〔2枚レンズの撮像レンズ用レンズ調芯装置の構成〕
図1は、2枚レンズの撮像レンズ用レンズ調芯装置の構成を示す断面図である。
図1に示すレンズ調芯装置110は、撮像レンズ111の調芯を行うものである。
ここで、撮像レンズ111は、第1レンズL1および第2レンズL2という、2枚のレンズで構成されたものであり、物体側から像面側へと向かって、第1レンズL1、および第2レンズL2の順に配置されたものである。
そして、レンズ調芯装置110は、第1レンズL1および/または第2レンズL2を、後述する調整機構3により移動させることで、撮像レンズ111全体としての偏芯量を調整するものである。
ここで、偏芯として、平行偏芯と傾き偏芯とが挙げられることは上述したが、本実施の形態において、偏芯という表現は、平行偏芯のことを意味しているものとする。
すなわち、1枚のレンズの両面間で発生する光軸のズレ、または、ある1枚のレンズと別のレンズとの間で発生する光軸のズレを、一方の光軸に対する他方の光軸の平行移動として示したものを、ここでは偏芯と称している。
また、第1レンズL1は、1枚のウエハに複数枚の第1レンズL1が設けられた第1レンズアレイ112aの形態であり、第2レンズL2は、1枚のウエハに複数枚の第2レンズL2が設けられた第2レンズアレイ112bの形態である。
そして、互いに対向配置されている、第1レンズアレイ112aに設けられた第1レンズL1と、第2レンズアレイ112bに設けられた第2レンズL2との組み合わせ毎に、撮像レンズ111は形成されている。
レンズ調芯装置110は、偏芯検出機構(偏芯測定部)1、調芯位置計算制御機構(目標値算出部)2、調整機構(レンズ移動部)3、および表示部4を備えている。
偏芯検出機構1は、第1レンズL1の両面間で発生する偏芯の偏芯量を測定するものである。
具体的に、偏芯検出機構1は、第1レンズL1における物体側に向けられる面である面(第1面)S1に対する、第1レンズL1における像面側に向けられる面である面(第2面)S2の偏芯量を、第1レンズ偏芯量として測定する。
また、偏芯検出機構1は、第2レンズL2における物体側に向けられる面である面(第3面)S3に対する、第2レンズL2における像面側に向けられる面である面(第4面)S4の偏芯量を測定してもよい。
さらに、偏芯検出機構1は、面S2に対する面S3の偏芯量を測定してもよい。面S2に対する面S3の偏芯量は、第1レンズL1と第2レンズL2との間で発生する光軸のズレを示す偏芯量である。
ここで、偏芯検出機構1は、CNC画像測定システムを用いて構成されているのが好ましい。
CNC画像測定システムとは、コンピュータの画像処理技術を利用して、各種精密部品または金型の寸法を、高精度に測定したり検査したりするシステムの名称であり、CNC画像寸法測定システム、またはCNC画像寸法測定器と呼ばれる場合もある。CNC画像測定システムでは、アナログ技術を使い、検査対象物を10〜100倍程度に拡大して形状および寸法を測定する万能投影機と、顕微鏡で測定していた測定顕微鏡の機能とを応用し、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)で画像をコンピュータに取り込み、デジタル処理を行う。
CNC画像測定システムを用いて構成された偏芯検出機構1は、顕微鏡の光学式観察機構、および画像処理により構成される寸法測定機構である。該偏芯検出機構1は、レンズのコバ(光学有効径外の連続部分)により形成される円形の像(連続的でない場合もある)の中心位置を測定する。そして、測定対象となる2面の組み合わせに関し、一方の面の中心位置に対して他方の面の中心位置がズレている場合、該偏芯検出機構1は、そのズレ量を、一方の面に対する他方の面の偏芯量とする。測定対象となる2面の組み合わせとは、面S1と面S2との組み合わせ、面S2と面S3との組み合わせ、面S3と面S4との組み合わせ等が挙げられる。
偏芯検出機構1を、CNC画像測定システムを用いて構成することにより、高精度なレンズ調芯装置を、容易に実現することが可能となる。特に、第1レンズL1および第2レンズL2(後述するレンズ調芯装置120の場合、さらに第3レンズL3)の少なくとも1種類に関して、光学的に有効な領域以外の部分でありウエハに一体成型される部分(コバ)が、対向配置されるレンズと当接する構造である場合、レンズ両面での傾き偏芯の量が小さければ、平行偏芯の量を全体の偏芯量として検出できる。このため、該レンズ調芯装置を容易に実現することが可能となり、また、調芯を実行するアルゴリズムも容易に作製することが可能となる。
また、偏芯検出機構1は、反射偏芯測定を行う機構を用いて構成されてもよい。
反射偏芯測定を行う機構を用いて構成された偏芯検出機構1は、反射偏芯測定により、レンズの中心位置を測定する。そして、測定対象となる2面の組み合わせに関し、一方の面の中心位置に対して他方の面の中心位置がズレている場合、該偏芯検出機構1は、そのズレ量を、一方の面に対する他方の面の偏芯量とする。
偏芯検出機構1を、反射偏芯測定を行う機構を用いて構成することにより、高精度なレンズ調芯装置を、容易に実現することが可能となる。
なお、CNC画像測定システムおよび反射偏芯測定はいずれも、レンズの偏芯を測定する技術としては周知慣用技術であるため、偏芯検出機構1単体については、当業者であれば容易に実現することが可能である。
調芯位置計算制御機構2は、偏芯検出機構1が測定した第1レンズ偏芯量に基づいて、面S2に対する面S3の偏芯量の目標値であるレンズ間偏芯量目標値を算出するものである。ここで、「目標値」とは、レンズ調芯装置による調芯を達成する際に設定されるべき偏芯量のことを意味している。
具体的に、調芯位置計算制御機構2は、下記数式(1)により、上記レンズ間偏芯量目標値を算出する。
レンズ間偏芯量目標値=第1レンズ偏芯量×(−2) ・・・(1)
また、第1レンズ偏芯量およびレンズ間偏芯量目標値はいずれも、方向および距離を持つ「偏芯量」、すなわちベクトル量である。従って、上記数式(1)は、下記数式(1)´のように表現することもできる。
なお、調芯位置計算制御機構2が上記数式(1)を実行するアルゴリズムは、CPU(central processing unit)で構成されていてもよいし、ハードウェアロジックで構成されていてもよい。
調整機構3は、面S2に対する面S3の偏芯量であるレンズ間偏芯量が、上記数式(1)で算出したレンズ間偏芯量目標値と一致するように、第1レンズL1および/または第2レンズL2を移動させるものである。調整機構3による、該第1レンズL1および/または第2レンズL2の移動により、レンズ調芯装置110は、撮像レンズ111に対する偏芯量の調整、すなわち撮像レンズ111に対する調芯を達成する。
調整機構3は、例えばマニピュレータ機構により構成することができる。
すなわち、例えば、調芯位置計算制御機構2は、上記数式(1)で算出したレンズ間偏芯量目標値を示す情報に基づいて、レンズ間偏芯量をレンズ間偏芯量目標値と一致させるように、上記マニピュレータ機構としての調整機構3の動作を制御する。調整機構3は、調芯位置計算制御機構2による制御に応じて、第1レンズL1および/または第2レンズL2を移動させ、レンズ間偏芯量をレンズ間偏芯量目標値と一致させる。
ここで、撮像レンズ111において発生する平行偏芯は、撮像レンズ111の光軸に対する法線方向への、光軸の平行移動であると解釈することができる。なお、図1では、撮像レンズ111の光軸方向(同図の上下方向)をZ方向としている。また、図1では、撮像レンズ111の光軸に対する法線方向を、X方向およびY方向から成る平面上を伸びる任意の1方向としている。
つまり、撮像レンズ111において発生する平行偏芯を、調芯により調整する場合、調整機構3は、X方向およびY方向から成る平面に沿うように、第1レンズL1および/または第2レンズL2を移動させられるものであればよい。
また、図1において、調整機構3は、第1レンズL1(第1レンズアレイ112a)のみを移動させる構成である。但し、調整機構3は、第2レンズL2(第2レンズアレイ112b)のみを移動させる構成であってもよいし、これら両方を移動させる構成であってもよいことは、言うまでも無い。
表示部4は、調芯位置計算制御機構2に接続されている。表示部4は、撮像レンズ111の光軸に対する法線方向における各種偏芯量およびそれらの相対関係、該相対関係に対応する撮像レンズ111の断面図、および撮像レンズ111のデフォーカス特性等を表示することができる。つまり、表示部4は、調芯位置計算制御機構2によるレンズ間偏芯量目標値の算出に有益な各種情報を表示することが可能なものである。
レンズ調芯装置110は、撮像レンズ111を構成する各レンズの形状および厚み等の情報を、調芯の実施に必要な要素として、調芯を実行するアルゴリズムに含める必要がないものである。このため、該アルゴリズムの簡略化が可能となり、かつ調芯を収束させるための条件が明確になるので、汎用性を向上させることが可能となる。
ここで、調芯を収束させるための条件が明確になることとは、撮像レンズ111における理想的な調芯量が、唯一つの量に決定することができるということを意味している。
すなわち、上述した、撮像レンズ111のMTFに基づく調芯では、調芯を収束させるための条件が曖昧になる一方、上記の構成によれば、面S1〜面S4の間で発生する偏芯量に基づいて、理想的な調芯量が唯一つの量に決定される。よって、装置の検出精度と調整精度とにより、生産作業において調芯を収束させるための条件は明確となる。
また、レンズ調芯装置110は、第1レンズL1の両面間で発生する偏芯量に応じた、第1レンズL1および第2レンズL2の組み合わせ、すなわち、撮像レンズ111としての偏芯を最適化するような、調芯量の適切な相対関係により、撮像レンズ111の調芯を行うことが可能なものである。
従って、レンズ調芯装置110は、撮像レンズ111の製造公差を過剰に厳密に制限してしまう、すなわち、撮像レンズ111の製造誤差の許容範囲を必要以上に狭くしてしまう虞を低減することが可能なものである。この結果、レンズ調芯装置110は、各撮像レンズ111の生産の困難化を抑制するため、撮像レンズ111の生産性の向上が可能なものであると言える。
また、レンズ調芯装置110が偏芯量を調整する対象である撮像レンズ111は、第1レンズアレイ112aと第2レンズアレイ112bとを貼り合わせ、これを第1レンズL1および第2レンズL2の組み合わせ毎に分割して製造されるのが好ましい。すなわち、撮像レンズ111は、ウエハレベルレンズプロセスにより製造されたウエハレベルレンズであるのが好ましい。
