JP5762297B2 - 環状アルキレンホスホロハリダイトおよび環状リン酸エステルの製造方法 - Google Patents
環状アルキレンホスホロハリダイトおよび環状リン酸エステルの製造方法 Download PDFInfo
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Description
また、ノンハロゲンの基準を独自に規格化している材料分野もあり、例えば、社団法人日本電子回路工業会は、プリント基板におけるノンハロゲンを「臭素900ppm以下、塩素900ppm以下、臭素と塩素合計1500ppm以下」と定めている(JPCA−ES01−2003)。
ノンハロゲン系難燃剤としては、添加した樹脂材料中のハロゲン含有量が上記のプリント基板のノンハロゲンの定義と同等かそれよりも少ないことが要求される。
特に、環状アルキレン骨格を有するリン酸エステルは、その特徴的な構造から難燃剤として優れた性能を発揮することが知られている。例えば、特開平11−181428号公報(特許文献1)には、ホスホリナン骨格を有するリン酸エステルがポリウレタン樹脂用難燃剤として有用であることが記載されている。
例えば、特開平5−239264号公報(特許文献2)には、5,5−ジメチル−2−ノニルフェノキシ−1,3,2−ジオキサホスホリナンがセルロースエステル樹脂の安定剤として使用できること、エステル樹脂のポリマーの変色や重合度の低下による物理的性質の劣化を効果的に防止できることが記載されている。
例えば、特開平2−273688号公報(特許文献3)には、氷冷下でネオペンチルグリコールに三塩化リンを添加し反応させて、5,5−ジメチル−2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホリナンを得ることが記載されている。
本発明者らは、リン酸エステル中のハロゲン濃度が高くなる原因について鋭意研究を行った結果、ハリダイト化合物の製造においてハロゲン化アルコール(炭素原子に直結するハロゲンを有する化合物)が多く副生していること、およびハリダイト化合物を用いてリン酸エステルを製造するときに、ハロゲン化アルコールが、精製工程での除去が困難なハロゲン化リン酸エステルなどの化合物に変化することを見出した。しかし、ハリダイト化合物を精製してハロゲン化アルコールを除去するには、工程が煩雑になる上に、収率の低下を招くおそれがある。
しかしながら、特許文献3では、上記のようなハロゲン化アルコールの副生やリン酸エステル中のハロゲン濃度について問題とされておらず、その記載もない。
HO−R0−OH (II)
(式中、R0は、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状または炭素数3〜20の環状のアルキレン基である)
で表されるアルキレングリコール化合物と、
一般式(III):
PX3 (III)
(式中、Xは、ハロゲン原子である)
で表される三ハロゲン化リンとを反応させて、一般式(I):
で表される環状アルキレンホスホロハリダイトを得るにあたって、
反応系内に前記三ハロゲン化リンが前記アルキレングリコール化合物よりも過剰に存在する条件下で、前記三ハロゲン化リンと前記アルキレングリコール化合物とを反応させる環状アルキレンホスホロハリダイトの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記の環状アルキレンホスホロハリダイトを原料として用いて環状リン酸エステルを得る環状リン酸エステルの製造方法が提供される。
すなわち、本発明の製造方法により得られた環状アルキレンホスホロハリダイトを中間体として用いれば、ハロゲン含有量が極めて少なく、各種工業材料の分野でノンハロゲン化合物と呼ぶにふさわしい環状リン酸エステルを製造することができる。
すなわち、本発明の特徴は、反応中に三ハロゲン化リンが過剰に存在する反応系でアルキレングリコール化合物と反応させることにあり、これにより炭素原子に直結するハロゲンを有する化合物の副生を抑制でき、その含有量が極めて少ない環状アルキレンホスホロハリダイトが得られる。これを中間原料として用いれば、不純物が少なく、ハロゲン含有量が極めて少ない環状リン酸エステルを得ることができる。
以下、本発明について、反応の順に説明する。
環状アルキレンホスホロハリダイトの製造では、反応系内に三ハロゲン化リンがアルキレングリコール化合物よりも過剰に存在する条件下で、両者を反応させる。
この条件は、必ずしも反応の開始から終了まで持続させる必要はないが、反応の開始から終了までの時間において、反応系内の三ハロゲン化リンがアルキレングリコール化合物よりも過剰に存在する期間が長い程、炭素原子に直結するハロゲンを有する化合物の副生が抑えられる。したがって、反応開始から反応終了間際まで、三ハロゲン化リンが過剰である状態を持続させることが好ましく、反応開始から反応終了まで終始、三ハロゲン化リンが過剰である状態を持続させることがより好ましい。
