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JP5752582B2 - 糖タンパク質の作製においてアルファ−マンノシダーゼ抵抗性グリカンを減少させるか又は排除する方法 - Google Patents
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糖タンパク質の作製においてアルファ−マンノシダーゼ抵抗性グリカンを減少させるか又は排除する方法 Download PDF

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Description

本発明は、下等真核生物におけるタンパク質グリコシル化工学の分野に関する。本発明は、さらに、治療用糖タンパク質の作製のための酵母及び糸状菌の宿主細胞の操作に関する。特に、本発明は、糖タンパク質上のα−マンノシダーゼ抵抗性グリカンの減少又は排除、及び酵母細胞のグリカンのα−マンノシダーゼ抵抗性の作成に関与している遺伝子を減少させるか又は排除する方法に関する。
組換えヒトタンパク質を作製する能力は、ヒト保健医療を大きく前進させており、依然として活発な薬物発見の分野である。多くの治療用タンパク質が、適切な構造−機能活性及びこの後のヒト血清中での安定性を保証するため、翻訳後のタンパク質の特定のアスパラギン残基へのグリカンの付加(N−グリコシル化)を必要とする。ヒトにおいて治療的に使用するためには、糖タンパク質は、ヒト様のN−グリコシル化を必要とする。ヒト様の糖タンパク質プロセシングを模倣することができる哺乳動物細胞系(例えば、CHO細胞、ヒト網膜細胞)は、低いタンパク質力価、長い発酵時間、不均一な産物、及び継続的なウイルス封じ込めを含むいくつかの欠点を有する。従って、短い発酵時間で高いタンパク力価を産生し得るのみならず、ヒト様の糖タンパク質を産生することもできる発現系を使用することが望ましい。
メチロトローフ酵母ピキア・パストリス(Pichia pastoris)のような真菌宿主は、治療用タンパク質発現のための明瞭な利点を有しており、例えば、これは、多量の内因性タンパク質を分泌せず、強力な誘導可能プロモーターを有しており、明確な化学的培地において培養され得、かつ高力価の組換えタンパク質を産生し得る(Creggら、2000)。しかしながら、P.パストリスにおいて発現されたグリコシル化タンパク質は、「高マンノース」グリカンをもたらす付加的なマンノース糖を含有しており、さらに、糖タンパク質に負の電荷を与えるマンノシルホスフェート(mannosylphosphate)基も含有する。高マンノースグリカン又は電荷を有するマンナンのいずれかを有する糖タンパク質は、ヒトにおいて免疫応答を誘発するリスクが高い(Takeuchi,1997;Rosenfeld and Ballou,1974)。従って、グリコシル化のパターンがヒトのものと同一であるか又は少なくとも類似しているような真菌宿主系において治療用糖タンパク質を作製することが望ましい。
いくつかの真菌宿主は、糖タンパク質のグリカン上に免疫原性のβ−マンノシル化を含有する。抗原性を回避するため、ヒト様糖タンパク質の作製においてはβ−マンノシル化を排除することが望ましい。β−1,2−結合を有するオリゴマンノシドは、最初、ホスホジエステル架橋によるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)細胞壁ホスホペプチドマンナン(phosphopeptidomannan)に関連してShibataら(1985)により記載された。この後、3つの型のβ−1,2結合が、カンジダ細胞壁マンナンの側鎖において同定された。第1は、いくつかのカンジダ種のマンナンの中の共通のエピトープであるホスホジエステル化オリゴ糖部分内に位置しているβ−1,2−結合型マンノ−オリゴマーである(Shibataら、1993a)。第2の型は、カンジダ・アルビカンス、トロピカリス(tropicalis)、及びグラブラタ(glabrata)のマンナンの中のα−1,2オリゴマンノシル側鎖の非還元末端に付着したβ−1,2−結合型マンノース単位である(Kobayashiら、1989,1992及び1994)。第3の型のβ−1,2結合は、カンジダ・グイリエルモンジー(guilliermondii)において見出され、α−1,3結合型マンノース単位に付着したβ−1,2結合型マンノース単位を含有する(Shibataら、1993b)。これらの発見にも関わらず、β−1,2結合に関する研究は、β−1,2マンノシル−トランスフェラーゼ遺伝子を同定する試みが成功していないために制限されていた。Suzukiら(1997)は、カンジダ・グイリエルモンディーにおいてβ−1,2−マンノシルトランスフェラーゼの存在を特徴決定したが、この酵素の遺伝子は未だにクローニングされていない。
C.アルビカンス酵母においては、ホスホマンナン(phosphomannan)複合体の酸不安定領域を構築するβ−オリゴマンノシド及びこの複合体の酸安定領域を構築するα−オリゴマンノシドの両方が、宿主の脾臓及びリンパ節のマクロファージへのこれらの病原性酵母細胞の付着においてアドヘシンとして機能する(Cutler,2001)。興味深いことに、様々な型のカンジダ症に対して防御的な抗体は、β−結合型マンノトリオースを認識するが、より大きなマンノース鎖長のオリゴマンノシドは認識しない(Hanら、1997)。C.アルビカンスによる深い組織侵襲を発症する患者は、β−結合型オリゴマンノシドに対して特異的な検出可能な抗体力価を有していないが、健康な個体にはこのような抗体が存在することが報告された(Jouaultら、1997)。
P.パストリス由来の糖タンパク質上のβ−結合型マンノース残基の例は、ほとんど存在しない。1986年、Kobayashiらは、β−1,2結合型マンノース残基から主に構成されたマンノオリゴ糖の単離のための、より穏和な条件による修飾されたアセトリシス法を記載した。2004年には、Trimbleらが、P.パストリスにおいて発現された組換えヒト胆汁塩刺激リパーゼ(bile salt−stimulated lipase)(hBSSL)におけるβ−1,2結合型マンノース残基の存在を報告した。非感染個体における防御抗体の存在により証明されるように、β−結合型マンナンは免疫原性である可能性が高い。さらに、治療用タンパク質上の露出したマンノース基は、マクロファージ細胞上のマンノース受容体により迅速に排斥され、低い薬物効力をもたらす。従って、真菌宿主、例えばP.パストリスにおいて発現された異種治療用タンパク質のN結合型又はO結合型のグリカン上のβ−結合型マンノース残基の存在は、免疫原性の可能性及びクリアランス因子に結合する能力のため、望ましくない。
Creggら、2000、Mol.Biotechnol.16;23−52 Takeuchi、1997、Trends in Glycoscience and Glycotechnology.9;S29−S35 Rosenfeld and Ballou,1974、J.Biol.Chem.249;2319−2321 Shibataら、1985、Arch.Biochem.Biophys.243;338−348 Shibataら、1993a、Arch.Biochem.Biophys.302;113−117 Kobayashiら、1989、Arch.Biochem.Biophys.272;364−375 Kobayashiら、1992、Arch.Biochem.Biophys.294;662−669 Kobayashiら、1994、Infect.Immun.62;968−973 Shibataら、1993b、Eur J Biochem.217;1−12 Suzukiら、1997、J.Biol.Chem.272;16822−16828 Cutler,2001、Med.Mycology.39;S75−S86 Hanら、1997、Infect.Immun.65;4100−4107 Jouaultら、1997、Clin.Diagn.Lab.Immunol.4;328−333 Kobayashiら、1986、Arch.Biochem.Biophys.245;494−508 Trimbleら、2004、Glycobiology.14;265−274
従って、必要とされているのは、治療用糖タンパク質の作製のための、糖タンパク質上の不要のマンノース残基を除去する方法である。
従って、本発明は、糖タンパク質上のα−マンノシダーゼ抵抗性グリカンの存在を減少させるか又は排除することを含む、減少した量の高マンノースグリカンを有する糖タンパク質組成物を酵母又は糸状菌の宿主細胞において作製する方法を提供する。ある種の実施態様において、糖タンパク質上のα−マンノシダーゼ抵抗性グリカンの減少又は排除は、N−グリカンのマンノシル化に関与している遺伝子の破壊、欠失、又は変異を通して宿主細胞を修飾することにより達成される。このような遺伝子には、例えば、配列番号:11
、又はこのバリアントとして本明細書に記載された遺伝子配列が含まれる。
ある種の実施態様において、α−マンノシダーゼ抵抗性グリカンには、β−マンノース残基、分枝高マンノース残基、又はα−1,4マンノース残基が含まれ得る。
本発明の宿主細胞は、好ましくは、酵母及び/又は糸状菌を起原とするものである。本発明において有用な宿主細胞には、以下の科、属、及び種が含まれ得る:ピキア・パストリス、ピキア・フィンランジカ(finlandica)、ピキア・トレハロフィラ(trehalophila)、ピキア・コクラメ(koclamae)、ピキア・メンブラネファシエンス(membranaefaciens)、ピキア・メタノリカ(methanolica)、ピキア・ミニュータ(minuta)(オガテア・ミニュータ(Ogataea minuta)、ピキア・リンドネリ(lindneri))、ピキア・オプンチエ(opuntiae)、ピキア・サーモトレランス(thermotolerans)、ピキ・サリクタリア(Pichi salictaria)、ピキア・グエルカム(guercum)、ピキア・ピジペリ(pijperi)、ピキア・スチプチス(stiptis)、ピキアsp.、サッカロミセス・カステリー(Saccharomyces castellii)、サッカロミセス・セレビシエ(cerevisiae)、サッカロミセス・クルイベリ(kluyveri)、サッカロミセスsp.、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)sp.、クルイベロミセス・ラクチス(lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダsp.、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニヅランス(nidulans)、アスペルギルス・ニガー(niger)、アスペルギルス・オリゼ(oryzae)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルックノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム(Fusarium)sp.、フザリウム・グラミネウム(gramineum)、フザリウム・ベネナツム(venenatum)、フィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)、及びニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)。
ある種の実施態様において、本発明の宿主細胞は、OCH1のようなα−1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする機能的な遺伝子の欠失を含み得る。この他の実施態様において、本発明の宿主細胞は、PNO及びMNN4Bのような、マンノシルホスフェートトランスフェラーゼ活性をコードする遺伝子をさらに含み得る。
本発明は、本発明の方法により作製され得る、減少した量の、α−マンノシダーゼに対して不応性の高マンノースグリカン構造を有する糖タンパク質組成物も提供する。このような糖タンパク質組成物は、N結合型グリカン及び/又はO結合型グリカンのいずれかを含み得る。
