JP5772958B2 - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents
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Description
本発明は内燃機関の燃料供給装置に関する。
ガス燃料で運転可能な内燃機関が知られている。例えば特許文献1では、点火プラグに向けてガス燃料を噴射する第1の噴射弁と、点火プラグを避けてガス燃料を噴射する第2の噴射弁と、内燃機関の負荷状況に応じて第1の噴射弁と第2の噴射弁の何れか一方或いは双方を作動させる制御手段とを備えるガス燃料内燃機関が開示されている。このほか、異なる燃料を燃焼室に供給する点で本発明と関連性があると考えられる技術が例えば特許文献2で開示されている。
内燃機関の燃焼室には異なる燃料として水素燃料と炭化水素燃料とを独立して供給することができる。この場合、良好な燃焼を得るためには各燃料の性質を考慮する必要がある。
本発明は上記課題に鑑み、内燃機関の燃焼室に水素燃料と炭化水素燃料とを独立して供給する場合に良好な燃焼を得ることが可能な内燃機関の燃料供給装置を提供することを目的とする。
本発明は内燃機関の燃焼室に水素燃料と炭化水素燃料とを独立して供給可能に構成され、前記燃焼室の径方向中央の部分、或いは前記燃焼室のうち、前記燃焼室に対して設けられている点火プラグの周辺部に前記炭化水素燃料を供給し、且つ前記燃焼室のうち、前記炭化水素燃料が供給される空間の周囲に前記水素燃料を供給する第1の燃焼制御モードと、前記燃焼室の径方向中央の部分、或いは前記燃焼室のうち、前記点火プラグの周辺部に前記水素燃料を供給し、且つ前記燃焼室のうち、前記水素燃料が供給される空間の周囲に前記炭化水素燃料を供給する第2の燃焼制御モードと、前記炭化水素燃料と前記水素燃料とが前記燃焼室に同時に供給されることで前記炭化水素燃料と前記水素燃料との混合を促進する第3の燃焼制御モードと、を有し、前記内燃機関が暖機された状態になく且つ前記内燃機関の排気系に配置された排気浄化用の触媒の床温が活性温度に達していない場合に、前記第1の燃焼制御モードを有効にし前記第2の燃焼制御モードおよび前記第3の燃焼制御モードを無効にし、前記内燃機関が前記暖機された状態にあり且つ前記触媒の床温が前記活性温度に達している場合且つ前記内燃機関の運転状態が高負荷の場合に前記第3の燃焼制御モードを有効にし前記第1の燃焼制御モードおよび前記第2の燃焼制御モードを無効にし、前記内燃機関が前記暖機された状態にあり且つ前記触媒の床温が前記活性温度に達している場合且つ前記内燃機関の運転状態が高負荷でない場合に前記第2の燃焼制御モードを有効にし前記第1の燃焼制御モードおよび前記第3の燃焼制御モードを無効にする内燃機関の燃料供給装置である。
本発明は前記燃焼室においてタンブル流が生成されるように吸気を前記燃焼室に導く吸気ポートに、前記水素燃料を噴射する第1の燃料噴射弁と前記炭化水素燃料を噴射する第2の燃料噴射弁とが設けられている構成とすることができる。
本発明は前記燃焼室においてスワール流が生成されるように吸気を前記燃焼室に導く第1の吸気ポートおよび第2の吸気ポートのそれぞれに、前記水素燃料を噴射する第1の燃料噴射弁と前記炭化水素燃料を噴射する第2の燃料噴射弁とが設けられている構成とすることができる。
本発明によれば、内燃機関の燃焼室に水素燃料と炭化水素燃料とを独立して供給する場合に良好な燃焼を得ることができる。
図面を用いて本発明の実施例について説明する。
図1は内燃機関の燃料供給装置(以下、単に燃料供給装置と称す)1Aを含む各構成の全体図である。吸気系10は内燃機関50に供給する空気を流通させる。吸気系10には内燃機関50の吸入空気量を計測するエアフロメータ11や、内燃機関50の吸入空気量を調節するスロットル弁12が設けられている。排気系20は内燃機関50から排出される排気を流通させる。排気系20には排気を浄化するための触媒21が設けられている。排気還流系30は排気系20から吸気系10に排気を還流する。排気還流系30には還流する排気を冷却するためのEGRクーラ31や、還流する排気の量を調節するための流量調節弁32が設けられている。