レンズ調芯装置110は、ウエハレベルレンズプロセスにおいて、簡単な装置構成を適用することが可能なものである。これにより、大量のウエハレベルレンズに対して、一括して調芯を行うことが可能となるので、撮像レンズ111の生産性の向上においてさらに有効である。ウエハレベルレンズプロセスおよびウエハレベルレンズの詳細については後述する。
さらに、以上の説明から、レンズ調芯装置110は、以下のように解釈することができる。
すなわち、レンズ調芯装置110は、レンズの偏芯および軸ズレ情報を検出する偏芯検出機構1と、レンズ間相対関係を調整する調芯機構(調整機構3)とを備えている。そして、レンズ調芯装置110は、偏芯検出情報から適切なレンズ間偏芯相対関係を算出し、現在の状態に対する調芯量を算出する機能を備える計算装置(調芯位置計算制御機構2)で装置全系を構成する。そして、レンズ調芯装置110は、計算した調芯情報を出力し、調芯機構により目的の調芯関係に調整を行うものである。
〔3枚レンズの撮像レンズ用レンズ調芯装置の構成〕
以下、説明の便宜上、先の項目にて説明した図面と同様の機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図2は、3枚レンズの撮像レンズ用レンズ調芯装置の構成を示す断面図である。
図2に示すレンズ調芯装置120は、撮像レンズ121の調芯を行うものである。
ここで、撮像レンズ121は、第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3という、3枚のレンズで構成されたものであり、物体側から像面側へと向かって、第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3の順に配置されたものである。
そして、レンズ調芯装置120は、第1レンズL1〜第3レンズL3の少なくとも1枚を、後述する調整機構13により移動させることで、撮像レンズ121全体としての偏芯量を調整するものである。
また、第1レンズL1(第1レンズアレイ112aの形態)、および第2レンズL2(第2レンズアレイ112bの形態)と同様に、第3レンズL3は、1枚のウエハに複数枚の第3レンズL3が設けられた第3レンズアレイ112cの形態である。
そして、互いに対向配置されている、第1レンズアレイ112aに設けられた第1レンズL1と、第2レンズアレイ112bに設けられた第2レンズL2と、第3レンズアレイ112cに設けられた第3レンズL3との組み合わせ毎に、撮像レンズ121は形成されている。
レンズ調芯装置120は、偏芯検出機構11、調芯位置計算制御機構12、調整機構13、および表示部14を備えている。
偏芯検出機構11は、偏芯検出機構1の機能に加え、第2レンズL2の両面間で発生する偏芯の偏芯量を測定するものである。
具体的に、偏芯検出機構11は、面S1に対する面S2の偏芯量を、第1レンズ偏芯量として測定すると共に、面S3に対する面S4の偏芯量を、第2レンズ偏芯量として測定する。
また、偏芯検出機構11は、第3レンズL3における物体側に向けられる面である面(第5面)S5に対する、第3レンズL3における像面側に向けられる面である面(第6面)S6の偏芯量を測定してもよい。
さらに、偏芯検出機構11は、面S2に対する面S3の偏芯量、および/または面S4に対する面S5の偏芯量を測定してもよい。面S4に対する面S5の偏芯量は、第2レンズL2と第3レンズL3との間で発生する光軸のズレを示す偏芯量である。
偏芯検出機構11は、偏芯検出機構1と同様の理由で、CNC画像測定システムを用いて構成されているのが好ましく、反射偏芯測定を行う機構を用いて構成されてもよい。
調芯位置計算制御機構12は、偏芯検出機構11が測定した第1レンズ偏芯量および第2レンズ偏芯量に基づいて、面S2に対する面S3の偏芯量の目標値である第1レンズ間偏芯量目標値、および面S4に対する面S5の偏芯量の目標値である第2レンズ間偏芯量目標値を算出するものである。
なお、以下では、面S2に対する面S3の偏芯量(レンズ調芯装置110に係るレンズ間偏芯量に相当)を第1レンズ間偏芯量と称し、面S4に対する面S5の偏芯量を第2レンズ間偏芯量と称する。また、以下では、面S5に対する面S6の偏芯量を第3レンズ偏芯量と称する。
具体的に、調芯位置計算制御機構12は、以下の要領で、上記第1レンズ間偏芯量目標値および上記第2レンズ間偏芯量目標値のそれぞれを算出する。
(A)第1レンズ偏芯量、第1レンズ間偏芯量、第2レンズ偏芯量、第2レンズ間偏芯量、および第3レンズ偏芯量のそれぞれについて、(A−1)〜(A−3)の処理を行う。
(A−1)偏芯量の想定値を複数設定する。
(A−2)設定した各想定値について、また、撮像レンズ121のサジタル像面およびタンジェンシャル像面のそれぞれについて、(A−2−1)〜(A−2−3)の処理を行う。
(A−2−1)撮像レンズ121における中心像高に対応する第1位置における像面位置に対する、第1位置から撮像レンズ121の光軸に対する法線方向に所定距離y(但し、0<y)離れた第2位置における像面位置の、撮像レンズ121の光軸方向におけるズレ量である第1−第2ズレ量を算出する。また、第1位置における像面位置に対する、第1位置から撮像レンズ121の光軸に対する法線方向に所定距離−y離れた第3位置における像面位置の、撮像レンズ121の光軸方向におけるズレ量である第1−第3ズレ量を算出する。
(A−2−2)第1−第2ズレ量と第1−第3ズレ量との差を算出する。
(A−2−3)算出した第1−第2ズレ量と第1−第3ズレ量との差を、対応する想定値で除算する。
(A−3)各想定値について求めた、上記処理(A−2−3)にて求めた除算の商の平均値を求める。
(B)第1レンズ偏芯量に対応する、サジタル像面における上記処理(A−3)にて求めた平均値をαsag.2、タンジェンシャル像面における該平均値をαtan.2とする。また、第1レンズ間偏芯量に対応する、サジタル像面における該平均値をαsag.3、タンジェンシャル像面における該平均値をαtan.3とする。また、第2レンズ偏芯量に対応する、サジタル像面における該平均値をαsag.4、タンジェンシャル像面における該平均値をαtan.4とする。また、第2レンズ間偏芯量に対応する、サジタル像面における該平均値をαsag.5、タンジェンシャル像面における該平均値をαtan.5とする。そして、下記数式(2)により、第1レンズ間偏芯量目標値を算出し、下記数式(3)により、第2レンズ間偏芯量目標値を算出する。または、下記数式(4)により、第1レンズ間偏芯量目標値を算出し、下記数式(5)により、第2レンズ間偏芯量目標値を算出する。または、下記数式(6)により、第1レンズ間偏芯量目標値を算出し、下記数式(7)により、第2レンズ間偏芯量目標値を算出する。
なお、サジタル像面とは、光学系の光軸外の物点から、光学系に入射する光線のうち、回転対称の光学系で、主光線と光軸とを含む面に垂直な平面(サジタル平面)に含まれる光線(サジタル光線)によって形成される、像点の軌跡を意味している。タンジェンシャル像面(メリジオナル像面とも言う)とは、サジタル光線の光束に直交し、かつ主光線を含む光束(メリジオナル光線束)によって生じる像面を意味している。
なお、調芯位置計算制御機構12における処理(A)において参照している、第1レンズ偏芯量、第1レンズ間偏芯量、第2レンズ偏芯量、第2レンズ間偏芯量、および第3レンズ偏芯量は、調芯位置計算制御機構12によるシミュレーションにおいて設定された想定値であり、実際に偏芯検出機構11が測定したものとは異なる。
なお、調芯位置計算制御機構12が上記処理(A)から上記数式(2)〜(7)を実行するアルゴリズムは、CPUで構成されていてもよいし、ハードウェアロジックで構成されていてもよい。
ここで、調芯位置計算制御機構12は、第1レンズL1と第2レンズL2とが貼り合わされた後に、第2レンズ間偏芯量目標値を算出するのが好ましい。
これにより、レンズが3枚である撮像レンズ121に対する調芯においても、高精度の調芯を実施することが可能となる。また、これにより、調芯を収束させるための条件が明確になるので、汎用性を向上させることが可能となる。
調整機構13は、面S2に対する面S3の偏芯量である第1レンズ間偏芯量が、上記数式(2)または(4)または(6)で算出した第1レンズ間偏芯量目標値と一致するように、第1レンズL1および/または第2レンズL2を移動させるものである。また、調整機構13は、面S4に対する面S5の偏芯量である第2レンズ間偏芯量が、上記数式(3)または(5)または(7)で算出した第2レンズ間偏芯量目標値と一致するように、第1レンズL1〜第3レンズL3の少なくとも1枚を移動させるものである。調整機構13による、該第1レンズL1〜第3レンズL3の少なくとも1枚の移動により、レンズ調芯装置120は、撮像レンズ121に対する偏芯量の調整、すなわち撮像レンズ121に対する調芯を達成する。
調整機構13は、例えばマニピュレータ機構により構成することができる。
すなわち、例えば、調芯位置計算制御機構12は、上記数式(2)または(4)または(6)で算出した第1レンズ間偏芯量目標値を示す情報に基づいて、第1レンズ間偏芯量を第1レンズ間偏芯量目標値と一致させるように、上記マニピュレータ機構としての調整機構13の動作を制御する。調整機構13は、調芯位置計算制御機構12による制御に応じて、第1レンズL1および/または第2レンズL2を移動させ、第1レンズ間偏芯量を第1レンズ間偏芯量目標値と一致させる。
同様に、例えば、調芯位置計算制御機構12は、上記数式(3)または(5)または(7)で算出した第2レンズ間偏芯量目標値を示す情報に基づいて、第2レンズ間偏芯量を第2レンズ間偏芯量目標値と一致させるように、上記マニピュレータ機構としての調整機構13の動作を制御する。調整機構13は、調芯位置計算制御機構12による制御に応じて、第1レンズL1〜第3レンズL3の少なくとも1枚を移動させ、第2レンズ間偏芯量を第2レンズ間偏芯量目標値と一致させる。
なお、図2では、撮像レンズ121の光軸方向(同図の上下方向)をZ方向としている。また、図2では、撮像レンズ121の光軸に対する法線方向を、X方向およびY方向から成る平面上を伸びる任意の1方向としている。
