図1から図13を参照して、実施の形態における内燃機関について説明する。本実施の形態においては、車両に配置されている内燃機関を例に取り上げて説明する。
図1は、本実施の形態における内燃機関の概略図である。本実施の形態における内燃機関は、火花点火式である。内燃機関は、機関本体1を備える。機関本体1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド4とを含む。シリンダブロック2の内部には、ピストン3が配置されている。ピストン3は、シリンダブロック2の内部で往復運動する。
本実施の形態における内燃機関は、複数の気筒を有する。シリンダブロック2には、ノッキングの発生を検出するためのノックセンサ44が配置されている。本実施の形態のノックセンサ44は、それぞれの気筒ごとに異常燃焼が発現しているか否かを判別する判別手段として機能する。判別手段としては、この形態に限られず、異常燃焼の発現を気筒ごとに検出可能な任意の装置を採用することができる。
燃焼室5は、それぞれの気筒ごとに形成されている。燃焼室5には、機関吸気通路および機関排気通路が接続されている。シリンダヘッド4には、吸気ポート7および排気ポート9が形成されている。吸気弁6は吸気ポート7の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関吸気通路を開閉可能に形成されている。排気弁8は、排気ポート9の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関排気通路を開閉可能に形成されている。シリンダヘッド4には、点火装置としての点火プラグ10が固定されている。点火プラグ10は、燃焼室5にて燃料を点火するように形成されている。
本実施の形態における内燃機関は、燃焼室5に燃料を供給するための燃料噴射弁11を備える。本実施の形態における燃料噴射弁11は、吸気ポート7に燃料を噴射するように配置されている。燃料噴射弁11は、この形態に限られず、燃焼室5に燃料を供給できるように配置されていれば構わない。たとえば、燃料噴射弁は、燃焼室に直接的に燃料を噴射するように配置されていても構わない。燃料噴射弁11は、電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ29を介して燃料タンク28に接続されている。燃料タンク28内に貯蔵されている燃料は、燃料ポンプ29によって燃料噴射弁11に供給される。
本実施の形態における内燃機関は、過給機としての排気ターボチャージャ55を備える。排気ターボチャージャ55は、機関排気通路に配置され、排気の流れにより内部のタービンホイールが回転する排気タービン56を含む。排気ターボチャージャ55は、機関吸気通路に配置され、吸入空気を加圧するコンプレッサ57を含む。
各気筒の吸気ポート7は、対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結されている。サージタンク14は、吸気管15を介して排気ターボチャージャ55のコンプレッサ57の出口部に連結されている。サージタンク14とコンプレッサ57とを接続する吸気管15の内部には、ステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置されている。また、吸気管15の途中には、吸入空気を冷却する冷却器60が配置されている。
コンプレッサ57の入口部は、吸気管15を介してエアクリーナ54に連結されている。コンプレッサ57よりも上流の吸気管15の内部には、吸入空気量を検出するエアフローメータ16が配置されている。
一方、各気筒の排気ポート9は、対応する排気枝管19および排気管23を介して排気ターボチャージャ55の排気タービン56の入口部に連結されている。排気タービン56の出口部は、排気管22を介して排気処理装置21に連結されている。本実施の形態における排気処理装置21は、三元触媒20を含む。排気処理装置21は、この形態に限られず、排気を浄化する任意の装置を採用することができる。
排気タービン56の上流の排気管23と排気タービン56の下流の排気管22との間には、排気タービン56をバイパスするバイパス通路58が配置されている。バイパス通路58には、バイパス通路58を開閉するバイパス弁としてのウェストゲートバルブ(WGV)59が配置されている。過給圧は、排気ターボチャージャ55の回転数が高くなるほど上昇するが、過給圧が高くなり過ぎると破損が生じる虞がある。ウェストゲートバルブ59は、たとえば、コンプレッサ57よりも下流の吸気管15内の圧力が予め定められた圧力よりも大きくなった場合に開度が大きくなるように制御される。燃焼室5に供給する吸入空気の圧力が予め定められた圧力以上にならないように制御することができる。
