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JP5709180B2 - エポキシ化方法 - Google Patents
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Description

本発明は、オレフィン性不飽和化合物を触媒の存在下で酸化する方法に関する。
エポキシ化方法は、公知である。最先端の技術としては、例えば、「Boer de, Johannes W., “cis−Dihydroxylation and Epoxidation of Alkenes by Manganese Catalysts Selectivity, Reactivity and Mechanisms”, University of Groningen, 2008」などを挙げることができる。De Boerは、完全な反応性が観察され得る前に遅滞期間(lag period)を示すのがマンガン触媒に特徴的であると記載している。上記で記載されている遅滞期間は、工業用の方法において僅かしか反応しない期間を生じるであろう。さらに、この遅滞期間は、望ましくない副反応を生じる可能性があり、並びに/又は、触媒が当該反応方法において(再)使用可能となる前の時間がかかる触媒の処理及び/若しくは余分なホールドアップが必要となる。提供されている本発明は、遅滞期間を前処理又はホールドアップ時間を必要としない最小限度にまで低減する。さらに、提供されている本発明は、実施可能なより優れた触媒をもたらす。
従って、本発明は、酸性条件下、触媒の存在下でオレフィン性不飽和化合物を酸化剤と反応させることを含むエポキシ化方法を提供し、ここで、その触媒は、当該反応に先立って当該反応中のpHよりも高いpHで活性化させる。
一実施形態では、本発明は、エポキシド生成物を形成させる方法を提供し、ここで、前記方法は、触媒を、酸又は酸の緩衝溶液及び第1のpHを有する第1の酸化剤〔ここで、前記触媒は、一般式(I):[LMnX]Y(I)の単核化学種又は一般式(II):[LMn(μ−X)MnL]Y(II)の二核化学種[ここで、Mnは、マンガンであり;Lは、又は、各Lは独立して、多座配位子であり;各Xは、独立して、配位化学種であり、及び、各μ−Xは、独立して、配位架橋化学種であり;Yは、非配位対イオンを含んでいる]を有している水溶性マンガン錯体を含んでいる〕と反応させること;及び、次いで、オレフィン性不飽和化合物を、上記最初のpHよりも低い第2のpHの酸性条件下、前記触媒の存在下で、第2の酸化剤と反応させること;を含む。
本発明を実施するためのモード
本明細書中で使用される場合、表現「エポキシ化」及び表現「酸化」は、同じ反応(オレフィン性不飽和化合物の炭素−炭素二重結合のオキシラン環への変換)を示している。以下において、本発明について詳細に論じる。
一実施形態では、本発明は、酸性条件下、触媒の存在下でオレフィン性不飽和化合物を酸化剤と反応させることを含む、エポキシ化方法を提供する。本発明者らは、驚くべきことに、当該酸化反応において使用される前に活性化された触媒が、より反応性が高く(例えば、遅延時間(lag time)が低減されている)、且つ、より安定であるということを見いだした。特に、本発明者らは、驚くべきことに、触媒の活性化が、エポキシ化方法のpHよりも高いpH(より酸性的ではないpH)において、より短時間で起こること、及び、エポキシ化方法中は、触媒の活性化中のpHよりも低いpH(より酸性的なpH)において、当該触媒がより安定であるということを見いだした。
該触媒は、エポキシ化反応に先立って、その反応中のpHよりも高いpHで活性化する。該反応方法の一実施形態では、触媒は、酸化反応中の第2のpHよりも少なくとも0.2ポイント高い第1のpHで活性化する。そのようなものとして、エポキシ化方法の反応は、酸化反応中の1.0から6.0の範囲内のpHで実施することができ、当該触媒は、上記酸化反応中の第2のpHよりも少なくとも0.2ポイント高いpHで活性化することができる。一実施形態では、酸化反応中の第2のpHは1.5から3.2の範囲内にあり、触媒は、第2のpHよりも少なくとも0.2ポイント高い3.3から4.5の第1のpHで活性化する。
