JP5673389B2 - 酸性飲料用3ピースリシール缶 - Google Patents
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Description
かかる状況下、本発明の目的は、十分なフィルム密着性と耐腐食性に優れ、果汁などの酸性飲料を高品質に貯蔵できる3ピースリシール缶を提供することにある。
(1) 少なくとも缶内面に相当する面に予め接着剤層を塗布乾燥したPET樹脂フィルムを積層してなるめっき鋼板にネジ加工を施した缶胴部を有する酸性飲料用3ピースリシール缶であって、
該めっき鋼板が、鋼板表面に800〜1500mg/m2のSnめっきが施され、溶融溶錫処理により、Snめっきの一部を合金化せしめると共に、凸部を有するSnめっき層を形成させ、さらにその上層に金属Cr換算で2〜30mg/m2のクロメート皮膜を有するめっき鋼板であり、
かつ該めっき鋼板の表面粗度においてC方向の中心線平均粗さRaが0.30〜0.45μmであり、C方向の粗度が高さ0.25μm以上のピーク数Pcが50〜230個/cmである、フィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
(2) 前記鋼板が、Snめっき前に、鋼板表面にNiを5〜150mg/m2含む、Niめっき層、Fe−Ni合金めっき層またはNi拡散層の1種を施した下地Ni層を形成し、Snめっき後に、溶融溶錫処理された前記(1)に記載のフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
(3) 前記めっき鋼板の表面粗度においてC方向の表面プロファイルの最大傾斜角度の絶対値Masが、5〜15degである前記(1)または(2)に記載のフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
本発明の3ピースリシール缶を構成する缶胴部に使用するSnめっき鋼板は、Snめっき後に溶融溶錫処理を行い、Snめっきの一部を合金化させたものである。溶融溶錫処理前のSnめっき層には、目には見えないミクロなピンホールが存在し、地鉄が露出する場合がある。そこで、Snめっきの後に溶融溶錫処理を行うことで、ピンホールを解消し、耐食性を向上させると共に、耐食性に優れた錫鉄合金或いは錫鉄ニッケル合金(以下、「合金Sn」と呼ぶ。)層を形成させる。また、合金化していないSn(以下、「フリーSn」と呼ぶ。)は、鉄あるいは合金Snに対して、犠牲防食作用を有する。即ち、フリーSnが溶出し、鉄或いは合金Snが露出した箇所の腐食を防止し、鉄溶出を抑制する事ができる。
積層されるPET樹脂フィルム皮膜は缶体に成型されるまでの種々の工程でピンホール欠陥を生じるおそれがある。フィルム厚みを厚くすることで、欠陥は低減する方向であるが、フィルム厚みの対応だけでは、経済的不利を招く。よって、ピンホール欠陥を補うために、上述のSnめっき鋼板の耐食性機能が必要とされる。
Sn付着量が800mg/m2未満では、酸性飲料を充填した場合にSnが犠牲防食能を継続させる時間短くなり、内容物の賞味期限前に、缶に穿孔腐食を引き起こすおそれがある。一方、Snめっき付着量が1500mg/m2超では、溶融処理を行ってもフリーSnの被覆率が高く、フィルムの密着性を確保することが困難になる。
また、溶融溶錫処理の方法も特に規制するものではなく、Snの融点を超える温度まで加熱できる装置を使えば良く、例えば、通電加熱や誘導加熱あるいは電気炉中での加熱処理で可能である。
本発明では、Snメッキの前に鋼板表面にNiを5〜150mg/m2含む、Niめっき層、Fe−Ni合金めっき層またはNi拡散層の1種を施した下地Ni層を形成させることが、耐食性、密着性確保の点から望ましい。
さらに、下地Ni層を形成させた後に、Snの溶融溶錫処理を行うと、下地Ni層が無い場合に比較して、凸上のSnを形成しやすく、錫鉄ニッケル合金が露出しやすくなるため、より、フィルムの密着性を確保しやすくなる。
即ち、クロメート皮膜付着量が金属Cr換算で2mg/m2未満では、フィルム密着性の向上、アンダーカッティングコロージョンの防止に効果が得られないので、金属Cr換2mg/m2以上の付着量が望ましい。一方、クロメート皮膜付着量が金属Cr換30mg/m2を越えるとアンダーカッティングコロージョンの防止の効果は飽和となる。また、接触抵抗が著しく増加し、局部的な発熱による散りが発生し易くなり溶接性が劣化する。そのためクロメート皮膜付着量は30mg/m2以下に規制される。
以下に理由を述べる。
このような、上述の特性を有する接着剤、即ち、鋼板との積層時には比較的粘性の高い接着剤を用いた積層の種々の検討を行った結果、Raで0.30〜0.45μm、Pcで50〜230個/cmの範囲で密着性が良くなる結果を見出したものである。
