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JP5741504B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents
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JP5741504B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

無段変速機の制御装置 Download PDF

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Description

本発明は無段変速機の制御装置に関し、特に無段変速機のアップシフト時のイナーシャトルク制御に関する。
従来から、ベルト式やトロイダル式の無段変速機が知られている。
特許文献1には、運手者のアクセルペダルの踏み込み量に応じて加速が要求されているかを判定し、加速が要求されていると判定したときに、無段変速機のプライマリプーリの目標回転数を所定の回転数上昇量だけ上昇させる加速時シフトダウン操作を行い、プライマリプーリの目標回転数を上昇させるとともに車両を加速させる加速変速比制御と、プライマリプーリの回転数がアクセルペダルの踏み込み量に応じた上限回転数に達したときにプライマリプーリの目標回転数を回転数低下量だけ低下させる回転数低下制御を繰り返すことが開示されている。また、プライマリプーリの目標回転数がスロットル開度に対応する上限回転数に達したと判断されると、所定の回転数低下量だけプライマリプーリの目標回転数を低下させ、回転数低下制御が実行されると、変速比をオーバドライブ側に減少させるようなシフトアップ操作が実行され、アップシフトする際には、エンジン回転数を所定量下げるので、エンジンや変速機のイナーシャトルク分を通常のエンジントルクから低減することができ、アップシフト時の瞬間的な駆動力増加を防ぐことができるとしている。
特開2004−125072号公報
無段変速機において、入力回転数がアップシフト判定用の上限回転数に達するときにアップシフトを行う場合、無段変速機の入力軸回転数減少によりイナーシャトルクが与えられてドライバビリティが悪化するおそれがあるため、アップシフトに応じてエンジンの電子スロットルを閉制御することは有効であるが、その一方、アップシフトによる回転数変化が大きい場合には、電子スロットルの閉制御ではイナーシャトルクを相殺しきれず、変速ショックが残存するためドライバビリティが低下するおそれがある。
本発明の目的は、たとえアップシフトによる回転数変化が大きくても、変速ショックを抑制してドライバビリティを向上させる装置を提供することにある。
本発明は、入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達すると前記アップシフト回転数よりも低い目標回転数となるようにアップシフトを行う無段変速機の制御装置であって、
前記アップシフト時にエンジンのトルクダウンを行うトルクダウン制御手段と、入力軸回転数の急上昇により前記アップシフト判定回転数に達したときにアップシフトを行えず、前記アップシフト判定回転数よりも高いアップシフト上限回転数以上で前記アップシフトが行われる場合に、前記無段変速機の変速速度を、前記入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達してアップシフトする場合と比べて低下させる変速速度制御手段とを備え、前記アップシフト上限回転数は、前記アップシフト時の変速比がロー側であるほど低回転にすることを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、前記トルクダウン制御手段は、前記アップシフトの実行タイミングに同期して前記トルクダウンを行うことを特徴とする。
また、本発明の他の実施形態では、前記変速速度制御手段は、前記トルクダウン制御手段でのトルクダウン量に応じて、前記変速速度を相対的に低下させる度合いを変化させることを特徴とする。
また、本発明のさらに他の実施形態では、前記変速速度制御手段は、前記無段変速機の変速速度を前記入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達してアップシフトする場合と比べて低下させる際に、前記トルクダウンしないことを特徴とする。