本実施の形態における過給機は、燃焼室5に供給する空気の圧力を変更可能に形成されている。本実施の形態におけるウェストゲートバルブ59は開度を調整できるように形成されている。ウェストゲートバルブ59の開度を調整することにより、バイパス通路58を流通する排気ガスの流量を調整し、排気ターボチャージャ55の回転数を調整することができる。この結果、燃焼室5に供給する過給圧を調整することができる。本実施の形態における過給機は、排気タービンをバイパスする排気流量を調整することにより、燃焼室に供給する空気の圧力を変更可能に形成されているが、この形態に限られず、過給圧の変更が可能な任意の機構を備える過給機を採用することができる。
本実施の形態における内燃機関は、燃焼室5に供給する空気の圧力、すなわち過給圧を取得する圧力取得手段を備える。本実施の形態における圧力取得手段は、圧力検出器としての過給圧センサ45を含む。本実施の形態における過給圧センサ45は、吸気管15においてスロットル弁18よりも下流に配置されている。過給圧を取得する圧力取得手段としては、この形態に限られず、燃焼室に供給する空気の圧力を取得可能な任意の装置を採用することができる。たとえば、圧力取得手段は、内燃機関の運転状態から燃焼室に供給する空気の圧力を推定する装置であっても構わない。
本実施の形態における内燃機関は、電子制御ユニット31を備える。本実施の形態における電子制御ユニット31は、デジタルコンピュータを含む。電子制御ユニット31は、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を含む。
エアフローメータ16の出力信号は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。アクセルペダル40には、負荷センサ41が接続されている。負荷センサ41は、アクセルペダル40の踏込量に比例した出力電圧を発生する。この出力電圧は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
クランク角センサ42は、クランクシャフトが、例えば所定の角度を回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスは入力ポート36に入力される。クランク角センサ42の出力により、機関回転数を検出することができる。また、クランク角センサ42の出力により、クランク角度を検出することができる。ノックセンサ44の出力および過給圧センサ45の出力は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。機関排気通路において、排気処理装置21の下流には、排気処理装置21の温度を検出する温度センサ43が配置されている。温度センサ43の出力は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
電子制御ユニット31の出力ポート37は、それぞれの対応する駆動回路39を介して燃料噴射弁11および点火プラグ10に接続されている。本実施の形態における電子制御ユニット31は、燃料噴射制御や点火制御を行うように形成されている。点火プラグ10の点火時期が電子制御ユニット31により制御されている。また、出力ポート37は、対応する駆動回路39を介して、スロットル弁18を駆動するステップモータ17、燃料ポンプ29、およびウェストゲートバルブ59に接続されている。これらの機器は、電子制御ユニット31により制御されている。
吸気弁6は、吸気カム51が回転することにより開閉するように形成されている。排気弁8は、排気カム52が回転するようことにより開閉するように形成されている。本実施の形態における内燃機関は、可変動弁機構を備える。可変動弁機構は、吸気弁6の開閉時期を変更する可変バルブタイミング装置53を含む。本実施の形態における可変バルブタイミング装置53は、吸気カム51の回転軸に接続されている。可変バルブタイミング装置53は、電子制御ユニット31により制御されている。
本実施の形態における可変バルブタイミング装置は、弁が開き始めてから閉じ終わるまでの作動角がほぼ一定で、作動角の中心の位相を変更可能に形成されている。可変バルブタイミング装置としては、この形態に限られず、作動角が可変に形成されていても構わない。また、吸気弁の閉弁時期を変更可能に形成されている任意の可変バルブタイミング装置を採用することができる。
本実施の形態における内燃機関は、圧縮比可変機構を備える。本発明においては、ピストンが圧縮上死点に達したときにピストンの冠面とシリンダヘッドとに囲まれる気筒内の空間を燃焼室と称する。内燃機関の圧縮比は、燃焼室の容積等に依存して定まる。本実施の形態における圧縮比可変機構は、燃焼室の容積を変更することにより圧縮比を変更するように形成されている。燃焼室における実際の圧縮比である実圧縮比は、(実圧縮比)=(燃焼室の容積+吸気弁が閉じている期間にピストンが移動する容積)/(燃焼室の容積)で示される。
図2は、本実施の形態における内燃機関の圧縮比可変機構の分解斜視図である。図3は、内燃機関の燃焼室の部分の第1の概略断面図である。図3は、圧縮比可変機構により高圧縮比になったときの概略図である。本実施の形態における内燃機関は、クランクケースを含む下部構造物と、下部構造物の上側に配置されているシリンダブロックとが互いに相対移動する。本実施の形態における下部構造物は、圧縮比可変機構を介してシリンダブロックを支持している。また、本実施の形態における下部構造物は、クランクシャフトを支持している。
