以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図10は、本実施の形態に係る硬貨繰り出し装置およびこの硬貨繰り出し装置を備えた硬貨入出金機を示す図である。
まず、本実施の形態による硬貨入出金機の構成について図1および図2を用いて説明する。図1等に示すような硬貨入出金機10は、例えば、店舗のレジにおいてPOSレジスタと通信して硬貨の入金や出金を行うようになっている。
図1に示すように、硬貨入出金機10は、前面を開口した筐体12と、この筐体12の前面から引出可能な本体ユニット14とを備えている。筐体12から突出する本体ユニット14の前部上面には、硬貨を投入するための硬貨投入口16が形成されている。また、筐体12から突出する本体ユニット14の前部上面には、操作用や設定用のボタンが設けられた操作部18、および操作や設定等に関する各種表示をする液晶表示器や金種別の硬貨収納量を表示するLED表示器等の表示部20がそれぞれ設けられている。また、本体ユニット14の前面の右側下部に出金トレイ22が設けられており、この出金トレイ22の上面に、機内から払い出される硬貨が硬貨放出口24を介して放出される硬貨出金口26が形成されている。
図2に示すように、硬貨入出金機10の本体ユニット14には、硬貨投入口16に投入された硬貨を一枚ずつ繰り出すための繰出機構30が設けられている。この繰出機構30には、硬貨投入口16の下方に設けられ当該硬貨投入口16に投入された硬貨を受け入れる受入部32と、この受入部32の底面を構成する搬送ベルト34とが設けられている。搬送ベルト34は無端状の平ベルトからなり、図2における右側から左側に向けた硬貨繰出方向に硬貨を搬送するようになっている。搬送ベルト34上での通路幅は、処理されるべき硬貨のうちの最大径硬貨よりも大きく最小径硬貨の二枚分よりも小さい寸法に規制されている。また、搬送ベルト34の搬送方向における受入部32の下流側の箇所には逆転ローラ36が設けられている。この逆転ローラ36は搬送ベルト34とわずかな隙間を隔てて当該搬送ベルト34の上方に設けられており、逆転ローラ36と搬送ベルト34との間の隙間の大きさは、硬貨一枚分の通過を許容するような大きさとなっている。この逆転ローラ36は、搬送ベルト34の硬貨繰出方向に対して逆方向に回転し、硬貨繰出方向(図2における左方向)へ繰り出されようとする搬送ベルト34上の硬貨を1層1列状態に整列させるようになっている。
また、硬貨入出金機10の本体ユニット14には、搬送ベルト34から受け渡された硬貨を一枚ずつ搬送する搬送機構40が設けられている。この搬送機構40は、複数のプーリ42に張架された無端状の突起付きベルト等の搬送ベルト44からなり、この搬送ベルト44には、硬貨に係合してこの係合された硬貨を搬送する突起部(図示せず)が等間隔で複数設けられている。搬送ベルト34の硬貨繰出方向における逆転ローラ36の下流側にはガイド部材38が設けられており、搬送ベルト34により繰り出された硬貨はガイド部材38により搬送機構40に受け渡されるようになっている。搬送ベルト34から搬送機構40に受け渡された硬貨は、識別通路46、排除通路50、中間通路54、分類通路56を順に通るよう、搬送ベルト44により搬送される。識別通路46には識別部48が設けられており、この識別部48により硬貨の材質、径等が検出されて硬貨の金種や真偽等が識別されるようになっている。また、排除通路50にはリジェクト部52が設けられており、識別部48での識別の結果、リジェクト硬貨と識別されたリジェクト硬貨がこのリジェクト部52により排除されるようになっている。リジェクト部52により排除された硬貨は、後述する搬送ベルト78により搬送され、硬貨放出口24を介して硬貨出金口26に返却されるようになっている。
また、硬貨入出金機10の本体ユニット14には、硬貨を金種別に収納する複数の収納機構60が設けられている。各収納機構60の構成の詳細については後述する。そして、分類通路56には、搬送ベルト44により搬送される硬貨を金種別に分類して各収納機構60に収納させる複数の分類部58が設けられている。図2に示すように、各分類部58は各収納機構60に対応して設けられている。各分類部58には、分類通路56から硬貨が落下する分類孔58aが形成されており、搬送方向最下流側の分類孔58aを除く各分類孔58aには分類ゲート58bが設けられている。各分類ゲート58bは対応する分類孔58aを選択的に開くようになっており、分類ゲート58bが分類孔58aを開いたときに、搬送ベルト44により搬送される硬貨がこの分類孔58aから落下して収納機構60に収納されるようになっている。分類通路56において各分類部58の搬送方向上流側には、分類ゲート58bの開閉タイミングを取ったり各収納機構60への硬貨の分類を確認したりするために、搬送ベルト44により搬送される硬貨を検出する硬貨検出センサ58cがそれぞれ設けられている。
