JP5685857B2 - 熱可塑性樹脂シート - Google Patents
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Description
本発明の一局面に係る熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性樹脂を主成分として形成される熱可塑性樹脂シートであって、エネルギー付与部を落錘装置とし、ストライカーの落下速度を2.7m/sとし、ストライカーの質量を3.5kgとし、ストライカーの先端径をφ20mmとし、試験片クランプの内径をφ40mmとし、試験温度を23±2℃としたJIS K7124−2準拠の衝撃試験により測定された全貫通エネルギーが2.0J以上であり、かつ、ストライカーの接触開始時点から破壊に至るまでに要する時間(以下「破壊時間」という)が5.0ミリ秒以上20.0ミリ秒以下である。なお、全貫通エネルギーが上記の通りであると、本熱可塑性樹脂シートが例えばPTPシート成形用シートであるときにそのPTPシートに角割れが生じるのを防止することができる。また、破壊時間が上述の範囲内であると、耐衝撃性に優れ、本熱可塑性樹脂シートが例えばPTPシート成形用シートであるときにそのPTPシートに角割れが生じるのを抑制することができると共に、PTPシートの耐カール性や分割性を良好に保つことができる。また、例えば、本熱可塑性樹脂シートがPTPシート成形用シートである場合においてその分割性を良好に確保するためには、全貫通エネルギーは10.0J以下であるのが好ましい。全貫通エネルギーは、4.0J以上10.0J以下であるのがより好ましく、5.5J以上10.0J以下であるのがさらに好ましく、7J以上10J以下であるのがさらに好ましく、8J以上10.0J以下であるのがさらに好ましい。破壊時間は、9.0ミリ秒以上13.0ミリ秒以下であるのがより好ましく、10.0ミリ秒以上12.0ミリ秒以下であるのがさらに好ましい。
上述の熱可塑性樹脂シートにおいて、熱可塑性樹脂は半結晶性の熱可塑性樹脂であるのが好ましい。なお、このとき、熱可塑性樹脂は、X線回折法により測定される結晶化度が10%以上40%以下であるのが好ましい。なお、この結晶化度は、10%以上35%以下であるのがより好ましい。
上述の熱可塑性樹脂シートにおいて、熱可塑性樹脂には主成分としてポリプロピレン樹脂が含有されるのが好ましい。
上述の熱可塑性樹脂シートにはオレフィン系エラストマーが含有されるのが好ましい。具体的には、オレフィン系エラストマーが熱可塑性樹脂にブレンドされるのが好ましい。なお、オレフィン系エラストマーは、α−オレフィン系の熱可塑性エラストマーである。オレフィン系エラストマーとしては、例えば、プロピレン−1−ブテン共重合体が好ましい。また、このプロピレン−1−ブテン共重合体は、メタロセン触媒存在下で重合されたものであるのが好ましい。
上述の熱可塑性樹脂シートにおいて、JIS K7113準拠の引張試験により測定された引張弾性率が50MPa以上2000MPa以下であるのが好ましい。なお、この引張弾性率は、100MPa以上1000MPa以下であるのがより好ましく、650MPa以上1000MPa以下であるのがさらに好ましく、650MPa以上950MPa以下であるのがさらに好ましく、800MPa以上1000MPa以下であるのがさらに好ましく、800MPa以上900MPa以下であるのがさらに好ましく、810MPa以上860MPa以下であるのがさらに好ましい。
上述の熱可塑性樹脂シートにおいて、JIS K7136準拠のヘーズ測定方法により測定されたヘーズが40%以下であるのが好ましい。なお、このヘーズは、30%以下であるのがより好ましく、25%以下であるのがさらに好ましく、20%以下であるのがさらに好ましい。また、ヘーズの下限は0%である。
上記(1)の熱可塑性樹脂シートは、主として、60重量部以上80重量部以下のプロピレン単独重合体と、15重量部以上35重量部以下のエチレン−プロピレンランダム共重合体と、2重量部以上6重量部以下の石油樹脂と、2重量部以上10重量部以下の熱可塑性エラストマーとから構成されるのが好ましい。なお、この熱可塑性樹脂シートには、本発明の趣旨を損ねない範囲で第三成分が添加されてもかまわない。また、この熱可塑性樹脂シートは、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、石油樹脂および熱可塑性エラストマーのみから構成されてもかまわない。エチレン−プロピレンランダム共重合体中のエチレン含有率は0.1重量%以上35重量%以下であるのが好ましく、0.1重量%以上25重量%以下であるのがより好ましく、0.1重量%以上15重量%以下であるのがさらに好ましく、0.1重量%以上10重量%以下であるのがさらに好ましい。熱可塑性エラストマーは、含有量が2重量部以上4重量部以下であるのがより好ましい。なお、熱可塑性樹脂シートがプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、石油樹脂および熱可塑性エラストマーのみから構成される場合において熱可塑性エラストマーの含有量を2重量部以上4重量部以下とすると、熱可塑性エラストマーの含有割合は、1.6重量%以上4.9重量%以下となる。