図2および図3を参照して、シリンダブロック2の両側の側壁の下方には複数個の突出部80が形成されている。突出部80には、断面形状が円形のカム挿入孔81が形成されている。クランクケース79の上壁には、複数個の突出部82が形成されている。突出部82には、断面形状が円形のカム挿入孔83が形成されている。クランクケース79の突出部82は、シリンダブロック2の突出部80同士の間に嵌合する。
本実施の形態における圧縮比可変機構は、シリンダブロックの支持軸としての一対のカムシャフト84,85を含む。カムシャフト84,85には、それぞれのカム挿入孔83内に回転可能に挿入される円形カム88が固定されている。円形カム88は各カムシャフト84,85の回転軸線と同軸状に配置されている。一方で、それぞれの円形カム88の両側には、カムシャフト84,85の回転軸線に対して偏心して配置された偏心軸87が延びている。この偏心軸87上には、別の円形カム86が偏心して回転可能に取付けられている。これらの円形カム86は円形カム88の両側に配置されている。円形カム86は対応するカム挿入孔81内に回転可能に挿入されている。
圧縮比可変機構は、モータ89を含む。モータ89の回転軸90には、螺旋方向が互いに逆向きの2つのウォームギヤ91,92が取付けられている。それぞれのカムシャフト84,85の端部には、歯車93,94が固定されている。歯車93,94は、ウォームギヤ91,92と噛み合うように配置されている。モータ89が回転軸90を回転させることにより、カムシャフト84,85を、互いに反対方向に回転させることができる。
図3を参照して、それぞれのカムシャフト84,85上に配置された円形カム88を、矢印97に示すように互いに反対方向に回転させると、偏心軸87が円形カム88の上端に向けて移動する。円形カム86は、カム挿入孔81内において、矢印96に示すように円形カム88と反対方向に回転する。
図4に、本実施の形態における内燃機関の燃焼室の部分の第2の概略断面図を示す。図4は、圧縮比可変機構により低圧縮比になったときの概略図である。図4に示されるように偏心軸87が円形カム88の上端まで移動すると、円形カム88の中心軸が偏心軸87よりも下方に移動する。図3および図4を参照して、クランクケース79とシリンダブロック2との相対位置は、円形カム86の中心軸と円形カム88の中心軸との距離によって定まる。円形カム86の中心軸と円形カム88の中心軸との距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース79から離れる。矢印98に示すようにシリンダブロック2がクランクケース79から離れるほど、ピストン3が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が大きくなる。
本実施の形態における圧縮比可変機構は、クランクケースに対してシリンダブロックが相対的に移動することにより、燃焼室の容積が可変に形成されている。本実施の形態においては、下死点から上死点までのピストンの行程容積と燃焼室の容積のみから定まる圧縮比を機械圧縮比と称する。すなわち、機械圧縮比は、(機械圧縮比)=(燃焼室の容積+下死点から上死点までのピストンの行程容積)/(燃焼室の容積)にて示される。
図3ではピストン3が圧縮上死点に到達しており、燃焼室5の容積が小さくなっている。吸入空気量が常時一定の場合には圧縮比が高くなる。この状態は、機械圧縮比が高い状態である。これに対して、図4ではピストン3が圧縮上死点に到達しており、燃焼室5の容積が大きくなっている。吸入空気量が常時一定の場合には圧縮比が低くなる。この状態は、機械圧縮比が低い状態である。このように、本実施の形態における内燃機関は、運転期間中に圧縮比を変更することができる。たとえば、内燃機関の運転状態に応じて、圧縮比可変機構により圧縮比を変更することができる。
本実施の形態における圧縮比可変機構は、回転軸を偏心させた円形カムを回転させることにより、クランクケースに対してシリンダブロックを相対的に移動させているが、この形態に限られず、任意の機構により機械圧縮比を変更できる任意の圧縮比可変機構を採用することができる。
内燃機関は、一般的に機関負荷が低いほど熱効率が悪くなる。従って、内燃機関の運転時における熱効率を向上させるためには、負荷が低いときの熱効率を向上させることが好ましい。本実施の形態における圧縮比可変機構にて圧縮比を高くすることにより熱効率を向上させることができる。特に、圧縮比を高くすると、ピストンが上死点から下死点に向かうときの膨張比が大きくなるために熱効率が向上する。ところが、圧縮比可変機構により圧縮比を上昇させると、所定の圧縮比でノッキング等の異常燃焼が発現する。
本実施の形態における内燃機関は、可変動弁機構としての可変バルブタイミング装置を備え、吸気弁の開閉時期が可変に形成されている。吸気弁を閉じる時期を遅くすることにより、燃焼室に流入する空気量を少なくすることができる。すなわち、吸気弁を閉じる時期を遅くすることにより、燃焼室において混合気が圧縮される時の実圧縮比を小さくすることができる。
