図1は、本実施形態に係る静電気保護部品の斜視図である。図2は、本実施形態に係る静電気保護部品の素体の展開斜視図である。図3は、静電気保護部品の放電部分を積層方向から見た図である。図3は、第一放電電極4A,第二放電電極4Bの一枚上のセラミック層2を省略して示している。図4は、図1に示すIV−IV線に沿った断面構成を説明するための図である。図5は、図1に示すV−V線に沿った断面構成を説明するための図である。以下の説明において、素体3が延びる方向を長手方向D1とし、セラミック層2の平面方向において長手方向D1と直交する方向を短手方向D2とし、セラミック層2が積層される方向を積層方向D3とする。
本実施形態に係る静電気保護部品1は、電子機器の回路基板に実装され、ESDから電子機器を保護する電子部品である。図1〜5に示すように、静電気保護部品1は、複数のセラミック層2が積層された素体3と、素体3内において互いに離間して同一の層に配置された第一放電電極4A及び第二放電電極4Bと、素体3の互いに対向する両端面3a,3bに形成される外部電極6A及び外部電極6Bと、を備えて構成されている。第一放電電極4Aは外部電極6Aに電気的に接続され、第二放電電極4Bは外部電極6Bに電気的に接続される。素体3は、第一放電電極4A及び第二放電電極4Bと接すると共に第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとを接続する放電誘発部8を有している。また、素体3は、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとに接する空洞部7を有している。
放電誘発部8は、放電誘発部8Aと放電誘発部8Bと放電誘発部8Cとを含み、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間の放電を発生し易くする機能を有している。
放電誘発部8Aは、放電誘発部8における、積層方向D3から見て第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間のギャップ部GPに位置する部分である。すなわち、放電誘発部8Aは、短手方向D2において、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとで挟まれると共に、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとを接続している。第一放電電極4Aの側縁14Aにおけるギャップ部GPに臨む一部、及び、第二放電電極4Bの側縁14Bにおけるギャップ部GPに臨む一部は、放電誘発部8Aと接している。放電誘発部8Aは、ギャップ部GPで長手方向D1において後述する空洞部7aと隣り合って接している。放電誘発部8Aは、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとを接続するようにギャップ部GPに形成さてれていればよく、放電誘発部8Aの大きさや形状や範囲は特に限定されない。本実施形態では、放電誘発部8は、一対の放電誘発部8Aを含んでおり、一対の放電誘発部8Aは、空洞部7aを長手方向D1に挟んで配置されている。
放電誘発部8Bは、放電誘発部8における、放電誘発部8Aと長手方向D1で連続し且つ積層方向D3から見て第一放電電極4Aと第二放電電極4Bと重ならない部分である。(図3参照)。
放電誘発部8Cは、放電誘発部8における、放電誘発部8A,8Bを除く残部である。
放電誘発部8Cは、第一放電電極4Aの先端12A又は第二放電電極4Bの先端12Bと長手方向D1で隣り合う部分、第一放電電極4Aと積層方向D3で隣り合い且つ第一放電電極4Aの上面16Aと接する部分、及び、第二放電電極4Bと積層方向D3で隣り合い且つ第二放電電極4Bの上面16Bと接する部分、を含んでいる(図4参照)。
空洞部7は、図4に示すように、空洞部7aと空洞部7bとを含み、放電時における第一放電電極4A、第二放電電極4B、セラミック層2及び放電誘発部8の熱膨張を吸収する機能を有する。空洞部7aは、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとのギャップ部GPに形成される。すなわち、第一放電電極4Aの側縁14Aのギャップ部GPにおける一部は空洞部7に露出している。また、第二放電電極4Bの側縁14Bのギャップ部GPにおける一部は空洞部7に露出している。空洞部7bは、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとに重なるように第一放電電極4A上及び第二放電電極4B上に位置する。すなわち、上面16A,16Bの一部は空洞部7bに露出している。なお、熱膨張を吸収できる大きさと位置であれば、空洞部7の大きさや形状や範囲は特に限定されず、図4に示すものより広い範囲に(例えば、下面17A,17Bも空洞部7に露出するように)形成してもよい。
