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JP5775266B2 - ウェハ状基板の分割方法 - Google Patents
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本発明は、半導体基板などのウェハ状の基板にレーザ光を照射して分割基点ラインを形成し、その後に外力を加えて基板を分割する方法に関し、特に、高速性と切断容易性とを有すると共に、微粒子の飛散を抑制できる分割方法に関する。
LED等の光半導体のウェハからチップに分割する加工方法としては、スクライブブレーク法が広く知られている。そして、スクライブ方法は、近年では、ダイアモンドポイントヘッドによる機械的な罫書き加工から、レーザ光を照射するV溝カット法に変更されつつある(特許文献1、特許文献2参照)。
V溝カット法では、レーザ光を表面付近に当てて、熱溶融によって内部まで溶かすことでV字状の切断溝を形成する。しかし、このV溝カット法では、溶融した基板素材が溢れ出し、切断溝の周辺に再固着したり、アブレーションにより照射位置の周辺に微粒子が飛散して再固着するため、切り出されたチップの不良要因となっていた。
そこで、多光子吸収現象を利用して基板内部を改質脆化させる分割法(以下、多光子吸収切断法という)も提案されている(特許文献3、特許文献4参照)。この多光子吸収切断法は、レーザ光に対して高い透過性を有する素材であっても、光エネルギーを集中させて多光子吸収を生じさせることで、素材内部を改質させて脆化を図るものである。
特許第3449201号公報(日亜化学工業) 特許第4286488号公報(キャノンマシナリー) 特許第3624909号公報(浜松ホトニクス) 特許第3626442号公報(浜松ホトニクス)
上記した特許文献3〜4の発明では、基板表面から所定距離だけ内側に改質領域を形成するので、V溝カット法における問題点が解消される点で優れている。
しかし、何れの特許文献も、切断起点ラインを形成する場合の最適条件を教示するものではない。すなわち、多光子吸収切断法において、基板素材の性質に対応したレーザ光の最適な照射条件は未だ知られていない。
本発明は、上記の課題に着目してなされたものであって、レーザ光を最適に照射して分割基点ラインを形成して基板を適切に分割できる分割方法を提供することを目的とする。
レーザ光に対して高い透過度を有する素材であっても、素材に応じた特定の閾値を超えて光エネルギーを集中させると、多光子吸収が起きることが知られている。そして、多光子吸収によって原子結合をはずされた物質は、エネルギーの高い領域から低い領域にかけて電子励起→イオン化・ラジカル化→素材内部のプラズマ・アブレーション(溶融・気化混合状態)→溶融→高温固体→元固体のように状態が変化すると推定される。
しかし、上記の現象は、エネルギーレベルや、その持続時間などに応じて状態変化の速度などが異なる。そこで、本発明者は、条件を変えた種々の実験を繰り返して、分割に最適な照射条件を検出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、使用するレーザ光に対して分光透過度が高いウェハ状の基板の裏面を粘着シートに貼着した状態で、所定の照射レーザ光を照射しつつ、所定の走査速度で走査して、基板内部に結晶破壊層を形成すると共に、結晶破壊層に連続して基板表面に至る改質領域を形成して分割基点ラインを形成する走査工程と、前記粘着シートの下方から、分割基点ラインに沿って、ライン状の外力を基板に直交して加えることで、基板表面の改質領域を開口させて分割する加圧工程と、を有して構成され分割方法であって、厚さ100μmのサファイア単結晶の基板に対する走査工程では、波長532nm、繰り返し周波数200KHz、パルス幅20pSec、パルスエネルギー2μJ/Pulseの照射レーザ光が、焦点深さ照射側表面下30μm、ビームスポット径2μmに設定されて、走査速度400mm/secで走査されるか、又は、波長1064nm、繰り返し周波数5MHz、パルス幅30pSec、パルスエネルギー5μJ/Pulseの照射レーザ光が、焦点深さ照射側表面下35μm、ビームスポット径2μmに設定されて、走査速度200mm/secで走査される。
本発明では、図1(a)に示すように、パルス幅τでパルス周波数Fのレーザ光が使用される。本発明では、このようなレーザ光を走査速度Vで走査させるので、パルス周期T(=1/F)毎に、直径Φのレーザスポットが形成され、このレーザスポットが、走査方向にV*τだけ継続される。なお、レーザ光は、レンズやミラーで集光されて焦点位置で最小直径Φに絞られるが、本発明のビームスポット径は、焦点位置におけるレーザ光の直径(ビームウエスト直径)を意味する。