図5は、本実施の形態における内燃機関の運転制御全般を概略的に説明するグラフである。図5では、負荷に対する機械圧縮比および吸気弁を閉じる時期を示している。なお、本実施の形態の内燃機関では、排気浄化装置の三元触媒によって排気ガスに含まれる未燃炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を同時に浄化できるように、燃焼時の空燃比が理論空燃比に制御されている。
本実施の形態における内燃機関は、高負荷のときには圧縮比可変機構により機械圧縮比が低くなるように制御している。すなわち、ピストンが圧縮上死点に到達したときの燃焼室の容積が大きくなるように制御して、異常燃焼の発生を抑制することができる。また、高負荷の時には可変動弁機構により吸気弁を閉じる時期を早くして、燃焼室に吸入される吸入空気量を多くしている。本実施の形態における内燃機関は、高負荷の時には、スロットル弁が全開に保持されている。このためにポンピング損失をほぼ零にすることができる。
本実施の形態の内燃機関は、矢印61に示すように負荷が小さくなると、吸入空気量を減少させるために可変動弁機構により吸気弁の閉弁時期が遅く制御される。吸気弁の閉弁時期を遅く変更する領域では、圧縮比可変機構により機械圧縮比が増大される。この制御により、燃焼室における実圧縮比をほぼ一定に保つことができる。実圧縮比が高くなって異常燃焼が発生することを制御できる。また、負荷を小さくしている領域においても、スロットル弁は全開の状態に保持されており、ポンピング損失をほぼ零にすることができる。更に、本実施の形態の内燃機関は、吸気弁を閉じる時期を遅くしても、膨張比は大きくなったままであるために、熱効率の向上を図ることができる。本実施の形態における内燃機関は、燃焼室における実際の圧縮比を異常燃焼の発現する圧縮比未満に維持しながら、低負荷においては膨張比を大きくして熱効率を向上させることができる。
なお、本実施の形態における内燃機関では、負荷が更に低くなって、やや低負荷寄りの負荷L1に到達すると、圧縮比可変機構の構造上の圧縮比変更の限界となる限界機械圧縮比に到達する。このため、負荷L1よりも低い領域では、機械圧縮比が限界機械圧縮比に保持される。
また、図5に示す実施例では、負荷L1まで低下すると、吸気弁の閉弁時期が燃焼室に供給される吸入空気量を制御できる限界閉弁時期になる。このために、負荷L1よりも負荷の低い領域では吸気弁の閉弁時期が限界閉弁時期に保持される。本実施の形態の内燃機関においては、負荷L1よりも低い領域ではスロットル弁によって燃焼室に吸入される吸入空気量が制御される。すなわち、負荷L1よりも低い領域では、負荷が低くなるほどスロットル弁の開度は小さくなるように制御することができる。
このように、本実施の形態における内燃機関は、圧縮比可変機構と可変動弁機構とを組み合わせて用いることにより熱効率の向上を図ることができる。ところで、本実施の形態の内燃機関は、運転期間中に異常燃焼が発生した場合に異常燃焼の発生を抑制する異常燃焼抑制制御を行なう。本実施の形態における異常燃焼は、たとえばノッキング現象が含まれる。
図6に、本実施の形態における内燃機関の機械圧縮比に対する機械圧縮比のばらつき量を説明するグラフを示す。内燃機関は、製造時に公差内の寸法のばらつきを有する。それぞれの気筒ごとに製造誤差を有する。燃焼室の大きさについても寸法のばらつきを有し、この結果、機械圧縮比にもばらつきが生じる。図6の縦軸は、機械圧縮比のばらつき量を示しており、ばらつき量が0の点は設計値通りであることを示す。横軸は、機械圧縮比εを示す。
機械圧縮比が小さい領域では、矢印100aに示すように、寸法公差に起因する機械圧縮比のばらつき量は小さい。このために、目標の機械圧縮比に対する実際の機械圧縮比の誤差は小さい。一方で、機械圧縮比が大きくなると、矢印100b,100cに示すように、機械圧縮比のばらつき量も大きくなる。すなわち、機械圧縮比が大きくなるほど、それぞれの気筒における機械圧縮比のばらつき量も大きくなる。本実施の形態の内燃機関は、圧縮比可変機構を備え、機械圧縮比が高くされる。それぞれの気筒間の機械圧縮比のばらつきの影響も大きくなる。このために、本実施の形態の異常燃焼抑制制御においては、複数のそれぞれの気筒間の機械圧縮比のばらつきを考慮した制御を行う。
図7に、本実施の形態における異常燃焼抑制制御の一部を説明するグラフを示す。横軸が機械圧縮比であり、縦軸が点火時期である。グラフには、内燃機関の複数の気筒のうち、気筒Aと気筒Bとが示されている。製造誤差の影響等により、気筒Aの機械圧縮比よりも気筒Bの機械圧縮比の方が大きくなっている例を示している。
図7のグラフにおいて、ノッキング限界線よりも点火時期が進角側の状態では、ノッキングが発生している。ノッキング限界線よりも点火時期が遅角側の状態では、ノッキングが抑制されている。すなわち、ノッキング未発生の状態である。気筒Aの状態A1と気筒Bの状態B1とは、現在の運転状態を示している。気筒Aの状態A1では、点火時期がノッキング限界線よりも遅角側に位置しているために、気筒Aはノッキングが発生していないノッキング未発生の状態である。一方で、気筒Bの状態B1では、点火時期がノッキング限界線よりも進角側に位置しているためにノッキングが発生している。すなわち、気筒Bは、ノッキング発生気筒である。
