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JP5728845B2 - 改質浚渫土の強度推定方法及び浚渫土の改質方法 - Google Patents
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JP5728845B2 - 改質浚渫土の強度推定方法及び浚渫土の改質方法 - Google Patents

改質浚渫土の強度推定方法及び浚渫土の改質方法 Download PDF

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Description

本発明は、軟弱な浚渫土を海域などで有効利用するために、製鋼スラグを混合して浚渫土の強度改質を行う技術において、浚渫土と製鋼スラグの混合材の強度を的確に推定することができる強度推定方法と、浚渫土に対する製鋼スラグの適正な混合量を決定することができる浚渫土の改質方法に関する。
水質環境改善などを目的として、浅場や干潟の造成が行われている。従来、浅場や干潟の造成は、砕石を用いて沖合に土留め潜堤を設置した後、その岸側(陸側)に中詰材として浚渫土を設置し、その表層に天然砂を覆砂するような工法が採られている。
これに対して、特許文献1には、鉄鋼スラグに含まれるCaO分を積極的に活用し、浚渫土に鉄鋼スラグを混合して強度改質を行う技術が示されている。この技術では、主に鉄鋼スラグのCaO分と浚渫土のSi、Al等とのポゾラン反応により、浚渫土の強度改質を行うものである。この特許文献1では、使用する鉄鋼スラグの遊離CaO量や浚渫土に対する混合割合などについて詳細な検討がなされ、強度改質に好適な条件が示されている。
特開2009−121167号公報
しかしながら、特許文献1の技術について、本発明者がさらに検討を進めたところ、製鋼スラグの種類や混合割合を同じ条件にしても、混合材(浚渫土+製鋼スラグ)によって強度発現挙動が全く異なる場合があることが判った。また、同じ浚渫土に対して類似した製鋼スラグを混合した場合ですら、強度が変動する場合も見られた。
浚渫土と製鋼スラグの混合材が単純に固化するかどうかだけであれば、特許文献1の技術でも特に問題はないが、構造的に強度が必要な場合や、生物着生しやすい強度に設計する場合など、特定の強度が望まれるケースもある。そのような場合、適切な強度を確保できるように条件を設定する必要があるが、上記のように特許文献1の技術では想定通りの強度を得ることが難しく、さまざまな実験を繰り返して強度を経験的に設定するしかなかった。
したがって本発明の目的は、製鋼スラグを混合して浚渫土の強度改質を行う際に、浚渫土と製鋼スラグの混合材の強度を的確に推定することができ、これにより改質浚渫土の適正な強度設計を実現することができる、改質浚渫土の強度推定方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、製鋼スラグを混合して浚渫土の強度改質を行う際に、設計強度に応じた製鋼スラグの適正な混合量を決定することができる浚渫土の改質方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、浚渫土と製鋼スラグのさまざまな固有特性と混合後の固化挙動を解析した結果、いくつかの重要な物性に基づくことで、改質浚渫土の固化後の強度を的確に推定することができ、これにより適正な強度設計を実現できることが判った。したがって、これを利用することで、設計強度に応じた製鋼スラグの適正な混合量も決定できることが判った。
浚渫土と製鋼スラグの固化反応は、製鋼スラグからのCaイオン、OHイオンの供給量と浚渫土からのSi浸出量に関係があると考えられている。本発明者らがさらに詳細に検討した結果、浚渫土のSi分は溶液に浸出する必然性はなく、浚渫土の表面で反応性が高ければよいことが判った。すなわち、浚渫土の微粒子分が多ければ反応性が高くなり、強度が高まり易いことが判った。一方、浚渫土中の微粒子分は、Ca分を吸着する効果もあることが知られている。本発明者らが検討した結果、浚渫土に製鋼スラグを混合した場合、製鋼スラグから供給されるCa分のうち、ある特定量のCa吸着が終わった後に、安定した強度発現が実現できることが判った。