以下に、本発明を説明する。本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなく、その形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は実施形態および実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、異なる図面間で同じ参照符号が付されている要素は同じ要素を表しており、材料、形状、作製方法などについて繰り返しになる説明は省略している。
(実施の形態1)
図1は、半導体基板の構成例を示す斜視図である。半導体基板10は、支持基板100に単結晶半導体層116が貼り付けられている。単結晶半導体層116はバッファ層101を介して支持基板100に設けられており、半導体基板10はいわゆるSOI構造の基板であり、絶縁層上に単結晶半導体層が形成されている基板である。
バッファ層101は、単層構造でもよいし、膜を2層以上積層した多層構造でもよい。本実施形態ではバッファ層101は3層構造であり、支持基板100側から、接合層114、絶縁膜112b、絶縁膜112aが積層されている。接合層114は絶縁膜で形成されている。また、絶縁膜112aは、バリア層として機能する絶縁膜である。バリア層は、半導体基板を作製時、およびこの半導体基板を用いた半導体装置の作製時に、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などの半導体装置の信頼性を低下させる不純物(代表的には、ナトリウム)が、支持基板100側から単結晶半導体層116に侵入することを防ぐ膜である。バリア層を形成することで、半導体装置が不純物で汚染されることを防止できるため、その信頼性を向上させることができる。
単結晶半導体層116は、単結晶半導体基板を薄膜化することで形成される層である。単結晶半導体基板には、市販の半導体基板を用いることができ、例えば、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第4族元素でなる単結晶半導体基板を用いることができる。また、ガリウムヒ素やインジウムリン等の化合物半導体基板も用いることができる。
支持基板100は、絶縁表面を有する基板を用いる。具体的には、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板が挙げられる。好ましくは支持基板100としてガラス基板を用いるのがよい。ガラス基板には、熱膨張係数が25×10−7/℃以上50×10−7/℃以下(好ましくは、30×10−7/℃以上40×10−7/℃以下)であり、歪み点が580℃以上700℃以下、好ましくは、650℃以上690℃以下である基板を用いることが好ましい。また、半導体装置の汚染を抑えるため、ガラス基板は無アルカリガラス基板が好ましい。無アルカリガラス基板の材料には、、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料などがある。例えば、支持基板100として、無アルカリガラス基板(商品名AN100)、無アルカリガラス基板(商品名EAGLE2000(登録商標))または無アルカリガラス基板(商品名EAGLEXG(登録商標))を用いることが好ましい。
無アルカリガラス基板(商品名AN100)は物性値として、比重2.51g/cm3、ポワソン比0.22、ヤング率77GPa、熱膨張率38×10−7/℃を有する。
無アルカリガラス基板(商品名EAGLE2000(登録商標))は物性値として、比重2.37g/cm3、ポワソン比0.23、ヤング率70.9GPa、熱膨張率31.8×10−7/℃を有する。
以下、図2〜図4を参照して、図1に示す半導体基板10の作製方法を説明する。
まず、単結晶半導体基板110を準備する。単結晶半導体基板110は、所望の大きさ、形状に加工されている。図2は、単結晶半導体基板110の構成の一例を示す外観図である。矩形状の支持基板100に貼り合わせること、および縮小投影型露光装置などの露光装置の露光領域が矩形であること等を考慮すると、図2に示すように単結晶半導体基板110の形状は矩形であることが好ましい。なお、本明細書において、特段の断りがない場合、矩形には正方形および長方形を含む。
もちろん、単結晶半導体基板110には、図2の形状の基板に限定されるものではなく、様々な形状の単結晶半導体基板を用いることができる。例えば、円形、五角形、六角形などの多角形の基板を用いることができる。もちろん、市販の円盤状の半導体ウエハを単結晶半導体基板110に用いることも可能である。
矩形の単結晶半導体基板110は、市販の円形状のバルク単結晶半導体基板111を切断することで形成することができる。基板の切断には、ダイサー或いはワイヤソー等の切断装置、レーザ切断、プラズマ切断、電子ビーム切断、その他任意の切断手段を用いることができる。また、基板として薄片化する前の半導体基板製造用のインゴットを、その断面が矩形になるように直方体状に加工し、この直方体状のインゴットを薄片化することでも、矩形状の単結晶半導体基板110を製造することができる。
なお、単結晶半導体基板110に、単結晶シリコン基板のような結晶構造がダイヤモンド構造の第14族元素でなる基板を用いる場合は、その主表面の面方位は、(100)であってもよいし、(110)面であってもよいし、(111)であってもよい。(100)の単結晶半導体基板110を用いることで、単結晶半導体層116とその表面に形成される絶縁層との界面準位密度を小さくすることができるため、電界効果型トランジスタの作製に好適である。
なお単結晶半導体基板110として、市販の円盤状の単結晶シリコン基板を用いる場合には、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)サイズ、直径18インチ(450mm)サイズの円形のものが代表的である。なお、形状は円形に限られず矩形状に加工したシリコン基板を用いることも可能である。大型の単結晶半導体基板を用いて作製することにより、量産性に富んだ作製方法とすることができる。
次に、図3(A)に示すように、単結晶半導体基板110上に絶縁層112を形成する。絶縁層112は単層構造、2層以上の多層構造とすることができる。その厚さは5nm以上400nm以下とすることができる。絶縁層112を構成する膜には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化ゲルマニウム膜、窒化ゲルマニウム膜、酸化窒化ゲルマニウム膜、窒化酸化ゲルマニウム膜などのシリコンまたはゲルマニウムを組成に含む絶縁膜を用いることができる。また、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウムなどの金属の酸化物でなる絶縁膜、窒化アルミニウムなどの金属の窒化物でなる絶縁膜、酸化窒化アルミニウムなどの金属の酸化窒化物でなる絶縁膜、窒化酸化アルミニウムなどの金属の窒化酸化物でなる絶縁膜を用いることもできる。
なお、本明細書において、酸化窒化物とは、その組成として、窒素原子よりも酸素原子の数が多い物質とし、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素原子より窒素原子の数が多い物質とする。例えば、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、珪素が25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、Siが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化珪素または窒化酸化珪素を構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、珪素及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
絶縁層112を構成する絶縁膜は、CVD法、スパッタ法、単結晶半導体基板110を酸化するまたは窒化するなどの方法により形成することができる。
絶縁層112には、ナトリウムが単結晶半導体層116に侵入することを防ぐためのバリア層を含むことが好ましい。バリア層は1層でも2層以上でもよい。例えば、支持基板100にアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などの半導体装置の信頼性を低下させる不純物を含むような基板を用いた場合、支持基板100が加熱されたりすると、このような不純物が支持基板100から単結晶半導体層116に拡散するおそれがある。よって、バリア層を形成することで、このようなアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などの半導体装置の信頼性を低下させる不純物が単結晶半導体層116に移動することを防止することができる。バリア層として機能する膜には、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などがある。このような膜を含ませることで、絶縁層112をバリア層として機能させることができる。
例えば、絶縁層112を単層構造とする場合は、バリア層として機能する膜で絶縁層112を形成することが好ましい。この場合、厚さ5nm以上200nm以下の窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜で、単層構造の絶縁層112を形成することができる。
絶縁層112を、バリア層を1層含む2層構造の膜とする場合は、上層は、ナトリウムなどの不純物をブロッキングするためのバリア層で構成する。上層は、厚さ5nm〜200nmの窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜で形成することができる。バリア層として機能するこれらの膜は、不純物の拡散を防止するブロッキング効果が高いが、内部応力が高い。そのため、単結晶半導体基板110と接する下層の絶縁膜には、上層の絶縁膜の応力を緩和する効果のある膜を選択することが好ましい。このような絶縁膜には、酸化シリコン膜および酸化窒化シリコン膜、および単結晶半導体基板110を熱酸化して形成した熱酸化膜などがある。下層の絶縁膜の厚さは5nm以上300nm以下とすることができる。
本実施の形態では、絶縁層112を絶縁膜112aと絶縁膜112bでなる2層構造とする。絶縁層112をブロッキング膜として機能させる絶縁膜112aと絶縁膜112bの組み合わせは、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜と窒化シリコン膜、酸化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜などがある。
例えば、下層の絶縁膜112aは、プロセスガスにSiH4およびN2Oを用いてプラズマ励起CVD法(以下、「PECVD法」という。)で形成した酸化窒化シリコン膜で形成することができる。また、絶縁膜112aとして、プロセスガスに有機シランガスと酸素を用いて、PECVD法で酸化シリコン膜を形成することもできる。また、単結晶半導体基板110を酸化することで形成された酸化膜を絶縁膜112aとすることもできる。
有機シランとは、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH3)4)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、またはトリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH3)2)3)などの化合物である。
上層の絶縁膜112bは、プロセスガスにSiH4、N2O、NH3およびH2を用いてPECVD法で形成した窒化酸化シリコン膜で、または、プロセスガスにSiH4、N2、NH3およびH2を用いてPECVD法で形成した窒化シリコン膜で形成することができる。
例えば、PECVD法で、酸化窒化シリコンでなる絶縁膜112a、窒化酸化シリコンでなる絶縁膜112bを形成する場合、単結晶半導体基板110をPECVD装置のチャンバーに搬入する。そして、絶縁膜112aの形成用プロセスガスとしてSiH4およびN2Oをチャンバーに供給し、このプロセスガスのプラズマを生成し、窒化酸化シリコン膜を単結晶半導体基板110上に形成する。次に、チャンバーに導入するガスを絶縁膜112b形成用のプロセスガスに変更する。ここでは、SiH4、NH3およびH2およびN2Oを用いる。これらの混合ガスのプラズマを生成して、酸化窒化シリコン膜上に窒化酸化シリコン膜を連続して形成する。また、複数のチャンバーを有するPECVD装置を用いる場合は、酸化窒化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜と異なるチャンバーで形成することもできる。もちろん、チャンバーに導入するガスを変更することで、下層に酸化シリコン膜を形成することもできるし、上層に窒化シリコン膜を形成することもできる。
上記のように絶縁膜112aおよび絶縁膜112bを形成することで、スループット良く、単結晶半導体基板110に絶縁層112を形成することができる。また、大気に触れさせることなく絶縁膜112a、絶縁膜112bを形成できるので、絶縁膜112aと絶縁膜112bの界面が大気によって汚染されることを防止することができる。
また、絶縁膜112aとして、単結晶半導体基板110を酸化処理して酸化膜を形成することができる。この酸化膜を形成するための、熱酸化処理には、ドライ酸化でも良いが、酸化雰囲気中にハロゲンを含むガスを添加することが好ましい。ハロゲンを含んだ酸化膜を絶縁膜112aとして形成することができる。ハロゲンを含むガスとして、HCl、HF、NF3、HBr、Cl、ClF、BCl3、F、Br2などから選ばれた一種類又は複数種類のガスを用いることができる。
例えば、酸素に対しHClを0.5〜10体積%(好ましくは3体積%)の割合で含む雰囲気中で、700℃以上の温度で熱処理を行う。950℃以上1100℃以下の加熱温度で熱酸化を行うとよい。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜1時間とすればよい。形成される酸化膜の膜厚は、10nm〜1000nm(好ましくは50nm〜200nm)、例えば100nmの厚さとすることができる。
このような温度範囲で酸化処理を行うことで、ハロゲン元素によるゲッタリング効果を得ることができる。ゲッタリングとしては、特に、金属不純物を除去する効果がある。すなわち、塩素の作用より、金属などの不純物が揮発性の塩化物となって気相中へ離脱して、単結晶半導体基板110から除去される。また、酸化処理に含まれるハロゲン元素により、単結晶半導体基板110の表面の未結合手が終端されるため、酸化膜と単結晶半導体基板110との界面の局在準位密度が低減できる。
このハロゲンを含む雰囲気での熱酸化処理により、酸化膜にハロゲンを含ませることができる。ハロゲン元素を1×1017atoms/cm3〜5×1020atoms/cm3の濃度で含ませることにより、半導体基板10において、金属などの不純物を捕獲して単結晶半導体層116の汚染を防止する保護膜としての機能させることができる。
また、絶縁膜112aにハロゲンを含ませるには、フッ化物ガスまたはフッ素ガスを含むPECVD装置のチャンバーで、絶縁膜112aを形成することでも実現できる。このようなチャンバーに絶縁膜112a形成用プロセスガスを導入し、このプロセスガスを励起してプラズマを生成し、当該プラズマに含まれる活性種の化学反応により、単結晶半導体基板110上に絶縁膜112aを形成する。
PECVD装置のチャンバーにフッ素化合物ガスを含ませるには、フッ化物ガスを用いたプラズマガスエッチングによってチャンバーをクリーニングすることで実現できる。PECVD装置で膜を形成すると、基板表面だけでなく、チャンバーの内壁、電極、基板ホルダーなどにも原料が反応した生成物が堆積する。この堆積物はパーティクルやダストの原因となる。そこで、このような堆積物を除去するクリーニング工程が定期的に行われる。チャンバーのクリーニング方法の代表的な1つとして、プラズマガスエッチングによる方法がある。チャンバーにNF3などのフッ化物ガスを導入して、フッ化物ガスを励起してプラズマ化することで、フッ素ラジカルを生成し、堆積物をエッチングして除去する方法である。フッ素ラジカルと反応して生成されたフッ化物は蒸気圧が高いため、排気系によって反応容器から除去される。
プラズマガスエッチングによるクリーニングを行うことで、クリーニングガスとして用いてフッ化物ガスが、チャンバーの内壁や、チャンバーに設けられている電極、各種の治具に吸着する。つまり、チャンバーにフッ化物ガスを含むませることができる。なお、フッ化物ガスチャンバーに含ませる方法には、チャンバーをフッ化物ガスによりクリーニングして、チャンバーにフッ化物ガスを残留させる方法を用いることができる。
例えば、SiH4およびN2Oから、PECVD法で酸化窒化シリコン膜を絶縁膜112aする場合、チャンバーにSiH4およびN2Oを供給し、これらのガスを励起しプラズマを生成することで、チャンバーに残存しているフッ化物ガスも励起し、フッ素ラジカルが生成される。よって、酸化窒化シリコン膜にフッ素を含ませることができる。また、チャンバーに残存しているフッ化物は微量であり、酸化窒化シリコン膜の形成中に供給されないため、酸化窒化シリコン膜の形成の初期の段階にフッ素が取り込まれることとなる。よって、絶縁膜112aにおいて、単結晶半導体基板110と絶縁膜112a(絶縁層112)の界面、またはその近傍のフッ素濃度を高くすることができる。つまり、図1の半導体基板10の絶縁層112においては、単結晶半導体層116との界面、またはその界面の近傍のフッ素濃度を高くすることができる。