そして、調整機構3と同様に、撮像レンズ121において発生する平行偏芯を、調芯により調整する場合、調整機構13は、X方向およびY方向から成る平面に沿うように、第1レンズL1〜第3レンズL3の少なくとも1枚を移動させられるものであればよい。
また、図2において、調整機構13は、第1レンズL1(第1レンズアレイ112a)と第2レンズL2(第2レンズアレイ112b)とを貼り合わせた状態で、これらのみを移動させる構成である。但し、調整機構13は、第3レンズL3(第3レンズアレイ112c)のみを移動させる構成であってもよいし、これら両方を移動させる構成であってもよいことは、言うまでも無い。また、調整機構13は、第1レンズL1(第1レンズアレイ112a)と第2レンズL2(第2レンズアレイ112b)とを、個別に移動させる構成であってもよいことも、言うまでも無い。
表示部14は、調芯位置計算制御機構12に接続されている。表示部14の機能自体は、表示部4と同様であるため、詳細な説明は省略する。
レンズ調芯装置120は、撮像レンズ121のように、撮像レンズを構成するレンズが3枚である場合において、レンズ調芯装置110(図1参照)と同等の効果を得ることができる。
加えて、レンズ調芯装置120において、数式(2)〜(7)に係るアルゴリズムは、MTFまたはコントラストを測定する処理を含まない。従って、撮像レンズ121のように、撮像レンズが3枚以上のレンズを備えている場合、第1レンズおよび/または第2レンズに対する第3レンズの位置が、第1レンズおよび第2レンズの位置に影響を与えることがない。また、第1レンズと第2レンズと第3レンズとの調芯を、レンズ毎に実施することができる。従って、装置構成の簡略化が可能となり、装置の低コスト化を図ることが可能となる。
また、レンズ調芯装置120が偏芯量を調整する対象である撮像レンズ121は、第1レンズアレイ112aと第2レンズアレイ112bと第3レンズアレイ112cとを貼り合わせ、これを第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3の組み合わせ毎に分割して製造されるのが好ましい。すなわち、撮像レンズ121は、ウエハレベルレンズプロセスにより製造されたウエハレベルレンズであるのが好ましい。
レンズ調芯装置120は、ウエハレベルレンズプロセスにおいて、簡単な装置構成を適用することが可能なものである。これにより、大量のウエハレベルレンズに対して、一括して調芯を行うことが可能となるので、撮像レンズ121の生産性の向上においてさらに有効である。ウエハレベルレンズプロセスおよびウエハレベルレンズの詳細については後述する。
さらに、以上の説明から、レンズ調芯装置120は、以下のように解釈することができる。
すなわち、レンズ調芯装置120は、レンズの偏芯および軸ズレ情報を検出する偏芯検出機構11と、レンズ間相対関係を調整する調芯機構(調整機構13)とを備えている。そして、レンズ調芯装置120は、偏芯検出情報から適切なレンズ間偏芯相対関係を算出し、現在の状態に対する調芯量を算出する機能を備える計算装置(調芯位置計算制御機構12)で装置全系を構成する。そして、レンズ調芯装置120は、計算した調芯情報を出力し、調芯機構により目的の調芯関係に調整を行うものである。加えて、レンズ調芯装置120は、第1レンズL1および第2レンズL2に対する調芯後、第1レンズL1と第2レンズL2とを貼り合わせ、貼り合わせた第1レンズL1と第2レンズL2との組み合わせ、および第3レンズL3に対する調芯を行うのが好ましい。
〔ウエハレベルレンズプロセスによる撮像レンズの製造方法〕
撮像レンズ111(図1参照)および撮像レンズ121(図2参照)はいずれも、ウエハレベルレンズに限定されるものではなく、ウエハレベルレンズプロセス以外の製造方法により製造されるものであってもよい。ウエハレベルレンズプロセス以外の製造方法の一例としては、撮像レンズを構成する各レンズを射出成形により製造し、これらの各レンズを用いて撮像レンズを製造する方法が挙げられる。
但し、撮像レンズ111および撮像レンズ121を、ウエハレベルレンズプロセスにより製造されたウエハレベルレンズとすることで、短時間での大量生産が可能となり、製造コストを低減することが可能となる。また、これにより、リフローを施すことが可能な撮像レンズ111および撮像レンズ121を製造することも可能となる。
図3(a)〜(h)は、ウエハレベルレンズプロセスによる撮像レンズの製造方法を示す斜視図である。具体的に、図3(a)〜(d)には、撮像レンズ111の製造方法を示しており、図3(e)〜(h)には、撮像レンズ121の製造方法を示している。
まず、図3(a)〜(d)を参照して、ウエハレベルレンズプロセスによる撮像レンズ111の製造方法について説明する。
ここからは、図3(a)に示す工程について説明する。
樹脂(好ましくは、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂)から成るウエハを、金型上130aと金型下130bとにより挟み込み、ウエハを加熱して硬化させ、ウエハを第1レンズアレイ112aに成形する。
ここで、金型上130aは、第1レンズL1の面S1を、ウエハに複数成形することが可能であるように、ウエハを挟み込む面(転写面)に、面S1と反対の形状が複数形成されている。
同様に、金型下130bは、第1レンズL1の面S2を、ウエハに複数成形することが可能であるように、ウエハを挟み込む面に、面S2と反対の形状が複数形成されている。
また、金型上130aに形成された、面S1と反対の形状の各々と、金型下130bに形成された、面S2と反対の形状の各々とは、金型上130aと金型下130bとによりウエハを挟み込む際に、1対1に対応し、かつ対応する形状同士が互いに対向するように配置されている。
第1レンズアレイ112aに成形された、互いに対向する面S1および面S2の組み合わせが、1枚の第1レンズL1となる。
また、図3(a)には便宜上、金型上130aおよび金型下130bにより、ウエハを第1レンズアレイ112aに成形する例のみを示した。但し、実際はさらに、この例と同様の要領で、金型上130aおよび金型下130bにより、第1レンズアレイ112aと別のウエハを第2レンズアレイ112bに成形する。
すなわち、金型上130aにおける面S1と反対の形状を、第2レンズL2の面S3と反対の形状に変更する。同様に、金型下130bにおける面S2と反対の形状を、第2レンズL2の面S4と反対の形状に変更する。このように構成された金型上130aと金型下130bとにより、ウエハを挟み込むことにより、第2レンズアレイ112bを製造することが可能である。
第2レンズアレイ112bに成形された、互いに対向する面S3および面S4の組み合わせが、1枚の第2レンズL2となる。
ここからは、図3(b)に示す工程について説明する。
図3(a)に示す工程における成形によりそれぞれ得られた、第1レンズアレイ112aと第2レンズアレイ112bとを貼り合わせる。
このとき、第1レンズアレイ112aに成形された第1レンズL1と、それに対応する、第2レンズアレイ112bに成形された第2レンズL2とが、互いに対向配置されるように、上記の貼り合わせが行われる。より好ましくは、第1レンズアレイ112aに成形された各第1レンズL1と、第2レンズアレイ112bに成形された各第2レンズL2とが、1対1に対応し、かつ互いに対向配置されるように、上記の貼り合わせが行われる。
より具体的に、互いに対向配置された、第1レンズL1および第2レンズL2においては、上記の貼り合わせ後において、互いの光軸が同一直線上に位置しているのが理想である。
ここからは、図3(c)に示す工程について説明する。
第1レンズアレイ112aと第2レンズアレイ112bとを貼り合わせたものを、切断機器131により切断する。
ここで、切断機器131は、対向配置の関係にある第1レンズL1および第2レンズL2の組み合わせの1つである、レンズ組み合わせ132を単位として、上記の切断を行う。
切断機器131による切断後のレンズ組み合わせ132を、図3(d)に示している。
図3(d)に示す、1つのレンズ組み合わせ132が、撮像レンズ111に相当する。
続いて、図3(e)〜(h)を参照して、ウエハレベルレンズプロセスによる撮像レンズ121の製造方法について説明する。但し、ここでは、図3(a)〜(d)を参照して説明した、ウエハレベルレンズプロセスによる撮像レンズ111の製造方法と異なる点についてのみ、説明を行う。
ここからは、図3(e)に示す工程のうち、図3(a)に示す工程と異なる点について説明する。
図3(e)に示す工程では、図3(a)に示す工程で製造した第1レンズアレイ112aおよび第2レンズアレイ112bに加え、これらの製造と同様の要領で、金型上130aおよび金型下130bにより、第1レンズアレイ112aとも第2レンズアレイ112bとも別のウエハを第3レンズアレイ112cに成形する。
すなわち、金型上130aにおける面S1または面S3と反対の形状を、第3レンズL3の面S5と反対の形状に変更する。同様に、金型下130bにおける面S2または面S4と反対の形状を、第3レンズL3の面S6と反対の形状に変更する。このように構成された金型上130aと金型下130bとにより、ウエハを挟み込むことにより、第3レンズアレイ112cを製造することが可能である。
第3レンズアレイ112cに成形された、互いに対向する面S5および面S6の組み合わせが、1枚の第3レンズL3となる。
ここからは、図3(f)に示す工程のうち、図3(b)に示す工程と異なる点について説明する。
図3(e)に示す工程における成形によりそれぞれ得られた、第1レンズアレイ112aと第2レンズアレイ112bと第3レンズアレイ112cとを貼り合わせる。
このとき、第1レンズアレイ112aに成形された第1レンズL1と、それに対応する、第2レンズアレイ112bに成形された第2レンズL2と、それらに対応する第3レンズアレイ112cに成形された第3レンズL3とが、互いに対向配置されるように、上記の貼り合わせが行われる。より好ましくは、第1レンズアレイ112aに成形された各第1レンズL1と、第2レンズアレイ112bに成形された各第2レンズL2と、第3レンズアレイ112cに成形された各第3レンズL3とが、1対1対1に対応し、かつ互いに対向配置されるように、上記の貼り合わせが行われる。
