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JP5758655B2 - 酸化アルミニウムとジルコンを含むスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法 - Google Patents
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JP5758655B2 - 酸化アルミニウムとジルコンを含むスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法 - Google Patents

酸化アルミニウムとジルコンを含むスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化アルミニウムとジルコンを含むスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法に関するものである。
従来、半導体基板として用いられるシリコンウェハーや光学用ガラスの研磨材として、ほぼ同じ平均粒子径の酸化アルミニウム(Al)とジルコン(ZrSiO)を約50重量%ずつ含む混合物からなる研磨材が使用されている。
研磨材は、原料としての酸化アルミニウムとジルコンを約50重量%ずつの割合で混合し、粉砕および分級等の加工処理を経て製造されるのが一般的である。この研磨材の粒度は、粉砕および分級工程において調整されるが、実際に工業的に製造される研磨材は粒径分布をもっており、細粒から粗粒までを含むものとなる。そのうち粗粒については、再び粉砕工程を経ることで再利用可能だが、細粒(余剰微粉)については、研磨材としては研磨速度が小さい等の理由で実用的ではなく、そのまま廃棄されることが多いというのが実情である。得られる細粒は、酸化アルミニウムとジルコンが混合しているため、研磨材以外の用途も考え難く、再利用が困難であった。もちろん、酸化アルミニウムとジルコンを分離できればよいのであるが、現在これらを分離する実用的技術は見当たらない。
溶媒中に分散している異なる種類の混合成分の中からある特定の成分だけを分離する方法として、浮遊選鉱法が古くから知られている。浮遊選鉱法とは、ある特定の成分を添加物による表面処理等で疎水性に転換し、気泡に付着浮上させて他の成分から分離する方法であり、銅、鉛または亜鉛等の金属や各種工業の原料鉱物の分離濃縮に広く用いられている。しかし、一般的に浮遊選鉱法は、分離したい成分粒子が微細になると気泡への付着が困難となり、また気泡との衝突確率が低下するなど浮遊性に種々の影響を及ぼすため、分離できる粒度限界(10μm)が存在するといわれている。例えば、特許文献1では、シリコンウェハーの研磨工程で生じた研磨屑としてのシリコン粒子と研磨砥粒としての二酸化ケイ素粒子を含む混合物から、シリコン粒子と二酸化ケイ素粒子を浮遊選鉱法により分離する方法が開示されているが、10μm以下の粒子を含む研磨材に対しては十分な効果が得られない。前述した研磨材の製造工程から発生する余剰微粉のような、特に10μm以下の成分を多く含む混合組成物から、特定の成分を分離することができる微粒子分離技術が必要とされていた。
特開2004−223321号公報
本発明の目的は、例えば研磨材の製造工程から発生する余剰微粉を含むスラリー組成物のような、酸化アルミニウムとジルコンを含むスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の第一の態様では、酸化アルミニウムとジルコンの混合物を主体とするスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを相互に分離する方法であって、下記の(1)〜(5)の工程を含み、補収剤としての陰イオン性界面活性剤の量がスラリー組成物中の酸化アルミニウムおよびジルコンの混合物の総量に対して0.25kg/トン以上であることを特徴とする酸化アルミニウムとジルコンを相互に分離する方法を提供する。
(1)スラリー組成物のpHを4.0〜11.0に調整する工程
(2)スラリー組成物に補収剤としての陰イオン性界面活性剤を少なくとも一種添加する工程
(3)抽出剤としての有機溶媒を添加する工程
(4)前記(1)〜(3)の工程を経たスラリー組成物を混合処理する工程
(5)前記(4)の工程を経たスラリー組成物から酸化アルミニウムおよびジルコンをそれぞれ油相および水相に抽出する工程
補収剤としての陰イオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムであることが好ましい。抽出剤としての有機溶媒が、ケロシンであることが好ましい。工程(6)として前記(5)の工程において得られる油相に対してアルコールを添加する工程を含むことが好ましい。また、前記(1)〜(3)の工程に先立って、スラリー組成物を研磨材の製造工程から得る工程を含む場合に、より高い効果が得られる。さらには、前記(1)〜(3)の工程に先立って、スラリー組成物を前処理する工程を含む場合に、より高い効果が得られる。
