JP5700059B2 - 交流電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、交流電動機の回転数が小さい低回転域において制御の発散を抑制可能な交流電動機の制御装置を提供することにある。
偏差演算手段は、交流電動機の駆動に係る電流指令値とフィードバックされる電流推定値との偏差を演算する。第1の電圧指令値演算手段は、偏差に基づき、インバータの駆動に係る駆動信号の生成に用いる第1の電圧指令値を演算する。
偏差反転手段は、回転数が第1の判定閾値以下である場合、第1の電圧指令値の演算に用いる偏差の正負を反転期間ごとに反転する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態による交流電動機2の制御装置としての電動機制御装置10は、電動車両を駆動する電動機駆動システム1に適用される。
交流電動機2は、例えば電動車両の駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機である。本実施形態の交流電動機2は、永久磁石式同期型の三相交流電動機である。
電動車両には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等、電気エネルギによって駆動輪6を駆動する車両が含まれるものとする。本実施形態の電動車両は、エンジン3を備えるハイブリッド車両であり、交流電動機2は、駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、および、エンジン3や駆動輪6から伝わる車両の運動エネルギにより駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータ(図中、「MG」と記す。)である。
直流電源8は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電装置である。直流電源8は、電動機制御装置10のインバータ12(図2参照)と接続され、インバータ12を介して交流電動機2と電力の授受可能に構成されている。
インバータ12には、交流電動機2の駆動状態や車両要求等に応じて、直流電源8の直流電圧を図示しない昇圧コンバータにより昇圧したインバータ入力電圧VHが印加される。また、インバータ12は、ブリッジ接続される図示しない6つのスイッチング素子を有する。詳細には、スイッチング素子は、高電位側に設けられる上側スイッチング素子(以下、「上SW」という。)、および、低電位側に設けられる下側スイッチング素子(以下、「下SW」という。)からなる。直列に接続される上SWおよび下SWは、交流電動機2の各相に対応して設けられる。スイッチング素子には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子は、制御部15のPWM信号生成部29(図3参照)から出力されるPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてオン/オフが制御される。これにより、インバータ12は、交流電動機2に印加される3相交流電圧vu、vv、vwを制御する。交流電動機2は、インバータ12により生成された3相交流電圧vu、vv、vwが印加されることにより駆動が制御される。
<1.正転力行> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が正のとき、電力消費。
<2.正転回生> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が負のとき、発電。
<3.逆転力行> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が負のとき、電力消費。
<4.逆転回生> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が正のとき、発電。
電流指令値演算部21は、車両制御回路9から取得されるトルク指令値trq*に基づき、交流電動機2の回転座標として設定される回転座標系(d−q座標系)におけるd軸電流指令値id*、および、q軸電流指令値iq*を演算する。本実施形態では、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*は、予め記憶されているマップを参照することにより演算されるが、数式等から演算するように構成してもよい。
vd=Ra×id+Ld×(d/dt)id−ω×Lq×iq ・・・(1)
vq=Ra×iq+Lq×(d/dt)iq+ω×Ld×id+ω×ψ
・・・(2)
vd_ref=Ra×id*−ω×Lq×iq* ・・・(3)
vq_ref=Ra×iq*+ω×Ld×id*+ω×ψ ・・・(4)
Ra:電機子抵抗
Ld:d軸自己インダクタンス、Lq:q軸自己インダクタンス
ω:電気角速度
ψ:永久磁石の電機子鎖交磁束
電気角速度ωは、電圧指令基準値演算部25にて、電気角θeに基づいて演算される。また、電気角速度ωは、回転数Nから演算してもよい。