本発明は、さらに、α−マンノシダーゼ抵抗性グリカンの産生に関与する単離された核酸配列を提供する。これらの単離された核酸配列には、配列番号:11、又はこのバリアントとして本明細書に記載された配列が含まれる。上記配列との構造的な類似性を示すこの他の核酸配列も、本発明に含まれる。これらには、例えば、配列番号:11の縮重バリアントが含まれ、これらとの高レベルのヌクレオチド配列同一性を有する核酸配列も含まれ得る。従って、本発明に含まれる核酸分子には、配列番号:11の配列との少なくとも72%、75%、80%又は85%、90%、95%、98%、99%、99.9%の同一性を有する核酸配列が含まれ、配列番号:11により産生されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列;配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15により示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドとの少なくとも72%、75%、80%又は85%、90%、95%、98%、99%、99.9%の同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列;並びに配列番号:11として記載された核酸配列とストリンジェントな条件の下でハイブリダイズする核酸配列も含まれるであろう。本発明は、少なくとも60連続ヌクレオチド長である、上記核酸配列のいずれかの断片を含む核酸配列も含む。
さらにこの他の実施態様において、本発明は、修飾された酵母又は糸状菌の宿主細胞を提供する。本発明の宿主細胞は、配列番号:11からなる群より選択される1つ以上の核酸配列の機能的な遺伝子産物の発現が減少するよう修飾されていることを特徴とし得る。ある種の実施態様において、修飾された宿主細胞は、配列番号:11からなる群より選択される1つ以上の核酸配列に破壊、欠失、又は変異を含む。この他の実施態様において、修飾された宿主細胞は、配列番号:11、又はこのバリアントからなる群より選択される核酸の機能的な遺伝子産物の発現の細胞阻害剤を含む。本発明にとって有用な発現の細胞阻害剤には、例えば、アンチセンスDNA及び低分子干渉RNAが含まれる。
この他の実施態様において、本発明は、減少した量の高マンノースグリカンを有し、α−マンノシダーゼ抵抗性グリカン、例えばβ−マンノシル残基の減少した存在を含む糖タンパク質組成物を発現することができる修飾された酵母又は糸状菌の宿主細胞を含み得る。
P.パストリスAMR2遺伝子の核酸配列(配列番号:11)及びアミノ酸配列(配列番号:12)を示す。 A.P.パストリスYAS137(Δoch1,Δpno1,Δmnn4b)のN−グリカンを示すMALDI−TOF MS。B.α−1,2マンノシダーゼによる消化後のP.パストリスYAS137のN−グリカンを示すMALDI−TOF MS。C.P.パストリスPBP130(Δoch1,Δpno1,Δmnn4b,Δamr2)のN−グリカンを示すMALDI−TOF MS。D.α−1,2マンノシダーゼによる消化後のP.パストリスPBP130(Δoch1,Δpno1,Δmnn4b,Δamr2)のN−グリカンを示すMALDI−TOF MS。 α−1,2マンノシダーゼ及びタチナタマメマンノシダーゼによる消化後のP.パストリスYAS137のN−グリカンのMALDI−TOF MSスペクトル。 薬物耐性マーカー、カナマイシンを使用したP.パストリスAMR2の融合PCRノックアウト戦略を例示する。 P.パストリスAMR2遺伝子の推定アミノ酸配列が、カンジダ・アルビカンス由来のAMR2ホモログのアミノ酸配列と整列化されて示されている。AMR2p(配列番号:12)、AMR1p(配列番号:13)、AMR3p(配列番号:14)、AMR4p(配列番号:15)、CaORF1(配列番号:16)、CaORF2(配列番号:17)、CaORF3(配列番号:18)、CaORF4(配列番号:19)、CaORF5(配列番号:20)、CaORF6(配列番号:21)、CaORF7(配列番号:22)、CaORF8(配列番号:23)。 P.パストリスAMR2遺伝子の推定アミノ酸配列が、カンジダ・アルビカンス由来のAMR2ホモログのアミノ酸配列と整列化されて示されている。AMR2p(配列番号:12)、AMR1p(配列番号:13)、AMR3p(配列番号:14)、AMR4p(配列番号:15)、CaORF1(配列番号:16)、CaORF2(配列番号:17)、CaORF3(配列番号:18)、CaORF4(配列番号:19)、CaORF5(配列番号:20)、CaORF6(配列番号:21)、CaORF7(配列番号:22)、CaORF8(配列番号:23)。 P.パストリスAMR2遺伝子の推定アミノ酸配列が、カンジダ・アルビカンス由来のAMR2ホモログのアミノ酸配列と整列化されて示されている。AMR2p(配列番号:12)、AMR1p(配列番号:13)、AMR3p(配列番号:14)、AMR4p(配列番号:15)、CaORF1(配列番号:16)、CaORF2(配列番号:17)、CaORF3(配列番号:18)、CaORF4(配列番号:19)、CaORF5(配列番号:20)、CaORF6(配列番号:21)、CaORF7(配列番号:22)、CaORF8(配列番号:23)。 P.パストリスAMR2遺伝子の推定アミノ酸配列が、カンジダ・アルビカンス由来のAMR2ホモログのアミノ酸配列と整列化されて示されている。AMR2p(配列番号:12)、AMR1p(配列番号:13)、AMR3p(配列番号:14)、AMR4p(配列番号:15)、CaORF1(配列番号:16)、CaORF2(配列番号:17)、CaORF3(配列番号:18)、CaORF4(配列番号:19)、CaORF5(配列番号:20)、CaORF6(配列番号:21)、CaORF7(配列番号:22)、CaORF8(配列番号:23)。 P.パストリスAMR2遺伝子の推定アミノ酸配列が、カンジダ・アルビカンス由来のAMR2ホモログのアミノ酸配列と整列化されて示されている。AMR2p(配列番号:12)、AMR1p(配列番号:13)、AMR3p(配列番号:14)、AMR4p(配列番号:15)、CaORF1(配列番号:16)、CaORF2(配列番号:17)、CaORF3(配列番号:18)、CaORF4(配列番号:19)、CaORF5(配列番号:20)、CaORF6(配列番号:21)、CaORF7(配列番号:22)、CaORF8(配列番号:23)。
(発明を実施する為の最良の形態)
本明細書において他に定義されない限り、本発明に関して使用される科学用語及び技術用語は、当業者により一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、前後関係により必要とされない限り、単数形の用語は複数を含み、複数形の用語は単数を含むであろう。一般に、本明細書に記載される生化学、酵素学、分子生物学、細胞生物学、微生物学、遺伝学、並びにタンパク質及び核酸の化学、並びにハイブリダイゼーションに関して使用される命名法及びこれらの技術は、当分野において周知であり一般的に使用されているものである。本発明の方法及び技術は、一般に、他に示されない限り、当分野において周知の従来の方法に従って、および本明細書の全体にわたって引用され議論される様々な一般的な参照及びより具体的な参照に記載されたようにして、実施される。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992,and Supplements to 2002);Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990);Taylor and Drickamer,Introduction to Glycobiology,Oxford Univ.Press(2003);Worthington Enzyme Manual,Worthington Biochemical Corp.,Freehold,NJ;Handbook of Biochemistry:Section A Proteins,VoI I,CRC Press(1976);Handbook of Biochemistry:Section A Proteins,VoI II,CRC Press(1976);Essentials of Glycobiology,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1999)を参照のこと。
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及びこの他の参照は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有することが理解されるべきである:
「ポリヌクレオチド」又は「核酸分子」という用語は、少なくとも10塩基長のヌクレオチドのポリマー型をさす。この用語には、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA又は合成DNA)及びRNA分子(例えば、mRNA又は合成RNA)が含まれ、非天然のヌクレオチドアナログ、非ネイティブのヌクレオシド間結合、又はこの両方を含有するDNA又はRNAのアナログも含まれる。核酸は任意の位相幾何学的なコンフォメーションで存在し得る。例えば、核酸は、一本鎖、二本鎖、三本鎖、四本鎖、部分二本鎖、分枝型、ヘアピン型(hairpinned)、環状、又はパッドロック(padlocked)コンフォメーションであり得る。
他に示されない限り、「配列番号:Xを含む核酸」とは、少なくとも一部分が、(i)配列番号:Xの配列、又は(ii)配列番号:Xに相補的な配列のいずれかを有する核酸をさす。二つの間の選択は、情況により指示される。例えば、核酸がプローブとして使用される場合には、二つの間の選択は、プローブが所望の標的に相補的であるという要件により指示される。
「単離された」又は「実質的に純粋な」核酸又はポリヌクレオチド(例えば、RNA、DNA、又は混合ポリマー)とは、この天然の宿主細胞においてネイティブのポリヌクレオチドに天然に付随しているこの他の細胞成分、例えば、リボソーム、ポリメラーゼ、及び天然に会合しているゲノム配列から実質的に分離されているものである。この用語には、(1)天然に存在する環境から除去されているか、(2)自然界において「単離されたポリヌクレオチド」が見出されるポリヌクレオチドの全部又は一部と会合していないか、(3)自然界においては連結されていないポリヌクレオチドに機能的に連結されているか、又は(4)自然界には存在しない、核酸又はポリヌクレオチドが包含される。「単離された」又は「実質的に純粋な」という用語は、組換えの、もしくはクローニングされたDNA単離物、化学合成されたポリヌクレオチドアナログ、又は異種の系により生物学的に合成されたポリヌクレオチドアナログに関しても使用され得る。
しかしながら、「単離された」とは、このように記載された核酸又はポリヌクレオチド自体が、このネイティブの環境から物理的に除去されていることを必ずしも必要としない。例えば、生物のゲノム内の内因性の核酸配列は、この内因性の核酸配列の発現が改変されるよう、異種の配列が内因性の核酸配列の隣に置かれている場合、本明細書において「単離されている」と見なされる。この情況において、異種の配列とは、異種の配列自体が内因性(同一の宿主細胞もしくはこの子孫に起因する)であるか、又は外因性(異なる宿主細胞もしくはこの子孫に起因する)であるかに関わらず、内因性の核酸配列に天然には隣接していない配列である。一例として、宿主細胞のゲノム内の遺伝子のネイティブのプロモーターを、この遺伝子が改変された発現パターンを有するよう、(例えば、相同的組み換えにより)あるプロモーター配列に置換することができる。この場合、この遺伝子は、天然にこれに隣接している配列の少なくとも一部から分離されているため、「単離された」ことになるであろう。