内燃機関50は多気筒(ここでは4気筒)の火花点火式内燃機関となっている。内燃機関50には燃料噴射装置60が設けられている。燃料噴射装置60は第1の燃料噴射弁61と第2の燃料噴射弁62とを備えている。燃料噴射弁61、62それぞれは内燃機関50に気筒毎に設けられている。第1の燃料噴射弁61それぞれには、第1のタンク63から水素燃料が供給される。第2の燃料噴射弁62それぞれには、第2のタンク64から炭化水素燃料が供給される。このため、燃料噴射装置60は内燃機関50の各燃焼室Eに水素燃料と炭化水素燃料とを独立して供給可能に構成されている。
第1の燃料噴射弁61それぞれには、具体的には第1のタンク63から第1の圧力調整装置65を介して水素燃料が供給される。第1の圧力調整装置65は供給する水素燃料の圧力を調整するために設けられている。第2の燃料噴射弁62それぞれには、具体的には第2のタンク64から第2の圧力調整装置66を介して炭化水素燃料が供給される。第2の圧力調整装置66は供給する炭化水素燃料の圧力を調整するために設けられている。かかる構成では、炭化水素燃料として例えば天然ガスなどのガス燃料を適用できる。
図2は内燃機関50の概略構成図である。図2は内燃機関50の一気筒につき、その断面を示している。内燃機関50はシリンダブロック51とシリンダヘッド52とピストン53と吸気弁54と排気弁55と点火プラグ56とを備えている。燃焼室Ecは内燃機関50の各燃焼室Eのうち、いずれか1つの特定の燃焼室であることを示す。
シリンダブロック51には、シリンダ51aが形成されている。シリンダ51a内にはピストン53が収容されている。シリンダブロック51の上面にはシリンダヘッド52が固定されている。燃焼室Ecはシリンダブロック51、シリンダヘッド52及びピストン53に囲まれた空間として形成されている。シリンダヘッド52には燃焼室Ecに吸気を導く吸気ポート52aと、燃焼室Ecからガスを排出する排気ポート52bとが形成されている。また、吸気ポート52aを開閉する吸気弁54と、排気ポート52bを開閉する排気弁55とが設けられている。点火プラグ56は燃焼室Ecの上死点側中央の部分に電極を突出させた状態でシリンダヘッド52に設けられている。
燃料噴射弁61、62は具体的には吸気ポート52aに燃料を噴射するように設けられている。そしてこれにより、燃焼室Ecに燃料を供給できるように設けられている。吸気ポート52aが一気筒あたりの吸気弁54を2弁とする構造に対応して燃焼室Ecに向かって分岐している場合、燃料噴射弁61、62はさらに具体的には例えば吸気ポート52aのうち、燃焼室Ecに向かって分岐する前の部分に設けることができる。なお、気筒毎の燃料噴射弁61、62の配置や数量は必ずしもこれに限られず、燃焼室Ecに燃料を供給可能な適宜の配置および数量であってよい。
吸気ポート52aは燃焼室Ecにタンブル流を生成するように吸気を導入する。このため、内燃機関50は燃焼室Ecにタンブル流を生成する内燃機関となっている。燃焼室Ecにタンブル流を生成するにあたり、内燃機関50は例えば吸気ポート52aにタンブル流を生成するための気流制御弁を備えてもよい。
図1に示すECU70Aは電子制御装置であり、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを備えている。ECU70Aにはエアフロメータ11や、内燃機関50の冷却水温を検出するための水温センサ81や、排気温を検出するための排気温センサ82や、内燃機関50の回転数NEを検出可能なクランク角センサ83など各種のセンサ・スイッチ類が電気的に接続されている。また、燃料噴射弁61、62や圧力調整装置65、66が制御対象として電気的に接続されている。
ROMはCPUが実行する種々の処理が記述されたプログラムやマップデータなどを格納するための構成である。CPUがROMに格納されたプログラムに基づき、必要に応じてRAMの一時記憶領域を利用しつつ処理を実行することで、ECU70Aでは例えば以下に示す噴射条件算出部や噴射条件設定部など各種の機能部が実現される。
