JP5776563B2 - 透明膜およびその製造方法並びに透明膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
すなわち、上記特許文献1に記載のターゲットでは、スパッタリング時にノジュールが多く発生して装置の掃除等に手間がかかるため、酸化スズ系ではなく他の組成系のガスバリア性に優れる透明酸化物膜が要望されている。
また、上記特許文献2に記載のガスバリア膜は、高周波を印加したスパッタにより作製されているが、より高速に成膜を行うためにはDCスパッタで成膜できる膜である必要がある。
なお、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素の含有量を0.3〜6.0at%とした理由は、0.3at%未満の膜を得るための組成に設定したスパッタリングターゲットでは導電性が不足してDCスパッタができなくなるためであり、6.0at%を超える膜を得るための組成に設定したスパッタリングターゲットでは、III族元素とZnとが複合酸化物を形成し、異常放電が多発して安定したDCスパッタができない。
なお、Siの含有量を6.0〜27.0at%とした理由は、6.0at%未満であると膜が結晶化してガスバリア性が低下してしまうためであり、27.0at%を超える膜を得るための組成に設定したスパッタリングターゲットではSi量が多くなり、導電性が低くなってDCスパッタができないためである。
なお、上記Sの含有量を上記範囲とした理由は、下限値未満であると、膜の機械的な変形によりガスバリア性が低下してしまうためであり、上限値を超えると、400〜750nmの波長域の可視光透過率が低くなってしまうためである。
なお、Alの含有量を1.5〜6.0at%とした理由は、1.5at%未満の膜ではSiとの共存によるガスバリア性向上効果が薄くなるためであり、6.0at%を超える膜を得るための組成に設定したスパッタリングターゲットでは、AlとZnとが複合酸化物を形成し、異常放電が多発して安定したDCスパッタができないためである。
すなわち、この透明膜では、厚み100nm以上で水蒸気透過率が0.03g/(m2・day)以下であるので、電子ペーパーや太陽電池で採用される樹脂フィルム基材上に成膜されたガスバリア層として好適である。
すなわち、この透明膜形成用スパッタリングターゲットを用いてスパッタすることで、可視光域で高い透過率が得られると共に高い膜の柔軟性とガスバリア性とを有した透明膜を安定して得ることができる。
すなわち、本発明に係る透明膜によれば、Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、厚み100nmにおける波長400〜750nmの可視光域での透過率平均値が85%以上で、非晶質であるので、可視光域で高い透過率が得られると共に高い膜の柔軟性とガスバリア性とを有している。
また、本発明に係る透明膜の製造方法によれば、上記成分組成を有した焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いるので、DCスパッタが可能になり、さらに酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中および基板を加熱した状態の少なくとも一方の環境下で、直流電流を投入してスパッタ(DCスパッタ)するので、非晶質の透明膜(ZnS−SiO2−ZnO−Al2O3/Ga2O3/In2O3膜)を成膜することができる。したがって、本発明の製法によれば、透明性が高く、非晶質でガスバリア性の高い透明膜をDCスパッタで成膜可能である。
したがって、本発明の透明膜を電子ペーパーや太陽電池などのガスバリア層に採用することで、要求される高透明性、高ガスバリア性が得られ、高信頼性を有すると共に視認性の高い電子ペーパーや変換効率の良好な太陽電池などを作製可能である。
なお、水蒸気透過率は、JIS規格のK7129法にしたがってモコン法により測定されたものである。
このようにホットプレスした焼結体は、通常放電加工、切削または研削工法を用いて、ターゲットの指定形状に機械加工し、加工後のターゲットをInを半田として、CuまたはSUS(ステンレス)またはその他金属(例えば、Mo)からなるバッキングプレートにボンディングし、スパッタに供する。
特に、水蒸気透過率が0.03g/(m2・day)以下であるので、電子ペーパーや太陽電池で採用される樹脂フィルム基材上に成膜されたガスバリア層として好適である。
さらに、酸素と不活性ガスとの雰囲気ガス全体に対する酸素のガス分圧を、0.05以上に設定するので、電子ペーパーや太陽電池で採用されるガスバリア層として十分な透明性を有する透明膜が得られる。
まず、表1に示す組成割合になるように、純度99.9%以上のAl2O3粉末,Ga2O3粉末又はIn2O3粉末とSiO2粉末とZnO粉末とZnS粉末とを秤量し、得られた粉末と、その4倍量(重量比)のジルコニアボール(直径5mm)とを10Lのポリ容器(ポリエチレン製ポット)に入れ、ボールミル装置にて48時間湿式混合し、混合粉末とした。なお、溶媒には、アルコールを用いた。
このようにホットプレスした焼結体を、ターゲットの指定形状(直径125mm、厚さ10mm)に機械加工し、加工したものを無酸素銅からなるバッキングプレートにボンディングして本実施例1〜16のスパッタリングターゲットを作製した。