例えば、反応系内に三ハロゲン化リンの使用量の全量を加え、次いでアルキレングリコール化合物を徐々に加えながら両者を反応させる方法、反応系内に常に三ハロゲン化リンが過剰に存在するように、両者を加えながら反応させる方法などが挙げられ、作業性などの点で前者が好ましい。
HO−R0−OH (II)
(式中、R0は、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状または炭素数3〜20の環状のアルキレン基である)
で表される。
環状アルキレンホスホロハリダイトの形成し易さおよび環構造形成後の安定性の点から、直接環状構造形成に関与する部分の炭素数が2〜4のアルキレングリコール類が好ましく、エチレングリコールおよび1,3−プロパンジオール類がより好ましく、一般式(IV):
で表される、直鎖部分の炭素数が3の1,3−プロパンジオール類が特に好ましい。
これらのアルキレングリコール化合物は、単独で使用してもよく、または2種類以上を併用してもよい。
PX3 (III)
(式中、Xは、ハロゲン原子である)
で表される。
Xとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
三ハロゲン化リンとしては、コスト面や入手し易さの点から、三塩化リン、三臭化リンが好ましく、三塩化リンが特に好ましい。
三ハロゲン化リンが0.99モル未満である場合、アルキレングリコール化合物が反応系内で過剰となる期間が生じて、ハロゲン化アルコールのような炭素原子に直結するハロゲンを有する化合物が多量に生成するおそれがある。一方、三ハロゲン化リンが1.15モルを超える場合、三ハロゲン化リンが残存し、結果として環状アルキレンホスホロハリダイトの純度が低下するおそれがある。
反応温度が60℃を超える場合、三ハロゲン化リンの揮発量が多くなり、またハロゲン化アルコールが生成し易くなるおそれがある。一方、反応温度が−5℃未満である場合、三ハロゲン化リンとアルキレングリコール化合物の反応速度が著しく低下するおそれがある。
また、反応は、三ハロゲン化リンや反応生成物などの加水分解や酸化を防止するために、不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが挙げられ、コストや作業性の点で窒素ガスが好ましい。
反応中には反応混合物の攪拌などを適宜行えばよい。
このためには、例えば、塩酸回収装置(水スクラバーを連結したコンデンサー)を備えた反応系で反応を行えばよい。
有機溶剤は、反応原料(三ハロゲン化リンおよびアルキレングリコール化合物)および反応生成物に不活性な溶剤であれば特に限定されない。
具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよび石油スピリットなどの炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼンなどの後の工程で除去可能なハロゲン含有炭化水素系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサンおよびエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤などが挙げられる。
これらの中でも、取り扱い易さの点で炭化水素系溶剤が好ましく、トルエン、キシレンがより好ましい。
より高純度の環状アルキレンホスホロハリダイトを得たい場合には、公知の方法で溶剤および不純物を除去してもよい。この除去方法としては、減圧蒸留などが挙げられる。
得られた反応混合物である環状アルキレンホスホロハリダイトは、それを原料として製造した環状燐酸エステルが90.0%以上の純度および750ppm以下のハロゲン含有量を有するものであるのが好ましい。
ここで、「純度」とは、後述する(環状リン酸エステルの純度の測定)方法で求められた純度を意味する。「90%以上の純度を有する」とは、その純度が「90.0%を超えかつ100%以下である」ことを意味する。純度の下限は、好ましくは92.0%、より好ましくは94.0%であり、純度の上限は、100重量%のより近傍である。
また、「750ppm以下のハロゲン含有量を有する」とは、その含有量が「0ppmを超えかつ750ppm以下である」ことを意味する。ハロゲン含有量の上限は、好ましくは700ppm、より好ましくは600ppm、さらに好ましくは500ppmである。
本発明の製造方法により得られた環状アルキレンホスホロハリダイトを原料として用いて、ハロゲン含有量が極めて少ない環状リン酸エステルを製造できる。
例えば、環状アルキレンホスホロハリダイトとヒドロキシル基を有する化合物とを反応させ、得られた反応生成物(三価のリン化合物)を酸化させて環状リン酸エステルを得る。
さらに具体的には、次の製造方法が挙げられる。
本発明の製造方法により得られた環状アルキレンホスホロハリダイト(I)を、一般式(V):
R(OH)n (V)
[式中、nは1〜4の整数であり、Rは、次式