噴射条件算出部は燃料噴射弁61、62からの燃料の噴射条件を算出する。噴射条件算出部は内燃機関50において燃焼室Ecの径方向中央の部分に炭化水素燃料を供給し、且つ燃焼室Ecのうち、炭化水素燃料が供給される空間の周囲に水素燃料を供給するための噴射条件である第1の噴射条件を算出する。炭化水素燃料は具体的には燃焼室Ecの径方向中央の部分であって、且つ上死点側の部分に供給される。そしてこの部分は点火プラグ56の周辺部となっている。この点、炭化水素燃料の供給先は燃焼室Ecの径方向中央の部分であれば、必ずしも点火プラグ56の周辺部でなくてもよい。
図3は第1の噴射条件の説明図である。図3(a)は第1の噴射条件に基づく第1の燃料供給状態を示す。図3(b)は第1の噴射条件に基づく第2の燃料供給状態を示す。図3(c)は第1の噴射条件に基づく第3の燃料供給状態を示す。第1の噴射条件ではまず吸気行程前半に燃焼室Ecに炭化水素燃料を供給する。このためには、図3(a)に示すように前回の燃焼サイクルで吸気弁54が閉弁した後、閉弁した状態にある間に炭化水素燃料の噴射を開始することで、噴射した燃料を吸気弁54の近傍に配置することができる。このように噴射することで、噴射容積が液体燃料の場合よりも大きいガス燃料の燃料噴射期間を確保できる。
第1の噴射条件ではその後、図3(b)に示すように水素燃料を噴射することで、燃焼室Ecに水素燃料を供給する。そしてこれにより、タンブル流の流通と相俟って、図3(c)に示すように燃焼室Ecの径方向中央の部分(具体的には上死点側中央の部分)に炭化水素燃料を供給することができる。また、燃料室Ecのうち、炭化水素燃料が供給される部分の周囲の空間に水素燃料を供給することができる。
噴射条件は具体的には噴射開始時期や噴射圧力を含む。この点、噴射条件を算出するにあたって、噴射条件算出部はタンブル流の強さ(例えばピストン53一往復当たりのタンブル流の回転数であるタンブル比)に応じて各燃料の噴射開始時期を算出することができる。また、内燃機関50の運転状態(例えば回転数NEおよび負荷)に応じて各燃料の噴射圧力を算出することができる。
各燃料のうち、少なくともいずれかの燃料の噴射圧力を調整する場合としては、例えば内燃機関50の高回転高負荷時など所定の期間内に燃料噴射を終了できなくなる結果、各燃料の燃料噴射期間が重なってしまう場合がある。そしてこの場合には各燃料のうち、先に噴射する燃料の噴射圧力を高めることで、所定の期間内に燃料噴射を終了させることができる。
噴射条件設定部は内燃機関50の運転状態に応じて第1の噴射条件を設定する。具体的には噴射条件設定部は冷却水温が第1の所定値αよりも低く、且つ排気温が第2の所定値βよりも低い場合(具体的にはここでは冷却水温が第1の所定値α以下であり、且つ排気温が第2の所定値β以下である場合)に第1の噴射条件を設定する。一方、噴射条件設定部は冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合に第1の噴射条件の設定を禁止する。
この点、噴射条件算出部も同様に冷却水温が第1の所定値αよりも低く、且つ排気温が第2の所定値βよりも低い場合に第1の噴射条件を算出する。また、冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合に第1の噴射条件の算出を禁止する。第1の所定値αは内燃機関50が暖機された状態にあるか否かを判定するための判定値であり、第2の所定値βは触媒21の床温が活性温度に達しているか否かを判定するための判定値となっている。
燃料供給装置1Aは燃料噴射装置60と圧力調整装置65、66とECU70Aとを備えている。この点、燃料供給装置1Aは第1の噴射条件を算出および設定するECU70Aを備えることで、第1の燃焼制御モードを有している。そして、冷却水温が第1の所定値αよりも低く、且つ排気温が第2の所定値βよりも低い場合にECU70Aが第1の噴射条件を算出および設定することで、内燃機関50の始動時に第1の燃焼制御モードを有効にする。また、冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合に、ECU70Aが第1の噴射条件の設定を禁止することで、内燃機関50が暖機された状態にあり、且つ触媒21の床温が活性温度に達している場合に第1の燃焼制御モードを無効にする。
