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JP5776563B2 - 透明膜およびその製造方法並びに透明膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents
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JP5776563B2 - 透明膜およびその製造方法並びに透明膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents

透明膜およびその製造方法並びに透明膜形成用スパッタリングターゲット Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子、電気泳動方式表示素子、トナー表示素子などの電子ペーパーやフィルム型太陽電池などに用いられるガスバリア層、および化合物半導体による薄膜太陽電池の透明電極層上のガスバリア層として利用される酸化亜鉛系のガスバリア性に優れる透明膜およびその製造方法並びに透明膜形成用スパッタリングターゲットに関するものである。
従来、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子、電気泳動方式表示素子、トナー表示素子などの電子ペーパーやフィルム型太陽電池などに用いられるガスバリア層、および化合物半導体による薄膜太陽電池(例えば、CIGS(Cu−In−Ga−Se)系太陽電池)の透明電極層上のガスバリア層として、透明酸化物膜をスパッタリング法で作製する技術が知られている。
例えば、特許文献1では、酸化スズと、Si、Ge、Alからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加元素とを含有し、該添加元素は、添加元素とSnの含有量の総和に対して15原子%〜63原子%の割合で含まれ、結晶相の構成に、添加元素の金属相、該添加元素の酸化物相、該添加元素とSnの複合酸化物相のうちの1種以上が含まれ、該添加元素の酸化物相、および、該添加元素とSnの複合酸化物相が、平均粒径50μm以下の大きさで分散している酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして用い、直流パルシング法を利用したスパッタリング法により、樹脂フィルム基材の表面に透明酸化物膜を形成する方法が提案されている。
この方法で得られた透明酸化物膜は、酸化スズと、Si、Ge、Alからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加元素とを含有する透明酸化物膜であって、該添加元素は、添加元素とSnの総和に対して15原子%〜63原子%の割合で含まれ、非晶質膜であるとされている。
また、特許文献2には、高分子フィルム基材の片面または両面に、ZnS及びSiOからなる混合物を主成分とした混合薄膜層が少なくとも1層形成してなり、さらに混合薄膜層上に樹脂層を少なくとも1層積層したガスバリア性フィルムが記載されている。この混合薄膜層はZnS及びSiOで形成された混合焼結材であるスパッタリングターゲットを用いて高周波を印加したスパッタリングにより成膜される。
特開2007−290916号公報 特開2010−208072号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記特許文献1に記載のターゲットでは、スパッタリング時にノジュールが多く発生して装置の掃除等に手間がかかるため、酸化スズ系ではなく他の組成系のガスバリア性に優れる透明酸化物膜が要望されている。
また、上記特許文献2に記載のガスバリア膜は、高周波を印加したスパッタにより作製されているが、より高速に成膜を行うためにはDCスパッタで成膜できる膜である必要がある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、良好なガスバリア性を有し、DCスパッタで成膜可能な酸化亜鉛系の透明膜およびその製造方法並びに透明膜形成用スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明者らは、AZO(Al-Zn-O:Aluminium doped Zinc Oxide:アルミニウム添加酸化亜鉛)膜にSiOを含有させると膜が非晶質になり、ガスバリア性が向上することを見出したことから、透明酸化物膜としてZnO−SiO−Al膜をスパッタリングにより成膜するべく研究を行った。この研究において、さらにZnSを特定範囲の含有量で含有させたスパッタリングターゲットを用いてDCスパッタすることで、柔軟性があり、さらに高ガスバリア性能を有する透明膜を得られることを突き止めた。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明の透明膜は、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、非晶質であることを特徴とする。
この透明膜では、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、非晶質であるので、高い膜の柔軟性とガスバリア性(例えば、水蒸気バリア性)とを有している。さらに、400〜750nmの波長域で高い平均透過率が得られ、良好な透明性を有している。
