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JP5732382B2 - 連続鋳造鋳型 - Google Patents
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JP5732382B2 - 連続鋳造鋳型 - Google Patents

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本発明は、鋳片(凝固シェル)のコーナ部の形状を、圧延性確保のために要求される形状にしても、品質異常や形状異常が発生しない鋳片を鋳造する連続鋳造鋳型に関する。
連続鋳造法によりビレットやブルーム等の鋳片を製造する場合、圧延性(圧延時における鋳片コーナ部の割れ防止や折れ込み防止)の観点から、例えば鋳片のコーナアール部の曲率半径(コーナ部に形成した断面円弧状の角取り部分の曲率半径、以下、鋳片コーナ部R寸法という)は大きい方が望ましい。このため、種々のサイズのビレットを鋳造する場合、ビレットのサイズに応じて鋳片コーナ部R寸法をそれぞれ設定している。例えば、連続鋳造鋳型でビレットを鋳造する際に、断面が四角形の鋳型空間部(キャビティ)を形成する壁部材の内側四隅に形成する断面円弧状のコーナアール部の曲率半径(以下、鋳型コーナ部R寸法という)と鋳型空間部の1辺のサイズ(即ち、鋳造するビレットの1辺に対応するサイズ)との関係を、図10(A)〜(C)に示す。図10(A)に示すように、1980年代以前では、鋳型空間部の1辺のサイズに対して、鋳型コーナ部R寸法は、3〜15mmの範囲の様々な値に設定されていた。
ここで、鋳型コーナ部R寸法を大きくすると、鋳型空間部に形成される凝固シェルのコーナ部に対する2面冷却の効果が低下することに伴い、凝固シェルのコーナ部の凝固遅れが顕著になって、凝固シェルのコーナ部の厚さが薄くなる。その結果、凝固シェルのコーナ部の強度が低下してコーナ部に割れが発生したり、4つのコーナ部の凝固遅れが不均一であると、凝固シェルの断面形状が菱形に変形するという問題が生じる。そこで、1990年代になると、凝固シェルのコーナ部割れ防止対策や菱形変形防止対策(例えば、特許文献1参照)が図られるようになって、図10(B)に示すように、鋳型コーナ部R寸法は3〜6mm範囲が主流となった。そして、鋳型コーナ部R寸法の範囲は、図10(C)に示すように、2000年以降に到っても同様の傾向を示している。
特開平8−206789号公報
しかしながら、鋳型コーナ部R寸法が0を超え6mm以下の範囲では、鋳片鋼種や圧延条件によっては、鋳片の圧延時における鋳片コーナ部の割れや折れ込みを完全に防止できる鋳片コーナ部R寸法を有する鋳片を鋳造することができず、製品品質の低下や製品歩留りの低下が発生するという問題がある。そこで、圧延性の観点から鋳片コーナ部R寸法を大きくしようとして鋳型コーナ部R寸法を大きくすると、鋳造時に凝固シェルのコーナ部割れや、凝固シェルの菱形変形の問題が再発し、鋳片の品質異常や形状異常が生じ、製品歩留りの低下が発生するという問題が生じる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、鋳片のコーナ部の形状を、圧延性確保のために要求される形状にしても、鋳造時における凝固シェルのコーナ部割れや菱形変形を防止して、鋳片の品質異常や形状異常の発生を回避することが可能な連続鋳造鋳型を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る連続鋳造鋳型は、対向配置された長辺と該対向配置された長辺の間に対向配置された短辺とを有し、上下方向に貫通状態で形成される鋳型空間部に溶鋼を入れて凝固シェルを形成する連続鋳造鋳型において、
前記長辺の内側には、メニスカスより上領域を除いて上から下に連接する複数の分割勾配領域が前記凝固シェルの凝固収縮プロフィールに近似させて形成され、前記短辺の両端部は、前記長辺の内側形状に合わせて形成され、前記短辺の両側の内側部分には該短辺の端部を内側に延長した前記長辺との当接面を備えた断面三角形状の突出部が形成され、更に、前記突出部を含む前記短辺の内側にはメニスカスより上領域を除いて上から下に連接する複数の分割勾配領域が前記凝固シェルの凝固収縮プロフィールに近似させて形成されている。
ここで、突出部は、断面が直角三角形又は斜辺が角に向かって凹む円弧状となっていてもよい。なお、斜辺が角に向かって凹む円弧状の場合、円弧の曲率半径は、斜辺を除いた2辺に相当する部位の幅を超えることが好ましい。曲率半径を上記のように設定することで、凝固シェルのコーナ部の形状を滑らかな円弧とすることができ、鋳型空間部内で凝固シェルをスムーズに移動させることができる。
本発明に係る連続鋳造鋳型において、断面三角形状の前記突出部の斜辺を除く2辺に相当する部位の幅は、それぞれ8mm以上30mm以下であることが好ましい。
ここで、断面三角形状の突出部の斜辺とは、壁部材(長辺と短辺、以下同様)の内側隅(内側角部)に対向する辺をさす。