触媒は、該反応に先立って、その触媒を酸又は酸を含んでいる緩衝溶液及び酸化剤と少なくとも5分間接触させることによって活性化することができる。該酸化剤は、過酸化水素(例えば、希過酸化水素)であることができ、別の適切な酸化剤は、オレフィン性不飽和化合物の酸化に関して本明細書中にさらに記載されている。触媒の活性化とオレフィン性不飽和化合物の酸化に対して同じ酸化剤を使用し得る。活性化方法段階の後で、該エポキシ化反応は、その反応混合物に過酸化水素を連続的に添加しながらの優勢な(dominate)化学反応になる。上記緩衝溶液は、有機酸をその対応する塩と一緒に所望のpH又はpH範囲に対応する比率で含有し得る。適切な緩衝溶液の例としては、以下のものを挙げることができる:塩酸−クエン酸ナトリウム;シュウ酸−シュウ酸塩;酢酸塩−酢酸塩、クエン酸−クエン酸塩、リン酸二ナトリウム−リン酸一ナトリウム、又は、それらの混合物。
「活性化」は、本明細書中で使用される場合、触媒の金属成分が還元されて触媒的に活性な酸化状態又は触媒的により活性な酸化状態になる方法である。エポキシ化反応は発熱性であるので、活性化時間は、時間の経過にともなう発熱性の熱形成における変化を追跡することによって画定され得る。熱形成に関する尺度として、反応混合物と冷却液の間の温度差を使用し、これは、dTと称される。活性化時間の定義は、例えば、反応温度での全ての原料の添加の開始から最大dTが達成されるまでの時間であることができ、ここで、最大dTは、活性触媒化学種が形成された指標である。
一実施形態では、該エポキシ化触媒は、1種類以上のマンガン錯体を含有し得る。該触媒は、単核マンガン錯体又は二核マンガン錯体であり得る。それらの好ましい例としては、一般式(I):
[LMnX]Y(I)
の単核化学種、又は、一般式(II):
[LMn(μ−X)MnL]Y(II)
の二核化学種などを挙げることができ、ここで、上記式中、Mnは、マンガンであり;Lは、又は、各Lは独立して、多座配位子である。各Xは、独立して、配位化学種であり、及び、各μ−Xは、独立して、配位架橋化学種であって、それらは、RO、Cl、Br、I、F、NCS、N 、I 、NH、NR、RCOO、RSO 、RSO 、OH、O2−、O 2−、HOO、HO、SH、CN、OCN及びS 2−及びそれらの組合せからなる群から選択され、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ベンジル及びそれらの組合せからなる群から選択されるC−C20の基である。Yは、非配位対イオンである。非配位対イオンYは、該錯体の電荷的中性をもたらすことができ、nの値は、カチオン性錯体とアニオン性対イオンYの電荷に依存し、例えば、nは、1又は2であり得る。対イオンYは、例えば、RO、Cl、Br、I、F、SO 2−、RCOO−、PF 、トシラート、トリフラート(CFSO )及びそれらの組合せからなる群から選択されるアニオンであり得る(ここで、Rは、再度、アルキル、シクロアルキル、アリール、ベンジル及びそれらの組合せからなる群から選択されるC−C20の基である)。アニオンのタイプは全く重要ではないが、数種類のアニオンは他のアニオンよりも好ましい。一実施形態では、非配位対イオンとして、CHCOO又はPF のアニオンを使用することができる。
本発明に適している配位子は、その骨格内に少なくとも7個の原子を含んでいる非環式化合物又はその環内に少なくとも9個の原子を含んでいる環式化合物であり、これらは、それぞれ、少なくとも2個の炭素原子で隔てられた複数の窒素原子を有している。配位子の好ましい種類は、(置換されている)トリアザシクロノナン(“Tacn”)に基づく配位子である。好ましい配位子は、TmTacnであり、これは、例えば、Aldrichから市販されている。これに関して、上記マンガン触媒の水溶解性が上記で挙げた全ての触媒成分の作用であるということに留意することは重要である。