本実施の形態における内燃機関では、機関本体1に取り付けられたノックセンサ44の出力により、気筒Bをノッキング発生気筒として検出し、気筒Aをノッキング未発生気筒として検出することができる。
本実施の形態の異常燃焼抑制制御においては、ノッキングの発生を検出した場合に、点火時期を遅角する。気筒Bにおいては、状態B1からノッキング限界線よりも遅角側の状態B2に移行する。状態B2にまで点火時期を遅角することによりノッキングが停止する。気筒Aでは、状態A1から状態A2に移行する。
次に、本実施の形態の異常燃焼抑制制御においては、機械圧縮比を低下させる制御を行うとともに、点火時期を進角させる制御を行なう。機械圧縮比を低下させることにより、ノッキングを抑制する状態に移行することができる。機械圧縮比を低下させることにより、ノッキング限界線に対する点火時期の余裕が生じる。このために、点火時期を進角させることができる。たとえば、ほぼノッキング限界になるか、またはノッキング限界の近傍まで、点火時期を進角させることができる。この制御を行なうことにより、熱効率の向上を図ることができる。
ノッキング発生気筒である気筒Bにおいては、機械圧縮比を低下することにより、状態B2から状態B3に移行する。ノッキング未発生気筒である気筒Aでは状態A2から状態A3に移行する。この後に、点火時期を進角させることにより、気筒Bでは状態B3から状態B4に移行する。気筒Bでは、点火時期を、ノッキング限界より遅いノッキング限界の近傍まで進角している。
ところで、気筒Bの進角量と同一の進角量にて、気筒Aの点火時期を進角した場合には、状態A3から状態A4’に移行する。ところが、図7に示すように、気筒Aは、元々ノッキング未発生気筒である。気筒Aの状態A4’では、ノッキング限界線に対する点火時期の余裕が大きく残存する。本実施の形態の内燃機関においては、ノッキング未発生気筒においては、さらに点火時期を進角させる制御を行う。気筒Aにおいては、状態A4’からさらに状態A4まで点火時期を進角させている。状態A4は、点火時期がノッキング限界より遅いノッキング限界の近傍の時期である。
このように、内燃機関が第1気筒と第2気筒とを備え、実際の機械圧縮比が第1気筒よりも第2気筒の方が高くなっている場合に、第1気筒の点火時期の進角量は、第2気筒の点火時期の進角量よりも大きくする制御を行なうことができる。特に、本実施の形態においては、ノッキングが発生している気筒の点火時期の進角量よりもノッキングが発生していない気筒の点火時期の進角量の方が大きくなるように点火時期を進角させる制御を行う。この制御を行なうことにより、製造誤差等により機械圧縮比が気筒間でばらついている場合にも、それぞれの気筒ごとにノッキング限界の近傍まで点火時期を進角させることができる。それぞれの気筒における熱効率を向上させることができて、この結果、内燃機関全体の熱効率を向上させることができる。
本実施の形態の燃焼抑制制御においては、少なくとも一部の気筒においてノッキングが生じた場合には、ノッキングが停止するまで点火時期を遅角した後に、機械圧縮比を低下させるとともに点火時期を進角させる制御を行っている。すなわち、機械圧縮比の補正および点火時期の補正を行なっている。なお、全ての気筒において異常燃焼が発現している場合には、全ての気筒について点火時期の進角量をほぼ同一にすることができる。また、機械圧縮比の低下と点火時期の進角とは同時に行なっても構わない。
ところで、図1を参照して、本実施の形態における内燃機関は、過給機としての排気ターボチャージャ55を備える。内燃機関は、燃焼室5に供給する空気の圧力が高くなると、ノッキング感度が高くなる特性を有する。すなわち、過給圧が高くなると、ノッキングが発生する頻度が多くなったり、ノッキングが発生したときの振動の強度が大きくなったりする。
図8に、過給圧とノッキングが発生する機械圧縮比との関係を説明するグラフを示す。図8では、機関回転数、負荷および吸気弁の閉弁時期等が一定の条件下である。過給圧が高くなるほど、ノッキングが発生する機械圧縮比が低くなる。すなわち、過給圧が高くなるほどノッキングが発生しやすくなり、ノッキングの感度が高くなることが分る。
内燃機関の運転期間中には、前述の機械圧縮比の補正および点火時期の補正を行なっても、過給圧の変動等、機械圧縮比等の補正の精度、または他の変数のばらつきなどにより、ノッキングが散発する可能性が残存する。特に、過給圧が高い領域においてはノッキングの感度が高くなるために、ノッキングが散発する可能性が上昇する。
このために、本実施の形態の異常燃焼抑制制御においては、過給圧が予め定められた圧力判定値よりも大きい場合には、上記の機械圧縮比の制御および点火時期の制御に加えて、ノッキングの発生を抑制するために、更に過給圧を低下させるとともに吸気弁の閉弁時期を進角する制御を行う。一方で、過給圧が予め定められた圧力判定値以下の場合には、過給圧を低下させるとともに吸気弁の閉弁時期を進角する制御は禁止している。