核酸は、ゲノム内の対応する核酸に天然には起こらない修飾を含有する場合にも、「単離されている」と見なされる。例えば、内因性のコーディング配列は、人工的に、例えばヒトの介入により導入された挿入、欠失、又は点変異を含有する場合、「単離されている」と見なされる。「単離された核酸」には、宿主細胞染色体の異種の部位に組み込まれた核酸、及びエピソームとして存在する核酸構築物も含まれる。さらに、「単離された核酸」は、この他の細胞材料を実質的に含まないかもしれないし、又は組換え技術により作製された場合には培養培地を実質的に含まないかもしれないし、又は化学合成された場合には化学的な前駆物質もしくはこの他の化学物質を実質的に含まないかもしれない。
本明細書において使用される場合、参照核酸配列の「縮重バリアント」という語句には、参照核酸配列から翻訳されるものと同一のアミノ酸配列を提供するよう、標準的な遺伝暗号に従って翻訳され得る核酸配列が包含される。「縮重オリゴヌクレオチド」又は「縮重プライマー」という用語は、1つ以上の特定のセグメントにおいて必ずしも配列は同一ではないが相互に相同である標的核酸配列とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを表すために使用される。
核酸配列に関する「配列同一率」又は「同一」という用語は、最大に一致するよう整列化された場合に同一である2つの配列内の残基をさす。配列同一性比較の長さは、少なくとも約9ヌクレオチド、一般的には少なくとも約20ヌクレオチド、より一般的には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約36ヌクレオチド、又はこれ以上のヌクレオチドのストレッチにかかるかもしれない。ヌクレオチド配列同一性を測定するために使用され得る当分野において公知の多数の異なるアルゴリズムが存在する。例えば、ポリヌクレオチド配列は、Wisconsin Package Version 10.0(Genetics Computer Group(GCG),Madison,Wisconsin)の中のプログラムであるFASTA、Gap、又はBestfitを使用して比較され得る。FASTAは、クエリー配列と検索配列と間の最適なオーバーラップの領域の整列化及び配列同一率を提供する。Pearson,Methods Enzymol.183:63−98(1990)(参照により全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、核酸配列間の配列同一率は、このデフォルトパラメータ(ワードサイズ6及びスコアリングマトリックスのためのNOPAMファクター(factor))を用いてFASTAを使用して、又は参照により本明細書に組み込まれるGCGバージョン6.1の中に提供されているようなこのデフォルトパラメータを用いてGapを使用して、決定され得る。又は、配列は、コンピュータプログラムBLAST(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990);Gish and States,Nature Genet.3:266−272(1993);Maddenら、Meth.Enzymol.266:131−141(1996);Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997);Zhang and Madden,Genome Res.7:649−656(1997))、特に、blastp又はtblastn(Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997))を使用して比較され得る。
「実質的な相同性」又は「実質的な類似性」という用語は、核酸又はこの断片をさす場合、適切なヌクレオチドの挿入又は欠失を用いてもう1つの核酸(又はこの相補鎖)と最適に整列化された場合に、前述のようなFASTA、BLAST、又はGapのような周知の配列同一性のアルゴリズムにより測定されるようなヌクレオチド配列同一性が、ヌクレオチド塩基の少なくとも約50%、より好ましくは60%、一般的にはヌクレオチド塩基の少なくとも約70%、より一般的には少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%に存在することを示す。
又は、核酸又はこの断片が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下で、もう1つの核酸、もう1つの核酸の1つの鎖、又はこの相補鎖にハイブリダイズする場合、実質的な相同性又は類似性が存在する。核酸ハイブリダイゼーション実験に関する「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」及び「ストリンジェントな洗浄条件」は、多数の異なる物理学的なパラメータによる。核酸ハイブリダイゼーションは、当業者により容易に認識されるであろう、塩濃度、温度、溶媒、ハイブリダイズする種の塩基組成、相補的な領域の長さ、及びハイブリダイズする核酸間のヌクレオチド塩基ミスマッチの数のような条件により影響を受けるであろう。当業者は、ハイブリダイゼーションの特定のストリンジェンシーを達成するためにこれらのパラメータを変動させる方法を承知している。
一般に、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」は、特定の条件のセットの下で、特定のDNAハイブリッドについての融点(T)より約25℃下で実施される。「ストリンジェントな洗浄」は、特定の条件のセットの下で、特定のDNAハイブリッドについてのTより約5℃低い温度で実施される。Tとは、標的配列の50%が、完全にマッチするプローブにハイブリダイズする温度である。参照により本明細書に組み込まれる、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989),page9.51を参照のこと。本発明の目的のため、液相ハイブリダイゼーションの場合の「ストリンジェントな条件」とは、65℃における6×SSC(ここで、20×SSCは、3.0M NaCl及び0.3Mクエン酸ナトリウムを含有する)、1%SDSにおける8から12時間の水性ハイブリダイゼーション(即ち、ホルムアミドを含まない)、この後の65℃における0.2×SSC、0.1%SDSにおける20分間の2回の洗浄と定義される。65℃におけるハイブリダイゼーションは、ハイブリダイズしている配列の長さ及び同一率を含む多数の要因によって異なる速度で起こるであろうことが、当業者には認識されるであろう。
本発明の核酸(ポリヌクレオチドとも呼ばれる)には、RNA、cDNA、ゲノムDNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方、並びにこれらの合成型及び混合ポリマーが含まれ得る。これらは、化学的もしくは生化学的に修飾されてもよいし、又は当業者により容易に認識されるような非天然のもしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含有していてもよい。このような修飾には、例えば、標識、メチル化、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上のアナログへの置換、電荷を有しない結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメート等)、電荷を有する結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)、懸垂部分(例えば、ポリペプチド)、インターキレーター(例えば、アクリジン、ソラレン等)、キレート化剤、アルキル化剤、及び修飾された結合(例えば、アルファアノマー核酸等)のようなヌクレオチド間修飾が含まれる。水素結合及びこの他の化学的相互作用を介して指定された配列に結合する能力に関してポリヌクレオチドを模倣する合成分子も含まれる。このような分子は、当分野において公知であり、例えば、分子の骨格内のリン酸結合がペプチド結合に置換されたものを含む。この他の修飾には、例えば、リボース環が、架橋部分又は「ロックド(locked)」核酸に見出される修飾のようなこの他の構造を含有するアナログが含まれ得る。
「変異型」という用語は、核酸配列に適用される場合、核酸配列内のヌクレオチドが、参照核酸配列と比較して挿入、欠失、又は変化しているかもしれないことを意味する。単一の改変が1つの遺伝子座においてなされてもよいし(点変異)、又は単一の遺伝子座において複数のヌクレオチドが挿入、欠失、もしくは変化していてもよい。さらに、1つ以上の改変が、核酸配列内の任意の数の遺伝子座においてなされてもよい。核酸配列は、「エラープローン(error−prone)PCR」(PCR産物の全長にわたって高い割合で点変異が入手されるよう、DNAポリメラーゼのコピーの正確さが低い条件の下でPCRを実施する方法;例えば、Leungら、Technique,1:11−15(1989)及びCaldwell and Joyce,PCR Methods Applic.2:28−33(1992)を参照のこと);及び「オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発」(目的のクローニングされたDNAセグメントにおける部位特異的な変異の作成を可能にする方法;例えば、Reidhaar−Olson and Sauer,Science 241:53−57(1988)を参照のこと)のような突然変異誘発技術を含む(これらに制限はされない)当分野において公知の方法により変異させられ得る。
「ベクター」という用語は、本明細書において使用される場合、これと連結されたもう1つの核酸を輸送することができる核酸分子をさすものである。ベクターの1つの型は、付加的なDNAセグメントがライゲートされ得る環状二本鎖DNAループをさす「プラスミド」である。この他のベクターには、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、及び酵母人工染色体(YAC)が含まれる。ベクターのもう1つの型は、付加的なDNAセグメントがウイルスゲノムへとライゲートされ得るウイルスベクター(より詳細に後述される)である。ある種のベクターは、導入された宿主細胞内で自律複製することができる(例えば、宿主細胞において機能する複製起点を有するベクター)。この他のベクターは、宿主細胞へと導入された際、宿主細胞のゲノムへ組み込まれ得、これにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある種の好ましいベクターは、これらと機能的に連結された遺伝子の発現を指図することができる。このようなベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」(又は、単に「発現ベクター」)と呼ばれる。
本明細書において使用される場合、「目的の配列」又は「目的の遺伝子」という用語は、典型的には、宿主細胞において通常産生されないタンパク質をコードする核酸配列をさす。本明細書に開示された方法は、1つ以上の目的の配列又は目的の遺伝子が宿主細胞ゲノムへ組み込まれることを可能にする。好ましい組み込み部位は、AMR2遺伝子座である。目的の配列の非制限的な例には、酵素活性を有する1つ以上のポリペプチド、例えば、マンノシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、UDP−N−アセチルグルコサミントランスポーター、ガラクトシルトランスフェラーゼ、及びシアリルトランスフェラーゼのような宿主におけるN−グリカン合成に影響を与える酵素をコードする配列が含まれる。