で表される置換基を有していてもよい、炭素数1〜8の脂肪族残基もしくは炭素数6〜18の芳香族残基である]
で表されるヒドロキシル基を有する化合物と反応させて、一般式(VI):
で表される反応生成物を得(工程(1))、さらに酸化させて、一般式(VII):
で表される環状リン酸エステルを得る(工程(2))。
これらの工程は、公知の方法であり反応条件などは適宜設定すればよい。
本発明で使用されるヒドロキシル基を有する化合物(V)の置換基について説明する。
R1およびR2の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、2−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、ネオペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
R1およびR2のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルが挙げられる。
R1およびR2のアリール基としては、例えばフェニル、クレジル、キシリル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−フェニルフェニルなどが挙げられる。
例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、フェニルフェノール、ジブチル(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスホネート、ジブチル(1−ヒドロキシエチル)ホスホネート、ジブチルヒドロキシメチルホスホネート、ジシクロヘキシル(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスホネート、ジシクロヘキシル(1−ヒドロキシエチル)ホスホネート、ジシクロヘキシルヒドロキシメチルホスホネート、ジフェニル(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスホネート、ジフェニル(1−ヒドロキシエチル)ホスホネート、ジフェニルヒドロキシメチルホスホネート、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどが挙げられる。
ハロゲン化水素捕捉剤としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの脂肪族3級アミンやアニリン、トルイジンなどの芳香族アミン、ピリジン、ルチジン、ピコリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)などの複素環式アミン類が挙げられる。これらの中でも、入手のし易さ、取扱いの容易さなどの点から、トリエチルアミン、トリブチルアミンが好ましい。
触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛などのルイス酸や硫酸、p−トルエンスルホン酸などのブレンステッド酸などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性の点から、ルイス酸が好ましい。
使用する有機溶剤は、反応原料(ヒドロキシル基を有する化合物および環状アルキレンホスホロハリダイト)、反応中間体、反応生成物(リン酸エステル)に不活性な溶剤であれば特に限定されない。
具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエンおよびキシレンなどの炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、p−ジオキサンおよびエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤などが挙げられる。
これらの中でも、取り扱い易さの点で炭化水素系溶剤が好ましく、トルエン、キシレンがより好ましい。
ホスホロハリダイト製造時と同じ溶剤を使えば、溶剤の回収工程が簡略化できるため好ましい。
次いで、工程(1)で得られた反応生成物を公知の方法で酸化して、リン酸エステルを得る。例えば、過酸化水素を塩基存在下で反応させる方法により反応生成物を酸化させる。
本工程は、工程(1)から連続して同じ反応容器にて行うことも可能である。
また、必要に応じてアミンや酸性成分などの不純物を公知の方法で除去してもよい。この除去方法としては、酸洗浄処理、アルカリ洗浄処理、水洗処理、減圧蒸留などが挙げられる。
