[第一実施形態]
本発明に係る画像形成装置の第一実施形態について、図を用いて説明する。図1は本実施形態に係る画像形成装置の構成図である。図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4個の電子写真感光体ドラム(像担持体)2a、2b、2c、2dを有している。各色の感光体ドラム2a〜2dは、1次帯電器7によって一様にマイナス帯電され、露光装置1a〜1dにより画像露光され、静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器3a〜3dによりトナー像として現像される。各色のトナー像は、1次転写電圧が供給された1次転写ローラ4a〜4dにより、中間転写ベルト11上に順次重ねて1次転写される。トナー像が転写された後、感光体ドラム2a〜2dの表面に残った転写残りトナーは、クリーニング装置5a〜5dによって除去される。
一方、カセット30内に収納されたシートRは、給送ローラ31、分離パッド32により一枚ずつに分離給送され、レジストローラ対33によって、中間転写ベルト11と2次転写装置20によって形成される2次転写部(ニップ部)Nへ搬送される。2次転写部Nへ搬送されたシートRは、トナー像を2次転写され、定着器40にて加熱、加圧されることによりトナー像を定着され、排出ローラ対41により排出トレイ42に排出される。2次転写を終了した中間転写ベルト11は、駆動ローラ12近傍に設置された中間転写ベルトクリーナ18によって表面に残留した転写残トナーを除去される。
2次転写装置20は、中間転写ベルト11を挟んで2次転写対向ローラ13に対向する位置に配置されている。2次転写装置20は、2次転写ベルト(無端ベルト)21、2次転写ベルト21を張架する2次転写ローラ22、駆動ローラ23、従動ローラ24、テンションローラ25を有している。2次転写ローラ22は、2次転写対向ローラ13に対向する位置に配置され、2次転写ベルト21をベルト11に加圧している。テンションローラ25はバネ26で一方向に付勢され、2次転写ベルト21に所定のテンションを付与している。中間転写ベルト11は、中間転写ベルト駆動モータ54から駆動力を受けた駆動ローラ12が回転することで周速Siで回転している。2次転写ベルト21は、2次転写ベルト駆動モータ55から駆動力を受けた駆動ローラ23が回転することで周速Stで移動している。
駆動ローラ12に対向する位置には、色ズレ検知センサ(検出手段)17が配置されている。色ズレ検知センサ17は、中間転写ベルト11上に形成される色ズレ検出用の未定着のトナーパッチを検出する反射型光学センサである。色ズレ検知センサ17は、駆動ローラ12の長手方向両端に一つずつ設置されている。色ズレ検知センサ17は、駆動ローラ12に中間転写ベルト11が巻付いた位置でトナーパッチを検出できるように位置決めされている。
(画像形成装置100の制御部)
図2は本実施形態に係る画像形成装置の制御部のブロック図である。図2に示すように、画像形成装置100は、画像処理制御部(制御手段)51、画像形成制御部(制御部)52を有している。
画像処理制御部51は、パーソナルコンピュータなどの外部ホスト機器50や、原稿読み取り部(不図示)からのRGB画像信号を受信する。画像処理制御部51では、受信したRGB信号を、CMYK信号に変換し、階調、濃度補正を加えた後に、露光装置1a〜1d用の露光信号を生成し、画像形成制御部52へ送信する。
画像形成制御部52は、画像形成部53、中間転写ベルト駆動モータ54、2次転写ベルト駆動モータ55、色ズレ検知センサ17を制御して画像形成動作を統括して制御する。また、52は、色ズレ検知センサ17を用いた画像形成動作補正時の画像形成装置の制御を行っている。画像形成制御部52は、処理を制御するCPU60、ROM61、RAM62を有している。ROM61は、CPU60により実行されるプログラムなどを記憶している。RAM62は、CPU60による制御処理時に各種データを記憶する。
画像形成部53は、感光体ドラム2、1次帯電器7、現像器3a〜3d、クリーニング装置5a〜5d、露光装置1を有している。中間転写ベルト駆動モータ54は、画像形成制御部52からの信号により、駆動ローラ12(中間転写ベルト11)を所定の速度で回転駆動する。2次転写ベルト駆動モータ55は、画像形成制御部52からの信号により、駆動ローラ23(2次転写ベルト21)を所定の速度で回転駆動する。
(2次転写部Nの摩擦力変化による中間転写ベルト11の挙動と、発生する色ズレ)