vd*_2=vd_ref+vd_cmp ・・・(5)
vq*_2=vq_ref+vq_cmp ・・・(6)
PWM信号生成部29では、インバータ12のスイッチング素子のオン/オフの切り替えに係るPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを、3相交流の電圧指令値vu*、vv*、vw*、および、インバータ12に印加される電圧であるインバータ入力電圧VHに基づいて演算する。
id_est_rev=2id*−id_est ・・・(7)
iq_est_rev=2iq*−iq_est ・・・(8)
すなわち、「d軸電流偏差Δidおよびq軸電流偏差Δiqの正負が反転するd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estをフィードバックする」ことは、「d軸電流偏差Δidおよびq軸電流偏差Δiqの正負を反転する」ことと本質的に同じことである。
回転数Nが第2の判定閾値A2以下である場合、第2のd軸電圧指令値vd*_2および第2のq軸電圧指令値vq*_2に基づいてインバータ12の駆動に係る駆動信号(PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WL)を生成し、交流電動機2の駆動を制御することを「FF電圧指令制御モード(以下適宜、「FF制御」という。)」とする。
回転数Nが第2の判定閾値A2より大きい場合、第1のd軸電圧指令値vd*_1および第1のq軸電圧指令値vq*_1に基づいてインバータ12の駆動に係る駆動信号(PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WL)を生成し、交流電動機2の駆動を制御することを「電流フィードバック制御モード(以下、フィードバックを適宜「FB」と記載する。)」とする。補足しておくと、「電流フィードバック制御モード」は、交流電動機2に通電された電流の検出値(本実施形態ではW相電流検出値iw_sns)をフィードバックして第1のd軸電圧指令値vd*_1および第1のq軸電圧指令値vq*_1の演算に用いる制御モードである。
回転数Nが第1の判定閾値A1より大きい場合、d軸電圧偏差Δidおよびq軸電圧偏差Δiqの正負反転を行なわず、「推定電流FB制御モード」とする。
本実施形態では、「偏差反転モード」および「推定電流FB制御モード」が「電流FB制御モード」に含まれる。
本実施形態では、「電流FB制御モード」が「第1の制御モード」に対応し、「FF電圧指令制御(FF制御)モード」が「第2の制御モード」に対応する。なお、本実施形態では、電流センサが1相に設けられていることを鑑みれば、「電流FB制御」のみならず「FF制御」も広義の1相制御と捉えることもできる。
これは、図5(c)に示すように、サンプリング間隔Tsが回転数Nによらず同じである場合、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθeおよび電流変化量Δiwが比較的大きな値となっており、推定電流FB制御においても実機情報を反映させやすいためである。
これは、図6(c)に示すように、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθeおよび電流変化量Δiwが、回転数Nが高回転域のときよりも減少し、実機情報が乏しくなることに起因する。
図7(c)に示すように、回転数Nが小さい場合、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθeおよび電流変化量Δiwが0[A]に近くなる。本実施形態では、U相電流推定値iu_estとしてU相電流指令値iu*、V相電流推定値iv_estとしてV相電流指令値iv*を用いているため、指令に対して変化する値である電流変化量Δiwが略0[A]となると、フィードバックされるd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estがほとんど変化しなくなるためである。
d軸電流指令値id*に対し、d軸実電流値idと偏差の極性が逆向きとなるd軸電流推定値id_estがフィードバックされ、d軸電流推定値id_estとd軸電流指令値id*との偏差が小さくなる方向(図8(a)の例では上方向)に制御すると、d軸実電流値idとd軸電流指令値id*との偏差が大きくなる方向(図8(a)の例では上方向)に制御されることになる。q軸電流についても同様である。
同様に、q軸電流指令値iq*に対し、q軸実電流iqと偏差の極性が逆向きのq軸電流推定値iq_estをフィードバックすると、q軸実電流値iqがq軸電流指令値iq*から離れる方向に制御される。また、q軸電流指令値iq*に対し、q軸実電流iqと偏差の極性が逆向きのq軸電流推定値iq_estのフィードバックが継続すると、q軸電流指令値iq*とq軸実電流iqとの差が増大し続け、q軸実電流値iqが発散する。
同様に、d軸実電流値idおよびq軸実電流値iqも単調増加または単調減少する。これに伴い、d軸電圧指令値vd*、q軸電圧指令値vq*、実トルク値trq、および、回転数Nも変動が大きく、制御が不安定になっている。