撹拌機、温度計、恒温装置、粉末添加装置、塩酸回収装置(水スクラバーを連結したコンデンサー)および還流管を備えた1リットルの4つ口フラスコに、三ハロゲン化リンとしての三塩化リン137.5g(1.0モル、ネオペンチルグリコールと等モル)および溶剤としてのトルエン135.2gを充填した。この混合溶液を窒素雰囲気下、恒温装置により温度5℃に冷却し、同条件で撹拌しながら、粉末添加装置を用いてアルキレングリコール化合物としてのネオペンチルグリコール104.0g(1.0モル)を4時間かけて徐々に添加した。添加終了後、得られた混合溶液を同条件(窒素雰囲気下、温度5℃)で1時間撹拌して反応させ、発生する塩化水素(塩酸ガス)69.4gを塩酸回収装置で回収した。その後、得られた反応混合物を温度40℃まで加熱し、フラスコ内の圧力を150torr(20kPa)まで減圧し、同条件で1時間撹拌して、残存する塩化水素を取り除き、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液1を得た。
得られた溶液1を用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
表1では、アルキレングリコール化合物(II)に対する三ハロゲン化リン(III)の使用する割合を「仕込みモル比」として示す。
三塩化リンの使用量を136.2g(0.99モル、ネオペンチルグリコールに対して1モル%過小)にしたこと以外は実施例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液2を得た。
得られた溶液2を用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
三塩化リンの使用量を140.3g(1.02モル、ネオペンチルグリコールに対して2モル%過剰)にしたこと以外は実施例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液3を得た。
得られた溶液3を用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
三塩化リンの使用量を143.0g(1.04モル、ネオペンチルグリコールに対して4モル%過剰)にしたこと以外は実施例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液4を得た。
得られた溶液4を用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
ネオペンチルグリコールの添加時間を10時間にしたこと以外は実施例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液5を得た。
得られた溶液5を用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
ネオペンチルグリコールの添加時の温度を40℃にしたこと以外は実施例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液6を得た。
得られた溶液6を用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
ネオペンチルグリコールの代わりに2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール160.0g(1.0モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、5−ブチル−2−クロロ−5−エチル−1,3,2−ジオキサホスホリナンを主成分とする溶液7を得た。
得られた溶液7を用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
撹拌機、温度計、恒温装置、滴下装置(ロート)、塩酸回収装置(水スクラバーを連結したコンデンサー)および還流管を備えた1リットルの4つ口フラスコに、アルキレングリコール化合物としてのネオペンチルグリコール104.0g(1.0モル)および溶剤としてのトルエン135.2gを充填した。この混合溶液を窒素雰囲気下、恒温装置により温度5℃に冷却し、同条件で撹拌しながら、滴下装置を用いて三ハロゲン化リンとしての三塩化リン137.5g(1.0モル、ネオペンチルグリコールと等モル)を4時間かけて徐々に添加した。添加終了後、得られた混合溶液を同条件(窒素雰囲気下、温度5℃)で1時間撹拌して反応させ、発生する塩化水素(塩酸ガス)69.4gを塩酸回収装置で回収した。その後、得られた混合溶液を温度60℃まで加熱し、フラスコ内の圧力を150torr(20kPa)まで減圧し、同条件で1時間撹拌して、残存する塩化水素を取り除き、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液1Cを得た。
得られた溶液1Cを用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
三塩化リンの使用量を136.2g(0.99モル、ネオペンチルグリコールに対して1モル%過小)にしたこと以外は比較例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液2Cを得た。
得られた溶液2Cを用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