2次転写部Nには、2次転写ローラ22の圧接力が作用している。また、2次転写部Nには、2次転写電圧Vtによってベルト同士の吸着力や、各ベルト11、21とシートRの吸着力が発生する。2次転写電圧Vtによる吸着力は、2次転写電圧Vtが高いほど大きくなる。
また、ベルト11、21が回転する際の各周速は、各部品寸法の設計中心値で等速にしたとしても、各ベルト11、21の膜厚や、各ベルト11、21を回転駆動する駆動ローラ12、23の外径などの寸法精度によって、ずれる場合がある。
このように、ベルト11、21の速度に差が生じた場合に、ベルト11、21間や、各ベルト11、21とシートR間に摩擦力が発生する。この摩擦力の方向は、ベルト11、21の周速の相対関係によって変化し、各ベルト11、21のテンション状態や、各ベルト11、21を駆動しているギアなどの駆動系の微少な変形状態に影響を与える。本実施形態では、2次転写電圧Vtを変化させることで、ベルト11、21との間に作用する摩擦力を変化させる。
図3、図4は中間転写ベルト11と2次転写ベルト21との間の摩擦力の変化による中間転写ベルト11の挙動と、発生する色ズレに関して説明する図である。
図3に示すように、中間転写ベルト11が2次転写ベルト21との摩擦により、中間転写ベルト11の回転方向と同方向に摩擦力Faを受けた場合、中間転写ベルトクリーナ18と感光体ドラム2a間に緩みLが生じる。
摩擦力Faは、ベルト11、21が回転を開始する際には静摩擦力であり、その後、動摩擦力となる。静摩擦力は動摩擦力よりも大きい。このため、緩みLは、大きな静摩擦力がかかるベルト11、21が回転を開始する際に、最も大きくなる。そして、静摩擦から動摩擦に切り替わった後、ベルト11、21の回転とともに徐々に減少する。
中間転写ベルト11を駆動する駆動系は、樹脂製のギアなどで構成される。緩みLがある状態では、中間転写ベルト11を駆動する駆動系の負荷は緩和されている。従って、駆動系に作用する負荷は、ベルト11、21の回転開始時が最も小さく、ベルト11、21の回転とともに徐々に増加する。駆動系は、負荷によって微少に変形すると、変形に相当する量だけ回転が遅くなる。負荷が緩和されるほど微少な変形も小さくなり、中間転写ベルト11の回転が速くなる。従って、中間転写ベルト11の回転速度は、ベルト11、21の回転開始時が最も速く、徐々に遅くなっていく。
つまり、最初にイエローの画像を形成する時点(ベルト11、21の回転開始時)の中間転写ベルト11の回転速度は、所定の速度に対して速くなっている。一方、ブラックの画像を形成する時点の中間転写ベルト11の回転速度は、所定の速度に対して遅くなっている。なお、イエローの画像を形成は、中間転写ベルト11の回転方向上流側の感光体ドラム2aにおいて行われる。ブラックの画像を形成は、中間転写ベルト11の回転方向下流側の感光体ドラム2dにおいて行われる。このため、イエローの画像を形成する時点の方が、ブラックの画像を形成する時点よりもベルト11、21の回転開始時に近くなっている。よって、イエローの画像がブラックの画像に対してベルトの移動方向に進むようなプラスの色ズレが発生する。
図4(a)に示すように、1次転写ローラ4a〜4dの回転中心は、感光体ドラム2a〜2dの回転中心に対して、中間転写ベルト11の回転方向下流側にずれて配置されている。そのため、中間転写ベルト11は、1次転写ローラ4a〜4dによって微少な量(押し上げ量)Bだけ感光体ドラム側に押し上げられている。ここで、ベルト11、21が回転を開始し、中間転写ベルト11は、2次転写ベルト21との摩擦により、中間転写ベルト11の回転方向の逆方向に摩擦力Faを受けた場合、中間転写ベルト11の回転にブレーキがかかる。そのため、図4(b)に示すように、中間転写ベルト11が反対に押し下げられる。
上述のごとく、摩擦力Faは、ベルト11、21の回転開始時が最も大きい。このため、感光ドラム側への押し上げ量Bは、ベルト11、21が回転を開始する際が最も小さく、ベルト11、21の回転とともに徐々に増加する。
ベルト11、21の回転開始時の押し上げ量Bが小さい状態では、中間転写ベルト11が直線的に張架されるため摩擦力Faが駆動系に伝わり易くなって駆動系の負荷が増加する。そして、ベルト11、21の回転とともに、押し上げ量Bが大きくなった状態では、中間転写ベルト11を駆動する駆動系の負荷は緩和されている。また、駆動系は、上述のごとく、負荷が微少に変形すると、変形に相当する量だけ回転が遅くなる。このため、中間転写ベルト11の回転速度は、ベルト11、21の回転開始時が最も遅く、ベルト11、21の回転とともに徐々に速くなっていく。