このような領域にフッ素を含ませることにより、単結晶半導体層116との界面における半導体の未結合手がフッ素で終端することができるため、単結晶半導体層116と絶縁層112との界面準位密度を低減できる。また、支持基板100からナトリウムなどの不純物が絶縁層112に拡散した場合でも、フッ素が存在することで、フッ素により金属を捕獲することができるため、単結晶半導体層116の金属汚染を防止することができる。
フッ化物ガスの代わりにフッ素(F2)ガスをチャンバーに含ませることもできる。フッ化物とは、組成にフッ素(F)を含む化合物である。フッ化物ガスには、OF2、ClF3、NF3、FNO、F3NO、SF6、SF5NO、SOF2などから選ばれたガスを用いることができる。
次に、図3(B)に示すように、絶縁層112を介して、電界で加速されたイオンでなるイオンビーム121を単結晶半導体基板110に添加して、単結晶半導体基板110の表面から所定の深さの領域に、損傷層113を形成する。イオンビーム121は、ソースガスを励起して、ソースガスのプラズマを生成し、プラズマから電界の作用により、プラズマに含まれるイオンを引き出すことで生成される。
損傷層113が形成される領域の深さは、イオンビーム121の加速エネルギーとイオンビーム121の入射角によって調節することができる。加速エネルギーは加速電圧、ドーズ量などにより調節できる。イオンの平均侵入深さとほぼ同じ深さの領域に損傷層113が形成される。イオンを添加する深さで、単結晶半導体基板110から分離される単結晶半導体層の厚さが決定される。この単結晶半導体層の厚さが20nm以上500nm以下、好ましくは20nm以上200nm以下になるように、損傷層113が形成される深さを調節する。
単結晶半導体基板110へのイオンの添加方法には、質量分離を伴うイオン注入法、または質量分離を伴わないイオンドーピング法を用いることができる。素子量分離を伴わないイオンドーピング法は、単結晶半導体基板110に損傷層113を形成するタクトタイムを短縮できる点で好ましい。なお本明細書においては、単結晶半導体基板内において、イオン注入法によって形成される損傷層をイオン注入層、イオンドーピング法によって形成されるイオン添加層と使い分けることもある。
単結晶半導体基板110を、イオンドーピング装置の処理室に搬入する。ソースガスを励起してプラズマを生成する。このプラズマ中からイオン種を引き出し、加速してイオンビーム121を生成し、そのイオンビーム121を、複数の単結晶半導体基板110に照射することで、所定の深さにイオンが高濃度に導入され、損傷層113が形成される。
ソースガスに水素(H2)を用いる場合、水素ガスを励起してH+、H2 +、H3 +を含むプラズマを生成することができる。ソースガスから生成されるイオン種の割合は、プラズマの励起方法、プラズマを発生させる雰囲気の圧力、ソースガスの供給量などを調節することで、変化させることができる。イオンビーム121に、H+、H2 +、H3 +の総量に対してH3 +が50%以上含まれるようにすることが好ましく、H3 +の割合は80%以上がより好ましい。
H3 +は他の水素イオン種(H+、H2 +)よりも、水素原子の数が多く、その結果質量が大きいのでため、同じエネルギーで加速される場合、H+、H2 +よりも単結晶半導体基板110のより浅い領域に照射される。よって、イオンビーム121に含まれるH3 +の割合を高くすることにより、水素イオンの平均侵入深さのばらつきが小さくなるので、単結晶半導体基板110において、水素の深さ方向の濃度プロファイルはより急峻になり、そのプロファイルのピーク位置を浅くすることができる。よって、イオンビーム121に含まれるH+、H2 +、H3 +の総量に対してH3 +が50%以上含まれるようにすることが好ましく、H3 +の割合は80%以上がより好ましい。
水素ガスを用いて、イオンドーピング法でイオン照射を行う場合、加速電圧10kV以上200kV以下、ドーズ量1×1016ions/cm2以上6×1016ions/cm2以下とすることができる。この条件で水素イオンを添加することで、イオンビーム121に含まれるイオン種および、その割合にもよるが、損傷層113を単結晶半導体基板110の深さ50nm以上500nm以下の領域に形成することができる。
例えば、単結晶半導体基板110が単結晶シリコン基板であり、絶縁膜112aが厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜であり、絶縁膜112bが厚さ50nmの窒化酸化シリコン膜の場合、ソースガスが水素であり、加速電圧40kV、ドーズ量2.2×1016ions/cm2の条件では、単結晶半導体基板110から厚さ120nm程度の単結晶半導体層を分離することができる。また、絶縁膜112aを厚さ100nmの酸化窒化シリコン膜とし、他は同じ条件で水素イオンをドープすると、単結晶半導体基板110から厚さ70nm程度の単結晶半導体層を分離することができる。
なおイオンビーム121のソースガスにヘリウム(He)を用いることもできる。ヘリウムを励起して生成されるイオン種がHe+が殆どであるため、質量分離を伴わないイオンドーピング法でも、He+を主なイオンとして単結晶半導体基板110に添加することができる。よって、イオンドーピング法で、効率良く、微小な空孔を損傷層113に形成することができる。ヘリウムを用いて、イオンドーピング法でイオン照射を行う場合、加速電圧10kV以上200kV以下、ドーズ量1×1016ions/cm2以上6×1016ions/cm2以下とすることができる。
またソースガスに塩素ガス(Cl2ガス)、フッ素ガス(F2ガス)などのハロゲンガスを用いることもできる。
損傷層113を形成した後、図3(C)に示すように、絶縁層112の上面に接合層114を形成する。接合層114を形成する工程では、単結晶半導体基板110の加熱温度は、損傷層113に照射した元素または分子が析出しない温度とし、その加熱温度は350℃以下が好ましい。言い換えると、この加熱温度は損傷層113からガスが抜けない温度である。なお、接合層114は、イオン照射工程を行う前に形成することもできる。この場合は、接合層114を形成するときのプロセス温度は、350℃以上にすることができる。
接合層114は、平滑で親水性の接合面を単結晶半導体基板110の表面に形成するため層である。そのため、接合層114の平均粗さRaが0.7nm以下、より好ましくは、0.4nm以下が好ましい。また、接合層114の厚さは10nm以上200nm以下とすることができる。好ましい厚さは5nm以上500nm以下であり、より好ましくは10nm以上200nm以下である。
接合層114には、化学的気相反応により形成される絶縁膜が好ましい。例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などを、接合層114として形成することとができる。接合層114として、PECVD法で酸化シリコン膜を形成する場合には、ソースガスに有機シランガスおよび酸素(O2)ガスを用いることが好ましい。ソースガスに有機シランを用いることで、プロセス温度が350℃以下で、平滑な表面を有する酸化シリコン膜を形成することができる。また、熱CVD法で、加熱温度が200℃以上500℃以下で形成されるLTO(低温酸化物、low temperature oxide)で形成することができる。LTOの形成には、シリコンソースガスにモノシラン(SiH4)またはジシラン(Si2H6)などを用い、酸素ソースガスに一酸化二窒素(N2O)などを用いることができる。
例えば、ソースガスにTEOSとO2を用いて、酸化シリコン膜でなる接合層114を形成するための条件例としては、チャンバーに、流量15sccmでTEOSを導入し、流量750sccmでO2を導入する。成膜圧力は100Pa、成膜温度300℃、RF出力300W、電源周波数13.56MHzが挙げられる。
また、図3(B)の工程と図3(C)の工程の順序を逆にすることもできる。すなわち、単結晶半導体基板110に、絶縁層112および接合層114を形成した後、損傷層113を形成することもできる。この場合、絶縁層112と接合層114を同じ成膜装置で形成できる場合は、絶縁層112と接合層114の形成を連続して行うことが好ましい。
また、図3(B)の工程を行った後、図3(A)の工程と図3(C)の工程を行うこともできる。すなわち、単結晶半導体基板110にイオンをドープして損傷層113を形成した後、絶縁層112および接合層114を形成することもできる。この場合、絶縁層112と接合層114を同じ成膜装置で形成できる場合は、絶縁層112と接合層114の形成を連続して行うことが好ましい。また、損傷層113を形成する前に、単結晶半導体基板110の表面を保護するために、単結晶半導体基板110を酸化処理して、表面に酸化膜を形成し、酸化膜を介してイオン種を単結晶半導体基板110にドープすることもできる。損傷層113を形成した後はこの酸化膜を除去する。また、酸化膜を残した状態で、絶縁層112を形成することもできる。
次に、絶縁層112、損傷層113および接合層114が形成された単結晶半導体基板110と支持基板100を洗浄する。この洗浄工程は、純水による超音波洗浄で行うことができる。超音波洗浄はメガヘルツ超音波洗浄(メガソニック洗浄)が好ましい。超音波洗浄の後、単結晶半導体基板110および支持基板100の一方または両方をオゾン水で洗浄することは好ましい。オゾン水で洗浄することで、有機物の除去と、接合層114表面および支持基板100の親水性を向上させる表面活性化処理を行うことができる。
また、接合層114の表面、および支持基板100の活性化処理には、オゾン水による洗浄の他原子ビーム若しくはイオンビームの照射処理、プラズマ処理、若しくはラジカル処理で行うことができる。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴン等の不活性ガス中性原子ビーム若しくは不活性ガスイオンビームを用いることができる。
図3(D)は接合工程を説明する断面図である。接合層114を介して、支持基板100と単結晶半導体基板110を密接させる。単結晶半導体基板110の端の一箇所に300〜15000N/cm2程度の圧力を加える。この圧力は、1000〜5000N/cm2が好ましい。圧力をかけた部分から接合層114と支持基板100とが接合しはじめ、接合部分が接合層114の全面におよぶ。その結果、支持基板100に単結晶半導体基板110が密着される。この接合工程は、加熱処理を伴わず、常温で行うことができるため、支持基板100に、ガラス基板のように耐熱温度が700℃以下の低耐熱性の基板を用いることが可能である。
支持基板100に単結晶半導体基板110を貼り合わせた後、支持基板100と接合層114との接合界面での結合力を増加させるための加熱処理を行うことが好ましい。この処理温度は、損傷層113に亀裂を発生させない温度とし、200℃以上450℃以下の温度範囲で処理することができる。また、この温度範囲で加熱しながら、支持基板100に単結晶半導体基板110を貼り合わせることで、支持基板100と接合層114との接合界面での結合力を強固にすることができる。
次いで、加熱処理を行い、損傷層113で分離を生じさせて、単結晶半導体基板110から単結晶半導体層115を分離する。図4(A)は、単結晶半導体基板110から単結晶半導体層115を分離する分離工程を説明する図である。117を付した要素は単結晶半導体層115が分離された単結晶半導体基板110を示している。
加熱処理を行うことで、温度上昇によって損傷層113に形成されている微小な孔には、イオンドーピングで添加した元素が析出し、内部の圧力が上昇する。圧力の上昇により、損傷層113の微小な孔に体積変化が起こって損傷層113に亀裂が生じ、損傷層113に単結晶半導体基板110を分離するための分離面が生じる。接合層114は支持基板100に接合しているので、支持基板100上には単結晶半導体基板110から分離された単結晶半導体層115が固定される。単結晶半導体層115を単結晶半導体基板110から分離するための加熱処理の温度は、支持基板100の歪み点を越えない温度とする。
この加熱処理には、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置、抵抗加熱炉、マイクロ波加熱装置を用いることができる。RTA装置には、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。この加熱処理で、単結晶半導体層115が貼り付けられた支持基板100の温度が550℃以上650℃以下の範囲に上昇させることが好ましい。
GRTA装置を用いる場合は、加熱温度550℃以上650℃以下、処理時間0.5分以上60分以内とすることができる。抵抗加熱装置を用いる場合は、加熱温度200℃以上650℃以下、処理時間2時間以上4時間以内とすることができる。マイクロ波加熱装置を用いる場合は、例えば、周波数2.45GHzのマイクロ波を900Wで照射し、処理時間2分以上20分以内とすることができる。
抵抗加熱を有する縦型炉を用いた加熱処理の具体的な処理方法を説明する。単結晶半導体基板110が貼り付けられた支持基板100を縦型炉のボートに載置する。ボートを縦型炉のチャンバーに搬入する。単結晶半導体基板110が酸化を抑制するため、まずチャンバー内を排気して真空状態とする。真空度は、5×10−3Pa程度とする。真空状態にした後、窒素をチャンバー内に供給して、チャンバー内を大気圧の窒素雰囲気にする。この間、温度を200℃に上昇させる。
チャンバー内を大気圧の窒素雰囲気にした後、温度200℃で2時間加熱する。その後、1時間かけて400℃に温度上昇させる。加熱温度400℃の状態が安定したら、1時間かけて600℃に温度上昇させる。加熱温度600℃の状態が安定したら、600℃で2時間加熱処理する。その後、1時間かけて、加熱温度400℃まで下げ、10分〜30分間後に、チャンバー内からボートを搬出する。大気雰囲気下で、ボート上の単結晶半導体基板117、および単結晶半導体層115が貼り付けられた支持基板100を冷却する。
上記の抵抗加熱炉を用いた加熱処理は、接合層114と支持基板100との結合力を強化するための加熱処理と、損傷層113に分離を生じさせる加熱処理が連続して行われる。この2つの加熱処理を異なる装置で行う場合は、例えば、抵抗加熱炉において、処理温度200℃、処理時間2時間の加熱処理を行った後、貼り合わされた支持基板100と単結晶半導体基板110を炉から搬出する。次いで、RTA装置で、処理温度600℃以上700℃以下、処理時間1分以上30分以下の加熱処理を行い、単結晶半導体基板110を損傷層113で分割させる。
700℃以下の低温処理で、接合層114と支持基板100を強固に接合させるためには、接合層114の表面、および支持基板の表面にOH基、水分子(H2O)が存在することが好ましい。これは、接合層114と支持基板100との接合が、OH基や水分子が共有結合(酸素分子と水素分子の共有結合)や水素結合を形成することで開始するからである。
したがって、接合層114、支持基板100の表面を活性化して親水性とすることは好ましい。また、酸素または水素を含ませるような方法で、接合層114を形成することが好ましい。例えば、処理温度400℃以下のPECVD法により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などを形成することで水素を膜に含ませることができる。酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成するには、例えば、プロセスガスにSiH4およびN2Oを用いればよい。窒化酸化シリコン膜を形成するには、例えばSiH4、NH3およびN2Oを用いればよい。窒化シリコン膜を形成するには、例えばSiH4、およびNH3を用いればよい。また、PECVD法で形成するときの原料に、TEOS(化学式Si(OC2H5)4)のようなOH基を有する化合物を用いることが好ましい。
なお、プロセス温度が700℃以下であることを低温処理というのは、プロセス温度がガラス基板の歪み点以下の温度になるからである。対照的に、スマートカット(登録商標)で形成されるSOI基板では単結晶シリコン層と単結晶シリコンウエハを貼り付けるために800℃以上の加熱処理を行っており、ガラス基板の歪み点を超える温度での加熱処理を必要とする。
なお、図4(A)に示すように、単結晶半導体基板110の周辺部が支持基板100に接合しない場合が多い。これは、単結晶半導体基板110の周辺部が面取りされているため、または、単結晶半導体基板110を移動した際に接合層114の周辺部を傷つけたり汚れたりしたため、支持基板100と接合層114とが密着しない単結晶半導体基板110の周辺部では損傷層113が分離しにくいなどの理由によるものと考えられる。そのため、支持基板100には、単結晶半導体基板110よりもサイズが小さい単結晶半導体層115が貼り付けられ、また、単結晶半導体基板117の周囲には凸部が形成され、その凸部上に、支持基板100に貼り付けられなかった絶縁膜112b、絶縁膜112aおよび接合層114が残っている。
支持基板100に密着された単結晶半導体層115には、損傷層113の形成、および損傷層113での分離などによって、結晶性が損なわれている。つまり、加工前の単結晶半導体基板110には無かった結晶欠陥が単結晶半導体層115に形成されている。また、単結晶半導体層115の表面は、単結晶半導体基板110からの分離面であり、平坦性が損なわれている。単結晶半導体基板から分離された単結晶半導体層115の表面及び深さ方向の一部の領域を溶融させ単結晶半導体層115の表面を平坦化するために、および溶融せずに残った単結晶半導体層の面方位をもとにして再結晶化を促すために、単結晶半導体層115の結晶性を回復するためのレーザビームを、単結晶半導体層115を有する側より照射する。図4(B)は、レーザ照射処理を説明するための図面である。
図4(B)は、レーザビーム122を単結晶半導体層115に対して走査しながら、単結晶半導体層115を有する側より単結晶半導体層115の分離面の全面に照射する。レーザビーム122の走査は、例えば、レーザビーム122を移動せずに、単結晶半導体層115が固定された支持基板を移動する。矢印123は、支持基板100の移動方向を示す。