本明細書において使用されるように、「治療用糖タンパク質」という用語には、エリスロポエチン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターフェロン−ω、及び顆粒球−CSF、GM−CSFのようなサイトカイン、VIII因子、IX因子、及びヒトプロテインC、アンチトロンビンIII、トロンビンのような凝固因子、可溶性IgE受容体a鎖、IgG、IgG断片、IgG融合体、IgM、インターロイキン、ウロキナーゼ、キマーゼ、及び尿素(urea)トリプシン阻害剤、IGF結合タンパク質、上皮増殖因子、成長ホルモン放出因子、アネキシンV融合タンパク質、アンジオスタチン、血管内皮増殖因子−2、骨髄系前駆細胞阻害因子(myeloid progenitor inhibitory factor)−1、オステオプロテジェリン、α−1−アンチトリプシン、α−フェトプロテイン、DNaseII、ヒトプラスミノーゲンのクリングル3、グルコセレブロシダーゼ、TNF結合タンパク質(TNF binding protein)1、卵胞刺激ホルモン、細胞障害性Tリンパ球関連抗原(Cytotoxic T lymphocyte associated antigen)4−Ig、膜貫通活性化カルシウム調整サイクロフィリンリガンド(transmembrane activator and calcium modulator and cyclophilin ligand)、可溶性TNF受容体Fc融合体、グルカゴン様タンパク質(glucagon−like protein)1、IL−2受容体アゴニストが含まれる。
「機能的に連結された」発現調節配列とは、発現調節配列が、目的の遺伝子を調節するよう、目的の遺伝子と連続しているような結合をさし、目的の遺伝子を調節するよう、トランスで、又はある程度の距離を置いて作用する発現調節配列もさす。
「発現調節配列」という用語は、本明細書において使用される場合、これらと機能的に連結されているコーディング配列の発現に影響を与えるのに必要なポリヌクレオチド配列をさす。発現調節配列は、核酸配列の転写、転写後イベント、及び翻訳を調節する配列である。発現調節配列には、適切な転写開始配列、終結配列、プロモーター配列、及びエンハンサー配列;スプライシングシグナル及びポリアデニル化シグナルのような効率的なRNAプロセシングのためのシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(例えば、リボソーム結合部位);タンパク質安定性を増強する配列が含まれ;所望により、タンパク質分泌を増強する配列が含まれる。このような調節配列の性質は、宿主生物によって異なり;原核生物において、このような調節配列には、一般に、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列が含まれる。「調節配列」という用語には、最小限、この存在が発現にとって不可欠である成分全てが含まれるものとし、この存在が有利である付加的な成分、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列も含まれ得る。
「組換え宿主細胞」(又は単に「宿主細胞」)という用語は、本明細書において使用される場合、組換えベクターが導入されている細胞をさすものとする。このような用語は、特定の対象細胞のみならず、このような細胞の子孫もさすことが理解されるべきである。後続の世代においては、変異又は環境的影響のいずれかによって、ある種の修飾が起こり得るため、このような子孫は、実際は親細胞と同一ではないかもしれないが、これでも本明細書において使用されるような「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。組換え宿主細胞は、培養物中で培養された単離された細胞もしくは細胞系であってもよいし、又は生存している組織もしくは生物に属している細胞であってもよい。
「ペプチド」という用語は、本明細書において使用される場合、短いポリペプチド、例えば、典型的には約50アミノ酸長未満、より典型的には約30アミノ酸長未満であるものをさす。この用語には、本明細書において使用される場合、構造的機能を模倣し、従って生物学的機能を模倣するアナログ及びミメティック(mimetics)が包含される。
「ポリペプチド」という用語には、天然に存在するタンパク質及び天然には存在しないタンパク質の両方、並びにこれらの断片、変異体、誘導体、及びアナログが包含される。ポリペプチドは、モノマー又はポリマーであり得る。さらに、ポリペプチドは、各々が1つ以上の別個の活性を有する多数の異なるドメインを含み得る。
「単離されたタンパク質」又は「単離されたポリペプチド」という用語は、この起原又は誘導源によって、(1)ネイティブの状態においてこれに付随している天然に会合している成分と会合していないか、(2)自然界においては見出されない純度で存在している(ここで、純度とは他の細胞材料の存在に関して判断され得る)(例えば、同一種に由来する他のタンパク質を含まない)か、(3)異なる種に由来する細胞により発現されたか、又は(4)自然界には存在しない(例えば、自然界には見出されないポリペプチドの断片であるか、又は自然界には見出されないアミノ酸のアナログもしくは誘導体、又は標準的なペプチド結合以外の結合を含む)、タンパク質又はポリペプチドである。従って、化学合成されたか、又は天然に由来する細胞とは異なる細胞系において合成されたポリペプチドは、この天然に関連する成分から「単離」されているであろう。ポリペプチド又はタンパク質は、当分野において周知のタンパク質精製技術を使用して、単離により、天然に関連する成分を実質的に含まないようにされることもできる。このように定義されるように、「単離された」とは、このように記載されたタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、又はオリゴペプチドが、このネイティブの環境から物理的に除去されていることを必ずしも必要としない。
「ポリペプチド断片」という用語は、本明細書において使用される場合、全長ポリペプチドと比較して、欠失、例えば、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端の欠失を有するポリペプチドをさす。好ましい実施態様において、ポリペプチド断片は、断片のアミノ酸配列が天然に存在する配列の対応する位置と同一である連続配列である。断片は、典型的には、少なくとも5、6、7、8、9、又は10アミノ酸長、好ましくは少なくとも12、14、16、又は18アミノ酸長、より好ましくは少なくとも20アミノ酸長、より好ましくは少なくとも25、30、35、40、又は45アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも50又は60アミノ酸長、さらに好ましくは少なくとも70アミノ酸長である。
「修飾された誘導体」とは、一次構造配列は実質的に相同であるが、例えば、インビボもしくはインビトロの化学的及び生化学的な修飾を含んでいるか、又はネイティブのポリペプチドには見出されないアミノ酸が取り込まれているポリペプチド又はこの断片をさす。このような修飾には、例えば、当業者により容易に認識されるような、アセチル化、カルボキシル化、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、例えば放射性核種による標識、及び様々な酵素的修飾が含まれる。ポリペプチドを標識するための多様な方法、及びこのような目的のため有用な置換基又は標識は、当分野において周知であり、125I、32P、35S、及びHのような放射性同位体、標識されたアンチリガンド(antiligand)(例えば、抗体)に結合するリガンド、フルオロフォア、化学発光剤、酵素、及び標識されたリガンドに対する特異的結合対メンバーとして機能し得るアンチリガンドを含む。標識の選択は、必要とされる感度、プライマーとの接合の容易さ、安定性要件、及び利用可能な機器による。ポリペプチドを標識する方法は、当分野において周知である。例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992,and Supplements to 2002)(本明細書に参照により組み込まれる)を参照のこと。
「融合タンパク質」という用語は、異種のアミノ酸配列にカップリングされたポリペプチド又は断片を含むポリペプチドをさす。融合タンパク質は、2つ以上の異なるタンパク質に由来する2つ以上の所望の機能的エレメントを含有するよう構築され得るため、有用である。融合タンパク質は、目的のポリペプチドに由来する少なくとも10個の連続アミノ酸、より好ましくは少なくとも20個又は30個のアミノ酸、さらに好ましくは少なくとも40個、50個、又は60個のアミノ酸、さらに好ましくは少なくとも75個、100個、又は125個のアミノ酸を含む。本発明のタンパク質を完全に含む融合体は、特に有益である。本発明の融合タンパク質に含まれる異種ポリペプチドは、少なくとも6アミノ酸長、しばしば少なくとも8アミノ酸長、有用には少なくとも15、20、及び25アミノ酸長である。IgG Fc領域のような比較的大きなポリペプチドを含む融合体、及びさらには緑色蛍光タンパク質(「GFP」)クロモフォア含有タンパク質のような、完全タンパク質を含む融合体は、特に有益である。融合タンパク質は、異なるタンパク質又はペプチドをコードする核酸配列とインフレームで、ポリペプチド又はこの断片をコードする核酸配列を構築し、次いで、融合タンパク質を発現させることにより、組換え的に作製され得る。又は、融合タンパク質は、ポリペプチド又はこの断片をもう1つのタンパク質と架橋することにより化学的に作製され得る。
本明細書において使用される場合、「抗体」という用語は、この少なくとも一部が少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子又はこの断片によりコードされ、かつ所望の標的分子に特異的に結合することができるポリペプチドをさす。この用語には、天然に存在する型が含まれ、断片及び誘導体も含まれる。
「抗体」という用語の範囲内の断片には、標的分子との特異的結合能を保持している限り、様々なプロテアーゼによる消化により作製されたもの、化学的切断及び/又は化学的解離により作製されたもの、並びに組換え的に作製されたものが含まれる。このような断片には、Fab断片、Fab’ 断片、Fv断片、F(ab’)断片、及び単鎖Fv(scFv)断片が含まれる。
この用語の範囲内の誘導体には、種間キメラヒト化抗体;抗体融合体;ダイアボディ(diabodies)(二重特異性抗体)、単鎖ダイアボディ、及びイントラボディ(intrabodies)のようなヘテロマー抗体複合体及び抗体融合体(例えば、Intracellular Antibodies:Research and Disease Applications,(Marasco,ed.,Springer−Verlag New York,Inc.,1998(これの開示は参照により全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)を含む、配列が修飾されているが、標的分子との特異的結合能を保持している抗体(又はこの断片)が含まれる。
本明細書において使用される場合、抗体は、ネイティブのBリンパ球の細胞培養物からの採集、ハイブリドーマの培養物からの採集、組換え発現系、及びファージディスプレイを含む公知の技術によって作製され得る。
「非ペプチドアナログ」という用語は、参照ポリペプチドのものと類似している特性を有する化合物をさす。非ペプチド化合物は、「ペプチド・ミメティック(peptide mimetic)」又は「ペプチドミメティック(peptidomimetic)」とも呼ばれる。例えば、Jones,Amino Acid and Peptide Synthesis,Oxford University Press(1992);Jung,Combinatorial Peptide and Nonpeptide Libraries:A Handbook,John Wiley(1997);Bodanszkyら、Peptide Chemistry−−A Practical Textbook,Springer Verlag(1993);Synthetic Peptides:A Users Guide,(Grant,ed.,W.H.Freeman and Co.,1992);Evansら、J.Med.Chem.30:1229(1987);Fauchere,J.Adv.Drug Res.15:29(1986);Veber and Freidinger,Trends Neurosci.,8:392−396(1985);及びこれらの各々において引用された参照(参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。このような化合物は、しばしば、コンピュータ化された分子モデリングの補助によって開発される。本発明の有用ペプチドに構造的に類似しているペプチド・ミメティックは、等価な効果を生ずるために使用され得、従って、本発明の一部であると構想される。