三塩化リンの使用量を143.0g(1.04モル、ネオペンチルグリコールに対して4モル%過剰)にしたこと以外は比較例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液3Cを得た。
得られた溶液3Cを用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
三塩化リンの添加時間を10時間にしたこと以外は比較例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液4Cを得た。
得られた溶液4Cを用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
三塩化リンの添加時の温度を20℃にしたこと以外は比較例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液5Cを得た。
得られた溶液5Cを用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
三塩化リンの使用量を134.8g(0.98モル、ネオペンチルグリコールに対して2モル%過小)にしたこと以外は実施例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液6Cを得た。
得られた溶液6Cを用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
三塩化リンの使用量を165.0g(1.2モル、ネオペンチルグリコールに対して20モル%過剰)にしたこと以外は実施例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液7Cを得た。
得られた溶液7Cを用いて、後述する化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表1に示す。
ネオペンチルグリコールの添加時の温度(反応温度)を−10℃にしたこと以外は実施例5と同様にして反応を試みたが、塩化水素の発生などによる反応の進行が確認できなかった。蓄積した未反応原料による暴走反応の危険があったため途中で実験を中止した。
ネオペンチルグリコールの添加時の温度(反応温度)を70℃にしたこと以外は実施例5と同様にして反応を試みたが、還流が激しくなり危険であったため途中で実験を中止した。
撹拌機、温度計、恒温装置、滴下装置(ロート)、塩酸回収装置(水スクラバーを連結したコンデンサー)および還流管を備えた1リットルの4つ口フラスコに、アルコール化合物としてのジブチル(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスホネート226.8g(0.9モル)、ハロゲン化水素捕捉剤としてのトリエチルアミン111.1g(1.1モル)、触媒としての塩化マグネシウム1.14g(0.012モル)および有機溶剤としてのトルエン20.8gを充填し、撹拌した。得られた混合溶液を恒温装置により温度60℃に保持しつつ、実施例および比較例にて合成した溶液の全量を2時間かけて滴下装置を用いて徐々に添加した。添加終了後、得られた反応混合物を温度60℃で1時間撹拌して反応を完結させた。
次いで、反応混合物に、30%水酸化ナトリウム水溶液3.0g(0.02モル)を添加し、恒温装置により温度20〜60℃に保持しつつ、35%過酸化水素水溶液97.1g(過酸化水素として1.0モル)を2時間掛けて滴下装置を用いて徐々に添加した。添加終了後、得られた反応混合物を温度60℃で1時間撹拌して反応を完結させた。
得られた液体をガスクロマトグラフィーで分析し、予め構造が既知の環状リン酸エステルのガスクロマトグラフィーの分析結果と比較することにより、得られた液体の主成分が下記の環状リン酸エステルであることを確認した。
(1)三ハロゲン化リン中にアルキレングリコール化合物を添加(追加)して反応させた実施例1〜7は、アルキレングリコール化合物に三ハロゲン化リンを添加(追加)して反応させた比較例1〜5と比較して、化合物1中のハロゲン含有量が格段に少なくなっていること
実施例1と同様にしてネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液1を得た。
次いで、溶液1を用い、ジブチル(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスホネートの代わりにn−ブタノール70.3g(0.48モル)を用いたこと以外は化合物1の合成と同様にして、無色透明の液体193.6gを得た。
得られた液体をガスクロマトグラフィーで分析し、予め構造が既知の環状リン酸エステルのガスクロマトグラフィーの分析結果と比較することにより、得られた液体の主成分が下記の環状リン酸エステルであることを確認し、塩素含有量を後述の方法で測定した。
得られた結果を表2に示す。