上記(1)の熱可塑性樹脂シートは、主として、80重量部以上90重量部以下のプロピレン単独重合体と、5重量部以上9重量部以下の石油樹脂と、6重量部以上10重量部以下の熱可塑性エラストマーとから構成されるのが好ましい。なお、この熱可塑性樹脂シートには、本発明の趣旨を損ねない範囲で第三成分が添加されてもかまわない。また、この熱可塑性樹脂シートは、プロピレン単独重合体、石油樹脂および熱可塑性エラストマーのみから構成されてもかまわない。エチレン−プロピレンランダム共重合体中のエチレン含有率は0.1重量%以上35重量%以下であるのが好ましく、0.1重量%以上25重量%以下であるのがより好ましく、0.1重量%以上15重量%以下であるのがさらに好ましく、0.1重量%以上10重量%以下であるのがさらに好ましい。熱可塑性エラストマーは、含有量が7重量部以上9重量部以下であるのがより好ましい。なお、熱可塑性樹脂シートがプロピレン単独重合体、石油樹脂および熱可塑性エラストマーのみから構成される場合において熱可塑性エラストマーの含有量を7重量部以上9重量部以下とすると、熱可塑性エラストマーの含有割合は、6.6重量%以上9.5重量%以下となる。
本発明の他の局面に係る包装体は、上述の熱可塑性樹脂シートからなる。なお、ここにいう「包装体」とは、例えば、PTPシート、ブリスター包装体、その他医療用包装体などである。
このため、この包装体は、優れた耐衝撃性、耐カール性および分割性を兼ね備える。
(1)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂は、いかなる重合方法(例えば、溶媒重合法、バルク重合法、気相重合法等)で生成されてもかまわない。また、その重合の際、いかなる触媒(例えば、三塩化チタン型触媒、塩化マグネシウム担持型触媒、メタロセン触媒等)が採用されてもかまわない。なお、この熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂シートに剛性を付与すると共に熱可塑性樹脂シートの成形性を良好に保つために使用される。
石油樹脂は、熱可塑性樹脂シートの透明性、成形性、防湿性および剛性を向上させるために添加される。石油樹脂は、合成樹脂系のものと天然樹脂系のものに大別することができる。合成樹脂系のものとしては、例えば、脂肪族系の石油樹脂、テルペン樹脂系の石油樹脂、芳香族炭化水素樹脂系の石油樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂系の石油樹脂、水素添加シクロペンタジエン系脂肪族系の石油樹脂、共重合系等の石油樹脂が挙げられる。なお、これらの中でも臭気および透明性の観点から脂環族飽和炭化水素樹脂系が望ましい。
熱可塑性エラストマーは、室温において弾性を示す重合物であり、耐衝撃性の向上を目的として添加される。なお、この熱可塑性エラストマーは、いかなる製造方法(例えば乳化重合、溶液重合)で生成されてもかまわない。また、その重合の際、いかなる触媒(例えば過酸化物、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化リチウム、ニッケル系触媒)が採用されてもかまわない。
本発明の実施の形態に係る熱可塑性樹脂シートは、押出成形により得られたシート状の熱可塑性樹脂組成物をチルロールで急冷することにより得られる。なお、かかる場合、チルロールの温度は、15℃以上30℃以下の範囲に設定されるのが好ましい。このようにシート状の熱可塑性樹脂組成物がチルロールで急冷されることにより、多くの熱可塑性樹脂シートの場合、その結晶化度(X線回折法による)が40%以下に抑制され、透明性のみならず耐衝撃性にも改善がなされる。
(A)
先の実施の形態に係る熱可塑性樹脂組成物は熱可塑性樹脂、石油樹脂および熱可塑性エラストマーから構成されていたが、この熱可塑性樹脂組成物には、本発明の趣旨を損ねない範囲で、結晶核剤、安定剤酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、充填剤、染料、顔料、中和剤、スリップ剤(アンチブロッキング剤)などの添加剤が添加されてもかまわない。
