JP5763879B2 - 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法 - Google Patents
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Description
このような精密な研磨においては、被研磨物と研磨パッドとの間に砥粒を含むスラリーを介在させて前記被研磨物と前記研磨パッドとを摺接させることが行われており、該研磨パッドとしては、その最表面側の研磨層が発泡シートによって構成されたものが知られている。
このような研磨パッドは、この開口している気泡中に砥粒を担持させたり、研磨によって発生する研磨カスを取り込ませたりすることができ、例えば、下記特許文献1にも示されているように、この気泡の開口度合いによって研磨性能を調整しうることが知られている。
すなわち、多くの気泡を開口させて砥粒の担持量や研磨カスの取り込み量を増大させることによって、単位時間あたりの研磨量を増大させ得る上に研磨カスによる目詰まりを防止でき研磨性能の低下を抑制させることができる。
そして、この開口された気泡内にスラリーが保持されるため、研磨パッド表面に開口している気泡の容積が小さい場合にはスラリーの保持量が小さくなり、優れた研磨性能を発揮させることが難しくなる。
また、そのために研磨に要するスラリー量が多くなるという問題を発生させるおそれも有する。
例えば、発泡シートが過度に柔軟である場合には、研磨面のドレス時において変形が生じ、ドレッサーによる十分なドレス効果が与えられなくなるおそれを有する。
また、発泡シートが過度に柔軟である場合には、被研磨物の表面から除去すべき凹凸に前記研磨面が追従してしまって、当該被研磨物に対して高度に平坦化された表面を付与することが困難になったり、被研磨物の端部に縁ダレを発生させたりするおそれも有する。
すなわち、前記のように研磨パッドとしての研磨性能の点からは、一定以上の気泡を研磨面に開口させて、砥粒の担持量や、研磨カスの取り込み量を一定以上に確保させることが有利になる一方で、気泡数を増大すべく、例えば、発泡シートの発泡度を増大させると発泡シートの硬度が低下してしまい研磨の質を低下させるおそれを有する。
しかし、従来の研磨パッドにおいては、厚み方向の長さに対する平面方向の直径の比(D/L)が、0.8を超える、実質的に球状と呼べるような気泡が、通常、半数以上を占めている。
本明細書における“気泡が縦長形状を有している”との表現は、当然ながら上記のような従来の研磨パッドを包含させることは意図しておらず、先の比(D/L)が、0.8以下の値を有する気泡が主体となっていることを意味するものである。
すなわち、発泡シートに、従来の略球状の気泡が形成されている場合と、研磨面における開口が同じ大きさとなるように気泡を形成させる場合であっても、当該開口からの奥行きが深い気泡を形成させることとなる。
したがって、研磨面において開口している気泡の面積の割合を増大させることなく砥粒や研磨カスの収容量を増大させうる。
また、スラリーの保持量が増大されて研磨性能が向上されうることから研磨に要するスラリー量の低減を図り得る。
すなわち、本発明によれば、研磨の質の低下を抑制しつつ研磨効率を向上させ得る研磨パッドが提供されうる。
すなわち、硬化性ポリマー組成物が硬化するまでの時間の調整という簡便なる手法によって前記のような研磨パッドが作製されることとなる。
本実施形態に係る、研磨パッドは、直径数cmから数十cmの円板状に形成されており、図1左は、本実施形態に係る研磨パッドの使用形態を模擬的に示した正面図であり、右図は、左図の破線Xで示される部分の研磨パッドの断面構造を示す部分断面図である。
この図1に示すように、本実施形態に係る研磨パッド1は、ポリマー組成物を発泡させてなる発泡シートによって研磨層10が形成されており、該研磨層10のみによって形成されている。
すなわち、前記研磨層10は、研磨パッド1全体を構成するものであり、その裏面を定盤に面接させるとともに表面を被研磨物に摺接させて用いられるものである。
この図1においては、その上側が、被研磨物の研磨に用いられる研磨パッド1の表面1s(研磨面1s)であり、下側が裏面1bである。