第一放電電極4A及び第二放電電極4Bは、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとが互いに離間する方向(短手方向D2)において空洞部7を介して対向する第一領域70と、短手方向D2において放電誘発部8Aを介して対向する第二領域80と、をそれぞれ有している。放電誘発部8Aは、第一放電電極4Aの第二領域80と第二放電電極4Bの第二領域80とで短手方向D2に挟まれる中実部として機能する。
第一放電電極4Aは、素体3の端面3aから反対側の端面3b側へ向かって長手方向D1(第一方向)に沿って延びる本体部11Aを有する(特に、図3参照)。本体部11Aは、長手方向D1における先端12A及び基端13Aと、長手方向D1に沿って延びる側縁14A及び側縁15Aとを有している。本体部11Aは、長尺な長方形をなしており、先端12A及び基端13Aが短辺を構成し、側縁14A,15Aが長辺を構成している。すなわち、側縁14A,15Aは、先端12A及び基端13Aよりも長い。本体部11Aは、短手方向D2における中央位置よりも、僅かに素体3の側面3c側に配置される。基端13Aは素体3の端面3aから露出して外部電極6Aと接続される。先端12Aは端面3bから離間した位置まで延びており、長手方向D1における中央位置よりも、端面3b側の位置に配置される。側縁14Aは素体3の側面3d側の縁部であり、短手方向D2における中央位置よりも、僅かに側面3c側に配置される。側縁15Aは素体3の側面3c側の縁部であり、側面3cから離間した位置に配置される。なお、本体部11Aの長さは図3に示すものより長くしても短くしてもよい。
第二放電電極4Bは、積層方向D3から見て、素体3の中心周りにおいて、第一放電電極4Aと点対称な関係をなしている。すなわち、第二放電電極4Bは、素体3の端面3bから反対側の端面3a側へ向かって長手方向D1に沿って延びる本体部11Bを有する(特に図3参照)。本体部11Bは、長手方向D1における先端12B及び基端13Bと、長手方向D1に沿って延びる側縁14B及び側縁15Bとを有している。本体部11Bは、長尺な長方形をなしており、先端12B及び13Bが短辺を構成し、側縁14B,15Bが長辺を構成している。すなわち、側縁14B,15Bは、先端12B及び基端13Bよりも長い。本体部11Bは、短手方向D2における中央位置よりも、僅かに素体3の側面3d側に配置される。基端13Bは素体3の端面3bから露出して外部電極6Bと接続される。先端12Bは端面3aから離間した位置まで延びており、長手方向D1における中央位置よりも、端面3a側の位置に配置される。側縁14Bは素体3の側面3c側の縁部であり、短手方向D2における中央位置よりも、僅かに側面3d側に配置される。側縁15Bは素体3の側面3d側の縁部であり、側面3dから離間した位置に配置される。なお、本体部11Bの長さは図3に示すものより長くしても短くしてもよい。
第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとは、図3に示すように、側縁14A,15A及び側縁14B,15Bそれぞれが第一領域70と第二領域80とに含まれるように、側縁14Aと側縁14Bとを対向させて配置されている。また、第一放電電極4Aの側縁14Aの先端12A側の領域と、第二放電電極4Bの側縁14Bの先端12B側の領域とが、互いに離間して対向することにより、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間にギャップ部GPが形成される。ギャップ部GPのギャップ幅(側縁14Aと側縁14Bとの間の距離)は、10〜100μmである。なお、ギャップ部GPは、側縁14Aと側縁14Bが対向している領域のみに形成される(図3参照)。また、本実施形態においては、第一放電電極4Aは、長尺な長方形をなす本体部11Aのみによって構成され、第二放電電極4Bの先端12Bと長手方向D1において対向する部分を有していない。第二放電電極4Bは、長尺な長方形をなす本体部11Bのみによって構成され、第一放電電極4Aの先端12Aと長手方向D1において対向する部分を有していない。このような構成により、外部電極6A及び外部電極6Bに所定以上の電圧が印加されると、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間では、ギャップ部GPにおいて、側縁14Aと側縁14Bとの間でのみ放電が起こる。
次に、各構成要素の材料について詳細に説明する。