なお、制御系や動作点により、単調増加と単調減少とが成り行きで転換することがある。また、成り行きによっては、単調増加と単調減少とが繰り返されることもある。
そこで本実施形態では、図10(b)に示すように、d軸実電流値idおよびq軸実電流値iqが発散するのを防ぐべく、回転数Nが第1の判定閾値A1以下である場合、偏差反転部23にて、d軸電流推定値id_estとd軸電流指令値id*との偏差であるΔid、および、q軸電流推定値iq_estとq軸電流指令値iq*との偏差であるΔiqの正負を反転期間Trごとに反転している。これにより、d軸実電流値idおよびq軸実電流値iqが発散するのを防いでいる。
制御周期Tuが長くなると、同じ電圧指令値に基づく電圧を印加する期間が長くなる。加えて、キャリア周波数fcが低いと、1つ1つの印加電圧パルス期間も長くなる。また、回転数Nが大きくなると、電気1周期が短くなり、同じ制御周期Tuである場合には、電気1周期中の電圧指令の更新回数が減少する。このことは、キャリア周波数fcの場合においても同様である。
そのため、d軸実電流値idおよびq軸実電流値iqが変動許容範囲F内に収まるように、制御周期Tu、キャリア周波数fc、および、回転数N等に基づき、反転期間Trを可変とすることが望ましい。
図11に示すように、最初のステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す。)では、回転角センサ14から電気角θeを取得し、回転数Nを演算する。また、電流センサ13からW相電流検出値iw_snsを取得する。
S105では、切替判定部27にて、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLの演算に用いるd軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*として、第2のd軸電圧指令値vd*_2および第2のq軸電圧指令値vq*_2を選択する。
ここで、S106における偏差反転処理を図12に示すフローチャートに基づいて説明する。
S172では、制御周期Tu、キャリア周波数fc、および、回転数Nに基づき、反転周期Trに対応する制御回数閾値R1およびR2を決定する。通常、R2はR1の2倍の値とするが、R1<R2の範囲で適宜設定可能である。
S174では、制御回数カウンタのカウント値Rが制御回数閾値R1より大きいか否かを判断する。カウント値Rが制御回数閾値R1より大きいと判断された場合(S174:YES)、S176へ移行する。カウント値Rが制御回数閾値R1以下であると判断された場合(S174:NO)、S175へ移行する。
S178では、制御回数カウンタのカウント値Rをリセットする。
S107およびS108に続いて移行するS109では、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLの演算に用いるd軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*として、第1のd軸電圧指令値vd*_1および第1のq軸電圧指令値vq*_1を選択する。
S111では、PWM信号生成部29にて、3相電圧指令値vu*、vv*、vw*をインバータ入力電圧VHに基づいてPWM変調してPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを算出し、インバータ12へ出力する。
同様に図14に示すように、回転数NがA1からA2まで概ね指令に沿って安定して交流電動機2を制御している。
電動機制御装置10の制御部15では、以下の処理が実行される。交流電動機2のいずれか1相(本実施形態ではW相)であるセンサ相に設けられる電流センサ13からW相電流検出値iw_snsを取得する(図11中のS101)。また、交流電動機2の回転角を検出する回転角センサ14から電気角θeを取得する(S101)。
電流推定部30では、W相電流検出値iw_snsおよび電気角θeに基づき、d軸電流推定値(基準値)id_est_refおよびq軸電流推定値(基準値)iq_est_refを演算する(S102)。本実施形態では、W相電流検出値iw_snsおよび電気角θeに加え、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*に基づき、d軸電流推定値(基準値)id_est_refおよびq軸電流推定値(基準値)iq_est_refを演算する。
また、切替判定部27にて、第1のd軸電圧指令値vd*_1および第1のq軸電圧指令値vq*_1に基づいてPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを生成する電流FB制御モードと、第2のd軸電圧指令値vd*_2および第2のq軸電圧指令値vq*_2に基づいてPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを生成するFF制御モードとを切り替える。
本発明の第2実施形態では、偏差反転部が第1実施形態と異なるので、この点を中心に説明する。
