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JP5673389B2 - 酸性飲料用3ピースリシール缶 - Google Patents
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JP5673389B2 - 酸性飲料用3ピースリシール缶 - Google Patents

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本発明は、果汁などの酸性飲料を高品質に貯蔵できる3ピースリシール缶に関するものである。
3ピースリシール缶は、缶胴、缶底部およびキャップの部材から構成されている。缶胴は、被溶接部を除き、予めPETフィルムをラミネートされた鋼板を円筒形に丸め、被溶接部を0.3〜0.6mmに重ね合わせ電気抵抗溶接することで筒状の缶が製造される。 この缶の底底部の蓋を取付ける側はフランジ加工が行われ、底蓋が取付けられる。一方、キャップが取付けられる側は、ネック加工後、キャップのリシールを可能にするネジ加工が行われる。ネジ加工は、回転する圧子を缶の内面と外面から押し当て、缶の円周方向にネジの山谷の形状を形成させる加工であるが、その際、圧子が当っている箇所では、大きな剪断力が円周方向に発生する。その為、ラミネートされたフィルムが、その剪断力によって胴材と剥離しないように密着性を確保する必要がある。こうしてネジ加工された箇所には、ネジ加工を施されたアルミ製のキャップが巻締められる。また、ネジ加工前にネジ加工の無いキャップを缶に被せ、キャップの上から圧子を押し当て、缶本体とキャップを一緒にネジ加工する工程もある(例えば、特許文献1参照)。
ところで、通常の3ピース缶の胴材には、Snをめっきした後に溶融溶錫でSnの一部を合金化したブリキ等の鋼板が好適に使用されているが(例えば、特許文献2〜7参照)、Snを使用しないNiめっき鋼板(例えば、特許文献8〜9参照)もまた使用されている。果汁のような酸性飲料は腐食性が比較的高い為、その飲料中では合金化していないSnが地鉄に対して犠牲防食するSnめっき鋼板が使用される傾向にあり、一方でNiめっき鋼板は、比較的、腐食性の低い飲料に適用されている。また、Niめっき鋼板はSnめっき鋼板に比べて非常に優れたフィルム密着性、特に、加工部での密着性を有している事から、高加工部材で使用されている。
特開2006−341851号公報 特開平6−218462号公報 特開平6−135441号公報 特開平7−156953号公報 特開平5−32256号公報 特公平7−2998号公報 特公平3−49628号公報 特開平10−246644号公報 特許253372号公報
3ピースリシール缶に、前記の酸性飲料を充填する場合、耐食性の観点では、胴材にはSnめっき鋼板が最適であるが、缶胴にネジ加工が施された際、強い剪断力によって合金化していないSnが変形しフィルムとの密着性が損なわれ、フィルムシワの発生やフィルム剥離が発生し易くなる。また、合金Sn(合金化したSn)は、密着性に優れているが酸性飲料に対する耐食性が不十分である。一方、Niめっき鋼板は、前記のフィルム剥離の問題は皆無であるが、酸性飲料に対する耐食性が不十分である事から、缶としては機能しない。従って、酸性飲料が充填できるラミネート3ピースリシール缶が求められていた。
かかる状況下、本発明の目的は、十分なフィルム密着性と耐腐食性に優れ、果汁などの酸性飲料を高品質に貯蔵できる3ピースリシール缶を提供することにある。
本発明者らは、種々の検討の結果、Snのメッキ付着量を800〜1500mg/m2とし、さらに鋼板粗度を制御することで、缶胴のネジ加工が施された部分でもフィルムの密着性を実用上、十分なレベルに改善することを見出し本発明に至った。
即ち、本発明は、次の発明に係るものである。
(1) 少なくとも缶内面に相当する面に予め接着剤層を塗布乾燥したPET樹脂フィルムを積層してなるめっき鋼板にネジ加工を施した缶胴部を有する酸性飲料用3ピースリシール缶であって、