つまり、イエローの画像を形成する時点の中間転写ベルト11の回転速度は、所定の速度に対して遅くなっている。一方、ブラックの画像を形成する時点中間転写ベルト11の回転速度は、所定の速度に対して速くなっている。よって、イエローの画像がブラックの画像に対してベルトの移動方向に遅れるようなマイナスの色ズレが発生する。
(トナーパッチパターンTPa、TPb)
図5はトナーパッチパターンを説明するための中間転写ベルトの斜視図である。図5に示すように、ユーザーの操作側となる画像形成装置の正面側をフロント側(F)とし、操作側から見て奥側となる画像形成装置の背面側をリア側(R)とした。
中間転写ベルト11上にはトナーパッチパターンTPa、TPbが形成される。パッチパターンTPaは、6つのトナーパッチTYaF、TYaR、TBkaF1、TBkaF2、TBkaR1、TBkaR2で構成される。トナーパッチTYaFは、イエローステーションで中間転写ベルト11のフロント側端部に形成される。トナーパッチTYaRは、イエローステーションで中間転写ベルト11のリア側端部に形成される。トナーパッチTBkaF1、TBkaF2は、ブラックステーションでトナーパッチTYaFのベルト回転方向前後に距離Aずらして形成される。トナーパッチTBkaR1、TBkaR2は、ブラックステーションでトナーパッチTYaRのベルト回転方向前後に距離Aずらして形成される。
パッチパターンTPbは、パッチパターンTPaが色ズレ検知センサ17で検知された後、パッチパターンTPaと同様にして形成される。なお、図5ではTPaとTPbの間隔を実際よりも小さく示している。
前述したように、2次転写部Nにおける摩擦力は、ベルト11、21の回転開始から過渡的に変化し、中間転写ベルト11の回転速度も過渡的に変動する。従って、最も距離が離れたイエローとブラックのステーション間で形成されるイエローとブラックのパッチパターンの色ズレを最も大きくなる。このため、パッチパターンTPa、TPbをイエローとブラックで形成することにより、精度良く色ズレを検出できる。
(位置ズレ量の算出方法)
色ズレ検知センサ17は、その読取位置に搬送されたパッチパターンTPa、TPbの各トナーパッチTYaF〜TBkbR2のエッジを順次検出する。その検出タイミング(検出結果)から、各トナーパッチTYaF〜TBkbR2の中心位置検出タイミングを算出する。各トナーパッチの中心位置検出タイミングを、それぞれ"t_トナーパッチ名"とする。例えば、トナーパッチTBkaF1の中心位置検出タイミングは、"t_TBkaF1"とする。
まず、パッチパターンTPaでイエローとブラックの位置ズレ量P_Yaを算出する。ここでフロント側の位置ズレ量をYaFとし、リア側の位置ズレ量をYaRとする。YaF、YaRはそれぞれ以下の式(1)、(2)で表される。P_Yaは、フロント側とリア側の位置ズレYaF、YaRを平均化したものであり、以下の式(3)で表される。
YaF=t_TYaF−(t_TBkaF1+t_TBkaF2)/2・・・式(1)
YaR=t_TYaR−(t_TBkaR1+t_TBkaR2)/2・・・式(2)
P_Ya=(YaF+YaR)/2・・・式(3)
同様にして、パッチパターンTPbでイエローとブラックの位置ズレ量P_Ybを以下の式(4)〜式(6)から算出する。
YbF=t_TYbF−(t_TBkbF1+t_TBkbF2)/2・・・式(4)
YbR=t_TYbR−(t_TBkbR1+t_TBkbR2)/2・・・式(5)
P_Yb=(YbF+YbR)/2・・・式(6)
以上から、位置ズレ量P(m)は、P=P_Ya−P_Yb・・・式(7)で算出される。
(実際の位置ズレ)
図6は2次転写部Nの摩擦力の変化による中間転写ベルト11の周速変化(ベルト11、21の速度比)と位置ズレ(以下、色ズレとも言う)関係を示す図である。横軸は、2次転写ベルト21の速度の設計中心値からの変化率(%)を表す。設計中心値では2次転写ベルト21の速度と、中間転写ベルト11の速度は等速となるように設定されている。縦軸は、ブラックに対するイエローの色ズレ量をとっている。画像上でイエローがブラックよりも進んだ場合の色ズレを正としている。また、色ズレの検出は2次転写バイアスVtが2KV(第1の状態)と0V(第2の状態)の2通りで実施した。なお、2次転写バイアスVtの値は2KVと0Vに限定されるものではない。