上記実施形態では、d軸電流偏差Δidおよびq軸電流偏差Δiqの正負を反転期間Trごとに反転すべく、d軸電流偏差Δidおよびq軸電流偏差Δiqの正負が反転期間Trごとに反転するようなd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを減算器22にフィードバックした。本実施形態では、d軸電流偏差Δidおよびq軸電流偏差Δiqの正負を直接反転する。
本実施形態では、電流推定部30にて演算されたd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estが、減算器22に直接入力される。本実施形態におけるd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estは、上記実施形態のd軸電流推定値(基準値)id_est_refおよびq軸電流推定値(基準値)iq_est_refと同じである。
偏差反転部23では、回転数Nが第1の判定閾値A1以下である場合、反転期間Trごとにd軸電流偏差Δidおよびq軸電流偏差Δiqの正負を反転し、d軸電流偏差確定値Δid_fixおよびq軸電流偏差確定値Δiq_fixを演算する。回転数Nが第1の判定閾値A1より大きい場合は、d軸電流偏差Δidおよびq軸電流偏差Δiqの正負反転を行わない。
S179では、PI演算部24にて、d軸電流偏差確定値Δid_fixおよびq軸電流偏差確定値Δiq_fixが0に収束するように、PI演算により第1のd軸電圧指令値vd*_1および第1のq軸電圧指令値vq*_1を演算する。また、第1実施形態と同様、直前までFF制御であった場合、PI演算において、直前のd軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*をPI積分項の初期値として設定することが望ましい。
上記実施形態と異なる点について言及すると、制御部15の偏差反転部23が「偏差反転手段」を構成する。また、本実施形態では、S179に替えて、S175およびS176が「偏差演算手段」の機能としての処理に相当する。また、本実施形態では、電流推定部30にて演算されるd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estが「電流推定値」に対応する。
本発明の第3実施形態を図16〜図21を用いて説明する。
上記実施形態では、回転数Nが第2の判定閾値A2以下である場合、電流FB制御からFF制御に切り替えていた。本実施形態では、電流指令ベクトルi*の位相角θiによっては電流FB制御でも始動可能であることに着目し、電流指令ベクトルi*の位相角θiが始動可能範囲P内にある場合、回転数Nが第2の判定閾値A2以下であっても電流FB制御としている。
まず、電流指令ベクトルi*の位相角θiについて、図16に基づいて説明する。
図16に示すように、本実施形態では、電気角θeは、U相軸を基準として0[°]から反時計回り方向に定義される。また、W相軸は、U相軸に対し、電気角として240[°]ずれている。
θi=θe+φ+90[°] ・・・(9)
θi=θe+φ+C (ただしCは定数) ・・・(10)
一方、図18(a)、(c)、(d)に示すように、電流指令ベクトルi*がW相軸に直交するW相直交軸に近い位置である場合、トルク指令値trq*、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*が上昇しても、d軸実電流値idおよびq軸実電流値iqが略0のままである。そのため、実トルク値trqも略0[Nm]のままであり、トルクが発生せず、交流電動機2を始動することができない。
一方、電流指令ベクトルi*がW相軸上、或いは、W相軸の近くにある場合、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estにおけるW相成分が大きいため、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estの推定精度が比較的良好であり、推定電流FB制御であっても、交流電動機2を始動可能である
なお、偏差反転モードにおけるd軸電流偏差Δidおよびq軸電流偏差Δiqの正負反転方法は、第1実施形態のようにしてもよいし、第2実施形態のようにしてもよい。
S201およびS202の処理は、図11中のS101およびS102の処理と同様である。
S203では、回転数Nが第2の判定閾値A2以下か否かを判断する。回転数Nが第2の判定閾値A2より大きいと判断された場合(S203:YES、)S207へ移行する。回転数Nが第2の判定閾値A2以下であると判断された場合(S203:NO)、S204へ移行する。
S210は、図11中のS109と同様であり、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLの演算に用いるd軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*として、第1のd軸電圧指令値vd*_1および第1のq軸電圧指令値vq*_1を選択する。