断面三角形状の突出部の斜辺を除く2辺に相当する部位のそれぞれの幅が8mm未満である場合、鋳片鋼種や圧延条件によっては、圧延時に鋳片コーナ部に割れが発生したり、鋳片コーナ部に折れ込みが発生するため好ましくない。一方、断面三角形状の突出部の斜辺を除く2辺に相当する部位のそれぞれの幅が30mmを超える場合、凝固シェルの冷却が効率的に行われる凝固シェルの辺領域と凝固シェルのコーナ部との間の距離が長くなって、凝固シェルのコーナ部の冷却効率が低下し、凝固シェルのコーナ部の厚みを十分に成長させることができず、強固な凝固シェルを形成することができないので好ましくない。
本発明に係る連続鋳造鋳型においては、鋳型空間部を形成する壁部材の内側四隅には断面三角形状の突出部が形成されているので、鋳型空間部に形成される凝固シェルのコーナ部には、角取り部(面取り部ともいう)が形成される。また、壁部材の内側には、メニスカスより上領域を除いて上から下に連接する複数の分割勾配領域が、それぞれ凝固シェルの凝固収縮プロフィールに近似させて形成されているので、凝固シェルが鋳型空間部内を下方に向けて移動する際に、凝固シェルは壁部材の内側と当接することができ、凝固シェルと壁部材の内側との間にエアギャップが形成されても、エアギャップの幅は僅少となる。
このため、壁部材で凝固シェルを均一に冷却することができ、凝固シェルの菱形変形を防止することができる。そして、凝固シェルは壁部材の内側に当接し、凝固シェルと壁部材の内側との間にエアギャップが形成されてもエアギャップの幅は僅少なので、凝固シェルの角取り部の冷却効率の低下を抑制することができる。
その結果、壁部材の内側四隅に突出部を形成して鋳片のコーナ部の形状を、圧延性確保のために要求される形状にしても、鋳造時における凝固シェルのコーナ部割れや菱形変形を防止して、鋳片の品質異常、形状異常の発生を回避し、製品歩留りの低下を防止することが可能になる。
本発明に係る連続鋳造鋳型において、断面三角形状の突出部の斜辺を除く2辺に相当する部位の幅が、それぞれ8mm以上30mm以下である場合、鋳片鋼種や圧延条件が変化しても、鋳片の圧延性確保(圧延時における鋳片コーナ部の割れ防止や折れ込み防止を図ること)が可能になる。
(A)は本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造鋳型の平面図、(B)は(A)のU−U矢視断面図である。 (A)は本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型の平面図、(B)は(A)のV−V矢視断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る連続鋳造鋳型の部分拡大平面図である。 鋳型空間部を形成する壁部材の内側四隅に断面円弧状のコーナアール部が形成された連続鋳造鋳型を用いて普通鋼を鋳造する際に、(A)、(B)は実施例1において、(C)、(D)は比較例1において、コーナアール部の曲率半径を5mm、20mmとした場合の連続鋳造鋳型下端の凝固シェルの部分断面図である。 (A)、(B)はコーナアール部の曲率半径と凝固シェルのコーナ部最小シェル厚との関係を示すグラフである。 鋳型空間部を形成する壁部材の内側四隅に断面円弧状のコーナアール部が形成された連続鋳造鋳型を用いて高炭素鋼を鋳造する際に、(A)、(B)は実施例2において、(C)、(D)は比較例2において、コーナアール部の曲率半径を5mm、20mmとした場合の連続鋳造鋳型下端の凝固シェルの部分断面図である。 鋳型空間部を形成する壁部材の内側四隅に断面が直角二等辺三角形状の突出部が形成された連続鋳造鋳型を用いて普通鋼を鋳造する際に、(A)、(B)は実施例3において、(C)、(D)は比較例3において、突出部の斜辺を除く2辺に相当する部位の幅を5mm、20mmとした場合の連続鋳造鋳型下端の凝固シェルの部分断面図である。 (A)、(B)は断面が直角二等辺三角形状の突出部の斜辺を除く2辺に相当する部位の幅と凝固シェルのコーナ部最小シェル厚との関係を示すグラフである。 鋳型空間部を形成する壁部材の内側四隅に断面が直角二等辺三角形状の突出部が形成された連続鋳造鋳型を用いて高炭素鋼を鋳造する際に、(A)、(B)は実施例4において、(C)、(D)は比較例4において、突出部の斜辺を除く2辺に相当する部位の幅を5mm、20mmとした場合の連続鋳造鋳型下端の凝固シェルの部分断面図である。 (A)、(B)、及び(C)はそれぞれ1980年代以前、1990年代、及び2000年以降におけるビレットの連続鋳造鋳型のサイズと鋳型コーナ部R寸法の関係を示すグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
先ず、本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造鋳型10について説明する。
図1(A)、(B)に示すように、連続鋳造鋳型10は、上下方向に貫通し断面が四角形であって、注入された溶鋼を凝固して凝固シェル(図示せず)を形成する鋳型空間部11を備えた角筒状となっている。そして、鋳型空間部11を形成する壁部材12の内側四隅には断面円弧状のコーナアール部13が形成されている。
ここで、コーナアール部13の曲率半径は8mm以上30mm以下である。また、壁部材12の内側には耐磨耗性の図示しない補強皮膜(例えば、めっき層、溶射層)がそれぞれ形成されている。