上記Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素は、スパッタリング成膜時にDCスパッタを可能にするため、ZnOへのドーパントとしてスパッタリングターゲットへ添加した結果、透明膜にもIII族元素として含まれるものである。
なお、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素の含有量を0.3〜6.0at%とした理由は、0.3at%未満の膜を得るための組成に設定したスパッタリングターゲットでは導電性が不足してDCスパッタができなくなるためであり、6.0at%を超える膜を得るための組成に設定したスパッタリングターゲットでは、III族元素とZnとが複合酸化物を形成し、異常放電が多発して安定したDCスパッタができない。
上記Siは、膜を非晶質化し、水蒸気やガスのパスを減少させることで、ガスバリア性を向上させる効果を有している。
なお、Siの含有量を6.0〜27.0at%とした理由は、6.0at%未満であると膜が結晶化してガスバリア性が低下してしまうためであり、27.0at%を超える膜を得るための組成に設定したスパッタリングターゲットではSi量が多くなり、導電性が低くなってDCスパッタができないためである。
上記Sは、ZnSとして膜の柔軟性を上げ、水蒸気やガスのパスとなり得るクラックの発生を抑制することにより、ガスバリア性を向上させる効果を有している。
なお、上記Sの含有量を上記範囲とした理由は、下限値未満であると、膜の機械的な変形によりガスバリア性が低下してしまうためであり、上限値を超えると、400〜750nmの波長域の可視光透過率が低くなってしまうためである。
上記Znの含有量を上記範囲とした理由は、下限値未満であると、膜中のAl,Si添加量が上限値を超えてしまうためであり、上限値を超えると、膜中のAl,Si添加量が下限値を下回ってしまうためである。
第2の発明の透明膜は、Alを1.5〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、厚み100nmにおける波長400〜750nmの可視光域での透過率平均値が85%以上で、非晶質であることを特徴とする。
上記第2の発明において、Alはスパッタリング成膜時にDCスパッタを可能にするためZnOへのドーパントとしてスパッタリングターゲットへ添加されるが、AlとSiとが膜に共存することでガスバリア性の向上効果が発現する。
なお、Alの含有量を1.5〜6.0at%とした理由は、1.5at%未満の膜ではSiとの共存によるガスバリア性向上効果が薄くなるためであり、6.0at%を超える膜を得るための組成に設定したスパッタリングターゲットでは、AlとZnとが複合酸化物を形成し、異常放電が多発して安定したDCスパッタができないためである。
第3の発明の透明膜は、第1又は第2の発明において、厚み100nm以上で水蒸気透過率が0.03g/(m・day)以下であることを特徴とする。
すなわち、この透明膜では、厚み100nm以上で水蒸気透過率が0.03g/(m・day)以下であるので、電子ペーパーや太陽電池で採用される樹脂フィルム基材上に成膜されたガスバリア層として好適である。
第4の発明の透明膜形成用スパッタリングターゲットは、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜3.5at%、Siを5.5〜14.0at%、Znを25.0〜40.5at%、Sを1.0〜6.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有した焼結体からなることを特徴とする。
すなわち、この透明膜形成用スパッタリングターゲットを用いてスパッタすることで、可視光域で高い透過率が得られると共に高い膜の柔軟性とガスバリア性とを有した透明膜を安定して得ることができる。
この透明膜形成用スパッタリングターゲットの成分組成は、第1又は第2の発明に記載の組成を持つ膜を得ることができるように調整した組成となっており、この組成範囲を外れたスパッタリングターゲットを用いると第1又は第2の発明に示した組成の透明膜を得ることはできない。
第5の発明の透明膜の製造方法は、第1から第3の発明に係る透明膜を製造する方法であって、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜3.5at%、Siを5.5〜14.0at%、Znを25.0〜40.5at%、Sを1.0〜6.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有した焼結体からなるスパッタリングターゲットを用い、酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中および基板を加熱した状態の少なくとも一方の環境下で、直流電流を投入してスパッタ(DCスパッタ)することを特徴とする。
すなわち、この透明膜の製造方法では、上記成分組成を有した焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いるので、DCスパッタが可能になり、さらに酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中および基板を加熱した状態の少なくとも一方の環境下で、直流電流を投入してスパッタ(DCスパッタ)するので、非晶質の透明膜(ZnS−SiO−ZnO−Al/Ga/In膜)を成膜することができる。したがって、本発明の製法によれば、非晶質でガスバリア性の高い透明膜をDCスパッタで成膜可能である。なお、基板を加熱した状態でDCスパッタする、又は酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中でDCスパッタすることで、膜の透明性が向上する。また、DCスパッタで高速成膜した膜は、RFスパッタで成膜した膜より緻密で、バリア性に優れている。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る透明膜によれば、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、厚み100nmにおける波長400〜750nmの可視光域での透過率平均値が85%以上で、非晶質であるので、可視光域で高い透過率が得られると共に高い膜の柔軟性とガスバリア性とを有している。