本発明によれば、該触媒は、直接利用し得るか、又は、溶媒に溶解しない支持体の表面に吸着された状態で利用し得る。そのような基体の例証的ではあるが非限定的である例は、構造化アルミノケイ酸塩(例えば、ゼオライトA、ホージャサイト、及び、ソーダライト)、無定型アルミノケイ酸塩、シリカ、アルミナ、木炭、微孔性高分子樹脂(例えば、高内部相エマルション技術によって形成されたポリスチレンビーズ)及び粘土(特に、層状粘土、例えば、ヘクトライト、及び、ヒドロタルサイト)である。該触媒と該支持体の相対重量比は、概して、約10:1から約1:10,000にまで及び得る。
該触媒は、触媒的に有効な量で使用する。該触媒は、1:10から1:10,000,000の触媒(例えば、Mn)と酸化剤(例えば、過酸化水素)のモル比で、、例えば、1:100から1:1,000,000のモル比で、例えば、1:10,000から1:100,000のモル比で、使用することができる。水溶性マンガン錯体を使用する本発明の好ましい実施形態の有利点は、該触媒が本質的に有機相に移動しないことである。
該エポキシ化方法は、酸化剤として、過酸化水素を使用し得る。過酸化水素の前駆物質などの別の酸化剤も使用することができるが、有用性を考慮すれば、また、環境に対する影響を低減するためには、過酸化水素が好ましい酸化剤である。過酸化水素は、強力な酸化特性を有する。該過酸化物は、水溶液中で使用し得る。過酸化水素の濃度は、15%から98%(推進薬グレード)まで、さまざまであり得る。工業用グレードに関して好ましいのは、20から80%、好ましくは、30から70%である。使用し得る別の酸化剤としては、有機過酸化物、過酸及びそれらの組合せなどがある。
該酸化/エポキシ化方法は、反応媒体としての有機溶媒の中で実施することができるか、又は、水性反応媒体の中で実施することができる。さらに言えば、該反応媒体は、水相と有機相を含んでいる多相反応媒体であることができる。本発明のエポキシ化方法は、10体積%以下の共溶媒を含んでいる水性反応媒体の中で実施することができる。有機共溶媒(例えば、メタノール)を使用することは、オレフィン性不飽和化合物の溶解性を改善すると考えられている。適切な共溶媒としては、例えば、アセトン、メタノール及び別の水溶性アルコール類などを挙げることができる。有機共溶媒の量は、最少限度まで低減することができ、また、該反応は、実質的に水で構成される反応媒体の中で実施することができる。該反応は、相間移動剤及び/又は界面活性剤の存在下で実施することができる。
該反応を10体積%以下の共溶媒を含んでいる水性反応媒体の中で実施する場合に限り、該マンガン錯体は水溶性錯体であることができる。反応体及びエポキシ化生成物の存在を除いた場合、該水性反応媒体は、適切には、少なくとも90体積%(v%)の水を含有し、例えば、少なくとも95v%の水、例えば、少なくとも99v%の水、及び、一部の実施形態では、少なくとも99.9v%の水を含有している。しかしながら、最も好ましくは、該水性反応媒体は(この場合もやはり、その水性反応媒体の中に溶解している全てのオレフィン類及び/又は対応する酸化物を除いて)、本質的に100%水相である。
該水性反応媒体は、緩衝系も含むことができ、ここで、該緩衝系は、触媒を活性化するために使用されてそのままエポキシ化反応の間維持されるか、又は、pHを安定化させるためにエポキシ化反応時に添加される。例えば、該水性反応媒体が1から7のpH範囲内において適切に安定化されるのに対して、好ましいpH範囲は2から5であることが分かった。適切な範囲又は好ましい範囲は、有機酸−塩の数種類の既知組合せによって達成することができ、ここで、好ましい組合せは、シュウ酸−シュウ酸塩に基づくか、又は、酢酸(acetate acid)−酢酸塩に基づくか、又は、シュウ酸−シュウ酸塩及び酢酸−酢酸塩に基づく。シュウ酸とシュウ酸ナトリウムを使用する場合、pH比(pH ratio)は、2.0から6.0まで変えることができる。該緩衝液は、該触媒に対して、約60:1のモル比で使用し得るが、その量は、広い範囲で変えることができ、例えば、1:1から300:1にまで及ぶ。
