JP5751219B2 - 免疫賦活剤 - Google Patents
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Description
Th1細胞による免疫応答は、細胞性免疫を誘導し、マクロファージやリンパ球など単核細胞中心の食菌処理が起こる。一方、Th2細胞による免疫応答は、液性免疫を誘導し、抗体による殺菌処理が起こる。Th1型サイトカインはTh2を抑制し、逆にTh2型サイトカインはTh1を抑制し、この2つは免疫全体のバランスを保つために互いに関係し合っている。
また、インターロイキン12(IL−12)は、樹状細胞およびマクロファージのような抗原提示細胞から分泌されるサイトカインで、ガン細胞を直接攻撃するナチュラルキラー細胞(NK細胞)や、ラック細胞(LAK細胞)、キラーT細胞(CTL細胞)を活性化したり、IFN−γの産生を増強したりする非常に強力な免疫活性物質として知られている。
しかし、長年、ラクトバチルス・ブレビス菌を市場に提供してきた事業者にとっては、乳酸菌のIFN−α産生能を増強することは切実な願いである。
そこで、どれくらいまでの大きさであればパイエル板から取り込まれるのかといった関心から、粒子の大きさ(粒子径)とパイエル板への取り込みの関係についてこれまで多くの研究がなされてきた。
これらの結果から、パイエル板を通過できる粒子の大きさは高々20μm程度ということがわかる。
しかしながら、Th1誘導に好ましい粒子径は現在までのところ明らかにされていない。
その結果、図1Aに示されるように、乳酸菌刺激による抗原提示細胞からのIL−12産生能は、乳酸菌の大きさが1μm以下まで小さくなると高くなった(参考例1参照)。
一方、IFN−α産生能の場合においても、図1Bに示すように、乳酸菌の大きさが1μm以下まで小さくなると高くなった(参考例1参照)。
一方、SNKはIL−12およびIFN−αの産生能が相対的にともに高いといった特徴が認められた。
これは、先行技術(特願2007−30324号明細書)からは想到し得ない知見で、おそらく、抗原提示細胞に発現する受容体の乳酸菌に対する認識の違いによると推察される。
その過程で、乳酸菌の表面が正(プラス)に荷電していることに着眼し、培養工程および加工工程におけるpHを中性域に調整することで、乳酸菌体の粒度分布における最頻値(以下、単に粒度という場合もある)が1.0μm以下にまで小さくなることを見出した。
一般的に、乳酸菌が培養時における諸条件によってその形態が変化することは知られているが、培養工程および加工工程におけるpHを制御することでその大きさを1.0μm以下に調整できるという知見は、当業者のあいだではこれまで知られていない。
以上のように、本発明者は、通常の粒度が1.0μmより大きな乳酸菌に対しても、中性域のpHでの培養および加工処理を通して、乳酸菌体の粒度を1.0μm以下にまで調整し得ること、およびこの乳酸菌が抗原提示細胞からのIFN-α産生能を増強させ、免疫賦活作用を向上し得ることを見出し、本発明を完成した。
しかし、このような乾燥粉末における乳酸菌本来の粒度が1.0μm以下であったとしても、濃縮した菌体を乾燥しただけの粉末であっては、これを水に入れた場合に粒子同士が吸着・凝集し、かたまり(塊)となってしまう(参考例3参照)。
そもそも、通常の培養条件では、粒度が1.0μm以下の乳酸菌は、存在する可能性が低い(表1参照)。
1. 乳酸菌の培養工程および滅菌工程を含む加工工程における培地のpHを5〜8に調整して得られる、粒度分布における最頻値が1.0μm以下であるナノ型乳酸菌を含有する免疫賦活剤であって、
前記乳酸菌がラクトバチルス・ブレビスFERM BP−4693の死菌のみからなることを特徴とする免疫賦活剤。
2. 前記培養工程における培地がエネルギー源としてブドウ糖を含有し、前記ブドウ糖が消費された時点を培養終点として得られる1の免疫賦活剤。
3. 前記加工工程において、分散剤または賦形剤を乳酸菌に添加した後、凍結乾燥または噴霧乾燥して得られる1または2の免疫賦活剤。
4. 1〜3のいずれかの免疫賦活剤を含有する飲食物。
5. 1〜3のいずれかの免疫賦活剤を含有する飼料。
6. 1〜3のいずれかの免疫賦活剤を含有する化粧品。
7. 1〜3のいずれかの免疫賦活剤を含有する医薬品。
8. インターフェロンα産生能増強剤である1〜3のいずれかの免疫賦活剤。
また、本発明は、以下のナノ型乳酸菌が関連する。
[1] 粒度分布における最頻値が1.0μm以下であることを特徴とするナノ型乳酸菌の菌体。