本発明によれば、例えば研磨材の製造工程から発生する余剰微粉を含むスラリー組成物のような、酸化アルミニウムとジルコンを含むスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本発明において、酸化アルミニウムとジルコンを含むスラリー組成物自体ならびにそのスラリー組成物に含まれる酸化アルミニウムおよびジルコンの用途は特に限定されない。本発明において、酸化アルミニウムおよびジルコンが混合して溶媒中に分散している分散液をスラリー組成物(以下、単純に「スラリー組成物」と示す。)という。スラリー組成物が使用されるまたは発生する場面としては、例えば耐火性の煉瓦の原料、研磨材の製造工程または研磨後の廃液が挙げられる。そして、当該場面でそれぞれ余剰原料、余剰微粉または廃液として発生するスラリー組成物は、他の用途で使用される可能性は低く、産業廃棄物として処理されているのが現状である。本発明による分離の方法を、このようなスラリー組成物に適用すると、酸化アルミニウムおよびジルコンをそれぞれ単体で回収でき、リサイクルできる可能性が高まるので好ましい。
本発明による分離の方法を用いて分離できるスラリー組成物の具体的な例のひとつは、研磨材としての酸化アルミニウムとジルコンの混合物を含むスラリー組成物である。研磨材は、例えばシリコン基板やガラスなどを研磨するためのものである。本発明による分離の方法は、研磨材としての酸化アルミニウムとジルコンの混合物を含むスラリー組成物のなかでも、研磨材の製造工程のうち粉砕または分級工程で発生する余剰微粉としての酸化アルミニウムとジルコンの混合物を含むスラリー組成物、または研磨後に発生する砥粒としての酸化アルミニウムおよびジルコンを含む廃液としてのスラリー組成物に用いられることが好ましい。特に、本発明の分離の方法は10μm以下の微粉末の分離に有効である点から、研磨材の製造工程のうち粉砕工程または分級工程で発生する余剰微粉としての酸化アルミニウムとジルコンの混合物を含むスラリー組成物に用いられることがより好ましい。
本発明において、スラリー組成物に含まれる酸化アルミニウムとジルコンの種類は、特に限定されない。例えば、研磨材の製造工程のうち粉砕または分級工程で発生する余剰微粉としての酸化アルミニウムとジルコンにおいて、酸化アルミニウムは褐色溶融アルミナまたは白色溶融アルミナが、ジルコンはジルコンサンドがそれぞれ挙げられる。この場合、スラリー組成物は、金属不純物等の酸化アルミニウムとジルコン以外の成分を含んでいても良い。
本発明において、スラリー組成物に含まれる酸化アルミニウムとジルコンの平均粒子径は、特に限定されない。本発明による分離の方法は、従来技術では困難であった10μm以下の微粉末の分離に有効である。そのような点から、分離する酸化アルミニウムとジルコンの平均粒子径は10μm以下であることが好ましい。なお、酸化アルミニウムとジルコンの平均粒子径の測定は、例えば、レーザー回折散乱法やBET法、光散乱法により行うことができる。レーザー回折散乱法による酸化アルミニウムまたはジルコンの平均粒子径の測定は、例えば、株式会社堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度測定機“LA−300”を用いて行うことができる。
本発明において、スラリー組成物の溶媒は、酸化アルミニウムおよびジルコンに不活性であり、後述する補収剤および抽出剤に対しても不活性かつ本発明の効果を損なわないものであればよい。このような点から、好ましくは水である。溶媒が有機溶媒の場合、前記(1)〜(3)の工程に先立って、前処理として固液分離方法を用いてスラリー組成物を溶媒である有機溶媒と酸化アルミニウムおよびジルコンを含む固形分に分離し、得られた酸化アルミニウムおよびジルコンを含む固形分を水に再分散することが好ましい。ここでの固液分離方法は、公知の方法であれば特に限定は無く、例えば遠心分離やフィルタープレス等が挙げられる。
本発明による分離の方法は、スラリー組成物のpHを4を下限として調整する(1)の工程を含む。スラリー組成物のpHが4〜10の条件において、酸化アルミニウムのゼータ電位は正であり、すなわち酸化アルミニウムの表面は正の電荷を有している。そして、pHが低いほど酸化アルミニウムのゼータ電位は正に絶対値が大きくなる。それに対し、ジルコンのゼータ電位は負であり、すなわちジルコンの表面は負の電荷を有している。そして、pHが高いほどジルコンのゼータ電位は負に絶対値が大きくなる。後述する補収剤としての陰イオン性界面活性剤は、正の電荷を持つ酸化アルミニウムを静電的に吸着して、酸化アルミニウムの表面を疎水化する。疎水化された酸化アルミニウムは、後述する抽出剤としての有機溶媒かなる相(以後、「油相」という。)に抽出される。一方、ジルコンは、スラリー組成物の溶媒からなる相(以後、「水相」という。)中に沈殿する。スラリー組成物のpHが高くなるにつれて、ジルコンのゼータ電位は負に絶対値が大きくなるため、補収剤としての陰イオン性界面活性剤がジルコンに吸着する可能性が低くなる。その結果、水相へのジルコンの回収率が向上する。このような点からは、スラリー組成物のpHは9以上に調整されることが好ましく、より好ましくは9.6以上である。
