JP5702000B2 - 電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法 - Google Patents
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Description
本発明は、電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法に関する。
昨今、エネルギー安全保障の確保、及び地球環境の負荷軽減、という観点から、再生可能エネルギーの利用拡大が推進されている。再生可能エネルギーを利用する分散電源としては、例えば、太陽光発電(以下、PV(Photovoltaic)という)または風力発電などが知られている。
分散電源でもある上記の代表的な再生可能エネルギーは、一般には、従来の火力発電または水力発電等に比べて、出力が安定しない。従って、分散電源を電力系統に接続する場合は、急激な出力変動に対応するための技術的対策が必要となる。
第1の文献には、NAS(ナトリウム硫黄)電池及びキャパシタを用いて、分散電源の出力変動を抑制するための構成が部分的に開示されている(特許文献1)。
第2の文献には、ピーク電力を平準化するための二次電池にキャパシタを並列に接続して、二次電池の充放電を補完する構成が開示されている(特許文献2)。
従来技術は、小容量の分散電源が電力系統に複数接続されている場合において、電力系統の変動にどのように対応すべきか、具体的な解決策を何ら示していない。
電力系統に接続された各二次電池または各キャパシタがそれぞれ別々に動作したのでは、電力系統の変動を抑制することができない可能性がある上に、無駄な充放電が繰り返されて二次電池等の寿命が低下する恐れもある。
電力系統に接続された各二次電池または各キャパシタがそれぞれ別々に動作したのでは、電力系統の変動を抑制することができない可能性がある上に、無駄な充放電が繰り返されて二次電池等の寿命が低下する恐れもある。
そこで、本発明の目的は、電力系統に生じる擾乱を、複数の蓄電システムを用いて適切に抑制することができるようにした電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明に係る電力系統安定化システムは、電力系統を安定化するためのシステムであって、電力系統に設けられる複数の蓄電システムと、複数の蓄電システムに通信ネットワークを介して接続される管理システムと、を備え、複数の蓄電システムは、蓄電装置と、蓄電装置を制御するための制御装置とを備え、制御装置は、自システムの性能を示す性能情報と、電力系統上の自システムの位置を示す位置情報と、擾乱発生箇所毎の自システムの動作順位を示す順位情報とを記憶する記憶部と、電力系統に擾乱が発生した場合は、位置情報及び順位情報に基づいて、所定の補償動作を実行する補償動作制御部と、を備える。
複数の蓄電システムは、電力系統に設定される所定の区域毎に予めグループ化されてもよい。複数の蓄電システムのうち、同一グループに属する複数の蓄電システムの記憶部は、位置情報及び順位情報を共有する。同一グループに属する複数の蓄電システムの補償動作制御部は、順位情報に示された動作順位に従って、所定の補償動作を実行する。
補償動作制御部は、擾乱が発生した場合に、順位情報に規定する動作順位が到来したか否かを示す情報を管理システムから取得し、動作順位が到来した場合は所定の補償動作を実行してもよい。
補償動作制御部は、擾乱が発生した場合に、順位情報に規定する動作順位が到来したか否かを示す情報を管理システムから取得し、動作順位が到来した場合は所定の補償動作を実行してもよい。
本発明の構成の少なくとも一部は、コンピュータプログラムまたはハードウェア回路として実現できるであろう。コンピュータプログラムは、例えば、インターネットのような通信媒体、ハードディスクまたはフラッシュメモリデバイスのような記録媒体を介して、配布することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、以下に詳述するように、電力系統に分散して配置される複数の蓄電システムは、電力系統上の位置を示す位置情報と動作順位を示す順位情報とを共有している。これにより、本実施形態では、順位情報に規定される順番で、複数の蓄電システムの補償動作を協調させて実行させることができる。
複数の蓄電システムは、それぞれ自分が何番目の蓄電システムであるかを示す識別情報を備えている。また、電力系統に発生する擾乱の位置に応じて、各蓄電システムの動作順位は予め設定されている。擾乱発生箇所に近い蓄電システムから先に動作するように、動作順位が定められる。擾乱発生箇所から遠い蓄電システムほど、動作順位が低下する。ここで、擾乱発生箇所から近い、または遠いとは、電路構成上の遠近を意味する。
複数の蓄電システムは、それぞれ自分が何番目の蓄電システムであるかを示す識別情報を備えている。また、電力系統に発生する擾乱の位置に応じて、各蓄電システムの動作順位は予め設定されている。擾乱発生箇所に近い蓄電システムから先に動作するように、動作順位が定められる。擾乱発生箇所から遠い蓄電システムほど、動作順位が低下する。ここで、擾乱発生箇所から近い、または遠いとは、電路構成上の遠近を意味する。
図1は、本実施例に係る電力系統安定化システム1を含む電力系統の構成図である。例えば、大規模集中発電所からの電力を所定電圧に変換して配電する変電所2には、送電線3が接続されており、送電線3からは複数の配電線4A、4Bが分岐している。特に区別しない場合、配電線4A、4Bを配電線4と呼ぶ。
送電線3または配電線4には、蓄電システム10、50が接続されている。蓄電システム10は、本実施形態の制御対象である。他の蓄電システム50は、本実施形態の制御対象ではないシステムであり、比較のために表示されている。蓄電システム10の構成は、後述する。
分散電源20は、送電線3または配電線4に接続されている。分散電源20は、例えば、太陽光発電装置21、または風力発電装置22を含んで構成される。分散電源20としては、太陽光または風力に限らず、例えば、太陽熱発電装置などでもよい。
負荷30(1)、30(2)は、需要家の有する各種の電気的負荷である。負荷30()1は、例えば、大型電動モータ等の比較的容量の大きい負荷であり、蓄電システム10は、その大規模負荷30(1)の起動及び停止のタイミングを知ることができるようになっている。なお、蓄電システム10の監視対象となる負荷30(1)は一つに限らない。蓄電システム10は、複数の負荷30(1)の起動及び停止を遠隔監視することができる。