密着性が良好となる理由は、Raが0.30μm未満では鋼板が平滑であり、接着剤のアンカー効果が弱いためと考えられる。一方、Raが0.45μm超では粗度が粗くなり過ぎて、接着剤が鋼板粗度の谷の部分に十分侵入できず、密着できない部分を形成するためと推定される。同様に、Pcが50個/cm未満では鋼板が平滑であり、接着剤のアンカー効果が弱いためと考えられる。Pcが230個/cm超では粗度が粗くなり過ぎて、接着剤が鋼板粗度の谷の部分に十分侵入できず、密着できない部分を形成するためと推定される。
Snめっき後に行われる溶融溶錫処理により凸上のSnを形成せしめると共に、溶融したSnの一部が原板の粗度の谷部に流れ込み、粗度が平滑化される。このため、原板には、溶融溶錫処理による粗度の平滑化を考慮し、粗めの粗度を用いる事が重要であるが、余り粗すぎると、凸状Snの形成が阻害されるため、適度な粗度が要求される。従って、本発明に用いられるメッキ前の鋼板(以下「原板」ということがある。) の粗度は、Raで0.50um以下、及び、Pcで250以下にすることが望ましい。
めっき原板のMasも5〜15degの範囲が望ましい。
Snめっきの方法については、特に規制はなく、公知の電気めっき法や溶融したSnに浸漬してめっきする方法を用いれば良い。
この新たに形成された表面の粗度の形状が、本発明の本質とする処の効果を発揮する。即ち、フィルムの密着性を確保する二つ目のポイントである。
(I) 通常の低炭素鋼板を冷間圧延後、焼鈍し、ダルロールを使って調質圧延を行い、0.19mm厚のめっき原板を製造した。引続き、このめっき原板に、下記(2)に示す条件でSnめっきを行い、フラックスを点状に塗布し、通電加熱により溶融溶錫処理を行った。その後、下記(3)に示す条件でクロメート皮膜を生成させ試料を作製した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、40℃、8A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
酸化Cr:100g/l、硫酸イオン:0.6g/lのめっき浴を用い、45℃、30A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、45℃、12A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
酸化Cr:100g/l、硫酸イオン:0.6g/lのめっき浴を用い、45℃、30A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(1)Fe−Ni合金めっき条件
Niイオン:25g/l、Feイオン:50g/l、硫酸イオン:15g/l、塩素イオン:10g/l、ホウ酸:20g/lのめっき浴を用い、35℃、10A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、40℃、8A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
酸化Cr:100g/l、硫酸イオン:0.6g/lのめっき浴を用い、45℃、30A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(1)Niめっき条件
Niイオン:40g/l、硫酸イオン:35g/l、塩素イオン:10g/l、ホウ酸:20g/lのめっき浴を用い、40℃、5A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、45℃、12A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
Cr酸:80g/l、硫酸イオン:0.05g/l、ケイフッ化ソーダ:2.5g/l、フッ化アンモン:0.5g/lのめっき浴を用い、35℃、25A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(1)Niめっき条件
Niイオン:40g/l、硫酸イオン:35g/l、塩素イオン:10g/l、ホウ酸:20g/lのめっき浴を用い、40℃、5A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、45℃、12A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
酸化Cr:100g/l、硫酸イオン:0.6g/lのめっき浴を用い、45℃、30A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