「ポリペプチド変異体」又は「ムテイン(mutein)」とは、ネイティブ又は野生型のタンパク質のアミノ酸配列と比較して、1つ以上のアミノ酸の挿入、複製、欠失、再編成、又は置換を含有する配列を有するポリペプチドをさす。ムテインは、天然に存在するタンパク質の配列の中の、ある位置の単一のアミノ酸がもう1つのアミノ酸に変化する1つ以上のアミノ酸点置換、1つ以上のアミノ酸がそれぞれ挿入もしくは欠失される1つ以上の挿入及び/もしくは欠失、並びに/又はアミノ末端もしくはカルボキシ末端のいずれかもしくは両方におけるアミノ酸配列の切断を有するかもしれない。ムテインは、天然に存在するタンパク質と比較して同一の生物学的活性を有していてもよいが、好ましくは、異なる生物学的活性を有する。
ムテインは、この野生型カウンターパートとの少なくとも65%の全体配列相同性を有する。さらに好ましいのは、少なくとも70%、75%、80%、85%、又は90%の野生型タンパク質との全体配列相同性を有するムテインである。より好ましい実施態様において、ムテインは、少なくとも95%の配列同一性、さらに好ましくは98%、さらに好ましくは99%、さらに好ましくは99.9%の全体配列同一性を示す。配列相同性は、Gap又はBestfitのような一般的な配列分析アルゴリズムにより測定され得る。
アミノ酸置換には、(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させるもの、(2)酸化に対する感受性を減少させるもの、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を改変させるもの、(4)結合親和性又は酵素活性を改変させるもの、並びに(5)このようなアナログのこの他の物理化学的及び機能的な特性を賦与又は修飾するもの:が含まれる。
本明細書において使用される場合、20の従来のアミノ酸及びこれらの略号は、慣例的用法に従う。参照により本明細書に組み込まれるImmunology−A Synthesis(Golub and Gren eds.,Sinauer Associates,Sunderland,Mass.,2nd ed.1991)を参照のこと。20の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、α−,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、及びこの他の特殊なアミノ酸のような非天然アミノ酸も、本発明のポリペプチドのための適切な成分であるかもしれない。特殊なアミノ酸の例には、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、N−メチルアルギニン、並びにこの他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)が含まれる。本明細書において使用されるポリペプチド表記において、標準的な用法及び慣習に従って、左方末端がアミノ末端に対応し、右方末端がカルボキシ末端に対応する。
あるタンパク質をコードする核酸配列が、第2のタンパク質をコードする核酸配列と類似した配列を有する場合、このタンパク質は、第2のタンパク質との「相同性」を有するか、又は第2のタンパク質と「相同」である。又は、2つのタンパク質が「類似した」アミノ酸配列を有する場合、一方のタンパク質は、第2のタンパク質との相同性を有する。(従って、「相同タンパク質」という用語は、2つのタンパク質が類似したアミノ酸配列を有することを意味するものと定義される。)好ましい実施態様において、相同タンパク質は、野生型タンパク質との少なくとも72%の配列相同性を示すものであり、より好ましいのは、少なくとも75%の配列相同性である。さらに好ましいのは、野生型タンパク質との少なくとも80%、85%、90%、又は95%の配列相同性を示す相同タンパク質である。さらに好ましい実施態様において、相同タンパク質は、少なくとも96%、98%、99%、又は99.9%の配列同一性を示す。本明細書において使用される場合、(特に、予測された構造的類似性に関する)アミノ酸配列の2つの領域間の相同性は、機能の類似性を暗示するものと解釈される。
「相同」がタンパク質又はペプチドに関して使用される場合、同一でない残基位置は、しばしば、保存的なアミノ酸置換によって異なっていることが認識される。「保存的なアミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基が、類似した化学的特性(例えば、電荷又は疎水性)を有する側鎖(R基)を有するもう1つのアミノ酸残基により置換されるものである。一般に、保存的なアミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変化させないであろう。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換により相互に異なっている場合、配列同一率又は相同性の程度は、置換の保存的な性質に関して補正するため上方に調整され得る。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、Pearson,1994,Methods Mo1.Biol.24:307−31 and 25:365−89(参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
以下の6つの群は、各々、相互に保存的な置換であるアミノ酸を含有する:1)セリン(S)、トレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アラニン(A)、バリン(V)、及び6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
配列同一率とも呼ばれるポリペプチドの配列相同性は、典型的には、配列分析ソフトウェアを使用して測定される。例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group(GCG),University of Wisconsin Biotechnology Center,910 University Avenue,Madison,Wisconsin 53705を参照のこと。タンパク質分析ソフトウェアは、保存的なアミノ酸置換を含む様々な置換、欠失、及びこの他の修飾に割り当てられた相同性の尺度を使用して、類似した配列をマッチングする。例えば、GCGは、異なる生物種に由来する相同ポリペプチド、又は野生型タンパク質とこのムテインのような密接に関連したポリペプチドの間の配列相同性又は配列同一性を決定するため、デフォルトパラメータを用いて使用され得る「Gap」及び「Bestfit」のようなプログラムを含有する。例えば、GCGバージョン6.1を参照のこと。
特定のポリペプチド配列を、異なる生物に由来する多数の配列を含有するデータベースと比較する場合、好ましいアルゴリズムは、コンピュータプログラムBLAST(Altschulら、J.MoI.Biol.215:403−410(1990);Gish and States,Nature Genet.3:266−272(1993);Maddenら、Meth.Enzymol.266:131−141(1996);Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997);Zhang and Madden,Genome Res.7:649−656(1997))、特に、blastp又はtblastn(Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997))である。
BLASTpのための好ましいパラメータは以下の通りである:
期待値(Expectation value):10(デフォルト);フィルター(Filter):seg(デフォルト);ギャップ開始コスト(Cost to open a gap):11(デフォルト);ギャップ伸長コスト(Cost to extend a gap):1(デフォルト);最大アラインメント(Max.alignments):100(デフォルト);ワードサイズ(Word size):11(デフォルト);表示数(No.of descriptions):100(デフォルト);ペナルティマトリックス(Penalty Matrix):BLOWSUM62。
相同性に関して比較されるポリペプチド配列の長さは、少なくとも約16アミノ酸残基、一般的には少なくとも約20残基、より一般的には少なくとも約24残基、典型的には少なくとも約28残基、好ましくは約35残基超であろう。多数の異なる生物に由来する配列を含有するデータベースを検索する場合には、アミノ酸配列を比較することが好ましい。アミノ酸配列を使用したデータベース検索は、当分野において公知のblastp以外のアルゴリズムにより測定され得る。例えば、ポリペプチド配列は、GCGバージョン6.1の中のプログラムFASTAを使用して比較され得る。FASTAは、クエリー配列と検索配列と間の最適なオーバーラップの領域の整列化及び配列同一率を提供する。Pearson,Methods Enzymol.183:63−98(1990)(参照により全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、アミノ酸配列間の配列同一率は、参照により本明細書に組み込まれるGCGバージョン6.1の中に提供されているようなこのデフォルトパラメータ(ワードサイズ2及びPAM250スコアリングマトリックス)を用いてFASTAを使用して決定され得る。
「特異的結合」とは、2つの分子が、環境中のこの他の分子との結合より優先的に相互に結合する能力をさす。典型的には、「特異的結合」は、反応中の偶発的な結合より、少なくとも2倍、より典型的には少なくとも10倍、しばしば少なくとも100倍優先される。典型的には、解離定数により定量化されるような特異的結合反応の親和性又はアビディティは、約10−7M以下(例えば、約10−8M、10−9M、又はさらにそれ以下)である。
「領域」という用語は、本明細書において使用される場合、生体分子の一次構造の物理的に連続している部分をさす。タンパク質の場合には、領域は、このタンパク質のアミノ酸配列の連続している部分により定義される。
「ドメイン」という用語は、本明細書において使用される場合、生体分子の公知の又は推測される機能に寄与する生体分子の構造をさす。ドメインは、領域又はこの一部と同一の範囲にあるかもしれず;ドメインは、生体分子の別個の非連続領域を含んでいるかもしれない。タンパク質ドメインの例には、以下に制限はされないが、Igドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインが含まれる。
本明細書において使用される場合、「分子」という用語は、以下に制限はされないが、低分子、ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチド、核酸、脂質等を含む化合物を意味し、このような化合物は天然であってもよいし又は合成であってもよい。
「高マンノース」という用語は、本明細書において使用される場合、酵母及び/又は糸状菌の種によりネイティブに産生され、一般に8個以上のマンノース残基を有する糖タンパク質上のグリカン構造をさす。
本明細書において使用される場合、「分子」という用語は、以下に制限はされないが、低分子、ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチド、核酸、脂質等を含む化合物を意味し、このような化合物は天然であってもよいし又は合成であってもよい。
