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JP5718215B2 - 光導波路及びその作製方法 - Google Patents
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本発明は、主として光通信システムおよび光信号処理システムで中心的役割を担う高性能なPLCデバイスの光導波路作製工程に関する。
石英系導波路型光回路(Planar Light Wave Circuit、PLC)デバイスは、石英系光ファイバとの整合性が良いことから、実用的な導波型光部品として大いに注目を集め商用化されている。PLCデバイスを作製するために、数μmから数十μm厚の石英系ガラス膜を堆積する技術とフォトリソグラフィーを利用して数μm幅のパターン形状に加工する技術とを組み合わせる(非特許文献1)。従って、コア膜やクラッド層の堆積技術と微細加工技術の組み合わせで光回路の光学特性が決定される。近年は特に既存デバイスの高性能化、高機能化の開発が進められている。
PLCデバイスの中核をなす現在の石英系光導波路のコア膜堆積技術としては、主に火炎堆積(FHD)法、減圧化学気相堆積(LP−CVD)法、常圧化学気相堆積(AP−CVD)法、プラズマ化学気相堆積(P−CVD)法などがあり、それぞれ特徴を有する堆積技術である。従来の一般的な石英系光導波路作製工程を図1(a)〜(d)に示す。多くの場合は、コア膜堆積前に、シリコン基板1上にアンダークラッド層2を堆積(図1(a))する。次にアンダークラッド層2上にコア膜3を堆積し(図1(b))、コア膜3堆積後に光導波路パターン加工を行いコア膜3から矩形コア4を形成(図1(c))する。続いて、アンダークラッド層2とコア4との上にオーバークラッド層5を堆積する(図1(d))工程を経る。特にPLCデバイスの高集積化で必要となる高い比屈折率差(Δ)を有する超高Δ光導波路は、SiO2−Ta25やSiONなどの屈折率の高い材料系をコアとして用いており、デバイスサイズダウンが期待できるため近年活発な研究開発がなされている。
従来技術による石英系光導波路作製工程では、堆積膜の光学的な膜質安定化のために、コア膜と、オーバークラッド層との堆積後にそれぞれ熱処理を行うことが一般的である。しかしながら、膜質安定化のためのオーバークラッド層の熱処理を行う際に、材料系によっては既に堆積されているコアガラスが結晶化することがある。コア内部の結晶体は導波する光にとっては散乱体となるために光導波路の伝搬損失が増加することになり、光導波路にとってはコアガラスの結晶化は好ましくない現象である。これを回避するために、オーバークラッド熱処理工程において、コア材料の結晶化温度より十分低い温度範囲で熱処理を行う方法、または、熱処理温度よりも十分結晶化温度が高いコア材料を用いる方法などが用いられている。しかしながら、プロセスの煩雑化、十分な膜質安定化が実現できないこと、またはコアの材料自由度が制限されてしまうことなどから、ある固有の材料系においては作製不可能となる問題がある。
また、オーバークラッド層として、全くドーパントのない厚いSiO2を用いると、極めて硬い堆積膜であるために、クラックや隙間が生じてしまう場合があるなど、埋め込み特性が悪いことが知られている。これを解消するために、オーバークラッド層としてB、およびPを含むSiO2(BPSG)を用いるなど、オーバークラッド層にドーパントを添加すると堆積膜が柔らかくなり、埋め込み特性が向上する。しかしながら、オーバークラッド層内にドーパントが存在する場合、オーバークラッドの熱処理工程によって、オーバークラッド層内のドーパントがコア内部に拡散して、コア内部の結晶化を促進してしまうという問題点も明らかになっている。そこで、このコア内部へのドーパント拡散を抑制するための工夫の一例として、オーバークラッドを単層ではなく多層に堆積する、多層オーバークラッド構造がある。この構造の特徴は、多層のなかでコアに接する層をドーパント濃度が極めて低い層とすることによって、一様に拡散しようとするドーパントの動きを抑える働きを有することである。しかしながら、この多層オーバークラッド構造では、主にコアに接する層が、ガラス膜として十分な膜の緻密化、すなわち十分な密度の上昇がなされない場合に伝搬損失の増加をもたらす。従って、この場合は膜の緻密化が重要な要素になる。
従来の多層クラッド技術については、特許文献1のように、リフロー温度の異なる材料系の多層オーバークラッドを用いて層間の密着性を改善し光導波路の埋め込み特性を向上させて、光導波路の損失、偏光特性の改善を図るものや、特許文献2のように、アンダークラッド層を強固とする目的で二層アンダークラッド構造を導入し、作製工程の熱処理で光導波路の被る熱的変形を防止して光導波路作製における再現性、特性向上を図るもの等が報告されている。
特許2666751号公報 特許3070018号公報
"Silica waveguides on silicon and their application to integrated-optic components" M. Kawachi, Opt. Quantum Electron. Vol. 22, pp391-416, 1990.