また、硬貨入出金機10の本体ユニット14には、各収納機構60から繰り出された硬貨を搬送する搬送機構76が設けられている。この搬送機構76は搬送ベルト78からなり、この搬送ベルト78により各収納機構60から繰り出された硬貨が一枚ずつ図2における下方向に搬送されて硬貨放出口24を介して硬貨出金口26に送られるようになっている。
また、図2に示すように、硬貨入出金機10の機体内には制御部100が設けられており、この制御部100により硬貨入出金機10の各構成要素が制御されるようになっている。
次に、硬貨入出金機10の本体ユニット14に設けられた各収納機構60の構成の詳細について図3および図4を用いて説明する。図3は、図2における硬貨入出金機10の収納機構60の内部構成を詳細に示す平面図で、上部の部材を省略したものであり、図4は、図3に示す収納機構60の断面図である。
図3に示すように、硬貨を金種別に収納する複数の収納機構60が並列に設けられている。より詳細には、図3において上から順に1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨をそれぞれ収納する6つの収納機構60が設けられている。各収納機構60には、複数の硬貨をランダム状態で収納する収納部62が設けられており、各収納部62の底面には無端状の平ベルトからなる搬送ベルト64が配設されている。各収納部62の側面には開口63(図4参照)が設けられており、各収納部62に収納された硬貨は搬送ベルト64によりこの開口63から収納部62の外方(図3における右方向)へ繰り出されるようになっている。図4に示すように、搬送ベルト64は搬送ベルト駆動プーリ65等の複数のプーリに張架されており、この搬送ベルト64は搬送ベルト駆動プーリ65により駆動されて図4の矢印方向に循環移動するようになっている。搬送ベルト64により収納部62から繰り出された硬貨は、搬送機構76の搬送ベルト78上に送られるようになっている。
各収納部62における分類部58の分類孔58aの下方の箇所には傾斜したガイド部材61が設けられており、分類孔58aから収納部62に落下した硬貨はこのガイド部材61の傾斜面に沿って搬送ベルト64上に送られるようになっている。また、各収納部62の側面に形成された開口63を塞ぐよう、搬送ベルト64の上方には逆転ローラ66が設けられている。この逆転ローラ66と搬送ベルト64との間には、硬貨一枚分の通過を許容する隙間が形成されている。逆転ローラ66は、搬送ベルト64による硬貨の搬送方向に対して逆方向(図4における矢印方向)に回転し、硬貨繰出方向(図3および図4における右方向)へ繰り出されるようとする搬送ベルト64上の硬貨を1層1列状態に整列させるようになっている。
また、図3に示すように、各収納機構60において、搬送ベルト64の搬送方向における逆転ローラ66の下流側にはガイド部材68が設けられている。このガイド部材68は搬送ベルト64の上方に設けられており、このガイド部材68と搬送ベルト64との間の隙間は硬貨の厚さよりも小さくなっている。このため、逆転ローラ66と搬送ベルト64との間の隙間を通過した搬送ベルト64上の硬貨は、図3において上下方向に隣り合う一対のガイド部材68の間の領域を通過して搬送機構76に送られるようになっている。なお、図3に示すように、上下方向に隣り合う一対のガイド部材68の間の領域の大きさは、各収納機構60に収納されるべき金種の硬貨の直径の大きさに適合するよう、互いに異なるようになっている。
また、図3および図4に示すように、各収納機構60において、搬送ベルト64の搬送方向における逆転ローラ66の下流側にはストッパ用ソレノイド70が設けられている。図4に示すように、各ストッパ用ソレノイド70は、下方に伸びるプランジャ部分70aを有しており、このプランジャ部分70aは搬送ベルト64に向かって進退するようになっている。図4に示すようにプランジャ部分70aが搬送ベルト64に向かって伸びているときには、逆転ローラ66と搬送ベルト64との間の隙間を通過した搬送ベルト64上の硬貨は、ストッパ用ソレノイド70により停止させられて搬送機構76に送られないようになっている。一方、図4に示すような位置からプランジャ部分70aが搬送ベルト64から上方に退避したときには、このプランジャ部分70aにより停止させられた硬貨が搬送機構76に送られることとなる。