さまざまなオレフィン性不飽和化合物を酸化剤でエポキシ化することができる。一実施形態では、該オレフィン性不飽和化合物は、少なくとも1の不飽和−C=C−結合、例えば、少なくとも1の不飽和−C=CH基を有することができる。該オレフィン性不飽和化合物は、2以上の不飽和−C=C−結合を含むことができる。さらに、該不飽和−C=C−結合は、末端基である必要はない。少なくとも1の末端−C=CH基を有しているオレフィン性不飽和化合物が特に好ましい。
従って、オレフィン性不飽和化合物の適切な例としては、以下の化合物を挙げることができる:
R−CH=CH
R’−(CH=CH
X−CH=CH
Y−(CH=CH
ここで、Rは、場合により1以上のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、又は、ケイ素)を含んでいてもよい1以上の炭素原子からなるの基であり;R’は、場合により1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい1以上の炭素原子からなる多価の基であり(ここで、nは、該多価の基の結合価に相当する);Xは、ハロゲン原子であり;及び、Yは、酸素原子である。
特に興味深いのは、以下の化合物から選択されるオレフィン性不飽和化合物である:
(a) 塩化ビニル又は塩化アリル;
(b) 1−アルケン、好ましくは、プロペン:
(c) モノオール、ジオール又はポリオールのモノアリルエーテル、ジアリルエーテル又はポリアリルエーテル;
(d) モノオール、ジオール又はポリオールのモノビニルエーテル、ジビニルエーテル又はポリビニルエーテル;
(e) モノ酸、ジ酸又はポリ酸のモノアリルエステル、ジアリルエステル又はポリアリルエステル;
(f) モノ酸、ジ酸又はポリ酸のモノビニルエステル、ジビニルエステル又はポリビニルエステル;
(g) ジビニルエーテル又はジアリルエーテル。
本発明の高い選択性及びターンオーバー数を達成するために、該触媒及び酸化剤は、オレフィン性不飽和化合物との反応に関して、好ましくは、1:10から1:10,000,000の触媒と酸化剤のモル比で、さらに好ましくは、1:100から1:1,000,000の触媒と酸化剤のモル比で、さらに一層好ましくは、1:10,000から1:100,000の触媒と酸化剤のモル比で、組み合わせる。
オレフィン性不飽和化合物と酸化剤のモル比は、当該反応及びその反応の生成物に対して影響を与える。例えば、過剰量の酸化剤(例えば、過酸化水素)を使用する場合、望ましくない副産物(例えば、ジオール類)が生成されることに起因して所望のエポキシドに対する選択性が低減し、又は、当該酸化剤の多量の廃棄物を伴う。不充分な量の酸化剤を使用する場合、ターンオーバー数が最適値を下回る。従って、これは、従来技術において記載されている漂白条件〔ここでは、過剰量の酸化剤(例えば、過酸化水素)が使用される〕とは著しく異なる。オレフィン性不飽和化合物と酸化剤(例えば、過酸化水素)のモル比は、1:2よりも大きい範囲内にあり得る。オレフィン性不飽和化合物と酸化剤(例えば、過酸化水素)のモル比は、1:1.2から約12:1の範囲内、例えば、約1:1から約10:1(又は、代替的に、約1:1.2から約2:1、又は、2:1から12:1)の範囲内にあることができ、例えば、約1:1であり得る。該反応の一実施形態では、該オレフィン性不飽和化合物は、好ましくは、酸化剤に対して過剰量で使用する。