本発明によれば、アップシフト判定回転数よりも高いアップシフト上限回転数以上でアップシフトが行われた場合でも、変速速度を低下させることで変速ショックを抑制してドライバビリティを向上することができる。また、アップシフト上限回転数は変速比がロー側にあるほど低回転に設定されているので、変速比の変化量が相対的に大きいロー側でのアップシフトでも、効果的に変速速度を低下させて変速ショックを抑制できる。
実施形態のシステム構成図である。 アップシフト時のタイミングチャート(その1)である。 アップシフト時のタイミングチャート(その2)である。 実施形態の制御フローチャートである。 変速比、イナーシャトルク、エンジントルクの時間変化を示すグラフ図である。 アップシフト上限回転数の説明図である。 他の実施形態の制御フローチャートである。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1に、本実施形態のシステム構成図を示す。本実施形態のシステムは、エンジン10と、トルクコンバータ12と、無段変速機(CVT)14と、エンジン制御ユニット16と、CVT制御ユニット18を備える。
エンジン10の駆動力はトルクコンバータ12を介して無段変速機14に伝達され、無段変速機14で駆動力を変速して出力軸へと伝達される。
無段変速機(CVT)14は、ベルト式あるいはトロイダル式の無段変速機である。ベルト式無段変速機及びトロイダル式無段変速機はいずれも公知であり、以下に簡単に説明する。
ベルト式無段変速機では、駆動側のプライマリ軸と、これと平行な被駆動側のセカンダリ軸を有する。プライマリ軸にはプライマリプーリが設けられ、プライマリプーリはプライマリ軸に一体となった固定プーリと、これに対向してプライマリ軸に軸方向に擦動自在に設けられる可動プーリを有する。セカンダリ軸にはセカダリプーリが設けられ、セカンダリプーリはセカンダリ軸に一体となった固定プーリと、これに対向してセカンダリ軸に軸方向に擦動自在に設けられる可動プーリを有する。プライマリプーリとセカンダリプーリとの間にはベルトが掛け渡されており、両方のプーリの溝幅を変化させてそれぞれのプーリに対するベルトの巻き付け径の比率を変化させることにより、プライマリ軸の回転がセカンダリ軸に無段階に変速されて伝達される。ベルトのプライマリプーリに対する巻き付け径をRp、セカンダリプーリに対する巻き付け径をRsとすると、変速比はRs/Rpで定義される。プライマリプーリ及びセカンダリプーリの溝幅は、油圧シリンダで可変制御される。油圧シリンダの動作は、CVT制御ユニット18により制御される。
トロイダル式無段変速機では、相対向する2つの入力ディスクと、これら2つの入力ディスクの間において入力ディスクのそれぞれに相対向して同軸上に設けられる出力ディスクと、相対向するそれぞれの入力ディスクと出力ディスクとの間に、その回転軸を対称軸として2つずつ合計4つのパワーローラを有する。相対向する入力ディスクと出力ディスクは互いが近づく方向に押圧され、それらの対向面はその間に設けられた2つのパワーローラの外周面と摩擦力を発生して接触し、その接触を維持しつつパワーローラの回転軸が揺動可能となるように、入力ディスク及び出力ディスクの相対向するパワーローラとの接触面は円弧状断面を有している。駆動力は、入力ディスク、パワーローラ、出力ディスクの順に伝達される。入力ディスクと出力ディスクとのそれぞれに対して外周面で摩擦接触する4つのパワーローラの回転角度を同時に変化させることにより、入力ディスクにおけるパワーローラとの接触点の半径(有効径)と出力ディスクにおけるパワーローラとの接触点の半径(有効径)との比が変化する。変速比は、入力ディスクにおけるパワーローラとの接触点の半径(有効径)と出力ディスクにおけるパワーローラとの接触点の半径(有効径)との比で定義される。パワーローラを中立位置から油圧により変位させることで変速比が変化する。パワーローラの変位は、CVT制御ユニット18により制御される。
なお、ベルト式無段変速機については例えば特開2004−125072号公報に開示され、トロイダル式無段変速については特開2009−280133号公報に開示されている。
エンジン制御ユニット16は、各種センサ20で検出された検出信号に基づいてエンジン10の電子スロットルを制御する。