先の実施の形態では特に言及しなかったが、本発明の趣旨を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂シートの少なくとも片側の面に任意の樹脂層が設けられてもかまわない。
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は単なる例示であって、本発明を限定するものではない。
72重量部のプロピレン単独重合体(住友化学株式会社製ノーブレンFS2011DG−2,MFR=2.5,立体規則性:mmmmm=91%)、20重量部のエチレン−プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ株式会社製ノバテックEG7F,MFR=1.3)、5重量部の石油樹脂(荒川化学工業株式会社製アルコンP−125(脂環族飽和炭化水素化合物))および3重量部のプロピレン−1−ブテン共重合体エラストマー(三井化学株式会社製タフマーXM7070)をドライブレンドし、そのドライブレンド物をスクリュー径65mmの押出機に投入して押出機により押出すと共にその押出物をチルロ−ル及び金属製のタッチロ−ルに通してポリプロピレン系シートを作製した。なお、このときのチルロールの熱媒体温度は20℃であった。また、得られたポリプロピレン系シートの厚みは300μmであった。
(1)耐衝撃性
(1−1)計測試験
ポリプロピレン系シートの耐衝撃性は、JIS K7124−2準拠の衝撃試験により測定した。なお、この衝撃試験では、エネルギー付与部を落錘装置とし、ストライカーの落下速度を2.7m/sとし、ストライカーの質量を3.5kgとし、ストライカーの先端径をφ20mmとし、試験片クランプの内径をφ40mmとし、試験温度を23±2℃および0±2℃とした。
ポリプロピレン系シートを10枚重ねたものの角部に100gの重りを100cmの高さから落下させた後、角部に割れが生じているポリプロピレン系シートの枚数をカウントした。そして、そのカウント数を下記式(I)に代入して、角割れ発生率(%)を算出した。
角割れ発生率(%)=(カウント数/10)x100 (I)
結果を表1に示す。なお、表中「×」は角割れ発生率が30%以上であることを示し、「○」は角割れ発生率が20%以上30%未満であることを示し、「◎」は角割れ発生率が20%未満であることを示している。なお、本実施例に係るポリプロピレン系シートは、「◎」の評価であった(表1参照)。
ポリプロピレン系シートの耐白化性は、以下のようにして評価した。
デュポン衝撃試験機を利用し、1/2インチの球面を持つ撃芯と、その球面に合致する凹みを有する受台との間にポリプロピレン系シートを挟み込み、そのポリプロピレン系シートに対して30cmの高さから300gの重錘を落下させる。そして、重錘落下後のポリプロピレン系シートを取り出し、そのポリプロピレン系シートをリファレンスと比較して白化しているかを目視にて判断する。なお、本実施例に係るポリプロピレン系シートは、白化しておらず、合格であった(表1参照)。
ポリプロピレン系シートの透明性は、JIS K7136準拠のヘーズ測定方法により測定された。なお、測定に際し、外部ヘーズの影響を抑制するため、試験片をアルコールに浸漬した。本実施例に係るポリプロピレン系シートのヘーズは、21%であった(表1参照)。
ポリプロピレン系シートの引張弾性率は、JIS K7113準拠の引張試験により測定された。本実施例に係るポリプロピレン系シートの引張弾性率は、820MPaであった(表1参照)。
ポリプロピレン系シートの成形性は、シーケーディ(株)製のFBPーM2ブリスターパック包装機で実際にポリプロピレン系シートを成形することにより評価した。なお、具体的には、FBPーM2ブリスターパック包装機のショット数を80ショット/分に固定し、成形温度を130℃から2℃ずつ150℃まで段階的に上昇させながら、各成形温度においてプラグアシスト圧空成形を行い、成形温度幅を求めた。そして、その成形温度幅が4℃以上のものを合格とした。
ポリプロピレン系シートの防湿性は、JIS K7129に準拠する透湿度測定方法により測定された。結果を表1に示す。なお、表中「×」は透湿度が2.0g/m2・day超であることを示し、「○」は透湿度が1.0g/m2・day超2.0g/m2・day以下であることを示し、「◎」は透湿度が1.0g/m2・day以下であることを示している。なお、本実施例に係るポリプロピレン系シートは、「○」の評価であった(表1参照)。