該エポキシ化方法は、バッチ反応で、連続反応で、又は、半連続反応で、実施することができる。反応体などに応じて、該方法は、−40から70℃の範囲内の温度で、好ましくは、−5から40℃の範囲内の温度で、実施することが出来る。さらに、該方法は、減圧下で実施し得るか、又は、高圧下で実施し得る(例えば、プロピレンをエポキシ化する場合)。
例証として、以下に、塩化アリルの接触エポキシ化について記載する。
実験
以下の実施例によって本発明について例証するが、それらの実施例は、本発明を限定するものではない。
Figure 0005709180
の二核マンガン錯体([(TmTacn)MnIV (μ−O)2+(CHCOO)を触媒として使用して、接触酸化を実施した。
実施例においては、酸化剤としての35%水性H及び水性反応媒体としての水(純粋)と一緒に、シュウ酸塩/シュウ酸緩衝液を使用した。該実験は、出発物質として塩化アリルを用いて実施した。全ての反応は、機械式撹拌機、冷却ジャケット及びボトムバルブが付いている(facilitated with)六つ口ガラス製反応器の中で、5℃で実施した。触媒:緩衝液のモル比は、1:180であった。
全ての実験は、個々の実施例において別途示されていない限り、以下の方法を用いて実施した。シュウ酸ナトリウムとシュウ酸の100mLの溶液をガラス製反応器に添加し、その後、撹拌条件下で、約23μmolの触媒をガラス製反応器に添加した。次いで、100mLの塩化アリルをガラス製反応器に添加し、水相中に分散させた。酸化剤としての希Hを添加して反応を開始させた。供給速度は、当該反応溶液の中へ、1時間当たり10mLである。酸化剤の供給は、480分後に停止した。反応中にシュウ酸緩衝液が消費されるので、緩衝溶液(pH=4)を連続的に添加した。当該pHは、シュウ酸溶液を供給することによって自動的に制御した。反応後、反応器内の未反応の過酸化水素をNaSOで中和した。次いで、水相及び有機相の両方を、エピクロロヒドリンについて分析した。
下記実施例について評価するために、当該反応混合物と冷却液の間の温度差(dT)を反応熱(これは、エポキシ化率に対応する)の尺度として用いた。dTを経時的に測定することによって、エピクロロヒドリンの経時的な形成を求めることができる。次いで、形成されたエピクロロヒドリンをt=0において添加した触媒の量で除することにより、エピクロロヒドリンの形成をターンオーバー数(TON)=f(t)に変換する。触媒活性は、「dTON/dt」として定義される。活性化時間に関する定義は、過酸化物の供給の開始から最大dTが達成されるときまでの時間であり、ここで、最大dTは、活性触媒化学種が形成された指標である。
実施例1(比較)
実験は、35重量%の過酸化水素を10mL/時間で480分間供給して、上記で記載されているように実施した。t=0において、初期pHは3.6であり、その値を反応の間維持した。活性化時間は、17分であると測定された。
実施例2(比較)
実験は、35重量%の過酸化水素を10mL/時間で480分間供給して、上記で記載されているように実施した。t=0において、初期pHは3.2であり、その値を反応の間維持した。活性化時間は、80分であると測定された。
実施例3(本発明の例証)
実験は、35重量%の過酸化水素を10mL/時間で480分間供給して、実験1に関して上記で記載されているように実施した。t=0において、初期pHは3.6であり、及び、t=15分において、pHをpH=3.2まで低下させ、その値を反応の間維持した。活性化時間は、17分であると測定された。
3種類の実験に関するそれぞれの触媒活性については、以下のように、表1中において要約されている。
Figure 0005709180
実施例1と実施例2の活性化時間に注目した場合、活性化時間が80分であるpH3.2の組成物の活性化時間と比較して、活性化時間が17分であるpH3.6では、その活性化時間が著しく低減されている。
