JP5731784B2 - 食感食味の優れたベーカリー製品及びその製造法 - Google Patents
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Description
[1]食パン:
(1)ホワイトブレッド(白食パン):角形食パン、山形食パン、コッペパン等;
(2)バラエティーブレッド:ホールホィート・ブレッド(全粒粉)、スペシャリティ・ブレッド(他種穀粉:コーンブレッド等)、ベジタブル・ブレッド(野菜)、フルーツ・ブレッド(乾果物:レーズン・ブレッド等)、ナッツブレッド等;
(3)テーブルロール(食卓ロール)、ソフトロール(バターロール等)、ホットドッグ・ロール、ハンバーガーバンズ等;
[2]型焼きパン:
(1)ハードブレッドおよびハードロール:フランスパン(バゲット等)、ドイツパン(ブレーチヒェン等)、イタリアパン(ロゼッタ、ピザクラスト等);
(2)バラエティー・ハードブレッドおよびバラエティー・ハードロール、ライブレッド等;
[3]菓子パン:
(1)あんパン等:日本式菓子パン(あんパン、クリームパン、ジャムパン等)、欧米式菓子パン(デニッシュペストリー、クロワッサン等)等高糖、高油脂濃度生地をそのまま、またはフィリングおよび/またはトッピングを充填あるいは塗り、掛けして焼成したもの;
(2)揚げパン(イーストドーナツを含む):パン生地をそのまま、またはフィリングを充填して油で揚げたもの(リングドーナツ等);
(3)蒸しパン:パン生地をそのまま、またはフィリングを充填して蒸したもの;
[4]その他のパン(上記三分類に属さないもの):マフィン(イングリッシュマフィン等)、クネッケブロート、ラスク等
糖類は、酵母の発酵を促し生地を安定化させる効用が知られている。また、糖類は製パンの過程で、種々の芳香物質を形成し風味に影響を与えることから、用いる糖質を選別することによって、品質向上に寄与することができる。焼成の過程においても、カラメル化とメイラード反応を起こし、これもフレーバー付与に貢献する。
このように糖類を種類、量を変えて添加することによって、焼成温度等にも影響し、結果的に保湿性、老化遅延、保存性の延長などが起こると考えられる。その他にも、パンの歩留りの増加、でん粉の糊化遅延と蛋白質変性の遅延により、内相全体の滑らかさ、ソフトさの向上、甘味の付与、食味向上、トースト性の向上が期待される。
天然界に存在量が少ないとされる希少糖の1つD−プシコースにおいての検討例としては、アルブミンとの相互作用が報告され、加熱ゲル形成性の向上に寄与することなどが報告されている(非特許文献1)。ベーカリー製造過程においても、これら低分子単糖の相互作用による思わぬ効果が期待される。
(1)穀粉を主原料とするベーカリー製品の製造に際して、主原料粉100質量部に対してD-プシコース及びD-アロースが0.1−10質量%になるように、少なくともD−プシコース及びD−アロースを含有する希少糖、あるいはD−グルコース及びD−フラクトースに希少糖として少なくともD-プシコース及びD-アロースを含む希少糖含有異性化糖を配合した原料粉を用いることを特徴とするベーカリー製品の製造方法。
(2)希少糖含有異性化糖が、D−グルコース、D−フラクトース、及び、D−グルコースとD−フラクトースを主成分とする異性化糖のうち1種、あるいは2種以上を0.005mol/l以上のアルカリにより異性化することで得られる、D−グルコース及びD−フラクトース以外の糖の含有率が60質量%未満であって、少なくともD−プシコース及びD−アロースを含有することを特徴とする、上記の(1)記載のベーカリー製品の製造方法。
(3)製造過程に、酵母菌による糖質の資化過程を含む上記の(1)または(2)に記載のベーカリー製品の製造方法。
(4)ベーカリー製品が、食パンであることを特徴とする上記の(1)〜(3)のいずれかに記載のベーカリー製品の製造方法。
(5)上記の(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法によって製造されたベーカリー製品。
稀少糖、特にD−プシコースおよび/またはD−アロースは、ダイエット甘味料をはじめとして多くの用途(例えば肥満などの場合のカロリー摂取制限、糖尿病などの疾患により血糖値上昇抑制等)に使用され、「低カロリー甘味料」としての特徴を持つが、このような希少糖を配合して、本発明のベーカリー製品の製造方法により、食パンのようにベーカリー製品において、ソフトでしっとりとした食感を有し、かつ口溶け感が良く、風味も良好で、ボリューム感のある該ベーカリー製品において優れた食感を有する製品を提供することができる。
また、ベーカリー製品が、酵母菌を用いることによって、糖質の資化過程を含む製造工程を含むベーカリー製品であることが好ましい。