CVT制御ユニット18は、アクセル開度センサ22、車速センサ24、CVT入力軸回転数センサ26からのそれぞれの検出信号に基づいて無段変速機14を制御する。具体的には、CVT制御ユニット18は、アクセル開度センサ22で検出されたアクセル開度と、車速センサ24で検出された車速に基づき、予め定められてメモリに記憶されたマップを参照してアップシフト判定回転数を算出する。そして、CVT入力軸回転数センサ26で検出された入力回転数がこのアップシフト判定回転数に達した場合に、CVT制御ユニット18は、無段変速機14を制御してアップシフトを実行させる。なお、無段変速機14は上記のように変速比を連続的に変化させ得るが、本実施形態では、アクセル開度と車速に応じてステップ的に変速比を変化させ、ステップ的にアップシフト及びダウンシフトを実行する。エンジン制御ユニット16とCVT制御ユニット18は相互にデータ送受し、無段変速機14の制御と電子スロットルの制御を同期して実行する。本実施形態において、エンジン制御ユニット16はエンジン10の電子スロットルの開閉度を制御するトルクダウン制御手段として機能し、CVT制御ユニット18は無段変速機14の変速比及び変速速度を調整する変速速度制御手段として機能する。
図2に、本実施形態において前提となる、基本的なアップシフト制御のタイミングチャートを示す。図2(a)は、入力軸回転数の時間変化である。図において、横軸は時間、縦軸は入力軸回転数を示し、符号100はアクセル開度と車速に基づいて算出されたアップシフト判定回転数を示す。符号50で示す入力軸回転数が時間とともに増大し、アップシフト判定回転数100に達すると、CVT制御ユニット18からの指令により無段変速機14はステップ的にアップシフトを実行する。このアップシフトにより、入力軸回転数をアップシフト後の目標入力軸回転数120まで低下する。その後、再び入力軸回転数は時間とともに増大していく。
図2(b)は、電子スロットル開度の時間変化である。図2(a)のようにアップシフトを行う場合、無段変速機14の入力軸回転数減少によりイナーシャトルクが与えられてこのままでは変速ショックが生じるため、アップシフトのタイミングに同期してエンジン制御ユニット16が電子スロットルを閉制御する。具体的には、エンジン10の電子スロットルバルブの開閉はスロットルアクチュエータにより制御され、エンジン制御ユニット16はスロットルアクチュエータの動作を制御して電子スロットルを閉制御する。なお、電子スロットルの閉制御は、電子スロットルを全閉とするのではなく、入力軸回転数減少に伴うイナーシャトルクの増大を相殺するに十分なトルクダウンが得られる程度の閉制御を意味する。電子スロットルの閉じ量は、予め変速比変化量に応じてマップで設定される。図において、アップシフトの開始タイミングに同期して電子スロットルの閉制御が開始され、アップシフトの終了タイミングに同期して電子スロットルの閉制御が終了することを示す。
図2(c)は、車速の時間変化であり、車速は時間とともに増大する。このように、アップシフトの際に、電子スロットルを閉制御することで、アップシフトに伴うイナーシャトルクを相殺し、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。
次に、このような制御を前提とした上で、本実施形態の制御について説明する。
図3に、本実施形態におけるアップシフト時のタイミングチャートを示す。図3(a)は、入力軸回転数の時間的変化である。上記のように、基本的には入力軸回転数がアップシフト判定回転数100に達した時点でアップシフトが実行されるが、例えばアクセル開度に基づいてダウンシフトを行った後のように、想定外の入力軸回転数の上昇があった場合、アップシフト判定回転数100に達した時点ではなく、アップシフト判定回転数を超えた時点でアップシフトが実行されることになる。図において、入力軸回転数50がアップシフト判定回転数100を超えたアップシフト上限回転数140に達した時点でアップシフトが実行されることを示す。
このように、アップシフト判定回転数を超えた回転数でアップシフトを実行すると、その分だけアップシフト後の目標回転数120との回転数差が大きくなり、入力軸回転数減少の減少幅が大きくなるためイナーシャトルクもその分だけ増大してしまう。従って、単に電子スロットルの閉制御のみではこのイナーシャトルクの増大を相殺することができず、変速ショックが残存することになる。すなわち、電子スロットルの閉じ量は、上記のように予め変速比変化量に応じてマップで設定されているが、想定外の変速比変化量が生じた場合、マップで設定された最大の閉じ量で閉制御したとしてもイナーシャトルクの増大を全て相殺することができない。
そこで、このような場合には、図3(b)に示すように電子スロットルの閉制御を非実行とし、これに代えて無段変速機14での変速速度を通常の速度よりも低下させる。図3(a)において、入力軸回転数がアップシフト上限回転数に達したタイミングでアップシフトを開始し、入力軸回転数がアップシフト後の目標回転数に達したタイミングでアップシフトを終了しているが、アップシフトの変速時間は、図2に示す変速時間よりも長く設定され、図3(a)における変速速度は、図2(a)における変速速度よりも低下しており、変速速度が遅いことを示す。変速速度を低下させることで、イナーシャトルクの増大が緩和され、変速ショックを緩和することができる。