該めっき鋼板が、鋼板表面に800〜1500mg/m2のSnめっきが施され、溶融溶錫処理により、Snめっきの一部を合金化せしめると共に、凸部を有するSnめっき層を形成させ、さらにその上層に金属Cr換算で2〜30mg/m2のクロメート皮膜を有するめっき鋼板であり、
かつ該めっき鋼板の表面粗度においてC方向の中心線平均粗さRaが0.30〜0.45μmであり、C方向の粗度が高さ0.25μm以上のピーク数Pcが50〜230個/cmである、フィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
(2) 前記鋼板が、Snめっき前に、鋼板表面にNiを5〜150mg/m2含む、Niめっき層、Fe−Ni合金めっき層またはNi拡散層の1種を施した下地Ni層を形成し、Snめっき後に、溶融溶錫処理された前記(1)に記載のフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
(3) 前記めっき鋼板の表面粗度においてC方向の表面プロファイルの最大傾斜角度の絶対値Masが、5〜15degである前記(1)または(2)に記載のフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
本発明により、果汁などの酸性飲料を高品質に貯蔵できる3ピースリシール缶を提供する。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の3ピースリシール缶を構成する缶胴部に使用するSnめっき鋼板は、Snめっき後に溶融溶錫処理を行い、Snめっきの一部を合金化させたものである。溶融溶錫処理前のSnめっき層には、目には見えないミクロなピンホールが存在し、地鉄が露出する場合がある。そこで、Snめっきの後に溶融溶錫処理を行うことで、ピンホールを解消し、耐食性を向上させると共に、耐食性に優れた錫鉄合金或いは錫鉄ニッケル合金(以下、「合金Sn」と呼ぶ。)層を形成させる。また、合金化していないSn(以下、「フリーSn」と呼ぶ。)は、鉄あるいは合金Snに対して、犠牲防食作用を有する。即ち、フリーSnが溶出し、鉄或いは合金Snが露出した箇所の腐食を防止し、鉄溶出を抑制する事ができる。
さらに、本発明の缶胴部に使用するSnめっき鋼板には、その少なくとも内面側の上層に予め接着剤層を塗布乾燥したPET樹脂フィルムが積層される。なお、PET樹脂とは、ポリエチレンテレフタレート樹脂のことであり、ポリエステル樹脂とも呼ばれている。
積層されるPET樹脂フィルム皮膜は缶体に成型されるまでの種々の工程でピンホール欠陥を生じるおそれがある。フィルム厚みを厚くすることで、欠陥は低減する方向であるが、フィルム厚みの対応だけでは、経済的不利を招く。よって、ピンホール欠陥を補うために、上述のSnめっき鋼板の耐食性機能が必要とされる。
一方、フリーSnの表面には酸化錫が形成されるが、酸化錫は非常に脆いため、接着剤と錫の間に脆化層を形成することになり、フィルムとの密着性を低下させる。合金Snの表面には脆化層は形成されないため、Snを溶融処理して生成する合金Snを表面に露出させることによって、フィルムの密着性を確保することが本発明のポイントの一つである。
本発明で用いるめっき鋼板のSn付着量は800〜1500mg/m2である。
Sn付着量が800mg/m2未満では、酸性飲料を充填した場合にSnが犠牲防食能を継続させる時間短くなり、内容物の賞味期限前に、缶に穿孔腐食を引き起こすおそれがある。一方、Snめっき付着量が1500mg/m2超では、溶融処理を行ってもフリーSnの被覆率が高く、フィルムの密着性を確保することが困難になる。
さらに、溶接性を考慮すると、溶融溶錫処理後のフリーSnの付着量は500mg/m2以上が望ましく、合金Snによる耐食性の確保を考慮すると、フリーSnと合金Snの望ましい範囲はそれぞれ、500〜1000mg/m2、200〜1000mg/m2の範囲である。
Snめっきの方法については、特に規制はなく、公知の電気めっき法や溶融したSnに浸漬してめっきする方法を用いれば良い。
また、溶融溶錫処理の方法も特に規制するものではなく、Snの融点を超える温度まで加熱できる装置を使えば良く、例えば、通電加熱や誘導加熱あるいは電気炉中での加熱処理で可能である。