本発明による分離の方法は、スラリー組成物のpHを11を上限として調整する(1)の工程を含む。スラリー組成物のpHが10に近づくほど、酸化アルミニウムは正の電荷を持つようになる。そして、スラリー組成物のpHがさらに低くなるにつれて、酸化アルミニウムのゼータ電位は正に絶対値が大きくなるため、補収剤としての陰イオン性界面活性剤が酸化アルミニウムに吸着する可能性が高くなる。その結果、油相への酸化アルミニウムの抽出率が向上する。このような点からは、スラリー組成物のpHは10.6以下に調整されることが好ましく、より好ましくは10.5以下である。
本発明による分離の方法は、スラリー組成物に補収剤として陰イオン性界面活性剤を少なくとも一種添加する(2)の工程を含む。陰イオン性界面活性剤としては、スルホン酸系界面活性剤、カルボン酸系界面活性剤および硫酸エステル系界面活性剤が挙げられる。具体的には、スルホン酸系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等が挙げられる。カルボン酸系界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ラウリル酸トリエタノールアミン、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等が挙げられる。硫酸エステル系界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ラウレス硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、硫酸化油、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等が挙げられる。酸化アルミニウムの補収効果が高いという点から硫酸エステル系界面活性剤が好ましく、より好ましくはアルキル硫酸塩である。なかでも広く工業用に入手可能なことから、さらに好ましくはラウリル硫酸ナトリウムである。
本発明による分離の方法の(2)の工程において、補収剤としての陰イオン性界面活性剤の添加量の下限はスラリー組成物中の酸化アルミニウムおよびジルコンの混合物の総量に対して0.25kg/トンである。補収剤としての陰イオン性界面活性剤の添加量が多くなるにつれて、補収剤としての陰イオン性界面活性剤の酸化アルミニウムに対する補収効率が向上する。その結果、油相への酸化アルミニウムの抽出率が向上する。その点から、補収剤としての陰イオン性界面活性剤の添加量は、スラリー組成物中の酸化アルミニウムおよびジルコンの混合物の総量に対して好ましくは0.5kg/トン以上であり、より好ましくは1.0kg/トン以上である。なお、本発明による分離の方法において、添加する補収剤としての陰イオン性界面活性剤の状態は、特に限定はない。スラリー組成物に所定量の粉末状態の補収剤としての陰イオン性界面活性剤を添加してもよく、予め水溶液にした補収剤としての陰イオン性界面活性剤水溶液を所定量添加してもよい。設備環境等を考慮し、最適な方法を選択するべきである。
本発明による分離の方法は、スラリー組成物に抽出剤として有機溶媒を添加する(3)の工程を含む。抽出剤としての有機溶媒は、スラリー組成物の溶媒と混じりあわない非極性有機溶媒で、かつ、水よりも比重が小さい方が効率および操作性がよい。そのような点から、抽出剤としての有機溶媒としては、アルコール系有機溶媒、パラフィン系有機溶媒、直鎖アルカン系有機溶媒およびケトン系有機溶媒が挙げられる。具体的には、アルコール系有機溶媒としては、ブタノールまたはアミルアルコール等が挙げられる。パラフィン系有機溶媒としては、ケロシンまたはイソオクタン等が挙げられる。直鎖アルカン系有機溶媒としては、ドデカン等が挙げられる。ケトン系有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。炭化水素鎖の長さに比例して、酸化アルミニウムの抽出効率が向上する。この点から、抽出剤としての有機溶媒はパラフィン系有機溶媒または直鎖アルカン系有機溶媒が好ましく、より好ましくはパラフィン系有機溶媒である。また、広く工業用に入手可能であり、価格等の実用性の点から、最も好ましくはケロシンである。