より具体的に、互いに対向配置された、第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3においては、上記の貼り合わせ後において、互いの光軸が同一直線上に位置しているのが理想である。
ここからは、図3(g)に示す工程のうち、図3(c)に示す工程と異なる点について説明する。
第1レンズアレイ112aと第2レンズアレイ112bと第3レンズアレイ112cとを貼り合わせたものを、切断機器131により切断する。
ここで、切断機器131は、対向配置の関係にある第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3の組み合わせの1つである、レンズ組み合わせ133を単位として、上記の切断を行う。
切断機器131による切断後のレンズ組み合わせ133を、図3(h)に示している。
図3(h)に示す、1つのレンズ組み合わせ133が、撮像レンズ121に相当する。
なお、実際の撮像レンズは、撮像レンズ111または撮像レンズ121に対して、開口絞り、および撮像レンズの像面を保護するためのカバーガラス等の部品を搭載して構成するのが一般的である。該部品が搭載された撮像レンズの構成については、後述する。
〔部品が搭載された撮像レンズの構成(レンズ2枚)〕
図4は、レンズが2枚である撮像レンズの構成を示す断面図であり、撮像レンズ111(図1参照)に対して部品を搭載した状態を示す図である。
図4の断面図では、X(紙面に対して垂直な)方向、Y(紙面上下)方向、およびZ(紙面左右)方向が規定されている。
具体的に、Z方向は、撮像レンズ140の光軸Laの延伸方向である。X方向およびY方向はそれぞれ、光軸Laに対する法線方向のうちの1方向である。Z方向とY方向とは、互いに垂直である。X方向は、Z方向およびY方向の両方に対して垂直な方向である。
撮像レンズ140に関して、Z方向は、物体143側(物体側)から像面S9側(像面側)へと向かう方向、ならびに、像面S9側から物体143側へと向かう方向を示している。
なお、図4に示すX方向、Y方向、およびZ方向は、それぞれ、図1に示すX方向、Y方向、およびZ方向と整合していると言うこともできる。
撮像レンズ140は、物体143側から像面S9側へと向かって順に、開口絞り142、第1レンズL1、第2レンズL2、およびカバーガラスCGが配置された構成である。撮像レンズ140は、撮像レンズ111と同様に、第1レンズL1および第2レンズL2という、2枚のレンズによって構成されている。
カバーガラスCGは、物体143側に向けた面S7、および像面S9側に向けた面S8を有している。
開口絞り142は、第1レンズL1の面S1の、有効口径の周りを取り囲むように設けられている。開口絞り142は、撮像レンズ140に入射した光が、第1レンズL1および第2レンズL2を適切に通過することを可能とするために、撮像レンズ140に入射した光の軸上光線束の直径を制限することを目的に設けられている。
物体143は、撮像レンズ140が結像する対象物であり、換言すれば、撮像レンズ140が撮影(撮像)の対象とする被写体である。
第1レンズL1は、正の屈折力を有しており、物体143側に向けた面S1が凸面(凸形状)である、周知のメニスカスレンズである。従って、第1レンズL1は、像面S9側に向けた面S2が該メニスカスレンズの凹面(凹形状)である。
レンズにおける「凹形状」および「凹面」はいずれも、レンズが中空に曲がっている部分、すなわち、レンズが内側に曲がっている状態を示している。一方、レンズにおける「凸形状」および「凸面」はいずれも、レンズの球状表面が外側に曲がっている状態を示している。
第2レンズL2は、負の屈折力を有しており、物体143側に向けた面S3が凹形状である。
カバーガラスCGは、第2レンズL2と像面S9との間に設けられている。カバーガラスCGは、像面S9に対して被覆されることで、物理的ダメージ等から像面S9を保護するためのものである。
像面S9は、撮像レンズ140の光軸Laに対して垂直で、像が形成される面であり、実像は、像面S9に置かれた図示しないスクリーン上で観察することができる。
ここで、図4では、撮像レンズ140全体としての光軸を、光軸Laとしているが、第1レンズL1および第2レンズL2の個々の光軸についても、光軸La上に位置するのが理想的である。
図5は、撮像レンズ140の、MTF‐像高特性を示すグラフである。
図6は、撮像レンズ140の、デフォーカスMTF(MTF‐フォーカスシフト位置特性)を示すグラフである。
図7(a)は、撮像レンズ140の非点収差の特性を示すグラフであり、図7(b)は、撮像レンズ140の歪曲の特性を示すグラフである。
図5および図6に示すグラフはいずれも、縦軸にMTF(単位:無)を示している。
図5に示すグラフは、横軸に像高(単位:mm)を示しており、像高h0(0mm)〜像高h1.0(1.75mm)に関する、タンジェンシャル像面およびサジタル像面における各特性を示している。また、図5には、空間周波数が「ナイキスト周波数/4(71.4lp/mm)」である場合の特性と、空間周波数が「ナイキスト周波数/2(142.9lp/mm)」である場合の特性とを示している。
図6に示すグラフは、横軸にフォーカスシフト位置(単位:mm)を示しており、像高h0、像高h0.2(0.35mm)、像高h0.4(0.7mm)、像高h0.6(1.05mm)、像高h0.8(1.4mm)、および像高h1.0の各々に関する、タンジェンシャル像面(T)およびサジタル像面(S)における各特性を示している。また、図6には、空間周波数が「ナイキスト周波数/4」である場合の特性を示している。
また、具体的に、図7(a)は、撮像レンズ140の、縦軸に示した像高に対する、横軸に示した像面湾曲(単位:mm)の関係を示しており、図7(b)は、撮像レンズ140の、縦軸に示した像高に対する、横軸に示した歪曲(単位:%)の関係を示している。
以下では、MTFが0.2以上である場合を、高い解像力とみなす。
撮像レンズ140を参照する実施の形態に示す像高は、最大像高を1.75mmとして、絶対値(0mm〜1.75mm)で表す場合と、最大像高を1(h1.0)としたときの該最大像高に対する割合(h0〜h1.0)で表す場合とがある。該絶対値と割合との対応関係の一例を、以下に示す。
0mm=像高h0(像の中心)
0.175mm=像高h0.1(像の中心から、最大像高の1割に該当する高さ)
0.35mm=像高h0.2(像の中心から、最大像高の2割に該当する高さ)
0.7mm=像高h0.4(像の中心から、最大像高の4割に該当する高さ)
1.05mm=像高h0.6(像の中心から、最大像高の6割に該当する高さ)
1.4mm=像高h0.8(像の中心から、最大像高の8割に該当する高さ)
1.75mm=像高h1.0(最大像高)
また、上記ナイキスト周波数は、撮像レンズを通過した光を受光するセンサ(撮像素子)のナイキスト周波数に対応する値とされており、該センサの画素のピッチから計算される、解像可能な空間周波数の値である。具体的に、該センサのナイキスト周波数Nyq.(単位:lp/mm)は、
Nyq.=1/(上記センサの画素のピッチ)/2
により算出される。
また、撮像レンズ140の各光学特性を得るために、物体距離が1200mmであると仮定すると共に、図示しないシミュレーション光源として、次の重みづけによる(白色を構成する各波長の混合割合が、下記のように調整された)白色光を用いた。
404.66nm=0.13
435.84nm=0.49
486.1327nm=1.57
546.07nm=3.12
587.5618nm=3.18
656.2725nm=1.51
図5に示すグラフ151〜154はそれぞれ、以下の測定結果を示している。グラフ151は、空間周波数が「ナイキスト周波数/4」である場合の、サジタル像面のMTF特性を示している。グラフ152は、空間周波数が「ナイキスト周波数/4」である場合の、タンジェンシャル像面のMTF特性を示している。グラフ153は、空間周波数が「ナイキスト周波数/2」である場合の、サジタル像面のMTF特性を示している。グラフ154は、空間周波数が「ナイキスト周波数/2」である場合の、タンジェンシャル像面のMTF特性を示している。
撮像レンズ140は、グラフ151〜153に対応する各条件では、像高h0〜h1.0のどの像高においても、MTFが0.2を超えている。また、撮像レンズ140は、グラフ154に対応する条件でも、像高h0〜およそh0.9(1.575mm)であればMTFが0.2を超えており、それより高い像高においても、MTFの極端な落ち込みは見られない。従って、撮像レンズ140は、像の周辺(すなわち、像高h1.0およびその近傍の像部分)におけるコントラストが良好であると言える。
図6に示すとおり、撮像レンズ140は、0mmのフォーカスシフト位置において、像高h0〜h1.0のどの像高においても、サジタル像面およびタンジェンシャル像面共に、MTFが0.2を超えている(高解像力である)。なお、この0mmのフォーカスシフト位置は、像面S9(図4参照)に該当する。
図7(a)および(b)によれば、撮像レンズ140は、残存収差量が小さい(光軸Laに対する法線方向に対する、各収差の大きさのズレが小さい)ことから、良好な光学特性を有していることが分かる。
図8は、撮像レンズ140の設計データを示した表である。
図8に示す各項目の定義は、以下のとおりである。
「構成」:撮像レンズ140の各構成要素。すなわち、項目「レンズ」において、「L1」は第1レンズL1を、「L2」は第2レンズL2を、それぞれ意味している。また、項目「面」において、「S1」〜「S4」はそれぞれ、面S1〜面S4を意味している。
「Nd(材料)」:撮像レンズ140を構成する各レンズの、d線(波長:587.6nm)に対する屈折率。
「νd(材料)」:撮像レンズ140を構成する各レンズの、d線に対するアッベ数。
「有効半径」:面S1〜面S4の各レンズ面の有効半径(光束の範囲を規制可能な円領域の半径)。単位はmm。
「曲率」:面S1〜面S4の各レンズ面の曲率。単位はmm-1。
「非球面係数」:面S1〜面S4の各レンズ面の、非球面を構成する非球面式(8)における、i次の非球面係数Ai(iは4以上の偶数)。非球面式(8)において、Zは光軸方向(Z方向)の座標であり、xは光軸に対する法線方向(X方向)の座標であり、Rは曲率半径(対応する上記曲率の逆数)であり、Kはコーニック(円錐:Conic)係数である。