壁部材12の外表面(即ち、溶鋼と接する面とは反対側の面)側には、図示しない冷却部材が取付けられ、冷却部材に設けられた給水部(図示せず)から冷却部材に冷却水を供給することで、壁部材12の冷却を行うと共に鋳型空間部11に供給した溶鋼の冷却を行なって凝固シェルを形成することができる。なお、壁部材12の母材は、例えば銅又は銅合金で構成されている。壁部材12は、厚さ(補強皮膜を含む)が、例えば、5mm以上40mm以下程度、壁部材12の下端の内幅は、80mm以上500mm以下程度で、上下方向の長さが600mm以上1200mm以下程度である。これにより、鋳片の一例であるビレット又はブルームの鋳造を行うことができる。
補強皮膜には、Co−Ni系の合金めっき、Ni又はCoをベースとしたCr−Si−B系の合金からなる溶射皮膜、あるいはCo、Ni、又はCo−Ni系の合金に、炭化物(例えばWC)、窒化物(例えばTiN)、及び硼化物(例えばCrB)のいずれか1又は2以上を添加した複合材からなる溶射皮膜を使用することができる。なお、Ni又はCoをベースとしたCr−Si−B系の合金からなる溶射皮膜の場合、ヒュージング処理を行うことで、補強皮膜の緻密化、補強皮膜と長辺母材、補強皮膜と短辺母材との結合性を高めることができ、補強皮膜の寿命を延ばすことができる。一方、Co、Ni、又はCo−Ni系の合金に、炭化物、窒化物、及び硼化物のいずれか1又は2以上を添加した複合材からなる溶射皮膜の場合、補強皮膜に発生する擦り疵の防止、補強皮膜の耐摩耗性の向上を更に図ることができる。
内側四隅を除く壁部材12の内側には、メニスカスM1(溶鋼の湯面高さ位置)より上領域を除いて上から下に連接する複数、例えば3つの分割勾配領域14、15、16が、それぞれ凝固シェルの凝固収縮プロフィールに近似させて形成されている。従って、鋳型空間部11には、分割勾配領域14の上端がメニスカスM1となるように溶鋼が注入される。ここで、壁部材12のメニスカスM1より上側(鋳型空間部11の上端側)には、分割勾配領域14と同一の傾斜勾配を有する分割勾配領域17が形成されている。
これによって、鋳型空間部11内に形成された凝固シェルは、鋳型空間部11の内表面に当接して又は僅少のエアギャップを介して鋳型空間部11内を下方に向けて移動する。
また、分割勾配領域17の傾斜勾配は、分割勾配領域14の傾斜勾配より大きく(垂直面となす角度を小さく)形成してもよい。
なお、壁部材12に設けられる分割勾配領域14、15、16、17の傾斜勾配は僅かであるが、説明の便宜上、図1(B)においては、誇張して示している。
壁部材12の内幅は、凝固シェルが引き抜かれる下方に向けて狭まっている。したがって、分割勾配領域14〜16の傾斜勾配は、下側に配置される分割勾配領域ほど大きくなっている。ここで、壁部材12の内側に形成する分割勾配領域の数を2又は4以上とすることができる。分割勾配領域の数を増加させることで、凝固収縮プロフィールを分割勾配領域で近似する際の近似精度を向上させることができる。これによって、鋳型空間部の内表面に対する凝固シェルの当接を促進することができると共に、凝固シェルと鋳型空間部の内表面との間に生じるエアギャップを減少させることができる。
続いて、第1の実施の形態に係る連続鋳造鋳型10の作用について説明する。
連続鋳造鋳型10においては、鋳型空間部11を形成する角筒状の壁部材12の内側四隅に、断面円弧状のコーナアール部13が形成されているので、鋳型空間部11に形成される凝固シェルのコーナ部には、コーナアール部13に対応するコーナアール部が形成される。そして、内側四隅を除く壁部材12の内側には、メニスカスM1より上領域を除いて上から下に連接する3つの分割勾配領域14、15、16が、それぞれ凝固シェルの凝固収縮プロフィールに近似させて形成されているので、鋳型空間部11内に形成された凝固シェルは、鋳型空間部11の内表面(壁部材12の内側)に当接して又は僅少のエアギャップを介して鋳型空間部11内を下方に向けて移動する。
これにより、壁部材12で凝固シェルを均一に冷却することができる。また、凝固シェルは壁部材12の内側に当接し、凝固シェルと壁部材12の内側との間にエアギャップが形成されてもエアギャップの幅は僅少なので、凝固シェルのコーナアール部は、壁部材12の隣り合う辺領域により2面冷却されるので、凝固シェルのコーナアール部の凝固が促進される。このため、壁部材12の内側四隅に形成するコーナアール部13の曲率半径を広範囲に設定することが可能になり、鋳片のコーナ部の形状(鋳片コーナ部R寸法)を、圧延性確保のために要求される形状にしても、凝固シェルのコーナ部に凝固遅れが生じることを防止できる。その結果、鋳造時における凝固シェルのコーナ部割れや菱形変形を防止して、鋳片の品質異常、形状異常の発生を回避し、製品歩留りの低下を防止することが可能になる。