「α−マンノシダーゼ抵抗性グリカン」及び「不応性α−マンノースグリカン」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、α−1,2;α−1,3;及び/又はα−1,6−マンノシダーゼのようなアルファ−マンノシダーゼによる切断に対して完全又は部分的に抵抗性の糖タンパク質のグリカン構造をさす。不応性α−マンノースグリカンには、β−マンノース、分枝高マンノース、α−1,4マンノース、又は特徴決定されていないマンノースが含まれ得る。従って、これらのグリカン構造は、高マンノースグリカン構造の増加した存在に寄与する。
他に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、全て、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同一の意味を有する。例示的な方法及び材料が以下に記載されるが、本明細書に記載されたものと類似しているか又は等しい方法及び材料も、本発明の実施において使用され得、当業者には明白であろう。本明細書において言及された全ての刊行物及びこの他の参照は、参照により完全に組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が適用されるであろう。材料、方法、及び例は、例示的なものに過ぎず、制限的なものではない。
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、「を含む(comprise)」という単語又は「を含む(comprises)」もしくは「を含む(comprising)」のような活用形は、明示された整数又は整数の群の包含を意味するものであって、この他の整数又は整数の群の排除を意味するものではないことが理解されるであろう。
α−マンノシダーゼ抵抗性遺伝子の同定
真菌の系においてヒト様糖タンパク質を発現させる試みにおいては、非ヒトグリコシル化の排除が望まれる。真菌のグリコシル化は、高マンノース/非ヒトグリカンを特徴とする。マンノシル化の型の決定は、一般的に、不要なグリコシル化イベントの排除における第一段階である。P.パストリスにおけるOCH1の欠失は、過剰マンノシル化の減少をもたらした(Choiら、2003)。ネガティブMALDI−TOF MSによる分析は、これらのマンノース基に関連した負の電荷の存在を明らかにした。この後の推定マンノシルホスフェートトランスフェラーゼ遺伝子PNO1及びMNN4Bの欠失は、マンノシルホスフェートを欠く株をもたらした(図2A)(米国特許第7,259,007号)。α−1,2マンノシダーゼ及びタチナタマメマンノシダーゼによる残存するマンノース基の消化は、さらに、マンナンのサイズを減少させた(図2B、図3)(実施例1)。これらの遺伝子の破壊及びα−マンノシダーゼによる消化にも関わらず、20%ものN−グリカンが抵抗性のままであった。糖組成分析、並びにα−1,2マンノシダーゼ及びタチナタマメマンノシダーゼ(α−1,2/α−1,3/α−1,6)に対するこれらのマンノース基の抵抗性から、これらのマンノース構造は、分枝β−マンノース、高マンノース、α−1,4マンノース、又は特徴決定されていないマンノースであると推測された。
まず、これらの抵抗性マンナンがマンノシルトランスフェラーゼ活性に起因するとの仮説が立てられ、従って、これらの抵抗性マンナンの原因遺伝子(又は複数の遺伝子)は、この他のマンノシルトランスフェラーゼ遺伝子とのある程度の相同性を有するであろうと推測された。サッカロミセス・セレビシエMNN4遺伝子からのC末端配列を、P.パストリスゲノムを探索するために使用した(実施例2)。推定II型膜タンパク質をコードする(従って、ゴルジ膜上に見出され得る)遺伝子を選択することにより、破壊された場合に、α−1,2マンノシダーゼによる消化後の抵抗性マンナンが排除される遺伝子が同定された(図2D)。本発明者らは、この遺伝子をAMR2(アルファマンノシダーゼ抵抗性(lphα−annosidase esistant))と命名した。従って、本発明は、図1に示されるような糖タンパク質のマンノシル化に関与しているP.パストリス遺伝子を開示する。
核酸配列
本発明の1つの態様において、公知のα−マンノシダーゼに対して抵抗性のN−グリカンのマンノシル化に関与している遺伝子が、P.パストリスにおいて同定され配列決定される(図1、実施例2)。1つの実施態様において、P.パストリスAMR2遺伝子及びこのバリアントをコードする核酸配列が提供される。P.パストリスAMR2遺伝子の破壊は、酵母株における糖タンパク質上のα−マンノシダーゼ抵抗性グリカンの減少又は排除のため特に有用である。もう1つの実施態様において、本発明は、配列番号:11との少なくとも72%の同一性を有するP.パストリスAMR2遺伝子のバリアントである配列を含む又はからなる核酸分子を提供する。この核酸配列は、好ましくは、少なくとも75%、80%、又は85%の野生型遺伝子との同一性を有する。さらに好ましくは、この核酸配列は、90%、95%、98%、99%、99.9%、又はさらにそれ以上の配列番号:11との同一性を有する。
本発明のこの他の実施態様によると、本発明の核酸分子は、図1に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。配列番号:12と少なくとも72%同一のポリペプチド配列をコードする核酸分子も提供される。典型的には、本発明の核酸分子は、少なくとも75%、80%、又は85%の配列番号:12との同一性を有するポリペプチド配列をコードする。さらに好ましくは、コードされたポリペプチドは、90%、95%、98%、99%、99.9%、又はさらにそれ以上の配列番号:12との同一性を有する。
本発明のもう1つの態様において、N−グリカンのα−マンノシダーゼ抵抗性マンノシル化に関与しているAMR2遺伝子は、P.パストリスのこの他の3つの遺伝子、AMR1、AMR3、AMR4と相同であり(図5)、以下の種の遺伝子と相同な領域を有する:カンジダ・アルビカンスの11の遺伝子(8つは図5に示されている);サッカロミセス・カステリーNRRL Y−12630株の8つの遺伝子;サッカロミセス・クルイベリNRRL Y−12651株の2つの遺伝子、及びアスペルギルス・フミガツスの3つの遺伝子(実施例3)。この他の種の不応性α−マンノースグリカンの減少又は排除のため、当業者は、所定の種のゲノムからAMR2ホモログを同定し、この1つ又は複数の相同遺伝子を破壊することができる。当業者は、所定の種に見出される全ての相同遺伝子又は相同遺伝子の組み合わせを破壊することが必要であるかもしれないことを理解する。より具体的には、当業者は、この他の種におけるα−マンノシダーゼ抵抗性N−グリカンを減少させるか又は排除するためには、保存配列からの縮重プライマーが、AMr2ホモログのPCRクローニングのために設計され得ることを認識する。又は、AMR2ホモログのハイブリダイゼーションのためのプローブが構築されてもよい。
宿主細胞
本発明のもう1つの態様において、通常α−マンノシダーゼ抵抗性グリカンを有する糖タンパク質を産生する宿主細胞が、α−マンノシダーゼ抵抗性N−グリカンを含まない糖タンパク質を産生するよう操作された。1つの実施態様において、通常マンノシダーゼ抵抗性グリカンを有する治療用糖タンパク質を産生する宿主細胞が、マンノシダーゼ抵抗性グリカンを含まない治療用糖タンパク質を産生するよう操作された。好ましい実施態様において、本発明の宿主細胞は、宿主細胞におけるグリカン上のα−マンノシル化が、変異を欠く宿主細胞と比較して減少するよう、本発明の単離された核酸の破壊、欠失、又は変異により、組換えにより変異させられた。より好ましくは、N−グリカン上のα−マンノシダーゼ抵抗性が排除される。本発明の宿主細胞は、好ましくは、ピキア・パストリス又はピキア・メタノリカであるが、この他の宿主細胞、特に、酵母細胞も、本発明の範囲内に包含される。
いくつかの実施態様において、酵母宿主細胞内のAMR2遺伝子は、実施例3に記述され、図4に示されるPCRノックアウト戦略により破壊される。本発明のこの他の実施態様において、α−マンノシダーゼ抵抗活性を欠損している宿主細胞は、本発明の核酸分子及び/又は方法を使用して、宿主細胞ゲノムに1つ以上の目的の配列又は遺伝子を組み込むために使用される。好ましい実施態様において、目的の配列又は遺伝子は宿主細胞の内因性遺伝子を破壊するために組み込まれる。例えば、AMR2遺伝子が、目的の配列により破壊される。組み込みを含有する宿主細胞は、選択マーカーにより容易に同定され、酵母における選択マーカーは、一般的に、特定のアミノ酸もしくはヌクレオチドを欠く培地での形質転換細胞の増殖を可能にする栄養要求性遺伝子、又は対応する抗生物質を含有する培地での増殖を可能にする抗生物質耐性遺伝子である。
本発明のもう1つの態様において、本発明の核酸分子又はベクターにより形質転換された宿主細胞及びこの子孫が、提供される。本発明のいくつかの実施態様において、これらの細胞は、自由に複製するベクターであってもよいが、そうでなくてもよいベクターの上に本発明の核酸配列を保持している。本発明のこの他の実施態様において、核酸は宿主細胞のゲノムに組み込まれている。
糖タンパク質のグリカン上のα−マンノース抵抗性に関与している活性をコードする破壊されるAMR2遺伝子は、好ましくは、ピキア属に属する酵母株に由来する。本発明に係るピキア属に属する酵母には、例えば、ピキア・パストリス、ピキア・フィンランジカ、ピキア・トレハロフィラ、ピキア・コクラメ、ピキア・メンブラネファシエンス、ピキア・メタノリカ、ピキア・ミニュータ(オガテア・ミニュータ、ピキア・リンドネリ)、ピキア・オプンチエ、ピキア・サーモトレランス、ピキ・サリクタリア、ピキア・グエルカム、ピキア・ピジペリ、ピキア・スチプチス、ピキアsp.、及びこの他の酵母が含まれるが、これらに制限はされない。さらにもう1つの実施態様において、以下の宿主の1つにおいてAMR2活性及び/又は相同性を保持する遺伝子が破壊され得る:サッカロミセス・カステリー、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・クルイベリ、サッカロミセスsp.、ハンセヌラ・ポリモルファ、クルイベロミセスsp.、クルイベロミセス・ラクチス、カンジダ・アルビカンス、カンジダsp.、アスペルギルス・フミガツス、アスペルギルス・ニヅランス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリゼ、トリコデルマ・リーセイ、クリソスポリウム・ルックノウェンス、フザリウムsp.、フザリウム・グラミネウム、フザリウム・ベネナツム、フィスコミトレラ・パテンス、及びニューロスポラ・クラッサ。
β−マンノシル化活性をコードするAMR2遺伝子
このAMR2遺伝子のホモログを有するいくつかの酵母種は、β−マンノシル化活性も有することが観察された。従って、本発明のもう1つの態様において、AMR2遺伝子はβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする。1つの実施態様において、P.パストリス又はこの他の真菌種において、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードするAMR2が、個々に、かつ/又はこのホモログと組み合わせて破壊され、糖タンパク質上のα−マンノシル化抵抗性グリカンの減少又は排除をもたらす。
O−グリカン上のβ−マンノシル化の存在は、Trimbleら、2004による報告に記述されている。従って、さらなる実施態様において、P.パストリス及びこの他の種におけるα−マンノシダーゼ抵抗性O−グリカンが、AMR2遺伝子及びこのホモログの破壊により減少させられるか又は排除される。
以下は、本発明の組成物及び方法を例示する実施例である。これらの実施例は、制限的なものと解釈されるべきではなく、実施例は例示のためにのみ含まれる。
タチナタマメマンノシダーゼ及びα−1,2マンノシダーゼによるN−グリカンの消化