次に第1の制御動作である燃料供給装置1Aの動作について図4に示すフローチャートを用いて説明する。燃料供給装置1Aは冷却水温および排気温を検出する(ステップS1)。続いて燃料供給装置1Aは冷却水温が第1の所定値α以下であり、且つ排気温が第2の所定値β以下であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2で肯定判定であれば、燃料供給装置1Aは第1の噴射条件を算出および設定する(ステップS3)。そしてこれにより、第1の燃焼制御モードを有効にする。
一方、ステップS2で否定判定であれば、燃料供給装置1Aは第1の噴射条件の算出および設定を禁止する(ステップS4)。そしてこれにより、第1の燃焼制御モードを無効にする。この場合、燃料供給装置1Aは第1の燃焼制御モード以外の燃焼制御モードを有効にすることができる。ステップS3、S4の後、燃料供給装置1Aは有効になっている燃焼制御モードに応じた燃料噴射制御を行う(ステップS5)。
次に燃料供給装置1Aの作用効果について説明する。ここで、内燃機関50では温度が低い場合に燃焼室Ecのガス温度も低くなる。結果、燃焼が緩慢になる。また、温度が低い場合に燃焼室Ecの壁面温度も低くなる。結果、燃焼室Ecの壁面で消炎が発生し易くなる。このため、炭化水素燃料を使用する内燃機関50では、温度が低い場合に未燃炭化水素の発生量が増加する。さらに触媒21は温度が低い場合(触媒21の床温が活性温度に達していない場合)には排気浄化性能を十分に発揮できない。このため、内燃機関50および触媒21の温度が低い場合には未燃炭化水素の排出量が増加する。
これに対し、燃料供給装置1Aは燃焼室Ecの径方向中央の部分に炭化水素燃料を供給し、且つ燃焼室Ecのうち、炭化水素燃料が供給される空間の周囲に水素燃料を供給する第1の燃焼制御モードを有している。このため、燃焼が緩慢になるとともに燃焼室Ecの壁面で消炎が発生し易くなる機関低温時であっても、第1の燃焼制御モードを有効にすることで、未燃炭化水素の発生量が増加することを抑制できる。また、排気浄化性能が十分に発揮されない触媒21低温時であっても、第1の燃焼制御モードを有効にすることで、未燃炭化水素の外部排出量が増加することを抑制できる。結果、未燃炭化水素の外部排出量を抑制できる点で好適な燃焼を得ることができる。
燃料供給装置1Aは内燃機関50の始動時に第1の燃焼制御モードを有効にする。すなわち、具体的にはこれにより内燃機関50および触媒21の低温時に未燃炭化水素の外部排出量が増加することを抑制できる。この点、燃料供給装置1Aはさらに具体的には冷却水温が第1の所定値αよりも低く、且つ排気温が第2の所定値βよりも低い場合に第1の燃焼制御モードを有効にすることで、内燃機関50が暖機された状態になく、且つ触媒21の床温が活性温度に達していない冷間始動時に第1の燃焼制御モードを有効にすることができる。
燃料供給装置1Aは内燃機関50および触媒21の温度が十分高まっている場合に第1の燃焼制御モードを無効にする。この点、内燃機関50および触媒21の温度が十分高まっている場合には、燃焼室Ecの壁面で消炎が発生し難くなるとともに、触媒21も本来の排気浄化性能を発揮することができる。そして、この場合には第1の燃焼制御モードの設定を禁止しても、未燃炭化水素の排出量を抑制できる。
一方、この場合には水素燃料の燃焼によって内燃機関50の冷却損失が増大することがある。これは、水素燃料の燃焼速度が速いことや、水素燃料の燃焼温度が高いことや、水素燃料の消炎距離が短いことなどから、水素燃料が燃焼室Ecの壁面近傍でも燃焼する結果、燃焼室Ecの壁面での熱伝達が大きくなるためである。