他の負荷30(2)は、例えば、一般家庭の各種電気製品、ビルディングの空調装置、照明装置、乗客コンベア装置などである。特に区別しない場合、負荷30(1)、30(2)を負荷30と呼ぶ。
検出器40は、電力系統の状態プロセス量を検出し、検出信号を蓄電システム10に送信する。電力系統の状態プロセス量としては、周波数、位相、電圧がある。検出器40は、例えば、計器用変圧器(VT)または計器用変流器(CT)のように構成することができる。図中では、検出器40を一つだけ示すが、複数の検出器40を蓄電システム10に接続することができる。なお、電力系統は、複数の開閉器及び電圧調整器などを備えるが、本実施形態では図示を省略する。
蓄電システム10の構成を説明する。蓄電システム10は、図2で後述するように、電力系統に複数接続される。一つの蓄電システム10は、例えば、蓄電装置(11、12)と、制御装置100を備える。蓄電システム10は、管理システム60と通信ネットワークCN1を介して双方向通信可能に接続されている。
蓄電装置(11、12)は、例えば、キャパシタ11と、蓄電池12を備える。キャパシタ11は、例えば、リチウムイオンキャパシタのように構成することができる。リチウムイオンキャパシタに代えて、電気二重層コンデンサのような他のキャパシタを用いる構成でもよい。キャパシタ11は、蓄電池に較べ応答性が高く、瞬時に大電力を充放電することができる。
蓄電池12は、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル・水素二次電池、ナトリウム・硫黄二次電池(NAS電池:登録商標)のように構成される。一般的に、蓄電池12は、キャパシタ11に比べて応答性能は低いが、比較的長時間にわたって充放電することができる。つまり、蓄電池12は、充放電可能な全エネルギー量がキャパシタ11よりも大きい構成が可能である。以下、蓄電装置(11、12)の符号を省略し、蓄電装置と呼ぶ場合がある。
本実施例の蓄電装置は、上述の通り、充放電特性の異なるキャパシタ11と蓄電池12とを組み合わせて構成されている。制御装置100は、キャパシタ11及び蓄電池12を、補償動作の内容に応じて使用する。制御装置100は、例えば、急激に変動する過渡応答にはキャパシタ11の充放電で対応し、時間的に長い変動には蓄電池12の充放電で対応する。キャパシタ11及び蓄電池12の充放電性能は、特に問わない。
制御装置100は、電力系統に生じた擾乱を抑えて、電力系統を安定化させるために、所定の補償動作を実行するための装置である。制御装置100は、例えば、マイクロプロセッサ(図中、CPU:Central Processing Unit)110と、記憶部120と、入出力部(図中、I/O)130と、通信インターフェース部(図中、I/F)140とを備えて構成される。それら各回路110−140は、バス150に接続されている。
記憶部120は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクデバイス、フラッシュメモリデバイス等を含んで構成することができる。記憶部120は、オペレーティングシステムのような基本プログラム(不図示)に加えて、充放電制御部P10及び情報設定部P20をそれぞれ実現するためのコンピュータプログラムを記憶する。マイクロプロセッサ110は、記憶部120からコンピュータプログラムを読み込んで実行することで、後述する機能を実現する。
記憶部120は、例えば、固有識別情報T10と系統基本情報T11とを記憶する。また、記憶部120は、図4で述べるトポロジ情報を記憶することができる。さらに、記憶部120は、図5で述べるスケジュール制御情報T12を記憶することもできる。
入出力部130は、例えば、蓄電装置(11、12)、検出器40、特定の負荷30(1)、との間で信号を送受するための回路である。通信インターフェース部140は、通信ネットワークCN1を介して管理システム60と通信するための回路である。
管理システム60は、複数の蓄電システム10の補償動作を管理する。管理システム60は、系統基本情報T11を保持している。管理システム60は、例えば、中央給電指令所の一部として構成してもよい。中央給電指令所とは、電力系統を管理する事業者により運営される制御システムである。管理システム60は、中央給電指令所とは別のシステムとして構成してもよいし、複数の蓄電システム10のうちの一つの蓄電システム10内に、管理システム60の機能を追加する構成でもよい。さらに、管理システム60は、一つのコンピュータから構成することもできるし、複数のコンピュータを連携動作させて構成することもできる。
図2は、管理システム60が複数の蓄電システム10(1)、10(2)、10(3)と通信可能に接続されている様子を示す。特に区別しない場合、蓄電システム10(1)〜10(3)を蓄電システム10と呼ぶ。
各蓄電システム10は、通信ネットワークCN1を介して管理システム60に接続されている。各蓄電システム10は、検出器40にも接続されている。さらに、各蓄電システム10は、監視対象の負荷30(1)にも接続されている。
管理システム60は、火力発電所等の大規模発電所(集中発電所)70と通信することもできる。管理システム60は、大規模発電所70の作動と連携して、各蓄電システム10の補償動作を制御することができる。
図3は、固有識別情報T10の構成例を示す。固有識別情報T10は、各蓄電システム10を識別する情報であり、蓄電装置の性能情報を含む。固有識別情報T10は、例えば、システム識別子C100と、製造番号C101と、最大蓄電量C102と、充電性能C103と、放電性能C104と、充電残量(SoC:State of Charge)C105と、状態C106とを対応付けて管理する。
システム識別子C100は、管理システム60の管理下にある各蓄電システム10を識別するための識別子である。システム識別子C100は、蓄電システム10の設置位置に対応付けることができる。システム識別子がわかれば、その蓄電システム10が電力系統のどこに設置されているのか知ることができる。製造番号C101は、蓄電システム10の製造番号を示す情報である。