該研磨パッド1は、その断面図にも示されているように、厚み方向に長く伸びる縦長の気泡を有しており、該気泡の一部は研磨パッド1の内部において独立気泡fとなって存在し、一部は研磨面1sにおいて開口して孔hを形成させている。
この研磨パッド1の厚み方向に被研磨物やドレッサーなどが当接された際には、主として、この孔hの周囲の気泡膜w(研磨パッド1の厚み方向に立設された状態となっている気泡膜w)によって反発力が発揮されることとなる。
したがって、本実施形態の研磨パッドは、球形の気泡を形成させているものに比べて砥粒の担持や研磨カスの取り込みに有用となる孔hの容積が大きくなるように形成させ得る一方で、被研磨物やドレッサーが当接される表面における前記孔hの開口面積が増大することを抑制させ得ることから前記反発力の発揮に有用な気泡膜を多く存在させ得る。
したがって、厚み方向への弾性変形が抑制され、見掛け上の硬度が高く形成され得る。
また、そのような場合においては、表面1sの硬度が、ショアA硬度で、60〜98度とされることがドレッサーによる研磨面のリフレッシュ効果や“縁ダレ”抑制効果などの観点から好適である。
このような観点からは、表面1sの硬度が、85度を超える硬度とされることがより好ましい。
一般的なシリコンウエハーの研磨に用いられるような用途においては、前記直径:Dが、5μm〜4mmとなっていることが好ましく、前記長さ:Lが3μm〜4mmとなっていることが好ましい。
そして、この長さに対する直径の比(D/L)が、0.8以下となるような気泡が個数で全体の半分以上となるように形成され、数で80%以上が0.8以下となるように形成されていることが好ましい。
さらには、長さに対する直径の比(D/L)が、0.6以下となるような気泡が個数で全体の40%以上を占めていることが好ましく、45%以上を占めていることがより好ましい。
また、長さ(L)と直径(D)との比(D/L)については、選択した気泡に対して発泡シートの厚み方向と平面方向とに平行な直線をそれぞれ描き、しかも、気泡の外側のラインとの交点間の距離が最も大きくなるように直線を描いて、厚み方向の交点間距離を平面方向の交点間距離で除して求めることができる。
なお、発泡シートの形成に用いるポリマー組成物としては、求められる特性を容易に調整し得る点においてポリウレタン組成物を採用することが好ましい。
すなわち、ポリウレタン組成物は、ポリオール化合物などの活性水素含有有機化合物とイソシアネート基含有化合物とのそれぞれの選択によって硬度や引張強さといった機械的性質を調整することができる点において前記研磨層10の形成材料として好適である。
より具体的には、上記のような成分を含んだ液状の未硬化組成物を作製し、該未硬化組成物を発泡硬化させて発泡シートを形成させることができる。
なお、これらのイソシアネート基含有化合物としては、単独物を、又は複数を組み合わせたものを用いることができる。
また、イソシアネート基含有化合物は、市販されているものを用いることができる。
前記未硬化組成物における前記イソシアネート基含有化合物の割合は、30〜70質量%であることが好ましい。
なお、これらの芳香族ジイソシアネートは、単独物で、又は複数を組み合わせて用いることができる。
また、室温で液状であり、取り扱いが容易であるという点においては、カルボジイミド変性MDI、ポリメリックMDI、又はこれらとMDIとの混合物が好ましい。
なお、前記活性水素含有有機化合物は、分子中に前記官能基を1種のみ有していてもよく、分子中に該官能基を複数種有していてもよい。
なお、前記未硬化組成物における前記ポリオール化合物の割合は、10〜50質量%であることが好ましい。
前記低沸点炭化水素としては、例えば、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、及びこれらの混合物などが挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、HFC(ハイドロフルオロカーボン類)等が挙げられる。
前記発泡剤としての水は、前記未硬化組成物中に0.01〜0.5質量%配合されていることが好ましい。