レーザビーム122を照射すると、単結晶半導体層115がレーザビーム122を吸収し、レーザビーム122が照射された部分がレーザビーム122のエネルギー密度に応じて温度上昇し、単結晶半導体層115の表面より部分的に溶融し始める。支持基板100が移動することで、レーザビーム122の照射領域が移動するため、単結晶半導体層115の溶融部分の温度が下がり、この溶融部分は凝固し、再結晶化する。レーザビーム122を照射して、単結晶半導体層115を溶融しながら、レーザビーム122を走査して、単結晶半導体層115全面にレーザビーム122を照射する。図4(C)は、レーザ照射工程後の、半導体基板10を示す断面図であり、単結晶半導体層116は、再結晶化された単結晶半導体層115である。また、図4(C)の外観図が図1である。
レーザ照射処理をされた単結晶半導体層116は、溶融し再結晶化されることにより、単結晶半導体層115よりも結晶性が向上される。また、レーザ照射処理によって平坦化を向上することができる。単結晶半導体層の結晶性は、光学顕微鏡による観察、およびラマン分光スペクトルから得られるラマンシフト、半値全幅などにより評価することができる。また、単結晶半導体層表面の平坦性は、原子間力顕微鏡による観察などにより評価することができる。
本発明の特徴として、レーザビーム122を、単結晶半導体層115を有する側より照射することによって、単結晶半導体層115のレーザビーム122が照射されている領域を、部分溶融させることがあげられる。なお、単結晶半導体層115を部分溶融させるとは、単結晶半導体層115の溶融されている深さが接合層114の界面(単結晶半導体層115の厚さ)よりも浅くすることであり、換言すれば単結晶半導体層115の表面及び深さ方向の一部の領域を溶融させることである。すなわち、単結晶半導体層115において部分溶融状態とは、単結晶半導体層115が上層は溶融して液相となり、下層は溶けずに、固相の単結晶半導体のままである状態をいう。
図27を用いて、本発明の特徴である単結晶半導体層115を部分溶融させることについて、模式図を示し説明する。図27には、接合層114と単結晶半導体層115が積層して設けられており、単結晶半導体層115の表面には、レーザビーム122が照射されている状況について示している。レーザビーム122は光学系により、レーザビームのプロファイルがトップフラット型を呈しており、エネルギー密度の高い領域3801と、エネルギー密度の高い領域3801からレーザビーム122の照射領域における端の位置にかけてエネルギー密度が低下する領域3802と、を有している。そのため、単結晶半導体層115の溶融する深さは、レーザビーム122が照射される面内において、エネルギー密度の高い領域3801のレーザビーム122が照射される面が表面より深く溶融し、次いでエネルギー密度の高い領域3801からレーザビーム122の照射領域における端の位置にかけてエネルギー密度が低下する領域3802のレーザビーム122が照射される面がエネルギー密度の大きさに応じて溶融する。なお、レーザビームが照射されたことによる単結晶半導体層115の溶融は、単結晶半導体層115の表面より、その深さ方向にわたって進行していくものである。また、図27においてレーザビーム122の照射によって、単結晶半導体層115が溶融する層を含む領域を液相領域3803、液相領域3803と接合層114との間の、単結晶半導体層115が溶融せずに固相のままの層の領域を固相領域3804とする。
図27において、単結晶半導体層115にレーザビーム122が照射される前の状態では、単結晶半導体基板からの分離に伴い、単結晶半導体層115表面に複数の凸部を有しており、平坦性が損なわれたものとなっている。単結晶半導体層115を有する側からレーザビームを照射することにより、レーザビームのエネルギー密度に応じて、単結晶半導体層115が溶融される。単結晶半導体層115の溶融により、単結晶半導体層115が溶融する層を含む液相領域3803、及び単結晶半導体層115が溶融せずに固相のままの固相領域3804が形成され、単結晶半導体層115の部分溶融がなされる。単結晶半導体層115の部分溶融は、レーザビームが照射される面内においてエネルギー密度が高いところで、単結晶半導体層115の溶融されている深さが接合層114の界面より浅いところまで、液相領域3803が形成される条件であればよい。換言すれば、単結晶半導体層115の部分溶融は、レーザビームが照射される面内においてエネルギー密度が高いところで、単結晶半導体層115が溶融せずに固相のままの固相領域3804を接合層114との界面に有する条件であればよい。単結晶半導体層115が部分溶融されることは、単結晶半導体層115の表面より溶融が進行することを考えると、少なくとも単結晶半導体層115の表面は液相となる。そのため、表面張力の作用によって、単結晶半導体層115の表面の複数の凸部は、その表面積が最小になるように変形する。つまり、液相領域3803は凹部および凸部が無くなるような変形し、この液相部分が凝固し、再結晶化するため、表面が平坦化された単結晶半導体層115とすることができる。
単結晶半導体層116の表面を平坦化することで、単結晶半導体層116上に形成されるゲート絶縁膜の膜厚を5nm乃至50nm程度まで薄くすることが可能である。よって、ゲート電圧を抑えつつ、高いオン電流のトランジスタを形成することができる。
図27に示すように、単結晶半導体層115が溶融する層を含む液相領域3803、及び単結晶半導体層115が溶融せずに固相のままの固相領域3804が形成された部分溶融の状態において、液相領域3803が支持基板100側より凝固するときに、固相領域3804の基となる単結晶半導体基板の主表面の面方位に基づいて結晶成長がなされる。この結晶成長は、固相領域3804での溶融していない結晶状態の単結晶半導体層より、再結晶化が進行する。再結晶化される液相領域3803は、レーザビーム122の照射により溶融していない固相領域3804の単結晶半導体層の面方位に基づいて、結晶成長がなされる。そのため、液相領域3803は面方位がそろって再結晶化がなされるため、結晶粒界が形成されず、レーザビームを照射後の単結晶半導体層116は、結晶粒界の無い単結晶半導体層とすることができる。よって、主表面の面方位が(100)の単結晶シリコンウエハを単結晶半導体基板110に用いた場合、単結晶半導体層115の主表面の面方位は、(100)であり、レーザ照射処理によって部分溶融し、再結晶化された単結晶半導体層116の主表面の面方位は(100)になる。その結果、レーザビームが照射される前の単結晶半導体層115の状態に比べ、表面の平坦性が改善され、また結晶粒界を生成することなく再結晶化がされた単結晶半導体層を得ることができる。
なお、レーザビーム122の照射により、液相領域3803及び固相領域3804を共に溶融させた場合には、液相となった単結晶半導体層115における無秩序な核発生に依存して、単結晶半導体層115の再結晶化の際に無秩序な結晶方位で結晶成長をすることとなり、単結晶半導体層115は小さな結晶の集まりである微結晶となってしまうため好ましくない。
このように、本実施形態では、単結晶半導体層に対してレーザビームを照射し、単結晶半導体層を部分溶融させ、溶融せずに残った単結晶半導体層の面方位をもとにして再結晶化させてよりよい単結晶を得る方法に関して、革新的な技術を開示するものである。このようなレーザビームの利用方法は、従来の技術では全く想定されておらず、極めて新しい概念である。
なおレーザビーム122を照射する際に、支持基板100に固定された単結晶半導体層115を加熱し、単結晶半導体層115の温度を上昇させてもよい。支持基板100の加熱温度は230℃以上支持基板の歪み点以下とすることが好ましい。加熱温度は400℃以上が好ましく、450℃以上がより好ましい。具体的には、加熱温度は、400℃以上670℃以下が好ましく、450℃以上650℃以下がより好ましい。
単結晶半導体層を加熱することで、単結晶半導体層中の結晶欠陥などのミクロの欠陥を除去することができ、よりよい単結晶半導体層を得ることができる。そして、結晶欠陥が少ない単結晶半導体層116が固定された半導体基板10から、高いオン電流、高い電界効果移動度のトランジスタを形成することができる。
本発明者らは、単結晶半導体層115にレーザビーム122を照射して、単結晶半導体層115が溶融していることを確認している。また、本発明者らは、レーザビーム122の照射によって、単結晶半導体層115の結晶性を加工する前の単結晶半導体基板110と同じ程度に回復させることが可能であることを確認している。さらに、単結晶半導体層115の表面の平坦化が可能であることを確認している。
まず、単結晶半導体層115がレーザビーム122の照射により溶融していることを説明する。
本実施形態の方法で、単結晶シリコンウエハから分離された単結晶シリコン層を貼り付けたガラス基板を形成し、このガラス基板に貼り付けた単結晶半導体層にレーザビームを照射し、単結晶シリコン層の溶融時間を測定した。溶融時間は分光学的な手法により測定した。具体的には、単結晶シリコン層のレーザビームが照射されている領域にプローブ光を照射し、その反射光の強度変化を測定する。反射光の強度から、単結晶シリコン層が固相状態であるか液相状態であるかを判別することが可能である。シリコンは固相から液相状態に変化すると、屈折率が急激に上昇し、可視光に対する反射率が急激に上昇する。よって、プローブ光に可視光域の波長のレーザビームを用い、プローブ光の反射光の強度変化を検出することで、単結晶シリコン層の固相から液相への相変化、および液相から固相への相変化検出することができる。
まず、図5を用いて、測定に用いられたレーザ照射装置の構成を説明する。図5は、測定に用いられたレーザ照射装置の構成を説明するための図面である。被処理物319をレーザ照射処理するためレーザビーム320を発振するレーザ発振器321と、プローブ光350を発振するレーザ発振器351と、被処理物319を配置するステージ323が設けられているチャンバー324を有する。
ステージ323はチャンバー324内部で移動可能に設けられている。矢印325は、ステージ323の移動方向を示す矢印である。チャンバー324の壁には、石英でなる窓326〜328が設けられている。窓326はレーザビーム320をチャンバー324内部に導くための窓である。窓327はプローブ光350をチャンバー324内部に導くための窓であり、窓328は、被処理物319により反射されたプローブ光350をチャンバー324の外へ導くための窓である。図5において、被処理物319により反射されたプローブ光350に350Dの参照符号を付すことにする。
チャンバー324の内部の雰囲気を制御するため、気体供給装置に接続される気体供給口329、および排気装置に連結された排気口330が、それぞれ、チャンバー324に設けられている。
レーザ発振器321から射出したレーザビーム320は、ハーフミラー332で反射され、レンズ333により集光され、窓326を通過し、ステージ323上の被処理物319に照射される。ハーフミラー332の透過側には、フォトディテクタ334が配置されている。フォトディテクタ334により、レーザ発振器321から射出されたレーザビーム320の強度変化が検出される。
レーザ発振器351から射出したプローブ光350は、ミラー352で反射され、窓327を通り、被処理物319に照射される。レーザビーム320が照射されている領域にプローブ光350は照射される。被処理物319で反射されたプローブ光350Dは窓328を通り、光ファイバー353を通り、コリメータレンズを有するコリメータ354により平行光とされ、フォトディテクタ355に入射する。フォトディテクタ355により、プローブ光350Dの強度変化が検出される。
フォトディテクタ334および355の出力は、オシロスコープ356に接続されている。オシロスコープ356に入力されるフォトディテクタ334および355の出力信号の電圧値(信号の強度)が、それぞれ、レーザビーム320の強度、およびプローブ光350Dの強度に対応する。
図6は、測定結果を示すオシロスコープ356の信号波形の写真である。図6の写真には、下の信号波形は、フォトディテクタ334の出力信号波形であり、レーザビーム320の強度変化を示す。上の信号波形は、フォトディテクタ355の出力信号波形であり、単結晶シリコン層で反射されたプローブ光350Dの強度変化を示している。図6の横軸は時間を表し、目盛の間隔が100ナノ秒である。図6(A)はガラス基板を420℃に加熱した場合の信号波形であり、図6(B)は、ガラス基板を加熱しない、室温の場合の信号波形である。
測定に用いたレーザ発振器321は、波長308nmのビームを発振するXeClエキシマレーザを用いた。そのパルス幅25nsecであり、繰り返し周波数30Hzである。他方、プローブ光用のレーザ発振器351には、Nd:YVO4レーザを用い、そのレーザ発振器の第2高調波である532nmのビームをプローブ光350として用いた。また、気体供給口329から窒素ガスを供給して、チャンバー324の雰囲気を窒素雰囲気とした。また、単結晶シリコン層が固定されたガラス基板の加熱は、ステージ323に設けられている加熱装置で行っている。図6(A)、図6(B)の測定を行ったときのレーザビーム320のエネルギー密度は、539mJ/cm2であり、レーザビーム320を1ショット単結晶シリコン層に照射している。なお、図6(A)および図6(B)において、レーザビーム320に対応するフォトディテクタ334の出力信号には2つのピークが現れているが、これは測定に用いたレーザ発振器321の仕様によるものであり、照射したレーザビーム320は1ショットである。
図6(A)、図6(B)に示すように、レーザビーム320が照射されると、プローブ光350Dの強度が立ち上がり、急激に増大する。つまり、レーザビーム320の照射によって、単結晶シリコン層が溶融されていることが確認できる。プローブ光350Dの強度は、単結晶シリコン層の溶融領域の深さが最大になるまで上昇し、強度が高い状態がしばらく維持される。レーザビーム320の強度が立ち下がると、やがて、プローブ光350Dの強度が減少し始める。
つまり、図6(A)、図6(B)からは、レーザビーム320を照射することで、単結晶シリコンウエハを溶融させること、レーザビーム320の照射後も溶融状態がしばらく保持され、やがて、単結晶シリコンウエハが凝固し始め、完全に固相状態に戻ることを示している。
図7を用いてプローブ光350Dの強度変化および単結晶シリコン層の相変化を説明する。図7は、図6(A)、図6(B)の写真で示されているフォトディテクタ355の出力信号波形を模式的に表したグラフである。時間t1において信号強度は急激に増大しており、時間t1が単結晶シリコン層の溶融が開始した時間である。時間t1以後、時間t2から時間t3までの期間は、ほぼ一定になっており、溶融状態が保持されている期間である。また、時間t1から時間t2は単結晶シリコン層の溶融部分の深さ方向に深くなる期間であり、融解期間である。信号強度が減少を開始する時間t3は溶融部分が凝固を開始した凝固開始時間である。
時間t3以後、信号強度は徐々に減少し、時間t4以後ほぼ一定となる。時間t4では、プローブ光350Dが反射される表面が完全に凝固しているが、その内部に溶融部分が残っている状態である。また、時間t4以後の信号強度Ibは、時間t1以前の信号強度Iaよりも高いことから、時間t4以後もレーザビーム320が照射された領域は、徐々に冷却されながら転位など結晶欠陥の修復が進行していると考えられる。
図6(A)、図6(B)の信号波形を比べると、加熱することで溶融状態が保持されている溶融時間を長くすることができることが分かる。加熱温度が420℃の場合は、溶融時間は250ナノ秒程度であり、加熱しない場合の溶融時間は100ナノ秒程度である。
なお、図6(A)、図6(B)に示す単結晶シリコン層の相変化の測定に用いた試料は図3(A)〜図4(A)の工程を経て作製した試料である。単結晶半導体基板110に単結晶シリコンウエハを用い、支持基板100にガラス基板が用られている。単結晶シリコンウエハ上に、絶縁層112として、PECVD法により、厚さ100nmの酸化窒化シリコン膜と、厚さ50nmの窒化酸化シリコン膜でなる2層構造の絶縁膜を形成した。酸化窒化シリコン膜のプロセスガスは、SiH4、およびN2Oであり、窒化酸化シリコン膜のプロセスガスは、SiH4、NH3、N2O、およびH2である。
2層構造の絶縁層112を形成した後、イオンドーピング装置を用い、水素イオンを単結晶シリコンウエハにドープして、損傷層113を形成したソースガスには100%水素ガスを用い、イオン化された水素を質量分離せずに、電界で加速して単結晶半導体基板110に添加して、損傷層113を形成した。また、単結晶シリコンウエハから分離される単結晶シリコン層の厚さが120nmになるように、損傷層113が形成される深さを調節した。
次に、絶縁層112上に、PECVD法により、厚さ50nm酸化シリコン膜でなる接合層114を形成した。酸化シリコン膜のプロセスガスには、TEOS、およびO2を用いた。
ガラス基板、および絶縁層112、損傷層113および接合層114が形成された単結晶シリコンウエハを純水中で超音波洗浄した後、オゾンを含む純水で洗浄した。次に、図4(A)に示すように、ガラス基板と単結晶シリコンウエハを密接させ、接合層114とガラス基板を接合させた後、図4(A)に示すように、損傷層113で単結晶シリコンウエハを分離し、単結晶シリコン層が貼り付けられたガラス基板が形成される。このガラス基板を試料として用いた。
次に、レーザビーム122を照射して、単結晶半導体層115を溶融させることで、再結晶化して、加工する前の単結晶半導体基板110と同程度の結晶性に回復すること、および平坦化が可能であることを説明する。レーザ照射処理後の単結晶半導体層の結晶性をよりラマン分光測定を用いて評価し、その表面の平坦性は、原子間力顕微鏡(AFM;Atomic Force Microscope)によるダイナミックフォースモード(DFM:dynamic force mode)での観察像(以下、DFM像という。)、DFM像から得られる表面粗さを示す測定値で評価した。