最大蓄電量C102は、蓄電装置が蓄えることのできる電力量である。充電性能C103は、蓄電装置の充電性能である。放電性能C104は、蓄電装置の放電性能である。充電残量C105は、蓄電装置の現在の蓄電量である。ここでは、キャパシタ11及び蓄電池12を区別せずに表示する。実際には、キャパシタ11と蓄電池12とは、別々の装置として、それぞれの性能が管理される。
状態C106は、蓄電システム10の状態を示す。状態としては、正常状態または異常状態、停止状態などがある。なお、図3に示す情報以外の情報、例えば、製造者名、製造年月日、バージョン情報なども固有識別情報T10で管理することができる。
図4は、系統基本情報T11の構成例である。系統基本情報T11は、電力系統における蓄電システム10の位置、状態、所属先グループ、動作順位及びスケジュール等を管理する。
系統基本情報T11は、例えば、管理番号C110と、システム識別子C111と、製造番号及び付加情報C112と、存在フラグC113と、有効フラグC114と、トポロジ確認フラグC115と、グループ番号C116と、動作順位C117と、スケジュール制御C118とを含む。
管理番号C110は、各行の連続番号である。システム識別子C111は、各蓄電システム10を識別する識別子であり、図3で述べた識別子C100と同一内容である。製造番号及び付加情報C112は、蓄電システム10の製造番号と、蓄電システムの充放電性能とを含む情報である。
存在フラグC113は、蓄電システム10が現在存在しているか否かを示す。存在している場合は「1」が設定され、存在していない場合は「0」が設定される。例えば、蓄電システム10が撤去されたような場合、存在フラグに「0」が設定される。
有効フラグC114は、蓄電システム10が現在有効であるか否かを示す。有効の場合は「1」が設定され、無効な場合は「0」が設定される。蓄電システム10が有効とは、蓄電システム10が所定の補償動作を正常に実行しうる状態にあること、である。例えば、修理または点検等のために蓄電システム10が停止している場合、有効フラグC114には「0」が設定される。例えば、蓄電システム10に障害が発生している場合も、有効フラグC114には「0」が設定される。
トポロジ確認フラグC115は、蓄電システム10が電力系統の構成であるトポロジ情報を確認して、記憶部120に記憶したか否かを示す。トポロジ情報は「位置情報」に該当する。トポロジ情報は、各蓄電システム10及び負荷30等がどの配電線のどこに接続されているかを示す情報である。
最新のトポロジ情報が蓄電システム10の記憶部120に記憶されている場合、トポロジ確認フラグC115には「1」が設定される。蓄電システム10の記憶部120に最新のトポロジ情報が記憶されていない場合、トポロジ確認フラグC115には「0」が設定される。
グループ番号C116は、蓄電システム10の所属するグループを特定するための情報である。グループは、電力系統について予め設定される所定の区域を示す。例えば、「北部再開発地区」、「東部住宅地区」、「西部工業地区」等のように、電力系統の関与する地理的範囲を電気的特性に基づいて区分けすることで、複数のグループを設定することができる。例えば、地理的範囲を、変圧器、変電所、開閉器、遮断器などの設置位置で区分けしてグループを設定することができる。
動作順位C117は、蓄電システム10が所定の補償動作を行う場合の順番を示す情報である。系統基本情報T11の動作順位C117の欄は、「順位情報」に該当する。ここでは、順位「1」が最も順番が早く、番号が大きくなるほど順番が遅くなる場合を例に挙げる。
最も高い第1順位に設定された蓄電システム10は、所属するグループ内で擾乱が発生した場合に、管理システム60からの指示または通知を待つことなく、ただちに所定の補償動作を開始できる。第1順位以外の動作順位に設定された他の蓄電システム10は、自システムの動作順位よりも若い動作順位を有する蓄電システム10による補償動作が開始された後で、所定の補償動作を開始する。
ここで、擾乱とは、予め設定される閾値を超えて、電圧または周波数または位相が変動することを意味する。即ち、予め指定される状態プロセス量が、指定された許容範囲から外れた場合に、擾乱が発生したと判定される。
所定の補償動作とは、擾乱を抑えて電力系統を安定化するために必要な動作である。電力系統の電圧が電圧下限値以下に低下した場合、蓄電システム10は、それに対する補償動作として、蓄電装置から電力系統に無効電力を供給する。電力系統の電圧が電圧上限値以上の場合、それとは逆の動作を補償動作として、蓄電システム10は実行する。
電力系統の周波数が周波数下限値以下に低下した場合、蓄電システム10は、それに対する補償動作として、蓄電装置から電力系統に有効電力を供給する。電力系統の周波数が周波数上限値以上の場合、それとは逆の動作を補償動作として、蓄電システム10は実行する。
スケジュール制御C118は、蓄電システム10に設定されるスケジュール制御情報T12を特定するための情報である。
図5を参照して、スケジュール制御情報T12の構成例を説明する。スケジュール制御情報T12は、例えば、管理番号C120と、対象機器番号C121と、日時C122と、動作内容C123とを対応付けて管理する。
管理番号C120は、個別のスケジュールを管理する連続番号である。対象機器C121は、スケジュールに従って動作すべき蓄電素子(キャパシタ11または蓄電池12のいずれか)を特定するための情報である。日時C122は、対象の蓄電素子が動作すべき日時である。動作内容C123は、対象の蓄電素子の動作内容(放電または充電のいずれか)である。
例えば、住宅地区などで、平日の特定の時間帯(例えば7時頃)に炊飯の準備が始まり、炊飯器または電子レンジなどが一斉に動作することが事前にわかっている場合、その負荷変動を抑制するためのスケジュール制御が立案される。住宅地区のグループに属する各蓄電システム10には、炊飯に起因する負荷変動を抑制するためのスケジュール制御が設定される。例えば、そのスケジュール制御では、高速応答可能なキャパシタ11から先に放電させ、続いて、蓄電池12から放電させる。これにより、住宅地区で定期的に発生する負荷変動を未然に抑制することができる。