前記未硬化組成物における触媒は、前記未硬化組成物中に0.0001〜0.5質量%配合されていることが好ましい。
図2は、発泡シートの前段階となる円柱状の発泡体を作製する装置を表す概略図である。
前記調整槽20には、イソシアネート基含有化合物と活性水素含有有機化合物と発泡剤とを導入した後に、これらが均一混合された状態となるように攪拌手段21が備えられている。
したがって、見かけ上の体積もその間において増大させることとなる。
この気泡の成長スピードに併せてポリウレタン組成物の硬化に要する時間をコントロールすることで、この体積の増大方向(図2正面視上下方向)に長く伸びる縦長の気泡を有する発泡体FBを作製することができる。
例えば、ポットライフが3分以上となるようにポリウレタン組成物の配合を調整することで発泡体FBに図2における正面視上下方向に長く伸びる気泡を形成させることができる。
なお、より確実に縦長の気泡を形成させるためには、このポットライフを4分以上とすることが好ましい。
ただし、過度にポットライフを長くすると発泡剤によって発生されたガスが発泡体を形成させる前にポリウレタン組成物液から抜け出してしまい十分な発泡度が得られなくなるおそれを有する。
このようなことから、7分以下であることが好ましく、6分以下であることがより好ましい。
このようにポットライフの調整は、種々の条件によって調整可能であり、しかも、そのことによって縦長の気泡を容易に作製できるという点において本実施形態の研磨パッドを簡便に作製する上で重要な要件である。
このようなポットライフを有するポリウレタン組成物における好ましい粘度としては、例えば、調整槽20において調整された直後のポリウレタン組成物の粘度においては、3000mPa・s以下であり、型枠30に注入させた直後のポリウレタン組成物の粘度においては、1500mPa・s以下である。
なお、この粘度とはJIS K7301によって測定される値を意図している。
前記発泡体FBに形成された縦長の気泡は、このスライス加工によって発泡シートの表面(研磨面)において開口することとなる。
そして、本実施形態においては、研磨パッドが研磨層のみの単層構造であることから、外形加工が施された後の発泡シートをそのまま研磨パッドとして利用することができる。
また、上記以外についても、研磨パッドや研磨パッドの製造方法において、従来公知の技術事項を本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて本発明に採用することが可能である。
イソシアネート基含有化合物として、イソシアネート基を両末端に有するウレタンプレポリマーを用い、活性水素含有有機化合物としてMOCA(4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン))を用い、発泡剤として水を用いた液状のポリウレタン組成物を調整した。
このポリウレタン組成物のポットライフをJIS K7301に従って、混合後、粘度が80℃で50000mPa・sに到達するまでの時間を測定した。
結果、ポットライフは、約5分であった。
このポリウレタン組成物を型枠内で発泡・硬化させ、得られた発泡体をスライスして研磨パッド(発泡シート)を作製した。
なお、この実施例1の研磨パッド(発泡シート)の密度、硬度(ショアA)、ならびにドレス性の指標は表1に示す通りである。
また、図3にこの実施例1の研磨パッドの断面写真を示す。
この図3からも、縦長の気泡が形成されていることがわかる。
ポットライフが約2分となるようにポリウレタン組成物の配合を調整したこと以外は、実施例1と同様に研磨パッドを作製した(比較例1)。
また、この比較例1と同様にして、この比較例1の研磨パッドよりも低密度な研磨パッドを作製した(比較例2)。
この比較例1、2の研磨パッド(発泡シート)の密度、硬度(ショアA)、ならびにドレス性の指標は表1に示す通りである。
また、図4、図5にこの比較例1、2の研磨パッドの断面写真を示す。
これらの図からも、この比較例1、2の研磨パッドにおいては、球形状の気泡が形成されていることがわかる。
また、硬度はJIS K6253に基づいて実施した。