[2] 乳酸菌の培養工程および加工工程における培地のpHを中性域に調整して得られる[1]のナノ型乳酸菌の菌体。
[3] 前記培地のpHを5〜8に調整して得られる[2]のナノ型乳酸菌の菌体。
[4] 前記乳酸菌の培養工程における培地にブドウ糖を含有させる[2]または[3]のナノ型乳酸菌の菌体。
[5] pHを中性域に調整した培地と、菌とを含む培養液に分散剤または賦形剤を添加して分散した後、凍結乾燥または噴霧乾燥して得られる[1]のナノ型乳酸菌の菌体。
[6] ラクトバチルス属乳酸菌である[1]〜[5]のいずれかのナノ型乳酸菌の菌体。
[7] 前記ラクトバチルス属乳酸菌が、ラクトバチルス・ブレビスである[6]のナノ型乳酸菌の菌体。
[8] 前記ラクトバチルス・ブレビスの菌株が、FERM BP−4693である[7]のナノ型乳酸菌の菌体。
[9] [1]〜[8]のいずれかのナノ型乳酸菌の菌体を含有する免疫賦活作用を有する組成物。
[10] [1]〜[8]のいずれかのナノ型乳酸菌の菌体、または[9]の組成物を含有する飲食物、飼料、化粧品または医薬品。
[11] 乳酸菌の培養工程および加工工程における培地のpHを中性域に調整することを特徴とする[1]のナノ型乳酸菌の菌体の製造方法。
[12] 前記培地のpHを5〜8に調整する[11]のナノ型乳酸菌の菌体の製造方法。
[13] pHを中性域に調整した培地と、菌とを含む培養液に分散剤または賦形剤を添加して分散した後、凍結乾燥または噴霧乾燥する[11]のナノ型乳酸菌の菌体の製造方法。
このようにして得られたナノ型乳酸菌の菌体は、抗原提示細胞からのIFN-α産生能を増強させ、免疫賦活作用を向上し得るため、非常に有用な菌体であるといえる。
本発明に係るナノ型乳酸菌の菌体は、粒度分布における最頻値(粒度)が1.0μm以下のものである。
本発明において、「粒度分布における最頻値」は、菌の大きさを表す指標となる値であって、菌体の粒子径を測定したときの粒度分布における相対頻度が最大となる粒子径をいう。
そこで本発明では、培養および加工条件を制御することで、乳酸菌の形態が一定になるように維持しながら乳酸菌を増殖させて、上述した粒度分布における最頻値を有するナノ型乳酸菌を製造する。
具体的には、先に述べたとおり、乳酸菌の表面が正(陽、プラス)に荷電していることに着眼し、培養工程および加工工程におけるpHを中性域に調整して膜を安定化することで、分裂菌が接合したままの双菌状態および菌同士の再吸着を防止するものである。
なお、本発明における「培養工程および加工工程における培地のpHを中性域に調整」するとは、培養工程のpHを中性域に調整しておくことのみならず、培養終了後の菌体滅菌、洗浄、濃縮といった工程(加工工程)におけるpHも中性域に調整することを意味している。
培養工程および加工工程におけるpHは、5〜8が好ましく、5.5〜7.5がより好ましい。
なお、ブドウ糖が消費された時点を培養終点とすることで、栄養枯渇から来るストレスによる菌形態の変化を防止することができる。
分散処理の手法としては、特に限定されるものではないが、例えば、菌の培養液を湿式で150kgf/cm2(1.5MPa)程度の高圧ホモゲナイザーで分散する方法が挙げられる。
この場合、予め公知の分散剤または賦形剤を培養液に添加しておくことが好ましく、これにより、菌体の再凝集を効率的に防止することができる。
使用する分散剤および賦形剤の添加量は、菌体の性状によって変化するが、質量換算で菌体に対して1〜100倍量が好ましく、2〜20倍量がより好ましい。
好適な分散剤および賦形剤としては、トレハロース、デキストリン、スキムミルク等が挙げられる。
また、この菌体は、上記手法によって乾燥粉末とし、当該粉末を生理的消化液に再懸濁した場合の菌体粒度がやはり1.0μm以下を保つ。なお、生理的消化液とは、公知の方法で調製された人工胃液あるいは腸液を意味する。
この添加、混合される成分としては、各種糖質や乳化剤、甘味料、酸味料、果汁等が挙げられる。