本発明では、Snメッキの前に鋼板表面にNiを5〜150mg/m2含む、Niめっき層、Fe−Ni合金めっき層またはNi拡散層の1種を施した下地Ni層を形成させることが、耐食性、密着性確保の点から望ましい。
下地Ni層が形成された後にSnめっきを行い、次いで溶融溶錫処理を行うと、錫鉄ニッケル合金が形成される。Niはそれ自体耐食性に優れた金属であると共に錫鉄ニッケル合金層は非常に優れた耐食性を発揮する、さらに、合金の形態が、錫鉄合金が柱状の疎な形状であるのに対して、錫鉄ニッケル合金は粒状の密な形状である事から、内容物に対する耐食性を確保する為に用いられる。Niめっき量が5mg/m2を下回ると、実用的に優れた耐食性の向上効果が得られ難い為、Niめっき量は、5mg/m2以上必要である。Niめっき量が増加に伴い、その耐食性向上効果も増加するが、150mg/m2を超えると、その向上効果は飽和する事から、経済的観点からNiめっき量は150mg/m2以下で十分である。
さらに、下地Ni層を形成させた後に、Snの溶融溶錫処理を行うと、下地Ni層が無い場合に比較して、凸上のSnを形成しやすく、錫鉄ニッケル合金が露出しやすくなるため、より、フィルムの密着性を確保しやすくなる。
めっきされるNiは、Ni単体、Fe−Ni合金めっき、或いは、Ni拡散めっきの何れを用いても良い。また、これらのNi系めっきのめっき方法としては、工業生産性等を考慮すると、次の3つの形態が考えられる。(1)通常の電気めっき法或いは置換めっき法などの電気化学的な方法によりNi単体をめっきする方法、(2)電気化学的にFe−Ni合金めっきを行う方法、(3)(1)によりNiめっきを行った後に、焼鈍等の工程を利用して加熱処理を行い、Niを拡散させる方法、があり、何れの方法を用いても構わない。
本発明では、溶融溶錫処理の後、フィルム密着性、耐食性(塗膜下腐食の防止)の確保を目的としてクロメート皮膜が付与される。ここで言うクロメート皮膜とは、水和酸化Cr単一の皮膜、即ち本来のクロメート皮膜と、いま一つは下層に金属Cr層、上層に水和酸化Cr層の二層よりなる皮膜の二つの場合を指している。水和酸化Cr層には、後述するめっき助剤である硫酸イオンやフッ素イオンなどを含む場合がある。フィルム密着性や耐食性は、この水和酸化Crの水酸基とラミネートされるフィルムの水酸基等の官能基が強固な化学的な結合を行うことによって確保される。
水和酸化クロム被膜は電気的に絶縁体のため電気抵抗が非常に高く、金属クロムも融点が高くかつ電気抵抗も高いので、両者とも溶接性を劣化せしめるマイナス要因である。そのため、良好なフィルム密着性、耐食性と実用的に溶接性を劣化せしめない適正なクロメート皮膜付着量が非常に重要となる。従って、クロメート皮膜付着量は金属クロム換算で片面当たり2〜30mg/m2が選定される。
即ち、クロメート皮膜付着量が金属Cr換算で2mg/m2未満では、フィルム密着性の向上、アンダーカッティングコロージョンの防止に効果が得られないので、金属Cr換2mg/m2以上の付着量が望ましい。一方、クロメート皮膜付着量が金属Cr換30mg/m2を越えるとアンダーカッティングコロージョンの防止の効果は飽和となる。また、接触抵抗が著しく増加し、局部的な発熱による散りが発生し易くなり溶接性が劣化する。そのためクロメート皮膜付着量は30mg/m2以下に規制される。
クロメート処理方法は、各種のクロム酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩の水溶液による浸漬処理、スプレー処理、電解処理など何れの方法で行っても良いが、特に陰極電解処理が優れている。とりわけ、クロム酸にめっき助剤として硫酸イオン、フッ化物イオン(錯イオンを含む)あるいはそれらの混合物を添加した水溶液中での陰極電解処理が最も優れている。
本発明で用いるめっき鋼板の表面粗度は、先ず、C方向の中心線平均粗さ(Ra)がで0.30〜0.45μmである。また、C方向の粗度が高さ0.25μm以上のピーク数(Pc)で50〜230個/cmの範囲である。なお、「C方向」とは、鋼板の圧延方向に対し90°の方向であることをいう。