さらに、反応する対象の製鋼スラグについては、CaO量などの成分組成よりも遊離CaO含有量の影響が極めて大きく、加えて、粒径2mm以下のスラグ粒子の比率が重要であることが判った。そして、これらの要因を考慮した推定式を用いることにより、様々な確性実験を行うことなく、浚渫土と製鋼スラグの混合材の強度を的確に推定することができ、混合材の適正な強度設計を実現できることが判った。また、このようなことから、混合材の設計強度に応じて最適な製鋼スラグ(組成、粒度)を選択するとともに、浚渫土に対する製鋼スラグの適正な混合量を決定できることが判った。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]製鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う際に、浚渫土と製鋼スラグの混合材(x)の強度を推定する方法であって、下記(1)式に基づき、混合材(x)の28日養生後の一軸圧縮強度の推定値f(N/cm)を求めることを特徴とする改質浚渫土の強度推定方法。
f=α×Ds×Sg×{(Co−Ch)/Wa} …(1)
但し
Ds=[混合材(x)中の粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の質量]/[混合材(x)の固形分の質量]×100(%)
Sg=[混合材(x)中の粒径2mm以下の製鋼スラグ粒子の質量]/[混合材(x)の製鋼スラグの質量]×100(%)
Ch:事前の試験において、改質対象である浚渫土に消石灰を混合し、その混合材の28日養生後の一軸圧縮強度が50kN/mとなる場合の混合材1m中の消石灰の質量(kg)×1.5
Co:製鋼スラグが含有する遊離CaOであって、混合材(x)1m中の遊離CaOの質量(kg)
Wa:混合材(x)1m中の水分の質量(kg)
α:3.6
[2]製鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う方法であって、浚渫土と製鋼スラグの混合材(x)の28日養生後の一軸圧縮強度の目標値をf(N/cm)とした場合、下記(2)式に基づき浚渫土に対する製鋼スラグの混合量を決定することを特徴とする浚渫土の改質方法。
=α×Ds×Sg×{(Co−Ch)/Wa} …(2)
但し
Ds=[混合材(x)中の粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の質量]/[混合材(x)の固形分の質量]×100(%)
Sg=[混合材(x)中の粒径2mm以下の製鋼スラグ粒子の質量]/[混合材(x)の製鋼スラグの質量]×100(%)
Ch:事前の試験において、改質対象である浚渫土に消石灰を混合し、その混合材の28日養生後の一軸圧縮強度が50kN/mとなる場合の混合材1m中の消石灰の質量(kg)×1.5
Co:製鋼スラグが含有する遊離CaOであって、混合材(x)1m中の遊離CaOの質量(kg)
Wa:混合材(x)1m中の水分の質量(kg)
α:3.6
本発明の改質浚渫土の強度推定方法によれば、製鋼スラグを混合して浚渫土の強度改質を行う際に、浚渫土と製鋼スラグの混合材の強度を的確に推定することができ、これにより改質浚渫土の適正な強度設計を実現することができる。
また、本発明の浚渫土の改質方法によれば、製鋼スラグを混合して浚渫土の強度改質を行う際に、設計強度に応じた製鋼スラグの適正な混合量を決定することができ、浚渫土を所望の設計強度に改質することができる。
以上のような本発明法は、従来のように最適条件を求めるための実験を繰り返し行う必要がなく、改質対象となる浚渫土に対して試薬(消石灰)を用いた試験を行うだけでよいため、極めて簡便に実施することができる。