図6に示すように、2次転写バイアスVtが0Vの場合には、2次転写ベルト21の速度が上下しても、色ズレ量がほとんど変化しないことがわかる。これは、中間転写ベルト11と2次転写ベルト21に速度差があっても摩擦力は十分に小さいことを示している。
2次転写バイアスVtが2KVの場合には、2次転写ベルト21の速度が速くなるに従って、色ズレ量がマイナスからプラスに変化していく。これは、ベルト11、21の速度差が広がるにつれて動摩擦力が大きくなり、中間転写ベルト11の速度が設定した速度よりも遅くなるためである。
また、2次転写ベルト21の速度が設計中心値の場合であっても、色ズレ(約−100μm)が発生している。これは、実際にはベルト11、21に速度差があるため、2次転写部Nで摩擦力が発生したことを示している。
2次転写ベルト21の速度の設計中心値からの変化率が0.2%の場合には、2次転写バイアスが0Vの場合の色ズレ量と同じ色ズレ量(約0μm)となっている。すなわち、2次転写ベルト21の速度の設計中心値からの変化率を0.2%に設定すると、ベルト11、21の相対速度差が無くなることがわかる。
(中間転写ベルト11と2次転写ベルト21の相対速度調整制御)
図7、図8は中間転写ベルト11と2次転写ベルト21の相対速度制御を説明するフローチャートである。図9(a)、図9(b)は中間転写ベルト11と2次転写ベルト21の相対速度制御を説明するタイミングチャートである。
図7、図9(a)に示すように、図9(a)のt1−1のタイミングで、ベルト11、21の相対速度制御が開始される。まず、画像形成制御部52が2次転写電圧VtをVcalに設定し、2次転写ベルト速度StをS1(デフォルト値、第1の速度)に設定し、変数nを1に設定して、ベルト11、21の駆動を開始する(S1)。なお、2次転写ベルト速度S1は、設計中心値であり、画像形成制御部52のROM61に記憶されている。
そして、画像形成制御部52からの信号により、パッチパターンTPaが中間転写ベルト11上に形成される(S2)。パッチパターンTPaの形成では、まず図9(a)のt1−2のタイミングで、イエローステーションでトナーパッチTYaF、TYaRを形成する。続いて、所定のタイミングだけ遅れた図9(a)のt1−3のタイミングで、ブラックステーションで各トナーパッチTYaF、TYaRを挟み込むような位置にトナーパッチTBkaF1、TBkaF2、及び、TBkaR1、TBkaR2を形成する。
なお、図9(a)においてt1−1からt1−2の間は、中間転写ベルト11の周長の半分程度が回転した時間とした。これよりも短い間隔で以下のフローを実施すると、色ズレの検出が不安定になる場合がある。これは、起動時にはベルトテンションが大きく変動するため、中間転写ベルト11の速度が不安定になるからである。
F2で形成されたパッチパターンTPaは、図9(a)のt1−4で、順次色ズレ検知センサ17にて各トナーパッチTYaF〜TBkaR2の通過タイミングがRAM62に記憶されていく。色ズレP_Ya(1)を画像形成制御部52で算出して、その結果をRAM62に記憶させる(S3)。ここで、括弧内の数字は変数nの値を表す。
図9(a)のt1−4で、2次転写バイアスVtをV0に設定する(S4)。なお、V0は2次転写電圧を印可していない状態である。画像形成制御部52からの信号により、パッチパターンTPbが中間転写ベルト11上に形成される(S5)。
パッチパターンTPbの形成では、まず図9(a)のt1−5のタイミングで、イエローステーションでトナーパッチTYbF、TYbRを形成する。続いて、所定のタイミングだけ遅れた図9(a)のt1−6のタイミングで、ブラックのステーションで各トナーパッチTYbF、TYbRを挟みこむような位置にトナーパッチTBkbF1、TBkbF2、及び、TBkbR1、TBkbR2を形成する。
S5で形成されたパッチパターンTPbは、図9(a)のt1−7で、順次色ズレ検知センサ17にて各トナーパッチTYbF〜TBkbR2の通過タイミングがRAM62に記憶されていく。そして、色ズレP_Yb(1)を画像形成制御部52で算出して、その結果をRAM62に記憶させる(S6)。なお、図9(a)のt1−7のタイミングでは、S2で形成したパッチパターンTPaは2次転写部に到達しないように構成されている。
2次転写電圧VtをVclnに設定し、2次転写ベルト速度StをS1に設定する(S7)。これにより、2次転写ベルト21に付着したパッチパターンTPa、TPbを中間転写ベルト11に戻す。中間転写ベルト11に戻されたパッチパターンTPa、TPbは、中間転写ベルトクリーナ18によってクリーニングされる。