また、図4に示すように、各収納機構60において、搬送ベルト64の搬送方向における逆転ローラ66の下流側には硬貨検出部72が設けられている。この硬貨検出部72は発光部分72aと受光部分72bとから構成され、発光部分72aから発せられた光が受光部分72bにより受けられるようになっている。また、図3に示すように、各収納機構60には、発光部分72aから発せられた光が通過するためのセンサ孔72cが設けられている。逆転ローラ66と搬送ベルト64との間の隙間を通過した硬貨が搬送ベルト64により搬送機構76に送られる際に、硬貨検出部72の発光部分72aから発せられた光がこの硬貨により遮られて受光部分72bに届かなくなり、このことにより硬貨検出部72は収納機構60から搬送機構76に硬貨が送られたことを検出する。
各収納機構60において、ストッパ用ソレノイド70を励磁/解除することにより、当該収納機構60から硬貨を繰り出すか繰り出さないかを制御するようになっている。また、硬貨検出部72により、各収納機構60から繰り出された硬貨の枚数を計数するようになっている。これらの動作をそれぞれの収納機構60で行うことにより、必要な金種の硬貨を、必要な枚数ずつ各収納機構60から繰り出すことができる。
本実施の形態では、前述のように、各収納機構60から硬貨を繰り出して搬送機構76に送る際には、搬送ベルト64は図4における時計回りの方向に循環移動し、逆転ローラ66は図4における時計回りの方向に回転する。このことにより、各収納機構60の収納部62に収納された硬貨は、搬送ベルト64と逆転ローラ66との間の隙間を通過することにより、一枚ずつ収納部62から繰り出されることとなる。
一方、図9に示すように、搬送ベルト64と逆転ローラ66との間に二枚以上の硬貨が噛み込んでしまった場合には、噛み込まれた硬貨を解放するための噛み込み解除処理が行われる。具体的には、逆転ローラ66を図4における時計回りの方向に回転させながら、搬送ベルト64を硬貨繰り出し時とは逆の方向(すなわち、図4における反時計回りの方向)に循環移動させることにより、搬送ベルト64と逆転ローラ66との間に噛み込まれた硬貨を収納部62に押し戻して解放する。本実施の形態では、このような硬貨の噛み込み解除処理を行う際に、逆転ローラ66の回転速度を硬貨の通常搬送時における回転速度よりも小さくするようになっている。より具体的には、各収納機構60から硬貨を繰り出して搬送機構76に送る際には、逆転ローラ66の回転速度(周速:外周面の移動速度)は、搬送ベルト64の速度(表面の移動速度)よりもかなり速くなっており、具体的には例えば搬送ベルト64の速度の約3倍の大きさとなっている。これに対し、硬貨の噛み込み解除処理を行う際には、逆転ローラ66の回転速度を搬送ベルト64の速度と略同一とするようになっている。逆転ローラ66の回転速度を搬送ベルト64の速度と略同一とした場合には、噛み込んだ硬貨をそのままの姿勢で収納部62へ押し戻すことになるので、噛み込みがひどくなることはない。また、逆転ローラ66を、通常繰出時より低速で回転させることにより、逆転ローラ66に加えられるトルクが大きくなり、噛み込みを解除する能力が向上する。
上述のような搬送ベルト64および逆転ローラ66の動作について、以下に詳しく説明する。具体的には、図3等に示す各収納機構60において搬送ベルト64および逆転ローラ66を駆動する駆動機構80について図5乃至図8を用いて説明する。ここで、図5は、搬送ベルト64および逆転ローラ66を駆動する駆動機構80の上面図であり、図6乃至図8は、図5に示す駆動機構80の側面図である。
図5および図6に示すように、鉛直方向に延びるプレート98が搬送ベルト64の延びる方向に沿って当該搬送ベルト64の側方に設けられている。そして、搬送ベルト64および逆転ローラ66を駆動する駆動機構80は、プレート98に対して搬送ベルト64等の反対側に設けられている。
図5および図6に示すように、駆動機構80は、駆動プーリ81と、この駆動プーリ81に張架されたタイミングベルト82とを備えている。タイミングベルト82は無端状の丸ベルトから構成されている。また、図5および図6に示すように、プレート98に対して搬送ベルト64等の反対側には、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86、プーリ88、プーリ90、駆動力伝達プーリ92がそれぞれ設けられており、タイミングベルト82はこれらのプーリにも張架されるようになっている。そして、駆動プーリ81は(図示されない)駆動モータによって正逆両方向に回転するようになっており、この駆動プーリ81が回転すると、タイミングベルト82も同期して循環移動するようになっている。駆動プーリ81の回転方向は、前述した硬貨入出金機10の制御部100により制御されるようになっている。また、タイミングベルト82が循環移動すると、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84や逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86等も回転するようになっている。
搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84には軸84aが接続されており、この軸84aはプレート98を貫通して搬送ベルト駆動プーリ65に接続されている。このため、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84が回転すると軸84aを介して搬送ベルト駆動プーリ65も同期して回転するようになっている。
逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86には軸86aが接続されており、この軸86aはプレート98を貫通して逆転ローラ66に接続されている。このため、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86が回転すると軸86aを介して逆転ローラ66も同期して回転するようになっている。また、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86と軸86aとの間にはワンウェイクラッチ(図示せず)が設けられており、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86が図6における時計回りの方向に回転するときには当該逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86による回転駆動力がワンウェイクラッチを介して軸86aに伝達されるが、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86が図6における反時計回りの方向に回転するときにはワンウェイクラッチにより逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86と軸86aとの間の接続が遮断され、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86による回転駆動力が軸86aには伝達されないようになり、この場合には軸86aに対して逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86が自由に回転するようになる。
また、図5および図6に示すように、軸86aには逆転ローラ駆動用ギヤ87が接続されている。また、駆動力伝達プーリ92には軸92aが接続されており、この軸92aには駆動力伝達ギヤ94が接続されている。そして、逆転ローラ駆動用ギヤ87および駆動力伝達ギヤ94は互いに噛み合うようになっており、駆動力伝達ギヤ94が回転したときにはこの駆動力伝達ギヤ94から逆転ローラ駆動用ギヤ87に回転駆動力が伝達されるようになっている。また、逆転ローラ駆動用ギヤ87と軸86aとの間にもワンウェイクラッチ(図示せず)が設けられており、逆転ローラ駆動用ギヤ87が図6における時計回りの方向に回転するときには当該逆転ローラ駆動用ギヤ87による回転駆動力がワンウェイクラッチを介して軸86aに伝達されるが、逆転ローラ駆動用ギヤ87が図6における反時計回りの方向に回転するときにはワンウェイクラッチにより逆転ローラ駆動用ギヤ87と軸86aとの間の接続が遮断され、逆転ローラ駆動用ギヤ87による回転駆動力が軸86aには伝達されないようになり、この場合には軸86aに対して逆転ローラ駆動用ギヤ87が自由に回転するようになる。
また、本実施の形態では、駆動力伝達ギヤ94の直径の大きさは、逆転ローラ駆動用ギヤ87の直径の例えば約3倍の大きさとなっている。また、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84の直径の大きさは、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86の直径の大きさと略同一となっている。