異なる種類の浚渫土に製鋼スラグを混合した混合材について、製鋼スラグの添加率と混合材の28日養生後の一軸圧縮強度との関係を示すグラフ 異なる種類の浚渫土に対して、別々に消石灰(水酸化カルシウム試薬)と製鋼スラグを混合した場合において、混合材の一軸圧縮強度:50kN/mが発現した消石灰添加量と製鋼スラグ添加量との相関を示すグラフ Ca濃度がほぼ一定レベルにあって、遊離CaO含有量が異なる製鋼スラグを浚渫土に一定量添加し、この浚渫土と製鋼スラグの混合材について、製鋼スラグの遊離CaO含有量と混合材の28日養生後の一軸圧縮強度との関係を示すグラフ 2種類の製鋼スラグ(粒径5mm以下)を、粒度を変えた条件で浚渫土と混合した混合材について、製鋼スラグの粒度と混合材の28日養生後の一軸圧縮強度との関係を示すグラフ 2種類の製鋼スラグを用い、同じ浚渫土と製鋼スラグの組み合わせで含水比のみを変えた混合材について、混合材の含水比と28日養生後の一軸圧縮強度との関係を示すグラフ 珪砂を加えることで粒径0.075mm以下の粒子の比率を変えた浚渫土に製鋼スラグを添加し、この浚渫土と製鋼スラグの混合材について、浚渫土中での粒径0.075mm以下の土粒子の比率と28日養生後の一軸圧縮強度(珪砂を添加する前の浚渫土の一軸圧縮強度を“1”としたときの強度比)との関係を示すグラフ 実施例1の混合材について、本発明法で求められた一軸圧縮強度の推定値と、一軸圧縮強度の実測値との相関を示すグラフ 本発明法で決定された製鋼スラグの混合量に従い浚渫土を改質した実施例2において、混合材の一軸圧縮強度の実測値を示すグラフ
本発明は、軟弱な浚渫土を海域などで有効利用するために、製鋼スラグに含まれるCaO分を積極的に活用し、浚渫土に製鋼スラグを混合して強度改質を行う技術に関するものである。ここで、浚渫土に混合する製鋼スラグとは、鉄鋼製造プロセスの製鋼工程で発生するスラグであり、例えば、溶銑予備処理スラグ(脱燐スラグ、脱珪スラグ、脱硫スラグなど)、転炉脱炭スラグ、電気炉スラグ、二次精錬スラグなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
以下、本願の第一の発明である改質浚渫土の強度推定方法について説明する。
この改質浚渫土の強度推定方法は、製鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う際に、浚渫土と製鋼スラグの混合材(x)の強度を推定する方法であり、下記(1)式に基づき、混合材(x)の28日養生後の一軸圧縮強度の推定値f(N/cm を求めるものである。
f=α×Ds×Sg×{(Co−Ch)/Wa} …(1)
但し
Ds=[混合材(x)中の粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の質量]/[混合材(x)の固形分の質量]×100(%)
Sg=[混合材(x)中の粒径2mm以下の製鋼スラグ粒子の質量]/[混合材(x)の製鋼スラグの質量]×100(%)
Ch:事前の試験において、改質対象である浚渫土に消石灰を混合し、その混合材の28日養生後の一軸圧縮強度が50kN/mとなる場合の混合材1m中の消石灰の質量(kg)×1.5
Co:製鋼スラグが含有する遊離CaOであって、混合材(x)1m中の遊離CaOの質量(kg)
Wa:混合材(x)1m中の水分の質量(kg)
α:Chを求めるに当たって使用する消石灰の種類により決まる定数
図1は、異なる場所(水域)で採取した浚渫土に種々の添加率で製鋼スラグ(転炉脱炭スラグ,粒径5mm以下,粒径2mm以下のスラグ粒子の割合が15質量%,遊離CaO含有量:9質量%)を加え、この浚渫土と製鋼スラグの混合材について、28日養生後の一軸圧縮強度を調べた結果を示している。これによれば、浚渫土に粒度、組成ともに全く同じ製鋼スラグを添加した場合、或る添加量までは強度が発現しないものの、或る添加量を超えると強度が発現し始め、その後は一次元的に増加することが判った。また、浚渫土の種類によって、強度が発現し始める製鋼スラグの添加量に違いがあることも判った。
製鋼スラグを浚渫土に添加した場合に、図1に示すように或る添加量までは混合材の強度が発現しないのは、浚渫土にはCa分を吸着する効果があり、このCa吸着が終わった後に強度が発現しはじめるためであると考えられ、これは浚渫土が示す反応抑制効果と言えるものである。本発明者らは、浚渫土がそのような反応抑制効果を示すものであるとの想定の下で、製鋼スラグに代えて消石灰(水酸化カルシウム試薬)を浚渫土に混合し、同様の試験を行った。その結果、それぞれの浚渫土に対して製鋼スラグを添加した場合と類似した挙動を示すことが判った。混合材の強度は余り高くないため、安定した強度とみなせる一軸圧縮強度:50kN/mが発現した消石灰の添加量と製鋼スラグ(転炉脱炭スラグ,粒径5mm以下,遊離CaO含有量:5質量%)の添加量との相関をとったものを図2に示す。すなわち、図2の各プロットは、ある種類の浚渫土に消石灰、製鋼スラグを別々に添加した際に、一軸圧縮強度:50kN/mが発現した消石灰の添加量と、製鋼スラグの添加量を示している。