また、本発明に係る透明膜の製造方法によれば、上記成分組成を有した焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いるので、DCスパッタが可能になり、さらに酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中および基板を加熱した状態の少なくとも一方の環境下で、直流電流を投入してスパッタ(DCスパッタ)するので、非晶質の透明膜(ZnS−SiO−ZnO−Al/Ga/In膜)を成膜することができる。したがって、本発明の製法によれば、透明性が高く、非晶質でガスバリア性の高い透明膜をDCスパッタで成膜可能である。
したがって、本発明の透明膜を電子ペーパーや太陽電池などのガスバリア層に採用することで、要求される高透明性、高ガスバリア性が得られ、高信頼性を有すると共に視認性の高い電子ペーパーや変換効率の良好な太陽電池などを作製可能である。
本発明に係る透明膜およびその製造方法並びに透明膜形成用スパッタリングターゲットの一実施形態において、使用するスパッタリングターゲットの製造工程を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る透明膜およびその製造方法並びに透明膜形成用スパッタリングターゲットの一実施形態を、図1を参照して説明する。
本実施形態の透明膜は、上述した用途のガスバリア層として利用される膜であって、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、厚み100nmにおける波長400〜750nmの可視光域での透過率平均値が85%以上で、非晶質である。また、この透明膜は、厚み100nm以上で水蒸気透過率が0.03g/(m・day)以下である。
なお、水蒸気透過率は、JIS規格のK7129法にしたがってモコン法により測定されたものである。
また、本実施形態の透明膜の製造方法は、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜3.5at%、Siを5.5〜14.0at%、Znを25.0〜40.5at%、Sを1.0〜6.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有した焼結体からなるスパッタリングターゲットを用い、酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中および基板を加熱した状態の少なくとも一方の環境下で、直流電流を投入してスパッタ(DCスパッタ)する。
このとき、樹脂フィルム基材を基板として用い、基板の加熱温度は100〜200℃の範囲に設定する。また、酸素と不活性ガスとの雰囲気ガス全体に対する酸素のガス分圧:O/(Ar+O)は0.05以上0.2以下に設定する。
上記スパッタリングターゲットを作製する方法は、Al粉末,Ga粉末又はIn粉末の少なくとも1種以上の粉末とSiO粉末とZnO粉末とZnS粉末とを、全金属成分量に対してAl,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜3.5at%、Siを5.5〜14.0at%、Znを25.0〜40.5at%、Sを1.0〜6.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなるように混合粉末とする工程と、この混合粉末を焼結する工程とを有している。なお、この焼結は、常圧、ホットプレス、HIP法を用いて実現できる。
上記製法の一例について詳述すれば、例えば、図1に示すように、まず純度99.9%以上のAl粉末,Ga粉末又はIn粉末の少なくとも1種以上の粉末とSiO粉末とZnO粉末とZnS粉末とを上記含有量範囲となるように秤量し、湿式ボールミルによって粉砕、混合して混合粉末を作製する。例えば、秤量して得られた各粉末とジルコニアボールとをポリ容器(ポリエチレン製ポット)に入れ、ボールミル装置にて所定時間湿式混合し、混合粉末とする。なお、溶媒には、例えばアルコールを用いる。
次に、得られた混合粉末を乾燥後、篩にかけて造粒し、さらに真空乾燥後、例えば1200℃にて5時間、200kgf/cmの圧力で真空中でホットプレスし、焼結体とする。
このようにホットプレスした焼結体は、通常放電加工、切削または研削工法を用いて、ターゲットの指定形状に機械加工し、加工後のターゲットをInを半田として、CuまたはSUS(ステンレス)またはその他金属(例えば、Mo)からなるバッキングプレートにボンディングし、スパッタに供する。
このスパッタリングターゲットを用いて本実施形態の透明膜をDCスパッタするには、上記スパッタリングターゲットを、マグネトロンスパッタリング装置にセットし、所定の投入電力、到達真空度およびスパッタ圧力にて、スパッタガス分圧をO/(Ar+O)が0.05〜0.2の範囲、基板加熱を100℃から200℃とした条件で、樹脂フィルム基材上に成膜する。