これに対し、燃料供給装置1Aは内燃機関50が暖機された状態にあり、且つ触媒21の床温が活性温度に達している場合に、第1の燃焼制御モードを無効にする。そしてこれにより、未燃炭化水素の外部排出量が増加することを抑制しつつ、内燃機関50の冷却損失が増大することも抑制できる。この点、燃料供給装置1Aは具体的には冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合に第1の燃焼制御モードを無効にすることで、内燃機関50が暖機された状態にあり、且つ触媒21の床温が活性温度に達している場合に第1の燃焼制御モードを無効にすることができる。
本実施例にかかる燃料供給装置1BはECU70Aの代わりにECU70Bを備える点以外、燃料供給装置1Aと実質的に同一である。ECU70Bは噴射条件算出部と噴射条件設定部とがさらに以下に示すように実現される点以外、ECU70Aと実質的に同一である。このため燃料供給装置1BおよびECU70Bについては図示省略する。
ECU70Bでは、噴射条件算出部がさらに燃焼室Ecの径方向中央の部分に水素燃料を供給し、且つ燃焼室Ecのうち、水素燃料が供給される空間の周囲に炭化水素燃料を供給する第2の噴射条件を算出する。また、噴射条件設定部がさらに内燃機関50の運転状態に応じて第2の噴射条件を設定する。水素燃料は具体的には燃焼室Ecの径方向中央の部分であって、且つ上死点側の部分に供給される。そしてこの部分は点火プラグ56の周辺部となっている。この点、水素燃料の供給先は燃焼室Ecの径方向中央の部分であれば、必ずしも点火プラグ56の周辺部でなくてもよい。
噴射条件設定部は具体的には冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合に第2の噴射条件を設定する。一方、噴射条件設定部は冷却水温が第1の所定値αよりも低く、且つ排気温が第2の所定値βよりも低い場合(具体的にはここでは冷却水温が第1の所定値α以下であり、且つ排気温が第2の所定値β以下である場合)に第2の噴射条件の設定を禁止する。これは、第2の噴射条件の算出、算出の禁止を行う噴射条件算出部についても同様である。
燃料供給装置1Bは第2の噴射条件を算出および設定するECU70Bを備えることで、第1の燃焼制御モードに加えて第2の燃焼制御モードをさらに有している。そして、冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合にECU70Bが第2の噴射条件を算出および設定することで、内燃機関50が暖機された状態にあり、且つ触媒21の床温が活性温度に達している場合に第2の燃焼制御モードを有効にする。また、冷却水温が第1の所定値αよりも低く、且つ排気温が第2の所定値βよりも低い場合に、ECU70Bが第2の噴射条件の設定を禁止することで、内燃機関50の始動時に第2の燃焼制御モードを無効にする。
次に第2の制御動作である燃料供給装置1Bの動作について図5に示すフローチャートを用いて説明する。図5に示すフローチャートは図4に示すフローチャートと並行して行うことができる。燃料供給装置1Bは冷却水温および排気温を検出する(ステップS11)。続いて燃料供給装置1Bは冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高いか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12で肯定判定であれば、燃料供給装置1Bは第2の噴射条件を算出および設定する(ステップS13)。そしてこれにより、第2の燃焼制御モードを有効にする。一方、否定判定であれば、燃料供給装置1Bは第2の噴射条件の算出および設定を禁止する(ステップS14)。そしてこれにより、第2の燃焼制御モードを無効にする。この場合、燃料供給装置1Bは第2の燃焼制御モード以外の燃焼制御モード(具体的にはここでは第1の燃焼制御モード)を有効にすることができる。ステップS13、S14の後、燃料供給装置1Bは有効になっている燃焼制御モードに応じた燃料噴射制御を行う(ステップS15)。
次に燃料供給装置1Bの作用効果について説明する。燃料供給装置1Bは燃焼室Ecの径方向中央の部分に水素燃料を供給し、且つ燃焼室Ecのうち、水素燃料が供給される空間の周囲に炭化水素燃料を供給する第2の燃焼制御モードを有している。このため、燃料供給装置1Bは第2の燃焼制御モードを有効にすることで、水素燃料が燃焼室Ecの壁面近傍で燃焼する結果、内燃機関50で冷却損失が増大することを好適に抑制できる点で、好適な燃焼を得ることができる。