また、本発明の実施例及び比較例に用いた各スパッタリングターゲットの抵抗率は、三菱化学社製ロレスタGPを用いて四端子法で測定した。
さらに、水蒸気透過率(水蒸気バリア性)は、モコン法を用い、mocon社製PERMATRAN-WMODEL 3/33を用いてJIS規格のK7129法に基づいて測定した。測定されたそれぞれの結果は表3に示す。
比較例1:ターゲットの電気抵抗値が高すぎて、DCスパッタができなかったため、RFスパッタにより成膜を行ったところ、成膜された透明膜は、水蒸気バリア性が低かった。
比較例2:ターゲットにZnAl2O4の複合酸化物組織ができて異常放電が多発し、DCスパッタができなかったため、RFスパッタしたところ、成膜された透明膜は、複合酸化物(ZnAl2O4)が析出して水蒸気バリア性が低かった。
比較例3:成膜された透明膜は、SiO2添加量が少なく、粗大結晶が析出してアモルファス構造が崩れて水蒸気バリア性が低かった。なお、Si組成が本発明の範囲より低いため、Zn組成が本発明の範囲より高い値となっている。
比較例4:ターゲットの電気抵抗値が高すぎて、DCスパッタができなかったため、RFスパッタしたところ、成膜された透明膜は、複合酸化物(Zn2SiO4)が析出したため水蒸気バリア性が低かった。なお、Si組成が本発明の範囲より高いため、Zn組成が本発明の範囲より低い値となっている。
比較例5:成膜された透明膜は、バリア性が高かったが、変形によりクラックが発生し、水蒸気バリア性が低下した。
比較例6:ターゲットの電気抵抗値が高すぎて、DCスパッタできなかったため、RFスパッタしたところ、成膜された透明膜は結晶性が強く、水蒸気バリア性が低下した。また、S(硫黄)の割合が多すぎて膜の可視光透過率が低かった。
比較例7:本比較例は本発明のスパッタ成膜条件を外れた膜の例である。本発明のスパッタリングターゲットを用いても、基板加熱・酸素添加を行わなければ、膜に酸素欠損が残存するため、可視光透過率が低かった。
すなわち、本発明の全ての実施例では、ターゲットに導電性があり、DCスパッタ可能であった。また、スパッタ膜評価を行ったところ、XRDでは結晶ピークがいずれも認められなかった。また、成膜直後に計測した水蒸気透過率はいずれも0.03g/(m2・day)以下であり、変形試験実施後も水蒸気透過率に変化はなかった。さらに、400〜750nmの波長領域での平均透過率はいずれも90%以上で、透明な膜であった。
実施例9,11,12,13については、Alの添加がない、または添加量が少ないため、本発明の実施例の中では、水蒸気透過率が高めの値となっている。したがって、より良好なガスバリア性を得るためには、Alの含有量を1.5at%以上とすることが好ましい。
このように本発明の各実施例の透明膜は、いずれも電子ペーパーや太陽電池に採用されるガスバリア層として好適な膜特性を備えている。
また、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
Claims (5)
- Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
厚み100nmにおける波長400〜750nmの可視光域での透過率平均値が85%以上で、非晶質であることを特徴とする透明膜。 - Alを1.5〜6.0at%、Siを6.0〜27.0at%、Znを11.0〜32.5at%、Sを0.5〜5.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
厚み100nmにおける波長400〜750nmの可視光域での透過率平均値が85%以上で、非晶質であることを特徴とする透明膜。 - 請求項1又は2に記載の透明膜において、
厚み100nmにおける水蒸気透過率が0.03g/(m2・day)以下であることを特徴とする透明膜。 - Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜3.5at%、Siを5.5〜14.0at%、Znを25.0〜40.5at%、Sを1.0〜6.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有した焼結体からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の透明膜を形成するためのスパッタリングターゲット。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の透明膜を製造する方法であって、
Al,Ga,Inの群から選ばれた少なくとも1種以上の金属元素を0.3〜3.5at%、Siを5.5〜14.0at%、Znを25.0〜40.5at%、Sを1.0〜6.0at%を含有し、残部がOおよび不可避不純物からなる成分組成を有した焼結体からなるスパッタリングターゲットを用い、酸素を含有させた不活性ガス雰囲気中および基板を加熱した状態の少なくとも一方の環境下で、直流電流を投入してスパッタすることを特徴とする透明膜の製造方法。
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