なお、アップシフト判定回転数を超えたアップシフト上限回転数でアップシフトが実行された場合、電子スロットルの閉制御ではイナーシャトルクの増大を相殺できないために電子スロットルの閉制御を非実行としているが、電子スロットルの閉制御によりある程度はイナーシャトルクを相殺することができるため、電子スロットルの閉制御を実行してもよい。この点についてはさらに後述する。
また、アップシフト判定回転数を超えてアップシフトが実行される場合でも、アップシフト上限回転数未満の回転数でアップシフトが実行された場合、アップシフト上限回転数でアップシフトが実行された場合に比べて相対的にイナーシャトルクの増大分も少ないため、電子スロットルの閉制御で相殺し得るので、アップシフト判定回転数以上であってアップシフト上限回転数未満でアップシフトが実行される場合には電子スロットルの閉制御を実行し、アップシフト上限回転数以上でアップシフトが実行される場合には電子スロットルの閉制御を非実行としてもよい。この意味では、アップシフト上限回転数は、電子スロットルの閉制御を実行するか否か、言い換えれば、電子スロットルの閉制御でイナーシャトルクを相殺できる上限回転数としての意義がある。また、アップシフト上限回転数未満であれば電子スロットルの閉制御でイナーシャトルクを相殺できるため、変速速度は通常の速度でよく、アップシフト上限回転数以上であれば電子スロットルの閉制御ではイナーシャトルクを相殺できないため変速速度を低下させて変速ショックを抑制できるため、アップシフト上限回転数は、変速速度を相対的に低下させる上限回転数としての意義もある。
さらに、アップシフトする際に、現在の変速比がロー側にあるほど変速比変化量は相対的に大きいため、変速速度を相対的に低下させる上限回転数も、アップシフト時の変速比に応じて適応的に変化させることが好適である。
図4に、本実施形態におけるステップ的なアップシフトの制御フローチャートを示す。エンジン制御ユニット16及びCVT制御ユニット18における制御フローチャートである。基本的な制御スキームは、アクセル開度と車速に応じて設定される目標入力軸回転数に一致するように入力軸回転数を制御するものである。
まず、CVT制御ユニット18は、入力軸回転数センサ26で検出された入力軸回転数を所定の制御タイミングで取り込む(S101)。次に、アクセル開度センサ22で検出されたアクセル開度、及び車速センサ24で検出された車速に基づき、アップシフト判定回転数を設定するとともに(S102)、アップシフト上限回転数を設定する(S103)。アップシフト判定回転数及びアップシフト上限回転数は、予め設定されメモリに記憶されたマップを参照することで設定されるが、アップシフト上限回転数については、さらにアップシフトの際の変速比に基づいて設定され、変速比がロー側にあるほど相対的に小さくなるように設定される。
アップシフト判定回転数及びアップシフト上限回転数が設定された後、CVT制御ユニット18は、S101で取り込んだ入力軸回転数とS102で設定したアップシフト判定回転数を比較し、
入力軸回転数≧アップシフト判定回転数
を満たすか否かを判定する(S104)。この判定でNO、すなわち入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達していない場合には、CVT制御ユニット18は無段変速機14の変速比を現在のまま維持する。
一方、S104でYES、すなわち入力軸回転数がアップシフト判定回転数以上となった場合には、CVT制御ユニット18は、次に入力軸回転数とアップシフト上限回転数を比較し、
入力軸回転数≧アップシフト上限回転数
を満たすか否かを判定する(S105)。この判定でNO、すなわち入力軸回転数がアップシフト判定回転数以上であるがアップシフト上限回転数未満である場合、CVT制御ユニット18は、エンジン制御ユニット16に対してアップシフトに備えて電子スロットルの閉制御を指令する(S106)。そして、CVT制御ユニット18は、無段変速機14のアップシフトを実行させる(S109)。このとき、エンジン制御ユニット16は、無段変速機14でのアップシフトに同期して、変速比変化量に応じた閉じ量で電子スロットルを閉制御する。例えば、入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達した時点でアップシフトが実行され、かつ、電子スロットルの閉制御が実行されて変速ショックが抑制される。
