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JP5692749B2 - ゴム物品補強用スチールコードおよびゴム−スチールコード複合体 - Google Patents
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Description

本発明はゴム物品補強用スチールコードおよびゴム−スチールコード複合体(以下、単に「コード」および「複合体」とも称する)に関し、詳しくは、タイヤを初めとするゴム物品の補強用、特には、タイヤのカーカスプライコードとして有用なゴム物品補強用スチールコードおよびゴム−スチールコード複合体に関する。
従来より、タイヤ等のゴム物品の補強材として、スチールコードをゴム被覆してなるゴム−スチールコード複合体が、一般に用いられている。特に、トラックやバス等の大型車両用タイヤの骨格材であるカーカスプライコードは、タイヤサイド部において繰り返し屈曲を受けるため、タイヤの空気圧が低いと、タイヤサイド部の曲率が厳しくなって、コードへの負荷が増大することになる。
大型車両用タイヤにおいて一般的に用いられるカーカスプライコードとしては、同線径のフィラメントからなる3+9の2層撚り構造の外周に、1本のスパイラルフィラメントを備えた3+9+1構造のものが挙げられるが、このような3+9+1構造のコードでは、繰り返し曲げ入力によって、スパイラルフィラメントと接触している9本のシースフィラメントの間でフレッティングが発生して、コードが破断する原因となる。
これに対し、例えば、特許文献1では、スパイラルフィラメントと最外層のシースフィラメントとの撚り方向を同一にすることで、スパイラルフィラメントとシースフィラメントとの間のフレッティングを低減する技術が提案されている。しかし、製造面を考慮すると、シースフィラメントの撚り方向とスパイラルフィラメントの撚り方向とが同一方向であると、コード本体においては、シースが締まる方向に極端なトーションを持たせた状態でなければ、同一撚り方向のスパイラルフィラメントを巻きつけた状態で、所望のトーションを得ることができない。この場合、コードのトーションを無理に出そうとすると、シースフィラメントへの過剰な癖付け処理が必要となって、撚り性状が乱れてしまうおそれがあった。
また、特許文献2では、スパイラルフィラメントと最外層シースフィラメントとのフレッティングをなくすためにスパイラルフィラメントを外すとともに、大曲げ入力時のシースフィラメントのバラケを拘束するためにゴムペネを確保した、同線径からなる3+8構造のスチールコードが提案されている。しかし、スパイラルフィラメントを有しない3+8構造のプライコードでは、ビードコアに巻き付ける際に、ビードコアと最外層シースフィラメントとが接触して、走行中に最外層シースフィラメントにフレッティングが生じ、結果としてプライコードが破断に至るおそれがあった。
さらに、1×12構造のコンパクト撚りコードにおいて、最外層のシースフィラメントの径を変える技術については、例えば、特許文献3,4に開示されている。
特開平6−17384号公報(特許請求の範囲等) 特開平7−109685号公報(特許請求の範囲等) 実開平5−85898号公報(特許請求の範囲等) 特開平5−279975号公報(特許請求の範囲等)
上述のように、従来技術においては、スパイラルフィラメントを有する層撚りコードにおいて、生産性等の他の問題を生ずることなく、スパイラルフィラメントとシースフィラメントとの間におけるフレッティングの発生を十分抑制できるものではなかった。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、生産性等の問題を生ずることなく、スパイラルフィラメントとシースフィラメントとの間におけるフレッティングの発生を、より効果的に抑制することのできるゴム物品補強用スチールコードおよびゴム−スチールコード複合体を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、スパイラルフィラメントを有する2層の層撚りコードにおいて、最外層のシースを、異なる線径を有する2種のシースフィラメントからなるものとし、これら2種のシースフィラメントをそれぞれコード周方向に均等に配置することで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明のゴム物品補強用スチールコードは、複数本のスチールフィラメントが撚り合わされてなる2層の層撚りコードの外周に、スパイラルフィラメントが巻き付けられてなるm+n+1構造のゴム物品補強用スチールコードにおいて、
シースが線径の異なる2種のシースフィラメントから構成され、該2種のシースフィラメントのそれぞれが、コード周方向に等間隔で3箇所以上にて配置されており、コアの撚りピッチと該シースの撚りピッチとが異なり、かつ、前記2種のシースフィラメントのうち、太径のものの線径をφa、細径のものの線径をφbとしたとき、次式、
0.65≦φb/φa<1.0
を満足することを特徴とするものである。
本発明のコードにおいては、前記シースフィラメントとスパイラルフィラメントとの撚り方向が異なることが好ましい。
また、本発明のゴム−スチールコード複合体は、上記本発明のゴム物品補強用スチールコードがゴムにより被覆されてなるゴム−スチールコード複合体において、