変数nが2になっているかどうかを判断する(S8)。S8で変数nが2になっていない場合には、変数n=n+1とし(S9)、S1に戻る。S8で変数nが2になっている場合には、2回算出した色ズレP_Ya(1)、P_Ya(2)、P_Yb(1)、P_Yb(2)を平均化してPad、Pbdを算出する(S10)。上述のS1〜S7の動作を繰り返すことにより、色ズレ検知の精度を高めることができる。本実施形態では変数nを2に設定したものの、これに限定されるものではない。
図8、図9(b)に示すように、S10で算出したPad、Pbdを用いて、Pad−Pbdを計算する(S11)。S11でPad−Pbd≧0の場合には、2次転写ベルト21の速度S1を0.3%減速する(S13)。これを式で表すと、St=S2=S1×(100−0.3)/100・・・式(8)となる。S11でPad−Pbd<0の場合には、2次転写ベルト21の速度S1を0.3%増速する(S12)。これを式で表すと、St=S3=S1×(100+0.3)/100・・・式(9)となる。算出したS2もしくはS3は、RAM62に記憶される。
2次転写ベルト21の速度S1を増速または減速する比率を0.3%とした理由を説明する。前述したように、ベルト11、21の各周速を等速にしたとしても、各ベルト11、21の膜厚や、各駆動ローラ12、23の外径などの寸法精度によって、僅かにずれる場合がある。本実施形態では、各部品の製造公差を考慮すると、ベルト11、21の相対速度差は±0.3%の範囲でずれる可能性があった。従って、2次転写ベルト21の速度S1を増速または減速する比率を0.3%とした。なお、この比率は0.3%に限定されものではなく、各ベルトの周速に関連する部品構成、精度によって最適な値が変化する。
図9(b)のt2−1で、2次転写電圧VtをVcalに設定し、2次転写ベルト速度StをRAM62に記憶されたS2もしくはS3(第2の速度)に設定し、変数nを1に設定して、ベルト11、21の駆動を開始する(S14)。
S2と同様に、パッチパターンTPaを中間転写ベルト11上に形成する(S15)。すなわち、図9(b)のt2−2でトナーパッチTYaF、TYaRを形成し、所定のタイミング遅れた図9(b)のt2−3でトナーパッチTBkaF1、TBkaF2、及び、TBkaR1、TBkaR2を形成する。なお、図9(b)においてt2−1からt2−2の間は、中間転写ベルト11の周長の半分程度が移動した時間としている。
S15で形成されたパッチパターンTPaは、順次色ズレ検知センサ17にて各トナーパッチTYaF〜TBkaR2の通過タイミングがRAM62に記憶されていく。そして、図9(b)のt2−4で、色ズレP_Ya(1)を画像形成制御部52で算出して、その結果をRAM62に記憶させる(S16)。
図9(b)のt2−4で、2次転写電圧VtをV0に設定する(S17)。なおV0は、本発明では2次転写電圧を印可していない状態である。
S5と同様に、パッチパターンTPbを中間転写ベルト11上に形成する(S18)。すなわち、図9(b)のt2−5でトナーパッチTYbF、TYbRを形成し、所定のタイミング遅れた図9(b)のt2−6でトナーパッチTBkbF1、TBkbF2、及び、TBkbR1、TBkbR2を形成する。
S18で形成されたパッチパターンTPbは、順次色ズレ検知センサ17にて各トナーパッチTYbF〜TBkbR2の通過タイミングがRAM62に記憶されていく。そして、図9(b)のt2−7で、色ズレP_Yb(1)を画像形成制御部52で算出して、その結果をRAM62に記憶させる(S19)。図9(b)のt2−7のタイミングではS15で形成したパッチパターンTPaは2次転写部に到達しないように構成されている。
2次転写電圧VtをVclnに設定し、2次転写ベルト速度StをS2もしくはS3に設定する(S20)。これにより、2次転写ベルト21に付着したパッチパターンTPa、TPbを中間転写ベルト11に戻す。中間転写ベルト11に戻されたパッチパターンTPa、TPbは、中間転写ベルトクリーナ18によってクリーニングされる。
変数nが2になっているかどうかを判断する(S21)。S21で変数nが2になっていない場合には、変数n=n+1とし(S22)、S14に戻る。S21で変数nが2になっている場合には、それぞれ2回算出した色ズレP_Ya(1)、P_Yb(1)を平均化してPam、Pbm(算出結果)を算出する(S23)。上述のS14〜S20の動作を繰り返すことにより、色ズレ検知の精度を高めることができる。本実施形態では変数nを2に設定したものの、これに限定されるものではない。