これらの測定に用いた試料は、図6(A)、図6(B)と同様に作製した試料であり、単結晶シリコン層が固定されているガラス基板である。また、レーザ照射処理には、図5の装置を用い、再結晶化させるために使用したレーザ発振器321は、波長308nmのビームを発振するXeClエキシマレーザである。そのパルス幅25nsecであり、繰り返し周波数30Hzである。また、レーザ照射処理は、気体供給口329から窒素ガスを供給して、チャンバー324の雰囲気を窒素雰囲気にして行っている。また、単結晶シリコン層が固定されたガラス基板の加熱は、ステージ323に設けられている加熱装置で行っている。また、同じ領域にレーザビームが12ショット照射されるように、ステージ323の移動速度を調節した。
図8は、レーザビームのエネルギー密度に対するラマンシフトの変化を示すグラフである。単結晶シリコンのラマンシフトの波数520.6cm−1に近いほど、結晶性が良いことを示している。図9は、レーザビームのエネルギー密度に対するラマンスペクトルの半値全幅(FWHM;full width at half maximum)の変化を示すグラフである。市販の単結晶シリコンウエハのFWHMは、2.5cm−1〜3.0cm−1程度であり、この値に近いほど結晶性が良いことを示している。
図8および図9には、レーザ照射処理のときの単結晶シリコン層を貼り付けたガラス基板の温度を、基板の加熱を行っていない場合、420℃に加熱した場合、および230℃に加熱した場合のデータを示している。
図8および図9から、基板を加熱しない場合において、レーザビームのエネルギー密度を高くしてレーザ照射処理を行うことにより、ラマンシフトの波数520.6cmと同程度に向上させ、かつFWHMを低下させ、2.5cm−1〜3.0cm−1程度にできることがわかる。また420℃、230℃で加熱しながらレーザ照射処理する場合においても、単結晶シリコン層を再結晶化させて、加工する前の単結晶シリコンウエハと同程度の結晶性に回復させることができることが確認されている。加熱しながらレーザ照射処理を行うことにより、レーザ照射処理に伴うレーザビームのエネルギー密度を低減することができる。但し、加熱しながらレーザビームの照射処理を行う際には、単結晶半導体層を部分溶融するようにレーザビームのエネルギー密度を制御することが必要になる。単結晶半導体層に照射するレーザビームのエネルギー密度が部分溶融するためのエネルギー密度より高い場合、単結晶半導体層が完全に溶融してしまう。そのため単結晶半導体層が再結晶化する際に無秩序な結晶方位で結晶成長をするため、図8及び図9に示すように、ラマンシフト及びFWHM共に結晶性が悪くなる方向にシフトしてしまう。なお、図8及び図9に示すように、基板の加熱温度が高い程、レーザビームのエネルギー密度が高いことに起因する単結晶半導体層が完全に溶融してしまう状態となりやすい。そのため、基板を加熱せずにレーザ照射処理を行うことでは、照射するレーザビームのエネルギー密度に大小のばらつきを有していたとしても、単結晶半導体層の無秩序な結晶方位での結晶成長を起こすことなく結晶性を高めることができる。
図8および図9のデータから、基板を加熱しない場合においては、レーザビームのエネルギー密度を高くすることにより、単結晶半導体層の結晶性を高めることができる。また単結晶半導体層115を加熱しながらレーザビーム122を照射することで、単結晶半導体層115の結晶性の回復に必要なレーザビームのエネルギー密度を低下させることができる。単結晶半導体層を加熱しながらレーザビームを照射することにより、レーザビーム122を発振するレーザ発振器のレーザ媒体の劣化を抑制することができるため、レーザ発振器の維持費用を抑えることができる。また、例えば、レーザビームの断面形状が線状や矩形状(正方形、長方形等を含む形状)ビームである場合、その断面の長さを長くできるので、1回のレーザビーム122の走査でレーザビーム122を照射できる領域を広くできるため、生産性を向上させることができる。
なお、単結晶半導体層115を加熱することで、単結晶半導体層115の結晶性の回復に必要なレーザビーム122のエネルギー密度が低下されることの理由の1つは、図6(A)、図6(B)に示すように、加熱により単結晶半導体層115内のレーザビーム照射に伴う温度の上昇が大きくなったため、溶融時間が長くなるからであると考えられる。また、単結晶半導体層115が溶融部分(液相部分)を有している状態から、冷却され、完全に固相状態に戻るまでの時間が、支持基板が予め加熱されていることにより熱の発散が抑えられることにより、長くなるからであると考えられる。
以下、レーザビームの照射による単結晶半導体層の平坦化について説明する。図10は、AFMで観察した単結晶シリコン層の上面のDFM像である。図10(A)は420℃で加熱しながらレーザビームを照射した場合の像であり、図10(B)は230℃で加熱しながらレーザビームを照射した場合の像であり、図10(C)は、加熱しないでレーザビームを照射した場合の像である。観察領域は5μm角の領域である。
図11にAFMのDFM像をもとに計算された単結晶シリコン層の表面粗さを示す。図11(A)は平均面荒さRaを示し、図11(B)は、は自乗平均面粗さRMSを示し、図11(C)は、最大高低差P−Vを示す。図11(A)〜(C)には、レーザ照射前の単結晶シリコン層のデータも示している。
図11(A)〜(C)に示すように、レーザビームを照射して溶融させることで、基板を加熱しない場合も、基板を加熱した場合でも単結晶シリコン層の平坦性を向上させることができる。
図11のデータから、レーザビーム122の照射により、溶融された再結晶化された単結晶半導体層116の表面は平坦化され、その表面の凹凸形状の平均面荒さを1nm以上2nm以下とすることができる。また、その凹凸形状の自乗平均面粗さを1nm以上4nm以下とすることができる。また、その凹凸形状の最大高低差が5nm以上100nm以下とすることができる。すなわち、レーザビーム122の照射処理の効果の1つは、単結晶半導体層115の平坦化ということができる。
平坦化処理には、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、略称:CMP)が知られているが、ガラス基板は撓みやすく、うねりがありため、支持基板100にガラス基板を使用した場合、CMPで単結晶半導体層115の平坦化処理を行うことは困難である。本実施形態では、この平坦化処理をレーザビーム122の照射処理で行うため、支持基板100を破損する力を加えることなく、かつ歪み点を超える温度で支持基板100を加熱することなく、単結晶半導体層115の平坦化を可能にする。したがって、支持基板100にガラス基板を使用することが可能になる。すなわち、本実施形態は、半導体基板の作製方法において、レーザビームの照射処理の革新的な使用方法を開示するものである。
ここで、平均面粗さ(Ra)とは、JISB0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている中心線平均粗さを、測定面に対して適用できるよう三次元に拡張したものである。なお、上記のJISB0601では、中心線平均粗さを「Ra」としているが、本明細書においては、平均面粗さを表す場合にのみ「Ra」を用いることとする。ここで、平均面粗さは、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値と表現でき、次式で与えられる。
なお、測定面とは、全測定データの示す面であり、下記の式で表される。ここで、測定データは三つのパラメータ(X,Y,Z)から成り立っており、X(及びY)の範囲は0乃至XMAX(及びYMAX)であり、Zの範囲はZMIN乃至ZMAXである。
また、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標(X1,Y1)(X1,Y2)(X2,Y1)(X2,Y2)で表される4点により囲まれる長方形の領域とし、指定面が理想的に平坦であるとしたときの面積をS0とする。なお、S0は下記の式で求められる。
また、基準面とは、指定面の高さの平均値をZ0とするとき、Z=Z0で表される平面である。基準面はXY平面と平行となる。なお、Z0は下記の式で求められる。
自乗平均面粗さ(Rms)とは、断面曲線に対する自乗平均粗さを、測定面に対して適用できるよう、中心線平均粗さと同様に三次元に拡張したものである。基準面から指定面までの偏差の自乗を平均した値の平方根と表現でき、次式で与えられる。
なお、本実施の形態においては、最大高低差(P−V)については評価パラメータとして用いていないが、最大高低差を評価パラメータとして用いても良い。最大高低差は、指定面において、最も高い山頂の標高Zmaxと最も低い谷底の標高Zminの差を用いて表現でき、次式で与えられる。
ここでいう山頂と谷底とはJISB0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている「山頂」「谷底」を三次元に拡張したものであり、山頂とは指定面において最も標高の高いところ、谷底とは指定面において最も標高の低いところである。
平均面粗さ、自乗平均面粗さ、最大高低差の測定条件を以下に説明する。
・原子間力顕微鏡(AFM):走査型プローブ顕微鏡SPI3800N/SPA500(セイコーインスツルメンツ社製)
・測定モード:ダイナミックフォースモード(DFMモード)
・カンチレバー:SI−DF40(シリコン製、バネ定数40N/m以上45N/m以下、共振周波数250kHz以上390kHz以下、探針の先端R≦10nm)
・走査速度:1.0Hz
・測定点数:256×256点
なお、DFMモードとは、ある周波数(カンチレバーに固有の周波数)でカンチレバーを振動させ、近づいてくる試料に対し、間欠的に接触し振動振幅の減少によって表面の形状を表示するモードのことである。このDFMモードは試料の表面を非接触で測定するため、試料の表面を傷つけることなく測定できる。
なお、本実施の形態における平坦性の評価に際しては、測定面積を20μm×20μm以下、好ましくは5μm×5μm以上10μm×10μm以下とする。測定面積が小さすぎる場合や大きすぎる場合には正確な評価ができなくなるため、留意が必要である。
また、本実施の形態で示すレーザビーム122を発振するレーザ発振器は、その発振波長が、紫外光域乃至可視光域にあるものが選択される。レーザビームの122の波長は、単結晶半導体層115に吸収される波長とする。その波長は、レーザビームの表皮深さ(skin depth)などを考慮して決定することができる。例えば、波長は250nm以上700nm以下の範囲とすることができる。
このレーザ発振器には、パルス発振レーザまたはパルス照射することが可能なレーザ発振器が好ましい。パルス発振レーザは、繰り返し周波数10MHz未満、パルス幅10n秒以上500n秒以下とすることが好ましい。代表的なパルス発振レーザは、400nm以下の波長のビームを発振するエキシマレーザである。パルス照射することが可能なレーザ発振器は、連続発振するレーザビームの照射を間欠的に行うことで、任意の周波数で選択的にレーザビームの照射を行うことにより、疑似的にパルス発振レーザと同様の効果を見込めるレーザ発振器のことをいう。レーザとして、例えば、繰り返し周波数10Hz〜300Hz、パルス幅25n秒、波長308nmのXeClエキシマレーザを用いることができる。また、レーザビームの走査において、1回のショットと次のショットとを一部重ねてオーバーラップさせてもよい。1回のショットと次のショットとを一部重ねてオーバーラップさせてレーザビームを照射することにより、部分的に単結晶の精製が繰り返し行われ、優れた特性を有する単結晶半導体層を得ることができる。
なおレーザビーム122を発振するレーザ発振器は、繰り返し周波数が10MHz未満のパルス発振レーザを用いることが好ましい。本発明において、発振周波数が10MHzよりも高いパルスレーザを用いると、単結晶半導体層115が溶融してから固化するまでの時間よりもパルス間隔が短くなり、常に単結晶半導体層115を溶融状態にてとどめてしまう。そして、オーバーラップさせてレーザビームが照射される領域においては、単結晶半導体層の上面から接合層との界面まで完全に溶融され、液相状態になってしまい、再結晶化をさせた際に結晶粒界が生じる原因ともなりえる。そのため、本発明においてはレーザビームを単結晶半導体層表面にオーバーラップさせて照射する場合、単結晶半導体層116が溶融してから固化するまでの時間をあけて、次のレーザビームを照射することが好ましい。
なお単結晶半導体層115を部分溶融させるためのレーザビーム122のエネルギー密度の取りうる範囲は、レーザビーム122の波長、レーザビーム122の表皮深さ、単結晶半導体層115の膜厚などを考慮して、単結晶半導体層115が完全に溶融しない程度のエネルギー密度とするものである。例えば、単結晶半導体層115の膜厚が大きい場合には、単結晶半導体層115を完全に溶融するまでのエネルギーも大きいため、レーザビーム122のエネルギー密度の範囲を大きくとることができる。また、単結晶半導体層115の膜厚が小さい場合には、単結晶半導体層115を完全に溶融するまでのエネルギーも小さくなるため、レーザビーム122のエネルギー密度を小さくすることが望ましい。なお、単結晶半導体層115を加熱状態でレーザビーム122を照射する場合には、部分溶融に必要なエネルギー密度の範囲の上限の値を小さくすることが、単結晶半導体層115が完全に溶融してしまうことを防ぐためにも好ましい。
レーザビーム122の照射の雰囲気は、雰囲気を制御しない大気雰囲気でも、酸素が少ない不活性気体雰囲気のいずれでも、単結晶半導体層115の結晶性の回復および平坦化の効果があることが確認されている。また、大気雰囲気よりも不活性気体雰囲気が好ましいことが確認されている。窒素などの不活性雰囲気のほうが、大気雰囲気よりも単結晶半導体層116の平坦性を向上させる効果が高く、結晶欠陥の減少および平坦化を実現するためのレーザビーム122の使用可能なエネルギー密度の範囲が広くなる。
不活性気体雰囲気中でレーザビーム122を照射するには、気密性のあるチャンバー内でレーザビーム122を照射すればよい。このチャンバー内に不活性気体を供給することで、不活性気体雰囲気中で、レーザビーム122を照射することができる。チャンバーを用いない場合は、単結晶半導体層115におけるレーザビーム122の被照射面に不活性気体を吹き付けながら、その被照射面にレーザビーム122を照射することで、不活性気体雰囲気でのレーザビーム122の照射を実現することができる。
不活性気体には、窒素(N2)またはアルゴンやキセノンなどの希ガスを用いることができる。また、不活性気体の酸素濃度は10ppm以下であることが好ましい。
また、レーザビーム122を光学系に通過させて、レーザビーム122の断面形状を線状または矩形状にすることが好ましい。好ましくは、レーザビームの走査方向の幅を10μm以上とする線状または矩形状の断面形状を有せしめることが好ましい。このことにより、スループット良く、かつレーザビーム122の照射を行うことができる。なお本発明においては、単結晶半導体基板から分離された単結晶半導体層の表面及び深さ方向の一部の領域を溶融することで、溶融せずに残った単結晶半導体層の面方位をもとにして再結晶化するものであるため、レーザビーム内のエネルギー密度にばらつきが生じたとしても、最も高いエネルギー密度が照射される単結晶半導体層の溶融が接合層界面まで達していなければよい。
レーザビーム122を単結晶半導体層115に照射する前に、単結晶半導体層115の表面に形成されている自然酸化膜などの酸化膜を除去する処理を行うことが好ましい。それは、単結晶半導体層115表面に酸化膜が残存した状態で、レーザビーム122を照射しても、平坦化の効果が十分に得られないからである。酸化膜の除去処理は、フッ酸水溶液で単結晶半導体層115を処理することで行うことができる。フッ酸による処理は、単結晶半導体層115の表面が撥水性を示すまで行うことが望ましい。撥水性があることで、単結晶半導体層115から酸化膜が除去されたことが確認できる。
次に、図面を参照して、単結晶半導体層115を加熱しながら、レーザビーム122を照射するためのレーザ照射装置について説明する。図12はレーザ照射装置の構成の一例を説明する図面である。
図12に示すように、レーザ照射装置は、レーザビーム300を発振するレーザ発振器301と、被処理物302を配置するステージ303を有する。レーザ発振器301にはコントローラ304が接続されている。コントローラ304の制御により、レーザ発振器301から発振するレーザビーム300のエネルギーや、繰り返し周波数などを変化させることができる。また、ステージ303には、抵抗加熱装置など加熱装置が設けられており、被処理物302を加熱できるようになっている。
ステージ303はチャンバー306の内部に設けられている。ステージ303はチャンバー306内部で移動可能に設けられている。矢印307は、ステージ303の移動方向を示す矢印である。
チャンバー306の壁には、レーザビーム300をチャンバー306内部に導くための窓308が設けられている。窓308は石英などレーザビーム300に対する透過率の高い材料で形成される。また、チャンバー306の内部の雰囲気を制御するため、気体供給装置に接続される気体供給口309、および排気装置に連結された排気口310が、それぞれ、チャンバー306に設けられている。
レーザ発振器301とステージ303の間には、レンズやミラーなどを含む光学系311が配置されている。光学系311はチャンバー306外部に設けられている。レーザ発振器301から射出されたレーザビーム300は、光学系311により、そのエネルギー分布が均一化され、かつその断面形状が線状または矩形状に成形される。光学系311を通過したレーザビーム300は、窓308を通り、チャンバー306内部に入射し、ステージ303上の被処理物302に照射される。ステージ303の加熱装置により被処理物302を加熱し、かつステージ303を移動しながら、レーザビーム300を被処理物302に照射する。また、気体供給口309から窒素ガスなどの不活性気体を供給することで、不活性気体雰囲気でのレーザビーム300の照射を行うことができる。