第一放電電極4A及び第二放電電極4Bは、Ag、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、Wを含有する導体材料によって構成される。例えば、第一放電電極4A及び第二放電電極4Bは、合金として、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、Ag/Pt合金などを用いることができる。また、外部電極6A,6Bは、Ag、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、Wを含有する導体材料によって構成される。例えば、外部電極6A,6Bは、合金として、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、Ag/Pt合金などを用いることができる。
セラミック層2は、Fe2O3、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO2、TiO2、MnCO3、SrCO3、CaCO3、BaCO3、Al2O3、ZrO2、B2O3などの中の単独材料、又は二種類以上を混合させた材料によって構成される。また、ガラスが含有されていてもよい。セラミック層2には、低温焼結を可能とするために酸化銅(CuO、Cu2O)が含有されていることが好ましい。
放電誘発部8は、Fe2O3、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO2、TiO2、MnCO3、SrCO3、CaCO3、BaCO3、Al2O3、ZrO2、B2O3などの中の単独材料、又は二種類以上を混合させた材料によって構成される。放電誘発部8A,8B,8Cには、Ag、Pd、Au、Pt、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、Ag/Pt合金などの金属粒子、またはRuO2などの半導体粒子が含有されていることが好ましい。また、ガラスが含有されていてもよい。放電誘発部8には酸化錫(SnO、SnO2)が含有されていることが好ましい。
図6は、放電誘発部の材料構成を説明するための模式図である。図6を参照して、好ましい材料を用いた場合の構成について説明する。なお、図6は、説明のための概略構成図であり、各粒子の大きさや数はデフォルメした状態で記載している。
放電誘発部8では、Mg、Cu、Zn、Si、Srの酸化物などを主成分とし、ガラスを含有するセラミック絶縁体21の中に、酸化錫(SnO2)の粒子22とAg/Pd合金の金属粒子23が混在した状態で存在している。混在した状態とは、Ag/Pd合金の金属粒子23が一箇所で固まっているのではなく、各金属粒子23の間に酸化錫の粒子22が入り込んだ状態となっている状態である。酸化錫の粒子22は、未焼結の粒子状態で存在している(ただし、凝集粉となっているものもある)。酸化錫は半導体材料として機能し、金属粒子23の間に配置することで、金属粒子23が単独で存在する場合よりもギャップ部GPのギャップの大きさを大きくしても放電させることができる。金属粒子23のAg/Pd合金の合金比は、95/5〜30/70である。酸化錫の粒子22の含有量は、酸化錫/セラミック絶縁体比で5/95〜80/20wt%であることが好ましい。金属粒子23の含有量は、放電誘発部8に対して10〜35vol%であることが好ましい。
セラミック層2では、Mg、Cu、Zn、Si、Srの酸化物などを主成分とし、ガラスを含有するセラミックの中に酸化銅(CuO)の粒子24が含有されている。酸化銅の粒子24の含有量は、0.01〜5wt%であることが好ましい。
第一放電電極4A及び第二放電電極4Bは、Ag/Pd合金を主成分とした導体材料によって構成されている。第一放電電極4A及び第二放電電極4BのAg/Pd合金の合金比は、95/5〜30/70である。第一放電電極4A及び第二放電電極4BのAg/Pd合金と、金属粒子23のAg/Pd合金の合金比は同じであることが好ましい。
酸化錫は、焼結温度が非常に高く(具体的には、1300℃程度)、他元素との反応性が低いという特徴を持つ。従って、酸化錫は素体3の焼成時における温度では粒子状で残存したままとなり、周囲に金属粒子23が存在していたとしても、それらの金属粒子23とは反応しない。放電誘発部8において、酸化錫の粒子22と金属粒子23が混在する状態とすることによって、以下の効果が奏される。すなわち、素体3の焼成時において、酸化錫の粒子22は周囲の金属粒子23と反応することなく粒子状のまま残存する。このように酸化錫の粒子22が反応することなく残存することによって、金属粒子23は、放電誘発部8での移動が制限される。移動を制限された金属粒子23同士は反応しないため、金属粒子23同士がつながることにより放電電極4A,4B間がショートしてしまうこと(または、絶縁抵抗が低下すること)を防止することができる。