ここで、コーナアール部13の曲率半径は8mm以上30mm以下である。曲率半径を8mm以上とすることで、鋳片鋼種や圧延条件が変化しても、圧延時に鋳片コーナ部に割れが発生したり、鋳片コーナ部に折れ込みが発生したりすることを防止できる。また、曲率半径が30mmを超える場合、凝固シェルのコーナアール部と壁部材12のコーナアール部13との間にエアギャップが存在すると、凝固シェルの冷却が効率的に行われる凝固シェルの辺領域(コーナ部を除いた領域)の端部と凝固シェルのコーナ部との間の距離が長くなって、凝固シェルのコーナ部の冷却効率が低下する。このため、コーナアール部13の曲率半径の上限値を30mmに設定して、凝固シェルのコーナ部の厚みを、凝固シェルの辺領域の厚さと同程度以上にする。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型18について説明する。
連続鋳造鋳型18は、図2(A)、(B)に示すように、壁部材が、対向配置された長辺19、20と、対向配置された長辺19、20の間に対向配置された短辺21、22とを有し、上下方向に貫通状態で形成される鋳型空間部23に溶鋼を入れて凝固シェルを形成するものである。そして、長辺19、20の内側には、メニスカスM2より上領域を除いて上から下に連接する複数、例えば3つの分割勾配領域25、26、27が凝固シェルの凝固収縮プロフィールに合わせて形成されている。短辺21、22の両端部は、長辺19、20の内側形状に合わせて形成され、短辺21、22の両側の内側部分には、短辺21、22の端部を内側に延長した当接面を備えた突出部24が形成され、しかも、突出部24は断面直角三角形状(断面三角形状の一例)となっている。更に、短辺21、22の内側には、突出部24が形成された領域を除いて、メニスカスM2より上領域を除いて上から下に連接する複数、例えば3つの分割勾配領域28、29、30が凝固シェルの凝固収縮プロフィールに合わせて形成されている。
これによって、鋳型空間部23内に形成された凝固シェルは、鋳型空間部23の内表面に当接して又は僅少のエアギャップを介して鋳型空間部23内を下方に向けて移動する。
ここで、短辺21、22の端部を内側に延長した長辺19、20の内側面に接触する突出部24の当接面の幅は8mm以上30mm以下、突出部24が短辺21、22に連接している部位の幅は8mm以上30mm以下である。また、長辺19、20及び短辺21、22の内側面(鋳型空間部23側)には耐磨耗性の図示しない補強皮膜(例えば、めっき層、溶射層)がそれぞれ形成されている。
長辺19、20及び短辺21、22の外表面(即ち、溶鋼と接する面とは反対側の面)側には、上下方向(鋳造方向)に並べて配置される複数のボルト(図示せず)からなる締結手段群を介して図示しないバックプレートがそれぞれ取付けられている。これにより、バックプレートの下部に設けられた給水部(図示せず)から、長辺19、20と短辺21、22の外面側に設けられた図示しない多数の導水溝に冷却水を流すことで、長辺19、20及び短辺21、22の冷却を行うと共に鋳型空間部23に供給した溶鋼の冷却を行なって凝固シェルを形成することができる。なお、長辺19、20の母材及び短辺21、22の母材は、銅又は銅合金でそれぞれ形成されている。
短辺21、22は、厚さ(補強皮膜を含めた厚さ)が、例えば、5mm以上100mm以下程度、幅が50mm以上400mm以下程度で、上下方向の長さが600mm以上1200mm以下程度である。また、長辺19、20は、厚さ(補強皮膜を含めた厚さ)が、例えば5mm以上100mm以下程度、対向配置される一対の短辺21、22の間隔(凝固シェルと接触する内表面の間の距離)を、600mm以上3000mm以下程度の範囲で変更可能とすることのできる幅を有し、上下方向の長さは短辺21、22と同程度である。これにより、例えば、幅が600mm以上3000mm以下程度、厚みが50mm以上300mm以下程度のスラブ(鋳片の一例)を製造できる。
補強皮膜には、Co−Ni系の合金めっき、Ni又はCoをベースとしたCr−Si−B系の合金からなる溶射皮膜、あるいはCo、Ni、又はCo−Ni系の合金に、炭化物(例えばWC)、窒化物(例えばTiN)、及び硼化物(例えばCrB)のいずれか1又は2以上を添加した複合材からなる溶射皮膜を使用することができる。なお、Ni又はCoをベースとしたCr−Si−B系の合金からなる溶射皮膜の場合、ヒュージング処理を行うことで、補強皮膜の緻密化、補強皮膜と長辺母材、補強皮膜と短辺母材との結合性を高めることができ、補強皮膜の寿命を延ばすことができる。一方、Co、Ni、又はCo−Ni系の合金に、炭化物、窒化物、及び硼化物のいずれか1又は2以上を添加した複合材からなる溶射皮膜の場合、補強皮膜に発生する擦り疵の防止、補強皮膜の耐摩耗性の向上を更に図ることができる。
ここで、長辺19、20のメニスカスM2より上側(鋳型空間部23の上端側)には分割勾配領域25と同一の傾斜勾配を有する分割勾配領域31が、短辺21、22のメニスカスM2より上側(鋳型空間部23の上端側)には分割勾配領域32がそれぞれ設けられている。従って、鋳型空間部23には、長辺19、20の分割勾配領域25及び短辺21、22の分割勾配領域28のそれぞれの上端が溶鋼の湯面高さ位置M2となるように溶鋼が注入される。
また、分割勾配領域31の傾斜勾配は、分割勾配領域25の傾斜勾配より大きく(垂直面となす角度を小さく)、分割勾配領域32の傾斜勾配は、分割勾配領域28の傾斜勾配より大きく形成してもよい。なお、分割勾配領域25〜32の傾斜勾配は僅かであるが、説明の便宜上、図2(B)においては、誇張して示している。