次に、図5および図6に示す駆動機構80において、各収納機構60から硬貨を繰り出して搬送機構76に送る際の動作について図7を用いて説明する。各収納機構60から硬貨を繰り出して搬送機構76に送る際には、硬貨入出金機10の制御部100により駆動プーリ81が制御されて当該駆動プーリ81は図7における時計回りに回転し、タイミングベルト82も同期して図7における時計回りの方向に循環移動する。このことにより、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84は図7における時計回りの方向に回転する。このため、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84の回転駆動力が軸84aを介して搬送ベルト64に伝達され、この搬送ベルト64は図4における時計回りの方向に循環移動するようになる。一方、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86および駆動力伝達プーリ92は図7における反時計回りの方向に回転する。このことにより、駆動力伝達ギヤ94は図7における反時計回りの方向に回転し、この駆動力伝達ギヤ94と噛み合っている逆転ローラ駆動用ギヤ87は図7における時計回りの方向に回転する。
ここで、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86と軸86aとの間にはワンウェイクラッチが設けられている。このため、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86が図7における反時計回りの方向に回転すると、ワンウェイクラッチにより逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86と軸86aとの間の接続が遮断され、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86による回転駆動力が軸86aには伝達されないようになる。一方、逆転ローラ駆動用ギヤ87と軸86aとの間にもワンウェイクラッチが設けられているが、逆転ローラ駆動用ギヤ87が図7における時計回りの方向に回転した場合には、この逆転ローラ駆動用ギヤ87による回転駆動力がワンウェイクラッチを介して軸86aに伝達される。このため、軸86aも時計回りの方向に回転するようになり、この軸86aに接続された逆転ローラ66は図4における時計回りの方向に回転するようになる。
本実施の形態では、前述したように、駆動力伝達ギヤ94の直径の大きさは、逆転ローラ駆動用ギヤ87の直径の例えば約3倍の大きさとなっている。このため、逆転ローラ駆動用ギヤ87の回転速度の大きさは駆動力伝達ギヤ94の回転速度の約3倍の大きさになる。このことにより、逆転ローラ駆動用ギヤ87に接続された軸86aの回転速度の大きさは、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84に接続された軸84aの回転速度の約3倍の大きさとなる。このようにして、各収納機構60から硬貨を繰り出して搬送機構76に送る際には、逆転ローラ66の回転速度は、搬送ベルト64の速度の約3倍の大きさとなる。具体的には、各収納機構60から硬貨を繰り出して搬送機構76に送る際に、逆転ローラ66の回転速度(周速)は415mm/sとなり、搬送ベルト64の速度(周速)は140mm/sとなる。
次に、図5および図6に示す駆動機構80において、図9に示すように搬送ベルト64と逆転ローラ66との間に二枚以上の硬貨が噛み込んでしまい、噛み込まれた硬貨を解放するための噛み込み解除処理を行う際の動作について図8を用いて説明する。硬貨の噛み込み解除処理を行う際には、硬貨入出金機10の制御部100により駆動プーリ81が制御されて当該駆動プーリ81は図8における反時計回りに回転し、タイミングベルト82も同期して図8における反時計回りの方向に循環移動する。このことにより、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84は図8における反時計回りの方向に回転する。このため、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84の回転駆動力が軸84aを介して搬送ベルト64に伝達され、この搬送ベルト64は図4における反時計回りの方向に循環移動するようになる。一方、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86および駆動力伝達プーリ92は図8における時計回りの方向に回転する。このことにより、駆動力伝達ギヤ94は図8における時計回りの方向に回転し、この駆動力伝達ギヤ94と噛み合っている逆転ローラ駆動用ギヤ87は図8における反時計回りの方向に回転する。