また、放電誘発部8が、セラミック絶縁体21のような絶縁物を含有することによって、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間における絶縁性を確保することができる。
また、静電気保護部品1において、セラミック層2に反応性が高い酸化銅の粒子24が含有されている一方で、放電誘発部8に焼結温度が高く反応性の低い酸化錫の粒子22が含有される構成とすることで、以下の効果が奏される。すなわち、セラミック層2に酸化銅の粒子24が含有されていても、当該酸化銅の粒子24が放電誘発部8に拡散することが酸化錫の粒子22によって抑制される。このように、酸化銅の粒子24の拡散が抑制されるため、放電誘発部8においては、酸化錫以外の部分における構成材料を自由に選択することができる(すなわち、放電誘発部8は酸化錫とその他の材料とによって構成されるが、その他の材料を自由に選択できる)。以上によって、放電誘発部8の構成材料の選択の自由度を確保しつつ、素体3に酸化銅を含有させることができる。
また、放電誘発部8に金属粒子23が含有されることにより、放電開始電圧を下げることができる。
Ag/Pd合金は、融点が高く(具体的には、1000℃程度)、酸化銅との反応性が低いという特徴を持つ。セラミック層2に反応性が高い酸化銅の粒子24が含有されている一方で、放電誘発部8に金属粒子23として酸化銅との反応性が低いAg/Pd合金が含有されている構成とすることで、以下の効果が奏される。すなわち、セラミック層2に酸化銅の粒子24が含有されていても、放電誘発部8A,8B,8Cでは酸化銅の粒子24の拡散の影響による金属粒子23同士の反応が抑制される。すなわち、金属粒子23同士がつながることにより放電電極4A,4B間がショートしてしまうこと(または、絶縁抵抗が低下すること)を防止することができる。以上によって、第一放電電極4A及び第二放電電極4B間のショートを防止しつつ、素体3に酸化銅を含有させることができる。なお、Pd単独でも融点は高いが酸化銅との反応性はAg/Pd合金に比して高い。従って、Agと合金化されているものを用いることで、効果が一層顕著となる。
また、素体3に酸化銅が含有されている構成において、第一放電電極4A及び第二放電電極4BにAg/Pd以外の金属を用いると、酸化銅と反応してしまい、次のような問題が生じる可能性がある。例えば、第一放電電極4A及び第二放電電極4Bの素体3からの露出部分(外部電極6A,6Bとの接続箇所など)からAg/Pdが気化して消滅してしまう可能性がある。また、第一放電電極4A及び第二放電電極4Bの対向部(側縁14A,14B付近)が消失してしまうとギャップ長がばらついて特性が安定しない可能性がある。従って、第一放電電極4A及び第二放電電極4BがAg/Pd合金を含有することで、そのような問題の発生を防止することができる。なお、第一放電電極4A及び第二放電電極4BにAg/Pd以外の金属を用いてもよい。
また、放電誘発部8にAg/Pd合金が含有され、放電電極8にAg/Pd合金が含有される場合に、それぞれのAg/Pd合金の合金比を同じとすることで、放電誘発部8と第一放電電極4A及び第二放電電極4Bとの間でAg/Pd合金が反応することを防止できる。
次に、図7を参照して静電気保護部品1の製造方法の一例について説明する。ただし、製造方法は特に限定されず、各工程の順番を変更してもよく、工程内の具体的手法を変更してもよく、他の工程によって製造してもよい。
まず、セラミック層2を構成する材料のスラリーを調整し、セラミック層用シートを作成する(S10)。具体的に、酸化銅(CuO)を含む所定量の誘電体粉末と、有機溶剤と有機バインダとを含む有機ビヒクルとを混合し、セラミック層用のスラリーを調整する。誘電体粉末には、Mg、Cu、Zn、Si、Srの酸化物(他の誘電体材料でもよい)を主成分として含む誘電体材料を用いることができる。その後、ドクターブレード法などによって、PETフィルム上にスラリーを塗布し、厚さ20μm程度のグリーンシートを形成する。