対向する長辺19、20の内幅及び対向する短辺21、22の内幅は、凝固シェルが引き抜かれる下方に向けて狭まっている。したがって、長辺19、20の分割勾配領域25〜27の傾斜勾配は下側に配置される分割勾配領域ほど大きく、短辺21、22の分割勾配領域28〜30の傾斜勾配は下側に配置される分割勾配領域ほど大きくなっている。
なお、長辺19、20及び短辺21、22の鋳型空間部23側にそれぞれ形成する分割勾配領域の数を2又は4以上としてもよい。分割勾配領域の数を増加させることで、凝固収縮プロフィールを分割勾配領域で近似する際の近似精度を向上させることができる。これによって、鋳型空間部の内表面に対する凝固シェルの当接を促進することができると共に、凝固シェルと鋳型空間部の内表面との間に生じるエアギャップを減少させることができる。
続いて、第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型18の作用について説明する。
連続鋳造鋳型18においては、長辺19、20の内側には、メニスカスM2より上領域を除いて上から下に連接する3つの分割勾配領域25〜27が凝固シェルの凝固収縮プロフィールに合わせて形成されているので、凝固シェルが鋳型空間部23内を下方に向けて移動する際に、凝固シェルは長辺19、20の内側と当接することができ、凝固シェルと長辺19、20の内側との間にエアギャップが形成されても、エアギャップの幅は僅少となる。また、短辺21、22の内側に、突出部24が形成された領域を除いて、メニスカスM2より上領域を除いて上から下に連接する3つの分割勾配領域28〜30が凝固シェルの凝固収縮プロフィールに合わせて形成されているので、凝固シェルが鋳型空間部23内を下方に向けて移動する際に、凝固シェルは短辺21、22の内側に当接することができ、凝固シェルと短辺21、22の内側との間にエアギャップが形成されても、エアギャップの幅は僅少となる。
したがって、長辺19、20及び短辺21、22により、凝固シェルの冷却を効率的に行うことができ、凝固シェルのコーナ部の冷却効率の低下を抑制することができる。このため、短辺21、22の両側の内側部分に、短辺21、22の端部を内側に延長した当接面を備え、断面視して直角三角形の突出部24を形成する際、突出部24の当接面の幅及び突出部24が短辺21、22に連接している部位の幅を広範囲に設定することが可能になり、鋳片のコーナ部の形状(コーナ部に形成した断面三角形状の角取り部分の斜辺を除いた部位の寸法、以下、鋳片コーナ部C寸法という)を、圧延性確保のために要求される形状にしても、凝固シェルのコーナ部に凝固遅れが生じることを防止できる。その結果、鋳造時における凝固シェルのコーナ部割れや菱形変形を防止して、鋳片の品質異常、形状異常の発生を回避し、製品歩留りの低下を防止することが可能になる。
ここで、突出部24の当接面の幅及び突出部24が短辺21、22に連接している部位の幅を8mm以上とすることで、鋳片鋼種や圧延条件が変化しても、圧延時に鋳片コーナ部に割れが発生したり、鋳片コーナ部に折れ込みが発生したりすることを防止できる。また、突出部24の当接面の幅及び突出部24が短辺21、22に連接している部位の幅が30mmを超える場合、凝固シェルのコーナ部と突出部24との間にエアギャップが存在すると、凝固シェルの冷却が効率的に行われる凝固シェルの辺領域(コーナ部を除いた領域)の端部と凝固シェルのコーナ部との間の距離が長くなって、凝固シェルのコーナ部の冷却効率が低下する。このため、突出部24の当接面の幅及び突出部24が短辺21、22に連接している部位の幅の上限値を30mmに設定して、凝固シェルのコーナ部の厚みを、凝固シェルの辺領域の厚さと同程度以上にする。
続いて、本発明の第3の実施の形態に係る連続鋳造鋳型33について説明する。
第3の実施の形態に係る連続鋳造鋳型33は、第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型18と比較して、図3に示すように、対向配置される各短辺34の両側の内側部分に形成する断面直角三角形状(断面三角形状の一例)の突出部35の斜辺相当部分が角に向かって凹む円弧状となっていることが特徴となっている。このため、短辺34及び突出部35についてのみ説明し、連続鋳造鋳型18と同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
短辺34の両端部は、長辺19、20の内側形状に合わせて形成されている。そして、短辺34の端部を内側に延長した長辺19の内側面に接触する突出部35の当接面の幅は8mm以上30mm以下、突出部35が短辺34に連接している部位の幅は8mm以上30mm以下である。また、円弧の曲率半径は、当接面の幅又は突出部35が短辺34に連接する部位の幅を超えるように設定されている。更に、短辺34内側には、突出部35が形成された領域を除いて、メニスカスM2より上領域を除いて上から下に連接する複数、例えば3つの分割勾配領域36、37、38が凝固シェルの凝固収縮プロフィールに合わせて形成され、メニスカスM2より上側には分割勾配領域39が設けられている。