S209およびS210の処理は、S108およびS109と同様である。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(ア)電流FB制御
上記実施形態では、PI演算部24におけるPI演算により第1の電圧指令値を演算した。他の実施形態では、図22に示すように、PI演算部24に替えて電圧指令値演算部240としてもよい。電圧指令値演算部240では、d軸電流偏差確定値Δid_fixおよびq軸電流偏差確定値Δiq_fixに加え、d軸FF項補正値FFadおよびq軸FF項補正値FFaqに基づき、第1のd軸電圧指令値vd*_1および第2のq軸電圧指令値vq*_1を演算する。電圧指令値演算部240における演算は、例えばPI演算等、どのような演算としてもよい。d軸FF項補正値FFadおよびq軸FF項補正値FFaqは、例えば電動機の理論式である電圧方程式を用い、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*に基づいて演算されるd軸電圧指令基準値vd_refおよびq軸電圧指令基準値vq_refでも良いし、d軸デッドタイム補正値vd_dtおよびq軸デッドタイム補正値vq_dtでも良いし、或いはその両方を合わせた値とすることができる。その他、どのような値としてもよい。なお、図22では第2実施形態の制御部15に電圧指令値演算部240を設ける例について説明したが、もちろん第1実施形態の制御部15において、PI演算部24に替えて電圧指令値演算部240を設けるように構成してもよい。
上記実施形態では、電流推定部において、センサ相以外の相については電流指令値を推定値とみなし、d軸電流推定値およびq軸電流推定値を演算していた。
電流推定部における演算方法は、これに限らず、電流検出値および電気角に基づいて演算されていれば、どのような方法であってもよく、さらに他のパラメータ等を用いてもよい。また、第1の電圧指令値は、電流指令値、および、フィードバックされた電流推定値に基づいて算出されていれば、どのような方法で算出してもよく、さらに他のパラメータ等を用いてもよい。
(i)電流指令位相を用いた基準角と振幅に基づく演算
例えば、特開2004−159391号公報のように、電流指令位相角と電気角から生成したU相電流基準角(θ’)」で除して電流振幅(Ia)を算出し、この電流振幅を、U相電流基準角から±120[°]ずらした電気角におけるsin値に乗じて他の2相の電流推定値Iv、Iwを算出する(式11.1〜11.3)。
Ia=Iu/[√(1/3)×({−sin(θ’)}] ・・・(11.1)
Iv=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+120[°])}・・・(11.2)
Iw=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+240[°])}・・・(11.3)
(ii)電流指令値を用いたセンサ相基準位相に基づく演算
U相電流指令値iu*およびV相電流指令値iv*の少なくとも一方、W相電流検出値iw_sns、および、電気角θeを用い、センサ相に一致するα軸方向のα軸電流iαおよびセンサ相に直交するβ軸方向のβ軸電流iβを演算し、α軸電流iαおよびβ軸電流iβの逆正接関数(arctan)によりセンサ相基準電流位相θxを算出する。センサ相基準電流位相θxの演算式を式(12)に示す。
θx=tan-1(iβ/iα) ・・・(12)
α軸電流iαとβ軸電流iβが「sin波とcos波」の関係にあり、α軸電流iαとβ軸電流iβとの位相差が90[°]であることに着目し、α軸電流微分値Δiαに基づいてβ軸電流推定値iβ_estを演算する。ここで、制御部における演算が離散系である場合、α軸電流微分値Δiαは、実際のβ軸電流iβに対し、電気角移動量Δθeの半分だけ遅れる。この点を考慮し、α軸電流iαの前回値と今回値との平均値に電気角移動量Δθeの半分(Δθe/2)を乗じた補正量Hにて補正したβ軸電流推定値iβ_estとすることが好ましい。そして、α軸電流iαおよびβ軸電流推定値iβ_estを用いてセンサ相基準電流位相θxを演算する。以降の演算は(ii)と同様である。
回転座標系であるd−q座標上でW相軸が相対的に回転することを利用し、W相推定誤差Δiw_estを積算してd軸実電流値idおよびq軸実電流値iqに漸近させる。