また、図12に示すレーザ照射装置の構成に限定されず、例えば図13に示すレーザ照射装置を用いてもよい。図13において図12と同一の箇所には同一の符号を用いる。図13においては、被処理物302である支持基板を浮上させ、基板の搬送を行うステージ393の例を示している。大面積のガラス基板においては、基板の自重による撓みが問題となるため、搬送にガスの気流を用いる。気体貯蔵装置398に貯蔵されている窒素ガスが気体供給装置399によりステージ393の複数の開口に供給される。気体供給装置399では、窒素ガスの流量、圧力が調節され、被処理物302が浮上するように、窒素ガスを供給する。窒素ガスは、気体加熱装置390を通過することで、加熱されてステージ393の開口に供給される。ここでは図示しないが、気体供給装置399とは別の気体供給装置を複数設けて、それらとそれぞれ接続されるステージ開口を別途ステージ393に設け、その開口への流量を調節することで、被処理物302を移動させる。気体を吹きつけると被処理物302は冷却されるため、気体加熱装置390を通過させることで加熱されたガスを用いて被処理物302を浮上または移動させることが好ましい。また、ステージ393を加熱することで開口から吹き出すガスを加熱してもよい。
図4(B)のレーザビーム122の照射工程は、次のように行うことができる。まず、単結晶半導体層115を1/100に希釈されたフッ酸水溶液で110秒間処理して、表面の酸化膜を除去する。次に、単結晶半導体層115が貼り付けられた支持基板100をレーザ照射装置のステージ上に配置する。ステージに設けられた抵抗加熱装置などの加熱手段により、単結晶半導体層115を230℃以上650℃以下の温度に加熱する。例えば、加熱温度を420℃とする。レーザビーム122のレーザ発振器として、XeClエキシマレーザ(波長:308nm、パルス幅:25n秒、繰り返し周波数60Hz)を用いる。光学系により、レーザビーム122の断面を300mm×0.34mmの線状に整形する。レーザビーム122を単結晶半導体層115に対して走査しながら、レーザビーム122を単結晶半導体層115に照射する。レーザビーム122の走査は、レーザ照射装置のステージを移動することで行うことができ、ステージの移動速度がレーザビームの走査速度に対応する。レーザビーム122の走査速度を調節して、単結晶半導体層115の同じ被照射領域にレーザビーム122が1〜20ショット照射されるようにする。このショット数は1以上10以下が好ましい。すなわち、1回のショットと次のショットとを一部重ねてオーバーラップさせてレーザビームを照射することにより、部分的に単結晶の精製が繰り返し行われ、優れた特性を有する単結晶半導体層を得ることができる。
単結晶半導体層115にレーザビーム122を照射する前に、単結晶半導体層115をエッチングすることができる。このエッチングにより、単結晶半導体層115の分離面に残っている損傷層113を除去することが好ましい。損傷層113を除去することで、レーザビーム122の照射による、表面の平坦化の効果、および結晶性の回復の効果を高めることができる。
このエッチングには、ドライエッチング法、またはウエットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法では、エッチングガスに、塩化硼素、塩化珪素または四塩化炭素などの塩化物ガス、塩素ガス、弗化硫黄、弗化窒素などの弗化物ガス、酸素ガスなどを用いることができる。ウエットエッチング法では、エッチング液に、エッチング液には、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide、略称;TMAH)溶液を用いることができる。
単結晶半導体層115にレーザビーム122を照射した後、単結晶半導体層116をエッチングして、薄膜化してもよい。単結晶半導体層116の厚さは、単結晶半導体層116から形成される素子の特性に合わせて決めることができる。支持基板100に貼り付けられた単結晶半導体層116の表面に、薄いゲート絶縁層を段差被覆性良く形成するには、単結晶半導体層116厚さは50nm以下とすることが望ましく、その厚さは50nm以下5nm以上とすればよい。
単結晶半導体層116を薄膜化するためのエッチングには、ドライエッチング法、またはウエットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法では、エッチングガスに、塩化硼素、塩化珪素または四塩化炭素などの塩化物ガス、塩素ガス、弗化硫黄、弗化窒素などの弗化物ガス、酸素ガスなどを用いることができる。ウエットエッチング法では、エッチング液に、エッチング液には、TMAH溶液を用いることができる。
図3(A)から図4(C)までの工程を700℃以下の温度で行うことができるため、支持基板100に耐熱温度が700℃以下のガラス基板を用いることが可能である。よって、安価なガラス基板を使用できるため、半導体基板10の材料コストを低減することができる。
なお、支持基板100にバッファ層101を形成することもできる。また、支持基板100の表面に密接して絶縁層を形成することもできる。図14は、支持基板100の断面図であり、バッファ層101として多層構造の膜を形成している。バッファ層101は、支持基板100表面に接する絶縁層112と、絶縁層112上に接合層114とを有する。もちろん、支持基板100には、絶縁層112と接合層114の一方を形成することもできる。絶縁層112は、PECVD法で形成できる単層の絶縁膜、または2層以上の多層構造の絶縁膜でなる。絶縁層112にバリア層を形成する場合は、支持基板100に密着させて窒化酸化シリコン膜や窒化シリコン膜などのバリア層を形成し、バリア層の上に酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜を形成する。このような積層構造により、単結晶半導体層116が不純物を効果的に汚染することを防止できる。
なお、本実施形態の方法を用いて、1枚の支持基板100に複数の単結晶半導体層116を貼り付けることもできる。支持基板100に図3(C)の構造の単結晶半導体基板110を複数枚貼り付ける。そして、図4(A)〜図4(C)の工程を行うことで、図15に示すように、複数の単結晶半導体層116が貼り付けられた支持基板100でなる半導体基板20を作製することができる。
半導体基板20を作製するためには、支持基板100に300mm×300mm以上のガラス基板を用いることが好ましい。大面積ガラス基板として、液晶パネルの製造用に開発されたマザーガラス基板が好適である。マザーガラス基板としては、例えば、第3世代(550mm×650mm)、第3.5世代(600mm×720mm)、第4世代(680mm×880mm、または730mm×920mm)、第5世代(1100mm×1300mm)、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)などのサイズの基板が知られている。
マザーガラス基板のような大面積な基板を支持基板100として用いることで、SOI基板の大面積化が実現できる。SOI基板の大面積化が実現すれば、1枚のSOI基板から複数のIC、LSI等のチップを製造することができ、1枚の基板から製造されるチップ数が増加するので、生産性を飛躍的に向上させることができる。
図15の半導体基板20のように、ガラス基板のような撓みやすく、脆い支持基板の場合、1枚の支持基板に貼り付けられた複数の単結晶半導体層を、研磨処理で平坦化することは極めて困難である。本実施形態では、この平坦化処理をレーザビーム122の照射処理で行うため、支持基板100を損壊させるような力を加えることなく、かつ歪み点を超える温度で支持基板100を加熱することなく、1枚の支持基板100に固定された単結晶半導体層115の平坦化を可能にする。すなわち、レーザビームの照射処理は、図15のような複数の単結晶半導体層を固定した半導体基板20の作製工程においては、非常に重要な処理である。すなわち、本実施形態は、レーザビームの照射処理の革新的な使用方法を開示するものである。
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例に記載した構成と組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
単結晶半導体層115が分離された単結晶半導体基板117は再生処理して、単結晶半導体基板110として再利用することができる。本実施形態では、再生処理方法について説明する。
図4(A)に示すように、単結晶半導体基板117の周囲には、支持基板100に貼り付けられなかった部分が残っている。この部分に、支持基板100に貼り付けられなかった、絶縁膜112b、絶縁膜112aおよび接合層114が残っている。
まず、絶縁膜112b、絶縁膜112aおよび接合層114を除去するエッチング処理を行う。例えば、これらの膜が、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、または窒化酸化シリコンなどで形成されている場合、フッ酸水溶液を用いたウエットエッチング処理で、絶縁膜112b、絶縁膜112aおよび接合層114を除去することができる。
次に、単結晶半導体基板117をエッチング処理して、その周囲の凸部および単結晶半導体層115の分離面を除去する。単結晶半導体基板117のエッチング処理はウエットエッチング処理が好ましく、エッチング液には、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide、略称;TMAH)溶液を用いることができる。
単結晶半導体基板117をエッチング処理した後、その表面を研磨し、表面を平坦化する。研磨処理には、機械研磨、または化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、略称:CMP)などを用いることができる。単結晶半導体基板の表面を平滑にするため、1μm〜10μm程度研磨することが望ましい。研磨後は、単結晶半導体基板表面に研磨粒子などが残るため、フッ酸洗浄やRCA洗浄を行う。
以上の工程を経ることにより単結晶半導体基板117を図2に示す単結晶半導体基板110として再利用することができる。単結晶半導体基板117を再利用することで、半導体基板10の材料コストを削減することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例に記載した構成と組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
図16〜図18を用いて、本実施形態では、半導体基板10を用いた半導体装置の作製方法の一例として、トランジスタを作製する方法を説明する。複数のトランジスタを組み合わせることで、各種の半導体装置が形成される。以下、図16〜図18の断面図を用いて、トランジスタの作製方法を説明する。なお、本実施形態では、nチャネル型のトランジスタとpチャネル型のトランジスタを同時に作製する方法を説明する。
図16(A)に示すように、支持基板100上の単結晶半導体層をエッチングにより所望の形状に加工する(パターニングする)ことで、半導体膜603と半導体膜604とを形成する。半導体膜603からp型トランジスタが形成され、半導体膜604からn型トランジスタが形成される。
半導体膜603と半導体膜604には、閾値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物、若しくはリン、砒素などのn型不純物元素が添加されていてもよい。例えば、p型を付与する不純物元素としてボロンを添加する場合、5×1016cm−3以上1×1017cm−3以下の濃度で添加すればよい。閾値電圧を制御するための不純物の添加は、単結晶半導体層116に対して行ってもよいし、半導体膜603と半導体膜604に対して行ってもよい。また、閾値電圧を制御するための不純物の添加を、単結晶半導体基板110に対して行ってもよい。若しくは、単結晶半導体基板110に不純物の添加した上で、閾値電圧を微調整するために、単結晶半導体層116に対して、または半導体膜603および半導体膜604に対しても行うようにしてもよい。
例えば、単結晶半導体基板110に弱いp型の単結晶シリコン基板を用いた場合を例に、この不純物元素の添加方法の一例を説明する。まず、単結晶半導体層116をエッチングする前に、単結晶半導体層116全体にボロンを添加する。このボロンの添加は、p型トランジスタの閾値電圧を調節することを目的とする。ドーパントガスにB2H6を用い、1×1016〜1×1017/cm3の濃度でボロンを添加する。ボロンの濃度は、活性化率などを考慮して決定される。たとえば、ボロンの濃度は6×1016/cm3とすることができる。次に、単結晶半導体層116をエッチングして、半導体膜603、604を形成する。そして、半導体膜604のみにボロンを添加する。この2回目のボロンの添加は、n型トランジスタの閾値電圧を調節することを目的とする。ドーパントガスにB2H6を用い、1×1016〜1×1017/cm3の濃度でボロンを添加する。たとえば、ボロンの濃度は6×1016/cm3とすることができる。
なお、単結晶半導体基板110に、p型トランジスタ又はn型トランジスタの一方の閾値電圧に適した導電型および抵抗を有する基板が用いることができる場合は、閾値制御をするための不純物添加の工程を1回にすることができ、半導体膜603または半導体膜604の一方に閾値電圧の制御のための不純物元素を添加すればよい。
次に図16(B)に示すように、半導体膜603と半導体膜604を覆うように、ゲート絶縁膜606を形成する。ゲート絶縁膜606は、プロセス温度を350℃以下で、PECVD法で酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜または窒化シリコン膜などを1層、または2層以上積層して形成することができる。また、高密度プラズマ処理を行うことにより半導体膜603と半導体膜604の表面を酸化または窒化することで形成した酸化物膜または窒化物膜をゲート絶縁層とすることができる。高密度プラズマ処理は、例えばHe、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスとを用いて行う。この場合プラズマの励起をマイクロ波により行うことで、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。このような高密度のプラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化または窒化することにより、1〜20nm、望ましくは5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に接するように形成される。厚さ5〜10nmの絶縁膜をゲート絶縁膜606として用いることができる。
次に図16(C)に示すように、ゲート絶縁膜606上に導電膜を形成した後、該導電膜を所定の形状に加工(パターニング)することで、半導体膜603と半導体膜604の上方に電極607を形成する。導電膜の形成にはCVD法、スパッタリング法等を用いることができる。導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等を用いることができる。また上記金属を主成分とする合金を用いても良いし、上記金属を含む化合物を用いてもよい。または、半導体膜に導電性を付与するリン等の不純物元素をドーピングした、多結晶珪素などの半導体を用いて形成してもよい。
2つの導電膜の組み合わせとして、1層目に窒化タンタルまたはタンタル(Ta)を、2層目にタングステン(W)を用いることができる。上記例の他に、窒化タングステンとタングステン、窒化モリブデンとモリブデン、アルミニウムとタンタル、アルミニウムとチタン等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、2層の導電膜を形成した後の工程において、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層の導電膜の組み合わせとして、例えば、n型を付与する不純物がドーピングされた珪素とニッケルシリサイド、n型を付与する不純物がドーピングされたSiとWSix等も用いることができる。
また、本実施形態では電極607を単層の導電膜で形成しているが、本実施形態はこの構成に限定されない。電極607は積層された複数の導電膜で形成されていてもよい。3つ以上の導電膜を積層する3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
なお電極607を形成する際に用いるマスクとして、レジストの代わりに酸化珪素、窒化酸化珪素等をマスクとして用いてもよい。この場合、酸化珪素、窒化酸化珪素等をエッチングする工程が加わるが、エッチング時におけるマスクの膜減りがレジストよりも少ないため、所望の幅を有する電極607を形成することができる。またマスクを用いずに、液滴吐出法を用いて選択的に電極607を形成してもよい。
なお液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出または噴出することで所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。
また電極607は、導電膜を形成後、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いる。エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、所望のテーパー形状を有するようにエッチングすることができる。また、テーパー形状は、マスクの形状によっても角度等を制御することができる。なお、エッチング用ガスとしては、塩素、塩化硼素、塩化珪素もしくは四塩化炭素などの塩素系ガス、四弗化炭素、弗化硫黄もしくは弗化窒素などのフッ素系ガス又は酸素を適宜用いることができる。