そして、後述する方法により、最終的な2次転写ベルト21の速度であるSoutを算出する(S24)。SoutはRAM62に記憶され、その後の画像形成時に2次転写ベルト21の速度として使用される。なお、算出したSoutに対して、さらに所定の値だけ増速、もしくは減速して使用してもよい。上述した、ベルト11、21の相対速度制御は、2次転写部NにシートRが無い状態で実施した。従って、例えば2次転写ベルト21の速度とシートRの速度が一致しないような構成においては、中間転写ベルト11とシートRの相対速度が一致しない。それ故、Soutに対して所定の値だけ増速、もしくは減速するように構成することで、中間転写ベルト11とシートRの速度を一致させることができる。
図10はSoutの算出方法の説明図である。図10は、横軸に2次転写ベルト21の速度を、設計中心値からの変化率(%)で表示した。縦軸には、ベルト11、21の相対速度調整制御の結果得られたブラックに対するイエローの色ズレ量をとっている。画像上でイエローがブラックよりも進んだ場合の色ズレを正としている。
図10では、PadとPbdの大小関係はPad―Pbd<0となっている。従って、2次転写ベルト21の速度StをS1に対して0.3%増速して、Pam、Pbmが得られる。PadとPamは共に、2次転写電圧VtとしてVcalを印可した状態で得られた色ズレ量である。一方のPbdとPbmは共に、2次転写電圧VtをV0、すなわち電圧を印可しない状態で得られた色ズレ量である。
ここで、2次転写電圧VtとしてVcalを印可した場合の2次転写ベルト21の速度とブラックに対するイエローの色ズレの関係を示す1次式として式(10)が得られる。2次転写バイアスVtとしてV0を印可した場合の2次転写ベルト21の速度とブラックに対するイエローの色ズレの関係を示す1次式として式(11)が得られる。ここで、2次転写ベルト21の速度の設計中心値からの変化率をXとし、ブラックに対するイエローの色ズレ量をYとした。
Y = (Pam−Pad)/( S2 − S1 )×X +Pad・・・式(10)
Y = (Pbm−Pbd)/( S2 − S1 )×X +Pbd・・・式(11)
この式(10)、式(11)の連立1次方程式を解くと、式(10)の1次式と式(11)の1次式の交点であるX及びYが算出される。この算出されたXから、Soutが求められる(速度St+変化率X*速度St=Sout)。
なお、図8のフローにおいて、S11のような判断を設けず、複数の2次転写ベルト21の速度Stにおいて、S14からS23のフローを実施して、複数のPam、Pbmを算出しても構わない。これによって、2次転写ベルト21の速度とブラックに対するイエローの色ズレの関係をより精度よく検出できる。
具体的には、例えば、2次転写ベルト21の速度S1に対して、0.1%毎に0.5%まで増速したそれぞれの速度Stにおいて、S14からS23のフローを実施する。同様に、0.1%毎に−0.5%まで減速したそれぞれの速度Stにおいて、S14からS23のフローを実施する。これによって、合計11個のPam、Pbmが算出される。
しかしながら、2次転写ベルト21の速度とブラックに対するイエローの色ズレの関係を多次式で現すとアルゴリズムが複雑になる。そのため、画像形成制御部52のROM61に必要とする記憶容量も多く必要とする。ここで、図6のように複数のPam、Pbmを算出した場合においても、2次転写ベルト21の速度に対する、ブラックに対するイエローの色ズレの変化はほぼ直線的であることが判っている。よって、複数のPam、Pbmを算出した場合においても2次転写ベルト21の速度とブラックに対するイエローの色ズレの関係を示す近似式としては、1次式で十分である。以上のように、2次転写ベルト21の速度と、ブラックに対するイエローの色ズレの関係を1次式で近似することにより、実使用上、十分な精度を最小の記憶容量で得ることができる。
(中間転写ベルト11と2次転写ベルト21の相対速度調整制御の実施タイミング)
上述のベルト11、21の相対速度調整制御は、製造時に行う。制御した結果をRAM62に記憶させることで、画像形成装置100の使用開始時から安定した画像を出力できる。
また、上述の相対速度調整制御を、中間転写ベルトユニット、2次転写ベルトユニットの少なくともどちらか一方を交換した場合にも行う。交換したユニットのベルト11、21の膜厚や駆動ローラ12、23の外径によって、各ベルト11、21の速度が微妙に変化するためである。