燃料供給装置1Bは内燃機関50が暖機された状態にあり、且つ触媒21の床温が活性温度に達している場合に第2の燃焼制御モードを有効にする。そしてこれにより、未燃炭化水素の外部排出量を抑制しつつ、内燃機関50で冷却損失が増大することを抑制できる。この点、燃料供給装置1Bは具体的には冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合に第2の燃焼制御モードを有効にすることで、内燃機関50が暖機された状態にあり、且つ触媒21の床温が活性温度に達している場合に第2の燃焼制御モードを有効にすることができる。
なお、ECU70Bにおいて第1の噴射条件を特段算出および設定することなく、第2の噴射条件を算出および設定するように噴射条件算出部および噴射条件設定部を実現することもできる。この場合、燃料供給装置1Bは第1の燃焼制御モードを特段有することなく、第2の燃焼制御モードを有することができる。そしてこの場合でも、燃料供給装置1Bは上述したのと同様の効果を奏することができる。
本実施例にかかる燃料供給装置1CはECU70Bの代わりにECU70Cを備える点以外、燃料供給装置1Bと実質的に同一である。ECU70Cは噴射条件算出部と噴射条件設定部とがさらに以下に示すように実現される点以外、ECU70Bと実質的に同一である。このため燃料供給装置1CおよびECU70Cについては図示省略する。ECU70Cでは、噴射条件算出部がさらに燃焼室Ecにおける水素燃料の混合を促進する第3の噴射条件を算出する。また、噴射条件設定部がさらに内燃機関50の運転状態に応じて第3の噴射条件を設定する。
噴射条件設定部は具体的には冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合であって、さらに内燃機関50の運転状態が高負荷である場合に、第3の噴射条件を設定する。また、冷却水温が第1の所定値αよりも低く、且つ排気温が第2の所定値βよりも低い場合(具体的にはここでは冷却水温が第1の所定値α以下であり、且つ排気温が第2の所定値β以下である場合)と、冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合であっても、内燃機関50の運転状態が高負荷以外の運転状態である場合に第3の噴射条件の設定を禁止する。これは、第3の噴射条件を算出、禁止する噴射条件算出部についても同様である。
第3の噴射条件は具体的には燃焼室Ecにおける水素燃料と炭化水素燃料との混合を促進する噴射条件となっている。水素燃料と炭化水素燃料との混合を促進するにあたり、第3の噴射条件では各燃料が同時に燃焼室Ecに供給されるように燃料噴射弁61、62から燃料を噴射することができる。このためには、例えば燃料噴射弁61、62の燃料噴射期間が重なるように燃料を噴射することができる。第3の噴射条件は例えば第2の噴射条件に基づく各燃料の供給態様を維持しつつ、水素燃料と空気との混合を促進する条件であってもよい。この点、燃料は例えば早い時期に噴射されるほど空気との混合が促進される傾向がある。
ECU70Cでは、噴射条件設定部がさらに内燃機関50の運転状態に応じて第1、第2および第3の噴射条件それぞれの設定と、設定の禁止とを行う。この点、噴射条件設定部は具体的には内燃機関50の運転状態が高負荷である場合には第2の噴射条件に優先させて第3の噴射条件を設定する。すなわち、冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合であっても、内燃機関50の運転状態が高負荷である場合には、第2の噴射条件の設定を禁止し、第3の噴射条件を設定する。これは、各噴射条件の算出、算出の禁止を行う噴射条件算出部についても同様である。