次に、セラミック層用シートの所定の位置に放電部分を印刷によって形成する。まず、セラミック層用シートに導体ペーストをスクリーン印刷などによって塗布することによって焼成前の放電電極の導体パターンを形成する(S20)。第一放電電極4Aの一部と第二放電電極4Bの一部とを覆うように空洞部7を形成するための空隙材用ラッカーを塗布する。有機溶剤及び有機バインダを含む有機ラッカーを用いることができる。これによって、焼成後に空洞部7となる部分を形成する(S30)。次に放電誘発材料スラリーを調整し、空隙材用ラッカーの上から当該スラリーを塗布して、焼成前の放電誘発部を形成する(S40)。具体的に、所定量に秤量した酸化錫、絶縁体、導体の各粉末と、有機溶剤と有機バインダとを含む有機ビヒクルとを混合し、放電誘発材料スラリーを調整する。例えば、酸化錫として、工業用原料のSnO2を使用できる。絶縁体として誘電体粉末を使用できる。誘電体粉末には、Mg、Cu、Zn、Si、Srの酸化物(他の誘電体材料でもよい)を主成分として含む誘電体材料を用いることができる。導体粉末として、Ag/Pd粉を用いることができる(Ag、Pd、Au、Pt、及びその混合物、化合物などでもよい)。酸化錫の粒子とAg/Pd合金の金属粒子が混在する状態となるように、各粉末を十分に混合する。
放電部分が印刷されたセラミック層用シート、及びその他の層のセラミック層用シートを順次積層させ(S50)、プレスし(S60)、個々の静電気保護部品の大きさになるように積層体を切断する(S70)。次に、各素体を所定条件(例えば、大気中で850〜950℃で2時間)焼成する(S80)。このとき、空隙材用ラッカーが素体3の内部で消滅することによって、放電部分に空洞部7が形成される。その後、素体3に外部電極用の導体ペーストを塗布し所定条件(例えば、大気中で600〜800℃で2時間)にて熱処理を行い、外部電極を焼き付ける(S90)。その後、外部電極の表面にめっきを施す。めっきは、電解めっきが好ましく、例えば、Ni/Sn、Cu/Ni/Sn、Ni/Pd/Au、Ni/Pd/Ag、Ni/Agなどを用いることができる。以上によって、静電気保護部品1が完成する。
以上のように、静電気保護部品1において、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとは、短手方向D2において空洞部7を介して対向する第一領域70と、短手方向D2において放電誘発部8Aを介して対向する第二領域80と、を有し、放電誘発部8B及び放電誘発部8Cは、空洞部7と放電誘発部8Aとに接するように第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとを接続している。この場合、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間に放電誘発部8Aが位置しているため、放電による破壊が、長手方向D1へ放電誘発部8Aを進行し、積層方向D3へ放電誘発部8を進行するのが抑制される。よって、静電気保護部品1としての耐久性を高めることができる。
また、静電気保護部品1において、空洞部7は、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとに重なるように第一放電電極4A上及び第二放電電極4B上に位置する空洞部7bを含んでおり、空洞部7bに接するように放電誘発部8Cが第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとを接続している。この場合、空洞部7の体積が積層方向D3へ空洞部7b分大きくなる。放電誘発部8Aの表面を介した放電距離が、空洞部7bと積層方向D3で接する放電誘発部8Cの表面を介した放電距離よりも極めて短くなり、放電が放電誘発部8Aで確実に生じる。このため、設計通りの特性を有する静電気保護部品1を得ることができる。また、放電誘発部8Cの積層方向D3への破壊をより一層抑えることができ、静電気保護部品1としての耐久性を更に高めることができる。
また、静電気保護部品1において、放電誘発部8は、放電誘発部8Aに連続し且つセラミック層2の積層方向D3から見て第一放電電極4Aと第二放電電極4Bと重ならない放電誘発部8Bを更に有している。この場合、放電誘発部8における放電により破壊される領域が長手方向D1に更に広がる。この結果、静電気保護部品1としての耐久性を更に高めることができる。
また、静電気保護部品1において、第一放電電極4Aは、長手方向D1に延びていると共に、長手方向D1における先端12Aと長手方向D1に沿って延びる側縁14A,15Aとを有し、第二放電電極4Bは、長手方向D1に延びていると共に、長手方向D1における先端12Bと長手方向D1に沿って延びる側縁14B,15Bとを有し、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとは、側縁14A,15A及び側縁14B,15Bそれぞれが第一領域70と第二領域80とに含まれるように、側縁14A,15Aと側縁14B,15Bとを対向させて配置されている。