図1(b)は、レーザ光の焦点位置を平面的に図示したものであり、ビームスポット径Φのレーザスポットが、走査方向に、Φ+V*τだけ継続して散点状に形成されることを示している。もっとも、パルス周波数F=200KHz〜MHzは、パルス周期T=0.2〜5μSecを意味し、パルス幅τ=10〜30pSecに対して、τ<<Tの関係が成立するので、事実上、Φ+V*τ=Φとなる。
図1(b)に示す通り、レーザスポットの重複距離は、走査方向に(Φ+V*τ)−P=Φ+V/F−P≒Φ−P=Φ−V/Fである。ここで、実施例1と実施例2についてΦ−V/Fを計算すると、実施例1では、Φ−V/F=2μm−400mm/200k=0となり、実施例2では、Φ−V/F=2μm−200mm/5M=1.96μm(=0.98Φ)となる。そして、この関係を整理すると、実施例1ではV/F=Φ、実施例2ではV/F=0.02Φとなる。
本発明で加工対象となる基板は、半導体基板やガラス平板が典型的であり、30μm〜1mm程度の厚みを有するのが一般的である。このような場合、ビームスポット径Φは、好ましくは、照射軸に垂直な平面で1μm〜10μm程度に設定され、照射方向の焦点深度は、好ましくは、3μm〜50μmに設定される。なお、焦点深度とは、最小径のビームスポット径Φが、ルート2倍に広がる範囲を特定するレイリー長さを意味する。
本発明の走査工程において、基板表面を開口させても良いが、必ずしも開口させる必要はない。何れにしても、本発明では、照射エネルギーを最適に設定して基板表面の開口部を狭く設定することで、開口部から放出される気化・溶融粒子の飛散汚染を抑えることができる。
基板内部の結晶破壊層から表面にかけて改質領域を形成するには、所定の波長で所定のエネルギーのレーザ光を、所定の焦点位置に照射する必要があり、素材毎に最適値が特定される。但し、パルスエネルギーは、焦点位置において1〜10000J/cmであって、1パルス後毎に、1〜10μJ程度に設定されるのが好ましい。
また、焦点位置は、好ましくは、基板の板厚に対して、照射表面から20〜45%の深さに形成するべきである。基板の板厚Dは、特に限定されないが、典型的には、30μm〜1mm程度の板厚Dであり、基板表面からD*0.2〜D*0.45の位置が最適な焦点位置となる。なお、基板の素材の屈折率は、一般に空気の屈折率より大きいために、照射に用いる対物レンズの焦点位置より深い位置が焦点位置となる。
ところで、基板がやや反っている場合や、板厚が不正確な場合もある。そこで、このような場合には、走査工程に先行して基板表面の位置を計測する計測工程を設けるか、或いは、走査工程においてレーザ照射の直前に基板表面を計測して、対物レンズなどの照射光学系を制御しつつレーザ光を走査させることで、焦点位置を所定位置に維持するのが好ましい。
基板の素材は、特に限定されないが、バンドギャップエネルギーが3〜9eVである基板素材が好適に使用される。この場合、波長500〜1200nmのレーザ光を用いるのが好適であり、この場合には、焦点以外の部位に低エネルギー光束が当たっても吸収を起こさない。具体的な基板素材とは、例えば、サファイアAl 8.8eV(吸収帯140nm以下)、シリコンカーバイドSiC 3.3eV(吸収帯376nm以下)、窒化ガリウムGaN 3.4eV(吸収帯365nm以下)を例示することができる。
また、上記素材の組み合わせで構成されるGaN系LEDなどの基板に本発明を適用することもでき、各素材の透過性が高いので、このような基板においても、本発明によれば、焦点位置にエネルギーを集中させ他の領域にダメージを与えない。
本発明の加圧工程では、ライン状の外力を与えて分割基点から亀裂を拡大させ破断に至らしめる。加工対象となる基板は、一般に、平板状であって、1辺10mm以下の方形状の素子が格子状に作成されている。そして、素子サイズが500μm〜100μmの極小の場合、素子間の隙間は、30μm〜10μm程度であるので、高精度に垂直な破断面が要求される。しかし、本発明では、基板に直交して、ライン状の外力を加えるので上記の要請に応えることができる。
また、分割された個片がバラバラになると事前測定した各個辺特性データとの照合が出来なくなり、また、姿勢がランダムになると搬送整列も困難になる。そこで、好ましくは、レーザ照射側の反対面に粘着シートを配置すると共に、粘着シート越しに押圧部材の刃先を基板の直交方向に押し当て、基板を押し上げ、分割基点を押し開くよう応力を与えるのが好ましい(図2参照)。
なお、走査工程に使用される改質機構と、加圧工程で使用される分轄機構とは同一装置内で実現されてもよいし、別装置で実現し順次加工される作業工程を採っても良い。また、走査工程における走査回数は、必要に応じて複数回としても良い。
上記した通り、本発明では、レーザ光の一回の走査で内部改質と分割基点の生成がなされるので、加工効率に優れている。そして、本発明では、素材の溶融や質量喪失を目指さないため、エネルギー量が抑制され、且つ、レーザ光の高速走査が可能となる。