トルエンの代わりにクロロベンゼンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液1’を得た。
次いで、溶液1’を用い、ジブチル(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスホネートの代わりに1,4−ブタンジオール43.2g(0.48モル)を用いたこと以外は化合物1の合成と同様にして、白色粉末164.1gを得た。
得られた粉末をガスクロマトグラフィーで分析し、予め構造が既知の環状リン酸エステルのガスクロマトグラフィーの分析結果と比較することにより、得られた粉末の主成分が下記の環状リン酸エステルであることを確認し、塩素含有量を後述の方法で測定した。
得られた結果を表2に示す。
実施例1と同様にしてネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液1を得た。
次いで、溶液1を用い、ジブチル(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスホネートの代わりにo−フェニルフェノール161.7g(0.95モル)を用いたこと以外は化合物1の合成と同様にして、白色粉末288.3gを得た。
得られた粉末をガスクロマトグラフィーで分析し、予め構造が既知の環状リン酸エステルのガスクロマトグラフィーの分析結果と比較することにより、得られた粉末の主成分が下記の環状リン酸エステルであることを確認し、塩素含有量を後述の方法で測定した。
得られた結果を表2に示す。
溶液1の代わりに比較例1の溶液1Cを用いたこと以外は実施例8と同様にして、環状リン酸エステルCを主成分とする無色透明の液体191.2gを得、その液体の塩素含有量を後述の方法で測定した。
得られた結果を表2に示す。
トルエンの代わりにクロロベンゼンを用いたこと以外は比較例1と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液1C’を得た。
次いで、溶液1の代わりに溶液1C’を用いたこと以外は実施例9と同様にして、環状リン酸エステルDを主成分とする白色粉末166.7gを得、その粉末の塩素含有量を後述の方法で測定した。
得られた結果を表2に示す。
溶液1の代わりに比較例1の溶液1Cを用いたこと以外は実施例10と同様にして、環状リン酸エステルEを主成分とする白色粉末292.6gを得、その粉末の塩素含有量を後述の方法で測定した。
得られた結果を表2に示す。
撹拌機、温度計、恒温装置、粉末添加装置、塩酸回収装置(水スクラバーを連結したコンデンサー)および還流管を備えた2500リットルの反応容器に、三ハロゲン化リンとしての三塩化リン889kg(6.47キロモル、ネオペンチルグリコールに対して4モル%過剰)および溶剤としてのトルエン850kgを充填した。この混合溶液を窒素雰囲気下、恒温装置により温度15℃に冷却し、15〜20℃で撹拌しながら、粉末添加装置を用いてアルキレングリコール化合物としてのネオペンチルグリコール650kg(6.25キロモル)を6時間かけて徐々に添加した。添加終了後、得られた混合溶液を同条件(窒素雰囲気下、温度15〜20℃)で2時間撹拌して反応させ、発生する塩化水素(塩酸ガス)433kgを塩酸回収装置で回収した。その後、得られた反応混合物を温度40℃まで加熱し、反応容器内の圧力を150torr(20kPa)まで減圧し、同条件で2時間撹拌して、残存する塩化水素を取り除き、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液11を得た。
得られた溶液11を用いて、前述の化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表3に示す。
表3では、アルキレングリコール化合物(II)に対する三ハロゲン化リン(III)の使用する割合を「仕込みモル比」として示す。
撹拌機、温度計、恒温装置、滴下装置、塩酸回収装置(水スクラバーを連結したコンデンサー)および還流管を備えた2500リットルの反応容器に、アルキレングリコール化合物としてのネオペンチルグリコール650kg(6.25キロモル)および溶剤としてのトルエン845kgを充填した。この混合溶液を窒素雰囲気下、恒温装置により温度5℃に冷却し、5〜10℃で撹拌しながら、滴下装置を用いて三ハロゲン化リンとしての三塩化リン859kg(6.25キロモル、ネオペンチルグリコールと等モル)を10時間かけて徐々に添加した。添加終了後、得られた混合溶液を同条件(窒素雰囲気下、温度5〜10℃)で2時間撹拌して反応させ、発生する塩化水素(塩酸ガス)437kgを塩酸回収装置で回収した。その後、得られた混合溶液を温度60℃まで加熱し、反応容器内の圧力を150torr(20kPa)まで減圧し、同条件で3時間撹拌して、残存する塩化水素を取り除き、ネオペンチレンホスホロクロリダイトを主成分とする溶液13Cを得た。
得られた溶液13Cを用いて、前述の化合物1を合成し、得られた化合物中の塩素含有量および環状リン酸エステルの純度を、後述する方法で測定した。