このように本実施形態の透明膜では、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、厚み100nmにおける波長400〜750nmの可視光域での透過率平均値が85%以上で、非晶質であるので、可視光域で高い透過率が得られるとともに、高い膜の柔軟性とガスバリア性(例えば、水蒸気バリア性)とを有している。
特に、水蒸気透過率が0.03g/(m・day)以下であるので、電子ペーパーや太陽電池で採用される樹脂フィルム基材上に成膜されたガスバリア層として好適である。
また、この透明膜の製造方法では、上記成分組成を有した焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いるので、DCスパッタが可能になり、さらに酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中および基板を加熱した状態の少なくとも一方の環境下で、直流電流を投入してスパッタ(DCスパッタ)するので、非晶質の透明膜(ZnS−SiO−ZnO−Al/Ga/In膜)を成膜することができる。したがって、本発明の製法によれば、非晶質でガスバリア性の高い透明膜をDCスパッタで成膜可能である。なお、基板を加熱した状態でDCスパッタする、又は酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中でDCスパッタすることで、膜の透明性が向上する。
なお、スパッタ時の基板の加熱温度を、100〜200℃の範囲に設定するので、成膜する樹脂フィルム基材への熱影響を抑えつつ、電子ペーパーや太陽電池で採用されるガスバリア層として十分な透明性を有する透明膜が得られる。
さらに、酸素と不活性ガスとの雰囲気ガス全体に対する酸素のガス分圧を、0.05以上に設定するので、電子ペーパーや太陽電池で採用されるガスバリア層として十分な透明性を有する透明膜が得られる。
上記本実施形態に基づいて作製した透明膜の実施例について評価した結果を表1〜3を参照して以下に説明する。
本発明の実施例の製造は、以下の条件で行った。
まず、表1に示す組成割合になるように、純度99.9%以上のAl粉末,Ga粉末又はIn粉末とSiO粉末とZnO粉末とZnS粉末とを秤量し、得られた粉末と、その4倍量(重量比)のジルコニアボール(直径5mm)とを10Lのポリ容器(ポリエチレン製ポット)に入れ、ボールミル装置にて48時間湿式混合し、混合粉末とした。なお、溶媒には、アルコールを用いた。
次に、得られた混合粉末を乾燥後、1200℃にて5時間、200kgf/cmの圧力で真空ホットプレスし、焼結体とした。
このようにホットプレスした焼結体を、ターゲットの指定形状(直径125mm、厚さ10mm)に機械加工し、加工したものを無酸素銅からなるバッキングプレートにボンディングして本実施例1〜16のスパッタリングターゲットを作製した。
さらに、これらのスパッタリングターゲットを、マグネトロンスパッタリング装置にセットし、電源:DC、投入電力:500W、到達真空度:1×10−4Pa、スパッタガス分圧(酸素と不活性ガスとの雰囲気ガス全体に対する酸素のガス分圧:O/(Ar+O)が0.05以上0.2以下、スパッタ圧力:0.67Pa、基板加熱を100℃から200℃とした条件で、透過率測定用としてガラス基板(コーニング社#1737 縦:20mm×横:20mm、厚さ:0.7mm)の上に膜厚100nmを有する透明膜を形成した。
また、水蒸気透過率測定用としてPETフィルム(縦:100mm×横:100mm、厚さ120μm)の上に100nmを有する透明膜を形成した。さらに、成膜直後に水蒸気透過性を測定した後、円筒形マンドレル屈曲試験機により膜に繰り返し屈曲変形を加えた。この変形後の膜について水蒸気透過性測定を再実施した。
なお、比較例の透明膜として、表1に示す条件において、スパッタリングターゲットの組成を調整し、透明膜中のAlの組成を0.3〜6.0at%の範囲外としたもの(比較例1,2)と、透明膜中のSiの組成を6.0〜27.0at%の範囲外としたもの(比較例3,4)と、透明膜中のSの組成を0.5〜5.0at%の範囲外としたもの(比較例5,6)とを上記実施例と同様に作製した。
Figure 0005776563
このように作製した本発明の実施例及び比較例の透明膜について膜組成をICP発光分析法で測定したところ、全金属成分に対する各金属成分は表2に示すようになった。
また、本発明の実施例及び比較例に用いた各スパッタリングターゲットの抵抗率は、三菱化学社製ロレスタGPを用いて四端子法で測定した。
また、本発明の実施例及び比較例の透明膜についてX線回折(XRD)の分析を行い、結晶ピークの有無について調べた結果を表3に示す。
さらに、水蒸気透過率(水蒸気バリア性)は、モコン法を用い、mocon社製PERMATRAN-WMODEL 3/33を用いてJIS規格のK7129法に基づいて測定した。測定されたそれぞれの結果は表3に示す。
Figure 0005776563
Figure 0005776563
また、透明膜に対して変形処理を行った後の水蒸気バリア性について評価を行った。この評価では、スパッタした単層膜(本発明の実施例及び比較例の透明膜)の屈曲変形に、JIS 5600−5−1に準拠した円筒形マンドレル屈曲試験器(タイプI)を用いた。なお、使用したマンドレルの直径は20mmであり、フィルムを折り曲げた際に成膜面が外側にくるように屈曲変形した。この変形を、累計回数が50回になるまで繰り返した。そして、屈曲変形試験後の各スパッタ膜(本発明の実施例及び比較例の透明膜)について、再び上記測定法を用いて水蒸気透過率の値を得た。その結果も表3に示す。