図2によれば、混合材の強度発現の上で、消石灰と製鋼スラグの添加量には極めて強い相関が認められ、製鋼スラグと浚渫土の混合材の強度発現が始まる指標として、消石灰(水酸化カルシウム試薬)を添加したときに強度が発現する最小必要量が重要であると考えられた。
さらに、混合材の強度発現には製鋼スラグ中のCaO成分の影響が大きいと考えられたことから、製鋼スラグのCaO含有量と混合材の関係を調査したが、予想とは異なり、混合材の強度と製鋼スラグのCaO含有量との間にはあまり強い相関は認められなかった。そこで、さらに検討を進めた結果、製鋼スラグ中のCa分のうち、特に反応性の高い遊離CaO量と混合材の強度との相関が高いことが判った。Ca濃度がほぼ一定レベル(35〜40質量%程度)であって、遊離CaO含有量が異なる製鋼スラグ(転炉脱炭スラグ,粒径5mm以下)を浚渫土に一定量(浚渫土:製鋼スラグ=70容積%:30容積%)添加し、この浚渫土と製鋼スラグの混合材について、28日養生後の一軸圧縮強度を調べた結果を図3に示す。図3によれば、製鋼スラグ中の遊離CaO含有量が増加するにしたがって、混合材の強度が増加しており、したがって、この遊離CaO含有量がパラメータとして重要であることが判った。
さらに、製鋼スラグの粒度が反応性に強く影響すると考えられることから、その影響を調査した結果、粒径2mm以下のスラグ粒子の比率が混合材の強度に大きな影響を与えることが判った。図4(a),(b)に、2種類の製鋼スラグ(転炉脱炭スラグ,粒径5mm以下)を、粒度を変えた条件で浚渫土(粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の割合:約90質量%)と混合した場合におけるスラグ粒度と混合材の強度との関係を示す。図4(a)は、粒径0.075mm以下のスラグ粒子の割合を変えた製鋼スラグを、図4(b)は、粒径2mm以下のスラグ粒子の割合を変えた製鋼スラグを、それぞれ同じ浚渫土に添加し、この浚渫土と製鋼スラグの混合材(浚渫土:製鋼スラグ=70容積%:30容積%)について、28日養生後の一軸圧縮強度を調べたものである。
図4の結果から以下のような点が判明した。基本的には粒度が細かい製鋼スラグほど反応に寄与すると想定され、粒径0.075mm以下のスラグ粒子の比率でもその傾向は表れているが、強度との相関性という意味では粒径2mm以下のスラグ粒子の比率が極めて相関性が高いことが判った。この理由は必ずしも明らかではないが、大きな粒子は表面積が小さいことから反応活性が乏しくなる一方、細かな粒子ばかりでは大気中のCOとの反応などで反応活性が乏しくなっているものと推定され、適度な粒径が重要であると考えられる。
一方、浚渫によって発生する浚渫土についても、それぞれ特性があり、同じ水域から浚渫した場合でも特性が変動する。この影響について解析した結果、第1に含水比の影響が大きいことが判った。図5は、2種類の製鋼スラグ(転炉脱炭スラグ,粒径5mm以下)を用い、同じ浚渫土と製鋼スラグの組み合わせで含水比のみを変えた混合材(浚渫土:製鋼スラグ=70容積%:30容積%)について、含水比と28日養生後の一軸圧縮強度との関係を調べたものである。図5によれば、含水比が増加するにしたがって混合材の強度が低下しており、含水比と強度との間に明確な相関があることが判った。
さらに、浚渫土の粒度に着目して解析を進めた結果、粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の比率が重要であることが判った。珪砂を加えることで粒径0.075mm以下の粒子の比率を低減させた浚渫土に製鋼スラグ(転炉脱炭スラグ,粒径5mm以下)を添加し、この浚渫土と製鋼スラグの混合材(浚渫土:製鋼スラグ=70容積%:30容積%)について、28日養生後の一軸圧縮強度を調べた。浚渫土中の粒径0.075mm以下の土粒子の比率とその強度との関係を図6に示す。ここで、図6の縦軸は、珪砂を添加する前の浚渫土(粒径0.075μm以下の土粒子の比率:90質量%)の一軸圧縮強度を“1”としたときの強度比を示した。