過給圧を低下させることにより、燃焼室に流入する空気の温度を低下させることができてノッキングを抑制することができる。図1を参照して、本実施の形態の内燃機関では、ウェストゲートバルブ59の開度を大きくすることにより、過給圧を低下させることができる。ウェストゲートバルブ59の開度を大きくすることにより、排気タービン56をバイパスする排気流量が増加する。このため、排気タービン56に流入する排気流量が減少して、排気ターボチャージャ55の回転数が低下する。この結果、コンプレッサ57より加圧される吸入空気の圧力を低下させることができる。
しかしながら、過給圧が低下することにより、燃焼室における充填効率が低下する。その結果、出力されるトルクが変動する。そこで、本実施の形態においては、過給圧の低下とともに吸気弁の閉弁時期を進角することにより、燃焼室における充填効率の低下を抑制する。図5を参照して、本実施の形態の吸気弁の閉弁時期は、ピストンが下死点に位置する時期よりも後である。すなわち、ピストンの上昇中に吸気弁を閉じている。吸気弁の閉弁時期を進角させることにより、燃焼室に流入する空気量を増加させることができて、充填効率を上昇させることができる。本実施の形態においては、過給圧の低下前と低下後とで、充填効率が同一になる様に吸気弁の閉弁時期を進角している。この制御により、トルクの変動を抑制することができる。
更に、吸気弁の閉弁時期を進角することにより、吸気弁を閉弁した時のピストンの冠面から燃焼室の上面までの気筒内の空間の容積が大きくなる。同じ量の空気を燃焼室に充填するときに、過給圧を低下させて吸気弁の閉弁時期を進角することにより、吸気弁を閉弁した時の気筒内の容積を大きくすることができて、吸入空気量の誤差を抑制することができる。換言すると、吸気弁の閉弁時期を遅角側に設定すると、進角側に設定するよりも吸入空気量のばらつきに対する感度が高くなる。このため、吸気弁の閉弁時期を進角することにより、吸入空気量の誤差を減少させることができる。
次に、本実施の形態における異常燃焼抑制制御の実施例について説明する。図9に、本実施の形態における異常燃焼抑制制御のフローチャートを示す。図9に示す制御は、例えば、予め定められた時間間隔ごとに繰り返して行なうことができる。また、それぞれの制御の判定値等は、電子制御ユニットに予め記憶されたマップ等を読み込むことにより設定することができる。
ステップ111においては、それぞれの気筒ごとにノッキングの発生を検出する。それぞれの気筒が、ノッキング発生気筒かノッキング未発生気筒かを判別する。また、ノッキング発生気筒においては、ノッキング強度も検出する。本実施の形態においては、ノックセンサ44の出力によりノッキング強度を検出することができる。
次に、ステップ112においては、点火時期を遅角する。本実施の形態では、図7を参照して、ノッキング発生気筒においてノッキングが停止するまで点火時期を遅角する。この時の点火時期の遅角量は、電子制御ユニットに記憶することができる。
次に、ステップ113においては、機械圧縮比の低下量εm(絶対値)を設定する。すなわち、機械圧縮比を低下させる量を設定する。図10に、本実施の形態におけるノッキング強度と機械圧縮比の低下量との関係のグラフを示す。横軸は、ノッキング強度を示している。ノッキング強度としては、例えば、ノッキングが生じている時の振動の強度(振幅等)を例示することができる。ノックセンサにより検出されたノッキング強度が大きくなるほど機械圧縮比の低下量を大きく設定することができる。この様に、ノッキング強度に基づいて機械圧縮比の低下量を設定することができる。
または、機械圧縮比の低下量は、点火時期の遅角量に基づいて設定しても構わない。例えば、ノッキングが停止するまでの点火時期の遅角量が大きくなるほど、機械圧縮比の低下量を大きく設定することができる。
ステップ114においては、設定した機械圧縮比の低下量に基づいて、機械圧縮比を低下させる。
次に、ステップ115においては、それぞれの気筒ごとに、点火時期の進角量を設定する。本実施の形態においては、複数の気筒をノック発生気筒とノック未発生気筒とに分別し、それぞれの気筒について、点火時期の進角量を設定する。ノッキング発生気筒の点火時期の進角量としては、例えば、ステップ112における点火時期を遅角したときの遅角量および機械圧縮比の低下量に基づいて設定することができる。一方で、ノッキング未発生気筒の点火時期の進角量は、ノッキング発生気筒の点火時期の進角量に所定の量を加算することにより設定することができる。
図11に、機械圧縮比の低下量と、ノッキング発生気筒とノッキング未発生気筒との点火時期の進角量の差を説明するグラフを示す。縦軸は、ノッキング未発生気筒の進角量からノッキング発生気筒の進角量を減算した値を示している。機械圧縮比の低下量が大きくなるほど、点火時期の進角量の差が大きく設定されている。機械圧縮比の低下量に基づいて点火時期の進角量の差を設定し、ノッキング発生気筒の点火時期の進角量に、点火時期の進角量の差を加算することにより、ノッキング未発生気筒の点火時期の進角量を設定することができる。