一方、S105でYES、すなわち入力軸回転数がアップシフト上限回転数以上である場合、CVT制御ユニット18は、変速速度を相対的に低い速度に設定する(S107)。具体的には、入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達した時点でのアップシフトの変速速度をVt0、入力軸回転数がアップシフト上限回転数以上に達した時点でのアップシフトの変速速度をVtとすると、
Vt<Vt0
となるように設定する。また、CVT制御ユニット18は、エンジン制御ユニット16に対して電子スロットルの閉制御を禁止する指令を出力する(S108)。そして、CVT制御ユニット18は、S107で設定した変速速度で無段変速機14のアップシフトを実行させる(S109)。このとき、エンジン制御ユニット16は、電子スロットルの閉制御は実行しない。
以上の処理を要約すると、以下の通りである。
(1)入力軸回転数がアップシフト判定回転数でアップシフトする場合
変速速度Vt0でアップシフトし、変速比変化量に応じた閉じ量で電子スロットルを閉制御
(2)入力軸回転数がアップシフト判定回転数以上でアップシフト上限回転数未満でアップシフトする場合
変速速度Vt0でアップシフトし、変速比変化量に応じた閉じ量で電子スロットルを閉制御
(3)入力軸回転数がアップシフト上限回転数以上でアップシフトする場合
変速速度Vt(Vt<Vt0)でアップシフトし、電子スロットルの閉制御は非実行
このような制御により、想定外に入力軸回転数が増大してアップシフト判定回転数を超える回転数でアップシフトを実行する場合においても、変速ショックを抑制してドライバビリティを向上することができる。
次に、アップシフト上限回転数の設定について、より詳細に説明する。
図5に、変速比、イナーシャトルク、及びエンジントルクの時間変化を示す。図5(a)は変速比(あるいは入力軸回転数)の時間変化であり、変速比の変化が異なる3つのパターン200,210,220を示す。パターン220が最も変速比の変化量(回転数の変化量)が大きく、パターン200が最も変速比の変化量(回転数の変化量)が小さい。
図5(b)はイナーシャトルクの時間変化であり、パターン200、210、220の場合におけるイナーシャトルクの変化をそれぞれ示す。変速比の変化量が大きくなる程、これに応じてイナーシャトルクの増大分も大きくなる。従って、パターン220ではイナーシャトルクの増大が最も大きくなる。図5(b)には、イナーシャトルクの変化とともに、電子スロットルの閉制御により相殺可能なトルクダウン量Aと、相殺できないイナーシャトルクの残存成分Bを併せて示す。また、図5(c)はエンジントルクの時間変化であり、電子スロットルの閉制御を実行した場合のトルクダウン量を示す。図中、Cは閉制御実行期間を示し、Dはトルクダウン量を示す。図5(b)に示される通り、変速比の変化量が相対的に小さいパターン200、210の場合には、電子スロットルの閉制御によるトルクダウンでイナーシャトルクを全て相殺することが可能であるが、変速比の変化量が相対的に大きいパターン220の場合には、電子スロットルの閉制御によるトルクダウンでは相殺できないイナーシャトルク分が残存することになる。ここで、変速比の変化量は、アップシフトする際の変速比がロー(Low)側である程、ハイ(Hi)側に比べて相対的に大きいため、変速比がロー側においてアップシフトする場合ほど、電子スロットルの閉制御ではイナーシャトルクを相殺することができず、残存して変速ショックが生じてしまう。
そこで、アップシフトする際の変速比がロー側にあるほど、ハイ側にある場合と比べて相対的にアップシフト上限回転数を小さく設定することで、入力軸回転数がより低い回転数で上限に対し、変速速度を低下させることによって変速ショックを抑制することが可能となる。
図6に、本実施形態におけるアップシフト判定回転数を示す。図において、横軸は車速、縦軸は入力軸回転数である。アップシフト上限回転数140は、変速比がロー側にある程相対的に低く設定される。変速比と車速は言うまでもなく相関関係にあるので、車速が小さい程アップシフト上限回転数は相対的に低く設定される、言い換えれば、車速が大きい程アップシフト上限回転数は相対的に高く設定される。なお、図ではアップシフト判定回転数100及びアップシフト後目標回転数120も併せて示す。アップシフト判定回転数100は、変速比によらず(車速によらず)一定の回転数である。アップシフト上限回転数は変速比がロー側にあるほど低く設定されるため、アップシフト判定回転数とアップシフト上限回転数との回転数差は、変速比がロー側にある程小さくなる。アップシフト上限回転数は、変速速度を低下させる制御を開始するトリガとなる回転数であるから、変速比がロー側にあるほど、変速速度を維持できる範囲が狭い(余裕がない)と表現することもできよう。