図6によれば、浚渫土中の粒径0.075mm以下の土粒子の比率に対応して混合材の強度が変化していることが判る。これはコンクリートにおけるペースト部分のように、安定して強度発現をさせるためには、微粒子の比率が重要であることを示している。
以上の結果から、以下に示すような特定の強度推定式を用いることにより、改質対象の浚渫土に試薬(消石灰)を添加して所定の強度が得られる試薬量を求めるだけで、浚渫土と製鋼スラグの混合材の強度を的確に推定できることが判った。すなわち、事前の試験において、改質対象である浚渫土に消石灰を混合し、その混合材の28日養生後の一軸圧縮強度が50kN/mとなる場合の消石灰の配合量を求めておき、下記(1)式に基づき、混合材(x)の28日養生後の一軸圧縮強度の推定値f(N/cm を求めるものである。
f=α×Ds×Sg×{(Co−Ch)/Wa} …(1)
但し
Ds=[混合材(x)中の粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の質量]/[混合材(x)の固形分の質量]×100(%)
Sg=[混合材(x)中の粒径2mm以下の製鋼スラグ粒子の質量]/[混合材(x)の製鋼スラグの質量]×100(%)
Ch:事前の試験において、改質対象である浚渫土に消石灰を混合し、その混合材の28日養生後の一軸圧縮強度が50kN/mとなる場合の混合材1m中の消石灰の質量(kg)×1.5
Co:製鋼スラグが含有する遊離CaOであって、混合材(x)1m中の遊離CaOの質量(kg)
Wa:混合材(x)1m中の水分の質量(kg)
α:Chを求めるに当たって使用する消石灰の種類により決まる定数
ここで、浚渫土と製鋼スラグの混合材における強度発現は、セメントにおけるポゾラン反応と同様の機構であり、製鋼スラグから供給されるCaと浚渫土のSi分とが反応して、Ca−Si−HO化合物を生成することにより強度が発現する。したがって、強度発現にはCa量、Si量、およびセメントなどの反応の場合に強度と逆比例している水量がそれぞれ影響すると考えられる。このような観点と、上述した製鋼スラグや浚渫土の各種特性を組み合わせて解析した結果、上記の強度推定式が見出されたものである。すなわち、Ca量に関与するパラメータとして、製鋼スラグからのCa供給量があり、これには混合材中の粒径2mm以下のスラグ粒子の質量を混合材中の製鋼スラグの質量で除した比率Sgと遊離CaO量Coの寄与がある。一方、浚渫土がCaを吸着することによる反応抑制効果があり、この反応抑制効果は、事前の試験で求められる、混合材の所定の強度が発現するまでの消石灰量が指標となり、したがって、反応に寄与する遊離CaOは(Co−Ch)で表される。また、セメントにおける結合材/水と同様の考え方で、強度発現は(Co−Ch)と混合材に含まれる水分(浚渫土が持ち込んだ海水や水、或いはさらに添加され海水や水)との比(Co−Ch)/Waに大きく依存する。なお、Chについて、「混合材の所定の強度が発現するまでの消石灰の質量×1.5」としたのは、図2に示されるように、強度発現する製鋼スラグの添加率と消石灰の添加率は強い相関があり、消石灰の添加量と製鋼スラグ中の遊離CaO含有率を元に計算した製鋼スラグ中の遊離CaO含有量とを比較すると、製鋼スラグ中の遊離CaO含有量は消石灰の1.5倍相当を要するからである。一方、Si分については、浚渫土のうちの土の量に起因するパラメータは、混合材中の粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の比率Dsの寄与がある。これらを掛け合わせることで、強度指標の骨格が求められ、これを一軸圧縮強度に適用させるための定数αを掛けたものが、混合材(x)の一軸圧縮強度の推定値f(N/cm となる。
ここで、定数αはChを求めるに当たって使用する消石灰の種類(例えば、活性度を左右する粒度及び/又は純度)により決まり、通常は、3〜4程度の範囲で選択される。