図9は、撮像レンズ140を備えた撮像モジュールの設計仕様の一例を示した表である。但し、撮像モジュールについては、図示を省略している。
図9に示す各項目の定義は、以下のとおりである。
「Sensor」:上記撮像モジュールに適用されたセンサ。
「Size」:上記センサのサイズを、対角(Diagonal)、水平(Horizontal)、および垂直(Vertical)という3種類(3次元)の値で示している。単位はmm。
「Pixel pitch」:上記センサの画素ピッチ。単位はμm。
「F number」:撮像レンズ140のFナンバー。なお、撮像レンズのFナンバーは、撮像レンズ全系の等価焦点距離を、撮像レンズ全系の入射瞳径で割った値で表される。
「Focal length」:撮像レンズ140全系の焦点距離。単位はmm。
「Field of view」:撮像レンズ140の画角を、対角(Diagonal)、水平(Horizontal)、および垂直(Vertical)という3種類(3次元)の値で示している。単位はdeg(°)。
「TV distortion」:撮像レンズ140のTV歪み(テレビディストーション)。単位は%。
「Relative illumination」:像高h0.6、像高h0.8、および像高h1.0の3箇所における、撮像レンズ140の周辺光量比。周辺光量比とは、像の中心である像高h0において得られる光量に対する、該当箇所において得られる光量の比率を意味している。単位は%。
「CRA(Chief Ray Angle)」:像高h0.6、像高h0.8、および像高h1.0の3箇所における、主光線角度。単位はdeg。
「Optical length」:撮像レンズ140の光学全長。単位はmm。
「CG thickness」:撮像レンズ140に設けられたカバーガラスCGの、光軸La方向の厚み。単位はmm。
「Hyper focal distance」:撮像レンズ140の過焦点距離。過焦点距離とは、被写界深度の最遠点が無限遠にまで拡がるように焦点合わせをした時の物体距離(レンズから被写体までの距離)を意味している。単位はmm。
「Object distance」:物体距離。
「Design wave weight」:シミュレーション光源としての白色光の重みづけ(詳細は前述)。
〔部品が搭載された撮像レンズによる調芯の検証(レンズ2枚)〕
図4に示す撮像レンズ140を用いて、調芯についての検証を行った。
上記検証にあたって、解析を行う像高は、像高h0(中心像高)、像高h0.79、および像高h(−0.79)とした。
ここで、像高hL(但し、0<L≦1.0)と、像高h(−L)との違いについて説明する。
像高h0は、上述したとおり、像の中心である。このため、当然ながらこの像は、像高h0より高い位置と、像高h0より低い位置との両方に存在することになる。換言すれば、像高h0の高さを0とすると、この像は、0を上回る高さの領域と、0を下回る高さの領域との両方に形成されていることになる。
通常、像高hLという表現は、0を上回る高さの領域で見た像高と、0を下回る高さの領域で見た像高との両方を包含する表現となる。しかしながら、本実施の形態における説明においては、0を上回る高さの領域で見た像高と、0を下回る高さの領域で見た像高とは、区別して考える必要がある場合がある。
そこで、0を上回る高さの領域で見た像高と、0を下回る高さの領域で見た像高とを区別して考える必要がある場合、前者を像高hLと表現する一方、後者を像高h(−L)と表現する。
像高hLと像高h(−L)とは、像高h0からの離間距離が同じである一方、像高h0からの離間方向が、互いに正反対になっていると言える。但し、像高hLおよび像高h(−L)はいずれも、像高h0から、撮像レンズの光軸Laに対する法線方向に離れており、この点については共通である。
なお、本発明に係る「所定距離y」および「所定距離−y」という表現についても、上記の像高hLと像高h(−L)との違いについての考え方に基づく表現である。
すなわち、「所定距離y」と「所定距離−y」とでは、距離が同じである一方、方向が互いに正反対になっていると言える。また、「所定距離y」および「所定距離−y」はいずれも、撮像レンズの光軸Laに対する法線方向の距離であり、この点については共通である。
また、上記検証にあたって、解析を行う特性は、空間周波数が70lp/mm(およそ、ナイキスト周波数/4)の場合における、デフォーカス特性(デフォーカスMTF)とした。詳細なデフォーカス特性については、図10を参照されたい。
また、上記検証を行うために、図示しないシミュレーション光源として、次の重みづけによる白色光を用いた。
455nm=0.098
502nm=0.504
558nm=1
614nm=0.502
661nm=0.098
また、図11(a)および(b)は、上記数式(1)により、撮像レンズ140全体としての偏芯量を調整するときに、第1レンズL1および/または第2レンズL2を移動させるイメージを示す断面図である。具体的に、図11(a)には、該移動の必要が無い場合、換言すれば、第1レンズ偏芯量が0である場合の例を示している一方、図11(b)には、該移動の必要が有る場合、換言すれば、第1レンズ偏芯量が0でない場合の例を示している。
なお、図11(a)および(b)には、CGおよびセンサ210をさらに図示している。
以上のような撮像レンズ140に対して、レンズ調芯装置110(図1参照)による調芯を適用した場合のシミュレーション例について、以下に説明する。
1つ目のシミュレーション例として、偏芯検出機構1が測定した第1レンズ偏芯量が、2μmである場合について説明する。
第1レンズ偏芯量が2μmである場合、調芯位置計算制御機構2が上記数式(1)により求めたレンズ間偏芯量目標値は、−4μm(面S1に対する面S2の光軸の位置ズレが生じる方向と反対の方向に4μm)となる。
調整機構3は、調芯位置計算制御機構2による制御に応じて、レンズ間偏芯量が上記レンズ間偏芯量目標値と一致するように、第1レンズL1および/または第2レンズL2を移動させる。すなわち、調整機構3は、面S2に対する面S3の偏芯が−4μmとなるように、第1レンズL1および/または第2レンズL2を移動させる。
2つ目のシミュレーション例として、偏芯検出機構1が測定した第1レンズ偏芯量が、5μmである場合について説明する。
第1レンズ偏芯量が5μmである場合、調芯位置計算制御機構2が上記数式(1)により求めたレンズ間偏芯量目標値は、−10μm(面S1に対する面S2の光軸の位置ズレが生じる方向と反対の方向に10μm)となる。
調整機構3は、1つ目のシミュレーション例の場合と同様の要領で、面S2に対する面S3の偏芯が−10μmとなるように、第1レンズL1および/または第2レンズL2を移動させる。
図12は、1つ目のシミュレーション例による調芯が終了したときの、撮像レンズ140のデフォーカスMTFを示すグラフである。
図13は、2つ目のシミュレーション例による調芯が終了したときの、撮像レンズ140のデフォーカスMTFを示すグラフである。
図12によれば、1つ目のシミュレーション例による調芯が終了したとき、撮像レンズ140は、0mmのフォーカスシフト位置において、像高h0〜h1.0のどの像高においても、サジタル像面およびタンジェンシャル像面共に、MTFが0.2を超えている。図13によれば、2つ目のシミュレーション例による調芯が終了したとき、撮像レンズ140は、0mmのフォーカスシフト位置において、像高h0〜h1.0のどの像高においても、サジタル像面およびタンジェンシャル像面共に、MTFが0.2を超えている。なお、この0mmのフォーカスシフト位置は、像面S9(図4参照)に該当する。
従って、撮像レンズ140は、1つ目のシミュレーション例による調芯によっても、2つ目のシミュレーション例による調芯によっても、その偏芯量が適切に調整されていることが分かる。
ここで、上記数式(1)によれば、撮像レンズ140のような、レンズが2枚である撮像レンズに対する偏芯量の調整において、調芯位置計算制御機構2は、面S3に対する面S4の偏芯量である第2レンズ偏芯量を考慮していない。
この理由は、レンズが2枚である撮像レンズにおいては、第2レンズ偏芯量の変動に応じたデフォーカス特性の変動度合が非常に小さいため、該第2レンズ偏芯量として、比較的大きな偏芯量を許容することができるためである。換言すれば、レンズが2枚である撮像レンズにおける第2レンズ偏芯量は、誤差感度が非常に低い。
図14は、第2レンズ偏芯量が10μmであり、第1レンズ偏芯量およびレンズ間偏芯量が0μmである場合の、撮像レンズ140のデフォーカスMTFを示すグラフである。
図14に示すデフォーカスMTFは、図12および図13のそれぞれに示すデフォーカスMTFとほとんど変わらない。このことから、レンズが2枚である撮像レンズにおける第2レンズ偏芯量は、誤差感度が非常に低いということが分かる。
〔レンズの両面間で発生する偏芯に伴う、調芯の公差〕
特許文献2に開示されている調芯方法に関し、撮像レンズを構成する複数のレンズ間での偏芯量は、単純に小さいことがよいわけではなく、レンズの両面間において偏芯が発生する限り、それに対応する適切な、複数のレンズ間での偏芯量が存在する。
特に、携帯機器向けカメラモジュール用の撮像レンズにおいて、撮像レンズを構成する各レンズの両面間における偏芯は、撮像レンズの製造公差に係る各種項目の中でも、比較的影響が大きいものである。このため、レンズの両面間において発生する偏芯量に応じた、適切な調芯関係が存在することを考慮して、撮像レンズの調芯を行う必要がある。
このことを、図4に示す撮像レンズ140を参照して説明する。
図15は、撮像レンズ140における、面S1上にある光軸に対する、面S2上にある光軸および面S3上にある光軸の位置関係の一例を示すグラフである。
図15に示すグラフにおいて、縦軸はY方向の位置(単位:μm)であり、横軸はX方向の位置(単位:μm)である。
図15に示すグラフでは、上記位置関係の一例として、面S1上にある光軸の位置を基準(Y方向の0μm)とする。そして、面S2上にある光軸の位置を、Y方向の2μmとした。
さらに、面S3上にある光軸の位置については、Y方向の1μmである場合(パターンS3(a)と称する)と、Y方向の−2μmである場合(パターンS3(b)と称する)との2パターンを示した。
図16は、パターンS3(a)における、撮像レンズ140のデフォーカスMTFを示すグラフである。
図17は、パターンS3(b)における、撮像レンズ140のデフォーカスMTFを示すグラフである。