燃料供給装置1Cは第3の噴射条件を算出および設定するECU70Cを備えることで、第1および第2の燃焼制御モードに加えて第3の燃焼制御モードをさらに有している。また、内燃機関50の運転状態に応じて第1、第2および第3の噴射条件それぞれの算出および設定と、算出および設定の禁止とを行うことで、内燃機関50の運転状態に応じて第1、第2および第3の燃焼制御モードそれぞれの有効、無効を切り替える。この点、燃料供給装置1Cは例えば冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合であって、さらに内燃機関50の運転状態が高負荷である場合に第3の燃焼制御モードを有効にする。
次に第3の制御動作であるECU70Cの動作を図6に示すフローチャートを用いて説明する。燃料供給装置1Cは冷却水温および排気温を検出する(ステップS21)。続いて燃料供給装置1Cは冷却水温が第1の所定値α以下であり、且つ排気温が第2の所定値β以下であるか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22で否定判定であれば、燃料供給装置1Cは内燃機関50の運転状態が高負荷であるか否かを判定する(ステップS23)。
燃料供給装置1CはステップS22で肯定判定であれば、第1の噴射条件を算出および設定するとともに、第2および第3の噴射条件の算出および設定を禁止する(ステップS24)。そしてこれにより、第1の燃焼制御モードを有効にするとともに、第2および第3の燃焼制御モードを無効にする。また、ステップS23で肯定判定であれば、第3の噴射条件を算出および設定するとともに、第1および第2の噴射条件の算出および設定を禁止する(ステップS25)。そしてこれにより、第3の燃焼制御モードを有効にするとともに、第1および第2の燃焼制御モードを無効にする。また、ステップS23で否定判定であれば、第2の噴射条件を算出および設定するとともに、第1および第3の噴射条件の算出および設定を禁止する(ステップS26)。そしてこれにより、第2の燃焼制御モードを有効にするとともに、第1および第3の燃焼制御モードを無効にする。ステップS24、S25、S26の後、燃料供給装置1Cは有効になっている燃焼制御モードに応じた燃料噴射制御を行う(ステップS27)。
次に燃料供給装置1Cの作用効果について説明する。ここで、内燃機関50では暖機完了後の高負荷運転時に燃焼温度が特に高くなる。このため、暖機完了後の高負荷運転時に燃焼速度の速い水素燃料を燃焼室Ecの径方向中央の部分、とりわけ燃焼室Ecのうち点火プラグ56の周辺部に供給すると、燃焼速度が過大になる結果、異常燃焼が発生する虞がある。そして、異常燃焼による燃焼室Ecの圧力上昇で騒音が発生したり、場合によっては内燃機関50が破損したりする虞がある。
これに対し、燃料供給装置1Cは燃焼室Ecにおける水素燃料の混合を促進する第3の燃焼制御モードを有している。このため、燃料供給装置1Cは第3の燃焼制御モードを有効にすることで、第2の燃焼制御モードを有効にする場合と比較して、燃焼室Ecのうち点火プラグ56の周辺部において水素燃料を希釈することができる。結果、さらに水素燃料の異常燃焼が発生することを抑制できる。
燃料供給装置1Cは内燃機関50の運転状態に応じて第1、第2および第3の燃焼制御モードそれぞれの有効、無効を切り替える。そしてこれにより、内燃機関50の運転全般に亘って各燃料の性質を考慮した良好な燃焼を得ることができる。
なお、第3の燃焼制御モードはECU70Aで実現されてもよい。この場合、ECU70Aは冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合に第3の燃焼制御モードを有効にし、冷却水温が第1の所定値αよりも低く、且つ排気温が第2の所定値βよりも低い場合に第3の燃焼制御モードを無効にすることができる。この場合、例えば冷却水温が第1の所定値αよりも高く、且つ排気温が第2の所定値βよりも高い場合に第2の燃焼制御モードを有効にする場合と比較して、内燃機関50の冷却損失は増大するものの、この場合でも水素燃料の異常燃焼が発生することを抑制できる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば内燃機関は燃焼室にスワール流を生成する内燃機関であってもよい。図7は内燃機関50の変形例である内燃機関50´を示す図である。内燃機関50´はシリンダヘッド52の代わりにシリンダヘッド52´を備えている。シリンダヘッド52´には吸気ポート52aの代わりに吸気ポートIn1、In2が設けられている。吸気ポートIn1はヘリカルポート、吸気ポートIn2はタンジェンシャルポートであり、これら吸気ポートIn1、In2は燃焼室Ecにスワール流を生成するように吸気を導入する。内燃機関50´では、燃料噴射弁61、62が吸気ポートIn1、In2それぞれに対して設けられている。