すなわち、グリセリン、ワセリン、尿素、ヒアルロン酸、ヘパリン等の保湿剤;PABA誘導体(パラアミノ安息香酸、エスカロール507(アイエスピー・ジャパン(株))等)、桂皮酸誘導体(ネオヘリオパン、パルソールMCX(DSMニュートリション ジャパン(株))、サンガードB((株)資生堂)等)、サリチル酸誘導体(オクチルサリチレート等)、ベンゾフェノン誘導体(ASL−24、ASL−24S((有)湘南ケミカルサービス)等)、ジベンゾイルメタン誘導体(パルソールA、パルソールDAM(DSMニュートリション ジャパン(株)等)、複素環誘導体(チヌビン系等)、酸化チタン等の紫外線吸収剤・散乱剤;エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、リンゴ酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤;サリチル酸、イオウ、カフェイン、タンニン等の皮脂抑制剤;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン等の殺菌・消毒剤;塩酸ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸、グアイアズレン、アズレン、アラントイン、ヒノキチオール、グリチルリチン酸およびその塩、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸等の抗炎症剤;ビタミンA、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、B15)、葉酸、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン、ビタミンC、ビタミンD群(D2、D3)、ビタミンE、ユビキノン類、ビタミンK(K1、K2、K3、K4)等のビタミン類;アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、リジン、グリシン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、アルギニン、ピロリドンカルボン酸等のアミノ酸およびその誘導体;レチノール、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、胎盤抽出液等の美白剤;ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル等の抗酸化剤;塩化亜鉛、硫酸亜鉛、石炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム等の収斂剤;グルコース、フルクトース、マルトース、ショ糖、トレハロース、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール等の糖類;甘草、カミツレ、マロニエ、ユキノシタ、芍薬、カリン、オウゴン、オウバク、オウレン、ジュウヤク、イチョウ葉等の各種植物エキス等の他、油性成分、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色素などを適宜配合することができる。
〔死菌体の調製〕
表1に示されるように、長寿と関係のある乳酸菌を、京都の酸茎漬、長野のすんき漬、グルジア地方のマリアーミとマッツォーニライク、モンゴルの馬乳酒、各種発酵乳製品より分離し、MRS培地を用いて培養時のpHを調整することなく36.5℃で48時間培養した。培養終了後、培養液を80℃で10分間加熱滅菌処理し、菌体をPBSで洗浄し、菌体濃度で10mg/mlになるように調製した。
なお、表中のLBRとはラクトバチルス・ブレビス菌株FERM BP−4693を指す。ラクトバチルス・ブレビス菌株FERM BP−4693株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターより入手することができる。
乳酸菌の菌体粒度とIL−12およびIFN−α産生能との関係を図1Aおよび図1Bにそれぞれ示す。
乳酸菌の大きさ(粒子径)が1μm程度にまで小さくなった方が、IL−12およびIFN−αのいずれのサイトカインも著しく産生能が増強されることが明らかとなった(表1と図1参照)。
ただし、図2に示されるように、IL−12およびIFN−αとの産生能には負の相関を示す菌株が認められ、たとえばEF、KH1、KH3といった菌株ではIL−12産生能が高くIFN−α産生能が低い、逆にLL12、ML4といった菌株ではIL−12産生能が低くIFN−α産生能が高い、一方でSNKはIL−12およびIFN−αの産生能が相対的にともに高いといった特徴が認められた。
〔ナノ型乳酸菌EFの調製〕
乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス菌株EFを、5質量%ブドウ糖添加の公知の栄養培地で、20質量%水酸化ナトリウム水溶液で培養時におけるpHを6.5に調整しながら36.5℃で培養し、ブドウ糖が消費された時点を培養終点とした(培養工程)。