pH=3.2と比較してpH=3.6では触媒の活性化が短時間で終了するが、実施例1と実施例3を比較することによって理解できるように、触媒の活性化が達成された後でpHを低下させることが有益であるということが認められた。両方の実験において、触媒はpH=3.6で活性化した。しかしながら、実施例3では、t=15分において、pHを3.2まで低下させた。両方の実施例に関するdTON/dt値について注目した場合、それらは、該反応の最初の数時間の間は実質的に同一である。しかしながら、t=470分の最後においては、実験1に関するdTON/dtは、実験3と比較して25%低い。このことは、pH3.6と比較した場合、pH3.2において、触媒活性が反応の安定性を改善したことを明瞭に示している。
さらに、2番目の一組の実施例も実施し、その詳細は以下のとおりであった。
実施例4A(比較)
シュウ酸とシュウ酸ナトリウムを、1:1のモル比で使用した。初期pHは、3.0であった。30分の反応後、触媒の1mol当たり、1857molのECHが製造された。
実施例4B(比較)
シュウ酸とシュウ酸ナトリウムを、1:1.3のモル比で使用した。初期pHは、3.3であった。30分の反応後、触媒の1mol当たり、2545molのECHが製造された。
実施例4C(比較)
シュウ酸とシュウ酸ナトリウムを、1:1.8のモル比で使用した。初期pHは、3.6であった。30分の反応後、触媒の1mol当たり、2593molのECHが製造された。
比較実施例4A−4Cは、同じ期間で、組成物のpHが上昇するにつれてより高い反応速度が達成され得るということを示している。これは、pHレベルが増大するにつれて触媒の活性化速度が増大した結果である。
実施例5(本発明の例証)
101.3mgのシュウ酸と271.35mgのシュウ酸ナトリウムを100mLの水に溶解させた。そのシュウ酸とシュウ酸ナトリウムは1:1.8のモル比にあり、それによって、初期pHは3.6となった。15分後、追加の81mgのシュウ酸を添加して、該反応のpHを3.0に調節した。その反応は、最初の15分間で活性化され、15分後、高い変換率を持続しているということが観察された。30分の反応後、触媒の1mol当たり、2882mol(これは、pH3.6で全反応を行った場合よりも著しく高い)のECHが製造された。
特定の実施形態を参照することによって本発明について記載し、例証したが、当業者は、本発明が必ずしも本明細書中に示されていない変形態様にも適用されるということを理解するであろう。

Claims (17)

  1. エポキシド生成物を形成させる方法であって、
    触媒を、3.3〜4.5の範囲の第1のpHで酸又は酸の緩衝溶液及び第1の酸化剤を用いて活性化すること〔ここで、前記触媒は、式(I):
    [LMnX]Y(I)
    の単核化学種又は式(II):
    [LMn(μ−X)MnL]Y(II)
    の二核化学種を有している水溶性マンガン錯体を含んでおり;及び、
    ここで、Mnは、マンガンであり;各Lは独立して、多座配位子であり;各Xは、独立して、配位化学種であり、及び、各μ−Xは、独立して、配位架橋化学種であり;Yは、非配位対イオンであり、nは1〜2である〕;及び
    オレフィン性不飽和化合物を、上記第1のpHよりも低い、1.5〜3.2の範囲の第2のpHの酸性条件下、前記触媒の存在下で、第2の酸化剤と反応させること;
    を含み、第1の酸化剤は、過酸化水素、希過酸化水素若しくは過酸化水素に対する前駆物質を含み、第2の酸化剤は、過酸化水素、希過酸化水素若しくは過酸化水素に対する前駆物質を含、前記方法。
  2. 媒を反応中の第2のpHよりも少なくとも0.2高い第1のpHで活性化する、請求項1の方法。
  3. オレフィン性不飽和化合物と酸化剤の反応が、反応を10体積%以下の共溶媒を含んでいる水性反応媒体の中で実施することを含んでいる、請求項1から2のいずれか1項の方法。
  4. オレフィン性不飽和化合物と酸化剤のモル比が、1:1から12:1である、請求項1から3のいずれか1項の方法。