パターンS3(a)とパターンS3(b)とを比較すると、撮像レンズ140全体としての偏芯量は、パターンS3(a)のほうが小さい。
ところが、図16および図17によれば、パターンS3(a)よりもむしろ、パターンS3(b)のほうが、良好なデフォーカス特性を示している。
このように、レンズの両面間において偏芯が発生する限り、それに対応する適切な、複数のレンズ間での偏芯量が存在することが分かる。
そして、パターンS3(b)は、調芯位置計算制御機構2による上記数式(1)の計算結果と等しくなっている。
〔部品が搭載された撮像レンズの構成(レンズ3枚)〕
図18は、レンズが3枚である撮像レンズの構成を示す断面図であり、撮像レンズ121(図2参照)に対して部品を搭載した状態を示す図である。
図18に示す撮像レンズ280は、以下で説明する点が、図4に示す撮像レンズ140と異なるものである。
撮像レンズ140と異なり、撮像レンズ280は、第1レンズL1および第2レンズL2に加え、第3レンズL3を備えている。なお、第3レンズL3は、第2レンズL2と像面S9(より具体的には、カバーガラスCG)との間に配置されている。
すなわち、撮像レンズ280は、物体143側から像面S9側へと向かって順に、開口絞り142、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、およびカバーガラスCGが配置された構成である。撮像レンズ280は、撮像レンズ121と同様に、第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3という、3枚のレンズによって構成されている。
また、撮像レンズ140と撮像レンズ280とでは、第1レンズL1および第2レンズL2の各形状が若干異なっているが、第1レンズL1および第2レンズL2の各々の、おおまかな特色については同じであるとみなすことができる。
すなわち、撮像レンズ280の第1レンズL1は、正の屈折力を有しており、物体143側に向けた面S1が凸面(凸形状)である、周知のメニスカスレンズである。また、撮像レンズ280の第2レンズL2は、負の屈折力を有しており、物体143側に向けた面S3が凹形状である。
第3レンズL3は、正の屈折力を有している。
さらに、第3レンズL3は、像面S9側に向けた面S6のうち、中心s6およびその近傍に対応する中央部分c6が凹形状であると共に、中央部分c6の周りである周辺部分p6が凸形状である。つまり、面S6は、窪んでいる中央部分c6と、出張っている周辺部分p6とが切り替わる変曲点を有する形状であると解釈することができる。ここで言う変曲点とは、レンズにおける有効半径内でのレンズ断面形状の曲線において、非球面頂点の接平面が光軸と垂直な平面となるような非球面上の点を意味する。
面S6に変曲点を有している撮像レンズ280では、Z方向に関して、中央部分c6を通過する光線がより物体143側にて結像可能となると共に、周辺部分p6を通過する光線がより像面S9側にて結像可能となる。このため、撮像レンズ280は、中央部分c6における凹形状、ならびに周辺部分p6における凸形状の具体的な形状に応じて、像面湾曲をはじめとする各種収差を補正することが可能となる。
図19は、撮像レンズ280の、MTF‐像高特性を示すグラフである。
図20は、撮像レンズ280の、デフォーカスMTFを示すグラフである。
図21(a)は、撮像レンズ280の非点収差の特性を示すグラフであり、図21(b)は、撮像レンズ280の歪曲の特性を示すグラフである。
図19および図20に示すグラフはいずれも、縦軸にMTF(単位:無)を示している。
図19に示すグラフは、横軸に像高(単位:mm)を示しており、像高h0(0mm)〜像高h1.0(1.792mm)に関する、タンジェンシャル像面およびサジタル像面における各特性を示している。また、図19には、空間周波数が「ナイキスト周波数/4(89.3lp/mm)」である場合の特性と、空間周波数が「ナイキスト周波数/2(178.6lp/mm)」である場合の特性と、空間周波数が「ナイキスト周波数(357.1lp/mm)」である場合の特性とを示している。
図20に示すグラフは、横軸にフォーカスシフト位置(単位:mm)を示しており、像高h0、像高h0.2(0.3584mm)、像高h0.4(0.7168mm)、像高h0.6(1.0752mm)、像高h0.8(1.4336mm)、および像高h1.0の各々に関する、タンジェンシャル像面(T)およびサジタル像面(S)における各特性を示している。また、図20には、空間周波数が「ナイキスト周波数/4」である場合の特性を示している。
また、具体的に、図21(a)は、撮像レンズ280の、縦軸に示した像高に対する、横軸に示した像面湾曲(単位:mm)の関係を示している。図21(b)は、撮像レンズ280の、縦軸に示した像高に対する、横軸に示した歪曲(単位:%)の関係を示している。つまり、図21(a)および(b)に示す撮像レンズ280の特性は、それぞれ、図7(a)および(b)に示す撮像レンズ140の特性に対応する。
以下では、MTFが0.2以上である場合を、高い解像力とみなす。
撮像レンズ280を参照する実施の形態に示す像高は、最大像高を1.792mmとして、絶対値(0mm〜1.792mm)で表す場合と、最大像高を1(h1.0)としたときの該最大像高に対する割合(h0〜h1.0)で表す場合とがある。該絶対値と割合との対応関係の一例を、以下に示す。
0mm=像高h0(像の中心)
0.1792mm=像高h0.1
0.3584mm=像高h0.2
0.7168mm=像高h0.4
1.0752mm=像高h0.6
1.4336mm=像高h0.8
1.792mm=像高h1.0
また、撮像レンズ280の各光学特性を得るために、物体距離が無限遠であると仮定すると共に、撮像レンズ140の各光学特性を得るために用いたものと同じ、シミュレーション光源としての白色光を用いた。
図19に示すグラフ291〜296はそれぞれ、以下の測定結果を示している。グラフ291は、空間周波数が「ナイキスト周波数/4」である場合の、サジタル像面のMTF特性を示している。グラフ292は、空間周波数が「ナイキスト周波数/4」である場合の、タンジェンシャル像面のMTF特性を示している。グラフ293は、空間周波数が「ナイキスト周波数/2」である場合の、サジタル像面のMTF特性を示している。グラフ294は、空間周波数が「ナイキスト周波数/2」である場合の、タンジェンシャル像面のMTF特性を示している。グラフ295は、空間周波数が「ナイキスト周波数」である場合の、サジタル像面のMTF特性を示している。グラフ296は、空間周波数が「ナイキスト周波数」である場合の、タンジェンシャル像面のMTF特性を示している。
撮像レンズ280は、グラフ291〜294に対応する各条件では、像高h0〜h1.0のどの像高においても、MTFが0.2を超えている。従って、撮像レンズ280は、空間周波数が「ナイキスト周波数/2」以下である場合、像の周辺(すなわち、像高h1.0およびその近傍の像部分)におけるコントラストが良好であると言える。一方、撮像レンズ280は、グラフ295および296に対応する各条件では、像高h0〜h1.0のどの像高においても、MTFが0.2を下回っている。
図20に示すとおり、撮像レンズ280は、0mmのフォーカスシフト位置において、像高h0〜h1.0のどの像高においても、サジタル像面およびタンジェンシャル像面共に、MTFが0.2を超えている(高解像力である)。なお、この0mmのフォーカスシフト位置は、像面S9(図18参照)に該当する。
図21(a)および(b)によれば、撮像レンズ280は、残存収差量が小さい(光軸Laに対する法線方向に対する、各収差の大きさのズレが小さい)ことから、良好な光学特性を有していることが分かる。
図22は、撮像レンズ280の設計データを示した表である。
図22に示す各項目の定義は、以下のとおりである。
「構成」:撮像レンズ280の各構成要素。すなわち、「絞り」は開口絞り142の絞り面を、「L1」は第1レンズL1を、「L2」は第2レンズL2を、「L3」は第3レンズL3を、「CG」はカバーガラスCGを、「センサ」はセンサが設けられる面(像面S9)を、それぞれ意味している。また、「S0」〜「S9」はそれぞれ、開口絞り142の絞り面S0、面S1〜面S8、および像面S9を意味している。
「曲率」:面S1〜面S6の各レンズ面の曲率。単位はmm-1。
「厚み」:面S0〜面S9の中心厚。すなわち、対応する面の中心から、像面S9側に向かって次の面の中心までの、光軸Laの方向(Z方向)の距離。単位はmm。
「有効半径」:面S0〜面S6、および像面S9の有効半径。単位はmm。
「非球面係数」:面S1〜面S6の各レンズ面の、非球面を構成する非球面式(8)における、i次の非球面係数Ai(iは4以上の偶数)。
図23は、撮像レンズ280を備えた撮像モジュールの設計仕様の一例を示した表である。但し、撮像モジュールについては、図示を省略している。
図23に示す各項目の定義は、以下のとおりである。
「Lens」:撮像レンズ280の構成。
「construction」:撮像レンズ280の構成のうち、レンズの枚数。ここで言う「3P」とは、レンズが3枚であることを示している。
「Nd」:撮像レンズ280を構成する各レンズ(L1〜L3)の、d線に対する屈折率。
「νd」:撮像レンズ280を構成する各レンズ(L1〜L3)の、d線に対するアッベ数。
「Sensor」:上記撮像モジュールに適用されたセンサ。
「Pixel size」:上記センサの画素ピッチ。単位はμm。
「Resolution」:上記センサの画素数。水平(H)および垂直(V)の値を示している。単位はピクセル。
「Size」:上記センサのサイズを、対角(D)、水平(H)、および垂直(V)という3種類(3次元)の値で示している。単位はmm。
「F number」:撮像レンズ280のFナンバー。
「Focal length」:撮像レンズ280全系の焦点距離。単位はmm。
「Field of view」:撮像レンズ280の画角を、対角(Diagonal)、水平(Horizontal)、および垂直(Vertical)という3種類(3次元)の値で示している。単位はdeg(°)。
「Optical distortion」:像高h0.6、像高h0.8、および像高h1.0の3箇所における、撮像レンズ280の歪曲(光学ディストーション)。単位は%。