ユニット交換時の相対速度調整制御は、各ユニットの新品状態を検知できる手段を設けることで、自動的に実施できる。また、各ユニットの新品状態を検知できる手段がない場合でも、ユーザーが操作パネル等から、各ユニットを交換したことを入力することで、相対速度調整制御を実施してもよい。なお、ユニット交換ではなく、ベルト11又は2次転写ベルト21のみを交換した場合にも相対速度調整制御を実施すると良い。
また、連続印字などによって機内が昇温して、駆動ローラ12と駆動ローラ23の間の温度差が、最後に相対速度調整制御を実施した際の温度差に対して所定の温度以上に変化した場合に、相対速度調整制御を実施する。
各駆動ローラ12、23は、アルミ等の金属ローラに薄いゴムを巻いたものや、弾性部材をコートしたものが使われている。アルミ等や、ゴムやコートした弾性部材は温度変化によって微少に伸縮する。従って、各駆動ローラ12、23の外径も温度変化によって微少に伸縮する。外径が伸縮すると、それに伴って各ベルト11、21の速度も変化する。つまり、各駆動ローラ12、23間の温度差が広がると、相対速度差も広がってしまう。
各駆動ローラ間の温度差を検知するためには、各駆動ローラ12、23の近傍に温度センサを配置する。相対速度制御を実施した際には、これらの温度センサで検知した温度から、各駆動ローラ間の温度差を算出してRAM62に記憶しておく。そして、画像形成装置100が稼働している際には常に各駆動ローラ近傍の温度を計測して、温度差を算出する。この温度差が所定の値を超えた場合に、相対速度調整制御を実施するように設定しておく。
上述したように、本実施形態によれば、ベルト11、21の相対速度調整制御を実施することで、各ベルト11、21は常に安定して駆動させることができる。これにより、画像不良のない安定した出力を得られる。
なお、本実施形態では、色ズレ検出用のトナーパッチパターンの複数のトナーパッチは、中間転写ベルト11の回転方向最上流の2a(第1の像担持体)と、中間転写ベルト11の回転方向最下流の感光体ドラム2d(第2の像担持体)とにより形成される。中間転写ベルト11の回転方向において最も離れた感光体ドラム2a、2dを用いることで、色ずれが最も大きく出るため、色ずれを精度良く検知できる。
[第二実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第二実施形態について図を用いて説明する。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の画像形成装置100は、ベルト11、21との間に作用する摩擦力Faの変動を、上記第一実施形態の2次転写電圧Vtの変動に変えて、2次転写部Nに介在するトナーの有無(画像パターンの違い)によって発生させるものである。そして、2次転写部Nに介在するトナーの有無を利用してベルト11、21の相対速度調整制御を行う。これは、中間転写ベルト11と2次転写ベルト21との間に作用する摩擦力は、2次転写部Nに介在するトナーの有無(画像パターンの違いによる摩擦係数の違い)によっても変化するためである。
図11、図12は本実施形態に係る中間転写ベルト11と2次転写ベルト21の相対速度制御を説明するフローチャートである。図13(a)、図13(b)は本実施形態に係るベルト11、21の相対速度調整制御のタイミングチャートである。
本実施形態の相対速度調整制御において、上記第一実施形態と異なる点は、図11、図12に示すように、図7のS4、S5に変えてS201を設け、図8のS17、S18に変えてS202を設けた点である。すなわち、S201、S202にて、トナーパッチパターンTPaが2次転写部Nに到達した時にパッチパターンTPbを形成する。図13(a)、図13(b)に示すように、t1−6及びt2−6のタイミングにおいて、トナーパッチパターンTPaのすべてが2次転写部Nに到達するように構成されている。
図13(a)、図13(b)に示すt1−5及びt2−5のタイミングは、TYaが2次転写部Nに到達したタイミングである。t1−5〜t1−6間、及びt2−5〜t2−6間では、2次転写部Nにトナーパッチが無い(第1の状態)。この状態では、2次転写部Nの摩擦力はFaであるものの、2次転写部Nにパッチパターンが到達すると、摩擦力はFt(Ft<Fa)となる(第2の状態)。摩擦力が瞬間的に変動すると中間転写ベルト11の速度も瞬間的に変動する。