別の例を説明する。例えば、工業地区などで、工場稼働日の特定の時間帯に、大型電動モーターまたは電気溶接機などが起動することが事前にわかっている場合、その負荷変動を抑制するためのスケジュール制御が立案される。工業地区のグループに属する各蓄電システム10には、工場の電気機器(製造設備等)の起動または停止に起因する負荷変動を抑制するためのスケジュール制御が設定される。例えば、そのスケジュール制御では、高速応答可能なキャパシタ11から先に放電させ、続いて蓄電池12から放電させる。これにより、工業地区で定期的に発生する負荷変動を未然に抑制することができる。
このように、本実施例では、安定化対象の電力系統によって電力が供給される地域を、電気的特性(一般住宅用の電気供給を行う地区か、それとも工業用の高圧電気を供給する地区か等)に基づいて複数の地域に区分けし、各地域にグループを設定する。そして、各地域に配置されている蓄電システム10を、その地域のグループに所属させる。
各グループは、安定化対象の電力系統により電力が供給される地域を電気的特性に従って区分けしたものであるから、各グループ毎に、それぞれの担当区域の電気的特性に応じた負荷変動が定期的に発生しうる。一般家庭の多い区域では、炊飯時及び入浴時等に電力消費量が増大し、昼間の電力消費量は比較的少ないという特質を有する。工場の多い区域では、工場の操業時間に合わせて電力消費量が変動するという特質を有する。
本実施例では、グループの担当する区域の特質に応じたスケジュール制御を、そのグループに属する各蓄電システム10に予め設定するため、グループの担当区域での定期的な負荷変動を未然に抑制し、電力系統の安定を維持することができる。さらに、本実施例では、後述のように、グループ内の各蓄電システム10に動作順位を予め設定し、かつ、第1順位の蓄電システム10は直ちに補償動作を開始可能としている。従って、グループの担当する区域で、突発的な負荷変動(擾乱)が発生した場合でも、その不規則に発生した負荷変動を速やかに抑制して電力系統を安定化させることができる。
図6は、管理システム60が各蓄電システム10に対して所定の情報を設定するための処理を示すフローチャートである。
電力系統安定化システムの管理者(例えば、電力系統の管理者等)は、管理システム60を介して、各蓄電システム10に所定の情報を登録することができる。ここでは、1つの蓄電システム10に情報を設定する場合を説明する。複数の蓄電システム10に情報を設定する場合は、図6に示す処理を繰り返し実行すればよい。
管理システム60は、情報を設定しようとする蓄電システムが管理対象の蓄電システム10であるか判定する(S10)。電力系統には、管理システム60の管理対象ではない蓄電システム50も含まれている可能性があるためである。
管理対象の蓄電システムではない場合(S10:NO)、管理システム60は、その蓄電システム50を電力系統安定化システムから除外する(S11)。電力系統安定化システムから除外するとは、電力系統に擾乱が発生した場合に、その管理対象外の蓄電システム50が、その擾乱に対応する充放電動作をしないように禁止することを意味する。例えば、管理システム60は、管理対象の蓄電システム50の管理責任者などに、電子メール等の通知手段を用いて、擾乱に対応する充放電動作の禁止を要請する。
情報を設定しようとする蓄電システムが管理対象の蓄電システム10である場合(S10:YES)、管理システム60は、その蓄電システム10が利用可能であるかを判定する(S12)。即ち、管理システム60は、例えば、その蓄電システム10が正常に稼働できる状態にあるか否か、さらに、その蓄電システム10が補償動作に必要な充電残量(SoC)を有するか否か、を判定する。
蓄電システム10が正常稼働状態にないか、または、必要な充電残量を有さない場合、の少なくともいずれかである場合、管理システム60は、その蓄電システム60を利用できないと判定する(S12:NO)。
管理システム60は、利用できないと判定した蓄電システム10を電力系統安定化システムから除外する(S13)。電力系統安定化システムから除外するとは、擾乱発生時に、その蓄電システム10による補償動作を行わないことを意味する。この場合、管理システム60は、除外対象の蓄電システムについて、系統基本情報T11の有効フラグC114に「0」を設定する。除外された蓄電システムの属するグループでは、正常な他の蓄電システムだけで、電力系統の擾乱に対応することになる。
情報を設定しようとする蓄電システム10が利用可能である場合(S12:YES)、管理システム60は、記憶部120に、系統基本情報T11及びスケジュール制御情報T12を設定する(S14)。
管理システム60は、各蓄電システム10に系統基本情報T11等をほぼ同時に設定してもよいし、順番に設定してもよい。
既存の蓄電システム10が撤去される場合を検討する。
撤去される蓄電システム10の近くに予備の蓄電システム10が設置されている場合、管理システム60は、撤去される蓄電システム10に設定されていた系統基本情報T11等と同一内容の情報を、予備の蓄電システム10の稼働前に、予備の蓄電システム10に設定する。
既存の蓄電システム10が撤去される場合を検討する。
撤去される蓄電システム10の近くに予備の蓄電システム10が設置されている場合、管理システム60は、撤去される蓄電システム10に設定されていた系統基本情報T11等と同一内容の情報を、予備の蓄電システム10の稼働前に、予備の蓄電システム10に設定する。
図7は、蓄電システム10で実行される補償動作処理のフローチャートである。蓄電システム10は、検出器40からの検出信号に基づいて、電力系統に擾乱が発生したか監視している(S20)。ここでは、系統擾乱を単に擾乱と呼ぶ。
擾乱が発生した場合(S20:YES)、蓄電システム10は、検出器40からの検出信号を解析することで、擾乱の発生した箇所を特定できたか判定する(S21)。擾乱の発生点を特定できない場合(S21:NO)、蓄電システムは管理システム60に対して、擾乱の発生に関する情報を問い合わせる(S22)。なお、例えば、擾乱への対応が急がれるような場合、擾乱の発生を検出した時点で(S20:YES)、管理システム60に擾乱の発生に関する情報を問い合わせてもよい(S22)。
蓄電システム10は、擾乱の発生点を確認した後(S21:YES)、補償動作させる機器(キャパシタ11、蓄電池12)を決定する(S22)。例えば、擾乱に速やかに対応する場合は、応答性の高いキャパシタ11が選択される。
蓄電システム10は、系統基本情報T11の動作順位C117を参照して、自システムの動作順位を確認する(S24)。自システムが動作すべき順番が来たことを確認した後(S24:YES)、蓄電システム10は、所定の補償動作を開始する(S25)。