本発明による分離の方法において、添加する抽出剤としての有機溶媒の量は、特に限定されない。文献Emalusions,Theory and Practices,2nd ed(A.C.S.Monograph Series No.162,1965)等によれば、分離したい成分をほぼ均一な球形とする場合、油中水滴型エマルションを形成するために必要な最低の油相の体積は、全容積の26%であるといわれている。よって、本発明によるスラリー組成物の分離の方法において、水中油滴型エマルションにするためには、油相の体積を全体容積の26%以下にする必要がある。この条件下であれば、エマルションの転相は認められない。
本発明による分離の方法において、スラリー組成物のpHを調整する(1)の工程、補収剤としての陰イオン性界面活性剤を添加する(2)の工程ならびに抽出剤としての有機溶媒を添加する(3)の工程の順序は特に限定されないが、酸化アルミニウムに対する補収剤としての陰イオン性界面活性剤の補収効果がpH4〜11でより高い効果が得られることから、補収剤としての陰イオン性界面活性剤を添加する工程(2)の前にスラリー組成物のpHを調整する工程(1)を実施することが好ましい。また、油相への酸化アルミニウムの抽出は、補収剤としての陰イオン性界面活性剤をスラリー組成物に添加することにより効果が得られることから、抽出剤としての有機溶媒を添加する工程(3)の前に補収剤としての陰イオン性界面活性剤を添加する工程(2)を実施することが好ましい。つまり、スラリー組成物のpHを調整する工程(1)の後に補収剤としての陰イオン性界面活性剤を添加する工程(2)を実施し、その後に抽出剤としての有機溶媒を添加する工程(3)を実施することが好ましい。
本発明による分離の方法は、スラリー組成物のpHを調整する(1)の工程、補収剤としての陰イオン性界面活性剤を添加する(2)の工程および抽出剤としての有機溶媒を添加する(3)の工程を経たスラリー組成物を混合処理する(4)の工程と、(4)の工程を経たスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンをそれぞれ油相と水相に抽出する(5)の工程を含む。この場合、(4)の工程における混合処理や(5)の工程におけるスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンをそれぞれ油相と水相に抽出する方法または用いる装置等について、特に限定はない。ここでの(4)の工程における混合処理とは、前記(1)〜(3)の工程を経たスラリー組成物を混合・攪拌することをいい、例えば一般的な工業用攪拌機等での混合が挙げられる。また、(5)におけるスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンをそれぞれ油相と水相に抽出する工程とは、混合処理が終了したスラリー組成物を油相と水相に相別することを目的としており、例えば一般的な工業用タンク等での静置が挙げられる。また、時間を短縮するもしくは抽出の効率を上げるために、例えば遠心分離や加熱処理などを行ってもよい。ここでの方法や抽出条件は、設備環境等を考慮して適宜選択されればよい。
本発明による分離の方法において、前記(5)の工程において得られる油相に対してアルコールを添加する(6)の工程を含むことが好ましい。これにより、油相中の酸化アルミニウムを洗浄および回収することができる。具体的には、本発明の分離の方法によって得られた油相に対してアルコールを添加し、振動または攪拌等の混合処理を行った後に静置する。その結果、上層に油相、下層に酸化アルミニウムを含むアルコール相が得られ、この処理を洗浄という。酸化アルミニウムを洗浄するのに使用するアルコールの種類は、特に限定されない。広く工業用に入手可能であり、価格等の実用性の点から、好ましくはエタノールである。
本発明による分離の方法において、(1)〜(5)の工程の温度、圧力およびその他の条件は、特に制限はない。実用性およびコストの観点から、常温・常圧が好ましい。この場合、常温とはJIS Z8703で規定する20±15度をいい、常圧とは特に減圧も加圧もしないときの圧力をいう。ただし、各処理の効果を挙げるために、加温し、または減圧および加圧することに、何ら問題はない。
また、本発明による分離の方法において、前記(5)の工程から得た水相からのジルコンの回収する場合は、ならびに前記(5)の工程から得た油相または前記(6)の工程から得たアルコール相から酸化アルミニウムを回収する場合は、固液分離方法を用いて行われる。具体的には、本発明の分離の方法によって得られた油相またはアルコール洗浄後のアルコール相から酸化アルミニウム、一方水相からはジルコンを固液分離方法により回収する。ここでの固液分離方法は、公知の方法であれば特に限定は無く、例えば遠心分離やフィルタープレス等が挙げられる。
本発明によるスラリー組成物の分離の方法において、スラリー組成物は本発明の効果を損なわない範囲で任意の添加剤を含んでいてもよい。例えば、防腐剤、界面活性剤、水溶性高分子または塩等をふくんでいてもよい。特に、スラリー組成物中の酸化アルミニウムとジルコンの分散性を向上させる公知の添加剤を用いることが好ましい。
本実施形態によれば、以下の利点が得られる。