標準的なN結合型オリゴ糖(20mg)を、100mlのHPLCグレード水で再構成した。この一部10mlを、0.6mlシリコン処理チューブに添加した。試料を蒸発乾固させた。試料に、タチナタマメマンノシダーゼ(0.03U)又はトリコデルマ・リーセイ(reseei)由来のα−1,2マンノシダーゼ(0.03mU、Dr Contreras R,Unit of Fundamental and Applied Molecular Biology,Department of Molecular Biology,Ghent University,Ghent,Belgiumからの寄贈)と共に、10mlの50mM酢酸アンモニウムを添加した。試料を、37℃で、16から24時間、酵素と共にインキュベートした。次いで、試料を蒸発乾固させた。試料を10mlの水で再構成した。この後、試料を、MALDI−TOF MSにより分析した。
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析
グリカンの分子量を、遅延引き出しを使用して、ボイジャー(Voyager)DE PROリニア(linear)MALDI−TOF(Applied Biosciences)質量分析計を使用して決定した。各ウェルからの乾燥グリカンを、15uLの水に溶解させ、0.5uLをステンレスのサンプルプレート上にスポットし、0.5uLのS−DHBマトリックス(9mg/mLのジヒドロキシ安息香酸、lmg/mLの5−メトキシサリチル酸を含む1:1水/アセトニトリル0.1%TFA)と混合し、乾燥させた。
イオンは、4nsのパルス時間でパルス状の窒素レーザー(337nm)を照射することにより発生された。装置を、125nsの遅延時間及び20kVの加速電圧で、遅延引き出しモードで作動させた。グリッド電圧は93.00%であり、ガイドワイヤ電圧は0.10%であり、内部圧力は5×10−7トル未満であり、低質量ゲート(low mass gate)は875Daであった。スペクトルは100から200のレーザーパルスの和から作製され、2GHzデジタイザーにより取得された。ManGlcΝAcオリゴ糖を外部分子量標準として使用した。全てのスペクトルが、ポジティブイオンモードで装置により作製された。スペクトルの推定質量精度(mass accuracy)は、0.5%であった。
ピキア・パストリス由来のAMR2遺伝子の同定及び配列分析
リジン及びグルタミン酸がリッチな反復配列を含有するサッカロミセス・セレビシエMNN4遺伝子(ジェンバンク(Genbank)登録#P36044)のC末端部分を、P.パストリスゲノム配列(Integrated Genomics,Chicago,IL)に対してブラスト検索(blast)するためのプローブとして使用した。類似したリジン及びグルタミン酸がリッチなリピートを有するタンパク質をコードするORFを含むいくつかのDΝA断片が同定された。このうちの1つのORFは、S.セレビシエMnn4pに構造的に類似している、推定N末端膜貫通ドメイン並びにリジン及びグルタミン酸がリッチなC末端尾部を含む644アミノ酸のタンパク質をコードすることが見出された。変異型の対立遺伝子を保持している株の表現型分析に基づき、この遺伝子をAMR2(アルファ−マンノシダーゼ抵抗性)と命名した。この後のP.パストリスゲノム配列のブラスト検索は、さらに3つのAMR2と密接に関連した遺伝子の存在を明らかにした。
P.パストリスYAS137株(Δochl,Δpnol,Δmnn4b)(米国特許第7,259,007号)を、AMR2遺伝子ノックアウト実験のための宿主として使用した。YAS137は、外側の鎖を含まない無電荷のN−グリカンを産生する(図2A)。α−l,2−マンノシダーゼ(図2B)及び(α−1,2/α−1,3/α−1,6活性を有する)タチナタマメマンノシダーゼにより消化されると、株YAS137から精製されたN−グリカンの有意な割合が、ManGlcΝAcに変換され得る。しかしながら、20%ものN−グリカンが、これらのα−マンノシダーゼに対して不応性である(図3)。amr2欠失対立遺伝子(amr2::Kan)をPCRオーバーラップ法により作成した(図4)。プライマーPBS1−2−C3(配列番号:1)(5’−TAATAGTGGAGAAA−CTTGCAAAGG−3’)とPBS2−KO2(配列番号:2)(5’−GTGCTACCTAAAT−CGTATGTGTCGTTGAAGCTTCCCAATGATAGC−3’)との対、及びプライマーPBS1−2−KO3(配列番号:3)(5’−CTCCCTATAGTGAGTCGTATTCATATGAT−GGGTGTTTGCTCACTC−3’)とPBS1−2−KO4(配列番号:4)(5’−CTTGG−TTCAACGCAGCACTTTG−AC−3’)との対を、ゲノムDNAからAMR2遺伝子の5’及び3’隣接領域を増幅するために使用した(ゲノムDNAはNRRL−Y11430株から単離された)。プライマーPR29(配列番号:5)(5’−CACATACGATTTAG−GTGACAC−3’)とPR32(配列番号:6)(5’−AATACGACTCACTATAGG−GAG−3’)との対を、ベクターpUG6(Goldstein and McCusker,1999)からKan(G418)耐性マーカーを増幅するために使用した。この後、1回目のPCR反応からの3つの産物全てを用いた第2の反応において、プライマーPBS1−2−C3及びPBS1−2−KO4を使用し、オーバーラップ産物を作製した。得られた融合PCR産物を、YAS137株を形質転換するために使用した。形質転換のためのDNAは、0.3Mの最終濃度で酢酸ナトリウムを添加することにより調製した。次いで、100パーセント氷冷エタノールを、70%の最終濃度でDNA試料に添加した。DNAを遠心分離(12000g×10分)によりペレット化し、70%氷冷エタノールにより2回洗浄した。DNAを乾燥させ、次いで、50mlの10mMトリス、pH8.0に再懸濁させた。YAS137は、およそ2から6のO.D.になるまで、BMGY(緩衝最小グリセロール:100mMリン酸カリウム、pH6.0;1.34%酵母ニトロゲンベース(yeast nitrogen base);4×10−5%ビオチン;1%グリセロール)において酵母培養物を増幅することにより調製した。1Mソルビトールで3回洗浄し、およそ1から2mlの1Mソルビトールに再懸濁させることにより、酵母をエレクトロコンピテント(electrocompetent)にした。DNA(1から2mg)を50mlのコンピテント酵母と混合し、1分間、氷上でインキュベートした。次いで、以下のパラメータを使用して、BTXエレクトロセルマニピュレーター(Electrocell Manipulator)600により、酵母を電気穿孔した:1.5kV、129オーム、及び25mF。1ミリリットルのYPDS(1%酵母抽出物、2%ペプトン、2%デキストロース、1Mソルビトール)を、電気穿孔された細胞に添加した。この後、形質転換された酵母を、選択寒天プレート上に播種した。形質転換体を、200mg/mlのG418硫酸塩、GIBCO(商標)を含有するYPD培地上で選択した。欠失対立遺伝子amr2::Kanの適切な組み込みを、PCRにより確認した。ノックアウトのスクリーニングは、ノックアウト構築物の5’部分及び3’部分両方のPCR増幅により実施した。PBS1−C5(配列番号:7)(5’−TTTTCCTCA−AGCCTTCAAA−GACAG−3’)およびPTEF(配列番号:8)(5’−AGCTGCGCA−CGTCAAGACTGTCAA−GG−3’)プライマーをノックアウト構築物の5’部分をスクリーニングするために使用し、PBS1−2−C2(配列番号:9)(5’−TACCGATACATAC−GTAGCCAACAC−3’)およびKAN10(配列番号:10)(5’−TCGCTATACTGCTG−TCGATTCGATAC−3’)プライマーをノックアウト構築物の3’部分をスクリーニングするために使用した。プライマーPTEF及びKAN10は、薬物耐性マーカー配列の5’及び3’末端にそれぞれアニーリングし;PBS1−C5及びPBS1−2−C2は、ノックアウト構築物において使用されたDNAの5’及び3’領域に隣接するゲノム内の配列に対して相補的であるため、両方のスクリーニングにおけるPCR産物の観察は、AMR2遺伝子のノックアウトの成功の指標となる。新たな(Δoch1,Δpno1,Δmnn4b,Δamr2)株を、PBP130と名付けた。
PCR増幅
エッペンドルフマスターサイクラー(Eppendorf Mastercycler)を全てのPCR反応のため使用した。PCR反応は、鋳型DNA、125mM dNTP、各0.2mMの順方向プライマー及び逆方向プライマー、Ex Taqポリメラーゼ緩衝液(Takara Bio Inc.)、並びにEx Taqポリメラーゼ(Takara Bio Inc.)を含有していた。予測されたAMR2遺伝子の5’側、予測されたAMR2遺伝子の3’側のDNA断片、及び薬物耐性マーカーを、94℃2分の初期変性工程、98℃10秒、52℃10秒、72℃2分の30サイクル、72℃10分の最終伸長工程により増幅した。PCR試料をアガロースゲル電気泳動により分離し、キアゲン(Qiagen)のゲル抽出キット(Gel Extraction Kit)を使用して、DNAバンドを抽出し、精製した。全てのDNA精製を、10mMトリス、pH8.0で溶出した。
検索及び整列化
NCBIにおいて完全及び不完全な真菌ゲノムに由来する配列を入手するためBLAST検索を実施し、発明の詳細に記述されたようなAMR2ホモログを同定した。図5に示される整列化は、Megalignプログラム(DNAStar)及びClustalWアルゴリズムを使用して構築された。
P.パストリスにおけるα−マンノシダーゼ抵抗性N−グリカンの決定
YAS137及びPBP130のN結合型グリカンを、メタノールにより誘導可能なAOX1プロモーターの調節下で発現されたHisタグ化レポータータンパク質の分泌により分析した。レポータータンパク質K3は、単一のN結合型グリコシル化部位を含有する。簡単に説明すると、BMGYを含有する振とうフラスコに、YAS−130の新鮮な培養物を接種し、およそ20のO.D.になるまで培養した。培養物を遠心分離し、細胞ペレットをBMMY(緩衝最小メタノール:1%グリセロールの代わりに0.5%メタノールを含む以外はBMGYと同一)により洗浄した。細胞ペレットを、元のBMGY培養物の1/5の容量でBMMYに再懸濁させ、24時間、振とう機に置いた。遠心分離によりバイオマスをペレット化し、培養培地を新鮮なチューブに移すことにより、分泌されたタンパク質を採集した。次いで、Hisタグ化K3タンパク質を、Ni−アフィニティーカラム上で精製し、PNGase(Choiら、2003)により消化した。
Man10及びMan11/12の分析
α−マンノシダーゼ消化に対して不応性のグリカンの構造分析は、コアマンノースオリゴ糖に結合した少なくとも1つのβ1,2−マンノシル残基を開示した。構造Iは、この鎖に決定的に連結され得、高マンノース構造の不可欠な部分である可能性が高い分枝5の上に示された提唱されたβ−マンノシル残基13を示している。以下のグリカン構造(構造I)上の残基は、付加的な数(13、14、15)を任意に追加して、Zieglerら(Ziegler,F.D.,J.Cavanagh,C.Lubowski,R.B.Trimble,1999,Glycobiology 9:497−505)による論文に基づき番号付けされた。
構造I

……[Man α(1−2)]Man a(1−6)6

Man α(1−6)4
/ \
……Man α(1−3)7\3 2 1
15 Man bβ(1−4)GlcNAcβ1−4)GlcNAc
[Man α]−[Man α(1−6)]12/
\ /
Man α(1−3)5
14 13 11 8 /
…[Man α(1−2)]Man β (1−2)Manα α(1−2)Man α(1−2)
3つの試料からのデータを、β−マンノシル残基の存在について分析した。
試料1:「man10」−これは、man9/10混合物として記載された最初の試料であった。
試料2:「man11」−これは、推定された50%man11、15%man12を有するP4画分63から66からのman11/man12混合物として記載された第2の調製物であった。
試料3:「man10_digest」−これは、最初のman11/man12混合物が、man9又はman10へとトリムバック(trim back)するため、α-1,2−マンノシダーゼにより処理された、第3の調製物であった。
コアman8/man9混合物を含有する第4の試料も調査した。
試料をD2Oから凍結乾燥させ、200uL又は500uLのD2Oに再溶解させた。