動作順位が第1順位の場合、蓄電システム10は、所属するグループの担当区域で生じた擾乱に、最初に対応すべき蓄電システムである。従って、第1順位の蓄電システム10は、管理システム60からの通知を待つことなく、直ちに補償動作を開始し、擾乱を抑制または軽減する。
動作順位が第1順位以外の場合、蓄電システム10は、管理システム60からの通知を待ち、自システムの順番が到来したことを確認してから、補償動作を開始する。例えば、第3順位の蓄電システム10の場合、第1順位の蓄電システムと第2順位の蓄電システムとがそれぞれ補償動作を開始した後で、補償動作を開始する。
蓄電システム10は、補償動作が完了したかを判定する(S26)。最初に選択された機器(例えばキャパシタ11)の充放電動作だけで擾乱を解消できた場合(S26:YES)、蓄電システム10は、管理システム60に通知する(S27)。
最初の機器だけでは擾乱を解消できない場合(S26:NO)、蓄電システム10は、S23に戻り、次に充放電動作させるべき機器(例えば蓄電池12)を選択する。蓄電システム60は、新たに選択された機器を用いて補償動作を開始する(S25)。
蓄電システム10が利用できる全ての機器(蓄電装置)を作動させた結果、擾乱が収まった場合、蓄電システム10は、補償動作が完了したと判定し(S26:YES)、管理システム60に補償動作の完了を通知する(S27)。
ここで、蓄電システム10は、一つの機器(例えばキャパシタ11)を充放電動作させた後で、その充放電動作による擾乱抑制効果を確認してから、次の機器(例えば蓄電池12)を充放電動作させることができる(S25、S26)。
電力系統の構成、擾乱の発生した位置等によっては時定数が大きく、充放電によって擾乱が抑制されるまで多少の時間を要する場合があるためである。そのような場合に、直ちに他の機器を充放電させると、ハンチング現象が生じるおそれがある。そこで、充放電による補償の効果を確認するための系統固有の待機時間を設定し、系統固有の待機時間が経過するのを待ってから、次の機器を充放電させる構成としてもよい。
または、先の機器が充放電した後、所定の時間が経過するまで、強制的に充放電動作を禁止するモードに移行させてもよい。
一つの蓄電システム10内において、複数の機器(キャパシタ11、蓄電池12)を切り替えて動作させる場合を述べたが、複数の蓄電システム間で補償動作を切り替える場合にも適用することができる。
例えば、或る蓄電システム10の補償動作が実行された場合、所定の時間を待ってから、次の蓄電システム10による補償動作を開始させることができる。第2順位以下の蓄電システム10による補償動作の開始タイミングは、管理システム60が調整する。
なお、各蓄電システム10の動作順位及び補償動作の内容等は、事前のシミュレーション処理で決定することができる。例えば、管理システム60は、種々の擾乱を想定し、擾乱毎に、その擾乱の近辺に設置された蓄電システム10の補償動作の動作パターンを網羅する。管理システム60は、網羅されたパターン毎に、補償動作による効果をそれぞれ予測して、系統基本情報T11に、動作順位及び補償動作の内容を設定する。
図4の系統基本情報T11では、説明の便宜上、動作順位を一つだけ示している。実際には、複数の擾乱のそれぞれについて、動作順位を設定することができる。例えば、或る蓄電システム10は、一方の擾乱に関して第1順位で補償動作し、他方の擾乱については第3順位で補償動作する。
なお、管理システム60は、シミュレーション処理を、定期的または不定期に実行して、系統基本情報T11を適宜アップデートすることもできる。管理システム60内で更新された最新の系統基本情報T11は、管理下にある全ての蓄電システム10に対し、ほぼ同時に設定されるのが好ましい。同時に更新できない場合、管理システム60は、更新可能な蓄電システム10から先に、系統基本情報T11を更新させることができる。
図8は、管理システム60による補償動作の順序を管理する処理を示すフローチャートである。管理システム60は、蓄電システム10から通信ネットワークCN1を介して、補償動作の完了報告を受領する(S30:YES)。
管理システム60は、系統基本情報T11を参照して、次に動作すべき蓄電システム10が有るか確認する(S31)。次に動作すべき蓄電システム10が有る場合(S31:YES)、管理システム60は、その蓄電システム10に対し、補償動作を開始できる旨を通知する(S32)。
次に動作すべき蓄電システム10が無い場合(S31:NO)、管理システム60は、本処理を終了する。グループ内の全ての利用可能な蓄電システム10を作動させても、擾乱が収まらない場合、管理システム60は、他のグループに属する蓄電システム10の中から一つまたは複数の蓄電システム10を選択して、補償動作を開始させてもよい。
他のグループ内の蓄電システム10を利用しても擾乱が収まらない場合、または、他のグループ内に利用可能な蓄電システム10が無い場合、管理システム10は、電力系統を管理する中央給電指令所のコンピュータシステムに、協力を要請することもできる。その要請を受けた中央給電指令所は、例えば、擾乱の生じているある配電線4と電力系統との連系を遮断したり、大規模発電所70の出力を調整したりする。
図9は、スケジュール制御処理を示すフローチャートである。図9は、起動または停止に関する動作情報を蓄電システム10が取得可能な負荷30(図1の負荷30(1))を例に挙げて説明する。
蓄電システム10は、スケジュール制御情報T12を参照し、スケジュール制御情報T12で予定されている所定タイミングが到来したか判定する(S40)。
蓄電システム10は、予定されたタイミングが到来すると(S40:YES)、対象負荷30の動的特性に応じた補償容量を算出したり、予め設定されている対応する参照データを読み取ったりする(S41)。蓄電システム10は、対象負荷30の動作情報を取得する(S42)。
蓄電システム10は、対象負荷30の起動を検出すると、所定の補償動作を開始する(S43)。蓄電システム10は、対象負荷30が起動する前に、所定の補償動作を開始してもよい。負荷の種類等によっては、蓄電システム10は、負荷30の作動が停止した場合に、所定の補償動作を実行することもできる。