・ 従来技術では困難であった、特に10μm以下の異なる種類の微粒子で構成される混合成分の中から特定の成分だけを効率的に分離することが可能な成分分離方法を提供することができる。
・ これにより、酸化アルミニウムとジルコンを単体で回収できるため、それぞれの成分を研磨材以外の用途でリサイクルできる可能性が高まる。
・ 本発明によるスラリー組成物の分離の方法において、酸化アルミニウムを回収した後の抽出剤としての有機溶媒や酸化アルミニウムを洗浄する際に使用したアルコールは再利用することができる。
前記実施形態は次のように変更してもよい。
・ 本発明による分離の方法のうち、(1)〜(3)の工程に先立って、前処理としてスラリー組成物に含まれる酸化アルミニウムとジルコンを含む混合物の濃度調整を行う工程を含んでもよい。スラリー組成物中の酸化アルミニウムとジルコンを含む混合物の濃度が高すぎると、高濃度の補収剤としての陰イオン性界面活性剤を添加する必要がある。一方、スラリー組成物中の酸化アルミニウムとジルコンの混合物の濃度が低すぎると、一度に回収できる酸化アルミニウムとジルコンの量が少なくなるため実用的ではない。
・ 本発明の分離の方法のうち、(1)〜(3)の工程に先立って、前処理としてスラリー組成物に含まれる不純物を除去する工程を含んでもよい。スラリー組成物中に不純物が多く含まれるほど、酸化アルミニウムとジルコンの分離効果が低くなる。具体的な不純物としては、鉄、チタンまたはクロム等の金属不純物や、塩等の高濃度分散剤が挙げられる。そのような不純物を除去する方法としては、公知の方法であれば特に制限はなく、具体的にはスラリー組成物の酸処理、マグネット処理または固液分離によりスラリー組成物中の酸化アルミニウムとジルコンの混合物(固形分)を回収して水等の適切な溶媒へ再分散する溶媒置換が挙げられる。
・ 本発明の分離の方法のうち、(1)〜(3)の工程に先立って、前処理としてスラリー組成物に対して酸化アルミニウムとジルコンが均一に分散するような処理工程を含んでもよい。スラリー組成物中の酸化アルミニウムとジルコンは、スラリー組成物のpH等の条件により、例えば静電的な原因で同じ成分同士または異なる成分同士で凝集している可能性がある。そのため、スラリー組成物に対して酸化アルミニウムとジルコンが均一に分散するような処理として超音波等の工程を含んでもよい。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜12および比較例1〜4について、表2に示す条件で調整したそれぞれのスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離した。分離は、表1に示す手順1の(1)〜(8)に従い実施した。
Figure 0005758655
Figure 0005758655
実施例13〜24について、表3に示す条件で調整したそれぞれのスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離した。分離は、表1に示す手順1の(1)〜(11)に従い実施した。
Figure 0005758655
実施例25〜27について、表4に示す手順2の(1)〜(6)で前処理した酸化アルミニウムとジルコンからなる混合物(固形分)を用いて調整したスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離した。分離は、表1に示す手順1の(1)〜(11)に従い、そのうち(1)の1.0gの酸化アルミニウムおよび1.0gのジルコンを表4に示す手順2の前処理をして得られた混合物(固形分)2.0gに換えて実施した。なお、前処理の塩酸濃度は表5の通りであり、分離の際のpHは9.02、補収剤としてのラウリル硫酸ナトリウムは1.25kg/トンになるように調整した。
Figure 0005758655
Figure 0005758655
表2および表3の“pH”欄には、表1の手順1の(1)で実施したpH調整後のpH値を示す。この測定には株式会社堀場製作所製のpH測定装置“D−53”を使用した。
表2および表3の“補収剤添加量”欄には、各スラリー組成物に添加した補収剤の添加量を示す。この添加量は、スラリー組成物に含有される酸化アルミニウムとジルコンの混合物(固形分)の量に対して規定される。
表2の“水相中のジルコンの回収率”欄には、各スラリー組成物を分離した後のジルコンの回収率を示す。この値は、各スラリー組成物に対して表1に示す手順1の(1)〜(8)の処理を実施し、水相から回収した固形分(ジルコン)の乾燥後重量を測定し、その値を手順(1)で添加したジルコンの量で除した値を百分率で示す。
表3および表5の“相”欄には、各スラリー組成物に対して所定の分離処理を実施した後に得られる相を示す。“油相”とは、各スラリー組成物に対して所定の分離処理を実施した後に形成される抽出剤からなる有機溶媒の相を指す。また、“水相”とは、各スラリー組成物に対して所定の分離処理を実施した後に形成される各スラリー組成物の溶媒からなる相を指す。