なお、短辺34の母材は、銅又は銅合金でそれぞれ形成され、短辺34の内側面(溶鋼が注入される鋳型空間部側)には耐磨耗性の図示しない補強皮膜(例えば、めっき層、溶射層)がそれぞれ形成されている。
円弧の曲率半径を、当接面の幅又は突出部が短辺34に連接する部位の幅を超えるように設定することにより、当接面の幅と突出部が短辺34に連接する部位の幅の長さが異なっても、突出部35の直角に対向する部分に、長辺19及び短辺34の内側面にそれぞれ両端部が当接する円弧を形成することができる。これによって、凝固シェルのコーナ部の形状を滑らかな円弧とすることができ、鋳型空間部内で凝固シェルを下方に向けてスムーズに移動させることができる。
なお、当接面の幅と突出部35が短辺34に連接する部位の幅の長さが同一の場合は、円弧の曲率半径を当接面の幅(突出部が短辺34に連接する部位の幅)と一致させてもよい。
(実施例1)
普通鋼(SS400)の鋳片を、鋳型空間部が角筒状の壁部材で形成された連続鋳造鋳型を用いて鋳造する際の、壁部材の内側四隅に形成する断面円弧状のコーナアール部の曲率半径(鋳型コーナ部R寸法)と凝固シェルの厚さの関係を、有限要素法を用いた凝固シェルの凝固収縮解析により求めた。
ここで、鋳型空間部の下端内寸法は縦185mm、横185mm、長さを800mm、鋳型コーナ部R寸法は3、5、12.5、20、25、及び30mmである。また、鋳造速度は1.70m/分、角筒状の壁部材による抜熱量は148×10kcal/m・hrとした。
壁部材の鋳型空間部側に形成された最上部の分割勾配領域(上端から下方150mmの範囲)のテーパ率は3%/m、上から2番目の分割勾配領域(上端より下方150mmから下方150mmの範囲)のテーパ率は2.2%/m、上から3番目の分割勾配領域(上端より下方300mmから下方150mmの範囲)のテーパ率は0.8%/m、最下部の分割勾配領域(上端より下方450mmから下方350mmの範囲)のテーパ率は0.6%/mである。
凝固シェルを平断面視した際の辺領域の中央部の厚さは、鋳型コーナ部R寸法に影響されず一定値(10.75mm)であり、凝固シェルのコーナ部最小シェル厚は、鋳型コーナ部R寸法が3、5、12.5、20、25、30mmと増大しても、10.75mmと一定である。
鋳型コーナ部R寸法を5mmとした場合の壁部材(連続鋳造鋳型)の下端における凝固シェルの部分断面図を図4(A)に、鋳型コーナ部R寸法を20mmとした場合の壁部材の下端における凝固シェルの部分断面図を図4(B)にそれぞれ示す。また、鋳型コーナ部R寸法とコーナ部最小シェル厚との関係を図5(A)に示す。
(比較例1)
普通鋼の鋳片を、鋳型空間部が角筒状の壁部材で形成された連続鋳造鋳型を用いて鋳造する際の、鋳型コーナ部R寸法と凝固シェルの厚さの関係を、有限要素法を用いた凝固シェルの凝固収縮解析により求めた。
ここで、鋳型空間部の下端内寸法は縦185mm、横185mm、長さを800mm、鋳型コーナ部R寸法は3、5、12.5、20、25、及び30mmである。また、鋳造速度は1.70m/分、角筒状の壁部材による抜熱量は148×10kcal/m・hrとした。そして、壁部材の鋳型空間部側にはテーパ率0.8%/mの勾配を設けた。
凝固シェルを平断面視した際の辺領域の中央部の厚さは、鋳型コーナ部R寸法に影響されず一定値(10.76mm)となったが、コーナ部最小シェル厚は、鋳型コーナ部R寸法が3、5、12.5、20、25、30mmと増大するのに伴って、7.88、7.64、7.08、6.77、6.58、6.47mmと減少し、コーナ部最小シェル厚は辺領域の中央部の厚さ未満となる。
鋳型コーナ部R寸法を5mmとした場合の壁部材(連続鋳造鋳型)の下端における凝固シェルの部分断面図を図4(C)に、鋳型コーナ部R寸法を20mmとした場合の壁部材の下端における凝固シェルの部分断面図を図4(D)にそれぞれ示す。また、鋳型コーナ部R寸法とコーナ部最小シェル厚との関係を図5(B)に示す。
(実施例2)
高炭素鋼の鋳片を、鋳型空間部が角筒状の壁部材で形成された連続鋳造鋳型を用いて鋳造する際の、鋳型コーナ部R寸法と凝固シェルの厚さの関係を、有限要素法を用いた凝固シェルの凝固収縮解析により求めた。
ここで、鋳型空間部の下端内寸法は縦185mm、横185mm、長さを800mm、鋳型コーナ部R寸法は3、5、12.5、20、25、及び30mmである。また、鋳造速度は1.65m/分、角筒状の壁部材による抜熱量は199×10kcal/m・hrとした。
壁部材の鋳型空間部側に形成された最上部の分割勾配領域(上端から下方150mmの範囲)のテーパ率は3%/m、上から2番目の分割勾配領域(上端より下方150mmから下方150mmの範囲)のテーパ率は2.2%/m、上から3番目の分割勾配領域(上端より下方300mmから下方150mmの範囲)のテーパ率は0.8%/m、最下部の分割勾配領域(上端より下方450mmから下方350mmの範囲)のテーパ率は0.6%/mである。
凝固シェルを平断面視した際の辺領域の中央部の厚さは、鋳型コーナ部R寸法に影響されず一定値(13.24mm)となったが、凝固シェルのコーナ部最小シェル厚は、鋳型コーナ部R寸法が3、5、12.5、20、25、30mmと増大するのに伴って、13.24、13.23、13.09、13.01、12.94、12.98mmと減少傾向を示す。