また、本発明では、表面開口部が、質量喪失を伴わない破断面もしくは脆弱な改質閉口面となるため、表面機能素子部へのデブリの飛散については極少もしくは解消される。そして、本発明の走査工程では、ほぼ基板内部だけが改質されるため、結晶外由来元素による化合物を生成することもない。
本発明を説明する図面である。 実施例の加圧工程を説明する図面である。 実施例1を説明する写真である。 実施例2を説明する写真である。
以下、本発明者が実施した多数の実験結果のうち、代表例を2つだけ実施例として説明する。但し、何れの実施例も特に本発明を限定するものではない。
実験条件は、以下の通りである。
粘着シートに貼り付けたウェハ状の加工対象物を、シートを下にしてXY移動テーブル上に搭載し、真空吸着により移動テーブルに吸着保持して実験に供した。ウェハ表面に上記の条件でレーザ照射しながら、テーブルを一直線に移動させ、改質層を連続させ、スクライブライン(分割基点ライン)とした。
その後、下記の機能を持つ分割機にかけて個片化を行った。すなわち、個片化はスクライブラインに沿ってレーザ照射面と反対面から粘着シートを介して先端が鋭利なナイフ状の刃を押し込んで行った。
レーザ照射面には保護シートを貼り表面を保護して上でスクライブラインと並行でかつ同ラインを中心に対称的に一定間隔離した2枚の支持板で受け、押し込むナイフ先端接触部を支点としてレーザ照射面に作成した開口基点から開口するような力を与えて分割した(図2参照)。
この操作を一定ピッチでX方向Y方向に直交したスクライブライン群に対して行い、最後に粘着シートを四方に引き伸ばし個片を取り出し可能にした。
図3(a)は個辺の分割断面を示す写真であり、図3(b)は、シートを四方に引き伸ばした状態を示す平面写真である。
実験条件は、以下の通りである。
その後、実施例1と同様の手順で分割操作を実施した。図4(a)は、個辺の分割断面を示す写真であり、図4(b)は、シートを四方に引き伸ばした状態を示す平面写真である。

Claims (5)

  1. 使用するレーザ光に対して分光透過度が高いウェハ状の基板の裏面を粘着シートに貼着した状態で、所定の照射レーザ光を照射しつつ、所定の走査速度で走査して、基板内部に結晶破壊層を形成すると共に、結晶破壊層に連続して基板表面に至る改質領域を形成して分割基点ラインを形成する走査工程と、
    前記粘着シートの下方から、分割基点ラインに沿って、ライン状の外力を基板に直交して加えることで、基板表面の改質領域を開口させて分割する加圧工程と、を有して構成され、
    厚さ100μmのサファイア単結晶の基板に対する走査工程では、
    波長532nm、繰り返し周波数200KHz、パルス幅20pSec、パルスエネルギー2μJ/Pulseの照射レーザ光が、焦点深さ照射側表面下30μm、ビームスポット径2μmに設定されて、走査速度400mm/secで走査されることを特徴とする基板の分割方法。
  2. 使用するレーザ光に対して分光透過度が高いウェハ状の基板の裏面を粘着シートに貼着した状態で、所定の照射レーザ光を照射しつつ、所定の走査速度で走査して、基板内部に結晶破壊層を形成すると共に、結晶破壊層に連続して基板表面に至る改質領域を形成して分割基点ラインを形成する走査工程と、
    前記粘着シートの下方から、分割基点ラインに沿って、ライン状の外力を基板に直交して加えることで、基板表面の改質領域を開口させて分割する加圧工程と、を有して構成され、
    厚さ100μmのサファイア単結晶の基板に対する走査工程では、
    波長1064nm、繰り返し周波数5MHz、パルス幅30pSec、パルスエネルギー5μJ/Pulseの照射レーザ光が、焦点深さ照射側表面下35μm、ビームスポット径2μmに設定されて、走査速度200mm/secで走査されることを特徴とする基板の分割方法。
  3. 請求項1又は2に記載の分割方法を使用する電子素子の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の分割方法を実現する基板分割システムであって、
    使用するレーザ光に対して分光透過度が高いウェハ状の基板の裏面を粘着シートに貼着した状態で、所定の照射レーザ光を照射しつつ、所定の走査速度で走査して、基板内部に結晶破壊層を形成すると共に、結晶破壊層に連続して基板表面に至る改質領域を形成して分割基点ラインを形成する走査機構と、
    前記粘着シートの下方から、分割基点ラインに沿って、ライン状の外力を基板に直交して加えることで、基板表面の改質領域を開口させて分割する加圧機構と、を有して構成され基板分割システム。
  5. 前記走査機構は、予め基板表面を走査することで基板表面の位置を特定する検査動作を先行させて動作する請求項4に記載の分割システム。
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