上記、(I)〜(V)で作成しためっき鋼板鋼帯の表面に予め数平均分子量が370のエポキシ樹脂と数平均分子量が15000のポリエステル樹脂を5:95の重量比で共重合させた数平均分子量が16000のエポキシ−ポリエステル樹脂100重量部、メラミン樹脂を5重量部および、酸化チタン顔料を20重量%含む接着剤を乾燥厚みとして25mg/dm2塗布した幅170mmのPETフィルムを積層した。鋼帯は180℃に加熱し、速度150m/分で積層した。鋼帯は幅175mm、長さ方向を110mmに剪断し、次いで、スードロニック社の溶接機を用いて溶接性を評価した。次いで、片方缶端にネジ加工を行い、加工部密着性評価を行った。さらに、ネジ加工を行った缶端にはアルミ性のキャップで蓋をした。
(A)溶接性
試料に溶接箇所を除いて厚さ15μmのPETフィルムをラミネートし、スードロニック社製溶接機にて、ラップ代:0.5mm、加圧力:45kgf、溶接速度:80m/min、溶接電流:微小な散りが発生し始める電流値、で30分間溶接しSnの溶接ヘッド付近のSn飛散及び付着状況を観察し、溶接性を4段階(◎:非常に良い、○:良い、△:劣る、×:溶接不能)で評価した。
溶接後の缶胴に、1mm間隔の溝を付与した円筒状の2つの圧子を150mpmで回転させ、缶上部の内面と外面を挟み込み1mm間隔で1mm高さの山谷を有するネジ加工を缶に施した。その後、125℃、30分のレトルト処理を行い、ネジ加工部のフィルムの剥離状況を4段階(◎:加工後およびレトルト処理でも全く剥離無し、○:加工後は剥離なしでレトルト処理で実用上問題無い程度の極僅かな剥離有り、△:加工後に軽微な剥離有り、×:加工後に大部分で剥離)で評価した。
上記のネジ加工を施した缶胴部にアルミ性のキャップで蓋をし、市販の100%オレンジジュース(酸性飲料)を充填し、缶蓋を巻締め、30℃で6ヶ月保管後、内容物を取り出し、穿孔腐食状況を観察し、耐食性を4段階(◎:非常に良い、○:良い、△:劣る、×:溶接不能)で評価した。
粗度の測定方法については、RaをJIS B0601に準拠し、PcをASME B46.1-1995に準拠し、また、MasをJIS B0651に準拠し、光学式の粗度測定器或いは触針式測定装置を用いて測定した。
傾斜角度の算出方法は、接触式粗度測定で得られた表面プロファイルから2点間の傾きを算出した。2点間のピッチを1μmとし、測定長さは8mmとした。求めた傾斜角度の絶対値の最大値をMasとした。
一方、めっき鋼板の表面粗度が本発明の上限値を超えたり、下限値未満である比較例1〜4、9〜12においてはネジ加工部のフィルム密着性が満足できない結果となった。また、Snめっき付着量が本発明の上限値を超えた比較例6、14でもネジ加工部のフィルム密着性が満足できない結果となった。さらに、クロメート付着量が本発明の下限値未満である比較例7、15でもネジ加工部のフィルム密着性が満足できない結果となった。
Snめっき付着量が本発明の下限値を未満である比較例5、13では耐食性が満足できない結果となった。
クロメート付着量が本発明の上限値を超える比較例8、16では溶接性が満足できない結果となった。
Claims (3)
- 少なくとも缶内面に相当する面に予め接着剤層を塗布乾燥したPET樹脂フィルムを積層してなるめっき鋼板にネジ加工を施した缶胴部を有する酸性飲料用3ピースリシール缶であって、
該めっき鋼板が、鋼板表面に800〜1500mg/m2のSnめっきが施され、溶融溶錫処理により、Snめっきの一部を合金化せしめると共に、凸部を有するSnめっき層を形成させ、さらにその上層に金属Cr換算で2〜30mg/m2のクロメート皮膜を有するめっき鋼板であり、
かつ該めっき鋼板の表面粗度においてC方向の中心線平均粗さRaが0.30〜0.45μmであり、C方向の粗度が高さ0.25μm以上のピーク数Pcが50〜230個/cmである、
ことを特徴とするフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。 - 前記鋼板が、Snめっき前に、鋼板表面にNiを5〜150mg/m2含む、Niめっき層、Fe−Ni合金めっき層またはNi拡散層の1種を施した下地Ni層を形成し、Snめっき後に、溶融溶錫処理されたことを特徴とする請求項1に記載のフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
- 前記めっき鋼板の表面粗度においてC方向の表面プロファイルの最大傾斜角度の絶対値Masが、5〜15degであることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
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