以下に理由を述べる。
前記のようにめっき鋼板の少なくとも缶内面相当する鋼板表面には、接着剤層を介してポリエステル(PET)フィルムを積層する。積層作業性の点から、PETフィルム側に予め、接着剤を塗布乾燥しロールに巻取ったフィルムを、150〜220℃程度加熱された帯状鋼板に100〜200m/分の高速で連続的に積層する方法が採用されているのが一般的である。
PETフィルム表面に塗布乾燥された接着剤は、ロールから払い出される段階では、粘性を持たないものでなければならず、加熱された鋼板と接触した短時間で粘性を有するように設計されたものである。現状使用されている接着剤の例としては、数平均分子量が370のエポキシ樹脂と数平均分子量が15000のポリエステル樹脂を5:95の重量比で共重合させた数平均分子量が16000のエポキシ−ポリエステル樹脂100重量部とメラミン樹脂を5重量部含む接着剤であり、その塗布量は25mg/dm2程度であり、接着剤中に酸化チタン顔料を20重量%程度含有させる場合もある。
しかしながら、上述の特性を有する接着剤は、鋼板と接触した短時間で若干粘性を示すものの、大幅に粘性を下げることはできない。
このような、上述の特性を有する接着剤、即ち、鋼板との積層時には比較的粘性の高い接着剤を用いた積層の種々の検討を行った結果、Raで0.30〜0.45μm、Pcで50〜230個/cmの範囲で密着性が良くなる結果を見出したものである。
密着性が良好となる理由は、Raが0.30μm未満では鋼板が平滑であり、接着剤のアンカー効果が弱いためと考えられる。一方、Raが0.45μm超では粗度が粗くなり過ぎて、接着剤が鋼板粗度の谷の部分に十分侵入できず、密着できない部分を形成するためと推定される。同様に、Pcが50個/cm未満では鋼板が平滑であり、接着剤のアンカー効果が弱いためと考えられる。Pcが230個/cm超では粗度が粗くなり過ぎて、接着剤が鋼板粗度の谷の部分に十分侵入できず、密着できない部分を形成するためと推定される。
本発明で用いるめっき鋼板の表面粗度を得るためには、2つのポイントがある。その1つはSnを凸状にめっきし表面に凹凸を形成させ、所定のRa、Pcを確保する事と、もう一つは、本発明で用いるめっき鋼板の、めっき付着量が少ないこともあり、めっき前の調質圧延鋼板の表面粗度の影響も大きく考慮する必要があることである。
Snめっき後に行われる溶融溶錫処理により凸上のSnを形成せしめると共に、溶融したSnの一部が原板の粗度の谷部に流れ込み、粗度が平滑化される。このため、原板には、溶融溶錫処理による粗度の平滑化を考慮し、粗めの粗度を用いる事が重要であるが、余り粗すぎると、凸状Snの形成が阻害されるため、適度な粗度が要求される。従って、本発明に用いられるメッキ前の鋼板(以下「原板」ということがある。) の粗度は、Raで0.50um以下、及び、Pcで250以下にすることが望ましい。
一方、原板の粗度が低く、平滑になれば凸状のSnが形成し易くなるが、低くなり過ぎると、前述した、粗度の谷部へのSn流れ込み現象により、所定のめっき鋼板の粗度が作製不能になる。従って、原板の粗度は、Raで0.25μm以上、Pcで50以上にすることが望ましい。
また、さらに望ましくは、めっき鋼板の表面粗度においてC方向の表面プロファイルの最大傾斜角度の絶対値(Mas)が5〜15degの範囲である。5deg未満あるいは15deg超の範囲では密着性がやや低下する。Masが5deg未満では鋼板が平坦となり、アンカー効果が弱くなるためと推定され、Masが15deg超では、接着剤が鋼板粗度の谷の部分に十分侵入できず、密着できない部分を形成するためと推定される。
めっき原板のMasも5〜15degの範囲が望ましい。