なお、負荷30の動作情報を取得できない場合であっても、電力需給バランスの履歴または統計情報から、電力需要の変動が一定の確率以上で見込まれる場合もある。そのような場合についても、一つまたは複数の蓄電システム10をスケジュール制御情報T12に従って作動させることで、対応することができる。
図10は、ループ状の電力系統において擾乱が発生した場合の対応方法を説明するための図である。蓄電システム10(4)、10(5)、10(6)は、ループ状の電力系統に接続されている。
ループ状の電力系統の一部を構成する配電線4cのどこかで擾乱DPが発生した場合を検討する。蓄電システム10(5)と蓄電システム10(6)は、その擾乱DPを挟み込むようにして位置している。換言すれば、蓄電システム10(5)と蓄電システム10(6)の間で、擾乱DPが発生したと仮定する。
その擾乱DPについて、蓄電システム10(5)の動作順位が第1位、蓄電システム10(6)の動作順位が第2位の場合、第1位の蓄電システム10(5)は、直ちに補償動作を開始する。第2位の蓄電システム10(6)は、管理システム60からの通知を待ってから、補償動作を開始する。
図11は、電力系統に多数の分散電源21(1)〜21(5)、22(1)〜22(3)と、多数の負荷30(3)〜30(7)と、多数の蓄電システム10(7)〜10(10)とが設けられている場合を示す。
例えば、図11の下側に示す負荷30(6)で電力需要が増大した場合、その負荷30(6)に最も近く、第1順位の動作順位を有する蓄電システム10(10)が、矢印(I)で示すように、直ちに補償動作を開始する。
他の負荷30(7)で電力需要が増大した場合を説明する。その負荷30(7)に最も近く、かつ、第1順位の蓄電システム10(10)が、矢印(II)で示すように、直ちに補償動作(放電)を開始する。蓄電システム10(10)の補償動作だけでは足りない場合、矢印(III)で示すように、他の配電線4fに接続された蓄電システム10(9)が、配電線4gに向けて電力を供給する。
蓄電システム10と電力系統間での電力のやり取りにおいて、充電開始時点または放電開始時点における潮流の向きは一意的に定まる。従って、以下のように、位相を特定するものとする。
即ち、蓄電システム10から電力系統に電力を送り込む場合(放電時)、同期条件が成立する位相差の尤度範囲を維持しつつ、蓄電システム10の位相を電力系統の位相よりも少し進める。電力系統から蓄電システム10に電力を送り込む場合(充電時)、同期条件が成立する位相差の尤度範囲を維持しつつ、蓄電システム10の位相を電力系統の位相よりも少し遅らせる。このように位相を調整することで、放電時及び充電時の、電力の流れの方向に沿った制御結果を得ることができる。
図11中の蓄電システム10(8)のように、系統側に遮断器80が設けられている場合を検討する。遮断器80の両端が交流回路として存在しており、「同期投入操作」に該当する動作を行う場合、上述の位相調整を行う。遮断器80の代わりにパワーコンディショナが電流の流れを制御している場合であっても、その両端側が交流回路であるならば、上述の位相調整を行う。
本実施例では、複数の蓄電システム10が電力系統に分散して配置されており、面としての広がりを有する。さらに、複数の蓄電システム10は、その設置場所でそれぞれ補償動作を行う。このように、本実施例では、複数の小規模な蓄電システム10がそれぞれ補償動作するため、無駄な潮流の発生をできるだけ防止する。無駄な潮流を防止するために、遮断器投入タイミングも対象として、その充放電時には、上述の位相調整を実施する。
このように構成される本実施例では、擾乱が生じた場合に、その近傍に位置する蓄電システム10が補償動作を開始するため、擾乱の影響範囲が広がるのを抑制できる。
本実施例では、複数の蓄電システム10をグループ管理し、グループ内の各蓄電システム10に動作順位を設定する。従って、本実施例では、電力系統に分散配置された複数の蓄電システム10が協調して、電力系統を安定化することができる。ここで、動作順位の設定の考え方として、同一順位のものが複数あったとしても構わないものとする。なぜなら制御上の因果関係の混乱がなく、結果的に系統安定の制御効果が上がることが重要であるためである。
以上は、補償制御の効果を挙げるまでの手順説明である。系統が安定判断可能な領域に復帰するか、または、することが自明であるようなとき、擾乱の収束を、各制御装置及び管理システムは、認識しなければならない。従って、その判断と収束のシステム内宣言(制御動作不要となったタイミングの通知)を設けるものとする。その後、各蓄電システム個々の装置の充電状態を制御開始前の状態に復帰させるシーケンスに移行させる。これは、次なる制御アクションの要請が発動される場合のことを想定したリセット動作である。次の制御アクションに備えるために系統との相互作用がなされる。このため、その影響が大きすぎては元も子もない。従って、スタンバイ復帰のための充放電(リセット動作のための充放電)は、問題のない影響範囲での量的な制御下で行うものとする。特に、増減傾向が逆動作特性となるような蓄電システムが、近隣に存在するのであれば、それらの動作を系統上影響度では相殺可能なようにタイミングを合わせる等の工夫をする。
本実施例では、擾乱発生時に、第1順位の蓄電システム10は、管理システム60からの通知を待たずに直ちに補償動作を開始し、他の順位の蓄電システム10は管理システム60からの通知を待って補償動作を開始する。従って、擾乱に関連する複数の蓄電システム10が個別に補償動作を開始するのを防止し、所定の順番通りに秩序だって補償動作を行うことができる。これにより、ハンチングまたはオーバーシュート等の発生を防止し、効果的に電力系統を安定化することができる。
図12を参照して第2実施例を説明する。本実施例を含む以下の各実施例は、第1実施例の変形例に該当する。そこで、第1実施例との相違を中心に説明する。本実施例では、管理システム60と蓄電システム10との間に通信状態に応じて、動作モードを自動的に切り替える。
図12は、蓄電システム10により実行されるモード切替処理を示すフローチャートである。蓄電システム10は、管理システム60との間で、通信状態を判定するための通信を定期的に行っているものとする(S50)。
蓄電システム10は、通信障害の発生を検知すると(S50:YES)、自律モードに移行する(S51)。ここにいう自律モードとは、管理システム60からの通知を待たずに、検出器40で検出された擾乱に応じて、補償動作を開始することを意味する。管理システム60との間の通信に障害が発生しており、管理システム60からの通知を受け取ることができない可能性があるためである。