「TV distortion」:撮像レンズ280のTV歪み。単位は%。
「Relative illumination」:像高h0.6、像高h0.8、および像高h1.0の3箇所における、撮像レンズ280の周辺光量比。単位は%。
「CRA」:像高h0.6、像高h0.8、および像高h1.0の3箇所における、主光線角度。単位はdeg。
「Optical length」:撮像レンズ280の光学全長。単位はmm。
「CG thickness」:撮像レンズ280に設けられたカバーガラスCGの、光軸La方向の厚み。単位はmm。
「Hyper focal distance」:撮像レンズ280の過焦点距離。単位はmm。
〔部品が搭載された撮像レンズによる調芯の検証(レンズ3枚)〕
図18に示す撮像レンズ280を用いて、調芯についての検証を行った。
上記検証にあたって、解析を行う像高は、像高h0(中心像高、第1位置)、像高h0.8(第2位置)、および像高h(−0.8)(第3位置)とした。つまり、ここでは、像高h0から像高h0.8までの距離が、本発明に係る「所定距離y」となる。
像高hLと像高h(−L)との違いについての考え方、ならびに「所定距離y」と「所定距離−y」との違いについての考え方は、対象となる撮像レンズが、撮像レンズ140であるか撮像レンズ280であるかという点を除くと、項目〔部品が搭載された撮像レンズによる調芯の検証(レンズ2枚)〕で説明した考え方と同じである。
また、上記検証にあたって、解析を行う特性は、空間周波数が89.3lp/mm(ナイキスト周波数/4)の場合における、デフォーカス特性(デフォーカスMTF)とした。詳細なデフォーカス特性については、図24を参照されたい。
また、上記検証を行うために、撮像レンズ140における同様の検証を行うために用いたものと同じ、シミュレーション光源としての白色光を用いた。
図25は、撮像レンズ280における偏芯により発生する、Z方向における像面位置のズレ量のシミュレーション結果に基づいて、調芯位置計算制御機構12による計算を行う要領の一部を示す表である。
「設計値」:撮像レンズ280における偏芯が発生していない場合のデータを示している。
「軸ズレs2 to s1(L1)」:第1レンズ偏芯量に関するデータを示している。
「軸ズレs4 to s3(L2)」:第2レンズ偏芯量に関するデータを示している。
「軸ズレs3 to s2(L1-L2)」:第1レンズ間偏芯量に関するデータを示している。
「軸ズレs6 to s5(L3)」:第3レンズ偏芯量に関するデータを示している。
「軸ズレs5 for s4(L2-L3)」:第2レンズ間偏芯量に関するデータを示している。
「軸ズレ」:項目「状態」に示す各項目についての、偏芯量の想定値。単位はμmであり、文字「a」で示すことができる。項目「状態」に示す項目毎に、複数の想定値が設けられている。
「h0に対する像面位置ズレ」:項目「軸ズレ」に示す各項目についての、また、サジタル像面およびタンジェンシャル像面の各々についての、像高h0における像面位置に対する、像高h0.8における像面位置の、Z方向におけるズレ量である第1−第2ズレ量を示している。また、項目「軸ズレ」に示す各項目についての、また、サジタル像面およびタンジェンシャル像面の各々についての、像高h0における像面位置に対する、像高h(−0.8)における像面位置の、Z方向におけるズレ量である第1−第3ズレ量を示している。単位はμm。
すなわち、
「+y tan.」:タンジェンシャル像面における第1−第2ズレ量を示しており、文字「b」で示すことができる。
「+y sag.」:サジタル像面における第1−第2ズレ量を示しており、文字「c」で示すことができる。
「-y tan.」:タンジェンシャル像面における第1−第3ズレ量を示しており、文字「d」で示すことができる。
「-y sag.」:サジタル像面における第1−第3ズレ量を示しており、文字「e」で示すことができる。
「像面位置の差」:項目「軸ズレ」に示す各項目についての、また、サジタル像面およびタンジェンシャル像面の各々についての、第1−第2ズレ量と第1−第3ズレ量との差を示している。タンジェンシャル像面についての差は、文字「b」および「d」を用いて「b-d」と表現することができ、サジタル像面についての差は、文字「c」および「e」を用いて「c-e」と表現することができる。単位はμm。
「単位軸ズレあたりの像面位置の差」:項目「軸ズレ」に示す各項目についての、また、サジタル像面およびタンジェンシャル像面の各々についての、偏芯量の想定値1μmに対する像面位置のズレ量、およびその平均値。
特に、項目「単位軸ズレあたりの像面位置の差」に関して、
「sag.」および「tan.」:項目「軸ズレ」に示す各項目についての、また、サジタル像面およびタンジェンシャル像面の各々についての、偏芯量の想定値1μmに対する像面位置のズレ量。タンジェンシャル像面についての該ズレ量は、文字「a」を用いて「(b-d)/a」と表現することができ、サジタル像面についての該ズレ量は、文字「a」を用いて「(c-e)/a」と表現することができる。
「平均値(=α)」:サジタル像面およびタンジェンシャル像面の各々についての、項目「状態」に示す項目毎の、偏芯量の想定値1μmに対する像面位置のズレ量の平均値。ここで言う平均値とは、具体的に、項目「状態」に示す項目の1つに対して複数設けた想定値毎に対応する、複数の該ズレ量の平均値である。
ここで、撮像レンズ280における第1レンズ偏芯量について、図25に示すシミュレーション結果に基づく、調芯位置計算制御機構12による計算の要領について説明する。なお、撮像レンズ280における、第2レンズ偏芯量、第1レンズ間偏芯量、第3レンズ偏芯量、および第2レンズ間偏芯量の各々に関する要領については、以下で説明する第1レンズ偏芯量に関する要領と同様になるため、ここでは詳細な説明を省略する。
以下、撮像レンズ280におけるサジタル像面を単にサジタル像面と称し、撮像レンズ280におけるタンジェンシャル像面を単にタンジェンシャル像面と称する。
まず、撮像レンズ280における第1レンズ偏芯量について、偏芯量の想定値を複数設定する。図25では、項目「軸ズレ」に示すように、該想定値として、1μm、2μm、および3μmの3値を設定した。
続いて、設定した想定値1μmについて、第1−第2ズレ量(像高h0における像面位置に対する、像高h0.8における像面位置の、Z方向におけるズレ量)および第1−第3ズレ量(像高h0における像面位置に対する、像高h(−0.8)における像面位置の、Z方向におけるズレ量)を求める。第1−第2ズレ量および第1−第3ズレ量はいずれも、サジタル像面およびタンジェンシャル像面のそれぞれについて求める。
設定した想定値2μm、および想定値3μmのそれぞれについても同様に、サジタル像面およびタンジェンシャル像面のそれぞれについて、第1−第2ズレ量および第1−第3ズレ量を求める。
ここで、上述したとおり、タンジェンシャル像面における第1−第2ズレ量を文字「b」で示し、サジタル像面における第1−第2ズレ量を文字「c」で示し、タンジェンシャル像面における第1−第3ズレ量を文字「d」で示し、サジタル像面における第1−第3ズレ量を文字「e」で示す。
すると、設定した想定値1μmについて、以下の値が得られた。
・b:−18.3μm
・c:−7.1μm
・d:−1.3μm
・e:0.9μm
また、設定した想定値2μmについて、以下の値が得られた。
・b:−26.8μm
・c:−10.7μm
・d:6.9μm
・e:4.2μm
また、設定した想定値3μmについて、以下の値が得られた。
・b:−34.4μm
・c:−14.5μm
・d:14.7μm
・e:8.0μm
続いて、設定した想定値1μmについて、第1−第2ズレ量と第1−第3ズレ量との差を求める。第1−第2ズレ量と第1−第3ズレ量との差は、サジタル像面およびタンジェンシャル像面のそれぞれについて求める。
設定した想定値2μm、および想定値3μmのそれぞれについても同様に、サジタル像面およびタンジェンシャル像面のそれぞれについて、第1−第2ズレ量と第1−第3ズレ量との差を求める。
すると、設定した想定値1μmについて、以下の値が得られた。
・b-d:−17.0μm
・c-e:−8.0μm
また、設定した想定値2μmについて、以下の値が得られた。
・b-d:−33.7μm
・c-e:−14.9μm
また、設定した想定値3μmについて、以下の値が得られた。
・b-d:−49.1μm
・c-e:−22.5μm
続いて、設定した想定値1μm、想定値2μm、および想定値3μmのそれぞれについて、偏芯量の想定値1μmに対する像面位置のズレ量を求める。このために、サジタル像面およびタンジェンシャル像面のそれぞれについて求めた、第1−第2ズレ量と第1−第3ズレ量との差を、対応する偏芯量の想定値で除算する。
ここで、上述したとおり、偏芯量の想定値を文字「a」で示す。
すると、設定した想定値1μm(a=1μm)について、以下の値が得られた。
・(b-d)/a:−17.0
・(c-e)/a:−8.0
また、設定した想定値2μm(a=2μm)について、以下の値が得られた。
・(b-d)/a:−16.9
・(c-e)/a:−7.4
また、設定した想定値3μm(a=3μm)について、以下の値が得られた。
・(b-d)/a:−16.4
・(c-e)/a:−7.5
続いて、設定した想定値1μm、想定値2μm、および想定値3μmのそれぞれについて求めた、偏芯量の想定値1μmに対する像面位置のズレ量(すなわち、上記除算の商)の平均値を、サジタル像面およびタンジェンシャル像面のそれぞれについて求める。
ここで、以下の値が得られた。
・タンジェンシャル像面についての上記平均値:(−17.0−16.9−16.4)÷3=−16.75
・サジタル像面についての上記平均値:(−8.0−7.4−7.5)÷3=−7.63
そして、タンジェンシャル像面についての上記平均値をαtan.2とし、サジタル像面についての上記平均値をαsag.2とする。
さらに、撮像レンズ280における、第2レンズ偏芯量、第1レンズ間偏芯量、第3レンズ偏芯量、および第2レンズ間偏芯量の各々についても同様の要領で、以下の値を求める。
αtan.4:第2レンズ偏芯量に対応する、タンジェンシャル像面における上記平均値
αsag.4:第2レンズ偏芯量に対応する、サジタル像面における上記平均値