また、表1におけるドレス性とは、ダイヤモンドドレッサーを用い、4分間ドレス(100g/cm2、100rpm)後、パッドプロファイラーでパッドプロファイルの測定を行い、削れ量を測定して得られた値である。
実施例1の研磨パッドと、比較例1の研磨パッドとの気泡の平面方向の直径(D)と厚み方向の長さ(L)とをそれぞれ測定し、伸長度合いを表す比の値〔(D/L)×100(%)〕を求めた。
測定した、気泡全体を100とした場合に、先の比が「20以下」、「20を超え40以下」、「40を超え60以下」、「60を超え80以下」、「80を超え100以下」の気泡の出現割合を求めた結果を、下記の表2に示す。
実施例1、比較例1、2の研磨パッドから、厚み0.8mmで、大きさが25mm×180mmの短冊状試験片を切り出し、それぞれの重量を測定した後、40℃の温水に24時間浸漬し、遠心分離機にて余分に付着している水分を除去した後に再び重量を測定し、初期重量との差を求めた。
結果、実施例1の試験片では、0.51gの重量増加が見られたのに対して、比較例1、2の試験片では、それぞれ0.25g、0.30gの重量増加しか見られなかった。
このことからも、実施例1の研磨パッドは、表面に開口している気泡によって多くの水が収容可能となっていることがわかる。
すなわち、砥粒や研磨カスの収容に有利な状態となっていることがわかる。
しかも、先の表1にも示されているように、高い硬度を維持しつつ砥粒や研磨カスを収容しやすい研磨面が形成されており、本発明によれば、縁ダレなどが発生して研磨の質が低下してしまうことを抑制しつつ研磨効率を向上させ得ることがわかる。
実施例1、比較例1の研磨パッドを用いて、以下の研磨条件でガラス板(厚み0.7mm、大きさ、400mm×300mm)を研磨し、研磨後の削れ量(ガラス板の厚みの減少量)を測定した。なお、試験は続けて3回実施した。
結果をグラフ化して図6に示す。
研磨機:Speedfam社製、型名「SP−800」
定盤回転数:60rpm
揺動回数:7回/分
研磨圧力:150gf/cm2
研磨時間:10分
試験温度:室温
使用スラリー:CeO2微粒子を6質量%含有する水分散液
スラリー流量:6リットル/分
一方で、実施例1の研磨パッドは、3回の測定の間、高い“削れ量”を維持し続けていることがわかる。
これは、本発明の研磨パッドは、砥粒等の担持性に優れ、しかも、研磨カスなどによる目詰まりが防止されるなどして良好なる研削性が維持されているためであると認められる。
すなわち、本発明によれば、研磨の質の低下を抑制しつつ研磨効率を向上させ得る研磨パッドが提供されうることがこれらのことからもわかる。
Claims (3)
- 少なくとも被研磨物の研磨に用いられる表面がポリマー組成物を発泡させた発泡シートによって構成されており、該発泡シートがその気泡を前記表面において開口させている研磨パッドであって、
前記発泡シートの気泡はシート厚み方向に長く伸びる縦長形状の独立気泡であって、
前記気泡の前記発泡シートの平面方向における径(D)の、厚み方向における長さ(L)に対する比(D/L)が0.8以下である気泡の個数が気泡全体の個数の半分以上であることを特徴とする研磨パッド。 - 前記ポリマー組成物が、ポリウレタン組成物である請求項1記載の研磨パッド。
- 少なくとも被研磨物の研磨に用いられる表面がポリマー組成物を発泡させた発泡シートによって構成されており、該発泡シートがその気泡を前記表面において開口させている研磨パッドを作製すべく、発泡剤を含んだ液状の硬化性ポリマー組成物を作製し、該硬化性ポリマー組成物を成形型内において発泡、硬化させて前記発泡シートに用いる発泡体を作製する研磨パッドの製造方法であって、
シート厚み方向に長く伸びる縦長形状の気泡を有している前記発泡シートを作製すべく、成形型内において前記硬化性ポリマー組成物のポットライフが4分以上7分以下であるようにすることにより、前記硬化性ポリマー組成物が発泡によってその見かけ上の体積を増大させる方向に沿って長く伸びる縦長形状の気泡を前記発泡体中に形成させることを特徴とする研磨パッドの製造方法。
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