蓄電システム10は、管理システム60との間の通信が正常状態に復帰したことを検出すると(S52:YES)、協調モードに移行する(S53)。協調モードとは、グループ内の各蓄電システム10と協調して補償動作を行うモードであり、その詳細は第1実施例で述べた通りである。
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、管理システム60との間の通信に障害が発生した場合は、協調モードから自律モードに移行するため、管理システム60からの通知をいたずらに待ち続けて、補償動作の開始が遅れるのを防止することができる。
なお、ハンチング等を防止するために、自律モードでの補償容量を、協調モードでの補償容量よりも少なく設定する構成でもよい。
図13を参照して第3実施例を説明する。本実施例では、補償方法の異なる複数の擾乱が検出された場合の制御を説明する。
図13は、本実施例による蓄電システム10が実行する補償動作処理のフローチャートである。本処理は、図7に示す処理のS20〜S27を全て備える。さらに、本処理は、新規なステップS60、S61を備える。
蓄電システム10は、例えば、擾乱の発生点を特定した後で(S21:YES)、傾向の異なる他の擾乱が発生しているか判定する(S60)。傾向の異なる他の擾乱とは、S20で検出された擾乱と内容の異なる擾乱であり、求められる補償動作の内容が相違する擾乱である。る。例えば、一方の擾乱が、電力需要の増大に起因するもので、その補償動作として放電が求められていると仮定する。一方の擾乱と傾向の異なる他方の擾乱とは、例えば、電力需要の低下に起因するもので、その補償動作として充電が求められているような場合である。
このように、補償動作の異なる擾乱が同時に発生した場合、蓄電システム10は、ロックモードに移行する(S61)。ここでのロックモードとは、補償動作を行わないモードである。
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、傾向の異なる擾乱が同時に発生した場合、蓄電システム10はロックモードに移行し、補償動作を行わない。これにより、いずれの擾乱も抑制できないが、少なくともいずれか一方の擾乱が拡大するのを防止することができる。
図14を参照して第4実施例を説明する。本実施例では、管理システム60の有する機能を、複数の蓄電システム10のうち指定された蓄電システム内に設ける。管理システム60の機能を有する蓄電システム10は、指示された場合に、所定地域内の複数の蓄電システム10の全体を管理する。
蓄電システム10には、第2の管理システム61が通信ネットワークCN2を介して接続されている。管理者は、第2の管理システム61を介して、複数の蓄電システム10のうち所定の蓄電システム10に所定の指示を与える。これにより、所定の蓄電システム10は、他の蓄電システム10を管理する管理システムとしての機能も発揮する。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
例えば、本発明は、例えば、以下に記載するように、蓄電システムの発明として表現することもできる。
「表現1.電力系統を安定化するために設けられる蓄電システムであって、
蓄電装置と、
前記蓄電装置を制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、
自システムの性能を示す性能情報と、電力系統上の自システムの位置を示す位置情報と、自システムの動作順位を示す順位情報とを記憶する記憶部と、
前記電力系統に擾乱が発生した場合は、前記位置情報及び前記順位情報に基づいて、所定の補償動作を実行する補償動作制御部と、
を備える蓄電システム。
蓄電装置と、
前記蓄電装置を制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、
自システムの性能を示す性能情報と、電力系統上の自システムの位置を示す位置情報と、自システムの動作順位を示す順位情報とを記憶する記憶部と、
前記電力系統に擾乱が発生した場合は、前記位置情報及び前記順位情報に基づいて、所定の補償動作を実行する補償動作制御部と、
を備える蓄電システム。
表現2.予め設定されるグループに対応付けられており、
前記位置情報及び前記順位情報は、同一グループに属する他の蓄電システムとの間で共有されており、
前記補償動作制御部は、前記順位情報に示された前記動作順位に従って、前記所定の補償動作を実行する、
表現1に記載の蓄電システム。
前記位置情報及び前記順位情報は、同一グループに属する他の蓄電システムとの間で共有されており、
前記補償動作制御部は、前記順位情報に示された前記動作順位に従って、前記所定の補償動作を実行する、
表現1に記載の蓄電システム。
表現3.前記補償動作制御部は、前記所定の補償動作を実行した旨を、通信ネットワークを介して管理システムに通知する、
表現3に記載の蓄電システム。」
表現3に記載の蓄電システム。」
なお、本発明は、擾乱発生点と最も近接した蓄電システムから順番に動作させ、電路構成上の遠方に向かって動作の順位を低く設定するようにした発明として表現することもできる。
1:電力系統安定化システム、10:蓄電システム、20:分散電源、30:負荷、40:検出器、60:管理システム
Claims (20)
- 電力系統を安定化するためのシステムであって、
前記電力系統に設けられる複数の蓄電システムと、
複数の前記蓄電システムに通信ネットワークを介して接続される管理システムと、
を備え、
複数の前記蓄電システムは、
蓄電装置と、
前記蓄電装置を制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、
自システムの性能を示す性能情報と、電力系統上の自システムの位置を示す位置情報と、擾乱発生箇所毎の自システムの動作順位を示す順位情報とを記憶する記憶部と、
前記電力系統に擾乱が発生した場合は、前記位置情報及び前記順位情報に基づいて、所定の補償動作を実行する補償動作制御部と、
を備える電力系統安定化システム。 - 複数の前記蓄電システムは、電力系統に設定される所定の区域毎に予めグループ化されており、