ここで、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86と軸86aとの間にはワンウェイクラッチが設けられているが、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86が図8における時計回りの方向に回転した場合には、この逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86による回転駆動力がワンウェイクラッチを介して軸86aに伝達される。一方、逆転ローラ駆動用ギヤ87と軸86aとの間にもワンウェイクラッチが設けられており、逆転ローラ駆動用ギヤ87が図8における反時計回りの方向に回転すると、ワンウェイクラッチにより逆転ローラ駆動用ギヤ87と軸86aとの間の接続が遮断され、逆転ローラ駆動用ギヤ87による回転駆動力が軸86aには伝達されないようになる。このようにして、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86による回転駆動力のみがワンウェイクラッチを介して軸86aに伝達されるようになるため、軸86aも時計回りの方向に回転するようになり、この軸86aに接続された逆転ローラ66は図4における時計回りの方向に回転するようになる。
前述したように、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84の直径の大きさが、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86の直径の大きさと略同一となっているため、タイミングベルト82が図8における反時計回りの方向に循環移動した場合には、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86の回転速度は、駆動用タイミングプーリ84の回転速度と略同一の大きさとなる。このため、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86に接続された軸86aの回転速度は、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84に接続された軸84aの回転速度と略同一の大きさとなる。このようにして、硬貨の噛み込み解除処理を行う際には、逆転ローラ66の回転速度は、搬送ベルト64の速度と略同一の大きさとなる。具体的には、硬貨の噛み込み解除処理を行う際に、逆転ローラ66の回転速度(周速)は145mm/sとなり、搬送ベルト64の速度(周速)は140mm/sとなる。参照のため、通常繰出時および噛み込み解除処理時における搬送ベルト64および逆転ローラ66の回転方向および速度を図10に示す。
このように、図5乃至図8に示すような駆動機構80により、搬送ベルト64が硬貨の繰出方向に移動するときには、逆転ローラ66の回転速度は搬送ベルト64の速度の約3倍の大きさとなり、一方、搬送ベルト64が硬貨の繰出方向とは逆方向に移動するときには、搬送ベルト64の速度は変化しないが、逆転ローラ66の回転速度が小さくなり、逆転ローラ66の回転速度が搬送ベルト64の速度と略同一の大きさとなる。本実施の形態では、駆動プーリ81により、搬送ベルト64を駆動する搬送ベルト駆動部が構成され、また、タイミングベルト82、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86、駆動力伝達プーリ92、逆転ローラ駆動用ギヤ87、駆動力伝達ギヤ94等が組み合わせられるにより、搬送ベルト駆動部による駆動力を搬送ベルト64に伝達する駆動力伝達機構が構成されている。そして、上述したように、このような駆動力伝達機構には逆転ローラ66も接続され、搬送ベルト駆動部による駆動力は駆動力伝達機構を介して逆転ローラ66にも伝達されるようになる。
また、本実施の形態では、収納部62、搬送ベルト64、逆転ローラ66、搬送ベルト駆動部、駆動力伝達機構により、硬貨繰り出し装置が構成されている。
なお、上述した構成の駆動機構80では、硬貨の噛み込み解除処理が行われる際に、搬送ベルト64の速度と逆転ローラ66の回転速度とが略同一の大きさになるようになっているが、このような態様に限定されることはない。駆動機構80における各構成要素の配置や大きさを変えることにより、硬貨の噛み込み解除処理が行われる際に、搬送ベルト64の速度に対する逆転ローラ66の回転速度の割合が、0.5乃至1.5、好ましくは0.8乃至1.2の範囲内の大きさとなるようにすることもできる。