次に図16(D)に示すように、電極607をマスクとして一導電型を付与する不純物元素を半導体膜603、半導体膜604に添加する。本実施形態では、半導体膜603にp型を付与する不純物元素(例えばボロン)を添加し、半導体膜604にn型を付与する不純物元素(例えばリンまたはヒ素)を添加する。この工程は、半導体膜603にソース領域、またはドレイン領域となる不純物領域を形成し、半導体膜604には、高抵抗領域として機能する不純物領域を形成するための工程である。
なお、p型を付与する不純物元素を半導体膜603に添加するときには、p型を付与する不純物元素の添加が添加されないように、半導体膜604はマスク等で覆う。他方、n型を付与する不純物元素を半導体膜604に添加するときには、n型を付与する不純物元素が添加されないように、半導体膜603はマスク等で覆う。或いは、先に半導体膜603および半導体膜604にp型もしくはn型のいずれか一方を付与する不純物元素を添加した後、一方の半導体膜のみに選択的により高い濃度でp型もしくはn型のうちの他方を付与する不純物元素のいずれか一方を添加するようにしてもよい。この不純物の添加工程によりにより、半導体膜603にp型の高濃度不純物領域608が形成され、半導体膜604には、n型の低濃度不純物領域609が形成される。また、半導体膜603、604において、それぞれ、電極607と重なる領域はチャネル形成領域610、611となる。
次に、図17(A)に示すように、電極607の側面にサイドウォール612を形成する。サイドウォール612は、例えば、ゲート絶縁膜606および電極607を覆うように新たに絶縁膜を形成し、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより、新たに形成された該絶縁膜を部分的にエッチングすることで形成することができる。この異方性エッチングにより、新たに形成された絶縁膜が部分的にエッチングされて、電極607の側面にサイドウォール612が形成される。なおこの異方性エッチングにより、ゲート絶縁膜606も部分的にエッチングされる。サイドウォール612を形成するための絶縁膜は、PECVD法やスパッタリング法等により、シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、1層または2層以上積層して形成することができる。本実施形態では、膜厚100nmの酸化シリコン膜をPECVD法によって形成する。酸化シリコン膜のエッチングガスには、CHF3とヘリウムの混合ガスを用いることができる。なお、サイドウォール612を形成する工程は、これらに限定されるものではない。
次に図17(B)に示すように、電極607およびサイドウォール612をマスクとして半導体膜604にn導電型を付与する不純物元素を添加する。この工程は、半導体膜604にソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域を形成するための工程である。この工程では、半導体膜603はマスク等で覆い、半導体膜604にn型を付与する不純物元素を添加する。
上記不純物元素の添加により、電極607、サイドウォール612がマスクとなり、半導体膜604に一対のn型の高濃度不純物領域614が自己整合的に形成される。次に、半導体膜603を覆うマスクを除去した後、加熱処理を行い、半導体膜603に添加したp型を付与する不純物元素、および半導体膜604に添加したn型を付与する不純物元素を活性化する。図16(A)〜図17(B)に示す一連の工程により、pチャネル型トランジスタ617、およびnチャネル型トランジスタ618が形成される。
なお、ソースおよびドレインの抵抗を下げるために、半導体膜603のp型高濃度不純物領域608、半導体膜604の一対のn型高濃度不純物領域614をシリサイド化して、シリサイド層を形成してもよい。シリサイド化は、半導体膜603、604に金属を接触させ、加熱処理によって、半導体層中のシリコンと金属とを反応させてシリサイド化合物を生成する。この金属にはコバルトまたはニッケルが好ましく、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、Ha(ハフニウム)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ネオジム(Nd)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。半導体膜603、半導体膜604の厚さが薄い場合には、この領域の半導体膜603、半導体膜604の底部までシリサイド反応を進めてもよい。シリサイド化のための加熱処理には、抵抗加熱炉、RTA装置、マイクロ波加熱装置、またはレーザ照射装置を用いることができる。
次に図17(C)に示すように、pチャネル型トランジスタ617、nチャネル型トランジスタ618を覆うように絶縁膜619を形成する。絶縁膜619として、水素を含む絶縁膜を形成する。本実施形態では、モノシラン、アンモニア、N2Oを含むソースガスを用いて、PECVD法で形成した膜厚600nm程度の窒化酸化シリコン膜を形成する。これは、水素を絶縁膜619に含ませることで、絶縁膜619から水素を拡散させて、半導体膜603、半導体膜604の未結合手を終端させることができるからである。また、絶縁膜619を形成することで、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がpチャネル型トランジスタ617、nチャネル型トランジスタ618へ侵入するのを防ぐことができる。具体的に絶縁膜619として、窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素などを用いるのが望ましい。
次に、pチャネル型トランジスタ617、nチャネル型トランジスタ618を覆うように、絶縁膜619上に絶縁膜620を形成する。絶縁膜620は、アクリル、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ等を用いることができる。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、またはアリール基のうち少なくとも1種を有していてもよい。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜620を形成してもよい。絶縁膜620は、その表面をCMP法などにより平坦化させてもよい。
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち、少なくとも1種を有していてもよい。
絶縁膜620の形成には、その材料に応じて、CVD法、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
次に、窒素雰囲気中で、400℃〜450℃程度(例えば、410℃)の加熱処理を1時間程度行い、絶縁膜619から水素を拡散させ、半導体膜603および半導体膜604の未結合手を水素で終端する。なお、単結晶半導体層116は、非晶質シリコン膜を結晶化した多結晶シリコン膜とくらべて非常に欠陥密度が小さいため、この水素による終端処理を短時間にすることができる。
次に、図18に示すように、半導体膜603と半導体膜604がそれぞれ一部露出するように絶縁膜619および絶縁膜620にコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの形成は、CHF3とHeの混合ガスを用いたドライエッチング法で行うことができるが、これに限定されるものではない。そして、該コンタクトホールを介して半導体膜603と半導体膜604に接する導電膜621、622を形成する。導電膜621はpチャネル型トランジスタ617のp型高濃度不純物領域608に接続されている。導電膜622はnチャネル型トランジスタ618の一対のn型高濃度不純物領域614に接続されている。
導電膜621、622は、CVD法やスパッタリング法等により形成することができる。具体的に導電膜621、622として、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)、炭素(C)、珪素(Si)等を用いることができる。また上記金属を主成分とする合金を用いても良いし、上記金属を含む化合物を用いてもよい。導電膜621、622は、上記金属が用いられた膜を単層または複数積層させて形成することができる。
アルミニウムを主成分とする合金の例として、アルミニウムを主成分としニッケルを含むものが挙げられる。また、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素または珪素の一方または両方とを含むものも例として挙げることができる。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜621、622を形成する材料として最適である。特にアルミニウムシリコン(Al−Si)膜の形状をエッチングで加工する場合は、エッチング用のマスクを形成する際のレジストベークにおけるヒロックの発生をアルミニウム膜に比べて防止することができる。また、珪素(Si)の代わりに、アルミニウム膜に0.5%程度のCuを混入させてもよい。
導電膜621、622は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデンまたはモリブデンの窒化物を用いて形成された膜である。アルミニウムシリコン(Al−Si)膜を間に挟むようにバリア膜を形成すると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生をより防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンを用いてバリア膜を形成すると、半導体膜603と半導体膜604上に薄い酸化膜ができていたとしても、バリア膜に含まれるチタンがこの酸化膜を還元し、導電膜621、622と、半導体膜603および半導体膜604とがそれぞれ良好なコンタクトをとることができる。またバリア膜を複数積層するようにして用いてもよい。その場合、例えば、導電膜621、622を下層からTi、窒化チタン、Al−Si、Ti、窒化チタンの5層構造とすることができる。
また導電膜621、622として、WF6ガスとSiH4ガスから化学気相成長法で形成したタングステンシリサイドを用いてもよい。また、WF6を水素還元して形成したタングステンを、導電膜621、622として用いてもよい。
図18には、pチャネル型トランジスタ617およびnチャネル型トランジスタ618の上面図と、この上面図の切断線A−A’に沿った断面図が共に示されている。なお、図18の上面図では導電膜621、622、絶縁膜619、絶縁膜620を省略した図を示している。
本実施形態では、pチャネル型トランジスタ617とnチャネル型トランジスタ618が、それぞれゲートとして機能する電極607を1つずつ有する場合を例示しているが、本発明はこの構成に限定されない。本発明で作製されるトランジスタは、ゲートとして機能する電極を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造のトランジスタとすることができる。また、このトランジスタは、ゲートプレナー構造のトランジスタとすることができる。
なお、本発明の半導体基板が有する半導体層は、単結晶半導体基板を薄片化した層であるため、配向のばらつきがない。そのため、半導体基板を用いて作製される複数のトランジスタの閾値電圧や移動度などの電気的特性のばらつきを小さくすることができる。また、結晶粒界が殆どないため、結晶粒界に起因するリーク電流を抑え、また、半導体装置の省電力化を実現することができる。したがって、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
レーザ結晶化により得られる多結晶の半導体膜からトランジスタを作製する場合、高い移動度を得るために、レーザビームの走査方向を考慮して、トランジスタの半導体膜のレイアウトを決める必要があったが、本発明の半導体基板はその必要がないため、半導体装置の設計における制約が少ない。
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例に記載した構成と組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本実施の形態では、半導体基板10を用いた半導体装置の作製方法の一例として、上記実施の形態3とは異なるトランジスタを作製する方法について説明する。以下、図38〜図40の断面図を用いて、トランジスタの作製方法を説明する。なお、本実施形態では、nチャネル型のトランジスタとpチャネル型のトランジスタを同時に作製する方法を説明する。
まず図38(A)に示すように、支持基板100上の単結晶半導体層をエッチングにより所望の形状に加工する(パターニングする)ことで、半導体膜651と半導体膜652とを形成する。半導体膜651からp型トランジスタが形成され、半導体膜652からn型トランジスタが形成される。
半導体膜651と半導体膜652には、閾値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物、若しくはリン、砒素などのn型不純物元素が添加されていてもよい。例えば、p型を付与する不純物元素としてボロンを添加する場合、5×1016cm−3以上1×1017cm−3以下の濃度で添加すればよい。閾値電圧を制御するための不純物の添加は、単結晶半導体層116に対して行ってもよいし、半導体膜651と半導体膜652に対して行ってもよい。また、閾値電圧を制御するための不純物の添加を、単結晶半導体基板110に対して行ってもよい。若しくは、単結晶半導体基板110に不純物の添加した上で、閾値電圧を微調整するために、単結晶半導体層116に対して、または半導体膜651および半導体膜652に対しても行うようにしてもよい。
例えば、単結晶半導体基板110に弱いp型の単結晶シリコン基板を用いた場合を例に、この不純物元素の添加方法の一例を説明する。まず、単結晶半導体層116をエッチングする前に、単結晶半導体層116全体にボロンを添加する。このボロンの添加は、p型トランジスタの閾値電圧を調節することを目的とする。ドーパントガスにB2H6を用い、1×1016〜1×1017/cm3の濃度でボロンを添加する。ボロンの濃度は、活性化率などを考慮して決定される。たとえば、ボロンの濃度は6×1016/cm3とすることができる。次に、単結晶半導体層116をエッチングして、半導体膜603、604を形成する。そして、半導体膜604のみにボロンを添加する。この2回目のボロンの添加は、n型トランジスタの閾値電圧を調節することを目的とする。ドーパントガスにB2H6を用い、1×1016〜1×1017/cm3の濃度でボロンを添加する。たとえば、ボロンの濃度は6×1016/cm3とすることができる。
次に、図38(B)に示すように、半導体膜651、半導体膜652上に、ゲート絶縁層653、ゲート電極を形成する導電層654、及び導電層655を順に形成する。
ゲート絶縁層653は、CVD法、スパッタリング法、又はALE法等により、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化シリコン層、又は窒化酸化シリコン層等の絶縁層を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。
また、ゲート絶縁層653は、半導体膜651、半導体膜652に対してプラズマ処理を行うことにより、表面を酸化又は窒化することで形成してもよい。この場合のプラズマ処理はマイクロ波(代表的な周波数は2.45GHz)を用いて励起したプラズマによるプラズマ処理も含むものとする。例えばマイクロ波で励起され、電子密度が1×1011/cm3以上1×1013/cm3以下、且つ電子温度が0.5eV以上1.5eV以下のプラズマを用いた処理も含むものとする。このようなプラズマ処理を適用して半導体層表面の酸化処理又は窒化処理を行うことにより、薄くて緻密な膜を形成することが可能である。また、半導体層表面を直接酸化するため、界面特性の良好な膜を得ることができる。また、ゲート絶縁層653は、CVD法、スパッタリング法、又はALE法により形成した膜に対してマイクロ波を用いたプラズマ処理を行うことで形成してもよい。
なお、ゲート絶縁層653は半導体層との界面を形成するため、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層が界面となるように形成することが好ましい。これは、窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層のように酸素よりも窒素の含有量が多い膜を形成すると、トラップ準位が形成され界面特性が問題となる恐れがあるからである。
ゲート電極を形成する導電層は、タンタル、窒化タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、又はニオブ等から選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料を用いて、CVD法やスパッタリング法により、単層膜又は積層膜で形成する。積層膜とする場合は、異なる導電材料を用いて形成することもできるし、同一の導電材料を用いて形成することもできる。本形態では、ゲート電極を形成する導電層を、導電層654及び導電層655の2層構造で形成する例を示す。