六炭糖(ヘキソース)には、アルドースの場合、L−アロース、L−グロース、L−グルコース、L−ガラクトース、L−アルトロース、L−イドース、L−マンノース、L−タロース、D−タロース、D−マンノース、D−イドース、D−アルトロース、D−ガラクトース、D−グルコース、D−グロース、D−アロースの16種類、ケトースの場合はL−プシコース、L−ソルボース、L−フルクトース、L−タガトース、D−タガトース、D−フルクトース、D−ソルボース、D−プシコースの8種類が存在し、そのうち自然界に多量に存在する単糖は、D−グルコース、D−フルクトース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノースの7種類であり、それ以外の単糖は全て希少糖である。
本発明における「希少糖」は、これらだけに限られず、その誘導体も包含し、その糖アルコール、ウロン酸、アミノ糖等が例示される。
<5%異性化糖の強塩基性イオン交換樹脂による反応>異性化糖を、0.1M NaOH溶液で、5%(w/v)になるように調製する。この溶液1100mlを、強塩基性イオン交換樹脂45ml、強酸性イオン交換樹脂26mlの順に、温度60℃、送液速度0.8ml/minで通液した。 (強塩基性イオン交換樹脂:アンバーライトIRA900J OH、強酸性イオン交換樹脂:アンバーライト200CT[H型]、カラム長30cm、カラム内径1.5cm)。この時にカラムから溶出してくる経時的な反応液をサンプリング後、HPLC(検出器;RI、カラム;三菱化成 MCI GEL CK 08EC)にて分析した。通液後(1000ml)、糖質含量に対して、D−グルコース34.3%、D−マンノース+D-ソルボース+D-アルトロース12.4%、D−フラクトース25.8%、D−アロース4.1%、D−プシコース6.3%の混合糖液が得られた。
<40%異性化糖の強塩基性イオン交換樹脂による反応>異性化糖を、0.1M NaOH溶液で、40%(w/v)になるように調製する。この溶液1100mlを、強塩基性イオン交換樹脂45ml、強酸性イオン交換樹脂26mlの順に、温度60℃、送液速度0.8ml/minで通液した。 (強塩基性イオン交換樹脂:アンバーライトIRA900J OH、強酸性イオン交換樹脂:アンバーライト200CT[H型]、カラム長30cm、カラム内径1.5cm)。この時にカラムから溶出してくる経時的な反応液をサンプリング後、HPLC(検出器;RI、カラム;三菱化成 MCI GEL CK 08EC)にて分析した。通液後(1000ml)、糖質含量に対して、D−グルコース46.2%、D−マンノース+D-ソルボース+D-アルトロース6.3%、D−フラクトース32.8%、D−アロース2.0%、D−プシコース4.8%の混合糖液が得られた。
本発明における希少糖異性化糖は、上記方法により得られたものに限られず、その他の方法によって得られたものでも構わないし、そこに含有される希少糖が、現在のところ同定されているD−プシコースとD−アロースにのみ限られたものでもない。
異性化糖、果糖、ブドウ糖を異性化して得る希少糖を含有する異性化糖を使用する場合、異性化による反応条件等の違いにより、ブドウ糖、果糖、D−マンノースなどの資化性糖の他に、アルカリの濃度、反応時間、反応基質を変えることによって、D−アロース、D−プシコース、D−ソルボース、D−タガトースなどの非資化性糖を含ませることができる。基質をD−ガラクトースとする、L体の糖を用いるなどによってバラエティに富んだ糖質をパンに入れ込むことも可能である。生成する希少糖の種類や量が異なることから、反応条件の違いを利用した風味、味の改良を行うことが可能である。すなわち、生成する希少糖の種類や量が異なることから、その糖そのものが資化されやすいかどうかのみならず、生地の発酵中に小麦澱粉より発生するマルトースの資化を阻害せずに継続的に発酵を進行させるかどうかなどに影響を与え、焼成後の製品の風味、味の改良に寄与する。
例えば、食パン、フランスパンなど、元々甘味が殆どないベーカリー製品の場合、希少糖を含有する異性化糖もしくは、希少糖を主原料粉100質量%に対して、0.1〜10質量%となるように設定して添加することにより、効果的にその食感、食味の改善効果を得ることができる。最終製品中における添加した糖の含有量が0.1質量%未満の場合、味質改善効果が不十分なため、0.1%以上、好ましくは0.5質量%以上添加するのがよい。また、10質量%以上では、菓子パンなどのような元来甘味の強いベーカリー製品等に対しては問題ないが、それ以外のベーカリー製品には強い甘味を与えて全体的な味のバランスを損ねてしまうことになるし、経済的観点からも、10質量%までに留めるほうが良い。