この様なめっき原板を作製するためには、通常の原板を製造する工程において、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍後の調質圧延で行うことが望ましい。調質圧延工程では複数あるスタンドに設置されている圧延ロールに板を通板し、所定の材質と表面粗度が形成される。圧延ロールには、表面に多数の溝を入れたスクラッチロールや微細な凹凸を形成させたダルロールがあるが、ダルロールには表面にレーザーを照射し微細な穴を多数付与したレーザーダルロールを使用しても良い。圧延方向に直角及び平行方向に所定の粗度を付与するには、方向性の少ないダルロールを使用することが望ましいが、スクラッチロールとダルロールを組み合わせても構わない。また、より精密に表面粗度を制御するには、めっきラインの酸洗工程で通常行われる陰極処理の代わりに陽極処理を行い、地鉄を部分的に溶解する事によって行う事もできる。
本発明では、上述のめっき原板にSnめっきを行う。好ましくは、下地Ni層を形成させた後Snめっきを行う。
Snめっきの方法については、特に規制はなく、公知の電気めっき法や溶融したSnに浸漬してめっきする方法を用いれば良い。
Snめっきに引続き、Sn合金層の形成と多数の凸状Snを均一に形成させる為に、溶融溶錫処理が施される。溶融溶錫処理とは、Snを短時間(数十秒以内)でSn融点を超える240℃程度迄、加熱した後、80℃から90℃の温水に浸漬し、冷却する処理のことである。この処理により、溶融したSnが凝集し、多数の凸状Snを形成すると共に、一部のSnは流動し、原板粗度の窪みに流れ込み、凸状Snと原板の粗度の凹凸の相互作用により新たな表面形態を有するめっき鋼板が形成される。
この新たに形成された表面の粗度の形状が、本発明の本質とする処の効果を発揮する。即ち、フィルムの密着性を確保する二つ目のポイントである。
また、缶胴に用いるPET樹脂フィルムの厚みについても限定するのもではないが、8〜250μm程度の厚みフィルムが使用可能であるが、経済性、取扱い性、加工性から12〜25μmの厚みを挙げることができる。
以下に本発明の実施例及び比較例について述べ、その結果を第1表、第2表に示す。なお、本発明の要旨を変更しない限り、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[試料鋼帯作製方法]
(I) 通常の低炭素鋼板を冷間圧延後、焼鈍し、ダルロールを使って調質圧延を行い、0.19mm厚のめっき原板を製造した。引続き、このめっき原板に、下記(2)に示す条件でSnめっきを行い、フラックスを点状に塗布し、通電加熱により溶融溶錫処理を行った。その後、下記(3)に示す条件でクロメート皮膜を生成させ試料を作製した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、40℃、8A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
酸化Cr:100g/l、硫酸イオン:0.6g/lのめっき浴を用い、45℃、30A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(II) 通常の低炭素鋼板を冷間圧延後、焼鈍し、ダルロールとスクラッチロールを使って調質圧延を行い、0.22mm厚のめっき原板を製造した。引続き、このめっき原板に、(2)に示す条件でSnめっきを行い、誘導加熱に加えレーザー光を点状に照射し、溶融溶錫処理を行った。その後、(3)に示す条件でクロメート皮膜を生成させ試料を作製した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、45℃、12A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
酸化Cr:100g/l、硫酸イオン:0.6g/lのめっき浴を用い、45℃、30A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(III) 通常の低炭素鋼板を冷間圧延後、焼鈍し、ダルロールを使って調質圧延を行い、0.19mm厚のめっき原板を製造した。引続き、このめっき原板に、(1)に示す条件でFe−Ni合金めっきを行った後、(2)に示す条件でSnめっきを行い、フラックスを点状に塗布し、通電加熱により溶融溶錫処理を行った。その後、(3)に示す条件でクロメート皮膜を生成させ試料を作製した。
(1)Fe−Ni合金めっき条件