ゲート電極を形成する導電層を、導電層654及び導電層655の2層の積層構造とする場合は、例えば、窒化タンタル層とタングステン層、窒化タングステン層とタングステン層、窒化モリブデン層とモリブデン層の積層膜を形成することができる。なお、窒化タンタル層とタングステン層との積層膜とすると、両者のエッチングの選択比が取れやすく好ましい。なお、例示した2層の積層膜において、先に記載した膜がゲート絶縁層653上に形成される膜とすることが好ましい。ここでは、導電層654は、20nm乃至100nmの厚さで形成する。導電層655は、100nm乃至400nmの厚さで形成する。なお、ゲート電極は3層以上の積層構造とすることもでき、その場合は、モリブデン層とアルミニウム層とモリブデン層の積層構造を採用するとよい。
次に、導電層655上にレジストマスク656、レジストマスク657を選択的に形成する。そして、レジストマスク656、レジストマスク657を用いて第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理を行う。
まず、レジストマスク656、レジストマスク657を用いた第1のエッチング処理により導電層654及び導電層655を選択的にエッチングして、半導体膜651上に、導電層658および導電層659を形成し、半導体膜652上に導電層660及び導電層661を形成する(図38(C)参照)。
次に、レジストマスク656、レジストマスク657を用いた第2のエッチング処理により導電層659及び導電層661の端部をエッチングして、導電層662及び導電層663を形成する(図38(D)参照)。なお、導電層662及び導電層663は導電層658及び導電層660よりも幅(キャリアがチャネル形成領域を流れる方向(ソース領域とドレイン領域を結ぶ方向)に平行な方向の長さ)が小さくなるように形成する。このようにして、導電層658及び導電層662からなる2層構造のゲート電極665、並びに導電層660及び導電層663からなる2層構造のゲート電極666を形成する。
第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理に適用するエッチング法は適宜選択すればよいが、エッチング速度を向上するにはECR(Electron Cyclotron Resonance)方式やICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)方式などの高密度プラズマ源を用いたドライエッチング装置を用いる。第1のエッチング処理および第2のエッチング処理のエッチング条件を適宜調節することで、導電層658、660、及び導電層662、663の側面を所望のテーパー形状とすることができる。所望のゲート電極665、666を形成した後、レジストマスク656、657は除去すればよい。
次に、ゲート電極665、ゲート電極666をマスクとして、半導体膜651及び半導体膜652に不純物元素668を添加する。半導体膜651には、導電層658及び導電層662をマスクとして自己整合的に一対の不純物領域669が形成される。また、半導体膜652には、導電層660及び導電層663をマスクとして自己整合的に一対の領域670が形成される(図39(A)参照)。
不純物元素668としては、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物元素、若しくはリン、砒素などのn型不純物元素を添加する。ここでは、nチャネル型トランジスタの高抵抗領域を形成するため、不純物元素668としてn型不純物元素であるリンを添加する。また、不純物領域669に、1×1017atoms/cm3乃至5×1018atoms/cm3程度の濃度でリンが含まれるように、リンを添加することとする。
次に、nチャネル型トランジスタのソース領域、およびドレイン領域となる不純物領域を形成するため、半導体膜651を部分的に覆うようにレジストマスク671を形成し、半導体膜652を覆うようにレジストマスク672を選択的に形成する。そして、レジストマスク671をマスクとして、半導体膜651に不純物元素673を添加して、半導体膜651に一対の不純物領域675を形成する(図39(B)参照)。
不純物元素673としては、n型不純物元素であるリンを半導体膜651に添加し、添加される濃度を5×1019atoms/cm3乃至5×1020atoms/cm3ようにすることとする。不純物領域675はソース領域又はドレイン領域として機能する。不純物領域675は導電層658及び導電層662と重ならない領域に形成される。
また、半導体膜651において、不純物領域676は、不純物元素673が添加されなかった、不純物領域669である。不純物領域676は、不純物領域675よりも不純物濃度が高く、高抵抗領域またはLDD領域として機能する。半導体膜651において、導電層658および導電層662と重なる領域にチャネル形成領域677が形成される。
なお、LDD領域とは、チャネル形成領域と、高濃度に不純物元素を添加して形成するソース領域またはドレイン領域との間に形成する低濃度に不純物元素を添加した領域のことである。LDD領域を設けると、ドレイン領域近傍の電界を緩和してホットキャリア注入による劣化を防ぐという効果がある。また、ホットキャリアによるオン電流値の劣化を防ぐため、ゲート絶縁層を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた構造(「GOLD(Gate−drain Overlapped LDD)構造」とも呼ぶ)としてもよい。
次に、レジストマスク671及びレジストマスク672を除去した後、pチャネル型トランジスタのソース領域およびドレイン領域を形成するため、半導体膜651を覆うようにレジストマスク679を形成する。そして、レジストマスク679、導電層660及び導電層663をマスクとして不純物元素680を添加して、半導体膜652に一対の不純物領域681と、一対の不純物領域682と、チャネル形成領域683を形成する(図39(C)参照)。
不純物元素680は、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物元素が用いられる。ここではp型不純物元素である硼素を1×1020atoms/cm3乃至5×1021atoms/cm3程度含まれるように添加するものとする。
半導体膜652において、不純物領域681は導電層660及び導電層663と重ならない領域に形成され、ソース領域又はドレイン領域として機能する。不純物領域681に、ここではp型不純物元素である硼素を1×1020atoms/cm3乃至5×1021atoms/cm3程度含まれるようする。
不純物領域682は、導電層660と重なり、導電層663と重ならない領域に形成されており、不純物元素680が導電層660を貫通して、不純物領域670に添加された領域である。不純物領域670はn型の導電性を示すため、不純物領域682がp型の導電性を有するように、不純物元素673を添加する。不純物領域682に含まれる不純物元素673の濃度を調節することで、不純物領域682をソース領域又はドレイン領域として機能させることができる。または、LDD領域として機能させることもできる。
半導体膜652において、導電層660および導電層663と重なる領域にチャネル形成領域683が形成される。
次に、層間絶縁層を形成する。層間絶縁層は、単層構造又は積層構造で形成することができるが、ここでは絶縁層684及び絶縁層685の2層の積層構造で形成する(図40(A)参照)。
層間絶縁層としては、CVD法やスパッタリング法により、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化シリコン層、又は窒化酸化シリコン層等を形成することができる。また、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル若しくはエポキシ等の有機材料、シロキサン樹脂等のシロキサン材料、又はオキサゾール樹脂などを用いて、スピンコート法などの塗布法により形成することができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。有機基にフルオロ基を含んでも良い。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
例えば、絶縁層684として窒化酸化シリコン層を膜厚100nmで形成し、絶縁層685として酸化窒化シリコン層を膜厚900nmで形成する。また、絶縁層684及び絶縁層685を、プラズマCVD法を適用して連続成膜する。なお、層間絶縁層は3層以上の積層構造とすることもできる。また、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層又は窒化シリコン層と、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料、シロキサン樹脂等のシロキサン材料、又はオキサゾール樹脂を用いて形成した絶縁層との積層構造とすることもできる。
次に、層間絶縁層(本形態では絶縁層684及び絶縁層685)にコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールにソース電極又はドレイン電極として機能する導電層686を形成する(図40(B)参照)。
コンタクトホールは、半導体膜651に形成された不純物領域675、半導体膜652に形成された不純物領域681に達するように、絶縁層684及び絶縁層685に選択的に形成する。
導電層686は、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、ネオジムから選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金からなる単層膜または積層膜を用いることができる。例えば、当該元素を複数含む合金からなる導電層として、チタンを含有したアルミニウム合金、ネオジムを含有したアルミニウム合金などを形成することができる。また、積層膜とする場合、例えば、アルミニウム層若しくは上述したようなアルミニウム合金層を、チタン層で挟持する構成とすることができる。
図40(B)に示すように、単結晶半導体基板を用いて、nチャネル型トランジスタおよびpチャネル型トランジスタを作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例に記載した構成と組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
図19を用いて、本実施形態では、半導体基板10を用いた半導体装置の作製方法の一例としてトランジスタを作製する方法を説明する。複数の薄膜トランジスタを組み合わせることで、各種の半導体装置が形成される。なお、本実施形態では、nチャネル型のトランジスタとpチャネル型のトランジスタを同時に作製する方法を説明する。
図19(A)に示すように、支持基板100上に、バッファ層101、単結晶半導体層116が形成された半導体基板を用意する。バッファ層101は3層構造であり、バリア層となる絶縁膜112bを含んでいる。なお、図1に示す構成の半導体基板10を適用する例を示すが、本明細書で示すその他の構成の半導体基板も適用できる。
単結晶半導体層116には、nチャネル型電界効果トランジスタ及びpチャネル型電界効果トランジスタの形成領域に合わせて、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物元素、若しくはリン、砒素などのn型不純物元素を添加された不純物領域(チャネルドープ領域)を有している。
保護層804をマスクとしてエッチングを行い、露呈している単結晶半導体層116及びその下方のバッファ層101の一部を除去する。次いで、有機シランを用いて酸化シリコン膜をPECVD法で堆積する。この酸化シリコン膜は、単結晶半導体層116が埋め込まれるように厚く堆積する。次いで、単結晶半導体層116上に重なる酸化シリコン膜を研磨により除去した後、保護層804を除去して、素子分離絶縁層803を残存させる。素子分離絶縁層803により単結晶半導体層116は、素子領域805及び素子領域806に分離される(図19(B)参照。)。
次いで、第1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜上にゲート電極層808a、808bを形成し、ゲート電極層808a、808bをマスクとして第1の絶縁膜をエッチングしてゲート絶縁層807a、807bを形成する。
ゲート絶縁層807a、807bは酸化シリコン膜、若しくは酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁層として酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜なども用いることができる。ゲート絶縁層807a、807bは、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。例えば、亜酸化窒素(N2O)をArで1〜3倍(流量比)に希釈して、10〜30Paの圧力において3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して単結晶半導体層116(素子領域805、806)の表面を酸化若しくは窒化させる。この処理により1nm〜10nm(好ましくは2nm〜6nm)の絶縁膜を形成する。さらに亜酸化窒素(N2O)とシラン(SiH4)を導入し、10〜30Paの圧力において3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加してPECVD法により酸化窒化シリコン膜を形成してゲート絶縁層を形成する。固相反応と気相成長法による反応を組み合わせることにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁層を形成することができる。
また、ゲート絶縁層807a、807bとして、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどの高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層807に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。
ゲート電極層808a、808bは、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。ゲート電極層808、809はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層808a、808bとしてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。
次いで、ゲート電極層808a、808bを覆う第2の絶縁膜810を形成し、さらにサイドウォール構造の側壁絶縁層816a、816b、817a、817bを形成する。pチャネル型電界効果トランジスタ(pFET)となる領域の側壁絶縁層816a、816bは、nチャネル型電界効果トランジスタ(nFET)となる領域の側壁絶縁層817a、817bよりも幅を広くする。次いで、nチャネル型電界効果トランジスタとなる領域にヒ素(As)などを添加して浅い接合深さの第1の不純物領域820a、820bを形成し、pチャネル型電界効果トランジスタとなる領域にボロン(B)などを添加して浅い接合深さの第2の不純物領域815a、815bを形成する(図19(C)参照。)。
次いで、第2の絶縁膜810を部分的にエッチングしてゲート電極層808a、808bの上面と、第1の不純物領域820a、820b及び第2の不純物領域815a、815bとを露出させる。次いで、nチャネル型電界効果トランジスタとなる領域にAsなどをドーピングして深い接合深さの第3の不純物領域819a、819bを形成し、pチャネル型電界効果トランジスタとなる領域にBなどをドーピングして深い接合深さの第4の不純物領域824a、824bを形成する。次いで、活性化のための熱処理を行う。次いで、シリサイドを形成するための金属膜としてコバルト膜を成膜する。次いでRTAなどの熱処理(500℃、1分)を行い、コバルト膜に接する部分のシリコンをシリサイド化させ、シリサイド822a、822b、823a、823bを形成する。その後、コバルト膜を選択的に除去する。次いで、シリサイド化の熱処理よりも高い温度で熱処理を行い、シリサイド部分の低抵抗化を図る(図19(D)参照。)。素子領域806にはチャネル形成領域826が、素子領域805にはチャネル形成領域821が形成される。
次いで、層間絶縁層827を形成し、レジストからなるマスクを用いて層間絶縁層827に深い接合深さの第3の不純物領域819a、819bや深い接合深さの第4の不純物領域824a、824bにそれぞれ達するコンタクトホール(開口)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。
エッチング方法及び条件は、コンタクトホールを形成する層間絶縁層827の材料によって適宜設定すればよい。ウエットエッチング、ドライエッチング、またはその両方を適宜用いることができる。本実施の形態ではドライエッチングを用いる。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。ウエットエッチングのエッチャントは、フッ素水素アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む混合溶液のようなフッ酸系の溶液を用いるとよい。
コンタクトホールを覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層としても機能する配線層を形成する。配線層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、及びSi、Ge、又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
本実施の形態では、層間絶縁層827に形成されたコンタクトホールを埋めるように埋込配線層として配線層840a、840b、840c、840dを形成する。埋込型の配線層840a、840b、840c、840dは、コンタクトホールを埋め込む十分な膜厚の導電膜を形成し、コンタクトホール部だけに導電膜を残し、不要な導電膜部分を除去して形成する。