伝搬損失低減を目的として、コアガラスの結晶化を回避するための、コア内部へのドーパント拡散を防止する複数層オーバークラッド構造を採用する場合の大きな懸念事項として、主にコアに接する層の緻密化が不十分であると、導波光が、緻密化が不十分な領域を感じるために散乱損失が増加する問題がある。コアに接する第1層目のオーバークラッド層がドーパント拡散防止層として効率よく機能するためには、まずこの層内のドーパントが極力少なく、コアとこの層以降に堆積する第2層目以降のオーバークラッド層よりも軟化温度が高いことが求められ、更にこの層が第2層目以降のオーバークラッド層に先駆けて十分に緻密化している必要がある。しかしながら従来の複数層オーバークラッド構造を形成する熱処理工程ではコアに接する第1層やそれ以降に堆積する層の緻密化が必ずしも十分でなかった。
以下に、従来の10%−ΔSiO2−Ta25光導波路を具体例として説明する。図2は従来の、コア膜堆積後、オーバークラッド層堆積後に1100℃で熱処理した10%−ΔSiO2−Ta25光導波路の単層構造と二層オーバークラッド構造の導波路の伝搬損失スペクトルである。オーバークラッド層が単層構造のものは、オーバークラッド層にドーパントを添加し、オーバークラッド層を堆積後に熱処理を行っている。オーバークラッド層が二層構造のものは、コア膜に接する一層目のオーバークラッド層(拡散防止層)はドーパント濃度を極力低くし、二層目のオーバークラッド層は一層目のオーバークラッド層よりドーパント濃度を高くしてある。熱処理は、二層目のオーバークラッド層を堆積後に一度熱処理を行っている。単層構造の1100℃熱処理では、格段に伝搬損失が上昇しており、特に短波長側で大きな増大傾向を示している。これは、オーバークラッド層に含まれるドーパントがコア内に拡散したため、コアガラスが結晶化したことによる散乱損失増加によるものと考えることができる。また単層構造に比べ二層構造では短波長側の損失増加は抑制されてはいるが、波長1300nmにおける伝搬損失は約0.6dB/cmとまだ全体的に高めで、これはコアに接する第一層オーバークラッド層の緻密化が不十分であるために散乱損失が増加していると考えられる。
本発明の目的は、光通信システムおよび光信号処理システムで中心的役割を担う高性能なPLCデバイスの光導波路作製工程において、熱処理によるコアガラスの結晶化を回避し、コアに接する第一層やコア近傍の以降の層の緻密化が不十分なことによる、散乱損失増加を抑制することを特徴とする低損失な光導波路とその作製方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は特許請求の範囲に記載のような構成とするものである。すなわち、請求項1に記載のように、基板と、基板上に堆積された石英系ガラスからなるアンダークラッド層と、石英系ガラスからなりアンダークラッド層上に堆積され光伝搬作用を有するコアと、アと前記アンダークラッド層との上に堆積されたドーパントのないSiO 2 からなる単層の第1のオーバークラッド層と、B、およびPを含むSiO 2 (BPSG)からなり第1のオーバークラッド層の上に堆積された1または複数の第2のオーバークラッド層とを含む石英系光導波路であって、第1のオーバークラッド層を形成したあと、第2のオーバークラッド層を形成するまえに、第1のオーバークラッド層に1100℃以上1400℃以下である熱処理を施すことを特徴とする。
また、請求項2のように、請求項1に記載の光導波路であって、第2のオーバークラッド層は複数の層からなり、第2のオーバークラッド層を形成するそれぞれの工程のうち、少なくとも1つの工程と、少なくとも1つの工程の次の工程との間に、1100℃以上1400℃以下である熱処理をさらに施すことを特徴とする。
また、請求項のように、光導波路の作製方法であって、基板上に石英系ガラスからなるアンダークラッド層を形成する工程と、アンダークラッド層上に、石英系ガラスからなり光伝搬作用を有するコアを形成する工程と、アンダークラッド層とコアとの上に、アを埋め込むドーパントのないSiO 2 からなる単層の第1のオーバークラッド層を形成する工程と、第1のオーバークラッド層に1100℃以上1400以下である熱処理を施す工程と、熱処理を施した第1のオーバークラッド層上に、B、およびPを含むSiO 2 (BPSG)石英系ガラスからなる1または複数の第2のオーバークラッド層をさらに形成する工程とを備えたことを特徴とする。