本実施形態では、CVT制御ユニット18で電子スロットルの閉制御の実行/非実行を判定してエンジン制御ユニット16に指令しているが、エンジン制御ユニット16で電子スロットルの閉制御の実行/非実行を判定してもよい。すなわち、CVT制御ユニット18でS105の判定を行い、判定結果がYESである場合にはその旨の信号をエンジン制御ユニット16に供給し、エンジン制御ユニット16ではCVT制御ユニット18からの当該信号に基づいてアップシフト時の電子スロットルの閉制御を非実行、すなわちエンジン10のトルクダウンを非実行とする。
<第2実施形態>
第1実施形態では、入力軸回転数がアップシフト上限回転数以上でアップシフトする場合に電子スロットルの閉制御を非実行(禁止)としているが、たとえアップシフト上限回転数以上であっても電子スロットルの閉制御を実行することもできる。本実施形態では、この場合の制御について説明する。
図7に、本実施形態におけるステップ的なアップシフトの制御フローチャートを示す。エンジン制御ユニット16及びCVT制御ユニット18における制御フローチャートである。
まず、CVT制御ユニット18は、入力軸回転数センサ26で検出された入力軸回転数を所定の制御タイミングで取り込む(S201)。次に、アクセル開度センサ22で検出されたアクセル開度、及び車速センサ24で検出された車速に基づき、アップシフト判定回転数を設定するとともに(S202)、アップシフト上限回転数を設定する(S203)。アップシフト判定回転数及びアップシフト上限回転数は、予め設定されメモリに記憶されたマップを参照することで設定されるが、アップシフト上限回転数については、第1実施形態と同様に変速比に基づいて設定され、変速比がロー側にあるほど相対的に小さくなるように設定される。
アップシフト判定回転数及びアップシフト上限回転数が設定された後、CVT制御ユニット18は、S201で取り込んだ入力軸回転数とS202で設定したアップシフト判定回転数を比較し、
入力軸回転数≧アップシフト判定回転数
を満たすか否かを判定する(S204)。この判定でNO、すなわち入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達していない場合には、CVT制御ユニット18は無段変速機14の変速比を現在のまま維持する。
一方、S204でYES、すなわち入力軸回転数がアップシフト判定回転数以上となった場合には、CVT制御ユニット18は、次に入力軸回転数とアップシフト上限回転数を比較し、
入力軸回転数≧アップシフト上限回転数
を満たすか否かを判定する(S205)。この判定でNO、すなわち入力軸回転数がアップシフト判定回転数以上であるがアップシフト上限回転数未満である場合、CVT制御ユニット18は、エンジン制御ユニット16に対してアップシフトに備えて電子スロットルの閉制御を指令する(S207)。そして、CVT制御ユニット18は、無段変速機14のアップシフトを実行させる(S208)。このとき、エンジン制御ユニット16は、無段変速機14でのアップシフトに同期して、変速比変化量に応じた閉じ量で電子スロットルを閉制御する。例えば、入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達した時点でアップシフトが実行され、かつ、電子スロットルの閉制御が実行されて変速ショックが抑制される。
一方、S205でYES、すなわち入力軸回転数がアップシフト上限回転数以上である場合、CVT制御ユニット18は、変速速度を相対的に低い速度に設定する(S206)。具体的には、入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達した時点でのアップシフトの変速速度をVt0、入力軸回転数がアップシフト上限回転数以上に達した時点でのアップシフトの変速速度をVtとすると、
Vt<Vt0
となるように設定する。また、CVT制御ユニット18は、エンジン制御ユニット16に対して電子スロットルの閉制御を指令する(S207)。このときの閉じ量は、マップで規定される最大の閉じ量とする。そして、CVT制御ユニット18は、S206で設定した変速速度で無段変速機14のアップシフトを実行させる(S208)。このとき、エンジン制御ユニット16は、電子スロットルの閉制御も実行する。
以上の処理を要約すると、以下の通りである。
(1)入力軸回転数がアップシフト判定回転数でアップシフトする場合
変速速度Vt0でアップシフトし、変速比変化量に応じた閉じ量で電子スロットルを閉制御
(2)入力軸回転数がアップシフト判定回転数以上であってアップシフト上限回転数未満でアップシフトする場合