表3および表5の“分離・回収した固形分の重量”欄には、各スラリー組成物中の酸化アルミニウムとジルコンの混合物(固形分)について、油相および水相で回収したそれぞれの固形分の割合を示す。この値は、油相または水相から回収した固形分の量を元の添加した酸化アルミニウムとジルコンの総含有量で除した値を百分率で示す。
表3および表5の“酸化アルミニウム回収率”欄には、各スラリー組成物について油相または水相より回収した酸化アルミニウムの割合を示す。この値は、油相または水相から回収した酸化アルミニウムの量を元の添加した酸化アルミニウムの量で除した値を百分率で示す。
表3および表5の“酸化アルミニウム純度”欄には、各スラリー組成物について油相または水相より回収した固形分の酸化アルミニウムの純度を示す。この値は、油相または水相から回収した固形分の中の酸化アルミニウムについて、株式会社リガク社製の走査型蛍光X線分析装置“Supermini”を用いて検量線法にて測定した。
表3および表5の“ジルコン回収率”欄には、各スラリー組成物について油相または水相より回収したジルコンの割合を示す。この値は、油相または水相から回収したジルコンの量を元の添加したジルコンの量で除した値を百分率で示す。
表3および表5の“ジルコン純度”欄には、各スラリー組成物について油相または水相より回収した固形分のジルコンの純度を示す。この値は、油相または水相から回収した固形分の中のジルコンについて、株式会社リガク社製の走査型蛍光X線分析装置“Supermini”を用いて検量線法にて測定した。
表5の“塩酸濃度”欄には、前処理で使用した塩酸の濃度を示す。
表1に示されるように、実施例1〜12の本発明の一実施形態であるスラリー組成物の分離の方法では、補収剤としての陰イオン性界面活性剤をスラリー組成物中の酸化アルミニウムおよびジルコンの混合物の総量に対して0.25kg/トン以上添加することにより、水相よりジルコンを回収することができた。それに対し、補収剤の添加が本発明で規定する量に満たない比較例1〜4では、水相中よりジルコンを回収することができなかった。
また、実施例13〜24の本発明の一実施形態であるスラリー組成物の分離方法では、平均粒子径が10μm以下の酸化アルミニウムおよびジルコンを主体とする混合物から酸化アルミニウムおよびジルコンを単体の成分として回収することができた。

Claims (6)

  1. 酸化アルミニウムとジルコンを含むスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法であって、
    下記の(1)〜(5)の工程を含み、
    下記補収剤としての陰イオン性界面活性剤の量が、スラリー組成物中の酸化アルミニウムおよびジルコンの混合物の総量に対して0.25kg/トン以上であることを特徴とし、工程(1)の後に工程(2)を実施し、その後に工程(3)を実施する酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法。
    (1)前記スラリー組成物のpHを4.0〜11.0に調整する工程
    (2)前記スラリー組成物に補収剤としての陰イオン性界面活性剤を少なくとも一種添加する工程
    (3)前記スラリー組成物に抽出剤としての有機溶媒を添加する工程
    (4)前記(1)〜(3)の工程を経たスラリー組成物を混合処理する工程
    (5)前記(4)の工程を経たスラリー組成物から酸化アルミニウムとジルコンをそれぞれ油相と水相に抽出する工程
  2. 前記補収剤としての陰イオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである請求項1に記載の酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法。
  3. 前記抽出剤としての有機溶媒が、ケロシンである請求項1または2に記載の酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法。
  4. 前記(5)の工程において得られる油相に対して、アルコールを添加する(6)の工程を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法。
  5. 前記(1)〜(3)の工程に先立って、前記スラリー組成物を研磨材の製造工程から得る工程を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法。
  6. 前記(1)〜(3)の工程に先立って、前記スラリー組成物に含まれる不純物を、酸処理、マグネット処理または溶媒置換により除去する工程を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸化アルミニウムとジルコンを分離する方法。
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