得られた結果を原料および反応条件と共に表3に示す。
測定する化合物を、下記の装置および条件により、ガスクロマトグラフィーで分析し、予め既知の環状リン酸エステルのガスクロマトグラフィーの分析結果と対照することにより、環状リン酸エステルを同定し、ガスクロマトグラフィーにおける、そのリン酸エステルの面積%を環状エステルの純度とした。
装置:株式会社島津製作所製、型式:GC−17A
カラム:DB−1(Agilent製)
Length30m、I.D.0.32mm、Film0.25μm
温度条件:INJ200℃、DET250℃
COL35℃ 5min → 10℃/min → 200℃
25min hold → 10℃/min → 250℃
測定する化合物を、n−ブタノール中で金属ナトリウムにより分解し、電位差滴定装置(平沼産業株式会社製、型式:COM−2000)を用いた硝酸銀水溶液での電位差滴定により、化合物中の塩素含有量(ppm)を測定した。
Claims (8)
- 一般式(I):
(式中、R0は、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状または炭素数3〜20の環状のアルキレン基であり、Xは、ハロゲン原子である)
で表される環状アルキレンホスホロハリダイトを、一般式(V):
R(OH)n (V)
[式中、nは1〜4の整数であり、Rは、次式
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜8の直鎖状もしくは炭素数3〜8の分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状もしくは炭素数3〜4の分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基であるか、またはR1とR2はそれらが結合する酸素原子およびリン原子と一緒になって環状構造を形成する)
で表される置換基を有していてもよい、炭素数1〜8の脂肪族残基もしくは炭素数6〜18の芳香族残基である]
で表されるヒドロキシル基を有する化合物と反応させて、一般式(VI):
(式中、R0、Rおよびnは、上記と同義である)
で表される反応生成物を得、さらに酸化させて、一般式(VII):
(式中、R0、Rおよびnは、上記と同義である)
で表される、90.0%以上の純度および750ppm以下のハロゲン含有量を有する環状リン酸エステルを得ることからなり、
前記一般式(I)の環状アルキレンホスホロハリダイトが、一般式(II):
HO−R 0 −OH (II)
(式中、R 0 は、上記と同義である)
で表されるアルキレングリコール化合物と、
一般式(III):
PX 3 (III)
(式中、Xは、上記と同義である)
で表される三ハロゲン化リンとを、反応系内に前記三ハロゲン化リンが前記アルキレングリコール化合物よりも過剰に存在する条件下で反応させて得られることからなり、
前記一般式(III)の三ハロゲン化リンと前記一般式(II)のアルキレングリコール化合物との反応が、前記反応系内に前記三ハロゲン化リンの使用量の全量を加え、次いで前記アルキレングリコール化合物を徐々に加えながら反応させることからなる
環状リン酸エステルの製造方法。 - 前記一般式(V)のヒドロキシル基を有する化合物が、エタノール、プロパノール、ブタノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、フェニルフェノール、ジブチル(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスホネート、ジブチルヒドロキシメチルホスホネート、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールまたは1,4−ブタンジオールである請求項1に記載の環状リン酸エステルの製造方法。
- 前記一般式(III)の三ハロゲン化リンが、前記一般式(II)のアルキレングリコール化合物1モルに対して0.99〜1.15モルの割合で用いられる請求項1〜3のいずれか1つに記載の環状リン酸エステルの製造方法。
- 前記一般式(III)の三ハロゲン化リンと前記一般式(II)のアルキレングリコール化合物との反応が、温度−5〜60℃の範囲で行われる請求項1〜4のいずれか1つに記載の環状リン酸エステルの製造方法。
- 前記一般式(II)のアルキレングリコール化合物が、ネオペンチルグリコールまたは2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールである請求項1〜6のいずれか1つに記載の環状リン酸エステルの製造方法。
- 前記一般式(III)の三ハロゲン化リンが、三塩化リンまたは三臭化リンである請求項1〜7のいずれか1つに記載の環状リン酸エステルの製造方法。
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