鋳型コーナ部R寸法を5mmとした場合の壁部材(連続鋳造鋳型)の下端における凝固シェルの部分断面図を図6(A)に、鋳型コーナ部R寸法を20mmとした場合の壁部材の下端における凝固シェルの部分断面図を図6(B)にそれぞれ示す。また、鋳型コーナ部R寸法とコーナ部最小シェル厚との関係を図5(A)に示す。
(比較例2)
高炭素鋼の鋳片を、鋳型空間部が角筒状の壁部材で形成された連続鋳造鋳型を用いて鋳造する際の、鋳型コーナ部R寸法と凝固シェルの厚さの関係を、有限要素法を用いた凝固シェルの凝固収縮解析により求めた。
ここで、鋳型空間部の下端内寸法は縦185mm、横185mm、長さを800mm、鋳型コーナ部R寸法は3、5、12.5、20、25、及び30mmである。また、鋳造速度は1.65m/分、角筒状の壁部材による抜熱量は199×10kcal/m・hrとした。そして、壁部材の鋳型空間部側にはテーパ率0.8%/mの勾配を設けた。
凝固シェルを平断面視した際の辺領域の中央部の厚さは、鋳型コーナ部R寸法に影響されず一定値(13.26mm)となったが、コーナ部最小シェル厚は、鋳型コーナ部R寸法が3、5、12.5、20、25、30mmと増大するのに伴って、9.11、8.99、7.92、7.50、7.09、6.88mmと減少し、コーナ部最小シェル厚は辺領域の中央部の厚さ未満となる。
鋳型コーナ部R寸法を5mmとした場合の壁部材(連続鋳造鋳型)の下端における凝固シェルの部分断面図を図6(C)に、鋳型コーナ部R寸法を20mmとした場合の壁部材の下端における凝固シェルの部分断面図を図6(D)にそれぞれ示す。また、鋳型コーナ部R寸法とコーナ部最小シェル厚との関係を図5(B)に示す。
(実施例3)
普通鋼(SS400)の鋳片を、鋳型空間部が角筒状の壁部材で形成された連続鋳造鋳型を用いて鋳造する際の、壁部材の内側四隅に形成する断面直角二等辺三角形状の突出部の斜辺を除く2辺に相当する部位の幅(以下、鋳型コーナ部C寸法という)と凝固シェルの厚さの関係を、有限要素法を用いた凝固シェルの凝固収縮解析により求めた。
ここで、鋳型空間部の下端内寸法は縦185mm、横185mm、長さを800mm、鋳型コーナ部C寸法は3、5、12.5、20、25、及び30mmである。また、鋳造速度は1.70m/分、角筒状の壁部材による抜熱量は148×10kcal/m・hrとした。
壁部材の鋳型空間部側に形成された最上部の分割勾配領域(上端から下方150mmの範囲)のテーパ率は3%/m、上から2番目の分割勾配領域(上端より下方150mmから下方150mmの範囲)のテーパ率は2.2%/m、上から3番目の分割勾配領域(上端より下方300mmから下方150mmの範囲)のテーパ率は0.8%/m、最下部の分割勾配領域(上端より下方450mmから下方350mmの範囲)のテーパ率は0.6%/mである。
凝固シェルを平断面視した際の辺領域の中央部の厚さは、鋳型コーナ部C寸法に影響されず一定値(10.75mm)であり、凝固シェルのコーナ部最小シェル厚は、鋳型コーナ部C寸法が3、5、12.5、20、25、30mmと増大しても、10.75mmと一定である。
鋳型コーナ部C寸法を5mmとした場合の壁部材(連続鋳造鋳型)の下端における凝固シェルの部分断面図を図7(A)に、鋳型コーナ部C寸法を20mmとした場合の壁部材の下端における凝固シェルの部分断面図を図7(B)にそれぞれ示す。また、鋳型コーナ部C寸法とコーナ部最小シェル厚との関係を図8(A)に示す。
(比較例3)
普通鋼の鋳片を、鋳型空間部が角筒状の壁部材で形成された連続鋳造鋳型を用いて鋳造する際の、鋳型コーナ部C寸法と凝固シェルの厚さの関係を、有限要素法を用いた凝固シェルの凝固収縮解析により求めた。
ここで、鋳型空間部の下端内寸法は縦185mm、横185mm、長さを800mm、鋳型コーナ部C寸法は3、5、12.5、20、25、及び30mmである。また、鋳造速度は1.70m/分、角筒状の壁部材による抜熱量は148×10kcal/m・hrとした。そして、壁部材の鋳型空間部側にはテーパ率0.8%/mの勾配を設けた。
凝固シェルを平断面視した際の辺領域の中央部の厚さは、鋳型コーナ部C寸法に影響されず一定値(10.76mm)となったが、コーナ部最小シェル厚は、鋳型コーナ部C寸法が3、5、12.5、20、25、30mmと増大するのに伴って、7.77、7.51、7.04、6.7、6.5、6.4mmと減少し、コーナ部最小シェル厚は辺領域の中央部の厚さ未満となる。
鋳型コーナ部C寸法を5mmとした場合の壁部材(連続鋳造鋳型)の下端における凝固シェルの部分断面図を図7(C)に、鋳型コーナ部C寸法を20mmとした場合の壁部材の下端における凝固シェルの部分断面図を図7(D)にそれぞれ示す。また、鋳型コーナ部C寸法とコーナ部最小シェル厚との関係を図8(B)に示す。
(実施例4)
高炭素鋼の鋳片を、鋳型空間部が角筒状の壁部材で形成された連続鋳造鋳型を用いて鋳造する際の、鋳型コーナ部C寸法と凝固シェルの厚さの関係を、有限要素法を用いた凝固シェルの凝固収縮解析により求めた。