NMRデータは、25Cで、バリアンイノバ(Varian Inova)600MHz及び800MHz分光計で収集された。
バリアンライブラリー(グラジエントCOSY、TOCSY、NOESY、グラジエントHSQC及びHMBC)からの標準実験を、特徴決定のため使用した。
β−マンノシル残基の証拠:
3つの試料は、全て、β−アノマーと一致するNMRシグナルを有する。3つのスペクトル特性が、この主張を支持する:化学シフト、H1−H2スカラーカップリング、及び分子内NOE測定。
プロトン化学シフト。
α−マンノシル残基のアノマープロトンの化学シフト値は、典型的には5.0ppm超であり、β−マンノシル残基は、一般的に5.0ppm未満である。α−マンノシル残基3、4、及び12のような例外が存在し、従って、これは単独ではアノマー配置を立証しない。
4つの試料のプロトン1Dスペクトルのアノマー領域を示す分析は、11に1−2結合したβ−マンノシル残基に対応する2つのピーク13及び13tを明らかにした。ここで、13tは末端残基であり、13はα−マンノシル残基14によりさらに置換されていると思われる。5ppm未満の化学シフト領域にコア残基3及び4並びに残基12のみを示すZieglerら、において見出された高マンノース構造からのNMRデータと、これらのスペクトルを比較することができる。
Trinelら、JBC 1999及びNitzら、JBC 2002に報告されたデータに精密に対応する、残基13からの別個のH1、H2、H3、H4、及びH5シグナルを示す2D TOCSYデータから、付加的な化学シフトが抽出された。末端残基13tからのシグナルは、よく分離されていないが、類似したシフトを有する(表1参照)。
2D TOCSY(プロトン−プロトン相関マップ)は、β−Man13残基に属するクロスピーク(crosspeaks)を示した(データは示されていない)。β−マンノシル残基の化学シフト及び文献の値を、表1に列挙する。
Figure 0005752582
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α−マンノシル残基の化学シフトは、一般に、同一の次数を有するが、H2の値は典型的にはおよそ0.1ppm低く、H3はおよそ0.1ppm高く、H5はおよそ0.2ppm高い。
NOEクロスピーク
β−アノマープロトンは、ピラノース環のH3及びH5と同一の面上にあり、約2.4オングストローム離れているが、α−アノマープロトンは、反対面上にあり、H3又はH5のいずれかから4オングストロームにより近い。従って、β−アノマーにおいてはH1とH3及びH5との間の強いNOEシグナルが予想される。これは、スペクトルが、空間相互作用を通して生じ、高度に距離依存性であるNOEクロスピークを示す、NOESYデータ(示されていない)に明白に示されている。4.895ppmにおける水平線は、β−man13残基のH1に対応する(示されていないデータ)。上パネルにおけるTOCSY実験により決定されるように、垂直線は、これらのピークの特定の共鳴への割り当てを確認する。強いピークH3及びH5は、H1とH3又はH5との間の残基内NOEによるものであり、これは、β−アノマーの割り当てを確認する(示されていないデータ)。
H1−H2スカラー結合(ピークの「分裂」)
共鳴の「分裂」及び多重線構造を生じさせるプロトンスカラー結合の大きさは、関与しているプロトンの相対的な方向と関係がある。従って、これは、アノマー配置の指標となり得る。
α−マンノシル残基におけるH1−H2スカラー結合は、約1.5Hzであり、β−アノマーは<1Hzである。極めて狭い線を有するスペクトルにおいて、α−アノマーの分裂は見ることができるが、β−アノマーは小さすぎるため、シグナルが一重線のように見える。これらのデータにおいて、線幅は最適ではなく、従って、いずれのピークのセットも一重線のように見える。しかしながら、2D TOCSY(データは示されていない)におけるピークのパターン及び強度も、結合の大きさにも依存する。TOCSYスペクトルからのある領域は、どこで水平線がH1シグナルに対応するか、及びクロスピークがそれぞれの残基内の他のプロトンに由来することを示している。第1に、β−Man残基(3、13、13t)に連結されたH2領域のピークは、α−Manピーク(例えば、4)より低い強度である。強度は、シグナル転移の効率、従って、結合定数のサイズのおよその指標である。
α−アノマーは、H1からH3まで、時にはH4までの付加的なクロスピークも示しており−これは、H1及びH2との間のスカラー結合が、H2を超えてシグナルを転移させるほどに十分に大きいことを意味している。他方、β−アノマーは、H1−H2クロスピークのみを示す;これは、カップリングが小さく、シグナルの転移が極めて非効率的であり、環内の他のプロトンに継続しないためである。13、13t、及び3についてのパターンは同一であるが、この他のマンノシル残基とは明白に異なっている。
β−マンノシル13(t)の結合位置の証拠。
H1及びH2の化学シフトの変化。
公知の高マンノース構造について、H1及びH2プロトン化学シフトを、標準的な文献の値と比較することは、構造に到達するために一般的に十分である。この場合、変則のシグナルのため、結合を確立するために、より多くの努力を要した。しかしながら、Man8/9スペクトルについて示されたような、コア構造に割り当てられ得るいくつかのピークが存在した。Man8/9及びMan9/10のスペクトル(示されていないデータ)を比較すると、β−マンノシル残基として上に記載された新たなシグナル13及び13tを含む多くの差異が存在する。
試料Man9/10及びMan11/12のスペクトルを比較すると、9に類似している末端α−マンノシル残基が戻っていた。これは、Man9/10スペクトルの中の6、12と表示されたピークが、もう1つのα−マンノースとの置換によりシフトすると予想されるため、末端6である可能性が高いことを示唆するであろう。これは、マンノシダーゼにより消化された試料、Man10−digestにおいて元の位置に戻る。Man11及びMan10−digest試料からの炭素−プロトン相関データ(示されていないHSQC、HMBCスペクトル)は、この残基が1−6結合で接続されていることを確認する。
14と表示されたシグナルは、典型的なMan9構造に見られるような、置換されたマンノシル残基7ではなく、13に結合したα−マンノシル残基であることが提唱される。これは、下記のNOEデータに基づく。しかしながら、アノマープロトンの化学シフトを説明するためには、これはおそらくさらに置換されている。
NOEデータの分析。
結合部位を決定するための第一のデータは、空間的に近いプロトンを示すNOEスペクトルからである。従って、残基内NOEクロスピークに加えて、残基間クロスピークを観察することもでき、これは一般的に結合位置を示す。Man(1−2)結合の場合、同一残基内のH1及びH2との間、グリコシド結合した残基のH1とH2との間にクロスピークが観察され、しばしば、グリコシド結合した残基のH1とH1との間にも観察される。
man10試料のNOESY及びTOCSYスペクトルからの領域を分析した(データは示されていない)。上パネルにおいて、ピークは、同定されたマンノシル残基のH1とH2との間の相関を表す。中央パネルにおいて、11と表示されたシグナルは、この割り当てと一致して、マンノシル残基8のH1とH2との間のNOE相関(ボックス)を示す。残基13及び13tのアノマープロトンからのNOEクロスピークを調査した場合、マンノシル残基11のH2との相関が存在する。これは、β−マンノシル残基を、コアオリゴ糖の1−3分枝に連結する。下パネルは、13tのH1と11のH1との間のさらなる強いNOE相関を示しており、やはりβ(1−2)結合と一致している。
この構造的な断片は、マンノシル残基11のH2の異常な化学シフトによってさらに支持される;この値は、β−manにより2−置換されたα−マンノシル残基についての4.26ppmという化学シフトを示している、Trimbleら(Trimble,R.B.,C.Lubowski,C.Hauer III,R.Stack,L.McNaughton,T.Gemmill,and S.Anand Kumar,2004,Glycobiology 14:265−274))からのデータと一致している。さらに、プロトン−炭素相関データ(HSQC及びHMBCスペクトル、示されていない)は、マンノシル11(例えば、8及び5も)のC2の炭素化学シフトがグリコシド結合内の炭素に特徴的な高い値(およそ82から84ppm)にあることを示している。
少なくとも1つのβ−マンノシル残基がコアマンノースオリゴ糖と1−2結合していることが示され得ると結論付けられる。β−マンノシル残基のための複数の結合部位が存在するかもしれず、これら自体が置換されているかもしれない。
Figure 0005752582
Figure 0005752582

Claims (7)

  1. (a)配列番号:11のヌクレオチド配列を有する核酸分子;
    (b)配列番号:11のヌクレオチド配列の縮重バリアントである核酸分子;
    (c)少なくとも90%の配列番号:11のヌクレオチド配列との同一性を有し、かつβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子;
    (d)配列番号:12のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
    (e)少なくとも90%の配列番号:12のアミノ酸配列との同一性を有し、かつβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子;
    (f)配列番号:11のヌクレオチド配列を有する核酸とストリンジェントな条件の下でハイブリダイズする核酸分子;及び
    (g)(a)から(e)のいずれか1つの断片を含み、かつβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
    からなる群から選択される、単離された核酸分子。
  2. (a)配列番号:13のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子;及び
    (b)少なくとも90%の配列番号:13との同一性を有し、かつβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
    からなる群から選択される、単離された核酸分子。
  3. (a)配列番号:14のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子;及び
    (b)少なくとも90%の配列番号:14との同一性を有し、かつβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
    からなる群から選択される、単離された核酸分子。
  4. (a)配列番号:15のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子;及び
    (b)少なくとも90%の配列番号:15との同一性を有し、かつβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
    からなる群から選択される、単離された核酸分子。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸分子を含むベクター。
  6. 核酸分子が、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドを発現する、請求項5に記載のベクター。
  7. 配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、及び配列番号:15からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドと選択的に結合する、単離された抗体又はこの抗原結合断片。
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