以上のように本実施の形態の硬貨繰り出し装置では、搬送ベルト64と逆転ローラ66との間に噛み込まれた硬貨を解放するための噛み込み解除処理が行われる際に、搬送ベルト64が硬貨の繰出方向とは逆方向に移動するとともに、逆転ローラ66の回転速度が硬貨の通常搬送時における回転速度よりも小さくなるようになっている。このことにより、硬貨の噛み込み解除処理を行う際に逆転ローラ66が搬送ベルト64よりもかなり速い速度で回転している場合と比較して、逆転ローラ66の回転速度を小さくすることにより当該逆転ローラ66の回転速度と搬送ベルト64の速度との間の速度差を小さくすることができる。この場合には、噛み込んだ硬貨をそのままの姿勢で収納部62へ押し戻すことになるので、噛み込みがひどくなることはない。また、逆転ローラ66を、通常繰出時より低速で回転させることにより、逆転ローラ66に加えられるトルクが大きくなり、噛み込みを解除する能力が向上する。
また、本実施の形態の硬貨繰り出し装置では、駆動力伝達機構(タイミングベルト82、搬送ベルト駆動用タイミングプーリ84、逆転ローラ駆動用タイミングプーリ86、駆動力伝達プーリ92、逆転ローラ駆動用ギヤ87、駆動力伝達ギヤ94等)は、搬送ベルト64が硬貨の繰出方向とは逆方向に移動するときに、逆転ローラ66の回転速度を硬貨の通常搬送時における回転速度よりも小さくするよう、具体的には、逆転ローラ66の回転速度を搬送ベルト64の速度の約3倍の大きさから搬送ベルト64の速度と略同一の大きさに減少させるよう、搬送ベルト駆動部(駆動プーリ81)による駆動力を搬送ベルト64および逆転ローラ66にそれぞれ伝達するようになっている。
また、本実施の形態の硬貨繰り出し装置では、硬貨の噛み込み解除処理が行われるときに、搬送ベルト64の速度に対する逆転ローラ66の回転速度の割合が0.5乃至1.5の範囲内の大きさになることが好ましく、当該割合が0.8乃至1.2の範囲内の大きさになることが更に好ましく、搬送ベルト64の速度と逆転ローラ66の回転速度とが略同一の大きさになることが更に好ましい。逆転ローラ66の回転速度と搬送ベルト64との間の速度差を上記条件に合致するように小さくした場合には、噛み込んだ硬貨をそのままの姿勢で収納部62へ押し戻すことになるので、噛み込みがひどくなることはない。また、逆転ローラ66を、通常繰出時より低速で回転させることにより、逆転ローラ66に加えられるトルクが大きくなり、噛み込みを解除する能力が向上する。
また、本実施の形態の硬貨入出金機(硬貨処理機)10では、硬貨繰り出し装置の搬送ベルト64および逆転ローラ66は制御部100により制御されるようになっている。そして、硬貨の噛み込み解除処理が行われる際に、制御部100が駆動プーリ81を制御して当該駆動プーリ81の回転方向を図8に示すように反時計回りの方向とすることにより、搬送ベルト64が硬貨の繰出方向とは逆方向に移動するとともに、逆転ローラ66の回転速度が硬貨の通常搬送時における回転速度よりも小さくなるようになる。
なお、本実施の形態による硬貨繰り出し装置およびこの硬貨繰り出し装置を備えた硬貨入出金機10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、硬貨入出金機10において、硬貨を収納する収納機構60に上述のような硬貨繰り出し装置を設ける代わりに、硬貨投入口16に投入された硬貨を一枚ずつ繰り出すための繰出機構30に上述のような硬貨繰り出し装置を設けてもよい。繰出機構30における受入部32には、硬貨投入口16を介してクリップ等の異物が混入することがあり、このようなクリップ等が搬送ベルト34と逆転ローラ36との間に噛み込まれる場合があるが、本実施の形態による硬貨繰り出し装置が繰出機構30に設けられている場合には、噛み込み状態にある異物が受入部32に戻されて、硬貨投入口16を介して機体外に取り出されるようになる。なお、硬貨投入口16内の硬貨や異物をリジェクトボックスに送り込む機構を設け、このようなクリップ等の異物はリジェクトボックスに送り込まれるようになっていてもよい。
また、他の変形例としては、硬貨の噛み込み解除処理を行う際に、逆転ローラ66の回転速度を減少させるのみならず、搬送ベルト64の速度も硬貨の通常搬送時に比べて減少させるようにしてもよい。搬送ベルト64の速度を減少させることにより、搬送ベルト64が硬貨の繰出方向とは逆方向に移動したときに、噛み込み状態にある硬貨に加えられるトルクをより大きくすることができるので、搬送ベルト64と逆転ローラ66との間に噛み込まれた硬貨をより効率的に解放させることができる。
また、本発明の硬貨繰り出し装置では、噛み込み解除処理を行う際に、逆転ローラ66の回転速度を硬貨の通常搬送時における回転速度よりも小さくする機構としては、図5乃至図8に示すような駆動機構80に限定されることはない。噛み込み解除処理を行う際に、搬送ベルト64が硬貨の繰出方向とは逆方向に移動するとともに、逆転ローラ66の回転速度が硬貨の通常搬送時における回転速度よりも小さくなるものであれば、他の様々な構成の機構を用いることができる。