埋込型の配線層840a、840b、840c、840d上に絶縁層828及び引き回し配線層として配線層841a、841b、841cを形成する。
以上の工程で支持基板100に接合された単結晶半導体層116の素子領域806を用いてnチャネル型電界効果トランジスタ832を、素子領域805を用いてpチャネル型電界効果トランジスタ831が作製できる(図19(E)参照。)。なお、本実施の形態において、nチャネル型電界効果トランジスタ832及びpチャネル型電界効果トランジスタ831は配線層842bによって電気的に接続されている。
このようにnチャネル型電界効果トランジスタ832とpチャネル型電界効果トランジスタ831を相補的に組み合わせることによってCMOS構造を構成する。
このCMOS構造上に、さらに配線や素子などを積層することでマイクロプロセッサなどの半導体装置を作製することができる。なお、マイクロプロセッサは、演算回路(Arithmetic logic unit。ALUともいう。)、演算回路制御部(ALU Controller)、命令解析部(Instruction Decoder)、割り込み制御部(Interrupt Controller)、タイミング制御部(Timing Controller)、レジスタ(Register)、レジスタ制御部(Register Controller)、バスインターフェース(Bus I/F)、読み出し専用メモリ、及びメモリインターフェース(ROM I/F)を有している。
マイクロプロセッサは、CMOS構造を含む集積回路が形成されているので、処理速度の高速化のみならず低消費電力化を図ることができる。
トランジスタの構造は本実施形態に限定されず、その構造はチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例に記載した構成と組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
実施形態3乃至5では、半導体装置の作製方法の一例として、トランジスタの作製方法を説明したが、半導体膜付き基板に、トランジスタと共に容量、抵抗など各種の半導体素子を形成することで、高付加価値の半導体装置を作製することができる。本実施形態では、図面を参照しながら半導体装置の具体的な態様を説明する。
まず、半導体装置の一例として、マイクロプロセッサについて説明する。図20はマイクロプロセッサ200の構成例を示すブロック図である。
マイクロプロセッサ200は、演算回路201(Arithmetic logic unit。ALUともいう。)、演算回路制御部202(ALU Controller)、命令解析部203(Instruction Decoder)、割り込み制御部204(Interrupt Controller)、タイミング制御部205(Timing Controller)、レジスタ206(Register)、レジスタ制御部207(Register Controller)、バスインターフェース208(Bus I/F)、読み出し専用メモリ209、およびメモリインターフェース210を有している。
バスインターフェース208を介してマイクロプロセッサ200に入力された命令は、命令解析部203に入力され、デコードされた後、演算回路制御部202、割り込み制御部204、レジスタ制御部207、タイミング制御部205に入力される。演算回路制御部202、割り込み制御部204、レジスタ制御部207、タイミング制御部205は、デコードされた命令に基づき、様々な制御を行う。
演算回路制御部202は、演算回路201の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部204は、マイクロプロセッサ200のプログラム実行中に、外部の入出力装置や周辺回路からの割り込み要求を処理する回路であり、割り込み制御部204は、割り込み要求の優先度やマスク状態を判断して、割り込み要求を処理する。レジスタ制御部207は、レジスタ206のアドレスを生成し、マイクロプロセッサ200の状態に応じてレジスタ206の読み出しや書き込みを行う。タイミング制御部205は、演算回路201、演算回路制御部202、命令解析部203、割り込み制御部204、およびレジスタ制御部207の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えば、タイミング制御部205は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えている。図20に示すように、内部クロック信号CLK2は他の回路に入力される。
次に、非接触でデータの送受信を行う機能、および演算機能を備えた半導体装置の一例を説明する。図21は、このような半導体装置の構成例を示すブロック図である。図21に示す半導体装置211は、無線通信により外部装置と信号の送受信を行って動作する演算処理装置として機能する。
図21に示すように、半導体装置211は、アナログ回路部212とデジタル回路部213を有している。アナログ回路部212として、共振容量を有する共振回路214、整流回路215、定電圧回路216、リセット回路217、発振回路218、復調回路219と、変調回路220を有している。デジタル回路部213は、RFインターフェース221、制御レジスタ222、クロックコントローラ223、インターフェース224、中央処理ユニット225、ランダムアクセスメモリ226、読み出し専用メモリ227を有している。
半導体装置211の動作の概要は以下の通りである。アンテナ228が受信した信号は共振回路214により誘導起電力を生じる。誘導起電力は、整流回路215を経て容量部229に充電される。この容量部229はセラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサーなどのキャパシタで形成されていることが好ましい。容量部229は、半導体装置211を構成する基板に集積されている必要はなく、他の部品として半導体装置211に組み込むこともできる。
リセット回路217は、デジタル回路部213をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇に遅延して立ち上がる信号をリセット信号として生成する。発振回路218は、定電圧回路216により生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。復調回路219は、受信信号を復調する回路であり、変調回路220は、送信するデータを変調する回路である。
例えば、復調回路219はローパスフィルタで形成され、振幅変調(ASK)方式の受信信号を、その振幅の変動をもとに、二値化する。また、送信データを振幅変調(ASK)方式の送信信号の振幅を変動させて送信するため、変調回路220は、共振回路214の共振点を変化させることで通信信号の振幅を変化させている。
クロックコントローラ223は、電源電圧または中央処理ユニット225における消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路230が行っている。
アンテナ228から半導体装置211に入力された信号は復調回路219で復調された後、RFインターフェース221で制御コマンドやデータなどに分解される。制御コマンドは制御レジスタ222に格納される。制御コマンドには、読み出し専用メモリ227に記憶されているデータの読み出し、ランダムアクセスメモリ226へのデータの書き込み、中央処理ユニット225への演算命令などが含まれている。
中央処理ユニット225は、インターフェース224を介して読み出し専用メモリ227、ランダムアクセスメモリ226、制御レジスタ222にアクセスする。インターフェース224は、中央処理ユニット225が要求するアドレスより、読み出し専用メモリ227、ランダムアクセスメモリ226、制御レジスタ222のいずれかに対するアクセス信号を生成する機能を有している。
中央処理ユニット225の演算方式は、読み出し専用メモリ227にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、起動とともにプログラムを読み出し実行する方式を採用することができる。また、専用回路で演算回路を構成して、演算処理をハードウェア的に処理する方式を採用することもできる。ハードウェアとソフトウェアを併用する方式では、専用の演算回路で一部の演算処理を行い、プログラムを使って、残りの演算を中央処理ユニット225が処理する方式を適用できる。
次に、図22および図23を用いて、半導体装置の構成例として表示装置について説明する。
図22は、液晶表示装置の構成例を示す図面である。図22(A)は液晶表示装置の画素の平面図であり、図22(B)はJ−K切断線による図22(A)の断面図である。図22(A)において、半導体層511は、単結晶半導体層116から形成された層であり、画素のトランジスタ525を構成する。画素は、半導体層511、半導体層511と交差している走査線522、走査線522と交差している信号線523、画素電極524、画素電極524と半導体層511を電気的に接続する電極528を有する。半導体層511は、SOI基板に貼り合わせられた半導体層511から形成された層であり、画素のトランジスタ525を構成する。
図22(B)に示すように、基板510上に、接合層114、絶縁膜112bと絶縁膜112aでなる絶縁層112、半導体層511が積層されている。基板510は分割された支持基板100である。半導体層511は、単結晶半導体層116をエッチングによる素子分離により形成された層である。半導体層511には、チャネル形成領域512、n型の不純物領域513が形成されている。トランジスタ525のゲート電極は走査線522に含まれ、ソース電極またはドレイン電極の一方は信号線523に含まれている。
層間絶縁膜527上には、信号線523、画素電極524および電極528が設けられている。層間絶縁膜527上には、柱状スペーサ529が形成され、信号線523、画素電極524、電極528および柱状スペーサ529を覆って配向膜530が形成されている。対向基板532には、対向電極533、対向電極533を覆う配向膜534が形成されている。柱状スペーサ529は、基板510と対向基板532の隙間を維持するために形成される。柱状スペーサ529によって形成される隙間に液晶層535が形成されている。信号線523および電極528と不純物領域513との接続部は、コンタクトホールの形成によって層間絶縁膜527に段差が生じるので、この接続部では液晶層535の液晶の配向が乱れやすい。そのため、この段差部に柱状スペーサ529を形成して、液晶の配向の乱れを防ぐ。
次に、エレクトロルミネセンス表示装置(以下、EL表示装置という。)について、説明する。図23はEL表示装置を説明するための図面である。図23(A)はEL表示装置の画素の平面図であり、図23(B)は画素の断面図である。図23(A)に示すように、画素は、選択用トランジスタ401、表示制御用トランジスタ402、走査線405、信号線406、および電流供給線407、画素電極408を含む。エレクトロルミネセンス材料を含んで形成される層(EL層)が一対の電極間に挟んだ構造の発光素子が各画素に設けられている。発光素子の一方の電極が画素電極408である。
選択用トランジスタ401は、単結晶半導体層116からなる半導体層403を有する。選択用トランジスタ401において、ゲート電極は走査線405に含まれ、ソース電極またはドレイン電極の一方は信号線406に含まれ、他方は電極411として形成されている。表示制御用トランジスタ402は、ゲート電極412が電極411と電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極の一方は、画素電極408に電気的に接続される電極413として形成され、他方は、電流供給線407に含まれている。
表示制御用トランジスタ402はpチャネル型のトランジスタであり、単結晶半導体層116からなる半導体層404を有する。図23(B)に示すように、半導体層404には、チャネル形成領域451、p型の不純物領域452が形成されている。表示制御用トランジスタ402のゲート電極412を覆って、層間絶縁膜427が形成されている。層間絶縁膜427上に、信号線406、電流供給線407、電極411、413などが形成されている。また、層間絶縁膜427上には、電極413に電気的に接続されている画素電極408が形成されている。画素電極408は周辺部が絶縁性の隔壁層428で囲まれている。画素電極408上にはEL層429が形成され、EL層429上には対向電極430が形成されている。補強板として対向基板431が設けられており、対向基板431は樹脂層432により基板400に固定されている。基板400は支持基板100を分割した基板である。
半導体基板10を用いて様々な電気機器を作製することができる。電気機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポなど)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍など)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)などの画像データを表示する表示装置を備えた装置などが含まれる。
図24を用いて、電気機器の具体的な態様を説明する。図24(A)は携帯電話機901の一例を示す外観図である。この携帯電話機901は、表示部902、操作スイッチ903などを含んで構成されている。表示部902に、図22で説明した液晶表示装置または図23で説明したEL表示装置を適用することで、表示むらが少なく画質の優れた表示部902とすることができる。
また、図24(B)は、デジタルプレーヤー911の構成例を示す外観図である。デジタルプレーヤー911は、表示部912、操作部913、イヤホン914などを含んでいる。イヤホン914の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。表示部912に、図22で説明した液晶表示装置または図23で説明したEL表示装置を適用することで、画面サイズが0.3インチから2インチ程度の場合であっても。高精細な画像および多量の文字情報を表示することができる。
また、図24(C)は、電子ブック921の外観図である。この電子ブック921は、表示部922、操作スイッチ923を含んでいる。電子ブック921にはモデムを内蔵していてもよいし、図21の半導体装置211を内蔵させて、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。表示部922には、図22で説明した液晶表示装置、または図23で説明したEL表示装置を適用することで、高画質の表示を行うことができる。
図25は図24(A)に示した携帯電話とは異なる例を示す。図25は本発明を適用したスマートフォン携帯電話の構成の一例であり、図25(A)が正面図、図25(B)が背面図、図25(C)が展開図である。筐体1001及び1002二つの筐体で構成されている。スマートフォン携帯電話1000は、携帯電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
スマートフォン携帯電話1000は、筐体1001及び1002二つの筐体で構成されている。筐体1001においては、表示部1101、スピーカー1102、マイクロフォン1103、操作キー1104、ポインティングデバイス1105、表面カメラ用レンズ1106、外部接続端子1107、イヤホン端子1108等を備え、筐体1002においては、キーボード1201、外部メモリスロット1202、裏面カメラ用レンズ1203、ライト1204等を備えているなどにより構成されている。また、アンテナは筐体1001内部に内蔵されている。
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
重なり合った筐体1001と筐体1002(図25(A))は、スライドし図25(C)のように展開する。表示部1101には、上記実施の形態に示される表示装置を組み込むことが可能であり、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部1101と同一面上に及び表面カメラ用レンズ1106を同一の面に備えているため、テレビ電話が可能である。また、表示部1101をファインダーとし裏面カメラ用レンズ1203及びライト1204で静止画及び動画の撮影が可能である。スピーカー1102及びマイクロフォン1103は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生等の用途に使用できるが可能である。操作キー1104では、電話の発着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等が可能である。書類の作成、携帯情報端末としての使用等、取り扱う情報が多い場合はキーボード1201を用いると便利である。更に、重なり合った筐体1001と筐体1002(図25(A))は、スライドし図25(C)のように展開し、携帯情報端末としての使用する場合は、キーボード1201、ポインティングデバイス1105を用い円滑な操作が可能である。外部接続端子1107はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット1202に記録媒体を挿入しより大量のデータ保存及び移動に対応できる。筐体1002の裏面(図25(B))には、裏面カメラ用レンズ1203及びライト1204を備えており、表示部1101をファインダーとし静止画及び動画の撮影が可能である。
また、上記機能構成に加えて、赤外線通信機能、USBポート、テレビ受信機能等を備えたものであってもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例に記載した構成と組み合わせて実施することが可能である。