Niイオン:25g/l、Feイオン:50g/l、硫酸イオン:15g/l、塩素イオン:10g/l、ホウ酸:20g/lのめっき浴を用い、35℃、10A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、40℃、8A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
酸化Cr:100g/l、硫酸イオン:0.6g/lのめっき浴を用い、45℃、30A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(IV) 通常の低炭素鋼板を冷間圧延後、焼鈍し、ダルロールとスクラッチロールを使って調質圧延を行い、0.23mm厚のめっき原板を製造した。引続き、このめっき原板に、(1)に示す条件でNiめっきを行った後、(2)に示す条件でSnめっきを行い、誘導加熱に加えレーザー光を点状に照射し、溶融溶錫処理を行った。その後、(3)に示す条件でクロメート皮膜を生成させ試料を作製した。
(1)Niめっき条件
Niイオン:40g/l、硫酸イオン:35g/l、塩素イオン:10g/l、ホウ酸:20g/lのめっき浴を用い、40℃、5A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、45℃、12A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
Cr酸:80g/l、硫酸イオン:0.05g/l、ケイフッ化ソーダ:2.5g/l、フッ化アンモン:0.5g/lのめっき浴を用い、35℃、25A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(V) 通常の低炭素鋼板を冷間圧延後、(1)に示す条件でNiめっきを行った後、焼鈍し、ダルロールとスクラッチロールを使って調質圧延を行い、0.22mm厚のめっき原板を製造した。引続き、このめっき原板に、(2)に示す条件でSnめっきを行い、誘導加熱に加えレーザー光を点状に照射し、溶融溶錫処理を行った。その後、(3)に示す条件でクロメート皮膜を生成させ試料を作製した。
(1)Niめっき条件
Niイオン:40g/l、硫酸イオン:35g/l、塩素イオン:10g/l、ホウ酸:20g/lのめっき浴を用い、40℃、5A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
(2)Snめっき条件
Snイオン:15g/l、フェノールスルホン酸イオン:15g/l、光沢添加剤:1.2g/lのめっき浴を用い、45℃、12A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量に応じて調整した。
(3)クロメート処理条件
酸化Cr:100g/l、硫酸イオン:0.6g/lのめっき浴を用い、45℃、30A/dm2で電解した。電解時間は、めっき量等に応じて適当に調整した。
[PET樹脂積層および缶体成型]
上記、(I)〜(V)で作成しためっき鋼板鋼帯の表面に予め数平均分子量が370のエポキシ樹脂と数平均分子量が15000のポリエステル樹脂を5:95の重量比で共重合させた数平均分子量が16000のエポキシ−ポリエステル樹脂100重量部、メラミン樹脂を5重量部および、酸化チタン顔料を20重量%含む接着剤を乾燥厚みとして25mg/dm2塗布した幅170mmのPETフィルムを積層した。鋼帯は180℃に加熱し、速度150m/分で積層した。鋼帯は幅175mm、長さ方向を110mmに剪断し、次いで、スードロニック社の溶接機を用いて溶接性を評価した。次いで、片方缶端にネジ加工を行い、加工部密着性評価を行った。さらに、ネジ加工を行った缶端にはアルミ性のキャップで蓋をした。
[試料評価方法]
(A)溶接性
試料に溶接箇所を除いて厚さ15μmのPETフィルムをラミネートし、スードロニック社製溶接機にて、ラップ代:0.5mm、加圧力:45kgf、溶接速度:80m/min、溶接電流:微小な散りが発生し始める電流値、で30分間溶接しSnの溶接ヘッド付近のSn飛散及び付着状況を観察し、溶接性を4段階(◎:非常に良い、○:良い、△:劣る、×:溶接不能)で評価した。