図9を参照して、次に、ステップ116においては、それぞれの気筒ごとに設定した点火時期の進角量に基づいて点火時期を進角する。ここで、ステップ116において、点火時期を進角している期間中に、いずれかの気筒でノッキングが発生した場合には、ノッキングが発生した気筒において、点火時期の進角を停止する制御を行なっても構わない。
または、ノッキング未発生気筒の点火時期の進角量の設定においては、例えば、内燃機関が最大トルクを発生する点火時期MBT(Minimum advance for Best Torque)にて、点火時期の進角を停止しても構わない。たとえば、内燃機関に点火時期MBTを検出する手段が配置されている場合には、点火時期の進角により点火時期MBTになるように進角量を設定することができる。
点火時期MBTを推定する手段は、たとえば、出力されるトルクを検出可能なトルクセンサを含む。内燃機関のクランクシャフトに磁歪式のトルクセンサを配置することができる。時間の経過とともに点火時期を進角させて、トルクが上昇した後に下降し始めた点を、点火時期MBTと判別することができる。または、燃焼室の内部の圧力を検出可能な筒内圧センサ等により点火時期MBTを検出しても構わない。点火時期MBTを推定する手段が筒内圧センサを含む場合には、時系列に変化する圧力を積算することにより、出力されるトルクを推定することができる。点火時期を徐々に進角して、推定されるトルクが最大になる時期を点火時期MBTと判別することができる。
次に、過給圧を低下させるとともに吸気弁の閉弁時期(IVC)を進角させる制御を行なう。始めにステップ117からステップ119においては、過給圧を低下させるとともに吸気弁の閉弁時期を進角させる制御を行か否かを判別する。ステップ117においては、燃焼室に供給する空気の圧力、すなわち過給圧を検出する。図1を参照して、過給圧は、過給圧センサ45により検出することができる。
次に、ステップ118においては、検出した過給圧が予め定められた圧力判定値よりも大きいか否かを判別する。圧力判定値としては、機関回転数や負荷等の内燃機関の運転状態を関数にした値を予め設定し、電子制御ユニットに記憶させておくことができる。検出した過給圧が予め定められた圧力判定値よりも大きい場合には、ノッキングが発生する虞があると判別することができる。この場合には、ステップ119に移行する。一方で、検出した過給圧が予め定められた圧力判定値以下の場合には、この制御を終了する。すなわち、吸気弁の閉弁時期を進角させるとともに過給圧を低下させる制御を禁止している。
ステップ119においては、機械圧縮比の低下量が、予め定められた圧縮比判定値よりも大きいか否かを判別する。本実施の形態における異常燃焼抑制制御は、機械圧縮比の低下量(絶対値)が予め定められた圧縮比判定値よりも大きい場合には吸気弁の閉弁時期を進角するとともに、過給圧を低下させる制御を行う。一方で、機械圧縮比の低下量(絶対値)が予め定められた圧縮比判定値以下の場合には、吸気弁の閉弁時期を進角させるとともに過給圧を低下させる制御を禁止する。予め定められた圧縮比判定値としては、機械圧縮比の低下量が通常の設計公差の範囲内であるか否かを判別する判定値を採用することができる。例えば通常の設計公差の範囲内であれば、吸気弁の閉弁時期を進角させるとともに過給圧を低下させる制御を禁止することができる。
ステップ119において、機械圧縮比の低下量が予め定められた圧縮比判定値以下の場合には、この制御を終了する。ステップ119において機械圧縮比の低下量が、予め定められた圧縮比判定値よりも大きい場合には、ステップ120に移行する。
ステップ120においては、吸気弁の閉弁時期の進角量および過給圧の低下量を設定する。本実施の形態においては、機械圧縮比の低下量が大きいほど吸気弁の閉弁時期の進角量を大きくすることができる。また、機械圧縮比の低下量が大きいほど過給圧の低下量を大きくすることができる。または、ステップ120においては、予め定められた一定量の過給圧の低下量および予め定められた一定量の吸気弁の閉弁時期の進角量を採用しても構わない。
ステップ121においては、設定した吸気弁の閉弁時期の進角量に基づいて吸気弁の閉弁時期を進角し、更に設定した過給圧の低下量に基づいて過給圧を低下させる。
本実施の形態における異常燃焼抑制制御は、吸気弁の閉弁時期を進角する場合には過給圧を低下させる。この結果、過給によるポンプ仕事量が減少して、燃料消費量が悪化する。このために、吸気弁の閉弁時期は、なるべく進角せずに遅閉じにすることが好ましい。すなわち、吸気弁の閉弁時期の進角量および過給圧の低下量が大きいほど、より確実にノッキングを抑制することができるが、この時に生じる燃料消費量の悪化を抑制するために、吸気弁は遅く閉じることが好ましい。
本実施の形態においては、燃焼室に供給する空気の圧力が予め定められた圧力判定値よりも大きい場合に、吸気弁の閉弁時期を進角させるとともに過給圧を低下させる制御を行っているが、燃焼室に供給する空気の圧力が予め定められた圧力判定値以下の場合には、吸気弁の閉弁時期を進角させるとともに過給圧を低下させる制御を禁止している。この制御を行うことにより、ノッキングの生じる可能性の高い場合に限り、吸気弁の閉弁時期を進角させるとともに過給圧を低下させることができて、燃料消費量の悪化を抑制することができる。