また、請求項のように、請求項に記載の光導波路の作製方法であって、第2のオーバークラッド層は複数の層からなり、第2のオーバークラッド層を形成するそれぞれの工程のうち、少なくとも1つの工程と、少なくとも1つの工程の次の工程との間に、1100℃以上1400℃以下である熱処理を施す工程をさらに備えたことを特徴とする。
すなわち本発明は、コアガラスの結晶化を回避する光導波路を作製するためのコア内部へのドーパント拡散を防止する複数層オーバークラッド構造を有する光導波路作製工程において、従来の熱処理工程で問題となるコアに接する第一層やコア近傍の以降の層の緻密化が不十分なことに起因する散乱損失増加を抑制することを目的としている。この結果光導波路の低損失化が実現できるので、PLCデバイス産業界において本発明の光導波路の果たす役割は極めて大きい。
以上説明したように、本発明によると、光通信システムおよび光信号処理システムで中心的役割を担う高性能なPLCデバイスの光導波路作製工程、特にコアガラスの結晶化を回避する光導波路を作製するためのコア内部へのドーパント拡散を防止する複数層オーバークラッド構造を有する光導波路作製工程において、コアに接する第一層やコア近傍の以降の層の緻密化を十分行うことによって散乱損失増加が抑制されるので、低損失な光導波路の提供が可能となる。
従来の光導波路作製工程を示す図である。 従来の、1100℃で熱処理した10%−ΔSiO2−Ta25コアを有する単層構造と二層オーバークラッド構造の導波路の伝搬損失スペクトルを示す図である。 本発明の二層オーバークラッド埋め込み光導波路を示す図である。 コアに接する第一層を1100℃で熱処理した、10%−ΔSiO2−Ta25コアを有する本発明の導波路と従来の二層オーバークラッド構造導波路の伝搬損失スペクトルである。
本発明の実施形態の一例として二層オーバークラッド構造を有する10%−ΔSiO2−Ta25光導波路の作製法を述べる。以下、本実施形態の作製工程の概要を説明する。
実施例1にかかる構造を図3に示す。まず、Si 基板1上にFHD法でアンダークラッド層2を15 μm堆積し、続いて、スパッタ成膜法によってコア膜として10%−ΔSiO2−Ta25膜を1.5 μm堆積した。続いてコアの膜質安定化のために酸素雰囲気中900℃で3時間の熱処理を行った。次にフォトリソグラフィーとドライエッチングにより光導波路パターンのコア加工4を行った。オーバークラッドはAP−CVD法によって二層オーバークラッド構造とした。初めにコア4に接する第一層オーバークラッド6としてSiO2層を0.5 μm堆積し、引き続き酸素雰囲気中1100℃で3時間の熱処理を行った。次に第二層オーバークラッド7としてBPSG層を10 μm堆積し、引き続き酸素雰囲気中1100℃で3時間の熱処理を行った。ここでAP−CVD法による二層のオーバークラッド成膜温度はおよそ450℃である。以上の工程で作製した2.0 μm幅の光導波路の伝搬損失を評価すると通信波長帯1550nmで約0.07dB/cm となり、実用的なPLCデバイスとしての一つの目安となる損失、0.1dB/cm以下となる、非常に低損失な光導波路を実現することができた。図4に本発明の導波路と従来の二層オーバークラッド構造導波路の伝搬損失スペクトルを示す。本発明による導波路では、短波長側での伝搬損失増加が抑えられている、つまりコアに接する第一層の緻密化が十分なされていることが分かる。更にこの光導波路を断面形状として、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行うと、コア内部に結晶化が進行していないことを確認できた。