複数の前記蓄電システムのうち、同一グループに属する複数の蓄電システムの記憶部は、前記位置情報及び前記順位情報を共有(同一内容を同時点で保持)しており、
同一グループに属する複数の前記蓄電システムの前記補償動作制御部は、前記順位情報に示された前記動作順位に従って、前記所定の補償動作を実行する、
請求項1に記載の電力系統安定化システム。 - 前記補償動作制御部は、前記所定の補償動作を実行した旨を前記管理システムに対して通知する、
請求項2に記載の電力系統安定化システム。 - 前記補償動作制御部は、前記擾乱が発生した場合に、前記順位情報に規定する前記動作順位が到来したか否かを示す情報を前記管理システムから取得し、前記動作順位が到来した場合は前記所定の補償動作を実行する、
請求項3に記載の電力系統安定化システム。 - 前記記憶部には、さらに電力系統に接続された電気負荷の作動予定に関するスケジュール情報が記憶されており、
前記補償動作制御部は、前記擾乱が検出される前であっても、前記スケジュール情報に従って、前記所定の補償動作を実行する、
請求項4に記載の電力系統安定化システム。 - 前記補償動作制御部は、前記電力系統に擾乱が発生した場合において、前記順位情報に規定されている自システムの動作順位が第1順位であるときは直ちに前記所定の補償動作を実行し、自システムの動作順位が第1順位以外の順位であるときは、前記管理システムから前記動作順位が到来したことを示す情報を取得した後で、前記所定の補償動作を実行する、請求項4に記載の電力系統安定化システム。
- 前記補償動作制御部は、傾向の異なる複数の擾乱が検出された場合、前記所定の補償動作の実行を禁止する、
請求項1〜6のいずれかに記載の電力系統安定化システム。 - 前記補償動作制御部は、
前記管理システムとの間の通信に障害が発生した場合、予め設定された自律モードに移行して、検出された擾乱を解消するための、予め設定された補償動作を実行し、
前記管理システムとの間の通信が回復した場合は、前記自律モードから協調モードに移行して、前記位置情報及び前記順位情報に従って前記所定の補償動作を実行する、
請求項1〜6のいずれかに記載の電力系統安定化システム。 - 前記管理システムは、前記通信ネットワークを介して、複数の前記蓄電システムの前記記憶部に、前記位置情報及び前記順位情報を設定する、
請求項1〜6のいずれかに記載の電力系統安定化システム。 - 複数の前記蓄電システムの前記記憶部には、さらに前記補償動作制御部による前記所定の補償動作が有効であるかを示す有効判定情報が含まれており、
前記管理システムは、複数の前記蓄電システムのうち、正常に動作し、かつ、前記蓄電装置が前記所定の補償動作に応じた蓄電量を有する蓄電池システムの記憶部に対して、前記有効判定情報を設定し、
複数の前記蓄電システムの前記補償動作制御部は、前記有効判定情報に有効と設定されている場合にのみ、前記擾乱がされたときに前記所定の補償動作を実行する、
請求項1〜6のいずれかに記載の電力系統安定化システム。 - 前記蓄電装置には、比較的応答性能が高く、かつ、比較的大きな電力を充放電可能なキャパシタと、比較的応答性能が低く、かつ、比較的大きな電力量を充放電可能な蓄電池とが含まれており、
前記補償動作制御部は、前記キャパシタ及び前記蓄電池のうち前記擾乱に適した蓄電池を選択して前記所定の補償動作を実行する、
請求項1〜6のいずれかに記載の電力系統安定化システム。 - 電力系統を安定化するための方法であって、
前記電力系統に設けられる複数の蓄電システムは、蓄電装置と、前記蓄電装置を制御するための制御装置とを備えており、
複数の前記蓄電システムに接続される管理システムにより、前記制御装置に対して、自システムの性能を示す性能情報と、電力系統上の自システムの位置を示す位置情報と、自システムの動作順位を示す順位情報とを設定する情報設定ステップと、
前記電力系統に擾乱が発生したか検出する擾乱検出ステップと、
前記擾乱が検出された場合、前記位置情報及び前記順位情報に基づいて、所定の補償動作を実行する補償動作ステップと、
を実行する電力系統安定化方法。 - 複数の前記蓄電システムは、電力系統に設定される所定の区域毎に予めグループ化されており、
複数の前記蓄電システムのうち、同一グループに属する複数の蓄電システムの前記補償動作制御部は、前記順位情報に示された前記動作順位に従って、前記所定の補償動作を実行する、
請求項12に記載の電力系統安定化方法。 - 前記補償動作ステップは、前記擾乱が発生した場合に、前記順位情報に規定する前記動作順位が到来したか否かを示す情報を前記管理システムから取得し、前記動作順位が到来した場合は前記所定の補償動作を実行する、
請求項13に記載の電力系統安定化方法。 - 前記情報設定ステップでは、さらに、電力系統に接続された電気負荷の作動予定に関するスケジュール情報が前記制御装置に設定され、
前記補償動作ステップは、前記擾乱が検出される前であっても、前記スケジュール情報に従って、前記所定の補償動作を実行する、
請求項14に記載の電力系統安定化方法。 - 請求項12〜15のいずれかに記載の電力系統安定化方法において、
補償制御動作後の次段制御概念として、系統との接続点における電圧または周波数のプロセス量に基く変動上限制約と設定を以って、予め設定しておいたリセット充電状態までの復帰動作を行う、電力系統安定化方法。 - 請求項16記載の電力系統安定化方法において、
前記リセット充電状態までの復帰動作前の状態に関し、リセット状態の充電状態に対して過剰分と不足分がある場合に、全体として全充電電力の値と全放電電力の値を相殺するようにバランスさせるための制御目標を設定する、電力系統安定化方法。 - 請求項12〜17のいずれかに記載の電力系統安定化方法において、
前記管理システムの機能を前記制御装置のうちの指定された制御装置内で実現させ、指示により前記管理システムの機能を発揮して複数の前記蓄電システムを管理させる、電力系統安定化方法。 - 請求項18記載の電力系統安定化方法において、
前記管理システムの前記機能を実現または発揮させる蓄電システムを指定するための所定の指示を発行することができる、電力系統安定化方法。 - 請求項18または19のいずれかに記載の電力系統安定化方法において、
第2の管理システムを設け、前記第2管理システムを介して、前記所定の指示を発行させる、電力系統安定化方法。
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