培養終了後、培養液を80℃で10分間加熱滅菌処理した後、菌体をPBSで洗浄し、菌体濃度で10mg/mlになるように調整した(加工工程)。なお、加工工程時のpHは6.5に保持した。
〔菌体粒度の比較〕
参考例1および参考例2で調製した乳酸菌EFの菌体粒度を測定した。その結果を図3に示す。
図3に示されるように、非中和培養による菌体粒度が1.215と1μmより大きかったのに対し、中和培養による菌体粒度は0.701と1.0μm以下になっていることがわかる。
〔死菌乾燥粉末の調製〕
乳酸菌本来の大きさが0.6μm(図4A)で、選択的にサイトカインを誘導し得る2μm以下の粒子の積算分布が99%(図4B)の乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス菌株EFを参考例2の方法で培養し、その培養液から菌体を濃縮し、賦形剤を添加せずに噴霧乾燥して粉末とした。
〔菌体粒度の比較〕
上記で調製した粉末を、再び水に分散させた。その結果、図4Aに示されるように、粒子径が100μmまでなだらかな粒度分布を示した。その内訳は、図4Bの積算分布に示されるように、パイエル板を通過する20μmまでの粒子は約50%、Th2細胞を誘導する3〜7μmの粒子は約14%、さらにTh1細胞を誘導する2μm以下の粒子は高々1%に過ぎなかった。これではTh1/Th2応答をともに誘導する粒子が混在することになり、生理的には決して好ましい状況とは言えない。
これではせっかくの乳酸菌本来の機能も十分に発揮されない(高々10%程度)という結果を招くことが懸念される。
〔ナノ型乳酸菌ラクトバチルス・ブレビスの調製〕
乳酸菌ラクトバチルス・ブレビス菌株FERM BP−4693を、5質量%ブドウ糖添加の公知の栄養培地で、20質量%水酸化ナトリウム水溶液で培養時におけるpHを6.5に調整しながら36.5℃で培養し、グルコース消費が完了した時点を培養終点とした(培養工程)。
培養終了後、培養液を80℃で10分間加熱滅菌処理し、菌体をPBSで洗浄し、菌体に対して重量換算で4倍量のデキストリンを賦形剤として添加し、ミキサーで分散してから凍結乾燥して試料を調製し、これを再び菌体濃度で10mg/mlになるようにPBSに懸濁した(加工工程)。なお、加工工程時のpHは6.5に保持した。
参考例1および実施例1で調製したラクトバチルス・ブレビス菌株FERM BP−4693の菌体粒度およびIFN−α産生能を測定した。その結果を図5に示す。
図5に示されるように、非中和培養の場合(LBRと表示)は、菌体粒度が8.8μm、IFN−α産生能が16.8pg/mlであったのに対し、中和培養の場合(NANO−LBRと表示)は、菌体粒度が0.7μmと1.0μm以下になり、そしてIFN−α産生能は92.9pg/mlと非中和培養の場合に比べて5.5倍に増強されていることがわかる。
Claims (8)
- 乳酸菌の培養工程および滅菌工程を含む加工工程における培地のpHを5〜8に調整して得られる、粒度分布における最頻値が1.0μm以下であるナノ型乳酸菌を含有する免疫賦活剤であって、
前記乳酸菌がラクトバチルス・ブレビスFERM BP−4693の死菌のみからなることを特徴とする免疫賦活剤。 - 前記培養工程における培地がエネルギー源としてブドウ糖を含有し、前記ブドウ糖が消費された時点を培養終点として得られる請求項1記載の免疫賦活剤。
- 前記加工工程において、分散剤または賦形剤を乳酸菌に添加した後、凍結乾燥または噴霧乾燥して得られる請求項1または2記載の免疫賦活剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫賦活剤を含有する飲食物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫賦活剤を含有する飼料。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫賦活剤を含有する化粧品。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫賦活剤を含有する医薬品。
- インターフェロンα産生能増強剤である請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫賦活剤。
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