αtan.3:第1レンズ間偏芯量に対応する、タンジェンシャル像面における上記平均値
αsag.3:第1レンズ間偏芯量に対応する、サジタル像面における上記平均値
αtan.5:第2レンズ間偏芯量に対応する、タンジェンシャル像面における上記平均値
図26および図27は、図25に示すシミュレーションに係る、縦軸に示す上記項目「像面位置の差」と、横軸に示す上記項目「軸ズレ」との関係を示すグラフである。
図26は、第1レンズ偏芯量(図中L1)、第2レンズ偏芯量(図中L2)、および第1レンズ間偏芯量(図中L1−2)についての、サジタル像面およびタンジェンシャル像面における上記関係を示している。
また、図27は、第3レンズ偏芯量(図中L3)、および第2レンズ間偏芯量(図中L2−3)についての、サジタル像面およびタンジェンシャル像面における上記関係を示している。
また、図28は、図25に示すシミュレーションにより決定された、αsag.2、αsag.3、αsag.4、αtan.2、αtan.3、αtan.4、およびαtan.5の数値を示す表である。
また、図29は、図28に示した各数値を、上記数式(2)および(3)に代入した結果を示す表である。図29には、代入により得られた、第1レンズ間偏芯量(図中L1−2)、および第2レンズ間偏芯量(図中L2−3)の目標値を示している。図29は、第1レンズ偏芯量(図中L1)および第2レンズ偏芯量(図中L2)がいずれも3μmである場合の例である。
図29において、「decenter」は既に発生している偏芯量を、「adjust dec.」は偏芯量の目標値を、それぞれ示している。また、図29において、「factor」は偏芯量の種類を、「dec.」は偏芯量の数値を、それぞれ示している。
図30は、図29に示す第1レンズ偏芯量および第2レンズ偏芯量があり、図29に示す第1レンズ間偏芯量および第2レンズ間偏芯量の目標値により偏芯量が調整されていない状態での、撮像レンズ280のデフォーカスMTFを示すグラフである。
第1レンズ偏芯量および第2レンズ偏芯量がある場合、偏芯量が調整されていないと、撮像レンズ280においては、像面S9の位置のバラつきが大きくなるため、図30に示すように良好なデフォーカス特性が得られない。
図31は、図29に示す第1レンズ偏芯量および第2レンズ偏芯量があり、図29に示す第1レンズ間偏芯量目標値により偏芯量が調整された状態での、撮像レンズ280のデフォーカスMTFを示すグラフである。
図32は、図29に示す第1レンズ偏芯量および第2レンズ偏芯量があり、図29に示す第2レンズ間偏芯量目標値により偏芯量が調整された状態での、撮像レンズ280のデフォーカスMTFを示すグラフである。
図31に示すとおり、図29に示す第1レンズ間偏芯量目標値による調芯により、撮像レンズ280では、サジタル像面のバラつきが補正された。この操作に伴い、撮像レンズ280では、タンジェンシャル像面のバラつきも補正される。
図32に示すとおり、図29に示す第2レンズ間偏芯量目標値による調芯により、撮像レンズ280では、タンジェンシャル像面のバラつきが補正された。
なお、場合によっては、本発明のアルゴリズムのタンジェンシャル像面に係る数値とサジタル像面に係る数値とを入れ換えても良い。
また、場合によっては、第1レンズ間偏芯量目標値による調芯にのみ、本発明の調芯構造を適用してもよい。
最後に、図33(a)〜(f)には、第1レンズ偏芯量と第2レンズ偏芯量との、異なるいくつかのパターンに対して、調芯位置計算制御機構12による調芯を適用したシミュレーション結果を示した。
なお、図33(a)〜(f)における各数値の定義は、図29の表と同様である。
なお、レンズ調芯装置110により、レンズが3枚以上である撮像レンズに対して、同様に、第1レンズL1および第2レンズL2における偏芯量を調整してもよい。この場合、第1レンズL1および第2レンズL2よりも該撮像レンズの像面側に位置するレンズについては、特に偏芯量を厳密に調整する必要はない。
また、レンズ調芯装置120により、レンズが4枚以上である撮像レンズに対して、同様に、第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3における偏芯量を調整してもよい。この場合、第1レンズL1および第2レンズL2よりも該撮像レンズの像面側に位置するレンズについては、特に偏芯量を厳密に調整する必要はない。
また、数式(2)と数式(4)とは、数式内において、サジタル像面における平均値がタンジェンシャル像面における平均値に、タンジェンシャル像面における平均値がサジタル像面における平均値に入れ替えられた関係にあると解釈することができる。数式(3)と数式(5)とについても同様である。
ここで、撮像レンズ121の調芯を行う際のコンセプトについて説明する。
1枚のレンズにおける両面間での偏芯、および、レンズとレンズとの間での偏芯に起因して生じる、像面位置のずれ量に基づいて偏芯を行う。このとき、レンズとレンズとの間での偏芯により、1枚のレンズにおける両面間での偏芯を相殺するように、調芯を行う。
例えば、サジタル像面について、第1レンズL1と第2レンズL2との間での偏芯を用いて調芯を行う一方、タンジェンシャル像面について、第2レンズL2と第3レンズL3との間での偏芯を用いて調芯を行う。タンジェンシャル像面について、第1レンズL1と第2レンズL2との間での偏芯を用いて調芯を行う一方、サジタル像面について、第2レンズL2と第3レンズL3との間での偏芯を用いて調芯を行ってもよい。
調芯においては、数式(9)および(10)から得られる、数式(2)および(3)ならびに数式(4)および(5)のいずれかが用いられている。ここで、「αx」とはαsag.xであるか、αtan.xである(但し、x=2〜5のいずれか)。
〔3枚レンズの撮像レンズ用レンズ調芯装置に係る変形例〕
図34は、レンズが3枚である別の撮像レンズの構成を示す断面図であり、撮像レンズ121(図2参照)に対して部品を搭載した状態を示す図である。
図34に示す撮像レンズ420は、基本的な構成については、図18に示す撮像レンズ280と同じであると言える。
図35は、撮像レンズ420の設計データを示した表である。
図35に示す各項目の定義は、以下のとおりである。
「構成」:撮像レンズ420の各構成要素。すなわち、「L1」は第1レンズL1を、「L2」は第2レンズL2を、「L3」は第3レンズL3を、「CG」はカバーガラスCGを、「センサ」はセンサが設けられる面(像面S9)を、それぞれ意味している。また、「S1」〜「S9」はそれぞれ、面S1〜面S8、および像面S9を意味している。光軸Laに関し、「S1」は絞り(開口絞り142)が設けられている箇所とも等しい。
「Nd(材料)」:撮像レンズ420を構成する各レンズの、d線に対する屈折率。
「νd(材料)」:撮像レンズ420を構成する各レンズの、d線に対するアッベ数。
「曲率」:面S1〜面S6の各レンズ面の曲率。単位はmm-1。
「厚み」:面S1〜面S9の中心厚。単位はmm。
「有効半径」:面S1〜面S9の有効半径。単位はmm。
「非球面係数」:面S1〜面S6の各レンズ面の、非球面を構成する非球面式(8)における、i次の非球面係数Ai(iは4以上の偶数)。
なお、図35における「(定数a)E(定数b)」の表記は「(定数a)×10の(定数b)乗」を示しているものとする。
図36は、撮像レンズ420における偏芯により発生する、Z方向における像面位置のズレ量のシミュレーション結果に基づいて、調芯位置計算制御機構12による計算を行う要領の一部を示す表である。図36の表は図25の表に対応するものであるが、「h0に対する像面位置ズレ」の定義が図25の表と若干異なる。
「h0に対する像面位置ズレ」:項目「軸ズレ」に示す各項目についての、また、サジタル像面およびタンジェンシャル像面の各々についての、像高h0における像面位置に対する、像高h0.6における像面位置の、Z方向におけるズレ量である第1−第2ズレ量を示している。また、項目「軸ズレ」に示す各項目についての、また、サジタル像面およびタンジェンシャル像面の各々についての、像高h0における像面位置に対する、像高h(−0.6)における像面位置の、Z方向におけるズレ量である第1−第3ズレ量を示している。単位はmm。
図36の表に示すとおり、図25の表の場合と同様の計算により、αtan.2、αtan.3、αtan.4、およびαtan.6を求める。
αtan.6:第3レンズ偏芯量に対応する、タンジェンシャル像面における上記平均値
そして、数式(6)により、第1レンズ間偏芯量目標値を算出し、数式(7)により、第2レンズ間偏芯量目標値を算出する。
図37は、図36に示すシミュレーションに係る、項目「像面位置の差」と、項目「軸ズレ」との関係を示すグラフである。図37のグラフは、図26および図27の両グラフに対応するものである。
図37は、第1レンズ偏芯量(図中L1)、第2レンズ偏芯量(図中L2)、第3レンズ偏芯量(図中L3)、第1レンズ間偏芯量(図中L1−2)、および第2レンズ間偏芯量(図中L2−3)についての、サジタル像面およびタンジェンシャル像面における上記関係を示している。第2レンズ間偏芯量は、像面S9の位置のバラつきに対する影響が小さい。
図38(a)〜(d)は、第1レンズ偏芯量と第2レンズ偏芯量と第3レンズ偏芯量との、異なるいくつかのパターンに対して、調芯位置計算制御機構による調芯を適用したシミュレーション結果を示した表およびグラフである。図38(a)〜(d)の各々は、図33(a)〜(f)の各々に対応するものである。どの像高であっても、タンジェンシャル像面およびサジタル像面のいずれにおいても、MTFがピークとなるフォーカスシフト位置がほぼ同じであり、像面S9の位置が揃っていることが分かる。
また、数式(2)と数式(4)との関係、ならびに、数式(3)と数式(5)との関係と同様に、数式(6)内において、タンジェンシャル像面における平均値がサジタル像面における平均値に入れ替えられてもよい。
レンズが3枚である撮像レンズであっても、数式(2)〜(5)では調芯を行うことが困難であるものがある。具体例として、面S4に対する面S5の偏芯が大きい場合であっても、このズレが像面S9のZ方向のバラつきに及ぼす影響が小さいものが挙げられる。この場合、数式(2)〜(5)でなく、数式(6)および(7)を用いるのが好ましい場合がある。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。