前記2種のシースフィラメントのうち細径のものと前記スパイラルフィラメントとの間に、前記ゴムが入り込んでいることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記構成としたことにより、生産性等の問題を生ずることなく、スパイラルフィラメントとシースフィラメントとの間におけるフレッティングの発生を、より効果的に抑制することのできるゴム物品補強用スチールコードおよびゴム−スチールコード複合体を実現することが可能となった。
本発明のゴム物品補強用スチールコードの一例を示す幅方向断面図である。 本発明のゴム物品補強用スチールコードの他の例を示す幅方向断面図である。 本発明のゴム物品補強用スチールコードのさらに他の例を示す幅方向断面図である。 実施例における疲労試験の概要を示す説明図である。 従来のゴム物品補強用スチールコードの一例を示す幅方向断面図である。 従来のゴム物品補強用スチールコードの他の例を示す幅方向断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明のゴム物品補強用スチールコードは、複数本のスチールフィラメントが撚り合わされてなる層撚りコードの外周に、スパイラルフィラメントが巻き付けられてなるm+n+1構造の2層撚りコードである。本発明において、m+n+1構造におけるm,nは、m=1〜4,n=6〜12の範囲で適宜選定することができる。
図1に、本発明のゴム物品補強用スチールコードの一例を示す幅方向断面図を示す。図示する本発明のゴム物品補強用スチールコードは、3本の同一径のコアフィラメント11が撚り合わされてなるコア1と、その周囲に巻き付けられた9本のシースフィラメント12よりなる1層のシース2とからなる層撚りコード3の外周に、スパイラルフィラメント13が巻き付けられてなる3+9+1構造を有する。本発明のコードにおいては、図示するように、シース2が線径の異なる2種のシースフィラメント12A,12Bから構成され、これら2種のシースフィラメント12A,12Bのそれぞれが、コード周方向に等間隔で3箇所以上、特には、3〜6箇所にて配置されている点が重要である。
図5に、シースフィラメントが全て同一線径である従来の3+9+1構造のスチールコードの幅方向断面図を示す。この場合、図示するように、最外層の9本のシースフィラメント102の周りにスパイラルフィラメントが巻き付けられているため、スパイラルフィラメント103は9本のシースフィラメント102と接触して、フレッティングが発生する。これに対し、本発明におけるように、シース2において、2種のシースフィラメント12A,12Bを、コード周方向に等間隔で3箇所以上にて配置すると、その外周にスパイラルフィラメント13が巻き付けられた場合には、主として3本以上の太径シースフィラメント12Aが、スパイラルフィラメントを支えることとなる。そのため、太径シースフィラメント12Aには、従来と同様にフレッティングが発生するものの、細径シースフィラメント12Bとスパイラルフィラメント13との間にはゴムが十分に浸入するので、この間でのフレッティングは軽微なものとなる。よって、従来の、スパイラルフィラメントを有する同一線径シースフィラメントを用いた3+9+1構造コード対比でフレッティングを軽減することができ、コード疲労性が向上できるものである。また、本発明のコードは、撚り方向の制約を有しないので、製造面での問題を生ずることもない。特には、本発明のコードにおいては、シースフィラメントとスパイラルフィラメントとの撚り方向を異なるものとすることが、製造面では好ましい。
本発明において、2種の異線径シースフィラメント12A,12Bの配置方法としては、それぞれがコード周方向に等間隔で3箇所以上にて配置されるものであればよく、特に制限はない。例えば、図示する例では、太径シースフィラメント12Aがコード周方向に120°間隔にて3箇所に1本ずつ配置され、その間の3箇所に、細径シースフィラメント12Bが2本ずつ配置されている。
また、図2に示すように、細径シースフィラメント12Bをコード周方向に120°間隔にて3箇所に1本ずつ配置して、その間の3箇所に、太径シースフィラメント12Aを2本ずつ配置するものであってもよい。この場合は、6本の太径シースフィラメント12Aが、スパイラルフィラメント13を支えることになる。そのため、スパイラルフィラメント13と太径シースフィラメント12Aとの間ではフレッティングが発生するが、細径シースフィラメント12Bとの間でのフレッティングは軽減され、コード疲労性が向上する。さらに、例えば、3+8+1構造のコードの場合には、図3に示すように、太径シースフィラメント12Aと細径シースフィラメント12Bとを、コード周方向に90°間隔にて4箇所に交互に1本ずつ配置すればよく、この場合、4本の太径シースフィラメント12Aが、スパイラルフィラメント13を支えることになる。そのため、スパイラルフィラメント13と太径シースフィラメント12Aとの間ではフレッティングが発生するが、細径シースフィラメント12Bとの間でのフレッティングは軽減され、コード疲労性が向上する。
ここで、本発明において、シース2を構成する2種の異線径シースフィラメントは、太径シースフィラメントの線径をφa、細径シースフィラメントの線径をφbとしたとき、次式、
0.65≦φb/φa<1.0
を満足することが好ましい。この比率φb/φaが0.65未満であると、シースフィラメントの分散性が悪化して、コードの断面形状が乱れるおそれがある。