Chを求めるための事前の試験では、例えば、改質対象とする浚渫土に対して、消石灰の添加量を変更しながら混合し、その圧縮強度を測定することによって、強度の立ち上がり点を求めることが可能である。試験方法は特に限定されるものではないが、JIS−R−5201:1997「セメントの物理試験方法」8.3.1セメントペーストの練混ぜ(1)練混ぜ方法や、地盤工学会『土質試験の方法と解説』第5章 安定処理度の突き固めによる供試体作成の混合方法、に準拠して、数リットルレベルで評価をすれば十分なデータを取ることができる。
従来では、浚渫土と製鋼スラグの混合材の強度が明確に予測できなかったり、或いは実験を繰り返して所望の強度が得られる混合条件を見極める必要があったが、本発明法を適用することにより、改質対象となる浚渫土に対して試薬(消石灰)を用いた事前の試験を行うだけで、混合材の強度を容易に推定することが可能となり、設計条件に適した材料、混合条件を事前に簡便に設定することが可能となる。
次に、本願の第二の発明である浚渫土の改質方法について説明する。
製鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行うに当たり、混合材の目標強度(設計強度)が与えられれば、上記強度推定式により目標強度を得るための製鋼スラグの混合量を求めることができる。
すなわち、本発明の浚渫土の改質方法では、浚渫土と製鋼スラグの混合材(x)の28日養生後の一軸圧縮強度の目標値をf (N/cm とした場合、下記(2)式に基づき浚渫土に対する製鋼スラグの混合量を決定する。
=α×Ds×Sg×{(Co−Ch)/Wa} …(2)
但し
Ds=[混合材(x)中の粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の質量]/[混合材(x)の固形分の質量]×100(%)
Sg=[混合材(x)中の粒径2mm以下の製鋼スラグ粒子の質量]/[混合材(x)の製鋼スラグの質量]×100(%)
Ch:事前の試験において、改質対象である浚渫土に消石灰を混合し、その混合材の28日養生後の一軸圧縮強度が50kN/mとなる場合の混合材1m中の消石灰の質量(kg)×1.5
Co:製鋼スラグが含有する遊離CaOであって、混合材(x)1m中の遊離CaOの質量(kg)
Wa:混合材(x)1m中の水分の質量(kg)
α:Chを求めるに当たって使用する消石灰の種類により決まる定数
さきに述べたように、本発明の強度推定式により求められる混合材の強度は、実測値との相関が高いため、上記(2)式により目標強度f応じた製鋼スラグの混合量を決定することにより、製鋼スラグを目標強度fに応じた適正な混合量で浚渫材に混合することができる。
浚渫土に所定量の製鋼スラグを混合して強度改質を行う場合、混合方法としては、浚渫された泥土等に対して所定量の製鋼スラグを投入し、混ぜ合わせればよい。混ぜ合わせる方法としては、例えば、バックホーなどの重機を用いて混合する方法、連続式ミキサーに泥土と製鋼スラグを適正比率で投入しながら混合する方法、バッチ式ミキサーに泥土と製鋼スラグを所定量計量して投入して混合する方法などが適用できる。また、混合材の施工方法としては、例えば、混合直後の流動性がある状態でトレミー管などを通して海中に施工する方法、一旦、土運船などに取りおき、少し硬化が始まった状態でバケット投入や底開バージにより施工する方法などが適用できる。また、陸域で使用する場合には、例えば、混合後にトラック等で運搬して施工する方法、泥土発生現地で製鋼スラグを所定量混合し、そのまま養生する方法などが適用できる。
製鋼スラグの混合で改質された浚渫土(混合材)は、主に水域の土工材や盛土材などに好適に利用されるが、陸上の土工材などとしても利用できる。
[実施例1]
表1に示す浚渫土A〜Cを改質対象の浚渫土とし、これに添加する製鋼スラグとして表2に示す製鋼スラグa〜cを用いた。なお、一部の浚渫土については、粒度調整のために珪砂を添加した。表3及び表4に示すような組み合わせと混合条件で、浚渫土に対して製鋼スラグを混合し、この混合材の28日養生後の一軸圧縮強度の推定値を本発明法により求めた。本実施例において事前の試験に用いた消石灰は、工業用消石灰特号(JIS−R−9001:2006)であり、(1)式の定数αは3.6とした。また、Chを求めるための事前の試験は、各浚渫土に対して上記消石灰を計量し、モルタルミキサーを用いて混合し、50φ×1100mmのモールドで成形、固化させて実施した。封かん状態で28日養生したサンプルの一軸圧縮強度を測定し、その強度の立ち上がり状況からChを求めた。また、求められた推定値の実測値との相関を確認するために、各混合材の28日封かん養生後の一軸圧縮強度を実測した。それらの結果を表3及び表4に併せて示す。