また、機械圧縮比の低下量が大きいほど、内燃機関の運転状態の変化が大きくなるので、ノッキングが生じる可能性が高くなる。本実施の形態においては、機械圧縮比の低下量が大きいほど吸気弁の閉弁時期の進角量を大きくする制御を行うことにより、吸気弁の閉弁時期の進角量が大きくなることを回避しながら効果的にノッキングを抑制することができる。更に、本実施の形態においては、機械圧縮比の低下量が予め定められた圧縮比判定値よりも大きい場合に限り、吸気弁の閉弁時期を進角する共に過給圧を低下させている。機械圧縮比の低下量が予め定められた圧縮比判定値以下の場合には、吸気弁の閉弁時期を遅閉じにする制御を行なうことにより、燃料消費量の悪化を抑制することができる。
このように、本実施の形態においては、点火時期の変更および機械圧縮比の変更に加えて、過給圧および吸気弁の閉弁時期を変更することにより、ノッキングを抑制することができる。
ところで、本実施の形態の異常燃焼抑制制御は、機械圧縮比を低下させる制御を含む。機械圧縮比を変化させることにより、燃焼室から流出する排気のエネルギが変化し、この結果、過給圧が変化する。ここで、内燃機関の全ての気筒においてノッキングが発生している場合には、全ての気筒を目標にする機械圧縮比に合わせるために、全ての気筒から排出される排気のエネルギはほぼ同等になる。ところが、一部の気筒にノッキングが発生している場合には、ノッキング未発生気筒では機械圧縮比がノッキング発生気筒の所望の機械圧縮比よりも低くなる。このために、排気エネルギは所望のエネルギよりも小さい状態であり、過給圧が目標圧力よりも小さい状態になる。
そこで、本実施の形態においては、図1を参照して、機械圧縮比を低下させる前(点火時期を遅角したとき)に、ノッキングが発生した気筒数に基づいて、排気タービン56の流量の調整を行う。本実施の形態においては、バイパス通路58に配置されているウェストゲートバルブ59の開度の補正を行なう。本実施の形態の内燃機関は、一部の気筒のみにノッキングが発生している場合には、ウェストゲートバルブ59の開度を小さくして、排気タービン56の流量を増加させる制御を行う。過給圧を目標圧力まで上昇させる制御を行う。
図12に、本実施の形態における異常燃焼抑制制御の他のフローチャートを示す。図12に示す制御は、図9に示す制御に続いて行うことができる。または、図9に示す制御と共に行うことができる。
ステップ131では、それぞれの気筒においてノッキングが発生しているか否かを読み込む。たとえば、図9のステップ111において検出したノッキング発生気筒とノッキング未発生気筒とを読み込むことができる。
ステップ132においては、ノッキングが発生している気筒が一部か否かを判別する。ノッキングが生じている気筒が全ての気筒の場合には、この制御を終了する。ノッキングが生じている気筒が一部の気筒の場合には、ステップ133に移行する。
ステップ133においては、ウェストゲートバルブの開度の補正量を設定する。ノッキングが発生していない気筒が多いほど、ウェストゲートバルブの開度を小さくする制御を行うことができる。
図13に、ウェストゲートバルブの開度の補正量のグラフを示す。横軸はノッキング未発生気筒の数である。縦軸はウェストゲートバルブの開度の閉方向の補正量である。図13には、機械圧縮比の低下量が大きい状態から小さい状態までの3本の等量線のグラフが示されている。図13に示すように、ノッキング未発生気筒の数が多いほど、過給圧が不足するために、ウェストゲートバルブの開度の補正量を大きくする制御を行う。すなわち、ウェストゲートバルブの開度を小さくする制御を行う。また、圧縮比の低下量が大きいほど、ウェストゲートバルブの開度の補正量を大きくする制御を行うことができる。このように、圧縮比の低下量と、ノッキングが発生していないノッキング未発生気筒の数とに基づいて、ウェストゲートバルブの補正量を設定することができる。
図12を参照して、次に、ステップ134においては、設定した開度の補正量に基づいてウェストゲートバルブの開度の補正を実施することができる。このように、本実施の形態の異常燃焼抑制制御では、ノッキング未発生気筒の機械圧縮比が低いことに起因して過給圧が不足することを抑制できる。
本実施の形態の内燃機関は、高負荷から負荷が低下したときに、機械圧縮比を上昇させるとともに吸気弁の閉弁時期を遅角する運転例を取り上げて説明したが(図5参照)、この形態に限られず、圧縮比可変機構と、可変動弁機構と、過給機とを備える内燃機関に、本発明を適用することができる。
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。また、上述のそれぞれの制御においては、それぞれのステップの機能や作用が同一である範囲内にて適宜ステップの順序を変更することができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される変更が含まれている。