なお、トナーパッチパターンTPaは複数のトナーパッチで形成されるため、t1−5からt1−6の間、及びt2−5からt2−6の間の摩擦力はトナーパッチの通過に応じて変動する。しかし、トナーパッチの間隔が小さいため摩擦力の変動も小さいため、Ftとしている。
従って、トナーパッチTYbを形成したt1−6及びt2−6のタイミングにおいて、中間転写ベルト11に瞬間的な速度変動が発生している。それゆえ、パッチパターンTPbにおいては色ズレが生じる。
本実施形態では、2次転写バイアスVtはパッチパターンTPa、TPbの形成において、定常的に2次転写電圧Vcal又はVclnを印可し、上記第一実施形態のようにV0となることはない。これは、2次転写部Nにおけるトナーパッチの有無による摩擦力の変動を大きくさせるためである。2次転写バイアスは高いほど摩擦力の変動も大きくなる。
以上の制御を、上記第一実施形態と同様に、図11、図12に示す制御フローで行うことにより、最終的な2次転写ベルト21の速度であるSoutが求められる。
本実施形態によれば、上記第一実施形態と同様に、ベルト11、21の相対速度調整制御を実施することで、各ベルト11、21は常に安定して駆動させることができる。これにより、画像不良のない安定した出力を得られる。
[第三実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第三実施形態について図を用いて説明する。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の画像形成装置100は、ベルト11、21との間に作用する摩擦力Faの変動を、上記第一実施形態の2次転写バイアスVtの変動に変えて、2次転写ローラ22の加圧力の変化で発生させるものである。そして、2次転写ローラ22の加圧力の変化を利用してベルト11、21の相対速度調整制御を行う。中間転写ベルト11と2次転写ベルト21との間に作用する摩擦力は、2次転写ローラ22の当接圧によっても変化するためである。
すなわち、本実施形態では、2次転写電圧VtをVcalからV0に変える代わりに、2次転写ローラ22の加圧力(押圧力)を変化させる。2次転写ローラ22の加圧力の変化は、大きいほどベルト間の当接力が大きくなり、摩擦力の変動が大きくなる。従って、発生する色ズレも大きくなり、色ズレの検出精度が良くなる。すなわち、2次転写ローラ22を中間転写ベルト11から離間させる構成が、最も2次転写ローラ22の加圧力変化が大きくなる。なお、2次転写ローラ22を離間する構成においては、パッチパターンTPa、TPbは2次転写ベルト21に転写されない。従って、本実施形態の制御フローでは、上記第一実施形態の図7及び図8で示したS7及びS20はいらない。
図14、図15は本実施形態に係る中間転写ベルト11と2次転写ベルト21の相対速度制御を説明するフローチャートである。図16(a)、図16(b)は本実施形態に係るベルト11、21の相対速度調整制御のタイミングチャートである。
図14、図15に示すように、本実施形態では、上記第一実施形態の図7のS1、S14、S17に変えてS301〜S303を設けたものである。S301、S302では2次転写ローラ22の加圧力PtをP1に設定する(第1の状態)。一方、S303では2次転写ローラ22の加圧力PtをP0に設定する(第2の状態)。P1は通常のプリントと同じ加圧力であり、P0は2次転写ローラ22を離間させた状態を示す。P1からP0に切り替えるタイミングは、図16(a)のt1−4、図16(b)のt2−4である。
本実施形態によれば、上記第一実施形態と同様に、ベルト11、21の相対速度調整制御を実施することで、各ベルト11、21は常に安定して駆動させることができる。これにより、画像不良のない安定した出力を得られる。
なお、2次転写ローラ22は、電磁ソレノイド27やリンク機構によって、2次転写ベルト21からベルト11への加圧力を変化させる。2次転写ローラ22の加圧力を変化できれば、その構成は問わない。
また、上記第一〜第三実施形態では2次転写ベルト21の速度を制御する例を説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、中間転写ベルト11の速度を制御してもよい。ただし、その場合には感光体ドラム2の速度を中間転写ベルト11の速度と常に一致させる必要がある。
また、上記第一〜第三実施形態では2次転写装置20として、2次転写ベルト21による構成について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ベルトを用いず2次転写ローラだけの構成であってもよい。