「(5)成形性」の欄においてポリプロピレン系シートが良好な成形性を示す条件下で、そのポリプロピレン系シートを成形した後、ポケットに内容物を充填することなくそのポリプロピレン系シートにアルミ箔を210℃でシールした。そして、その成形物に130℃でスリッターを入れた後、その成形物を巾37mm、長さ94mm、コーナー5mmRに打ち抜いた。そして、実際に人手でスリッターを起点にしてその成形物を分割し、その分割性を官能評価した。分割性の良好なものを合格とした。本実施例に係るポリプロピレン系シートは、合格であった(表1参照)。
ポリプロピレン系シートの結晶化度は、X線回折法により測定された。
本実施例に係るポリプロピレン系シートの結晶化度は、35%であった。
「(5)成形性」の欄においてポリプロピレン系シートが良好な成形性を示す条件下で、そのポリプロピレン系シートを成形した後、ポケットに内容物を充填することなくそのポリプロピレン系シートにアルミ箔を210℃でシールした。そして、その成形物に130℃でスリッターを入れた後、その成形物を巾37mm、長さ94mm、コーナー5mmRに打ち抜いた。そして、その打ち抜き10分後のポリプロピレン系シートのソリを測定した。6個のポリプロピレン系シートについて、各成形ポケット横の6カ所のソリを測定し平均値を求めた。なお、アルミ箔としては、20μm厚みの硬質アルミ箔に5μmのマレイン化ポリプロピレンを塗布したものを使用した。結果を表1に示す。なお、表中「×」はソリが4.0mm以上であることを示し、「○」はソリが2.0mm以上4.0未満であることを示し、「◎」はソリが2.0mm未満であることを示す。なお、本実施例に係るポリプロピレン系シートは、「○」の評価であった(表1参照)。
(比較例1)
(比較例2)
(比較例3)
(比較例4)
(比較例5)
(比較例6)
(1)
本発明の実施の形態に係る熱可塑性樹脂シートは、耐衝撃性のみならず、成形性、透明性、防湿性、分割性、耐カール性、耐白化性などにも優れる。
本発明の実施の形態に係る熱可塑性樹脂シートは、常温のみならず低温においても耐衝撃性に優れる。
Claims (6)
- 半結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を成形し、シート状の熱可塑性樹脂組成物を得る成形工程と、
前記シート状の熱可塑性樹脂組成物を、熱媒体温度が15℃以上30℃以下の範囲に設定されたチルロールに通し、熱可塑性樹脂シートを得る急冷工程とを含み、
前記成形工程における前記熱可塑性樹脂組成物は、前記急冷工程で得られる前記熱可塑性樹脂シートが、エネルギー付与部を落錘装置とし、ストライカーの落下速度を2.7m/sとし、前記ストライカーの質量を3.5kgとし、前記ストライカーの先端径をφ20mmとし、試験片クランプの内径をφ40mmとし、試験温度を23±2℃としたJIS K7124−2準拠の衝撃試験により測定された全貫通エネルギーが2.0J以上であり、かつ、前記ストライカーの接触開始時点から破壊に至るまでに要する時間が5.0ミリ秒以上20.0ミリ秒以下となるように調製される、熱可塑性樹脂シートの製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂は、主成分としてポリプロピレン樹脂が含有される、請求項1に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物にはオレフィン系エラストマーが含有される、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
- 前記オレフィン系エラストマーは、プロピレン−1−ブテン共重合体である、請求項3に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物は、80重量%以上90重量%以下のプロピレン単独重合体と、4重量%以上9重量%以下の石油樹脂と、5重量%以上10重量%以下の熱可塑性エラストマーとを含み、エチレン−プロピレンランダム共重合体の含量が0重量%である、請求項2から4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物は、54重量%以上80重量%以下のプロピレン単独重合体と、13重量%以上35重量%以下のエチレン−プロピレンランダム共重合体と、1.5重量%以上7重量%以下の石油樹脂と、2重量%以上10重量%以下の熱可塑性エラストマーとを含む、請求項2から4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
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