本発明法で求められた一軸圧縮強度の推定値と、一軸圧縮強度の実測値との相関を図7に示すが、両者の値はよく対応しており、本発明によれば、多様な条件にも関わらず、統括的に圧縮強度を推定することが可能であることが判る。
Figure 0005728845
Figure 0005728845
Figure 0005728845
Figure 0005728845
[実施例2]
表1に示す浚渫土Aに対して製鋼スラグを混合して強度改質するに当たり、28日養生後の一軸圧縮強度の目標値(平均値)を500kN/mとした。製鋼スラグとしては、遊離CaO含有量が3.5質量%のものを使用した。使用する製鋼スラグについて、実施時における粒径2mm以下のスラグ粒子の比率を粒度分布測定により評価した上で、(2)式により製鋼スラグの混合量を28質量%と決定した。この混合割合でバッチ式の大型ミキサーにより浚渫土と製鋼スラグを大量混合し、複数個所のサンプルを採取した。混合材の28日養生後の一軸圧縮強度を実測した結果を図8に示す。これによれば、大量製造であるために浚渫土や製鋼スラグの粒度にある程度の変動があり、このため強度にはある程度の幅はあるものの、平均値は506kN/mである。したがって、本発明の浚渫土の改質方法によれば、設計強度に応じた製鋼スラグの適正な混合量を決定することができ、浚渫土を所望の設計強度に改質することができることが確認できた。

Claims (2)

  1. 製鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う際に、浚渫土と製鋼スラグの混合材(x)の強度を推定する方法であって、
    下記(1)式に基づき、混合材(x)の28日養生後の一軸圧縮強度の推定値f(N/cm)を求めることを特徴とする改質浚渫土の強度推定方法。
    f=α×Ds×Sg×{(Co−Ch)/Wa} …(1)
    但し
    Ds=[混合材(x)中の粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の質量]/[混合材(x)の固形分の質量]×100(%)
    Sg=[混合材(x)中の粒径2mm以下の製鋼スラグ粒子の質量]/[混合材(x)の製鋼スラグの質量]×100(%)
    Ch:事前の試験において、改質対象である浚渫土に消石灰を混合し、その混合材の28日養生後の一軸圧縮強度が50kN/mとなる場合の混合材1m中の消石灰の質量(kg)×1.5
    Co:製鋼スラグが含有する遊離CaOであって、混合材(x)1m中の遊離CaOの質量(kg)
    Wa:混合材(x)1m中の水分の質量(kg)
    α:3.6
  2. 製鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う方法であって、
    浚渫土と製鋼スラグの混合材(x)の28日養生後の一軸圧縮強度の目標値をf(N/cm)とした場合、下記(2)式に基づき浚渫土に対する製鋼スラグの混合量を決定することを特徴とする浚渫土の改質方法。
    =α×Ds×Sg×{(Co−Ch)/Wa} …(2)
    但し
    Ds=[混合材(x)中の粒径0.075mm以下の浚渫土粒子の質量]/[混合材(x)の固形分の質量]×100(%)
    Sg=[混合材(x)中の粒径2mm以下の製鋼スラグ粒子の質量]/[混合材(x)の製鋼スラグの質量]×100(%)
    Ch:事前の試験において、改質対象である浚渫土に消石灰を混合し、その混合材の28日養生後の一軸圧縮強度が50kN/mとなる場合の混合材1m中の消石灰の質量(kg)×1.5
    Co:製鋼スラグが含有する遊離CaOであって、混合材(x)1m中の遊離CaOの質量(kg)
    Wa:混合材(x)1m中の水分の質量(kg)
    α:3.6
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