また、本発明において、コア1の撚りピッチとシース2の撚りピッチとは、異なるものとすることが好ましい。これにより、シースフィラメントがコアの隙間に落ち込まなくなるので、シースフィラメントの分散性を確保しやすくなる。
本発明のゴム−スチールコード複合体は、上記ゴム物品補強用スチールコードがゴムにより被覆されてなるものであって、2種のシースフィラメントのうち細径シースフィラメント12Bとスパイラルフィラメント13との間に、ゴムが入り込んでいるものである。上述のような、シース2が線径の異なる2種のシースフィラメント12A,12Bからなるコード構造とすることで、細径シースフィラメント12Bとスパイラルフィラメント13との間に十分ゴムが浸入するので、接触を緩和することができ、フレッティングの抑制効果を確実に得ることができるものとなる。
本発明のコードおよび複合体においては、各フィラメントの線径やコード径、撚りピッチ等の具体的な条件については特に制限されず、所望に応じ適宜選定することが可能である。本発明は、コアフィラメントとシースフィラメントとを同時に撚り合わせてなる、いわゆるコンパクト構造以外の、スパイラルフィラメントを有する2層撚り構造のコード全般に適用することが可能である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
コード構造3+9×0.22mm+0.15mmおよび3+8×0.22mm+0.15mmのスチールコードを、それぞれ従来例1および従来例2として、下記の表中に示す条件にて線径の異なる2種のシースフィラメントを配置した各実施例のスチールコードを作製した。
<耐疲労性>
各供試コードを2.0mm間隔で平行に並べ、この並べたコードを上下両側からゴムシートでコーティングして、これを145℃×40分の条件で加硫した。加硫後にコード3本の束を切り出して得られたサンプル10を、図4に示すように、径22mmのプーリー20に通して、コード強力8.0%のテンションを掛けた状態でサンプルを上下に駆動させる疲労試験を行い、サンプルが破断するまでの繰り返し回数を測定した。結果は、各従来例を100とした指数表示に換算した。指数値が大きいほど、疲労性が高いことを示す。
<フレッティング性>
上記と同様の疲労試験にて、径50mmのプーリーに通して、コード強力8.0%のテンションを掛けた状態でサンプルを上下に100万回駆動させて止めた。次に、サンプルを解剖してコードを1本抜き出し、スパイラルフィラメントを除去して、全てのシースフィラメントとスパイラルフィラメントとのフレッティング深さを顕微鏡で測定して、その合計値を、各従来例を100とした指数表示に換算した。指数値が小さいほど、フレッティング性が良いことを示す。
<コード形状性>
各供試コードを樹脂中に埋め込んで、コード断面の乱れを顕微鏡で観察し、○、△、×の3段階で判定した。○はシースフィラメントの分散が良い状態を示し、△はシースフィラメントの分散が部分的に偏る状態を示し、×はシースフィラメントの分散が全体的に偏る状態を示す。
これらの結果を、下記の表中に併せて示す。
Figure 0005692749
Figure 0005692749
Figure 0005692749
上記表中に示すように、シースを線径の異なる2種のシースフィラメントで構成し、2種のシースフィラメントのそれぞれを、コード周方向に等間隔で3箇所以上にて配置することで、従来例1,2に比べて、スパイラルフィラメントとシースフィラメントとの間のフレッティング性が改善し、疲労性が向上することが確かめられた。また、太径シースフィラメントの線径φaと細径シースフィラメントの線径φbとが0.65≦φb/φa<1.0を満足する範囲では、シースフィラメントの分散性が確保され、コード形状性が向上していることがわかる。なお、各実施例のゴム−スチールコード複合体サンプルにおいては、いずれも、細径シースフィラメントとスパイラルフィラメントとの間に十分にゴムが入り込んでいる状態が確保されていた。
1 コア
2 シース
3 層撚りコード
10 サンプル
11,101 コアフィラメント
12A,12B,102 シースフィラメント
13,103 スパイラルフィラメント
20 プーリー

Claims (3)

  1. 複数本のスチールフィラメントが撚り合わされてなる2層の層撚りコードの外周に、スパイラルフィラメントが巻き付けられてなるm+n+1構造のゴム物品補強用スチールコードにおいて、
    シースが線径の異なる2種のシースフィラメントから構成され、該2種のシースフィラメントのそれぞれが、コード周方向に等間隔で3箇所以上にて配置されており、コアの撚りピッチと該シースの撚りピッチとが異なり、かつ、前記2種のシースフィラメントのうち、太径のものの線径をφa、細径のものの線径をφbとしたとき、次式、
    0.65≦φb/φa<1.0
    を満足することを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。
  2. 前記シースフィラメントとスパイラルフィラメントとの撚り方向が異なる請求項記載のゴム物品補強用スチールコード。
  3. 請求項1または2記載のゴム物品補強用スチールコードがゴムにより被覆されてなるゴム−スチールコード複合体において、
    前記2種のシースフィラメントのうち細径のものと前記スパイラルフィラメントとの間に、前記ゴムが入り込んでいることを特徴とするゴム−スチールコード複合体。
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