まず、各比較例について、上記評価は以下のような結果であった。
比較例1:ターゲットの電気抵抗値が高すぎて、DCスパッタができなかったため、RFスパッタにより成膜を行ったところ、成膜された透明膜は、水蒸気バリア性が低かった。
比較例2:ターゲットにZnAlの複合酸化物組織ができて異常放電が多発し、DCスパッタができなかったため、RFスパッタしたところ、成膜された透明膜は、複合酸化物(ZnAl)が析出して水蒸気バリア性が低かった。
比較例3:成膜された透明膜は、SiO添加量が少なく、粗大結晶が析出してアモルファス構造が崩れて水蒸気バリア性が低かった。なお、Si組成が本発明の範囲より低いため、Zn組成が本発明の範囲より高い値となっている。
比較例4:ターゲットの電気抵抗値が高すぎて、DCスパッタができなかったため、RFスパッタしたところ、成膜された透明膜は、複合酸化物(ZnSiO)が析出したため水蒸気バリア性が低かった。なお、Si組成が本発明の範囲より高いため、Zn組成が本発明の範囲より低い値となっている。
比較例5:成膜された透明膜は、バリア性が高かったが、変形によりクラックが発生し、水蒸気バリア性が低下した。
比較例6:ターゲットの電気抵抗値が高すぎて、DCスパッタできなかったため、RFスパッタしたところ、成膜された透明膜は結晶性が強く、水蒸気バリア性が低下した。また、S(硫黄)の割合が多すぎて膜の可視光透過率が低かった。
比較例7:本比較例は本発明のスパッタ成膜条件を外れた膜の例である。本発明のスパッタリングターゲットを用いても、基板加熱・酸素添加を行わなければ、膜に酸素欠損が残存するため、可視光透過率が低かった。
本発明の各実施例について、上記評価は以下のような結果であった。
すなわち、本発明の全ての実施例では、ターゲットに導電性があり、DCスパッタ可能であった。また、スパッタ膜評価を行ったところ、XRDでは結晶ピークがいずれも認められなかった。また、成膜直後に計測した水蒸気透過率はいずれも0.03g/(m・day)以下であり、変形試験実施後も水蒸気透過率に変化はなかった。さらに、400〜750nmの波長領域での平均透過率はいずれも90%以上で、透明な膜であった。
実施例9,11,12,13については、Alの添加がない、または添加量が少ないため、本発明の実施例の中では、水蒸気透過率が高めの値となっている。したがって、より良好なガスバリア性を得るためには、Alの含有量を1.5at%以上とすることが好ましい。
このように本発明の各実施例の透明膜は、いずれも電子ペーパーや太陽電池に採用されるガスバリア層として好適な膜特性を備えている。
なお、本発明のスパッタリングターゲットを利用するためには、相対密度:90%以上、面粗さ:Ra値2μm以下、Rz値15μm以下、粒径:3μm以下、電気抵抗:1.0×10Ω・cm以下、金属系不純物濃度:0.1原子%以下、抗折強度:120MPa以上であることが好ましい。上記各実施例は、いずれもこれらの条件を満たしたものである。
また、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。

Claims (5)

  1. Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
    厚み100nmにおける波長400〜750nmの可視光域での透過率平均値が85%以上で、非晶質であることを特徴とする透明膜。
  2. Alを1.5〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
    厚み100nmにおける波長400〜750nmの可視光域での透過率平均値が85%以上で、非晶質であることを特徴とする透明膜。
  3. 請求項1又は2に記載の透明膜において、
    厚み100nmにおける水蒸気透過率が0.03g/(m・day)以下であることを特徴とする透明膜。
  4. Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜3.5at%、Siを5.5〜14.0at%、Znを25.0〜40.5at%、Sを1.0〜6.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有した焼結体からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の透明膜を形成するためのスパッタリングターゲット。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載の透明膜を製造する方法であって、
    Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜3.5at%、Siを5.5〜14.0at%、Znを25.0〜40.5at%、Sを1.0〜6.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有した焼結体からなるスパッタリングターゲットを用い、酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中および基板を加熱した状態の少なくとも一方の環境下で、直流電流を投入してスパッタすることを特徴とする透明膜の製造方法。
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