菓子パンのような元来甘味の強いベーカリー製品等の場合は、主原料粉100質量%に対して、希少糖を含有する異性化糖もしくは希少糖の割合が、1〜30質量%となるように設定して添加することにより、効果的にその食感、食味の改善効果を得ることができるし、スポンジケーキなどの場合は、原料粉100質量%に対して、希少糖を含有する異性化糖もしくは希少糖の割合が、5〜160質量%となるように設定して添加することにより、効果的にその食感、食味の改善効果を得ることができる。
α化澱粉質の原料に用いる澱粉としては、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、もち米澱粉、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチ、えんどう豆澱粉、緑豆澱粉等の市販の未処理澱粉を挙げることができる。また、これら澱粉、加工澱粉、穀粉を組み合わせて用いることもできる。
この実施例及び参考例においては、「部」は重量部を示す。異性化糖及び希少糖を含む異性化糖は、70重量%のものを用いた。
実施例1〜3に用いた希少糖を含む異性化糖は、次の方法で作成した。以下の実施例の異性化糖は、フジフラクトF100(ブドウ糖:果糖=51:43)を用いることとする。
まず、市販異性化糖を、0.1M NaOH溶液で、30%(w/v)になるように調製し、温度60℃、SV(Space velocity:流量(l)/時間(h)/樹脂量(l))1で充填後の強塩基性イオン交換樹脂に送液した (樹脂:アンバーライトIRA900J[OH])。次に、溶出した糖液を定法に従って、イオン交換樹脂にて精製、濃縮して希少糖を含む異性化糖を得た。
この時にカラムから溶出してくる経時的な反応液をサンプリング後、HPLC(検出器;RI、カラム;三菱化成 MCI GEL CK 08EC)にて分析したところ、各糖に該当するピーク面積比は、おおよそ、D−グルコース:D−フラクトース:D−プシコース:D−アロースを含む希少糖=44:32:6:6であった。
なお、実施例5は参考例である。
<製造条件>
中種捏上温度 :24℃
中種発酵時間 :4時間
本捏捏上げ温度:28℃
フロアータイム:20分
分割:275g×2
ベンチタイム:20分
ホイロ:60分
焼成温度:上火180℃/下火205℃
焼成時間:28分
<製造条件>
中種捏上温度 :26℃
中種発酵時間 :2.5時間
本捏捏上げ温度:28℃
フロアータイム:20分
分割:40g
ベンチタイム:20分
ホイロ:50分
焼成温度:上火190℃/下火175℃
焼成時間:8分
[実施例3〜4]
<製造条件>
生地比重 :0.45
焼成時間 :30分
焼成温度 :上下火180℃
砂糖を多く使用するベーカリー製品においては、異性化液糖は砂糖に比べてコクが不足するが、希少糖を含有する異性化糖においては、コクも白砂糖を用いたものと変わらない結果が得られた。
また、実施例4では焼き色が「3」であるが、これは、希少糖を添加すると、添加しない場合に比べて、焼き色がやや濃くなる傾向にあるからである。よって、焼き色を濃くしたい場合には、希少糖を適宜添加すれば良いことがわかる。
[実施例5〜7]
<製造条件>
捏上温度 :27〜28℃
発酵時間 :80分、パンチ後30分
フロアータイム:20分
分割:275g×2
ベンチタイム:20分
ホイロ:60分
焼成温度:上火180℃/下火205℃
焼成時間:28分
その他、一般的にしっとり感を与えるといわれる、水あめ、糖アルコールを配合しての検討も行ったが、希少糖を含む異性化糖を用いた場合の方が、よりしっとり感が高くなる結果も得られた。
Claims (5)
- 穀粉を主原料とするベーカリー製品の製造に際して、主原料粉100質量部に対してD-プシコース及びD-アロースが0.1−10質量%になるように、少なくともD−プシコース及びD−アロースを含有する希少糖、あるいはD−グルコース及びD−フラクトースに希少糖として少なくともD-プシコース及びD-アロースを含む希少糖含有異性化糖を配合した原料粉を用いることを特徴とするベーカリー製品の製造方法。
- 希少糖含有異性化糖が、D−グルコース、D−フラクトース、及び、D−グルコースとD−フラクトースを主成分とする異性化糖のうち1種、あるいは2種以上を0.005mol/l以上のアルカリにより異性化することで得られる、D−グルコース及びD−フラクトース以外の糖の含有率が60質量%未満であって、少なくともD−プシコース及びD−アロースを含有することを特徴とする、請求項1に記載のベーカリー製品の製造方法。
- 製造過程に、酵母菌による糖質の資化過程を含む請求項1または2に記載のベーカリー製品の製造方法。
- ベーカリー製品が、食パンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のベーカリー製品の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたベーカリー製品。
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