  5. 触媒酸又は酸の緩衝溶液を用いて活性化することが、該触媒の存在下における前記オレフィン性不飽和化合物と前記酸化剤の反応に先立って、該触媒を該酸又は酸の緩衝溶液と少なくとも5分間接触させることを含んでいる、請求項1から4のいずれか1項の方法。
  6. 酸又は酸の緩衝溶液が、有機酸と対応する有機酸塩の緩衝溶液を含んでいる、請求項1から5のいずれか1項の方法。
  7. 緩衝溶液が、塩酸−クエン酸ナトリウム、シュウ酸−シュウ酸塩、酢酸塩−酢酸塩、クエン酸−クエン酸塩、及び、それらの組合せからなる群から選択される酸−塩緩衝液を含んでいる、請求項6の方法。
  8. 第1の酸化剤及び第2の酸化剤が過酸化水素を含んでいる、請求項1から7のいずれか1項の方法。
  9. オレフィン性不飽和化合物が、少なくとも1の不飽和−C=C−結合を有している、請求項1から8のいずれか1項の方法。
  10. オレフィン性不飽和化合物が、化合物:
    R−CH=CH
    R’−(CH=CH
    X−CH=CH
    Y−(CH=CH
    〔ここで、Rは、場合により1以上のヘテロ原子を有していてもよい1以上の炭素原子からなる基であり;R’は、場合により1以上のヘテロ原子を有していてもよい1以上の炭素原子からなる多価の基であり(ここで、nは、該多価の基の結合価に相当する);Xは、ハロゲン原子であり;及び、Yは、酸素原子である〕
    から選択される、請求項9の方法。
  11. オレフィン性不飽和化合物が、化合物:
    (a) 塩化ビニル又は塩化アリル;
    (b) 1−アルケン:
    (c) モノオール、ジオール又はポリオールのモノアリルエーテル、ジアリルエーテル又はポリアリルエーテル;
    (d) モノオール、ジオール又はポリオールのモノビニルエーテル、ジビニルエーテル又はポリビニルエーテル;
    (e) モノ酸、ジ酸又はポリ酸のモノアリルエステル、ジアリルエステル又はポリアリルエステル;
    (f) モノ酸、ジ酸又はポリ酸のモノビニルエステル、ジビニルエステル又はポリビニルエステル;
    (g) ジビニルエーテル又はジアリルエーテル;
    から選択される、請求項10の方法。
  12. オレフィン性不飽和化合物と酸化剤のモル比が、2:1から10:1である、請求項1から11のいずれか1項の方法。
  13. 各Xが、独立して、配位化学種であり、及び、各μ−Xが、独立して、RO、Cl、Br、I、F、NCS、N 、I 、NH、NR、RCOO、RSO 、RSO 、OH、O2−、O 2−、HOO、HO、SH、CN、OCN及びS 2−及びそれらの組合せからなる群から選択される配位架橋化学種であり、ここで、Rが、アルキル、シクロアルキル、アリール、ベンジル及びそれらの組合せからなる群から選択されるC−C20の基であり、Yが、非配位対イオンを含んでいる、請求項1から12のいずれか1項の方法。
  14. 各多座配位子が、独立して、その骨格内に少なくとも7個の原子を有している非環式化合物又はその環内に少なくとも9個の原子を有している環式化合物から選択され、ここで、各多座配位子が3個の窒素原子(窒素原子は少なくとも2個の炭素原子で隔てられている。)を有する、請求項13の方法。
  15. オレフィン性不飽和化合物を第2の酸化剤と反応させることが、反応体およびエポキシ化生成物の存在を除いた本質的に100%水相中で該反応を実施することを含む、請求項1の方法。
  16. 緩衝液と触媒のモル比は1:1から300:1である、請求項1の方法。
  17. 非配位対イオンは、RO、Cl、Br、I、F、SO 2−、RCOO−、PF 、トシラート、トリフラート及びそれらの組合せからなる群から選択され、Rは、再度、アルキル、シクロアルキル、アリール、ベンジル及びそれらの組合せからなる群から選択されるC−C20の基である、請求項1の方法。
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