本発明の燃料供給装置はかかる内燃機関50´に対しても、例えば吸気ポートIn1側で吸気行程前半に燃焼室Ecに炭化水素燃料を供給できるように第2の燃料噴射弁62から炭化水素燃料を噴射するとともに、吸気ポートIn2側で吸気行程後半に燃焼室Ecに水素燃料を供給できるように第1の燃料噴射弁61から水素燃料を噴射することで、第1の燃焼制御モードを有することができる。また、例えば各吸気ポートIn1、In2において、燃料噴射弁61、62のうち、第1の燃焼制御モードを実現する場合とは逆の燃料噴射弁から燃料を噴射することで、第2の燃焼制御モードを有することができる。また、例えば各燃料が同時に燃焼室Ecに供給されるように燃料噴射弁61、62から燃料を噴射することで、第3の燃焼制御モードを有することができる。
燃料供給装置 1A、1B、1C
触媒 21
内燃機関 50、50´
燃料噴射装置 60
第1の燃料噴射弁 61
第2の燃料噴射弁 62
ECU 70A、70B、70C
触媒 21
内燃機関 50、50´
燃料噴射装置 60
第1の燃料噴射弁 61
第2の燃料噴射弁 62
ECU 70A、70B、70C
Claims (3)
- 内燃機関の燃焼室に水素燃料と炭化水素燃料とを独立して供給可能に構成され、
前記燃焼室の径方向中央の部分、或いは前記燃焼室のうち、前記燃焼室に対して設けられている点火プラグの周辺部に前記炭化水素燃料を供給し、且つ前記燃焼室のうち、前記炭化水素燃料が供給される空間の周囲に前記水素燃料を供給する第1の燃焼制御モードと、前記燃焼室の径方向中央の部分、或いは前記燃焼室のうち、前記点火プラグの周辺部に前記水素燃料を供給し、且つ前記燃焼室のうち、前記水素燃料が供給される空間の周囲に前記炭化水素燃料を供給する第2の燃焼制御モードと、前記炭化水素燃料と前記水素燃料とが前記燃焼室に同時に供給されることで前記炭化水素燃料と前記水素燃料との混合を促進する第3の燃焼制御モードと、を有し、
前記内燃機関が暖機された状態になく且つ前記内燃機関の排気系に配置された排気浄化用の触媒の床温が活性温度に達していない場合に、前記第1の燃焼制御モードを有効にし前記第2の燃焼制御モードおよび前記第3の燃焼制御モードを無効にし、前記内燃機関が前記暖機された状態にあり且つ前記触媒の床温が前記活性温度に達している場合且つ前記内燃機関の運転状態が高負荷の場合に前記第3の燃焼制御モードを有効にし前記第1の燃焼制御モードおよび前記第2の燃焼制御モードを無効にし、前記内燃機関が前記暖機された状態にあり且つ前記触媒の床温が前記活性温度に達している場合且つ前記内燃機関の運転状態が高負荷でない場合に前記第2の燃焼制御モードを有効にし前記第1の燃焼制御モードおよび前記第3の燃焼制御モードを無効にする内燃機関の燃料供給装置。 - 前記燃焼室においてタンブル流が生成されるように吸気を前記燃焼室に導く吸気ポートに、前記水素燃料を噴射する第1の燃料噴射弁と前記炭化水素燃料を噴射する第2の燃料噴射弁とが設けられている請求項1記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記燃焼室においてスワール流が生成されるように吸気を前記燃焼室に導く第1の吸気ポートおよび第2の吸気ポートのそれぞれに、前記水素燃料を噴射する第1の燃料噴射弁と前記炭化水素燃料を噴射する第2の燃料噴射弁とが設けられている請求項1記載の内燃機関の燃料供給装置。
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