴射が実施されている。このような制御により、ポスト噴射に起因するエンジンオイルの希釈を防止できるとされている。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
また、前記ポスト噴射手段が、排気温度の昇温に係る燃焼ポスト噴射を実施する燃焼ポスト噴射手段と、前記燃焼ポスト噴射後に排気系への未燃成分の供給に係る未燃ポスト噴射を実施する未燃ポスト噴射手段とを有する。前記制御手段は、前記壁面温度に応じて、前記未燃ポスト噴射手段が実施する前記未燃ポスト噴射の燃料量を減少させる。
(4)また、前記ポスト噴射手段が、前記壁面温度に関わらず、各燃焼サイクルで前記ポスト噴射が実施されるタイミングを所定タイミングに維持することが好ましい。つまり、前記ポスト噴射が実施されるクランク角が、前記壁面温度に関わらず変更されることがなく一定値となるように制御されることが好ましい。
(6)また、前記推定手段が、前記平衡温度の経時変動に遅延処理を施して前記壁面温度を推定することが好ましい。
(7)また、前記推定手段が、燃焼サイクル毎の前記気筒内の気体温度の平均値を前記ガス温度として演算することが好ましい。
本実施形態の燃料噴射制御装置は、車両に搭載されたディーゼルエンジン10に適用される。図1では、このエンジン10に設けられた複数のシリンダー11(気筒)のうちの一つを示す。シリンダー11内を往復摺動するピストン12は、コネクティングロッドを介してクランクシャフト13に接続される。
[2−1.概要]
この車両には電子制御装置として、エンジン制御装置1(Engine Electronic Control Unit)が設けられる。エンジン制御装置1は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、通信線や車載ネットワークを介して他の電子制御装置や温度センサー21,冷却水温センサー22,クランク角センサー23等の各種センサー類と接続される。
メイン噴射部2は、エンジン10のエンジン出力に寄与する主噴射を実施するものである。ここでは、例えば図2(a),(b)に示すように、燃焼サイクルの圧縮行程から膨張行程(燃焼行程)にかけてのクランク上死点を挟んで、燃料のプレ噴射,メイン噴射及びアフター噴射の三種類の主噴射が制御される。メイン噴射部2は、これらの三種類の主噴射で噴射すべき燃料噴射量をインジェクター14の制御パルス信号に変換し、各主噴射のタイミングに応じてその制御パルス信号をインジェクター14に伝達する。
ポスト噴射部3(ポスト噴射手段)は、メイン噴射部2で制御される主噴射の後にポスト噴射を実施して、排気温度や排気系を昇温させるもの(すなわち、昇温制御を実施するもの)である。ここでは、図2(a),(b)に示すように、燃焼サイクルの膨張行程でアフター噴射の後に、燃焼ポスト噴射及び未燃ポスト噴射の二種類のポスト噴射が制御される。
上記の二種類のポスト噴射に対応するように、ポスト噴射部3には燃焼ポスト噴射部3a及び未燃ポスト噴射部3bが設けられる。
壁面温度推定部4(推定手段)は、シリンダー11の壁面温度Twalを推定するものである。ここでは、シリンダー11内の筒内温度(実ガス温度)ではなく、シリンダー11の内周面を構成する壁面の温度が推定される。筒内温度は、図3(c)中に破線で示すように、燃焼サイクルを単位として周期的に変動する。これに対して、シリンダー11の実際の壁面の温度は、筒内温度(実ガス温度)と冷却水温Twatの変動の影響を受けながら、時間的に緩慢に変動する。
ガス温度推定部4aは、シリンダー11内のガス温度Tgasを演算するものである。ここでは、燃焼サイクル毎の筒内空間11aの温度(いわゆる筒内温度)の平均値がガス温度Tgasとして演算される。つまり、ガス温度推定部4aは、周期的に変動する筒内温度を演算するのではなく、その筒内温度を燃焼サイクル毎に平均化したものに相当するガス温度Tgasを演算する。
制御部5(制御手段)は、壁面温度推定部4で推定された壁面温度Twalに基づいてポスト噴射部3でのポスト噴射を制限するものである。ここでは、壁面温度Twalが所定温度TA未満であるときに、未燃ポスト噴射の燃料量を減少させる制御信号が未燃ポスト噴射部3bに伝達される。あるいは、燃料量を0にする制御信号が未燃ポスト噴射部3bに伝達される。一方、壁面温度Twalが所定温度TA以上であるときには、上記のような制限が取り払われ、未燃ポスト噴射部3bによる燃料噴射量の制御が実施される。
エンジン制御装置1で実施される昇温制御のフローチャートを図4に例示する。このフローチャートに示される一連の制御は、エンジン制御装置1において予め設定された所定周期で繰り返し実施される。
ステップA10では、イベント実施フラグがオンであるか否かが判定される。ここでいうイベントとは、排気温度(又は排気系)を昇温させるための各種制御を意味し、例えば触媒装置18の被毒再生が要求された場合などにイベント実施フラグがオンに設定される。また、排気温度を昇温させる必要がなくなると、イベント実施フラグがオフに設定される。なお、イベント実施フラグがオンに設定される条件は、例えばエンジン10の運転状態や走行環境,排気系の各種装置の作動状態等に応じて設定される。