この場合、第一放電電極4Aは長手方向D1に沿って延びる側縁14A,15Aを有しており、第二放電電極4Bは長手方向D1に沿って延びる側縁14B,15Bを有しており、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとは、側縁14A,15A及び側縁14B,15Bそれぞれが第一領域70と第二領域80とに含まれるように、側縁14A,15Aと側縁14B,15Bとを対向させて配置されている。このため、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間では、側縁14A,15Aと側縁14B,15Bとの間で放電する構成となっている。すなわち、各先端に放電が集中することを回避し、長く延ばされた側縁で放電可能な構成としている。これによって、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間の放電部分を長くすることができ、静電気保護部品1としての耐久性を更に高めることができる。
なお、上述した実施形態は本発明に係る静電気保護部品の実施形態を説明したものであり、本発明に係る静電気保護部品は本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る静電気保護部品は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る静電気保護部品を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、第一放電電極4A及び第二放電電極4Bの構成は、図3に示す構成に限定されず、長さや幅、ギャップの大きさを適宜変更してもよい。また、例えば、図8に示す構成を採用してもよい。
図8に示す構成では、第一放電電極4Aは素体3の端面3aから長手方向D1に延び、放電電極4Bは素体3の端面3bから長手方向D1に延び、放電電極4Aの先端12Aと放電電極4Bの先端12B同士が対向してギャップ部GPを形成している。また、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとは、互いに離間する方向(長手方向D1)において空洞部7を介して対向する第一領域70と、長手方向D1において放電誘発部8Aを介して対向する第二領域80と、を有している。この場合、放電部分の長さは、先端12A,12Bの短い範囲に限定される。
これに対し、図3に示す構成では、第一放電電極4Aは長手方向D1に沿って延びる側縁14Aを有しており、放電電極4Bは長手方向D1に沿って延びる側縁14Bを有している。第一放電電極4A及び第二放電電極4Bは、側縁14A,14Bでのみ対向しており、先端12A,12B側において対向する部分を有していない。このように長手方向D1に沿って延びる側縁14Aと側縁14B同士が対向しており第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間では、側縁14Aと側縁14Bとの間でのみ放電する構成となっている。先端12A,12Bよりも長さが長い側縁14A,14Bで対向させることによって、図8の構成よりもギャップ部GPの長さを長くすることができる。また、各先端12A,12Bに放電が集中することを回避し、長く延ばされた側縁14A,14Bで放電可能な構成としている。すなわち、実質的な放電部分の長さを図8に示す構成より長くすることができる。これによって、第一放電電極4Aと第二放電電極4Bとの間のギャップ部GPを長くすることができ、静電気保護部品1としての耐久性を高めることができる。
また、先端12A,12B側には他方の放電電極と対向する部分を設けないことによって、側縁14Aと側縁14Bとの間のみ放電することを、より確実にすることができる。
放電誘発部8は、放電誘発部8Aを一対含んでいるが、これに限られず、放電誘発部8Aを一つのみ含んでいてもよい。この場合、空洞部7aは、ギャップ部GPにおいて、長手方向D1に偏って配置される。また、本実施形態では、空洞部7aの数は一つであるが、これに限られず、複数であってもよい。この場合、空洞部7aと放電誘発部8Aとが長手方向D1に交互に配置される。
本実施形態では、放電誘発部8Aが中実部として機能しているが、これ限られない。第一放電電極4Aの第二領域80と第二放電電極4Bの第二領域80とで短手方向D2に挟まれる中実部は、セラミック層2と同じ材料などで構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、静電気保護機能を有する放電部分のみを含む静電気保護部品を例示したが、コイル部やコンデンサ部など他の機能を追加した静電気保護部品に本発明を採用してもよい。このとき、セラミック層2の材料は、放電部、コイル部、コンデンサ部のそれぞれに対して各層ごとに最適な材料に変更してもよい。