ここで、鋳型空間部の下端内寸法は縦185mm、横185mm、長さを800mm、鋳型コーナ部C寸法は3、5、12.5、20、25、及び30mmである。また、鋳造速度は1.65m/分、角筒状の壁部材による抜熱量は199×10kcal/m・hrとした。
壁部材の鋳型空間部側に形成された最上部の分割勾配領域(上端から下方150mmの範囲)のテーパ率は3%/m、上から2番目の分割勾配領域(上端より下方150mmから下方150mmの範囲)のテーパ率は2.2%/m、上から3番目の分割勾配領域(上端より下方300mmから下方150mmの範囲)のテーパ率は0.8%/m、最下部の分割勾配領域(上端より下方450mmから下方350mmの範囲)のテーパ率は0.6%/mである。
凝固シェルを平断面視した際の辺領域の中央部の厚さは、鋳型コーナ部C寸法に影響されず一定値(13.24mm)となったが、凝固シェルのコーナ部最小シェル厚は、鋳型コーナ部C寸法が3、5、12.5、20、25、30mmと増大するのに伴って、13.33、13.30、13.20、13.14、13.10、13.07mmと減少傾向を示す。
鋳型コーナ部C寸法を5mmとした場合の壁部材(連続鋳造鋳型)の下端における凝固シェルの部分断面図を図9(A)に、鋳型コーナ部C寸法を20mmとした場合の壁部材の下端における凝固シェルの部分断面図を図9(B)にそれぞれ示す。また、鋳型コーナ部C寸法とコーナ部最小シェル厚との関係を図8(A)に示す。
(比較例4)
高炭素鋼の鋳片を、鋳型空間部が角筒状の壁部材で形成された連続鋳造鋳型を用いて鋳造する際の、鋳型コーナ部C寸法と凝固シェルの厚さの関係を、有限要素法を用いた凝固シェルの凝固収縮解析により求めた。
ここで、鋳型空間部の下端内寸法は縦185mm、横185mm、長さを800mm、鋳型コーナ部C寸法は3、5、12.5、20、25、及び30mmである。また、鋳造速度は1.65m/分、角筒状の壁部材による抜熱量は199×10kcal/m・hrとした。そして、壁部材の鋳型空間部側にはテーパ率0.8%/mの勾配を設けた。
凝固シェルを平断面視した際の辺領域の中央部の厚さは、鋳型コーナ部C寸法に影響されず一定値(13.26mm)となったが、コーナ部最小シェル厚は、鋳型コーナ部C寸法が3、5、12.5、20、25、30mmと増大するのに伴って、9.32、9.06、8.11、7.44、7.11、6.81mmと減少し、コーナ部最小シェル厚は辺領域の中央部の厚さ未満となる。
鋳型コーナ部C寸法を5mmとした場合の壁部材(連続鋳造鋳型)の下端における凝固シェルの部分断面図を図9(C)に、鋳型コーナ部C寸法を20mmとした場合の壁部材の下端における凝固シェルの部分断面図を図9(D)にそれぞれ示す。また、鋳型コーナ部C寸法とコーナ部最小シェル厚との関係を図8(B)に示す。
以上のように、壁部材の内側四隅を除く壁部材の内側に、メニスカスより上領域を除いて上から下に連接する複数の分割勾配領域を、それぞれ凝固シェルの凝固収縮プロフィールに近似させて形成すると、鋳型コーナ部R寸法が30mm以下となるように、壁部材の内側四隅に断面円弧状のコーナアール部を形成しても、鋳型コーナ部C寸法が30mm以下となるように、断面三角形状の突出部を形成しても、凝固シェルの均一冷却及び凝固シェルのコーナ部の冷却促進が可能になることが確認できた。これによって、壁部材の内側四隅にコーナアール部、断面三角形状の突出部を形成して鋳片のコーナ部の形状を、圧延性確保のために要求される形状にしても、鋳造時における凝固シェルのコーナ部割れや菱形変形を防止して、鋳片の品質異常、形状異常の発生を回避し、製品歩留りの低下を防止することが可能になる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
10:連続鋳造鋳型、11:鋳型空間部、12:壁部材、13:コーナアール部、14、15、16、17:分割勾配領域、18:連続鋳造鋳型、19、20:長辺、21、22:短辺、23:鋳型空間部、24:突出部、25、26、27、28、29、30、31、32:分割勾配領域、33:連続鋳造鋳型、34:短辺、35:突出部、36、37、38、39:分割勾配領域

Claims (2)

  1. 対向配置された長辺と該対向配置された長辺の間に対向配置された短辺とを有し、上下方向に貫通状態で形成される鋳型空間部に溶鋼を入れて凝固シェルを形成する連続鋳造鋳型において、
    前記長辺の内側には、メニスカスより上領域を除いて上から下に連接する複数の分割勾配領域が前記凝固シェルの凝固収縮プロフィールに近似させて形成され、前記短辺の両端部は、前記長辺の内側形状に合わせて形成され、前記短辺の両側の内側部分には該短辺の端部を内側に延長した前記長辺との当接面を備えた断面三角形状の突出部が形成され、更に、前記突出部を含む前記短辺の内側にはメニスカスより上領域を除いて上から下に連接する複数の分割勾配領域が前記凝固シェルの凝固収縮プロフィールに近似させて形成されていることを特徴とする連続鋳造鋳型。
  2. 請求項記載の連続鋳造鋳型において、断面三角形状の前記突出部の斜辺を除く2辺に相当する部位の幅は、それぞれ8mm以上30mm以下であることを特徴とする連続鋳造鋳型。
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