(B)フィルム密着性評価試験
溶接後の缶胴に、1mm間隔の溝を付与した円筒状の2つの圧子を150mpmで回転させ、缶上部の内面と外面を挟み込み1mm間隔で1mm高さの山谷を有するネジ加工を缶に施した。その後、125℃、30分のレトルト処理を行い、ネジ加工部のフィルムの剥離状況を4段階(◎:加工後およびレトルト処理でも全く剥離無し、○:加工後は剥離なしでレトルト処理で実用上問題無い程度の極僅かな剥離有り、△:加工後に軽微な剥離有り、×:加工後に大部分で剥離)で評価した。
(C)耐食性試験
上記のネジ加工を施した缶胴部にアルミ性のキャップで蓋をし、市販の100%オレンジジュース(酸性飲料)を充填し、缶蓋を巻締め、30℃で6ヶ月保管後、内容物を取り出し、穿孔腐食状況を観察し、耐食性を4段階(◎:非常に良い、○:良い、△:劣る、×:溶接不能)で評価した。
(D)表面粗度
粗度の測定方法については、RaをJIS B0601に準拠し、PcをASME B46.1-1995に準拠し、また、MasをJIS B0651に準拠し、光学式の粗度測定器或いは触針式測定装置を用いて測定した。
傾斜角度の算出方法は、接触式粗度測定で得られた表面プロファイルから2点間の傾きを算出した。2点間のピッチを1μmとし、測定長さは8mmとした。求めた傾斜角度の絶対値の最大値をMasとした。
本発明の実施例1〜39の缶体は、いずれも溶接性、ネジ加工部フィルム密着性、耐食性において全てを満足できる結果となった。
一方、めっき鋼板の表面粗度が本発明の上限値を超えたり、下限値未満である比較例1〜4、9〜12においてはネジ加工部のフィルム密着性が満足できない結果となった。また、Snめっき付着量が本発明の上限値を超えた比較例6、14でもネジ加工部のフィルム密着性が満足できない結果となった。さらに、クロメート付着量が本発明の下限値未満である比較例7、15でもネジ加工部のフィルム密着性が満足できない結果となった。
Snめっき付着量が本発明の下限値を未満である比較例5、13では耐食性が満足できない結果となった。
クロメート付着量が本発明の上限値を超える比較例8、16では溶接性が満足できない結果となった。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明により、十分なフィルム密着性と耐食性に優れ、果汁などの酸性飲料を高品質に貯蔵できる3ピースリシール缶が提供される。

Claims (3)

  1. 少なくとも缶内面に相当する面に予め接着剤層を塗布乾燥したPET樹脂フィルムを積層してなるめっき鋼板にネジ加工を施した缶胴部を有する酸性飲料用3ピースリシール缶であって、
    該めっき鋼板が、鋼板表面に800〜1500mg/m2のSnめっきが施され、溶融溶錫処理により、Snめっきの一部を合金化せしめると共に、凸部を有するSnめっき層を形成させ、さらにその上層に金属Cr換算で2〜30mg/m2のクロメート皮膜を有するめっき鋼板であり、
    かつ該めっき鋼板の表面粗度においてC方向の中心線平均粗さRaが0.30〜0.45μmであり、C方向の粗度が高さ0.25μm以上のピーク数Pcが50〜230個/cmである、
    ことを特徴とするフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
  2. 前記鋼板が、Snめっき前に、鋼板表面にNiを5〜150mg/m2含む、Niめっき層、Fe−Ni合金めっき層またはNi拡散層の1種を施した下地Ni層を形成し、Snめっき後に、溶融溶錫処理されたことを特徴とする請求項1に記載のフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
  3. 前記めっき鋼板の表面粗度においてC方向の表面プロファイルの最大傾斜角度の絶対値Masが、5〜15degであることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム密着性、耐腐食性に優れた酸性飲料用3ピースリシール缶。
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