変速速度Vt0でアップシフトし、変速比変化量に応じた閉じ量で電子スロットルを閉制御
(3)入力軸回転数がアップシフト上限回転数以上でアップシフトする場合
変速速度Vt(Vt<Vt0)でアップシフトし、電子スロットルを最大の閉じ量で閉制御
本実施形態では、入力軸回転数がアップシフト上限回転数以上であっても、電子スロットルの閉制御を実行し、変速速度の低下制御と電子スロットルの閉制御を併用して変速ショックを抑制している点に留意されたい。本実施形態では、アップシフト上限回転数は、変速速度を低下させるか否かを判定する上限回転数としての意義がある。
本実施形態でも、想定外に入力軸回転数が増大してアップシフト判定回転数を超える回転数でアップシフトを実行する場合において、変速ショックを抑制してドライバビリティを向上することができる。
<第3実施形態>
第2実施形態では、入力軸回転数がアップシフト上限回転数以上でアップシフトする際に、変速速度の低下制御と電子スロットルの閉制御を併用する場合について説明したが、この場合、電子スロットルの閉制御によるトルクダウンによってイナーシャトルクはある程度相殺されているため、その相殺分を考慮して変速速度の低下の度合いを小さくすることもできる。すなわち、変速速度の低下と電子スロットルの閉制御は相互に補完関係にあり、電子スロットルの閉制御を非実行とする場合には変速速度の低下度合を相対的に大きくし、電子スロットルの閉制御を実行する場合には変速速度の低下度合を相対的に小さくする。変速速度の低下度合を相対的に小さくすることで、変速ショックを抑制するとともに、変速応答性も向上し得る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の駆動源と、エンジンの出力により発電又は蓄電装置の電力により駆動する電動機(モータジェネレータ又はモータ)とを備え、エンジン及び電動機のいずれか一方又は双方を走行駆動源とするハイブリッド車両にも適用することができる。ハイブリッド車両に適用する場合、無段変速機14のイナーシャが相対的に小さいモータ走行状態に比べてイナーシャが相対的に大きいエンジン走行状態の場合、変速速度を相対的に小さく設定することが好適であるが、エンジン走行状態においてさらに本発明を適用し、アップシフト上限回転数以上でアップシフトする場合に変速速度を相対的に低下させることが好適である。
10 エンジン、12 トルクコンバータ、14 無段変速機(CVT)、16 エンジン制御ユニット、18 CVT制御ユニット。

Claims (4)

  1. 入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達すると前記アップシフト回転数よりも低い目標回転数となるようにアップシフトを行う無段変速機の制御装置であって、
    前記アップシフト時にエンジンのトルクダウンを行うトルクダウン制御手段と、
    入力軸回転数の急上昇により前記アップシフト判定回転数に達したときにアップシフトを行えず、前記アップシフト判定回転数よりも高いアップシフト上限回転数以上で前記アップシフトが行われる場合に、前記無段変速機の変速速度を、前記入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達してアップシフトする場合と比べて低下させる変速速度制御手段と、
    を備え、前記アップシフト上限回転数は、前記アップシフト時の変速比がロー側であるほど低回転にすることを特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. 請求項1記載の無段変速機の制御装置において、
    前記トルクダウン制御手段は、前記アップシフトの実行タイミングに同期して前記トルクダウンを行うことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  3. 請求項2記載の無段変速機の制御装置において、
    前記変速速度制御手段は、前記トルクダウン制御手段でのトルクダウン量に応じて、前記変速速度を相対的に低下させる度合いを変化させることを特徴とする無段変速機の制御装置。
  4. 請求項1記載の無段変速機の制御装置において、
    前記変速速度制御手段は、前記無段変速機の変速速度を前記入力軸回転数がアップシフト判定回転数に達してアップシフトする場合と比べて低下させる際に、前記トルクダウンしない
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
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