上記のフローチャートに沿って昇温制御を実施したときの燃料噴射量等の変動を、図5(a)に例示する。図5(a)は、上から順に、イベント実施フラグ,壁面温度Twal,メイン噴射量,アフター噴射量,燃焼ポスト噴射量,未燃ポスト噴射量のそれぞれの変動をグラフ化したものである。
時刻t0にイベント実施フラグがオンに設定されると、排気の昇温制御が開始され、シリンダー11への吸気量が減少する。その後、時刻t1に燃焼ポスト噴射の開始条件が成立すると、ポスト噴射部3から燃焼ポスト噴射に対応する制御パルス信号が出力され、燃焼ポスト噴射が開始される。同時に、メイン噴射部2からも制御パルス信号が出力され、メイン噴射量が減少方向に補正されるとともに、アフター噴射量が増加方向に補正される。
上記の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記のエンジン制御装置1では、主噴射後に実施されるポスト噴射時の燃料量が、壁面温度Twalに応じて制御される。例えば、壁面温度Twalが所定温度TA未満であるときには、未燃ポスト噴射の燃料量が削減され、あるいは0に設定される。このように、壁面温度Twalを参照してポスト燃料噴射量を制御することにより、燃焼サイクル毎に大きく変動する筒内温度を参照する場合と比較して、ポスト噴射燃料の壁面への付着量を精度よく調整することができる。
これにより、インジェクター14に接続された燃料配管14aの内部の脈動による燃料噴射量の変動を防止することができ、ポスト噴射燃料の噴射量を適切に調整することができる。したがって、インジェクター14から意図せず多量の燃料が噴射されるような不具合を防止することができ、シリンダー壁11bの壁面への燃料付着量やオイル希釈量を減少させることができる。
上述の実施形態の図5(a)では、壁面温度Twalが所定温度TA未満であるときに未燃ポスト噴射の燃料量を0にする制御を例示したが、未燃ポスト噴射を完全に停止させなくてもよい。例えば、壁面温度Twalが所定温度TA未満であるときに、壁面温度Twalが所定温度TA以上のときよりも燃料量を減少させる制御とすることが考えられる。壁面からの燃料の蒸発量が少ない状態での未燃ポスト噴射量を減少させることで、燃料のクランクケース内への流出を抑制することができ、オイルの希釈化を防ぐことができる。
2 メイン噴射部
3 ポスト噴射部(ポスト噴射手段)
3a 燃焼ポスト噴射部(燃焼ポスト噴射手段)
3b 未燃ポスト噴射部(未燃ポスト噴射手段)
4 壁面温度推定部(推定手段)
4a ガス温度推定部
4b 平衡温度演算部
4c 遅れフィルター処理部
5 制御部(制御手段)
10 エンジン
11 シリンダー
14 インジェクター
15 ウォータージャケット
Tgas ガス温度,Twat 冷却水温,Teq1 平衡温度,Teq2 代表平衡温度
Twal 壁面温度,TA 所定温度(壁面温度の判定閾値)
Claims (7)
- 内燃機関の気筒内に対して主噴射後にポスト噴射を実施するポスト噴射手段と、
前記気筒の壁面温度を推定する推定手段と、
前記推定手段で推定された前記壁面温度に基づき、前記ポスト噴射手段が実施する前記ポスト噴射の燃料量を制御する制御手段とを備え、
前記ポスト噴射手段が、
排気温度の昇温に係る燃焼ポスト噴射を実施する燃焼ポスト噴射手段と、
前記燃焼ポスト噴射の後に排気系への未燃成分の供給に係る未燃ポスト噴射を実施する未燃ポスト噴射手段とを有し、
前記制御手段が、前記壁面温度に応じて、前記未燃ポスト噴射手段が実施する前記未燃ポスト噴射の燃料量を減少させる
ことを特徴とする、内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記制御手段が、前記壁面温度が所定温度未満である燃焼サイクルでの所定期間において前記ポスト噴射手段による前記ポスト噴射の実施に制限を加える
ことを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記制御手段が、前記壁面温度に応じて、前記燃焼ポスト噴射手段が実施する前記燃焼ポスト噴射の燃料量を増加させる
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記ポスト噴射手段が、前記壁面温度に関わらず、各燃焼サイクルで前記ポスト噴射が実施されるタイミングを所定タイミングに維持する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記推定手段が、前記気筒内のガス温度と前記内燃機関の冷却水温とから演算される前記気筒の壁体の平衡温度に基づき、前記壁面温度を推定する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記推定手段が、前記平衡温度の経時変動に遅延処理を施して前記壁面温度を推定する
ことを特徴とする、請求項5記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記推定手段が、燃焼サイクル毎の前記気筒内の気体温度の平均値を前記ガス温度として演算する
ことを特徴とする、請求項5又は6記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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