前回のd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_est、および今回の電気角θeに基づき、センサ相成分であるW相電流基準値iw_bfを演算し、W相電流基準値iw_bfとW相電流検出値iw_snsとの差であるW相推定誤差Δiw_estを算出する。W相推定誤差Δiw_estにフィルタ要素であるゲインKを乗じた補正後誤差KΔiw_estを算出し、Δiu=0、Δiv=0とし、dq変換によりセンサ相方向補正値id_crrおよびq軸補正値iq_crrを演算する。そして算出されたd軸補正値id_crrおよびq軸補正値iq_crrをセンサ相方向の補正ベクトルとし、当該補正ベクトルをd−q座標にて積算することにより、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算する。また、センサ相に直交する直交方向補正値をさらに演算し、センサ相方向補正値および直交方向補正値の合成ベクトルを補正ベクトルとし、当該補正ベクトルをd−q座標にて積算するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、1つの第1の判定閾値により、偏差反転制御と推定電流FB制御とを切り替えていた。また、1つの第2の判定閾値により、FF制御と電流FB制御とを切り替えていた。他の実施形態では、制御モードの切り替えによる切り替えハンチングを避けるため、回転数が上昇する側と下降する側とで回転数の判定閾値と異なる値としてもよい。すなわち、回転数が上昇する側と下降する側とで回転数の判定閾値にヒステリシス(ヒス)を設けてもよい、ということである。この場合、上昇側の第1の判定閾値をA1u、下降側の第1の判定閾値をA1dとした場合、例えばA1u>A1dとすることが好ましいが、A1u<A1dとしてもよい。同様に、上昇側の第2の判定閾値をA2u、下降側の第2の判定閾値をA2dとした場合、例えばA2u>A2dとすることが好ましいが、A2u<A2dとしてもよい。
(ク)上記実施形態では、電流センサが1相に設けられている例について説明した。他の実施形態では、例えば制御に用いる電流を検出する電流センサ(以下、制御用センサ)の異常検出をするための独立した電流センサ(以下:異常検出用センサ)がセンサ相またはセンサ相以外の相に設けられていてもよい。例として、1相に制御用センサと異常検出用センサを設けた1相2チャンネルや、1相に制御用センサを設け、それ以外の相のいずれかに1相に異常検出用センサを設けた2相1チャンネルなどのセンサ構成が挙げられるが、どの相にいくつ設けられてもよい。
また、交流電動機の制御装置は、電動車両に適用されていたが、電動車両以外に用いてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・電動機制御装置(交流電動機の制御装置)
12・・・インバータ
13・・・電流センサ
14・・・回転角センサ
15・・・制御部(電流取得手段、回転角取得手段、電流推定手段、偏差演算手段、第1の電圧指令値演算手段、偏差反転手段、第2の電圧指令値演算手段、制御モード切替手段)
Claims (5)
- インバータ(12)によって印加電圧が制御される3相の交流電動機(2)の駆動を制御する交流電動機の制御装置(10)であって、
前記交流電動機のいずれか1相であるセンサ相に設けられる電流センサ(13)から電流検出値を取得する電流取得手段(15)と、
前記交流電動機の回転角を検出する回転角センサ(14)から回転角検出値を取得する回転角取得手段(15)と、
前記回転角検出値に基づき、前記交流電動機の回転数を演算する回転数演算手段(16)と、
前記電流検出値および前記回転角検出値に基づき、電流推定値を演算する電流推定手段(30)と、
前記交流電動機の駆動に係る電流指令値とフィードバックされる前記電流推定値との偏差を演算する偏差演算手段(22)と、
前記偏差に基づき、前記インバータの駆動に係る駆動信号の生成に用いる第1の電圧指令値を演算する第1の電圧指令値演算手段(24)と、
前記回転数が第1の判定閾値以下である場合、前記第1の電圧指令値の演算に用いる前記偏差の正負を反転期間ごとに反転する偏差反転手段(23、33)と、
を備えることを特徴とする交流電動機の制御装置。 - 前記電流指令値に基づき、前記駆動信号の生成に用いる第2の電圧指令値を演算する第2の電圧指令値演算手段(25、26)と、
前記第1の電圧指令値に基づいて前記駆動信号を生成する第1の制御モードと、前記第2の電圧指令値に基づいて前記駆動信号を生成する第2の制御モードと、を切り替える制御モード切替手段(27)と、
をさらに備え、
前記制御モード切替手段は、前記回転数が前記第1の判定閾値より小さい第2の判定閾値より大きい場合、前記第1の制御モードとし、前記回転数が前記第2の判定閾値以下である場合、前記第2の制御モードとすることを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。 - 前記制御モード切替手段は、電流指令ベクトルの位相角が始動可能範囲内である場合、前記回転数が前記第2の判定閾値以下であっても、前記第1の制御モードとすることを特徴とする請求項2に記載の交流電動機の制御装置。
- 前記第2の電圧指令値演算手段は、電動機の理論式を用い、前記電流指令値に基づいて算出される電圧指令基準値を補正して前記第2の電圧指令値を演算することを特徴とする請求項2または3に記載の交流電動機の制御装置。
- 前記反転期間は、キャリア周波数、制御周期、および、前記回転数の少なくとも1つに基づいて可変とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
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