PLCデバイス作製の後工程において、オーバークラッド層の平坦化が求められる場合に次のような工程で光導波路を作製した。実施例1と同様に、まずSi 基板上にFHD法でアンダークラッド層を15 μm堆積し、続いて、スパッタ成膜法によってコア膜として10%−ΔSiO2−Ta25膜を1.5 μm堆積した。続いてコアの膜質安定化のために酸素雰囲気中900℃で3時間の熱処理を行った。次にフォトリソグラフィーとドライエッチングにより光導波路パターンのコア加工を行った。オーバークラッドはAP−CVD法によって二層オーバークラッド構造とした。初めにコアに接する第一層オーバークラッドとしてSiO2層を1.5 μm堆積し、引き続き酸素雰囲気中1100℃で3時間の熱処理を行った。次に第二層としてBPSG層を10 μm堆積し、引き続き酸素雰囲気中1150℃で3時間の熱処理を行った。ここでAP−CVD法による二層のオーバークラッド成膜温度は実施例1と同様およそ450℃である。ここでは、オーバークラッド層の平坦化を実現するために堆積後の熱処理温度をより高温に設定し、コアに接する第一層オーバークラッドの層厚を厚くした。以上の工程で作製した2.0 μm幅の光導波路の伝搬損失を評価すると、結果は実施例1と同様、通信波長帯1550 nmで約0.09dB/cm となり0.1dB/cm以下の損失が得られ、またTEM観察より、コア内部に結晶化が進行していないことを確認できた。
本実施例では一例として二層オーバークラッド構造を有する10%−ΔSiO2−Ta25光導波路の作製を目的として、アンダークラッド層にFHD法、コア膜にスパッタ成膜法、オーバークラッド層にAP−CVD法を用いて堆積したが、本発明の特徴を有する熱処理工程によってコアガラスの結晶化を回避する構造であれば、これら各ステップの成膜法については限定されず、他の堆積法も加えて自由に組み合わせて良い。層間の熱処理温度については、今回は1100℃または1150℃で行ったが、Si溶融温度を越えない1400℃以下で熱処理効果が顕著となる高温であれば、材料系によってそれぞれ適切なガス雰囲気、温度を選択することができる。
1 シリコン基板
2 アンダークラッド層
3 堆積コア膜
4 加工した矩形コア
5 オーバークラッド層
6 第一のオーバークラッド層
7 第二のオーバークラッド層

Claims (4)

  1. 基板と、
    該基板上に堆積された石英系ガラスからなるアンダークラッド層と、
    石英系ガラスからなり前記アンダークラッド層上に堆積され光伝搬作用を有するコアと、
    記コアと前記アンダークラッド層との上に堆積されたドーパントのないSiO 2 からなる単層の第1のオーバークラッド層と、
    B、およびPを含むSiO 2 (BPSG)からなり前記第1のオーバークラッド層の上に堆積された1または複数の第2のオーバークラッド層と
    を含む石英系光導波路であって、前記第1のオーバークラッド層を形成したあと、前記第2のオーバークラッド層を形成するまえに、前記第1のオーバークラッド層に1100℃以上1400℃以下である熱処理を施すことを特徴とする光導波路。
  2. 請求項1に記載の光導波路であって、前記第2のオーバークラッド層は複数の層からなり、記第2のオーバークラッド層を形成するそれぞれの工程のうち、少なくとも1つの工程と、前記少なくとも1つの工程の次の工程との間に、1100℃以上1400℃以下である熱処理をさらに施すことを特徴とする光導波路。
  3. 基板上に石英系ガラスからなるアンダークラッド層を形成する工程と、
    前記アンダークラッド層上に、石英系ガラスからなり光伝搬作用を有するコアを形成する工程と、
    前記アンダークラッド層と前記コアとの上に、記コアを埋め込むドーパントのないSiO 2 からなる単層の第1のオーバークラッド層を形成する工程と、
    前記第1のオーバークラッド層に1100℃以上1400以下である熱処理を施す工程と、
    熱処理を施した前記第1のオーバークラッド層上に、B、およびPを含むSiO 2 (BPSG)石英系ガラスからなる1または複数の第2のオーバークラッド層をさらに形成する工程と
    を備えたことを特徴とする光導波路の作製方法。
  4. 請求項に記載の光導波路の作製方法であって、前記第2のオーバークラッド層は複数の層からなり、記第2のオーバークラッド層を形成するそれぞれの工程のうち、少なくとも1つの工程と、前記少なくとも1つの工程の次の工程との間に、1100℃以上1400℃以下である熱処理を施す工程をさらに備えたことを特徴とする光導波路の作製方法。
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